(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】腕時計用バンド
(51)【国際特許分類】
A44C 5/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A44C5/00 D
(21)【出願番号】P 2019236798
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2019064776
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】神山 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】重城 幸一郎
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03330811(EP,A1)
【文献】特開2018-096979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計に取り付けられているバネ棒に接触しており、前記腕時計が備える時計ケース及び前記バネ棒を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記腕時計の内部で発生する刻音を検出し、前記刻音を示す刻音データを生成する刻音センサと、
前記刻音データに基づいて、前記腕時計の歩度及び前記腕時計が備えるテンプの振り角の少なくとも一方を含み、前記腕時計が表示している時刻の精度を示す精度データを生成する精度データ生成部と、
前記精度データを他の機器に送信するデータ送信部と、
を備える腕時計用バンド。
【請求項2】
前記腕時計の外部の環境を示す物理量を検出し、前記物理量を示す環境データを生成する環境センサを更に備え、
前記データ送信部は、前記環境データを前記他の機器に更に送信する、
請求項1に記載の腕時計用バンド。
【請求項3】
腕時計に取り付けられているバネ棒に接触しており、前記腕時計が備える時計ケース及び前記バネ棒を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記腕時計の内部で発生する刻音を検出し、前記刻音を示す刻音データを生成する刻音センサと、
前記刻音データを他の機器に送信するデータ送信部と、
を備える腕時計用バンド。
【請求項4】
前記腕時計の外部の環境を示す物理量を検出し、前記物理量を示す環境データを生成する環境センサを更に備え、
前記データ送信部は、前記環境データを前記他の機器に更に送信する、
請求項3に記載の腕時計用バンド。
【請求項5】
前記刻音センサは、前記腕時計が備える時計ケース及び空気中を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記刻音を検出する、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項6】
前記刻音センサは、圧電素子である、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項7】
前記刻音センサは、マイクロフォンである、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項8】
前記刻音センサは、第一面と、前記第一面と対向しており、かつ、孔が形成されている第二面と、前記第一面から前記第二面が位置する方向と反対の方向に突出している第一突出部とを有するバネ棒筐体と、前記孔から前記第一面が位置する方向と反対の方向に突出しており、中心軸が前記第一突出部と一致している第二突出部とを備えるバネ棒の前記バネ棒筐体に接触している接触部材に取り付けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項9】
前記バネ棒が収納される筐体と前記バネ棒との間を密封する密封装置を更に備える、
請求項8に記載の腕時計用バンド。
【請求項10】
前記孔と前記第二突出部との間を密封する密封装置を更に備える、
請求項8又は請求項9に記載の腕時計用バンド。
【請求項11】
前記接触部材は、前記中心軸を通る平面による断面が前記バネ棒に向かって凸となる形状を有する、
請求項8又は請求項9に記載の腕時計用バンド。
【請求項12】
前記刻音センサは、バネ棒筐体に形成されているバネ挿入孔に挿入され、突出部のうち前記バネ棒筐体に収納されている部分を押すことにより前記バネ棒筐体に形成されている突出孔から前記突出部の一部を突出させるバネに取り付けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項13】
バネ棒が収納される筐体と前記バネ棒との間を密封する密封装置を更に備える、
請求項12に記載の腕時計用バンド。
【請求項14】
前記突出孔と前記突出部との間を密封する密封装置を更に備える、
請求項12又は請求項13に記載の腕時計用バンド。
【請求項15】
バネ棒が収納される筐体は、第一容器の縁と、第二容器の縁とを合わせることにより組み立てられ、
前記バネ棒は、前記バネ棒筐体が前記第一容器の縁と前記第二容器の縁とに挟まれた状態で固定される、
請求項9から請求項14のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【請求項16】
前記刻音センサは、圧電素子である、
請求項9から請求項15のいずれか一つに記載の腕時計用バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計用バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式腕時計は、精巧に組み上げられたムーブメントを備えた工芸品としての魅力を有する等の理由から多くのユーザを惹きつけている。ところが、機械式腕時計は、表示している時刻の精度が使用状況によって変化することがあり、精度が低下した場合、オーバーホール等の修理点検が必要になることがある。このため、機械式腕時計の精度は、機械式腕時計のユーザにとって大きな関心事の一つとなっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、機械式腕時計の精度を評価してユーザに通知する技術の一例として、機械式ムーブメントと、歩度等を計測する機能を有するスマートウォッチ機能を実現するための回路基板とを備える腕時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、上述した腕時計は、回路基板と共に時計ケースに内蔵されている機械式ムーブメントにより表示されている時刻の精度に関するデータしか収集することができない。