(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
G01T7/00 A
(21)【出願番号】P 2019236296
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正隆
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆史
(72)【発明者】
【氏名】江川 陸
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067564(JP,A)
【文献】特開2011-071134(JP,A)
【文献】特開平11-031486(JP,A)
【文献】特開2013-224949(JP,A)
【文献】特開2011-222214(JP,A)
【文献】特開2014-178308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0272588(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0063550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力を供給するためのキャパシタと、
前記放射線検出パネルおよび前記キャパシタを内包する筐体であって、前記放射線検出パネルに放射線を入射させる側である
入射面と前記
入射面とは反対側に位置する
背面とを有する筐体と、
を有し、
前記キャパシタは、電極が積層されて形成されている本体部と、前記本体部の周囲を封止する封止部と、を含み構成されており、且つ、前記放射線検出パネルよりも前記
背面の側に配置されており、
前記
背面には、前記筐体を把持するため把持部であって前記放射線検出パネルの側に向かって窪んだ把持部が形成されており、
前記把持部の少なくとも一部の内表面は、前記本体部の一部分よりも前記放射線検出パネルに近く、且つ、前記封止部に対して間隔をあけて対向する
ことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記放射線の入射方向において前記キャパシタと前記
背面との間に、保護部材を更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記保護部材は、絶縁材料で形成されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記キャパシタは、端子部を更に含み構成されており、
前記保護部材は、前記端子部と前記
背面との間に配置されている
ことを特徴とする請求項2
または3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記放射線検出パネルを支持する支持基台を更に有し、
前記保護部材は、前記支持基台と前記
背面との間にスペーサーとして配置されている
ことを特徴とする請求項2乃至
4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記キャパシタは、端子部を更に含み構成されており、
前記端子部と前記本体部は、前記把持部を間に挟んで互いに反対側に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記放射線の入射方向に対して直交する方向に沿って複数のキャパシタが並ぶように前記キャパシタと異なる更なるキャパシタを有し、
前記把持部の少なくとも一部の内表面は、前記更なるキャパシタの一部分よりも前記放射線検出パネルに近い
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記把持部は、前記
背面の外周
に位置する所定の側面からの距離が20mm以上
100mm以内である
ことを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記
背面は、前記把持部を少なくとも含む複数の把持部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記把持部は、前記
背面の外周に沿って一周するような形状で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した放射線を検出する放射線検出パネルを有する放射線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮影対象物である被検体を透過した放射線の強度分布を検出して放射線画像を得る放射線撮影装置が、工業用の非破壊検査や医療診断の場で広く一般的に利用されている。このような放射線撮影装置では、迅速かつ広範囲な被検体の部位を撮影可能にするため、可搬性や操作性に配慮した装置が開発されている。例えば、放射線撮影装置の可搬性を向上させるために、電力を供給するための電源である充電池が内蔵もしくは着脱できる状態で構成された放射線撮影装置も提案されている。例えば、特許文献1には、電源としてキャパシタを構成することで、放射線撮影装置に必要な電力を確保する実施例が記載されている。また、例えば、特許文献2では、可搬性の向上のために、外装の筐体に、内部に向かって窪んだ把持用の凹部(把持部)が形成された放射線撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-237692号公報
【文献】特開2017-67564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に記載のキャパシタにおいて、十分な電力を供給するためには、それに応じたキャパシタの体積が必要となり、放射線撮影装置の内部の限られた体積を占有することになる。一方で、可搬性の向上のために、例えば特許文献2に記載の放射線撮影装置の筐体のように、内部に向かって窪んだ把持部を設けると、放射線撮影装置の内部の体積が減少することになる。即ち、従来の放射線撮影装置においては、可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタを内部に配置できるようにすることが課題であった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタを内部に配置することが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルに電力を供給するためのキャパシタと、前記放射線検出パネルおよび前記キャパシタを内包する筐体であって、前記放射線検出パネルに放射線を入射させる側である入射面と前記入射面とは反対側に位置する背面とを有する筐体と、を有し、前記キャパシタは、電極が積層されて形成されている本体部と、前記本体部の周囲を封止する封止部と、を含み構成されており、且つ、前記放射線検出パネルよりも前記背面の側に配置されており、前記背面には、前記筐体を把持するため把持部であって前記放射線検出パネルの側に向かって窪んだ把持部が形成されており、前記把持部の少なくとも一部の内表面は、前記本体部の一部分よりも前記放射線検出パネルに近く、且つ、前記封止部に対して間隔をあけて対向する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射線撮影装置の可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタを内部に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態を示し、
