(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 9/36 20210101AFI20240129BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240129BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20240129BHJP
【FI】
G03B9/36 E
G03B17/02
G03B17/14
(21)【出願番号】P 2020023121
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】和田 克博
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151232(JP,A)
【文献】特開2012-015567(JP,A)
【文献】特開2006-064739(JP,A)
【文献】特開2003-153050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/08 -9/54
G03B 17/02
G03B 17/14
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換レンズ装置が着脱可能に装着される撮像装置であって、
撮像素子の露光量を制御するメカニカルシャッタと、
前記メカニカルシャッタを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されたことに応じて、前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ
、
前記制御手段は、前記撮像装置の使用環境を判定し、前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されたときに第1の使用環境であるときは前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ、第2の使用環境であるときは前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態に保持させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外された後、別の又は元の交換レンズ装置が前記撮像装置に装着されることに応じて、前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを閉状態から開状態に駆動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の使用環境は屋外であり、前記第2の使用環境は屋内であることを特徴とする請求項
1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像素子を用いて生成された画像データから取得したホワイトバランス補正値を用いて屋外か屋内かを判定することを特徴とする請求項
3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子および光学部材を含む撮像ユニットに付着した異物を除去するために該撮像ユニットを振動させる振動手段と、
前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されてから別の又は元の交換レンズ装置が前記撮像装置に装着されるまでの時間を計測する計時手段とを有し、
前記制御手段は、計測された前記時間に応じて前記振動手段を制御することを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、計測された前記時間に応じて前記振動手段により前記撮像ユニットを振動させる時間を変更することを特徴とする請求項
5に記載の撮像装置。
【請求項7】
交換レンズ装置が着脱可能に装着され、撮像素子の露光量を制御するメカニカルシャッタと、該メカニカルシャッタを駆動する駆動手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されたことを検出するステップと、
前記交換レンズ装置が取り外されたことの検出に応じて前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させるステップとを有
し、
前記制御方法は、前記撮像装置の使用環境を判定し、前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されたときに第1の使用環境であるときは前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ、第2の使用環境であるときは前記駆動手段に前記メカニカルシャッタを開状態に保持させることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項8】
交換レンズ装置が着脱可能に装着され、撮像素子の露光量を制御するメカニカルシャッタと、該メカニカルシャッタを駆動する駆動手段とを有する撮像装置のコンピュータに、請求項
7に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシャッタを有するレンズ交換型撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録用撮像前に被写体観察用の動画であるライブビュー画像をモニタに表示する撮像装置では、メカニカルシャッタを開放して撮像素子を露光したままライブビュー画像を生成する。また、特許文献1および特許文献2には、電源投入状態において撮像装置から交換レンズが取り外されたときに、メカニカルシャッタを開放状態とする撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-101931号公報