このため、当該腕時計は、ユーザが以前から愛用していた機械式腕時計等の腕時計の精度に関するデータを収集して他の機器に送信し、腕時計の精度の評価や適切な修理点検の内容及び時期を通知に役立てることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、どのような腕時計についても表示している時刻の精度に関するデータを収集して他の機器に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、腕時計に取り付けられているバネ棒に接触しており、前記腕時計が備える時計ケース及び前記バネ棒を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記腕時計の内部で発生する刻音を検出し、前記刻音を示す刻音データを生成する刻音センサと、前記刻音データに基づいて、前記腕時計の歩度及び前記腕時計が備えるテンプの振り角の少なくとも一方を含み、前記腕時計が表示している時刻の精度を示す精度データを生成する精度データ生成部と、前記精度データを他の機器に送信するデータ送信部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、前記腕時計の外部の環境を示す物理量を検出し、前記物理量を示す環境データを生成する環境センサを更に備え、前記データ送信部は、前記環境データを前記他の機器に更に送信する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、腕時計に取り付けられているバネ棒に接触しており、前記腕時計が備える時計ケース及び前記バネ棒を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記腕時計の内部で発生する刻音を検出し、前記刻音を示す刻音データを生成する刻音センサと、前記刻音データを他の機器に送信するデータ送信部と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、前記腕時計の外部の環境を示す物理量を検出し、前記物理量を示す環境データを生成する環境センサを更に備え、前記データ送信部は、前記環境データを前記他の機器に更に送信する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、前記腕時計が備える時計ケース及び空気中を通して伝達されてくる振動を検出することにより、前記刻音を検出する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、圧電素子である。
【0014】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、マイクロフォンである。
【0015】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、第一面と、前記第一面と対向しており、かつ、孔が形成されている第二面と、前記第一面から前記第二面が位置する方向と反対の方向に突出している第一突出部とを有するバネ棒筐体と、前記孔から前記第一面が位置する方向と反対の方向に突出しており、中心軸が前記第一突出部と一致している第二突出部とを備えるバネ棒の前記バネ棒筐体に接触している接触部材に取り付けられている。
【0016】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、前記バネ棒が収納される筐体と前記バネ棒との間を密封する密封装置を更に備える。
【0017】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、前記孔と前記第二突出部との間を密封する密封装置を更に備える。
【0018】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記接触部材は、前記中心軸を通る平面による断面が前記バネ棒に向かって凸となる形状を有する。
【0019】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、バネ棒筐体に形成されているバネ挿入孔に挿入され、突出部のうち前記バネ棒筐体に収納されている部分を押すことにより前記バネ棒筐体に形成されている突出孔から前記突出部の一部を突出させるバネに取り付けられている。
【0020】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、バネ棒が収納される筐体と前記バネ棒との間を密封する密封装置を更に備える。
【0021】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドは、前記突出孔と前記突出部との間を密封する密封装置を更に備える。
【0022】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、バネ棒が収納される筐体は、第一容器の縁と、第二容器の縁とを合わせることにより組み立てられ、前記バネ棒は、前記バネ棒筐体が前記第一容器の縁と前記第二容器の縁とに挟まれた状態で固定される。
【0023】
また、本発明の一態様に係る腕時計用バンドにおいて、前記刻音センサは、圧電素子である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、どのような腕時計についても表示している時刻の精度に関するデータを収集して他の機器に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第一実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る腕時計用バンドに搭載されたコンピュータ及び回路の一例を示す図である。
【
図3】第一実施形態に係るCPUが実行するデータ送信プログラムの一例を示す図である。
【
図4】第一実施形態に係る腕時計用バンドの構造の一例を示す図である。
【
図5】第二実施形態に係るCPUが実行するデータ送信プログラムの一例を示す図である。
【
図6】他の実施形態に係る腕時計用バンドの一例を示す図である。
【
図7】他の実施形態に係る腕時計用バンドの一例を示す図である。
【
図8】第三実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
