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特許7427451情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240129BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004007
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021111241
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】降矢 和宏
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 衣理
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116395(JP,A)
【文献】特開2018-124702(JP,A)
【文献】特開2018-067266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳の病気が発症したことがある複数のユーザのバイタルデータおよび、各ユーザが摂取した食事を撮影した画像から食事メニューをそれぞれ特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして収集するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として収集する収集部と、
前記収集部によって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記バイタルデータおよび前記食事データを用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習部と、
特定のユーザのバイタルデータおよび、前記特定のユーザが摂取した食事メニューを特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、前記学習部によって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記収集部は、前記バイタルデータ、前記食事データおよび前記疾患情報を収集するとともに、前記複数のユーザの脳波に関する情報、血液に関する情報、活動に関する情報、発話に関する音声情報のうち、いずれか一つまたは複数をさらに収集し、
前記学習部は、前記収集部によって収集された前記バイタルデータ、前記食事データ、前記疾患情報、前記脳波に関する情報、前記血液に関する情報、前記活動に関する情報および前記音声情報のうち、いずれか一つまたは複数を用いて、前記モデルを学習することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置によって実行される発症確率判定方法であって、
脳の病気が発症したことがある複数のユーザのバイタルデータおよび、各ユーザが摂取した食事を撮影した画像から食事メニューをそれぞれ特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして収集するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として収集する収集工程と、
前記収集工程によって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記バイタルデータおよび前記食事データを用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習工程と、
特定のユーザのバイタルデータおよび、前記特定のユーザが摂取した食事メニューを特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、前記学習工程によって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定工程と、
前記判定工程によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力工程と
を含むことを特徴とする発症確率判定方法。
【請求項4】
脳の病気が発症したことがある複数のユーザのバイタルデータおよび、各ユーザが摂取した食事を撮影した画像から食事メニューをそれぞれ特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして収集するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として収集する収集ステップと、
前記収集ステップによって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記バイタルデータおよび前記食事データを用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習ステップと、
特定のユーザのバイタルデータおよび、前記特定のユーザが摂取した食事メニューを特定し、特定した食事メニューに対応する栄養価を食事データとして取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、前記学習ステップによって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする発症確率判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞や脳腫瘍等の脳の病気は再発しやすい病気である。また、再発すると重症化しやすく、命に関わることも少なくない。また、発症後すぐのリハビリで後遺症を軽くすることができることが知られている。このため、脳の病気の発症を早期発見することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4441603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、脳の病気の発症を早期に発見することが難しいという課題があった。