【文献】特開2003-153050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電源投入状態で交換レンズユニットが取り外されたときにメカニカルシャッタを開放すると、撮像素子が外界に露出した状態となるため、撮像素子やその前面に配置されたフィルタ等の光学部材に塵埃等の異物が付着する。
【0005】
本発明は、撮像素子や光学部材への異物の付着を抑制できるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮像素子の露光量を制御するメカニカルシャッタと、メカニカルシャッタを駆動する駆動手段と、駆動手段を制御する制御手段とを有する。制御手段は、撮像装置から交換レンズ装置が取り外されることに応じて、駆動手段にメカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ、撮像装置の使用環境を判定し、前記撮像装置から前記交換レンズ装置が取り外されたときに第1の使用環境であるときは駆動手段にメカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ、第2の使用環境であるときは駆動手段にメカニカルシャッタを開状態に保持させることを特徴とする。
【0007】
また本発明の他の一側面としての撮像装置の制御方法は、撮像装置から交換レンズ装置が取り外されたことを検出するステップと、該検出に応じて駆動手段にメカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させるステップとを有する。制御方法は、撮像装置の使用環境を判定し、撮像装置から交換レンズ装置が取り外されたときに第1の使用環境であるときは駆動手段にメカニカルシャッタを開状態から閉状態に駆動させ、第2の使用環境であるときは駆動手段にメカニカルシャッタを開状態に保持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像装置における撮像素子や光学部材への異物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1であるカメラ本体の構成を示すブロック図。
【
図3】実施例1におけるカメラ制御処理を示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施例2における異物除去処理を含むカメラ制御処理を示すフローチャート。
【
図5】実施例2におけるカメラ制御と異物除去のタイミングを示すタイミングチャート。
【
図6】本発明の実施例3におけるカメラ制御処理を示すフローチャート。
【
図7】本発明の実施例4におけるカメラ制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1である撮像装置としてのミラーレス一眼デジタルカメラ(以下、カメラ本体という)200と該カメラ本体200に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置としてのレンズユニット201とを含む撮像システムの電気的構成を示している。
【0014】
カメラ本体200において、120は制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、MPUという)である。MPU120にはシャッタ駆動回路108、映像信号処理部119、液晶駆動回路123、電源供給回路128、圧電素子駆動回路114および撮像制御回路118が接続されており、MPU120はこれらの回路を制御する。
【0015】
またMPU120は、マウント接点106を介してレンズユニット201内のレンズ制御回路105と通信を行い、レンズ制御回路105に、レンズユニット201内のAF駆動回路103と絞り駆動回路104を介してレンズ101と可変絞り(以下、単に絞りという)102の駆動を制御させる。マウント接点106は、カメラ本体200にレンズユニット201が装着されると、MPU120に信号を送信する機能を有する。
【0016】
レンズ101と絞り102により撮像光学系が構成される。100は撮像光学系の光軸である。なお、
図1にはレンズ101を1つのみ示しているが、実際には複数のレンズが設けられている。
【0017】
113は撮像素子であり、CMOSセンサ、CCDセンサおよびCIDセンサ等の光電変換素子である。本実施例では、撮像素子113としてCMOSセンサを用いている。CMOSセンサは、水平ライン毎に時間をずらしながら順次、電荷の蓄積と読み出しを行う。118は撮像制御回路であり、MPU120からの指示に従って、撮像素子113の電荷の蓄積と読み出しを制御する。
【0018】
115はクランプ/CDS(相関二重サンプリング)回路であり、撮像素子113から読み出されたアナログ信号に対してA/D変換前のCDS処理やクランプレベル変更処理を行う。116はAGC(自動利得調整回路)であり、クランプ/CDS回路115から出力されたアナログ信号に対して利得調整処理を行う。117はA/D変換器であり、AGC116から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0019】