【
図9】第三実施形態に係るバネ棒の一例を示す図である。
【
図10】第三実施形態に係る腕時計用バンドのエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
【
図11】
図10に示したエンドピースのA-A断面を-Y方向側から見た場合の一例を示す図である。
【
図12】
図10に示したエンドピースのB-B断面を-X方向側から見た場合の一例を示す図である。
【
図13】他の実施形態に係る腕時計用バンドのエンドピースの構造を-Y方向側から見た場合の一例を示す図である。
【
図14】他の実施形態に係るバネ棒の構造の一例を示す図である。
【
図15】他の実施形態に係るバネ棒の構造の一例を示す図である。
【
図16】他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
【
図17】他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
【
図18】他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
【
図19】他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
【
図20】他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
【
図21】第四実施形態に係る時計ケースとエンドピースとがバネ棒により接続される前におけるバネ棒及びエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
【
図22】第四実施形態に係る時計ケースとエンドピースとがバネ棒により接続される際におけるバネ棒及びエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第一実施形態]
図1から
図4を参照しながら、第一実施形態に係る腕時計用バンドの一例について説明する。
図1は、第一実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
図2は、第一実施形態に係る腕時計用バンドに搭載されたコンピュータ及び回路の一例を示す図である。
図1に示すように、腕時計100は、時計ケース10と、バネ棒20と、腕時計用バンド30とを備える。
【0027】
時計ケース10は、機械式ムーブメント、時針、分針、秒針等が収納されている筐体であり、バネ棒20により腕時計用バンド30と接続されている。
【0028】
腕時計用バンド30は、刻音センサ301と、アンプ302と、フィルタ303と、環境センサ304と、発振回路305と、分周回路306と、ROM(Read Only Memory)307と、RAM(Random Access Memory)308と、CPU(Central Processing Unit)309と、通信部310とを備える。
【0029】
刻音センサ301は、腕時計100の内部で発生する刻音を検出し、刻音を示す刻音データを生成する装置である。ここで言う刻音は、例えば、腕時計100が備える脱進機が動作することにより発生する音である。すなわち、ここで言う刻音は、例えば、腕時計100が備えるがんぎ車とアンクルとが接触することにより発生する音である。また、刻音センサ301は、例えば、圧電素子、マイクロフォンである。さらに、刻音センサ301は、腕時計100に取り付けられているバネ棒20に接触している。
【0030】
刻音センサ301は、腕時計100が備える時計ケース10及びバネ棒20を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出する。或いは、腕時計100が備える時計ケース10及び空気中を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出する。そして、刻音センサ301は、検出した刻音をアナログ形式又はデジタル形式のデータである刻音データに変換してアンプ302に送信する。アンプ302は、刻音データが示す刻音の波形の振幅を増幅する。フィルタ303は、アンプ302により増幅された刻音の波形に含まれるノイズを除去して刻音データをCPU309に送信する。
【0031】
環境センサ304は、腕時計100の外部の環境を示す物理量を検出し、物理量を示す環境データを生成する。環境センサ304は、例えば、加速度センサ、温度センサ、気圧センサ、磁気センサである。また、ここで言う外部の環境を示す物理量は、例えば、腕時計100の加速度、腕時計100の周辺の温度、気圧、磁場の大きさである。さらに、環境データは、刻音データと対応付けられたデータである。例えば、環境データは、時系列データである刻音データと同じ期間に検出された物理量を示すデータである。
【0032】
腕時計100の加速度の変化は、腕時計100を装着しているユーザの腕の振り方に応じて変化したり、腕時計100が落下した場合に変化したりする。これらの場合、腕時計100に内蔵されているぜんまいに加わる重力が変化するため、ぜんまいの動作が変化し、腕時計100の歩度及び腕時計100が備えるテンプの振り角が変化することがある。
【0033】
腕時計100の周辺の温度の変化は、腕時計100が備えるムーブメントを構成している部品の膨張や収縮に影響を与え、ムーブメントの動作を変化させるため、腕時計100の歩度及び腕時計100が備えるテンプの振り角を変化させることがある。
【0034】
腕時計100の周辺の気圧の変化は、腕時計100の内部に存在する気体の密度を変化させることにより、腕時計100が備えるテンプが動作する際に受ける空気抵抗の大きさを変化させる。これにより、腕時計100の周辺の気圧の変化は、腕時計100の歩度及び腕時計100が備えるテンプの振り角を変化させることがある。
【0035】
腕時計100の周辺の磁場の変化は、腕時計100が備えるムーブメントを構成している部品の動作を変化させるため、腕時計100の歩度及び腕時計100が備えるテンプの振り角を変化させることがある。また、腕時計100の周辺の磁場を変化させる要因としては、例えば、腕時計100の周辺に置かれたバッグの開閉部分に埋め込まれた磁石が挙げられる。
【0036】
発振回路305は、所定の周波数、例えば、32768Hzの周波数を有する信号を発生させて分周回路306に送信する。分周回路306は、発振回路305から受信した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生させてCPU309に送信する。
