(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240129BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/00 N
A61B5/00 G
(21)【出願番号】P 2020004025
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】降矢 和宏
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 衣理
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016235(JP,A)
【文献】特開2016-064125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳の病気が発症したことがある複数のユーザの発汗状況として、外気温度、外気湿度、各ユーザの表皮温度、各ユーザの体重、および、各ユーザの体温の情報を収集し、収集した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として、前記各ユーザの端末装置から所定の時間間隔で収集する収集部と、
前記収集部によって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記発汗状況を用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習部と、
前記特定のユーザの発汗状況
として、外気温度、外気湿度、前記特定のユーザの表皮温度、前記特定のユーザの体重、および、前記特定のユーザの体温を取得し、取得した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、前記特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定する推定部と、
前記推定部によって推定された発汗状況を入力データとして、
前記学習部によって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置によって実行される発症確率判定方法であって、
脳の病気が発症したことがある複数のユーザの発汗状況として、前記発汗状況とともに、外気温度、外気湿度、特定のユーザの表皮温度、各ユーザの体重、および、各ユーザの体温の情報を収集し、収集した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、前記特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として、前記各ユーザの端末装置から所定の時間間隔で収集する収集工程と、
前記収集工程によって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記発汗状況を用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習工程と、
前記特定のユーザの発汗状況
として、外気温度、外気湿度、前記特定のユーザの表皮温度、前記特定のユーザの体重、および、前記特定のユーザの体温を取得し、取得した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、前記特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定する推定工程と、
前記推定工程によって推定された発汗状況を入力データとして、
前記学習工程によって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定工程と、
前記判定工程によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力工程と
を含むことを特徴とする発症確率判定方法。
【請求項3】
脳の病気が発症したことがある複数のユーザの発汗状況として、前記発汗状況とともに、外気温度、外気湿度、特定のユーザの表皮温度、各ユーザの体重、および、各ユーザの体温の情報を収集し、収集した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、前記特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として、前記各ユーザの端末装置から所定の時間間隔で収集する収集ステップと、
前記収集ステップによって収集された疾患情報を正解ラベルとして、前記発汗状況を用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを教師あり学習により学習する学習ステップと、
前記特定のユーザの発汗状況
として、外気温度、外気湿度、前記特定のユーザの表皮温度、前記特定のユーザの体重、および、前記特定のユーザの体温を取得し、取得した情報を用いて、前記外気温度および前記外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、前記特定のユーザの表皮温度および体温の数値との乖離を基に、前記特定のユーザについて、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定する推定ステップと、
前記推定ステップによって推定された発汗状況を入力データとして、
前記学習ステップによって学習されたモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする発症確率判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞や脳腫瘍等の脳の病気は再発しやすい病気である。また、再発すると重症化しやすく、命に関わることも少なくない。また、発症後すぐのリハビリで後遺症を軽くすることができることが知られている。このため、脳の病気の発症を早期発見することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、脳の病気の再発を早期に警告することが難しいという課題があった。