119は映像信号処理部であり、A/D変換器117からのデジタル信号に対してガンマ/ニー処理、フィルタ処理、WB(ホワイトバランス)補正処理およびモニタ表示情報合成処理等の画像処理を行って、モニタ表示用の画像データ(動画データ)や記録用の画像データ(静止画データおよび動画データ)を生成する。また映像信号処理部119は、JPEG等の画像圧縮処理を行う機能も有する。
【0020】
122はバッファメモリであり、映像信号処理部119からの画像データを一時格納する。一時格納された画像データは、カラー液晶駆動回路123を介してカラー液晶モニタ124に表示される。モニタ表示用の動画データをカラー液晶モニタ124に表示するライブビュー(LV)表示が行われる際には、MPU120からの指示を受けた撮像制御回路118が撮像素子113からの動画フレームレートに応じた時間間隔で順次、電荷の蓄積と読み出しを制御する。そして、ランプ/CDS回路115、AGC116、A/D変換器117および映像信号処理部119を介して生成された動画データをバッファメモリ122に一時格納する。カラー液晶駆動回路123は、バッファメモリ122から読み出した動画像データを動画フレームレートに応じた更新間隔で連続的にカラー液晶モニタ124に表示させる。これにより、LV画像が表示される。
【0021】
また静止画の連写や記録用の動画撮像が行われる際には、映像信号処理部119による画像処理を受けていない画像データをその入力ごとにバッファメモリ122に一旦格納し、映像信号処理部119がメモリコントローラ121を通して未処理の画像データをバッファメモリ122から順次読み出して画像処理を行う。これにより、映像信号処理部119は、A/D変換器117から入力される画像データの入力速度に関わらず、画像データに対して画像処理や圧縮処理を行うことが可能となる。
【0022】
メモリ125は、カメラ本体200に対して着脱可能な半導体メモリであり、記録された静止画データや動画データを格納する。
【0023】
撮像素子113の前方には、赤外カットフィルタ110が配置されている。赤外カットフィルタ110の表面は、異物の付着を防止するために導電性コーティングが施されている。さらに赤外カットフィルタ110と撮像素子113との間には、光学ローパスフィルタ112が配置されている。光学ローパスフィルタ112は、撮像素子113に入射する光を複数に分離し、偽解像信号や偽色信号の発生を低減させる。
【0024】
光学部材としての赤外カットフィルタ110には振動手段としての圧電素子111が固定されている。圧電素子駆動回路114は、MPU120からの指示に従って圧電素子111を振動させる。これにより、赤外カットフィルタ110に屈曲振動が励起され、赤外カットフィルタ110、撮像素子113および光学ローパスフィルタ112に付着した塵埃等の異物が除去される。なお、光学部材としての光学ローパスフィルタ112に圧電素子を固定して、光学ローパスフィルタ112に屈曲振動を励起させてもよい。
【0025】
赤外カットフィルタ110、圧電素子111、光学ローパスフィルタ112および撮像素子113は、後述する他の部品と共に撮像ユニット109を構成する。
【0026】
電源供給回路128は、カメラ本体200内の各要素に必要な電源を供給するように電源部129を制御するとともに、レンズユニット201がカメラ本体200に装着されると該レンズユニット201に必要な電源を供給するように電源部129を制御する。電源部129は、2次電池またはAC電源により構成される。電源供給回路128と電源部129により給電手段が構成される。
【0027】
107はメカニカルシャッタとしてのフォーカルプレーンシャッタであり、不図示の先羽根群と後羽根群を有する。フォーカルプレーンシャッタ107は、MPU120からの指令を受けた駆動手段としてのシャッタ駆動回路108によって駆動される。フォーカルプレーンシャッタ107において、LV表示用の撮像中は先羽根群と後羽根群が共に畳まれて開放状態(開状態)となる。これにより、レンズユニット201からの光束が撮像素子113に到達し、LV画像の表示が可能となる。一方、記録用の撮像時には先羽根群が展開した状態(閉状態)から畳まれるように走行し、その走行開始から所定時間後に後羽根群が畳まれた状態から展開するように走行することで、撮像素子113の所定時間(露光時間)の露光が行われる。すなわち、フォーカルプレーンシャッタ107は、撮像素子113の露光量を制御する。
【0028】
また、MPU120は、クリーニングモードを開始すると、シャッタ駆動回路108を介してフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動する。このクリーニングモードにおいて、ユーザは、綿棒、シルボン紙、ゴム等を用いて赤外カットフィルタ110上の異物を直接クリーニングすることが可能となる。
【0029】
クリーニングモード等のカメラ本体200の動作モードや各種撮像モードは、ユーザにより操作されるモード設定部127にて指示される。また、スイッチSW126がユーザによりオン操作されると、撮像指示がMPU120に送信される。MPU120は、撮像指示に応じて記録用画像データ(静止画または動画データ)を取得するための撮像動作を開始する。
【0030】
レンズユニット201において、130はレンズ電源制御回路であり、カメラ本体200から供給される電源を監視する。レンズ電源部131は、電源制御回路130からの指示に応じて、カメラ本体200から供給される電源を用いてレンズユニット201の各要素に対して必要な電源を供給する。
【0031】