つまり、一度脳の病気が発症した場合には、脳の病気が再発する可能性が高いにも関わらず、脳の病気の発症を早期発見が容易でないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、特定のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定部と、前記判定部によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の発症確率判定方法は、情報処理装置によって実行される発症確率判定方法であって、特定のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定工程と、前記判定工程によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の発症確率判定プログラムは、特定のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記バイタルデータおよび前記食事データを入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定ステップと、前記判定ステップによって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脳の病気の発症を早期に発見することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、食事データ記憶部に記憶されたデータの一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置による発症確率判定処理の概要を説明する図である。
図4図4は、端末装置で表示される発症確率の画面例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、発症確率判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムが限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
以下の実施の形態では、第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成、情報処理装置10の処理の流れを順に説明し、最後に第1の実施形態による効果を説明する。
【0012】
[情報処理装置の構成]
まず、図1を用いて、情報処理装置10の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置10は、複数の端末装置20Aおよび端末装置20Bとネットワーク30を介して接続されている。なお、端末装置20Aおよび端末装置20Bについて、特に区別なく説明する場合には、端末装置20と記載する。
【0013】
ここで端末装置20Aおよび端末装置20Bは、例えば、スマートフォン、デスクトップ型PC、タブレット型PC、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。
【0014】
また、図1に示すように、この情報処理装置10は、通信処理部11、制御部12および記憶部13を有する。情報処理装置10は、脳腫瘍や脳梗塞等の脳の病気について発症経験がある複数ユーザのバイタルデータや食事データと、その後の脳の病気の再発状況を複数の端末装置20から取得し、取得したデータを用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを学習する。
【0015】
また、情報処理装置10は、脳の病気について発症経験がある特定のユーザの日々のバイタルデータや食事データを端末装置20から取得し、該特定のユーザからの脳の病気の発症確率の判定要求を受け付けた場合には、該特定のユーザのバイタルデータや食事データを入力データとして、学習済みモデルを用いて、該特定のユーザからの脳の病気の発症確率を判定し、端末装置20に出力する。以下に情報処理装置10が有する各部の処理を説明する。
【0016】
通信処理部11は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信処理部11は、端末装置20を所持するユーザのバイタルデータや食事データを端末装置20から受信する。
【0017】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。記憶部13は、食事データ記憶部13a、ユーザデータ記憶部13bおよびモデル記憶部13cを有する。例えば、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
【0018】
食事データ記憶部13aは、食事の栄養価に関する情報を記憶する。例えば、食事データ記憶部13aは、図2に例示するように、食事のメニューごとに、「たんぱく質」、「エネルギー」および「塩分」を記憶する。なお、図2の例は、あくまで一例であり、食事の栄養価として、たんぱく質、エネルギーおよび塩分以外にも、その他糖分等の栄養価に関する情報を記憶していてもよい。
【0019】
ユーザデータ記憶部13bは、端末装置20を保持するユーザの各種データを記憶する。例えば、ユーザデータ記憶部13bは、後述する取得部12cが取得したバイタルデータや食事データをユーザごとに記憶する。モデル記憶部13cは、学習部12bによって学習されたモデルを記憶する。
【0020】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、収集部12a、学習部12b、取得部12c、判定部12dおよび出力部12eを有する。ここで、制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。
【0021】
制御部12の各機能部によって実行される処理は、脳の病気を発症する確率を判定するためのモデルを学習する学習フェーズと、学習したモデルを用いてユーザが脳の病気を発症する確率を判定する発症確率判定フェーズとに大別される。制御部12における収集部12aおよび学習部12bは、学習フェーズにおける処理を行う機能部であり、制御部12における取得部12c、判定部12dおよび出力部12eは、発症確率判定フェーズにおける処理を行う機能部である。
【0022】
なお、第1の実施形態に係る情報処理装置10は、学習フェーズにおける学習処理および発症確率判定フェーズにおける発症確率判定処理の両方を行う装置として説明するが、これに限定されるものではなく、発症確率判定フェーズにおける発症確率判定処理のみを行うようにしてもよい。この場合には、他の装置が学習したモデルを用いて、情報処理装置10が脳の病気を発症する確率を判定する。以下では、制御部12における各機能部について説明する。
【0023】
収集部12aは、複数のユーザのバイタルデータおよび食事データと、各ユーザが脳の病気を発症したか否かを示す疾患情報とを収集する。具体的には、収集部12aは、脳の病気が発症したことがある複数のユーザのバイタルデータおよび食事データを収集するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として収集する。
【0024】
例えば、収集部12aは、バイタルデータとして、所定期間におけるユーザの血圧および心拍のデータを端末装置20から収集する。収集部12aは、例えば、ユーザが装着しているウェアラブルデバイスで計測された血圧や心拍のデータを、端末装置20を介して収集する。
【0025】