【0037】
ROM307は、CPU309が読み出して実行するプログラム、例えば、
図3に示したデータ送信プログラム3070aを記憶している。
図3は、第一実施形態に係るCPUが実行するデータ送信プログラムの一例を示す図である。
図3に示すように、データ送信プログラム3070aは、データ取得機能3071aと、精度データ生成機能3072aと、データ送信機能3073aとを備える。
【0038】
データ取得機能3071aは、刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を使用して生成された刻音データを取得する機能である。また、データ取得機能3071aは、環境センサ304を使用して生成された環境データを更に取得してもよい。精度データ生成機能3072aは、刻音データに基づいて、腕時計100の歩度及び腕時計100が備えるテンプの振り角の少なくとも一方を含み、腕時計100が表示している時刻の精度を示す精度データを生成する機能である。具体的には、精度データ生成機能3072aは、刻音データが示す刻音の波形の周波数と、分周回路306により生成された時計信号の周波数とを比較し、両者の差分から歩度及び振り角を算出する機能である。精度データは、他の機器において、腕時計100が表示している時刻の精度の評価及びこの評価結果に基づく修理点検の内容や時期の通知に使用されるデータである。また、ここで言う他の機器は、スマートフォン、タブレットである。データ送信機能3073aは、後述する通信部310を使用して精度データを他の機器に送信する機能である。また、データ送信機能3073aは、後述する通信部310を使用して環境データを他の機器に更に送信してもよい。
【0039】
RAM308は、上述した刻音データ、環境データ及び精度データを記憶している。
【0040】
CPU309は、
図3に示したデータ送信プログラム3070aを読み出して実行する。これにより、CPU309は、刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を使用して刻音データを取得し、精度データ生成機能3072a、発振回路305及び分周回路306を使用して精度データを生成し、データ送信機能3073a及び通信部310を使用して精度データを他の機器に送信する。また、CPU309は、ROM307に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、腕時計用バンド30の各構成要素を適宜制御する。
【0041】
通信部310は、CPU309により生成された精度データを他の機器に送信する。また、通信部310は、RAM308に記憶されている精度データを定期的に他の機器に送信してもよいし、RAM308に精度データが記憶される度に当該刻音データを他の機器に送信してもよい。
【0042】
通信部310は、CPU309により生成された環境データを他の機器に更に送信してもよい。また、通信部310は、RAM308に記憶されている環境データを定期的に他の機器に送信してもよいし、RAM308に環境データが記憶される度に当該環境データを他の機器に送信してもよい。
【0043】
図4は、第一実施形態に係る腕時計用バンドの構造の一例を示す図である。腕時計用バンド30は、金属製のバンドであり、バックル311と、複数のセグメント312と、複数のケーブル313とを備える。
【0044】
バックル311は、例えば、ユーザが自身の腕に腕時計100を着脱す場合に腕時計用バンド30の長さを変更するための金具であり、例えば、
図2に示した発振回路305、分周回路306、ROM307、RAM308、CPU309及び通信部310を含むモジュールが収納されている。
【0045】
セグメント312は、他のセグメント312又はバックル311と連結されることにより、金属製のバンドを形成しており、内部に設けられた収納部3121に、例えば、
図2に示した刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を含むモジュールが収納される。
【0046】
ケーブル313は、バックル311に収納されている発振回路305、分周回路306、ROM307、RAM308、CPU309及び通信部310を含むモジュールと、セグメント312に収納されている刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を含むモジュールとを接続している。
【0047】
なお、腕時計用バンド30は、ケーブル313の代わりにフレキシブル回路基板を備えていてもよい。このフレキシブル回路基板は、バックル311に収納されている発振回路305、分周回路306、ROM307、RAM308、CPU309及び通信部310を含むモジュールと、セグメント312に収納されている刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を含むモジュールとを接続する。
【0048】
以上、第一実施形態に係る腕時計用バンド30について説明した。腕時計用バンド30は、腕時計100の内部で発生する刻音を示す刻音データを生成し、刻音データに基づいて、腕時計100が表示している時刻の精度を示す精度データを生成して他の機器に送信する。これにより、腕時計用バンド30は、どのような腕時計についても表示している時刻の精度に関するデータを収集して他の機器に提供することができる。
【0049】
また、腕時計用バンド30は、腕時計100の外部の環境を示す物理量を検出し、物理量を示す環境データを生成する環境センサ304を更に備え、環境データを他の機器に更に送信してもよい。これにより、腕時計用バンド30は、どのような腕時計についても表示している時刻の精度に腕時計100が使用されている環境を対応付けて他の機器に提供することができる。
【0050】
また、刻音センサ301は、腕時計100に取り付けられているバネ棒20に接触しており、腕時計100が備える時計ケース10及びバネ棒20を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出してもよい。これにより、腕時計用バンド30は、時計ケース10の外部で発生した振動を検出してしまうことにより、刻音データが示す刻音の波形にノイズが含まれてしまうことを抑制することができる。
【0051】
また、刻音センサ301は、腕時計100が備える時計ケース10及び空気中を通して伝達されてくる振動を検出することにより、刻音を検出してもよい。これにより、腕時計用バンド30は、必ずしも刻音センサ301をバネ棒20と接触させる必要が無くなるため、製造工程が簡略化され、製造コストが低減される。
