(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240129BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240129BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
F25D21/04 G
F25D23/02 D
F25D23/06 L
(21)【出願番号】P 2020022381
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-10-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月12日から14日幕張メッセにおいて開催されたスーパーマーケット・トレードショー2020で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】大林 奨
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198351(JP,A)
【文献】特開平05-187761(JP,A)
【文献】実開昭55-028871(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0046319(US,A1)
【文献】実開昭62-029082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04
F25D 23/02
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口(10)を有する断熱箱体(11)からなる貯蔵庫本体(1)と、前面開口(10)を仕切るように上下方向に延びる支柱(19)とを備える貯蔵庫において、
支柱(19)は、前方側に配された上下方向に長い金属製の前ケース(24)と、後方側に配された上下方向に長い合成樹脂製の後ケース(25)と、これら前後ケース(24・25)の内部に収納される上下方向に長いブロック状の断熱体(26)とを備え、
前ケース(24)は、前方面を構成する前板(30)と、前板(30)の左右両端から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片(34)とを備え、
後ケース(25)は、後方面を構成する後壁部(40)と、後壁部(40)の左右両端から前方に延びる一対の側壁部(41・41)とを備え、
各係合片(34)には取付孔(35)が開設され、側壁部(41)の内面には各取付孔(35)に対応して突部(49)が設けられており、取付孔(35)内に突部(49)を挿通させることで、前ケース(24)と後ケース(25)とを接合することができるように構成されて
おり、
後ケース(25)の側壁部(41・41)が、後方に行くに従って漸次対向寸法が小さくなる、後窄まりのテーパー状に形成されていることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
前ケース(24)は、前方面を構成する前板(30)と、前板(30)の左右両端から後方に向かって伸びる一対の側板(31・31)と、各側板(31)の後端縁から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片(34)とを備える、請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
各取付孔(35)は、前後縁(35a・35b)と上下縁(35c・35d)とを有する四角形状の開口であり、
取付孔(35)の前縁(35a)が側板(31)の後縁(31a)よりも前方側に位置している、請求項2記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前板(30)には、左右一対の係合片(34・34)で構成される係合体(36)が、上下の複数個所に設置されており、
前板(30)の上縁と、最上段に位置する係合体(36A)を構成する係合片(34)に形成された取付孔(35)の上縁(35c)とで規定される距離を(D1)と規定し、
前板(30)の下縁と、最下段に位置する係合体(36C)を構成する係合片(34)に形成された取付孔(35)の下縁(35d)とで規定される距離を(D2)と規定したとき、
(D1<D2)の関係が成立している、請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の貯蔵庫。
【請求項5】
最上段に位置する係合体(36A)を構成する係合片(34)の上端縁と前板(30)の上端縁とが、同一の高さ位置に形成されている、請求項
4記載の貯蔵庫