また、例えば、収集部12aは、食事データとして、所定期間におけるユーザが摂取した食事の情報を端末装置20から収集する。なお、ユーザが摂取した食事のメニューの入力について、ユーザが端末装置20にて手動で入力してもよいし、ユーザが端末装置20で食事の画像を撮影して情報処理装置10に送信し、情報処理装置10が撮影した画像から食事のメニューを特定するようにしてもよい。また、収集部12aは、食事データから食事メニューを特定した場合に、食事データ記憶部13aを参照し、特定した食事メニューに対応する栄養価を取得するようにしてもよい。
【0026】
また、収集部12aは、バイタルデータ、食事データおよび疾患情報を収集するとともに、複数のユーザの脳波に関する情報、血液に関する情報、活動に関する情報、発話に関する音声情報のうち、いずれか一つまたは複数をさらに収集してもよい。例えば、収集部12aは、病院の検査等で得られた各ユーザの血液データや脳波データを収集する。また、収集部12aは、端末装置20で自動または手動で入力されたユーザの運動による活動量、運動時の水分摂取量、運動時の酸素量を取得してもよい。また、収集部12aは、端末装置20のマイクから入力されたユーザの音声データを収集し、音声データから言葉のゆらぎや呂律が回っているかどうかの評価値を取得してもよい。
【0027】
学習部12bは、収集部12aによって収集されたバイタルデータ、食事データおよび疾患情報を用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを学習する。例えば、学習部12bは、収集部12aによって収集された疾患情報(脳の病気が再発したか否かと再発した時期)を正解ラベルとして、バイタルデータおよび食事データを用いて、モデルを教師あり学習により学習する。
【0028】
例えば、学習部12bは、バイタルデータとして、所定期間におけるユーザの血圧および心拍のデータを用いて、モデルの学習を行う。また、例えば、学習部12bは、食事データとして、食事メニューに対応するたんぱく質、エネルギー、塩分等の栄養価を用いて、モデルの学習を行う。
【0029】
また、学習部12bは、収集部12aによって収集されたバイタルデータ、食事データとともに、疾患情報、脳波に関する情報、血液に関する情報、活動に関する情報および音声情報のうち、いずれか一つまたは複数を用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを学習するようにしてもよい。例えば、学習部12bは、血液データや脳波データ、ユーザの運動による活動量、運動時の水分摂取量、運動時の酸素量、言葉のゆらぎや呂律が回っているかどうかの評価値等を用いて、モデルの学習を行う。なお、学習の手法については、既存の手法のうち、どのような手法を適用してもよい。
【0030】
学習部12bは、モデルの学習を行った後、学習したモデルを学習済みモデルとしてモデル記憶部13cに格納する。
【0031】
取得部12cは、特定のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得する。例えば、取得部12cは、脳の病気が発症したことがある発症確率判定対象のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得し、取得したデータをユーザデータ記憶部13bに格納する。
【0032】
例えば、取得部12cは、バイタルデータとして、所定期間におけるユーザの血圧および心拍のデータを端末装置20から取得する。取得部12cは、例えば、ユーザが装着しているウェアラブルデバイスで計測された血圧や心拍のデータを、端末装置20を介して取得する。
【0033】
また、例えば、取得部12cは、食事データとして、所定期間におけるユーザが摂取した食事の情報を端末装置20から収集する。なお、ユーザが摂取した食事のメニューの入力について、ユーザが端末装置20にて手動で入力してもよいし、ユーザが端末装置20で食事の画像を撮影して情報処理装置10に送信し、情報処理装置10が撮影した画像から食事のメニューを特定するようにしてもよい。また、取得部12cは、食事データから食事メニューを特定した場合に、食事データ記憶部13aを参照し、特定した食事メニューに対応する栄養価を取得するようにしてもよい。
【0034】
また、取得部12cは、バイタルデータ、食事データおよび疾患情報を収集するとともに、ユーザの脳波に関する情報、血液に関する情報、活動に関する情報、発話に関する音声情報のうち、いずれか一つまたは複数をさらに取得してもよい。例えば、取得部12cは、病院の検査等で得られた各ユーザの血液データや脳波データを取得する。また、取得部12cは、端末装置20で自動または手動で入力されたユーザの運動による活動量、運動時の水分摂取量、運動時の酸素量を取得してもよい。また、取得部12cは、端末装置20のマイクから入力されたユーザの音声データを収集し、音声データから言葉のゆらぎや呂律が回っているかどうかの評価値を取得してもよい。
【0035】
判定部12dは、取得部12cによって取得されたバイタルデータおよび食事データを入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する。具体的には、判定部12dは、モデル記憶部13cから学習部12bによって学習された学習済みモデルを読み出し、読み出した学習済みモデルにバイタルデータや食事データを入力し、発症確率を算出する。
【0036】
例えば、判定部12dは、バイタルデータとして、所定期間におけるユーザの血圧および心拍のデータを学習済みモデルに入力する。また、判定部12dは、食事データとして、食事メニューに対応するたんぱく質、エネルギー、塩分等の栄養価を学習済みモデルに入力する。
【0037】
また、判定部12dは、収集部12aによって収集されたバイタルデータ、食事データとともに、疾患情報、脳波に関する情報、血液に関する情報、活動に関する情報および音声情報のうち、いずれか一つまたは複数を学習済みモデルに入力してもよい。
【0038】
出力部12eは、判定部12dによって判定された特定のユーザが脳の病気を発症する確率を端末装置20に出力する。また、出力部12eは、ユーザの脳の病気の発症確率を出力するとともに、食事データを基に決定された生活改善メニューを出力するようにしてもよい。例えば、出力部12eは、食事データからユーザの栄養価の偏り等から、不足している栄養や、運動不足等を分析し、分析結果に基づいて、生活改善メニューを出力する。なお、分析の手法については、既存の分析のうち、どのような手法を適用してもよい。
【0039】