【0052】
また、刻音センサ301は、圧電素子であってもよい。これにより、腕時計用バンド30は、バネ棒20の振動を正確に検出し、正確な刻音の波形を示す刻音データを生成することができる。
【0053】
また、刻音センサ301は、マイクロフォンであってもよい。これにより、腕時計用バンド30は、比較的安価な装置によりバネ棒20から伝達されてくる振動を検出するため、製造コストが低減される。
【0054】
[第二実施形態]
図5を参照しながら、第二実施形態に係る腕時計用バンドの一例について説明する。第二実施形態に係る腕時計用バンドは、
図3に示したデータ送信プログラム3070aの代わりに、
図5に示したデータ送信プログラム3070bがROM307に記憶されている。そこで、第二実施形態の説明では、第一実施形態と相違しているデータ送信プログラム3070bを中心に説明し、第一実施形態と重複する事項の説明を適宜省略する。
【0055】
図5は、第二実施形態に係るCPUが実行するデータ送信プログラムの一例を示す図である。
図5に示すように、データ送信プログラム3070bは、データ取得機能3071bと、データ送信機能3072bとを備える。
【0056】
データ取得機能3071bは、刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を使用して生成された刻音データを取得する機能である。また、データ取得機能3071bは、環境センサ304を使用して生成された環境データを更に取得してもよい。また、データ送信機能3072bは、通信部310を使用して刻音データを他の機器に送信する機能してもよい。
【0057】
通信部310は、CPU309により生成された刻音データを他の機器に送信する。また、通信部310は、RAM308に記憶されている刻音データを定期的に他の機器に送信してもよいし、RAM308に刻音データが記憶される度に当該刻音データを他の機器に送信してもよい。
【0058】
以上、第二実施形態に係る腕時計用バンドについて説明した。第二実施形態に係る腕時計用バンドは、腕時計100の内部で発生する刻音を示す刻音データを生成し、刻音データを他の機器に送信する。つまり、第二実施形態に係る腕時計用バンドは、第一実施形態に係る腕時計用バンド30と異なり、精度データを生成して他の機器に送信しないため、精度データを生成するためのハードウェア及びソフトウェアを備えている必要が無い。これにより、第二実施形態に係る腕時計用バンドは、第一実施形態に係る腕時計用バンド30が奏する効果に加えて、簡易な構成により製造コストの低減及びコンパクト化を図ることができる。
【0059】
なお、第一実施形態及び第二実施形態では、
図4に示すように、時計ケース10に金属製の腕時計用バンド30が接続されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、時計ケース10は、
図6又は
図7に示した腕時計用バンドが接続されていてもよい。
【0060】
図6は、他の実施形態に係る腕時計用バンドの一例を示す図である。
図6に示すように、腕時計用バンド30Xは、革製のバンドであり、バックル311Xと、ベルト312Xとを備える。
【0061】
バックル311Xは、例えば、
図2に示した発振回路305、分周回路306、ROM307、RAM308、CPU309及び通信部310を含むモジュールが収納されている。ベルト312Xは、バックル311Xと接続されることにより、革製のバンドを形成しており、内部に設けられた収納部3121Xに、例えば、
図2に示した刻音センサ301、アンプ302及びフィルタ303を含むモジュールが収納される。なお、ベルト312Xは、革ではなく、ウレタン又はシリコンで作製されていてもよい。
【0062】
図7は、他の実施形態に係る腕時計用バンドの一例を示す図である。
図7に示すように、腕時計用バンド30Yは、革製のバンドであり、バックル311Yと、ベルト312Yとを備える。
【0063】
バックル311Yは、例えば、
図2に示した発振回路305、分周回路306、ROM307、RAM308及びCPU309を含むモジュールが収納されている。ベルト312Yは、バックル311Yと接続されることにより、革製のバンドを形成しており、内部に設けられた収納部3121Yに、例えば、
図2に示した刻音センサ301、アンプ302、フィルタ3及び通信部310を含むモジュールが収納される。なお、ベルト312Yは、革ではなく、ウレタン又はシリコンで作製されていてもよい。
【0064】
[第三実施形態]
図8から
図12を参照しながら、第三実施形態に係る腕時計用バンドの一例について説明する。
図8は、第三実施形態に係る腕時計の一例を示す図である。
図8に示すように、腕時計100aは、時計ケース10aと、バネ棒20aと、腕時計用バンド30aとを備える。また、腕時計用バンド30aは、複数のセグメントを備える金属製のバンドであり、エンドピース40aを備える。さらに、腕時計100aは、上述した
図2に示した刻音センサ301と、アンプ302と、フィルタ303と、環境センサ304と、発振回路305と、分周回路306と、ROM307と、RAM308と、CPU309と、通信部310とを備える。
【0065】
時計ケース10aは、機械式ムーブメント、時針、分針、秒針等が収納されている筐体である。バネ棒20aによりエンドピース40aと接続されている。エンドピース40aは、腕時計用バンド30aを構成しているセグメントのうち時計ケース10aに隣接しているセグメントである。
【0066】
図9は、第三実施形態に係るバネ棒の一例を示す図である。
図9に示すように、バネ棒20aは、バネ棒筐体21aと、第二突出部222aと、コイルバネ23aと、密封装置24aとを備える。以下の説明では、
図9から
図22に示したX軸、Y軸及びZ軸を使用する。X軸は、6時の方向を向いている軸である。Y軸は、3時の方向を向いている軸であり、バネ棒20aの長手方向に平行である。Z軸は、X軸及びY軸に平行な軸である。X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標を形成している。
【0067】