つまり、一度脳の病気が発症した場合には、脳の病気が再発する可能性が高いにも関わらず、脳の病気の発症を早期発見が容易でないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、特定のユーザの発汗状況を推定する推定部と、前記推定部によって推定された発汗状況を入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定部と、前記判定部によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の発症確率判定方法は、情報処理装置によって実行される発症確率判定方法であって、特定のユーザの発汗状況を推定する推定工程と、前記推定工程によって推定された発汗状況を入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定工程と、前記判定工程によって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の発症確率判定プログラムは、特定のユーザの発汗状況を推定する推定ステップと、前記推定ステップによって推定された発汗状況を入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する判定ステップと、前記判定ステップによって判定された前記特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脳の病気の再発を早期に警告することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、ユーザデータ記憶部に記憶されたデータの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置による発症確率判定処理の概要を説明する図である。
【
図4】
図4は、端末装置で表示される再発アラートの画面例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、発症確率判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る情報処理装置、発症確率判定方法および発症確率判定プログラムが限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
以下の実施の形態では、第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成、情報処理装置10の処理の流れを順に説明し、最後に第1の実施形態による効果を説明する。
【0012】
[情報処理装置の構成]
まず、
図1を用いて、情報処理装置10の構成を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理装置10は、複数の端末装置20Aおよび端末装置20Bとネットワーク40を介して接続されている。また、端末装置20Aは、端末装置20Aを所有するユーザが装着しているウェアラブルデバイス30Aと近距離通信を行い、端末装置20Bは、端末装置20Bを所有するユーザが装着しているウェアラブルデバイス30Bと近距離通信を行う。なお、端末装置20A、20Bと、ウェアラブルデバイス30A、30Bについて、特に区別なく説明する場合には、端末装置20、ウェアラブルデバイス30と記載する。
【0013】
ここで端末装置20Aおよび端末装置20Bは、例えば、スマートフォン、デスクトップ型PC、タブレット型PC、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。
【0014】
ウェアラブルデバイス30Aおよびウェアラブルデバイス30Bは、例えば、腕時計型のデバイス、着衣型のデバイス、眼鏡型のデバイス等のユーザの腕や上半身等の人体に装着する端末である。ウェアラブルデバイス30Aおよびウェアラブルデバイス30Bは、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いて近くの端末装置20A、20Bまでセンサで取得した各種情報を送信する。そして、端末装置20A、20Bは、ウェアラブルデバイス30A、30Bから受信した情報をネットワーク40を介して情報処理装置10に送る。
【0015】
また、
図1に示すように、この情報処理装置10は、通信処理部11、制御部12および記憶部13を有する。情報処理装置10は、脳腫瘍や脳梗塞等の脳の病気について発症経験がある複数ユーザの表皮温度(皮膚温度)や外気温度、その後の脳の病気の再発状況を複数の端末装置20から取得し、取得したデータを用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを学習する。
【0016】
また、情報処理装置10は、脳の病気について発症経験がある特定のユーザの日々の表皮温度や体温、体重を端末装置20から取得し、該特定のユーザの発汗状況を推定し、推定した発汗状況を入力データとして、学習済みモデルを用いて、該特定のユーザからの脳の病気の発症確率を判定し、発症確率が所定の閾値以上である場合には、再発のアラートを端末装置20に出力する。以下に情報処理装置10が有する各部の処理を説明する。
【0017】
通信処理部11は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信処理部11は、端末装置20を所持するユーザの情報や、ユーザの環境の情報を端末装置20から受信する。
【0018】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。記憶部13は、ユーザデータ記憶部13aおよびモデル記憶部13bを有する。例えば、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
【0019】
ユーザデータ記憶部13aは、端末装置20を保持するユーザの各種データを記憶する。例えば、ユーザデータ記憶部13aは、後述する推定部12cが取得した外気温度、外気湿度、表皮温度、体重、体温をユーザごとに記憶する。例えば、ユーザデータ記憶部13aは、
図2に例示するように、ユーザごとに、データを取得した「時間」、「外気温度」、「外気湿度」、「表皮温度」、「体温」および「体重」を記憶する。また、モデル記憶部13cは、学習部12bによって学習されたモデルを記憶する。
【0020】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するが、特に関連するものとしては、収集部12a、学習部12b、推定部12c、判定部12dおよび出力部12eを有する。ここで、制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。
【0021】