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関し、特に貯蔵室の前面開口部の左右方向の中央部に形成された、所謂「センターピラー」と称される支柱の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る貯蔵庫の支柱は、庫外側の面を構成する金属製の前ケースと、前ケースに対して庫内側に配される合成樹脂製の後ケースと、これら前ケースと後ケースとの間に配される断熱材とを備えるが、同様の構成の支柱は特許文献1にも開示されている。
【0003】
特許文献1の支柱(仕切枠)を構成する前ケース(前面枠)は、ステンレス鋼板等の磁性金属板をプレス成形して形成されており、庫外側の面を構成する上下縦長の前板と、前板の左右両端から後方に延びる一対の側板とを備え、後方側に開口を有する断面コ字状に形成されている。後ケース(カバー)は、合成樹脂からなり、断熱材を庫内側から覆う上下縦長の後壁部と、後壁部の左右両端から前方に延びる一対の側壁部とを備え、前方側に開口を有する断面コ字状に形成されている。後ケースの左右の側壁部の内面には突部が形成されており、前ケースの左右の側板には、突部の挿通を許す取付孔が形成されている。各取付孔に突部を挿通させることで、前ケースに対して後ケースを取り付けることができる。前ケースの左右の側板は、前後方向の長さ寸法が均一なストレート状に形成されている。同様の構成の支柱は、特許文献2や特許文献3にも見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-198351号公報
【文献】特開平5-126463号公報
【文献】特開2005-233504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら特許文献のように、前ケースの左右の側板を前後方向の長さ寸法が均一なストレート状に形成し、これら側板に後ケースの突部の挿通を許す取付孔が形成されている構成では、突部と取付孔を利用した前後ケースの接合時に、前ケースの側板と後ケースの側壁部とが大きく重なり、両ケースの接触面積が大きくなる。このため庫内の冷熱が後ケースを介して前ケースに伝導して前ケースが温度低下することが避けられず、前板に結露が生じやすい。
【0006】
本発明は、庫外側の面を構成する金属製の前ケースと、前ケースに対して庫内側に配される合成樹脂製の後ケースと、前ケースと後ケースとの間に配される断熱材とを備える貯蔵庫の支柱において、後ケースから前ケースへの冷熱の伝導を抑えて、前ケースに結露が生じることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前面開口10を有する断熱箱体11からなる貯蔵庫本体1と、前面開口10を仕切るように上下方向に延びる支柱19とを備える貯蔵庫を対象とする。支柱19は、前方側に配された上下方向に長い金属製の前ケース24と、後方側に配された上下方向に長い合成樹脂製の後ケース25と、これら前後ケース24・25の内部に収納される上下方向に長いブロック状の断熱体26とを備える。前ケース24は、支柱19の前方面を構成する前板30と、前板30の左右両端から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片34とを備える。後ケース25は、後方面を構成する後壁部40と、後壁部40の左右両端から前方に延びる一対の側壁部41・41とを備える。そして、各係合片34には取付孔35が開設され、側壁部41の内面には各取付孔35に対応して突部49が設けられており、取付孔35内に突部49を挿通させることで、前ケース24と後ケース25とを接合することができるように構成され、後ケース25の側壁部41・41が、後方に行くに従って漸次対向寸法が小さくなる、後窄まりのテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
前ケース24は、前方面を構成する前板30と、前板30の左右両端から後方に向かって伸びる一対の側板31・31と、各側板31の後端縁から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片34とを備える。
【0009】
各取付孔35は、前後縁35a・35bと上下縁35c・35dとを有する四角形状の開口であり、取付孔35の前縁35aが側板31の後縁31aよりも前方側に位置している。
【0011】
前板30には、左右一対の係合片34・34で構成される係合体36が、上下の複数個所に設置されており、前板30の上縁と、最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34に形成された取付孔35の上縁35cとで規定される距離をD1と規定し、前板30の下縁と、最下段に位置する係合体36Cを構成する係合片34に形成された取付孔35の下縁35dとで規定される距離をD2と規定したとき、D1<D2の関係が成立している。
【0012】