バネ棒筐体21aは、中心軸がY軸と一致している円柱形状の筐体であり、第一面211aと、第二面212aと、第一突出部221aとを備える。第一面211aは、-Y方向側に位置するバネ棒筐体21aの底面である。第二面212aは、+Y方向側に位置するバネ棒筐体21aの底面であり、第一面211aと対向している。また、第二面212aは、中心がY軸上に位置している円形の孔212Haが形成されている。第一突出部221aは、第一面211aから第二面212aが位置する方向と反対の方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。すなわち、第一突出部221aは、-Y方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。
図9に示すように、第一突出部221aは、バネ棒筐体21aと一体に形成されている。また、第一突出部221aは、側面から張り出している円形のつば2210aを備える。つば2210aは、バネ棒20aが時計ケース10aに取り付けられた場合、時計ケース10aに接触する。
【0068】
第二突出部222aは、第一面211aに形成されている孔212Haから突出しており、中心軸が第一突出部221aと一致している円柱形状の部材である。第二突出部222aが突出している方向は、第一面211aが位置する方向と反対の方向である。すなわち、第二突出部222aが突出している方向は、+Y方向である。また、第二突出部222aは、側面から張り出している円形のつば2220aを備える。つば2220aは、バネ棒20aが時計ケース10aに取り付けられた場合、時計ケース10aに接触する。さらに、第二突出部222aのうちバネ棒筐体21aの内部に位置している部分は、少なくとも一部のZX平面内の寸法が孔212Haの直径よりも大きくなっている。
【0069】
コイルバネ23aは、回転面がZX平面に平行な螺旋形状のバネである。コイルバネ23aは、バネ棒20aがエンドピース40aに挿入され、第一突出部221a及び第二突出部222aが時計ケース10aに挿入される際に縮められる。また、コイルバネ23aは、第一突出部221a及び第二突出部222aが時計ケース10aに挿入されている状態において、第一突出部221aを-Y方向に押し、第二突出部222aを+Y方向に押すことにより、時計ケース10aとエンドピース40aとを接続する。
【0070】
密封装置24aは、孔212Haと、第二突出部222aとの間を密封するシールである。
【0071】
次に、
図10から
図12を参照しながら、エンドピース40aの構造について説明する。
図10は、第三実施形態に係る腕時計用バンドのエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
図11は、
図10に示したエンドピースのA-A断面を-Y方向側から見た場合の一例を示す図である。
図12は、
図10に示したエンドピースのB-B断面を-X方向側から見た場合の一例を示す図である。
図10から
図12に示すように、エンドピース40aは、筐体41aと、接触部材42aと、刻音センサ43aとを備える。
【0072】
筐体41aは、接触部材42a及び刻音センサ43aを収納しており、バネ棒20aが挿入される。また、
図10及び
図12に示すように、筐体41aとバネ棒20aとの間は、密封装置50aにより密封されてもよい。密封装置50aは、筐体41aとバネ棒20aとの間を密封するシールである。
【0073】
接触部材42aは、一端が筐体41aに接続されており、他端がバネ棒20aに向かって付勢されている弾性部材である。ここで言う弾性部材は、例えば、板バネである。また、接触部材42aは、バネ棒筐体21aに接触している。さらに、
図12に示すように、接触部材42aは、中心軸を通る平面による断面がバネ棒20aに向かって凸となる形状を有していてもよい。例えば、接触部材42は、YZ平面による断面がバネ棒20aに向かって円弧状に曲がっていてもよい。
【0074】
刻音センサ43aは、腕時計100aの内部で発生する刻音を検出し、刻音を示す刻音データを生成する装置であり、接触部材に取り付けられている。また、刻音センサ43aは、例えば、圧電素子であり、
図12に示すように、接触部材42aに全体が接触している。
【0075】
以上、第三実施形態に係る腕時計用バンド30aについて説明した。腕時計用バンド30aが備える刻音センサ43aは、第一面211aと、第一面211aから第二面212aが位置する方向と反対の方向に突出している第一突出部221aとを有するバネ棒筐体21aを備える。これにより、腕時計用バンド30aは、時計ケース10aの内部で発生して時計ケース10aに伝達された刻音による振動をバネ棒筐体21a単体で取得して接触部材42a及び刻音センサ43aに伝達させる。したがって、腕時計用バンド30aは、より正確な刻音を示す刻音データを取得することができる。
【0076】
また、腕時計用バンド30aは、バネ棒20aが収納される筐体41aとバネ棒20aとの間を密封する密封装置50aを備える。これにより、腕時計用バンド30aは、筐体41aとバネ棒20aとの間に腕時計100aを装着しているユーザの汗等の水分が浸入することを抑制することができる。
【0077】
また、腕時計用バンド30aは、孔212Haと第二突出部222aとの間を密封する密封装置24aを備える。これにより、腕時計用バンド30aは、孔212Haと第二突出部222aとの間に腕時計100aを装着しているユーザの汗等の水分が浸入することを抑制することができる。
【0078】
また、腕時計用バンド30aは、バネ棒20aの中心軸を通る平面による断面がバネ棒20aに向かって凸となる形状を有する接触部材42aを備える。これにより、腕時計用バンド30aは、バネ棒20aが挿入される位置に向かって接触部材42aが付勢されている状態でもバネ棒20aを筐体41aに挿入し易くすることができる。すなわち、腕時計用バンド30aは、バネ棒20aが挿入される位置に向かって接触部材42aが付勢されている状態でも容易に組み立てられ得る。
【0079】
第三実施形態では、腕時計用バンド30aが備えるエンドピースとしてエンドピース40aを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、腕時計用バンドが備えるエンドピースとしては、
図13に示したエンドピース40bが挙げられる。
図13は、他の実施形態に係る腕時計用バンドのエンドピースの構造を-Y方向側から見た場合の一例を示す図である。
【0080】
図13に示すように、エンドピース40bは、第一容器411bと、第二容器412bとから組み立てられている筐体41bを備える。筐体41aは、第一容器411bの縁と、第二容器412bの縁とを合わせることにより組み立てられている。第一容器411bと第二容器412bとは、軸44bにより揺動可能な状態で接続されている。なお、第一容器411bと第二容器412bとは、他の態様で組み立てられることにより、筐体41aを形成してもよい。