制御部12の各機能部によって実行される処理は、脳の病気を発症する確率を判定するためのモデルを学習する学習フェーズと、学習したモデルを用いてユーザが脳の病気を発症する確率を判定する発症確率判定フェーズとに大別される。制御部12における収集部12aおよび学習部12bは、学習フェーズにおける処理を行う機能部であり、制御部12における推定部12c、判定部12dおよび出力部12eは、発症確率判定フェーズにおける処理を行う機能部である。
【0022】
なお、第1の実施形態に係る情報処理装置10は、学習フェーズにおける学習処理および発症確率判定フェーズにおける発症確率判定処理の両方を行う装置として説明するが、これに限定されるものではなく、発症確率判定フェーズにおける発症確率判定処理のみを行うようにしてもよい。この場合には、他の装置が学習したモデルを用いて、情報処理装置10が脳の病気を発症する確率を判定する。以下では、制御部12における各機能部について説明する。
【0023】
収集部12aは、複数のユーザの発汗状況と、各ユーザが脳の病気を発症したか否かを示す疾患情報とを収集する。具体的には、収集部12aは、脳の病気が発症したことがある複数のユーザの発汗状況を収集するとともに、各ユーザの脳の病気が再発したか否かと再発した時期を疾患情報として収集する。
【0024】
また、例えば、収集部12aは、複数のユーザの発汗状況とともに、外気温度、外気湿度、各ユーザの表皮温度、各ユーザの体重、各ユーザの体温のうち、いずれか一つまたは複数の情報を端末装置20から収集するようにしてもよい。また、収集部12aは、外気温度、外気湿度、各ユーザの表皮温度、各ユーザの体重、各ユーザの体温のいずれか一つまたは複数を用いて、後述する推定部12cと同様に発汗状況を推定するようにしてもよい。
【0025】
学習部12bは、収集部12aによって収集された発汗状況を用いて、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを学習する。例えば、学習部12bは、収集部12aによって収集された疾患情報(脳の病気が再発したか否かと再発した時期)を正解ラベルとして、発汗状況を用いて、モデルを教師あり学習により学習する。
【0026】
また、学習部12bは、収集部12aによって収集された発汗状況とともに、外気温度、外気湿度、表皮温度、体重、体温のうち、いずれか一つまたは複数の情報を用いて、モデルを学習するようにしてもよい。なお、学習の手法については、既存の手法のうち、どのような手法を適用してもよい。学習部12bは、モデルの学習を行った後、学習したモデルを学習済みモデルとしてモデル記憶部13cに格納する。
【0027】
推定部12cは、特定のユーザの発汗状況を推定する。例えば、推定部12cは、外気温度、外気湿度、特定のユーザの表皮温度、特定のユーザの体重、特定のユーザの体温のうち、いずれか一つまたは複数の情報を取得し、取得した情報を用いて、特定のユーザの発汗状況を推定し、取得したデータをユーザデータ記憶部13aに格納する。
【0028】
例えば、推定部12cは、発汗状況として、外気温度、外気湿度、表皮温度および体温を基に、正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定してもよい。つまり、推定部12cは、例えば、外気温度および外気湿度に対して、通常であればこれくらいの表皮温度および体温であろうという正常値と、実際の表皮温度および体温の数値とに乖離があればあるほど、異常な発汗状況であると推定する。なお、発汗状況の推定は、どのようは方法を適用してもよい。また、例えば、推定部12cは、体重の変化から発汗量そのものを計算し、計算した発汗量から正常な発汗状況であるか、もしくは異常な発汗状況であるかを示すスコアを推定してもよい。
【0029】
判定部12dは、推定部12cによって推定された発汗状況を入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する。例えば、判定部12dは、モデル記憶部13cから学習部12bによって学習された学習済みモデルを読み出し、読み出した学習済みモデルに発汗状況のスコアを入力し、発症確率を算出する。
【0030】
また、判定部12dは、発汗状況とともに、推定部12cによって取得された外気温度、外気湿度、表皮温度、体重、体温のうち、いずれか一つまたは複数の情報を入力データとして、学習済みモデルに入力し、特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定するようにしてもよい。
【0031】
出力部12eは、判定部12dによって判定された特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する。例えば、出力部12eは、判定部12dによって判定された特定のユーザが脳の病気を発症する確率が第一の閾値以上である場合には、端末装置20に脳梗塞の再発の恐れがある旨のメッセージが表示された画面を出力する。また、出力部12eは、判定部12dによって判定された発症確率が、第一の閾値よりも大きい第二の閾値以上である場合には、緊急事態として、救急車を呼びだしたり、医者に対して自動的に緊急事態であることを通知したりしててもよい。
【0032】
ここで、
図3を用いて、情報処理装置10による発症確率判定処理の概要を説明する。
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置による発症確率判定処理の概要を説明する図である。
図3に例示するように、端末装置20は、ウェアラブルデバイス30から定期的に外気温度、外気湿度、ユーザの表皮温度、ユーザの体温等の情報を取得する。また、端末装置20は、手動または自動の入力によりユーザの体重等の情報を取得する。そして、端末装置20は、所定の時間間隔で、外気温度、外気湿度、表皮温度、体温および体重の情報を情報処理装置10に送信する(
図3の(1)参照)。
【0033】
続いて、情報処理装置10は、受信した情報を基にユーザの発汗状況を推定し(
図3の(2)参照)、推定した発汗状況や各種データを学習済みモデルに入力し、ユーザの発症確率を算出する。そして、情報処理装置10は、ユーザの発症確率が所定の閾値以上である場合には、端末装置20に対して、再発の可能性を報知するアラートを出力する(
図3の(3)参照)。
【0034】
また、ここで、
図4を用いて、端末装置20で表示される再発アラートの画面例について説明する。
図4は、端末装置で表示される再発アラートの画面例を示す図である。