AF駆動回路103は、ステッピングモータやボイスコイルモータ等のフォーカスアクチュエータを含み、レンズ101内のフォーカスレンズを駆動する。MPU120は、撮像素子113から読み出されたフォーカス信号を用いて検出されたデフォーカス量に応じてフォーカスレンズ駆動量を算出し、該フォーカスレンズ駆動量を含むフォーカス指令をレンズ制御手段としてのレンズ制御回路105に送信する。フォーカス指令を受けたレンズ制御回路105は、AF駆動回路103を通じてフォーカスレンズの駆動を制御する。これにより、オートフォーカス(AF)が行われる。
【0032】
104は絞り駆動回路であり、ステッピングモータ等の絞りアクチュエータを含み、絞り102において絞り開口を形成する不図示の複数の絞り羽根を駆動する。複数の絞り羽根が駆動されることで絞り開口のサイズ(開口径)が変化し、光量が調節される。MPU120は、撮像素子113から読み出された輝度信号から絞り駆動量を算出し、該絞り駆動量を含む絞り指令をレンズ制御回路105に送信する。すなわち、MPU120はレンズ制御回路105に対して絞り120を制御するための通信(以下、絞り制御通信という)を行う。絞り指令を受けたレンズ制御回路105は、絞り駆動回路104を通じて絞り102の駆動を制御する。これにより、自動的に適切な絞り値が設定される。
【0033】
図2は、マウント接点106を介して形成されるカメラ本体200(MPU120)とレンズユニット201(レンズ制御回路105)間の通信線を示す。本実施例では、カメラ本体200とレンズユニット201は、3線式調歩同期シリアル通信方式で通信を行う。具体的には、通信要求線CTS、カメラデータ通信線DCLおよびレンズデータ通信線DLCの3線を用いて通信を行う。
【0034】
通信要求線CTSは、通信マスタとしてのカメラ本体200から通信スレーブとしてのレンズユニット201に通信を要求する信号(以下、CTS信号という)を送信するために用いられる。カメラデータ通信線DCLは、カメラ本体200からレンズユニット201にデータ(以下、カメラデータという)を送信するために用いられる。カメラデータは、制御コマンド(指令)や送信要求コマンド等を含む。レンズデータ通信線DLCは、レンズユニット201からカメラ本体200にデータ(以下、レンズデータという)を送信するために用いられる。レンズデータは、撮像光学系の光学データ等を含む。MPU120はレンズデータを用いて上述したフォーカス駆動量や絞り駆動量等を算出する。
【0035】
本実施例のカメラ本体200において、MPU120は、REMOVABLE信号によりレンズユニット201の着脱状態を検出する。REMOVABLE信号は、レンズユニット201がカメラ本体200から取り外された状態ではHighレベルとなり、レンズユニット201がカメラ本体200に装着された状態でレンズユニット201側でプルダウンされてLowレベルになる。
【0036】
なお、カメラ本体200からレンズユニット201が取り外された状態とは、カメラ本体200とレンズユニット201とに設けられたそれぞれのマウント接点106のうち、互いに対応する接点同士の接続状態が解除された状態である。具体的には、カメラ本体200とレンズユニット201とに設けられたそれぞれのマウント接点106のうち、互いに対応する接点同士の何れか1組の導通が解除された状態である。
【0037】
また、計時手段としての時間計測回路132は、REMOVABLE信号がHighレベルとなっている時間、すなわちレンズユニット201がカメラ本体200から取り外されている時間を計測する。
【0038】
図3のフローチャートは、MPU120がコンピュータプログラムに従って実行するカメラ制御処理(制御方法)を示している。カメラ本体200の電源が投入された後、ステップ301において待機(IDLE)状態にあるMPU120は、ステップ302において電源投入状態が維持されているか否かを判定し、維持されていればステップ303に進む。
【0039】
ステップ303では、MPU120は、カメラ本体200にレンズユニット201が装着されているか否かを判定する。具体的には、MPU120は、REMOVABLE信号がHighレベルかLowレベルかを検出する。REMOVABLE信号がHighレベルである場合は、MPU120はレンズユニット201がカメラ本体200から取り外されていると判定し、ステップ304にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態(先羽根群を展開させる状態)に駆動させる。そしてステップ302に戻る。
【0040】
一方、REMOVABLE信号がLowレベルである場合は、MPU120はレンズユニット201がカメラ本体200に装着されていると判定し、ステップ305にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動させる。
【0041】
その後、MPU120は、ステップ306にてLV表示用の撮像を開始し、さらにステップ307にてLV表示を行う。ユーザが液晶モニタ124に表示されたLV画像を見ながらカメラ本体200に設けられた不図示のレリーズスイッチを押すと、MPU120はステップ308にてこれを検出し、ステップ309にて記録用の撮像処理を行う。その後、MPU120は、ステップ310において記録用の撮像画像をメモリ125に格納し、本処理を終了する。
【0042】
このように本実施例では、電源投入状態のカメラ本体200からレンズユニット201が取り外された際にフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態に駆動する。これにより、レンズユニット201が取り外された後のカメラ本体200において、撮像素子113等を含む撮像ユニット109に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【実施例2】
