(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240129BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20240129BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H04N7/18 G
B64G1/66 A
G01S13/87
(21)【出願番号】P 2020032256
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】益川 一範
(72)【発明者】
【氏名】川戸 博史
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-277543(JP,A)
【文献】特開平9-257923(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3182700(EP,A1)
【文献】特開2021-91393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0039030(US,A1)
【文献】伊藤徳政,Lバンド合成開口レーダPALSARの開発,日本航空宇宙学会誌,第61巻,日本,2013年07月,243-246頁
【文献】江口弘文、山下忠,飛翔体誘導制御系における目標追尾装置の動特性モデル,日本航空宇宙学会誌,第38巻,日本,1990年03月,148-155頁
【文献】安江正宏、久保朗、亀山忠史、高浜盛雄、片柳亮二、山本真生,T-2CCVのFBWシステムの制御則,日本航空宇宙学会誌,第35巻,日本,1987年10月,482-492頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B64G 1/66
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御装置であって、
各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する判定部と、
各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する調整部と、
を備える観測制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、各前記検知手段に異常が発生しているか否か、及び前記検知手段において機能超過が発生しているか否かの少なくともいずれか1方により、正常観測が可能な状態であるか否かを判定する請求項1に記載の観測制御装置。
【請求項3】
前記機能超過は、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離の少なくともいずれか1つに基づいて判定される請求項2に記載の観測制御装置。
【請求項4】
前記調整部は、各前記検知手段に対して目標捜索及び/または目標追尾に関する検知周期を調整することにより、割り当て状態を調整する請求項1から3のいずれか1項に記載の観測制御装置。
【請求項5】
前記調整部は、前記検知手段で観測可能な範囲外の観測情報を取得し、前記観測情報に基づいて割り当て状態を調整する請求項1から4のいずれか1項に記載の観測制御装置。
【請求項6】
前記調整部は、追尾中の目標物がない場合に、目標追尾を行う必要があるか否かを判定し、目標追尾を行う必要がない場合に、各前記検知手段に対して目標捜索の機能の割り当てを行い、目標追尾を行う必要がある場合に、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項1から5のいずれか1項に記載の観測制御装置。
【請求項7】
前記調整部は、目標追尾を行う必要がある場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項6に記載の観測制御装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記追尾中の目標物がある場合に、前記追尾中の目標物の情報が不要か否かを判定し、前記追尾中の目標物の情報が不要である場合に、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項6または7に記載の観測制御装置。
【請求項9】
前記調整部は、前記追尾中の目標物の情報が不要である場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項8に記載の観測制御装置。
【請求項10】
前記調整部は、前記目標物の情報が不要でない場合に、正常観測が可能な各前記検知手段において前記目標物の追尾のために追尾周期の変更が必要か否かを判定し、追尾周期の変更が必要である場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各前記検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項8または9に記載の観測制御装置。
【請求項11】
前記調整部は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項8に記載の観測制御装置。
【請求項12】
前記調整部は、追尾周期の変更が必要でない場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各前記検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項10または11に記載の観測制御装置。