図4に例示するように、端末装置20は、脳梗塞の再発の恐れがあることを警告するメッセージと、再発確率の推移を示すグラフの画面を表示する。なお、再発を警告するメッセージや、発症確率の表示態様については、どのようなものであってよく、これに限定されるものではない。
【0035】
[情報処理装置の処理手順]
次に、
図5を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置10による処理手順の例を説明する。
図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0036】
図5に例示するように、情報処理装置10の推定部12cは、端末装置20から取得したに外気温度、外気湿度、ユーザの表皮温度、ユーザの体温、体重等のユーザの各種データを取得すると(ステップS101肯定)、ユーザの各種データを用いて、ユーザの発汗状況を推定する(ステップS102)。
【0037】
そして、判定部12dは、モデル記憶部13cから学習部12bによって学習された学習済みモデルを読み出し、読み出した学習済みモデルに発汗状況や各種データを入力し(ステップS103)、発症確率を算出する(ステップS104)。その後、出力部12eは、判定部12dによって算出された発症確率が所定の閾値以上であるかを判定する(ステップS105)。
【0038】
この結果、出力部12eは、発症確率が所定の閾値以上であると判定した場合には(ステップS105肯定)、脳の病気について再発のアラートを端末装置20に出力する(ステップS106)。また、出力部12eは、発症確率が所定の閾値以上でないと判定した場合には(ステップS105否定)、そのまま処理を終了する。
【0039】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態に係る情報処理装置10は、特定のユーザの発汗状況を推定し、推定した発汗状況を入力データとして、ユーザが脳の病気を発症する確率を判定するモデルを用いて、特定のユーザが脳の病気を発症する確率を判定する。そして、情報処理装置10は、判定した特定のユーザが脳の病気を発症する確率が所定の閾値以上である場合には、アラートを出力する。このため、情報処理装置10は、脳の病気の再発を早期に警告することが可能である。
【0040】
例えば、情報処理装置10では、脳腫瘍や脳梗塞等の脳の病気について発症経験がある複数ユーザの発汗状況と、その後の脳の病気の再発状況を取得し、取得したデータを用いて、ユーザが脳の病気を再発する確率を判定するモデルを学習する。このため、情報処理装置10は、脳の病気について発症経験がある複数ユーザの発汗状況を用いて、発症経験があるユーザが脳の病気を再発する確率を判定するためのモデルを精度よく学習することが可能である。
【0041】
さらに、情報処理装置10は、発症経験のある特定のユーザの日々の表皮温度や体温のデータと、外気温度や外気湿度等の環境データとを端末装置20から取得する。そして、情報処理装置10は、該特定のユーザからの脳の病気の発症確率の判定要求を受け付けた場合には、該特定のユーザの発汗恐恐を入力データとして、学習したモデルを用いて、該特定のユーザからの脳の病気を再発する確率を判定し、端末装置20に出力する。このため、情報処理装置10は、脳の病気の再発を早期に発見することが可能である。
【0042】
(システム構成等)
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0043】
また、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0044】
(プログラム)
また、上記実施形態において説明した情報処理装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した発症確率判定プログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが発症確率判定プログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる発症確率判定プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された発症確率判定プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0045】
図6は、発症確率判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図6に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0046】
メモリ1010は、
図6に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、
図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、
図6に例示するように、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、
図6に例示するように、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、
図6に例示するように、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0047】
ここで、
図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、発症確率判定プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0048】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0049】
なお、発症確率判定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、発症確率判定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0050】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
10 情報処理装置
11 通信処理部
12 制御部
12a 収集部
12b 学習部
12c 推定部
12d 判定部
12e 出力部
13 記憶部
13a ユーザデータ記憶部
13b モデル記憶部
20、20A、20B 端末装置
30、30A、30B ウェアラブルデバイス
40 ネットワーク