図2のキャパシタの概略構成の一例を示す図である。
【
図4】
図2に示す本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置を筐体の背面の側からみたときの内部構成の一例を示す図である。
【
図5】
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図6】
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図7】
図1(b)に示すI-I断面における、本発明のその他の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。ただし、以下に記載する本発明の各実施形態において示す寸法や構造の詳細は、明細書及び図面に記載された内容に限定されるものではない。また、本明細書においては、本発明に係る放射線は、X線に限定されるものではなく、α線やβ線、γ線、粒子線、宇宙線なども、含まれるものとする。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観斜視図である。具体的に、
図1(a)は、放射線撮影装置100の外装の筐体において、放射線が入射する入射面181の側からみた外観斜視図である。また、
図1(b)は、放射線撮影装置100の外装の筐体において、
図1(a)に示す入射面181とは反対側に位置する背面183の側からみた外観斜視図である。また、
図1(a)及び
図1(b)には、入射面181と背面183とをつなぐ側面182も図示している。さらに、
図1(b)に示すように、背面183には、放射線撮影装置100の可搬性の向上のために、放射線撮影装置100の内部に向かって窪んだ凹部1831が形成されている。
【0012】
図2は、
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。以下の説明においては、この
図2に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-1」として記載する。また、
図2では、点線の矢印で示す放射線Rが入射する放射線入射方向をZ方向とし、Z方向と直交する方向であって相互に直交する方向をX方向及びY方向とした、XYZ座標系を図示している。
【0013】
放射線撮影装置100-1は、
図2に示すように、放射線検出パネル110、支持基台120、キャパシタ130、接続配線140、制御基板150、フレキシブル回路基板160、緩衝部材170、及び、筐体180を有して構成されている。
【0014】
放射線検出パネル110は、放射線発生装置(不図示)によって出射され、入射した放射線R(被検体Hを透過した放射線Rを含む)を検出する構成部である。具体的に、放射線検出パネル110は、入射した放射線Rをその強度に応じて電気信号である放射線画像信号に変換する。放射線検出パネル110は、例えば、複数(多数)の光電変換素子(センサ)が配置されたセンサ基板と、センサ基板の上に配置された蛍光体層(シンチレータ層)と、蛍光体保護膜などから構成される、いわゆる間接変換方式の放射線検出パネルである。この際、蛍光体層(シンチレータ層)は、入射した放射線Rを可視光に変換し、その可視光を複数の光電変換素子が電気信号である放射線画像信号に変換する。また、蛍光体保護膜は、透湿性の低いものから成り、蛍光体を保護するのに用いる。この放射線検出パネル110は、フレキシブル回路基板160と接続されている。なお、本実施形態においては、放射線検出パネル110は、a-Seなどからなる変換素子及びTFT等の電気素子が二次元に配置されている変換素子部からなる、いわゆる直接変換型の放射線検出パネルでもよい。また、放射線検出パネル110のセンサ基板の材質は、ガラスなどが考えられるが、可撓性の高い樹脂などを用いてもよく、また、これらに限定されるものではない。
【0015】
支持基台120は、放射線検出パネル110を支持する構成部である。
【0016】
キャパシタ130は、放射線検出パネル110や制御基板150、フレキシブル回路基板160等に稼働に必要な電力を供給するための電源装置であって、短時間で充放電が可能な構成部である。
【0017】
ここで、
図3を用いて、キャパシタ130の概略構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、
図2のキャパシタ130の概略構成の一例を示す図である。具体的に、
図3(a)は、
図2のキャパシタ130の外観構成の一例を示す図であり、また、
図3(b)は、
図3(a)に示すII-II断面における、
図2のキャパシタ130の概略構成の一例を示す図である。ここで、
図3において、
図2に示す構成と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0018】
キャパシタ130は、
図3(
図2も同様)に示すように、電極が積層されて形成されている本体部131と、本体部131の周囲を覆って封止する封止部132と、キャパシタ130の外部の構成部と電気的に接続するための端子部133を含み構成されている。ここで、
図3(a)に示すキャパシタ130の構成のうち、
図3(b)(
図2も同様)に示すように、本体部131が最も厚いことが一般的である。
図2及び
図3に示すように、キャパシタ130は、安全性のために封止部132が構成されていることや、端子部133にビスやはんだなどを用いてリード線などの接続配線140と接続する必要がある。これらのことから、放射線撮影装置100-1にキャパシタ130を実装する際には、多くの空間が必要となる。キャパシタ130の端子部133は、電気的な接続部となるため、堅牢性を向上するために、放射線撮影装置100-1に外力が加わった際などに、他の構造物と接触しないように保護したり、端子部133の周りに空間を設けたりすることが考えられる。また、キャパシタ130は、リチウムイオンキャパシタなどで実装することができる。