【0081】
また、腕時計用バンドがエンドピース40bを備える場合、バネ棒20aは、バネ棒筐体21aが第一容器411bの縁と第二容器412bの縁とに挟まれた状態で固定される。この場合、腕時計用バンドは、バネ棒20aが挿入される位置に向かって接触部材42aが強く付勢されている場合、接触部材42aのYZ平面による断面がバネ棒20aに向かって曲がっていない場合等であっても、第一容器411bと第二容器412bとを開いてバネ棒20aを組み込むことを可能にし得る。
【0082】
また、第三実施形態では、腕時計用バンド30aが金属製のバンドである場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、腕時計用バンド30aが革、ウレタン、シリコン等で作製されている場合であっても、例えば、
図11に示したエンドピース40aや
図13に示したエンドピース40bと同様の構成が内蔵されていればよい。
【0083】
また、第三実施形態では、腕時計用バンド30aが時計ケース10aとエンドピース40aとを接続するバネ棒として、第一突出部221aがバネ棒筐体21aと一体に形成されているバネ棒20aを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、腕時計用バンドは、
図14に示したバネ棒20b又は
図15に示したバネ棒20cを備えていてもよい。バネ棒20b及びバネ棒20cの説明では、バネ棒20aと同じ内容の説明を適宜省略する。
【0084】
図14は、他の実施形態に係るバネ棒の構造の一例を示す図である。
図14に示すように、バネ棒20bは、バネ棒筐体21bと、第二突出部222aと、コイルバネ23aと、密封装置24aとを備える。
【0085】
バネ棒筐体21bは、中心軸がY軸と一致している円柱形状の筐体であり、第一面211bと、第二面212bと、第一突出部221bとを備える。第一面211bは、-Y方向側に位置するバネ棒筐体21bの底面である。また、第一面211bは、第一突出部221bと一体に形成されており、バネ棒筐体21bの側面と別体に形成されている。第二面212bは、+Y方向側に位置するバネ棒筐体21bの底面であり、第一面211bと対向している。また、第二面212bは、中心がY軸上に位置している円形の孔212Hbが形成されており、バネ棒筐体21bの側面と一体に形成されている。第一突出部221bは、第一面211bから第二面212bが位置する方向と反対の方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。すなわち、第一突出部221bは、-Y方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。
図14に示すように、第一突出部221bは、バネ棒筐体21bと圧入又は溶接により接続されている。また、第一突出部221bは、側面から張り出している円形のつば2210bを備える。つば2210bは、バネ棒20bが時計ケース10aに取り付けられた場合、時計ケース10aに接触する。
【0086】
第二突出部222aは、第一面211aに形成されている孔212Haから突出しており、中心軸が第一突出部221aと一致している円柱形状の部材である。また、第二突出部222aのうちバネ棒筐体21bの内部に位置している部分は、少なくとも一部のZX平面内の寸法が孔212Hbの直径よりも大きくなっている。
【0087】
図15は、他の実施形態に係るバネ棒の構造の一例を示す図である。
図14に示すように、バネ棒20cは、バネ棒筐体21cと、第二突出部222aと、コイルバネ23aと、密封装置24aとを備える。
【0088】
バネ棒筐体21cは、中心軸がY軸と一致している円柱形状の筐体であり、第一面211cと、第二面212cと、第一突出部221cとを備える。第一面211cは、-Y方向側に位置するバネ棒筐体21cの底面である。また、第一面211cは、第一突出部221cと一体に形成されており、バネ棒筐体21cの側面と別体に形成されている。第二面212cは、+Y方向側に位置するバネ棒筐体21cの底面であり、第一面211cと対向している。また、第二面212cは、中心がY軸上に位置している円形の孔212Hcが形成されており、バネ棒筐体21cの側面と一体に形成されている。第一突出部221cは、第一面211cから第二面212cが位置する方向と反対の方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。すなわち、第一突出部221cは、-Y方向に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。
図15に示すように、第一突出部221cとバネ棒筐体21cとは、両者に形成されたネジ山により接続されている。また、第一突出部221cは、側面から張り出している円形のつば2210cを備える。つば2210cは、バネ棒20cが時計ケース10aに取り付けられた場合、時計ケース10aに接触する。
【0089】
第二突出部222aは、第一面211aに形成されている孔212Haから突出しており、中心軸が第一突出部221aと一致している円柱形状の部材である。また、第二突出部222aのうちバネ棒筐体21cの内部に位置している部分は、少なくとも一部のZX平面内の寸法が孔212Hcの直径よりも大きくなっている。
【0090】
また、第三実施形態では、腕時計用バンド30aが備える接触部材及び刻音センサとして接触部材42a及び刻音センサを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、腕時計用バンドが備える接触部材としては、
図16、
図17、
図18、
図19及び
図20に示した接触部材が挙げられる。
図16から
図20は、他の実施形態に係る接触部材の構造の一例を示す図である。
図16から
図20のいずれかに示した接触部材であっても、上述した接触部材42aと同じ効果を奏する。
図16から
図20のいずれかに示した接触部材及び刻音センサの説明では、上述した接触部材42a及び刻音センサ43aに関する説明と同じ内容の説明を省略する。
【0091】
図16に示したエンドピース40bは、接触部材42bと、刻音センサ43bとを備える。
図16に示すように、接触部材42bは、YZ平面による断面の一部がバネ棒20aに向かって円弧状に曲がっている。また、刻音センサ43bは、一部が接触部材42bに接触しており、それ以外の部分が接触部材42bから離れている。