【請求項13】
前記調整部は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う請求項12に記載の観測制御装置。
【請求項14】
複数の検知手段と、
請求項1から13のいずれか1項に記載の観測制御装置と、
を備える観測システム。
【請求項15】
請求項14に記載の観測システムを備える宇宙機。
【請求項16】
観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御方法であって、
各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する工程と、
各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する工程と、
を有する観測制御方法。
【請求項17】
観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御プログラムであって、
各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する処理と、
各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する処理と、
をコンピュータに実行させるための観測制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工衛星等の宇宙機では、搭載したセンサによって地球観測を行っている。地球観測においては、センサによる観測方向を固定として人工衛星の移動に伴って走査をする方法や、進行方向と垂直な方向に走査を行う方法等が採用されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサに異常等が発生し、正常観測が可能な状態でなくなった場合には、観測を行うことが不可能となってしまう。具体的には、宇宙機では各センサが専用の役割を担っており、センサが故障した場合には、該センサが担う役割に対応する観測を行うことができなくなる。このような機能不全時には、代替の宇宙機を打ち上げる等の必要があった。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、より安定的に観測を行うことのできる観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様は、観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御装置であって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する判定部と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する調整部と、を備える観測制御装置である。
【0007】
本開示の第2態様は、観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御方法であって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する工程と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する工程と、を有する観測制御方法である。
【0008】
本開示の第3態様は、観測を行うために宇宙機に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御プログラムであって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する処理と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する処理と、をコンピュータに実行させるための観測制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、より安定的に観測を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る人工衛星における観測の例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るセンサ系統が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る観測制御装置におけるハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る観測制御装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る機能の割り当て状態の調整例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る観測制御装置における捜索の一例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る観測制御装置における追尾の一例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る観測制御のフローチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る観測制御装置60は、宇宙機に対して適用されるものである。すなわち、宇宙空間で使用することを想定した人工物(宇宙機)であれば、例えば人工衛星等に適用可能である。本実施形態では、観測制御装置60が宇宙機に搭載される場合を例示して説明するが、地上局に搭載され信号の送受等によって宇宙機に適応されることとしてもよい。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る観測制御装置60が搭載された人工衛星1で観測を行う場合の一例を示す図である。