最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34の上端縁と前板30の上端縁とが、同一の高さ位置に形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、貯蔵庫の支柱19を、前ケース24と、後ケース25と、これら前後ケース24・25の内部に収納される断熱体26とを備えるものとした。前ケース24は、前方面を構成する前板30と、前板30の左右両端から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片34とを備えるものとし、かかる前板30から部分的に張り出し形成された各係合片34に後ケース25の側壁部41に形成された突部49が挿通される取付孔35を形成した。以上より、本発明によれば、これら係合片34と側壁部41とが重なる両ケース24・25の重畳面積を抑えて、後ケース25から前ケース24への冷熱の伝導を抑えることができるので、前ケース24に結露が生じることを効果的に防ぐことができる。つまり、特許文献1のように、前板の左右両端の上下方向の全体にわたって側板が張り出し形成されるとともに、この側板に取付孔が形成されている形態に比べて、両ケース24・25の重畳面積を各段に小さくすることができるので、後ケース25から前ケース24への冷熱の伝導を抑えて、前ケース24に結露が生じることを防ぐことができる。
【0014】
前ケース24に側板31・31が設けられていると、すなわち、前ケース24が、前板30と、前板30の左右両端から後方に向かって伸びる一対の側板31・31と、側板31の後端縁から後方に向かって部分的に張り出し形成された複数個の係合片34とを備えるものとなっていると、当該側板31を設けることで、前ケース24の全体を断面コ字状とすることができるので、前ケース24の剛性向上を図り、さらに支柱19の剛性向上を図ることができる。
【0015】
各取付孔35が、前後縁35a・35bと上下縁35c・35dとを有する四角形状の開口とされており、取付孔35の前縁35aが側板31の後縁31aよりも前方側に位置されていると、取付孔35を側板31と係合片34との両者に亘って形成することができるので、側板31からの係合片34の張り出し面積を抑えながら、取付孔35の開口面積を大きくすることができる。このように側板31からの係合片34の張り出し面積を抑えることができると、前後ケース24・25の重畳面積を小さくすることができるので、後ケース25から前ケース24への冷熱の伝導を抑えて、前ケース24に結露が生じることを防ぐことができる。また、取付孔35の開口面積を大きくすることができると、取付孔35と突部49との係合領域を大きくすることができるので、前後ケース24・25の接合強度を大きくして、支柱19の剛性の向上を図ることができる。
【0016】
後ケース25の側壁部41・41が、後方に行くに従って漸次対向寸法が小さくなる、後窄まりのテーパー状に形成されていると、当該側壁部41・41が前後方向に亘って対向寸法が均一なストレート状に形成されている場合に比べて、前方側から見たときの庫内の死角領域を抑えて、前方側から見たときの庫内の視認領域の拡大を図ることができる。また、前方側から見て、庫内を広く見せる視覚効果を得ることができる。
【0017】
本発明のように前後ケース24・25を接合してなる支柱19では、例えば、前ケース24のみが断熱箱体11に固定されるとともに、後ケース25に棚網17が装着される棚柱28が固定されている形態を採った場合には、棚網17に載せられた収容物の重量が大きく、棚柱28を介して大きな荷重が後ケース25に作用すると、取付孔35と突部49との間の係合状態が解かれて、すなわち前後ケース24・25の接合が解かれて、前ケース24から後ケース25が分離するおそれがある。また、このように前ケース24から分離させる方向に後ケース25に作用する回動モーメントは、当該後ケース25の上方側に行くほど大きくなる。以上のような問題を解決するために本発明においては、左右一対の係合片34・34で構成される係合体36を上下の複数個所に設置し、前板30の上縁と、最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34に形成された取付孔35の上縁35cとで規定される距離をD1と規定し、前板30の下縁と、最下段に位置する係合体36Cを構成する係合片34に形成された取付孔35の下縁35dとで規定される距離をD2と規定したとき、D1<D2の関係が成立しているように構成している。これによれば、支柱19の上方寄りに係合体36を配置し、支柱19の上方寄りに取付孔35と突部49との係合箇所を配置したので、例えば棚網17に重量の大きな収容物が載せられたときにも、当該上方側の係合箇所により、後ケース25に作用する回動モーメントの上昇を最小限に抑えることができるので、後ケース25が前ケース24から分離することを防ぐことができる。
【0018】