【0019】
一般的に、二次電池の容量が向上すると、操作者が利用する際に、一度の充電で多くの撮影ができるようになる。しかしながら、キャパシタ130の容量を向上させるには、キャパシタ130の体積もあわせて増加させる必要がある。放射線撮影装置100-1の筐体180の内部には、放射線検出パネル110や、二次電池であるキャパシタ130以外にも、制御基板150等の他の構造物を配置する必要がある。また、放射線撮影装置100-1は、患者などの被検体Hが荷重をかけながら撮影することが考えられるため、十分な強度が必要となる。そのため、構造材である支持基台120や筐体180の背面183からは、放射線撮影装置100-1の強度を向上するために、リブやボスなどが形成されることが一般的であり、筐体180の内部の限られた体積に、構造材や電気部品を配置していく必要がある。
【0020】
上述したように、放射線撮影装置100-1の筐体180の内部空間の体積は限られているが、十分な電力を供給するためにはキャパシタ130の体積も必要となり、キャパシタ130は、封止部132や端子部133などの存在から実装体積はより大きくなる。一方で、放射線撮影装置100-1の可搬性(操作性)の向上のために、筐体180に凹部1831を形成すると、筐体180の内部の限られた体積がより減少することとなるため、より効率的に筐体180の内部空間を利用することが必要となる。そこで、本実施形態では、
図2に示すように、凹部1831の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向)からみたときに、キャパシタ130の本体部131と重なるように形成し、さらに、キャパシタ130の封止部132の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)において凹部1831(より具体的には、凹部1831の放射線検出パネル110に向かって最も窪んだ部分)と放射線検出パネル110との間に配置して、放射線撮影装置100-1の可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタ130を筐体180の内部の限られた空間に効率的に配置できるようにしている。
【0021】
また、キャパシタ130の端子部133は、ビスやはんだなどによってリード線などの接続配線140と接続するため、空間が必要なる。本実施形態においては、キャパシタ130の少なくとも1つの端子部133(
図2の左端に位置する端子部133)は、放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、凹部1831よりも放射線撮影装置100-1の外側に配置されている。また、キャパシタ130の本体部131は、放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、凹部1831を間に挟んで前記少なくとも1つの端子部133(
図2の左端に位置する端子部133)と反対側に配置されている。この配置構成により、放射線撮影装置100-1に外力(衝撃)が加わった際などに、筐体180の外側に配置された端子部133は、筐体180の側面182と凹部1831とに挟まれる位置に配置されているため、筐体180の変形が少ない場所の配置となる。そのため、外力(衝撃)に対して端子部133が保護しやすい構造となる。
【0022】
次に、
図2に示す他の構成部の説明に移る。
接続配線140は、キャパシタ130(より詳細には、キャパシタ130の端子部133)と制御基板150との間などを電気的に接続するための配線である。
【0023】
制御基板150は、例えば、放射線検出パネル110の動作を制御するための電気基板や、放射線検出パネル110で変換された電気信号である放射線画像信号を読み出すための電気基板、読み出した放射線画像信号を処理する(例えば、放射線画像の画像データを生成する)電気基板などを含む。この制御基板150で得られた放射線画像信号(放射線画像の画像データ)は、放射線撮影装置100-1の外部に転送され、モニタ上などに表示され、診断などに使用される。
【0024】
フレキシブル回路基板160は、放射線検出パネル110と制御基板150とを電気的に接続する回路基板である。具体的に、フレキシブル回路基板160は、一方の端部が放射線検出パネル110に接続され、他方の端部が制御基板150に接続されている。
【0025】
緩衝部材170は、筐体180(より詳細には、筐体180の入射面181)と放射線検出パネル110との間に配置され、放射線検出パネル110を外力などから保護する部材である。この緩衝部材170は、例えば、発泡樹脂やゲルなどで構成されていることが好ましい。
【0026】
筐体180は、
図1を用いて説明したように、入射面181、側面182及び背面183を有して構成されている。この筐体180は、放射線検出パネル110、支持基台120、キャパシタ130、接続配線140、制御基板150、フレキシブル回路基板160及び緩衝部材170を内包する構成部である。また、筐体180の背面183には、キャパシタ130に向かって窪んだ凹部1831が形成されている。この際、凹部1831が放射線検出パネル110に向かって深く窪んでいる方が、操作者は安定した取り回しが可能となったり、筐体180の剛性が向上したりするが、深く窪むほど、放射線撮影装置100-1の内部の体積は減少することになる。
【0027】
図4は、
図2に示す本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1を筐体180の背面183の側からみたときの内部構成の一例を示す図である。この
図4において、
図2及び
図3に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、
図4では、
図2に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
【0028】
図4に示す例では、放射線撮影装置100-1は、放射線Rの入射方向であるZ方向に対して直交する方向(Y方向)に沿って配置された複数のキャパシタ130を有して構成されている。具体的に、
図4に示す例では、複数のキャパシタ130として、第1のキャパシタ130-1及び第2のキャパシタ130-2の2つのキャパシタ130が、放射線Rの入射方向であるZ方向からみたときに略平行に配置されている。この
図4に示す例の場合、
図2及び