ここで、図3を用いて、情報処理装置による発症確率判定処理の概要を説明する。図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置による発症確率判定処理の概要を説明する図である。図3に例示するように、端末装置(ユーザ端末)20を有するユーザが、端末装置20を操作して、食事データやバイタルデータ等のユーザの各種データを情報処理装置10に送信し、脳の病気の発症確率を要求する。情報処理装置10は、端末装置20から取得した食事データやバイタルデータ等の各種データを学習モデルに入力し、ユーザの発症確率を算出する。そして、情報処理装置10は、ユーザの脳の病気の発症確率と生活改善メニューを端末装置20に出力する。
【0040】
また、ここで、図4を用いて、端末装置20で表示される発症確率の画面例について説明する。図4は、端末装置で表示される発症確率の画面例を示す図である。図4に例示するように、端末装置20は、発症確率の推移を示すグラフの画面を表示する。なお、八所確率の表示態様については、どのようなものであってよく、これに限定されるものではない。
【0041】
[情報処理装置の処理手順]
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置10による処理手順の例を説明する。図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0042】
図5に例示するように、情報処理装置10の取得部12cは、端末装置20から取得した食事データやバイタルデータ等のユーザの各種データを取得すると(ステップS101肯定)、ユーザの各種データをユーザデータ記憶部13bに格納する(ステップS102)。
【0043】
そして、判定部12dは、モデル記憶部13cから学習部12bによって学習された学習済みモデルを読み出し、読み出した学習済みモデルにバイタルデータや食事データを入力し(ステップS103)、発症確率を算出する(ステップS104)。その後、出力部12eは、判定部12dによって算出された発症確率を端末装置20に出力する(ステップS105)。
【0044】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態に係る情報処理装置10は、特定のユーザのバイタルデータおよび食事データを取得し、取得したバイタルデータおよび食事データを入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定し、判定した特定のユーザが脳の病気を発症する確率を出力する。このため、情報処理装置10は、ユーザのバイタルデータおよび食事データを定期的に取得し、脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するので、脳の病気の発症を早期に発見することが可能である。
【0045】
例えば、情報処理装置10では、脳腫瘍や脳梗塞等の脳の病気について発症経験がある複数ユーザのバイタルデータや食事データと、その後の脳の病気の再発状況を複数の端末装置20から取得し、取得したデータを用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを学習する。このため、情報処理装置10は、脳の病気について発症経験がある複数ユーザのバイタルデータや食事データを用いて、発症経験があるユーザが脳の病気を再発する確率を判定するためのモデルを精度よく学習することが可能である。
【0046】
さらに、情報処理装置10は、発症経験のある特定のユーザの日々のバイタルデータや食事データを端末装置20から取得する。そして、情報処理装置10は、該特定のユーザからの脳の病気の発症確率の判定要求を受け付けた場合には、該特定のユーザのバイタルデータや食事データを入力データとして、学習したモデルを用いて、該特定のユーザからの脳の病気を再発する確率を判定し、端末装置20に出力する。このため、情報処理装置10は、脳の病気の再発を早期に発見することが可能である。
【0047】
(システム構成等)
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0048】
また、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0049】
(プログラム)
また、上記実施形態において説明した情報処理装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した発症確率判定プログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが発症確率判定プログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる発症確率判定プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された発症確率判定プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0050】
図6は、発症確率判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図6に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0051】
メモリ1010は、図6に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、図6に例示するように、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、図6に例示するように、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、図6に例示するように、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0052】
ここで、図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、発症確率判定プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0053】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0054】
なお、発症確率判定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、発症確率判定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0055】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
10 情報処理装置
11 通信処理部
12 制御部
12a 収集部
12b 学習部
12c 取得部
12d 判定部
12e 出力部
13 記憶部
13a 食事データ記憶部
13b ユーザデータ記憶部
13c モデル記憶部
20A、20B 端末装置
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6