最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34の上端縁と前板30の上端縁とが、同一の高さ位置に形成されていると、支柱19の最上方位置に係合箇所を配置させることができるので、後ケース25に作用する回動モーメントの上昇をより抑えて、後ケース25が前ケース24から分離することを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の貯蔵庫が適用された横型冷蔵庫の支柱の前ケースと後ケースの縦断側面図である。
【
図2】本発明の貯蔵庫が適用された横型冷蔵庫の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至
図8に、本発明に係る貯蔵庫を横型冷蔵庫に適用した実施形態を示す。本実施形態において前後左右は、
図1、
図2に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。
図2に示すように、横型冷蔵庫は、右方に配された冷蔵庫本体(貯蔵庫本体)1と、左方に配された機械室2とを備える。これら冷蔵庫本体1と機械室2の上面には天板3が配されており、これら冷蔵庫本体1と機械室2の下面には脚4が配されている。機械室2の内部には、圧縮機5、凝縮器6、凝縮器ファン7、冷却器8、および送風ファン9などからなる冷却機構が配されており、この冷却機構により冷蔵庫本体1内は冷却される。
【0021】
図5に示すように、冷蔵庫本体1は、前面開口10を有する左右横長の断熱箱体11からなり、その内部に貯蔵室12を有する。断熱箱体11は、ステンレス鋼板製の金属板からなる外箱13と、外箱13と所定間隔を置いて配された内箱14と、両箱13・14の間の空間内に充填された発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材15とで構成される。
図2および
図5において符号17は棚網を示す。棚網17は貯蔵室12内に上下多段状に配されており、各棚網17上に貯蔵対象となる食料品等が載置される。貯蔵室12の前面開口10には、観音開き式の一対の断熱扉18・18が装着されており、これら断熱扉18・18により貯蔵室12の前面開口10は開閉される。
【0022】
冷蔵庫本体1の前面開口10の左右方向の中央部には、所謂「センターピラー」と称される支柱19が配されており、この支柱19により前面開口10は左右2つに仕切られている。各断熱扉18は、冷蔵庫本体1の左右端に設けられたヒンジ20・20(
図2参照)を中心に揺動開閉可能に構成されており、各断熱扉18は、支柱19により左右に仕切られた前面開口10の各々を開閉する。各断熱扉18の裏面(後面)側の四周縁には、マグネット21が埋設されたパッキン22が装着されており、各断熱扉18を閉姿勢としたとき、パッキン22が開口周縁、および支柱19の前面に密着することで、前面開口10はシールされる。
図5に示すように両断熱扉18・18を閉姿勢としたとき、両断熱扉18・18の揺動端は、支柱19の前面において所定間隔を置いて対向するようになっている。
【0023】
図7および
図8に示すように、支柱19は、前方側に配された上下方向に長い金属製の前ケース24と、後方側に配された上下方向に長い合成樹脂製の後ケース25と、これら前後ケース24・25の内部に収納される上下方向に長いブロック状の断熱体26と、前ケース24の後面に配される面状ヒータ27からなる。後ケース25の後面には、左右一対の棚柱28・28が装着されている。
【0024】
前ケース24は、ステンレス鋼板等の磁性金属をプレス成形してなるものであり、支柱19の前方側の面を構成する前板30と、前板30の左右両端から後方に向かって伸びる一対の側板31・31と、前板30の上端から後方に向かって伸びる上板32と、前板30の下端から後方に向かって伸びる下板33と、各側板31の後端縁から後方に向かって部分的に張り出し形成された係合片34とを備える。各係合片34には、取付孔35が開設されている。
【0025】
図7に示すように、前板30は左右の幅寸法が均一な縦長の長方形状に形成され、各側板31・31は前後の幅寸法が均一な縦長の長方形状に形成されており、これら前板30、側板31・31、上板32、および下板33により、前ケース24は後方に開口を有する浅底皿状に形成されている。左右の各側板31・31の上下方向の3箇所、すなわち、上方位置、中央位置、および下方位置の3箇所のそれぞれに係合片34が形成されている。左右の側板31・31における各位置(上中下の各位置)の係合片34の高さ位置は一致しており、したがって、これら同一の高さ位置に形成された左右一対の係合片34・34の組み合わせを「係合体」と規定したとき、前ケース24には、上から順に係合体36A・36B・36Cの計3個の係合体が形成されている。
【0026】
図1および
図7に示すように、上方、中央、および下方の係合体36A・36B・36Cは、前ケース24の上下方向の均等位置ではなく、上方寄りに配されている。より具体的には、側板31の上縁と、上方の係合体36Aを構成する係合片34の上縁との上下方向の間隔距離は、側板31の下縁と、下方の係合体36Cを構成する係合片34の下縁との上下方向の間隔距離に比べて小さく設定されている。加えて、中央の係合体36Bは、前ケース24の中央位置(C)よりも上方寄りに形成されている。本実施例においては、上方の係合体36Aを構成する係合片34の上縁は、前ケース24の上縁および側板31の上縁と一致させている。