図1からも分かるように、凹部1831は、放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、複数のキャパシタ130である第1のキャパシタ130-1及び第2のキャパシタ130-2と重なる位置に形成されていることになる。この際、凹部1831は、
図4に示す2つのキャパシタ130と重なるように且つ配置した方向に長く形成するとよい。
図1(b)に示す例では、一部の凹部1831がこのように放射線撮影装置100の外形に沿って長く配置されている。これにより、凹部1831を大きく形成することで、操作者が把持する空間を広くすることができ、取り回しの向上につながる。なお、凹部1831は、
図1(b)に示す配置構成に限らず、例えば、放射線Rの入射方向からみたときに、放射線撮影装置100の外形に沿って一周連なるように凹部1831を形成してもよい。
【0029】
また、
図4では、
図2と同様に、X方向に沿って、キャパシタ130、制御基板150及びフレキシブル回路基板160が配置されており、これらは、支持基台120上に配置されている。
【0030】
複数のキャパシタ130のそれぞれは、制御基板150をよけるように配置されている。特に、複数のキャパシタ130を、フレキシブル回路基板160と接続される制御基板150と略対称の外形側の辺に並ぶように配置すると、体積の大きなキャパシタ130も配置しやすい。ここで、
図4に示す例では、キャパシタ130は、放射線撮影装置100-1に必要な電気容量を確保するために、上述したように2つ配置されている。この場合、
図2に示す凹部1831は、人の手で把持することを考えると、放射線Rの入射方向であるZ方向からみたときに、筐体180の側面182から20mm~100mm以内にあることが望ましい。しかしながら、キャパシタ130は、本体部131が最も厚いため、放射線Rの入射方向であるZ方向からみたときに、キャパシタ130の本体部131と凹部1831が重なる配置となると、凹部1831を深く形成することが困難となる。一方で、キャパシタ130と重ならないように、凹部1831を筐体180の側面182の近傍に形成すると、操作者は指などの関節を大きく曲げて把持する必要があるため、一般的に握りにくくなり、可搬性を損なう恐れがある。また、
図4でみたときに。キャパシタ130を中央によせて配置するため、制御基板150やキャパシタ130の小型化が必要となる。
【0031】
本実施形態では、このような課題に対応するために、
図2に示すように、凹部1831の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向に対して直交する方向(X方向)からみたときに、キャパシタ130の本体部131と重なるように形成されており、また、キャパシタ130の封止部132の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)において凹部1831と放射線検出パネル110との間に配置(放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、凹部1831と重なるように配置)されるように構成している。ここで、
図2及び
図3に示すキャパシタ130からも分かるように、封止部132は、本体部131よりも薄いため、深い凹部1831を形成することができる。この場合、
図2に示すように、凹部1831は、本体部131と端子部133との間に配置されることになるから、可搬性を損なわない位置に凹部1831を設けることができる。
【0032】
以上説明したように、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1では、凹部1831の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向)からみたときに、キャパシタ130の本体部131と重なるように形成されている。さらに、キャパシタ130の封止部132の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)において凹部1831(より具体的には、凹部1831の放射線検出パネル110に向かって最も窪んだ部分)と放射線検出パネル110との間に配置されている。
かかる構成によれば、放射線撮影装置100-1の可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタ130を筐体180の内部に配置することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0034】
第2の実施形態に係る放射線撮影装置の外観を示す斜視図は、
図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観を示す斜視図と同様である。また、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成は、基本的には、
図2に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1の内部構成と略同じであるが、筐体180に設けられる凹部1831の形状が異なる。
【0035】
図5は、
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。以下の説明においては、この
図5に示す第2の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-2」として記載する。この
図5において、
図2に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、
図5では、
図2に図示したXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
【0036】
図5に示すように、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2では、XZ平面において、凹部1831の底部が傾斜している形状となっている。この第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2においても、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1と同様に、凹部1831の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向)からみたときに、キャパシタ130の本体部131と重なるように形成されている。さらに、キャパシタ130の封止部132の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)において凹部1831と放射線検出パネル110との間に配置(放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、凹部1831と重なるように配置)されている。これにより、深い凹部1831の形成が可能となる。