図1では、人工衛星1が軌道Oにより地球Eを周回している。軌道Oについては、例えば低軌道(LEO)や中軌道(MEO)など限定されない。人工衛星1は、宇宙空間において人工衛星1がいる位置から地球Eに対する方向(地球方向)に対して観測を行っている。観測については、後述する検知手段で行う。人工衛星1は、
図1に示すように、走査範囲2に対して観測を行うことが可能となる。すなわち、走査範囲2において、後述する
図6や
図7のように観測範囲3を移動させることが可能とされる。換言すると、走査範囲2における任意の領域を観測することができる。
【0013】
例えば、
図1に示すように、軌道Oや他の軌道において、人工衛星4等の他の人工衛星についても地球Eを周回して観測を行っていることとしてもよい。また、地球E上に地上局が設けられており、地上からも観測が行われることとしてもよい。すなわち、人工衛星1の他に観測を行う設備が設けられることとしてもよい。そして、人工衛星1は、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)と情報の授受を可能とすることとしてもよい。
【0014】
観測装置(観測システム)50は、複数のセンサ系統に対して観測のための統括的な制御(観測制御)を行い、観測を実行する。
【0015】
図2は、観測装置50が備える機能を示した機能ブロック図である。観測装置50は、複数のセンサ系統(検知手段)と、観測制御装置60とを備えている。
図2に示すように、センサ系統は、#1から#nのn系統設けられている。各部へは、例えば電源回路51から電力供給がされる。
【0016】
そして、観測装置50は、上位制御装置53とバス部52を介して接続されており、観測装置50への情報(信号)を受信可能とし、また観測装置50から情報(信号)を送信可能としている。例えば、上位制御装置53から観測装置50(具体的には観測制御装置60)が受信する信号は、観測方向の指令情報や、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報(例えば観測画像や、目標物の位置情報等)である。また、上位制御装置53へ観測装置50(具体的には観測制御装置60)が送信する信号は、観測によって取得した画像データや目標物の検知情報、各種センサのステータス情報(異常情報)等である。
【0017】
センサ系統は、観測を行う部である。本実施形態では、観測方向(地球側)からの光(赤外線等)を検知して観測を行う場合について説明する。光については、可視光としてもよいし、不可視光としてもよい。例えば、高速で飛翔する目標物は赤外線を発するため、検知される。
【0018】
各センサ系統は、仕様が等しいこととしてもよいし、異なることとしてもよい。例えば、捜索に適したセンサ系統は、観測範囲3が広くなるようにレンズ33が選定されており、追尾に適したセンサ系統が、詳細観測を行うために望遠レンズ等を使用して観測範囲3が狭い場合がある。このように、各センサ系統が異なる場合であっても、本実施形態における観測装置50は各センサ系統を統括的に制御することができる。
【0019】
図2に示すように、各センサ系統は、ミラー(反射手段)31と、ジンバル32と、レンズ33と、検知器34と、冷凍機35と、回路部40とを備えている。
図2では、センサ系統を2系統(センサ系統#1からセンサ系統#n)設けられている場合を例示しているが、センサ系統については複数系統(2系統以上)として系統数は適宜設定可能である。
【0020】
ミラー31は、観測方向からの光を検知器34へ導くための反射手段である。すなわち、ミラー31では、入射した光を反射して検知器34方向へ光を中継しており、ミラー31を介して観測範囲3からの光が検知器34へ入射される。
【0021】
ジンバル32は、ミラー31の角度を変える装置である。すなわち、ジンバル32は、ミラー31の反射面の角度を変更して、検知器34へ導かれる光の到来方向を変更する。ジンバル32は、所定軸周りに角度調整可能とされる。
【0022】
なお、
図2では、ミラー31を1つ用いた場合を例示しているが、ミラー31を複数設けることも可能である。例えば、ミラー31を2枚用いて光を検知器34へ導く場合には、各ミラー31にジンバル32が設けられる。すなわち、反射手段における第1の反射面及び第2の反射面のそれぞれの角度が制御され、光が検知器34へ光が導かれる。
【0023】
レンズ33は、ミラー31により導かれた光を集光し、検知器34へ導く。レンズ33により、検知器34の受光部(受光面)へ光を集光している。
【0024】
検知器34は、ミラー31やレンズ33等の光学系を介して入力された光を検知する。本実施形態では、光として赤外線を対象とする場合について説明するが、赤外線に限定されない。検知器34は、例えばIRセンサ(IRカメラ)である。IRカメラについては、MCT型等を適用することができ、種類は限定されない。
【0025】