【0027】
各係合片34に開設される取付孔35は、前後縁35a・35bと上下縁35c・35dとを有する四角形状の開口とされている(
図1参照)。各取付孔35の前縁35aは、側板31の後縁31aよりも前方側に位置しており、換言すれば取付孔35は、係合片34と側板31との両者に亘って形成されている。
【0028】
先の係合体36A・36B・36Cと同様に、各係合片34に開設された取付孔35は、前ケース24の上下方向の均等位置ではなく、上方寄りに配されている。より具体的には、前板30の上縁と、上方(最上方)の係合片34に形成された取付孔35の上縁35cとで規定される距離をD1と規定し、前板30の下縁と、下方(最下方)の係合片34に形成された取付孔35の下縁35dとで規定される距離をD2と規定したとき、D1<D2の関係が成立するようになっている。また、中央の係合片34に形成された取付孔35は、前ケース24の中央位置(C)よりも上方側に配置されている。
【0029】
図7に示すように、後ケース25は、支柱19の後方面を構成する後壁部40と、後壁部40の左右両端から前方に伸びる左右一対の側壁部41・41と、後壁部40の上端から前方に伸びる上壁部42と、後壁部40の下端から前方に伸びる下壁部43とを有し、前方側に開口を有する有底容器状に形成されている。後壁部40の左右方向の幅寸法は、前ケース24の左右の側板31・31の間隔寸法(側板31・31の外面どうしの間隔寸法)よりも小さく設定されている。両側壁部41・41で規定される後ケース25の側面は、後方に行くに従って漸次左右方向の幅寸法が小さくなるような後ろ窄まりのテーパー状とされている(
図4参照)。
【0030】
側壁部41の内面(後面)の左右方向の中央部には、後ケース25の上下方向の全長に亘って、補強用のリブ44が前方側に向かって突設されている。また、後壁部40の内面(前面)の上下方向3箇所には補強体45が突設されている。各補強体45は、左右一対の円柱状のボス46と、該ボス46を中心にして十文字状に交差する縦リブ47と横リブ48とで構成される。横リブ48は、左右のボス46どうしを連結している。側壁部41の内面には、先の係合片34の取付孔35に係合する突部49が計6個設けられている。
【0031】
図4に示すように、後壁部40の後面には、左右一対の棚柱取付用の凹部50が陥没形成されており、各凹部50内に棚柱28がビス51により締結固定されている。各棚柱28には、棚網17を取付けるための多数個のスリット52が多段状に形成されており(
図7参照)、これらスリット52のいずれかに棚網17を掛け止めることにより、各棚網17を任意の高さ位置に保持することができる。
図8に示すように、先の補強体45のボス46には、内周面に雌ネジ部が形成されたネジ穴54が形成されており、凹部50内に棚柱28を位置合わせしたうえで、棚柱28に設けられた通孔を介してネジ穴54にビス51をねじ込むことで、支柱19の後面に棚柱28を固定することができる。
【0032】
上述のように、側壁部41の内面には、先の係合片34の取付孔35に係合する突部49が計6個設けられており、取付孔35内に突部49を挿通させることで、前ケース24と後ケース25とを蓋合わせ状に接合することができる。
図4に示すように、各突部29は、後端に平坦な係止面56を有するくさび状の抜止体57と、抜止体57を取付孔35に向かって誘導案内する前窄まりテーパー状のガイド面58を有するガイド体59とからなり、側面視において、ガイド面58は、上下方向の中央部が前方向に突出する膨出状に形成されている(
図1参照)。
図4に示すように、取付孔35に突部49を挿通させたとき、取付孔35の後縁35bに抜止体57の係止面56が受け止められることで、後ケース25が前ケース24から分離することが規制されて、後ケース25が前ケース24に対して固定保持される。この固定保持状態において、支柱19の左右面を区画する後ケース25の側壁部41・41は、後方に行くに従って漸次左右方向の幅寸法が小さくなるような後ろ窄まりのテーパー状となっており、換言すれば、支柱19の左右幅は、後方に行くに従って漸次小さくなるように構成されている。
【0033】
図7に示すように、断熱体26は、発泡スチロール成形品からなり、上下方向に長いブロック状に形成されており、その表面には、リブ44を受け入れるための縦溝60、および補強体45を受け入れるための十字溝61などからなる凹入部62が形成されている。
【0034】
面状ヒータ27は、前ケース24の前板30と断熱体26との間に配されている。面状ヒータ27は、機械室2に配された電力供給部から電力が供給されることで発熱する。面状ヒータ27の左右幅寸法は、前ケース24の前板30の左右幅寸法よりも僅かに小さく設定されており、前板30の内面に密着して、該前板30を暖める。
【0035】
図3、