そして、第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、放射線撮影装置100-2の可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタ130を筐体180の内部に配置することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0038】
第3の実施形態に係る放射線撮影装置の外観を示す斜視図は、
図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観を示す斜視図と同様である。
【0039】
図6は、
図1(b)に示すI-I断面における、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。なお、この
図6では、
図1(b)に示すI-I断面における一部の領域(
図2に示す左半分程度の、筐体180の凹部1831とキャパシタ130の周辺領域)のみを図示している。以下の説明においては、この
図6に示す第3の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-3」として記載する。この
図6において、
図2及び
図5に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、
図6では、
図2及び
図5に図示したXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
【0040】
第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3は、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1に対して、主として、放射線Rの入射方向(Z方向)においてキャパシタ130と筐体180の背面との間に、保護部材190を更に設けたものである。ここで、保護部材190は、樹脂や繊維強化樹脂などの、絶縁性のある材料(絶縁材料)で形成されていることが望ましい。なお、第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3は、
図6では図示されていないが、
図2に示す制御基板150及びフレキシブル回路基板160も具備して構成されている。
【0041】
第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3も、第1の実施形態と同様に、凹部1831の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向)からみたときに、キャパシタ130の本体部131と重なるように形成されている。さらに、第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3も、第1の実施形態と同様に、キャパシタ130の封止部132の少なくとも一部は、放射線Rの入射方向(Z方向)において凹部1831と放射線検出パネル110との間に配置(放射線Rの入射方向(Z方向)からみたときに、凹部1831と重なるように配置)されている。
【0042】
ここで、放射線撮影装置100-3を落下したり外力が加わったりすると、筐体180が変形して、キャパシタ130の端子部133と筐体180の背面183との距離が近づき、端子部133の保護が十分でなくなる可能性も考えられる。そこで、第3の実施形態では、
図6に示すように、キャパシタ130を保護するための保護部材190を、窪んだ凹部1831や筐体180の背面183と端子部133との間に、端子部133の少なくとも一部を覆うように配置している。さらに、保護部材190は、端子部133の周囲の一部においては、放射線Rの入射方向(Z方向)において支持基台120と筐体180との間を埋めるようなスペーサーとして配置されている。この際、保護部材190は、筐体180が変形したときに支持基台120で支えるようなスペーサーの構造をとってもよい。このように、支持基台120と筐体180との間にスペーサーとして保護部材190を配置することにより、外力などにより筐体180が変形したときにも、キャパシタ130の端子部133が筐体180に触れるリスクを低減することが可能となる。
【0043】
また、保護部材190は、キャパシタ130の端子部133だけを覆うのではなく、キャパシタ130の封止部132や本体部131などを覆うような構造としてもよい。また、筐体180は、強度のある繊維強化樹脂やマグネシウム合金、アルミニウム合金などから形成するとよい。筐体180が導電性を有する材料の場合、キャパシタ130との絶縁を安定的に確保するために、絶縁層を設けてもよい。また、支持基台120も同様に、繊維強化樹脂やマグネシウム合金、アルミニウム合金などから形成するとよい。
【0044】
第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、放射線撮影装置100-3の可搬性の向上を維持しつつ、十分な電力を供給するキャパシタ130を筐体180の内部に配置することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
上述した本発明の実施形態では、キャパシタ130を例に、凹部1831の形成について説明したが、同様の構造をもつ二次電池であればキャパシタに限らずに構成する形態も、本発明に適用可能である。また、
図7に示す放射線撮影装置100-4のように、放射線Rの入射方向(Z方向)において、封止部132は、凹部1831と放射線検出パネル110との間には配置されず、端子部133の少なくとも一部が、凹部1831と放射線検出パネル110との間に配置されている構成も有り得る。
【0046】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
100:放射線撮影装置、110:放射線検出パネル、120:支持基台、130:キャパシタ、131:本体部、132:封止部、133:端子部、140:接続配線、150:制御基板、160:フレキシブル回路基板、170:緩衝部材、180:筐体、181:入射面、182:側面、183:背面、1831:凹部、R:放射線、H:被検体