検知器34では、観測対象である観測範囲3からの光が光学系を介して受光部に導かれる。観測範囲3については、検知器34(センサ系統)において一度に検知可能な範囲であり、例えば瞬時視野角に基づいて設定される。例えば瞬時視野角がα°である場合には、α°の範囲が観測範囲3となり、該範囲からの光を検知することができる。受光部では、画素(ピクセル)が格子状に配列されている。例えば縦数百ピクセル×横数百ピクセルなど予め設定された分解能に応じて各ピクセルが格子配置される。そして、受光部に光が当たると、各ピクセルでは光の強さ(例えば赤外線の強さ)に応じて電荷が発生する。そして、各ピクセルで発生した電荷の大きさを電気信号として検出することによって、各ピクセルに対応した位置における光の強さを得ることができ、光の強さを数値化して画像データとして扱うことができる。例えば、赤外線の強さを例とすると、受光部において強い赤外線が当たったピクセルの位置は白く、受光部において弱い赤外線が当たったピクセルの位置は黒く表示することができる。
【0026】
このようにして、検知器34では、観測範囲3からの光の強さをピクセルの位置毎に検知することができる。後述するように、観測範囲3が移動されるごとに検知器34では検知が行われ、
図1の走査範囲2のような広範囲の観測が行われる。
【0027】
冷凍機35は、検知器34の環境温度を調整する。検知器34は環境温度が適切である場合(例えば低温)に感度が高くなる。このため、冷凍機35は、検知器34の環境温度の調整をして、検知器34における感度低下を抑制している。
【0028】
回路部40は、センサ系統における各部の制御及び処理を行う。このため、回路部40は、ジンバル制御回路(ジンバル制御部)41と、冷凍機駆動回路(冷凍機駆動部)44と、検知器駆動回路(検知器駆動部)43と、信号処理回路(信号処理部)42と、を備えている。
【0029】
ジンバル制御回路41は、ジンバル32を駆動してミラー31の角度制御を行う。ジンバル制御回路41は、観測対象の観測範囲3に対応してミラー31の角度を制御することによって、観測対象からの光をミラー31で反射して検知器34へ導くことが可能となる。例えば、観測制御装置60からの指令に基づいて動作する。
【0030】
冷凍機駆動回路44は、冷凍機35を駆動して、検知器34に対する温度制御を行う。例えば、冷凍機駆動回路44は、検知器34の環境温度が所定範囲内となるように冷凍機35を駆動する。例えば、観測制御装置60からの指令に基づいて動作する。
【0031】
検知器駆動回路43は、検知器34における各画素の電荷の吸出しを行う。例えば、検知器駆動回路43は、検知器34における格子状に行列配置された各画素を、行ごと(または列ごと)に、読み出す。すなわち、各ピクセルに発生した電荷の大きさが行番号及び列番号に対応して読み出される。そして、読み出した電荷を増幅部において増幅し、信号処理回路42へ出力する。例えば、観測制御装置60からの指令に基づいて読み取り等が動作される。
【0032】
信号処理回路42は、検知器34において各ピクセルに発生した電荷の大きさを検出する。例えば、信号処理回路42は、検知器駆動回路43において読み出された(増幅処理された)各ピクセルの電荷量(アナログ値)をデジタル化(数値化)する。そして、行番号及び列番号に対応して数値データを濃淡(例えば白黒)として表し、画像データを生成する。すなわち、検知器34の受光部において、第3行、第10列のピクセルに強い光が当たった場合には、画像データにおいて、第3行、第10列に対応する位置が白く表示される。これによって、受光部のどの位置に強い光が当たったかを判別することが可能となる。
【0033】
そして、信号処理回路42では、数値データと閾値との比較により目標物の検知を行う。なお、S/N比に基づいて目標物の検知を行うこととしてもよい。例えば、全体画像データにおいて第1行、第2列に対応する範囲内のあるピクセル位置において強い赤外線が検出されていれば、観測範囲3の該ピクセル位置に対応する位置に強い赤外線を発している物体(目標物)があると推定できる。
【0034】
目標物の検出情報については、例えば、観測制御装置60へ出力される。
【0035】
観測制御装置60は、各センサ系統に対して機能の割り当てを行うことで、各センサ系統を統括的に制御する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る観測制御装置60のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3に示すように、観測制御装置60は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)13と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)14と、ネットワーク等に接続するための通信部15とを備えている。これら各部は、バス18を介して接続されている。大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)等の他の記憶容量を用いることも可能である。
【0037】
なお、観測制御装置60を地上に配置する場合(例えば地上局)には、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えることとしてもよい。
【0038】
なお、CPU11が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM12に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
【0039】