【0092】
図17に示したエンドピース40cは、接触部材42cと、刻音センサ43cとを備える。
図17に示すように、接触部材42cは、YZ平面による断面の一部がバネ棒20aに向かって一箇所折れ曲がっている。また、刻音センサ43cは、全体が接触部材42cに接触している。
【0093】
図18に示したエンドピース40dは、接触部材42dと、刻音センサ43dとを備える。
図18に示すように、接触部材42dは、YZ平面による断面の一部がバネ棒20aに向かって一箇所折れ曲がっている。また、刻音センサ43dは、一部が接触部材42dに接触しており、それ以外の部分が接触部材42dから離れている。
【0094】
図19に示したエンドピース40eは、接触部材42eと、刻音センサ43eとを備える。
図19に示すように、接触部材42eは、YZ平面による断面の一部がバネ棒20aに向かって二箇所曲がっている。また、刻音センサ43eは、全体が接触部材42eに接触している。
【0095】
図20に示したエンドピース40fは、接触部材42fと、刻音センサ43fとを備える。
図20に示すように、接触部材42fは、YZ平面による断面の一部がバネ棒20aに向かって二箇所曲がっている。また、刻音センサ43fは、一部が接触部材42fに接触しており、それ以外の部分が接触部材42fから離れている。
【0096】
【0097】
図21は、第四実施形態に係る時計ケースとエンドピースとがバネ棒により接続される前におけるバネ棒及びエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
図21に示すように、バネ棒20gは、バネ棒筐体21gと、突出部222gと、密封装置24gとを備える。
【0098】
バネ棒筐体21gは、中心軸がY軸と一致しており、ZX平面に平行な底面を有する円柱形状の筐体である。バネ棒筐体21gの底面には、中心がY軸上に位置している円形の突出孔212Hgを備える。また、バネ棒筐体21gの側面には、側面にバネ挿入孔25gが形成されている。
【0099】
突出部222gは、突出孔212Hgからバネ棒筐体21gの外部に突出しており、中心軸がY軸と一致している円柱形状の部材である。また、突出部222gは、バネ棒筐体21gの内部に位置している部分は、少なくとも一部のZX平面内の寸法が突出孔212Hgの直径よりも大きくなっている。さらに、突出部222gは、側面から張り出している円形のつば2220gを備える。つば2220gは、バネ棒20gが時計ケース10aに取り付けられた場合、時計ケース10aに接触する。
【0100】
エンドピース40gは、筐体41gと、バネ42gと、刻音センサ43gとを備える。
【0101】
筐体41gは、バネ42g及び刻音センサ43gを収納しており、バネ棒20gが挿入される。また、筐体41gは、
図13に示したように、第一容器と第二容器とから構成されていることが好ましい。さらに、
図21に示すように、筐体41gとバネ棒20gとの間は、密封装置50gにより密封されてもよい。密封装置50gは、筐体41gとバネ棒20gとの間を密封するシールである。
【0102】
バネ42gは、一端が筐体41gに接続されており、他端がバネ挿入孔25gに挿入され、かつ、突出部222gをバネ棒筐体21gの外側に向かって押している弾性部材である。ここで言う弾性部材は、例えば、板バネである。
図22は、第四実施形態に係る時計ケースとエンドピースとがバネ棒により接続される際におけるバネ棒及びエンドピースの構造を+Z方向側から見た場合の一例を示す図である。
図22に示すように、バネ42gは、時計ケース10aとエンドピース40gとがバネ棒20gにより接続される際、バネ挿入孔25g側が内側に撓む。刻音センサ43gは、バネ42gに取り付けられている。
【0103】
以上、第四実施形態に係る腕時計用バンドについて説明した。腕時計用バンドが備える刻音センサ43gは、バネ42gに取り付けられている。これにより、腕時計用バンドは、時計ケース10aの内部で発生して時計ケース10aに伝達された刻音による振動を突出部222g単体で取得してバネ42g及び刻音センサ43gに伝達させる。したがって、腕時計用バンドは、より正確な刻音を示す刻音データを取得することができる。
【0104】
また、腕時計用バンドは、バネ棒20gが収納される筐体41gとバネ棒20gとの間を密封する密封装置50gを備える。これにより、腕時計用バンドは、筐体41gとバネ棒20gとの間に腕時計を装着しているユーザの汗等の水分が浸入することを抑制することができる。
【0105】
また、腕時計用バンドは、突出孔212Hgと突出部222gとの間を密封する密封装置24gを備える。これにより、腕時計用バンドは、突出孔212Hgと突出部222gとの間に腕時計を装着しているユーザの汗等の水分が浸入することを抑制することができる。
【0106】
また、第一実施形態及び第二実施形態で説明したプログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0107】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の組合せ、変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0108】
100,100a…腕時計、10,10a…時計ケース、20,20a,20b,20c,20g…バネ棒、21a,21b,21c,21g…バネ棒筐体、23…コイルバネ、24a,24g…密封装置、30,30a,30X,30Y…腕時計用バンド、301…刻音センサ、302…アンプ、303…フィルタ、304…環境センサ、305…発振回路、306…分周回路、307…ROM、308…RAM、309…CPU、310…通信部、3070a,3070b…データ送信プログラム、3071a,3071b…データ取得機能、3072a…精度データ生成機能、3072b,3073a…データ送信機能、311,311X,311Y…バックル、312…セグメント、312X,312Y…ベルト、313…ケーブル、3121,3121X,3121Y…収納部、40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g…エンドピース、41a,41b,41g…筐体、42a,42b,42c,42d,42e,42f…接触部材、42g…バネ、43a,43b,43c,43d,43e,43f,43g…刻音センサ、44b…軸、50a,50g…密封装置