図4、および
図6において、符号65は、支柱19を断熱箱体11に固定するためのビスを示し、
図7において符号66は、前ケース24の上板32と下板33のそれぞれに設けられたビス用の通孔を示す。
図6に示すように、断熱箱体11の外箱13にも、ビス用の通孔67が開設されている。さらに、これら通孔66・67に対応して、断熱箱体11の内部には、左右一対のネジ孔68・68を有するプレート69が埋設されている(
図8参照)。以上より、断熱箱体11側の通孔67に前ケース24側の通孔66を位置合わせしたうえで、これら通孔66・67を介してビス65をプレート69のネジ孔68にねじ込むことで、支柱19を断熱箱体11に固定することができる。なお、
図6、7において符号70は、外箱13と内箱14を連結する化粧枠を示す。
【0036】
以上のように本実施形態に係る冷蔵庫においては、側板31から部分的に張り出し形成された各係合片34に取付孔35を形成したので、前ケース24の側板31と係合片34と、後ケース25の側壁部41とが重なる両ケース24・25の重畳面積を抑えることができる。これにて、後ケース25から前ケース24への冷熱の伝導を抑えることができるので、前ケース24に結露が生じることを効果的に防ぐことができる。前ケース24に側板31・31を設けたので、前ケース24の全体を断面コ字状とすることができる。これにて、前ケース24の剛性向上を図り、さらに支柱19の剛性向上を図ることができる。
【0037】
四角形状の開口として形成された各取付孔35の前縁35aを、側板31の後縁31aよりも前方側に位置させたので、取付孔35を側板31と係合片34との両者に亘って形成することができる。これによれば、側板31からの係合片34の後方への張り出し面積を抑えることができるので、前後ケース24・25の重畳面積を小さくして、後ケース25から前ケース24への冷熱の伝導を抑えて、前ケース24に結露が生じることを防ぐことができる。また、取付孔35の開口面積を大きくすることができるので、前後ケース24・25の接合強度を大きくして、支柱19の剛性の向上を図ることができる。
【0038】
後ケース25の側壁部41・41を、後方に行くに従って漸次対向寸法が小さくなる、後窄まりのテーパー状に形成したので、当該側壁部41・41が前後方向に亘って対向寸法が均一なストレート状に形成されている場合に比べて、前方側から見たときの庫内の死角領域を抑えて、前方側から見たときの庫内の視認領域の拡大を図ることができる。また、前方側から見て、庫内を広く見せる視覚効果を得ることができる。
【0039】
最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34に形成された取付孔35の上縁35cとで規定される距離をD1と規定し、前板30の下縁と、最下段に位置する係合体36Cを構成する係合片34に形成された取付孔35の下縁35dとで規定される距離をD2と規定したとき、D1<D2の関係が成立しているように構成したので、支柱19の上方寄りに係合体36を配置して、支柱19の上方寄りに取付孔35と突部49との係合箇所を配置することができる。これによれば、例えば棚網17に重量の大きな収容物が載せられたときにも、当該上方側の係合箇所により、後ケース25に作用する回動モーメントの上昇を最小限に抑えることができるので、後ケース25が前ケース24から分離することを防ぐことができる。
【0040】
最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34の上端縁と前板30の上端縁とを、同一の高さ位置に形成したので、支柱19の最上方位置に係合箇所を配置させることができる。したがって、後ケース25に作用する回動モーメントの上昇をより抑えて、後ケース25が前ケース24から分離することを確実に防ぐことができる。
【0041】
上記実施例では、貯蔵庫を横型冷蔵庫に適用した例を示したが、本発明はこれに限られず、縦型冷蔵庫、製氷機、或いはショーケースにも適用可能である。上記実施例では、上下方向の3箇所に係合体36A・36B・36Cが形成されていたが、本発明における係合体36の数は2個であってもよく、4個以上であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 貯蔵庫本体(冷蔵庫本体)
10 前面開口
11 断熱箱体
19 支柱
24 前ケース
25 後ケース
26 断熱体
30 前板
31 側板
31a 側板の後縁
34 係合片
35 取付孔
35a 取付孔の前縁
35b 取付孔の後縁
35c 取付孔の上縁
35d 取付孔の下縁
36 係合体
36A 最上段に位置する係合体
36C 最下段に位置する係合体
40 後壁部
41 側壁部
49 突部
D1 前板30の上縁と、最上段に位置する係合体36Aを構成する係合片34に形成された取付孔35の上縁35cとで規定される距離
D2 前板30の下縁と、最下段に位置する係合体36Cを構成する係合片34に形成された取付孔35の下縁35dとで規定される距離