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ14等に記録されており、このプログラムをCPU11がRAM13等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、宇宙機に搭載される場合や地上局に搭載される場合等に対応して、ROM12やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0040】
図4に示すように、観測制御装置60は、判定部62と、調整部63とを備えている。
【0041】
判定部62は、各センサ系統において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する。換言すると、判定部62は、各センサ系統で既に設定されている機能に基づく観測が正常に行えているか否かを判定する。例えば、センサ系統#1が目標追尾を行っている状態では、判定部62は、センサ系統#1で目標追尾を行うことができているが否かを判定する。すなわち、正常観測が可能な状態であるか否かとは、各センサ系統に対する機能の割り当て状態において、不足なく観測ができるか否かということとなる。
【0042】
具体的には、判定部62は、各センサ系統に異常が発生しているか否か、及びセンサ系統において機能超過が発生しているか否かの少なくともいずれか1方により、正常観測が可能な状態であるか否かを判定する。
【0043】
各センサ系統に異常が発生しているか否かとは、各センサ系統において機能不全が発生しているか否かとなる。機能不全とは、例えば、ジンバル32が指令に追従しない場合であり、ジンバル32に付属する角度検出器の出力と指令値とを比較して検出される。また、機能不全は、検知器34の素子欠陥としてもよく、検知器34から取得された画像状態(例えば欠陥箇所は画素情報が欠落する)によって検出される。また、機能不全は、ミラー31の反射特性の悪化やレンズ33の透過特性の悪化としてもよく、検知器34から取得された画像状態(例えば特性悪化が生じていない基準となる画像との比較)によって検出される。また、機能不全は、冷凍機35の冷却性能の低下(または不能)としてもよく、冷凍機35や検知器34に設けられた温度センサ情報により検出される。また、機能不全は、各種回路の電流異常(または電圧異常)としてもよく、回路に設けられたセンサによって検出される。このように、判定部62では、各センサ系統に異常が発生しているか否かによって、各センサ系統において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する。
【0044】
各センサ系統において機能超過が発生しているか否かとは、各センサ系統において、機能が飽和して、要求される観測を十分に行えていない状態か否か(性能限界に達したか否か)である。具体的には、機能超過は、センサ系統が目標追尾をしている状態において、追尾リソースが飽和することである。追尾リソースとは、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離の少なくともいずれか1つである。例えば、目標追尾数がセンサ系統の性能を超えた場合には、追尾数が飽和していることとなる。目標追尾の性能限界は、目標追尾数だけでなく、追尾周期も影響している。例えば、追尾周期(目標物を検出する周期)は遅いほど、多くの目標物を追尾することができる。また、追尾するためには、観測範囲3の移動を伴うため、追尾対象(複数の目標物)間の距離も性能限界に影響する。このため、判定部62において、機能超過は、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離の少なくともいずれか1つに基づいて判定される。このように、判定部62では、各センサ系統において機能超過が発生しているか否かによって、各センサ系統において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する。
【0045】
判定部62におけるセンサ系統のそれぞれに対して、判定処理を行う。そして、判定結果は、後述する調整部63へ出力される。
【0046】
調整部63は、判定部62における判定結果に基づいて、各センサ系統における機能の割り当て状態を調整する。具体的には、調整部63は、各センサ系統のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各センサ系統における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する。調整部63は、各センサ系統のうち正常に観測が可能なセンサ系統に対して、機能の割り当てを行う。
【0047】
割り当て状態を調整する機能は、目標捜索及び/または目標追尾である。目標捜索及び目標追尾の具体的な処理については後述する。例えば、通常時に、センサ系統Aで目標捜索を行い、センサ系統Bで目標追尾を行っている場合に、センサ系統Aにおいて異常が発生した場合には、センサ系統Bにおいて目標捜索のみを行わせたり、目標追尾のみを行わせたり、目標捜索及び目標追尾の両方を行わせたりする等の機能の割り当てを行う。なお、目標捜索及び目標追尾の両方を行わせる場合であっても、目標捜索を重視することとしてもよいし、目標追尾を重視することとしてもよい。すなわち、調整部63は、いずれかのセンサ系統が正常に観測を行うことができない場合であっても、他のセンサ系統と共同して安定的に観測を行うことができるように、柔軟に各センサ系統の機能の割り当て状態を調整する。
【0048】