【0043】
次に本発明の実施例2について説明する。本実施例におけるカメラ本体およびレンズユニットの構成は、実施例1と同じである。
図4のフローチャートは、実施例2において、MPU120がコンピュータプログラムに従って実行するカメラ制御処理を示している。
【0044】
ステップ401~ステップ404は、実施例1(
図3)におけるステップ301~ステップ304と同じである。
【0045】
ステップ403にてレンズユニット201がカメラ本体200から取り外されている(REMOVABLE信号がHighレベル)と判定してステップ404にてフォーカルプレーンシャッタ107を閉じたMPU120は、ステップ405にて時間計測回路132にフォーカルプレーンシャッタ107が閉状態となっている時間(以下、シャッタ閉時間という)tの計測を開始させる。そしてステップ402に戻る。
【0046】
一方、ステップ403にてレンズユニット201がカメラ本体200に装着されている(REMOVABLE信号がLowレベル)と判定した場合、例えばレンズユニット201がカメラ本体200から取り外された後に別の又は元のレンズユニットがカメラ本体200に装着された場合は、MPU120は、ステップ406にて時間計測回路132にシャッタ閉時間tの計測を停止させる。そしてMPU120は、ステップ407にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動させる。
【0047】
次にステップ408~410では、MPU120は、計測されたシャッタ閉時間t、つまりはレンズユニットがカメラ本体200から取り外されていた時間に応じた処理時間だけ異物除去処理を行う。異物除去処理では、圧電素子駆動回路114を介して圧電素子111を駆動することで、撮像ユニット109(赤外カットフィルタ110、撮像素子113および光学ローパスフィルタ112)に付着した塵埃等の異物を除去する処理である。
【0048】
まずステップ408において、MPU120は、シャッタ閉時間tが閾値(所定時間)thより短いか否かを判定し、tがthより短い場合はステップ409に進み、tがth以上である場合はステップ410に進む。
【0049】
ステップ409では、MPU120は、ステップ409では処理時間taの間、異物除去処理1を実行する。またステップ410では、taより長い処理時間tbの間、異物除去処理2を実行する。すなわち、シャッタ閉時間tが長いほど、異物除去処理の処理時間を長くする。これは、カメラ本体200からレンズユニットが取り外されていた時間が長いほど、カメラ本体200内に異物が入り込んで撮像ユニット109にその異物が付着し易いため、異物除去処理を長い時間行って、より確実に撮像ユニット109から異物を除去するためである。
図5は、シャッタ閉時間(REMOVABLE信号がHighレベルとなっていた時間)tと異物除去処理1,2の処理時間ta,tbとの関係を示している。
【0050】
異物除去処理が完了すると、MPU120はステップ411に進む。ステップ411~ステップ145は、実施例1におけるステップ307~ステップ310と同じである。
【0051】
このように本実施例でも、電源投入状態のカメラ本体200からレンズユニット201が取り外された際にフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態に駆動する。これにより、撮像素子113等を含む撮像ユニット109に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0052】
さらに本実施例では、電源投入状態のカメラ本体200からレンズユニットが取り外されていた時間の長さに応じて異物除去処理を行う時間の長さを変更する。これにより、レンズユニットが取り外されていた時間によらず、撮像ユニット109から異物が除去された状態で撮像を行うことができる。なお、カメラ本体200からレンズユニットが取り外されていた時間の長さに応じて異物除去処理の時間を長くするだけでなく、異物除去処理の強度(振動の振幅や周波数)を増加させてもよい。
【実施例3】
【0053】
次に本発明の実施例3について説明する。本実施例におけるカメラ本体およびレンズユニットの構成は、実施例1と同じである。
図6のフローチャートは、実施例3において、MPU120がコンピュータプログラムに従って実行するカメラ制御処理を示している。
ステップ601,602は、実施例1(
図3)におけるステップ301,302と同じである。
【0054】
ステップ602からステップ603に進んだMPU120は、その時点でのWB(ホワイトバランス)補正値を映像信号処理部119から取得する。次のステップ604でレンズユニット201がカメラ本体200から取り外されていると判定される場合には、ここで取得したWB補正値はレンズユニット201がカメラ本体200から取り外される直前のWB補正値となる。
【0055】
次にステップ604において、MPU120は、レンズユニット201がカメラ本体200から取り外されている(REMOVABLE信号がHighレベル)か否かを判定し、取り外されていると判定した場合はステップ605に進み、装着されていると判定した場合はステップ608に進む。
【0056】
ステップ605では、MPU120は、ステップ603で取得したWB補正値を用いて、カメラ本体200が屋外(第1の使用環境)で使用されているのか屋内(第2の使用環境)で使用されているのかを判定する。すなわち、カメラ本体200の使用環境が屋外か屋内かを判定する。なお、屋外か屋内かをWB補正値以外の指標を用いて判定してもよい。
【0057】
カメラ本体200が屋外で使用されていると判定したMPU120は、ステップ606にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態に駆動させる。これは屋外には塵埃等の異物が多く存在するため、撮像ユニット109への異物の付着を抑制することを優先するためである。
【0058】
一方、カメラ本体200が屋内で使用されていると判定したMPU120は、ステップ607にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動または保持させる。これは屋内には屋外に比べて異物が少ないため、撮像ユニット109への塵埃の付着よりも、閉じたフォーカルプレーンシャッタ107に対してマウントの開口部に入り込んだ指等の物体が接触するおそれを回避する方がよいためである。ステップ606およびステップ607からはステップ604に戻る。
【0059】
ステップ604にてレンズユニット201がカメラ本体200に装着されている(REMOVABLE信号がLowレベル)と判定したMPU120は、ステップ608にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動させる。そしてMPU120は、ステップ609において異物除去処理を行い、ステップ610に進む。ステップ610~ステップ614は、実施例1におけるステップ306~ステップ310と同じである。
【0060】
本実施例では、電源投入状態のカメラ本体200からレンズユニット201が取り外された際のカメラ本体200の使用環境に応じてフォーカルプレーンシャッタ107の開閉を制御する。これにより、使用環境に応じて撮像ユニット109への異物の付着の抑制とフォーカルプレーンシャッタ107の保護のいずれかを優先することができる。
【0061】
なお、カメラ本体200の使用環境は、屋外か屋内だけでなく、湿度センサを用いて測定可能な湿度や、加速度センサ等を用いて検出可能なカメラ本体200の姿勢を含めてもよい。例えば、異物が飛散することが多い低湿度環境(第1の使用環境)ではフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態とし、異物が飛散し難い高湿度環境(第2の使用環境)ではフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態としてもよい。また三脚に固定されたカメラ本体200の姿勢が水平または上向きである第1の使用環境では異物が撮像ユニット109に付着し易いのでフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態とし、カメラ本体200が下向きである第2の使用環境では異物が撮像ユニット109に付着し難いのでフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態としてもよい。
【実施例4】
【0062】
次に本発明の実施例4について説明する。本実施例におけるカメラ本体およびレンズユニットの構成は、実施例1と同じである。
図7のフローチャートは、実施例4において、MPU120がコンピュータプログラムに従って実行するカメラ制御処理を示している。
ステップ701~703は、実施例1(
図3)におけるステップ301~303と同じである。
【0063】
ステップ703にてレンズユニット201がカメラ本体200から取り外されている(REMOVABLE信号がHighレベル)と判定したMPU120は、ステップ704にてユーザがモード設定部127を通じてフォーカルプレーンシャッタ107を閉じる動作モード(以下、シャッタ閉モードという)を設定しているか否かを判定する。シャッタ閉モードが設定されている場合は、MPU120はステップ705にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を閉状態に駆動させる。
【0064】
一方、シャッタ閉モードが設定されていない(シャッタ107を開く動作モードが設定されている)場合は、MPU120はステップ706にてシャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動させる。ステップ705およびステップ706からはステップ703に戻る。
【0065】
ステップ703にてレンズユニット201がカメラ本体200に装着されている(REMOVABLE信号がLowレベル)と判定したMPU120は、ステップ707に進み、シャッタ駆動回路108にフォーカルプレーンシャッタ107を開放状態に駆動させる。その後、MPU120はステップ707~ステップ713にて、実施例3(
図6)におけるステップ608~ステップ614と同じ処理を行う。
【0066】
本実施例では、電源投入状態のカメラ本体200からレンズユニット201が取り外された際に、ユーザの設定に応じてフォーカルプレーンシャッタ107の開閉を制御する。これにより、撮像ユニット109への異物の付着の抑制とフォーカルプレーンシャッタ107の保護のうちユーザが選択する方を優先することができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0067】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
107 フォーカルプレーンシャッタ
113 撮像素子
120 MPU
200 カメラ本体
201 交換レンズユニット