調整部63は、割り当て状態を調整するために、各センサ系統に対して目標捜索及び/または目標追尾に関する検知周期を調整する。目標捜索に関する検知周期を捜索周期といい、目標追尾に関する検知周期を追尾周期という。捜索周期とは、所定の範囲を捜索して再度捜索を開始するまでの期間(時間)である。追尾周期は、目標物の検知を行い、再度該目標物の検知を行うまでの時間である。追尾周期については、複数の目標物がある場合には、目標物ごとに追尾周期を設定することとしてもよいし、複数の目標物をセットとして該セットの目標物の検知を開始して、セットに含まれる各目標物の検知が完了した後に、再度該セットの目標物の検知を開始するまでの時間としてもよい。
【0049】
観測制御装置60は、各センサ系統を制御して、目標捜索や目標追尾を実行させている。具体的には、センサ系統Aに目標捜索をさせ、センサ系統に目標追尾をさせている場合には、センサ系統A及びセンサ系統Bのそれぞれに指令を送信している。例えば、センサ系統Aに対しては、捜索周期T1で捜索を開始する指令が送信され、センサ系統Bに対しては、追尾周期T2で追尾を開始する指令が送信される。そして、各指令に基づいてジンバル等が制御されそれぞれの機能による観測が実行される。
【0050】
すなわち、各センサ系統において捜索周期及び/または追尾周期を調整することによって、各センサ系統における機能の割り当て状態を調整することが可能となる。換言すると、センサ系統全体(特に正常に観測可能なセンサ系統全体)をリソースとして、機能の割り当て状態の調整をする。
【0051】
例えば、センサ系統A及びセンサ系統Bの2系統があり、
図5に示すように、センサ系統Aにおいて目標捜索を行い、センサ系統Bにおいて目標追尾を行っている場合(機能の割り当て状態)を想定する。
図5では、センサ系統Aにおいて捜索周期T1で捜索を行い、センサ系統Bにおいて追尾周期T2で追尾を行っている場合を例示している。そして、センサ系統Aに異常が発生してしまい、センサ系統Aで目標捜索を行うことができなくなった場合に、センサ系統Bにおいて、追尾周期T4で目標追尾を行うとともに、捜索周期T3で目標捜索を行うように機能の割り当て状態を調整する。なお、調整を行う場合には、周期(捜索周期及び追尾周期)を変更することとしてもよいし、追尾数を変更してもよい。このように機能の割り当て状態が調整されることによって、安定的に観測を行うことが可能となる。
【0052】
なお、調整部63は、センサ系統で観測可能な範囲外の観測情報を取得し、観測情報に基づいて割り当て状態を調整することとしてもよい。センサ系統で観測可能な範囲外の観測情報とは、例えば、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)から取得される情報である。センサ系統で観測可能な範囲外の観測情報を取得することによって、例えば、観測可能な範囲外から目標物が観測可能な範囲内へ飛翔してくるといった情報や、飛翔してくる対象物の数といった情報を利用することが可能となる。
【0053】
調整部63におけるより詳細な処理については、
図8を用いて後述する。概要的には、調整部63は、追尾中の目標物がない場合に、目標追尾を行う必要があるか否かを判定し、目標追尾を行う必要がない場合に、各センサ系統に対して目標捜索の機能の割り当てを行い、目標追尾を行う必要がある場合に、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。なお。調整部63は、目標追尾を行う必要がある場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。
【0054】
また、調整部63は、追尾中の目標物がある場合に、追尾中の目標物の情報が不要か否かを判定し、追尾中の目標物の情報が不要である場合に、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。なお、調整部63は、追尾中の目標物の情報が不要である場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。
【0055】
また、調整部63は、目標物の情報が不要でない場合に、正常観測が可能な各センサ系統において目標物の追尾のために追尾周期の変更が必要か否かを判定し、追尾周期の変更が必要である場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。なお、調整部63は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。
【0056】
また、調整部63は、追尾周期の変更が必要でない場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾索のそれぞれの機能の割り当てを行う。なお、調整部63は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う。
【0057】
次に、目標捜索を行う場合の例を説明する。
捜索とは、目標物を探すことである。捜索を行う場合には、観測範囲3を移動させて走査範囲2内を走査する。すなわち、捜索では、走査範囲2内において観測範囲3を移動させて、走査範囲2の全域を走査観測する。
【0058】
図6は、捜索を行う場合の走査パターンの一例を示す図である。なお、
図6では一例として走査範囲2を第1行から第10行、第1列から第10列の行列で示しているが、行及び列数については使用するセンサ系統における仕様によって適切に設定される。すなわち、走査範囲2は、一般化すると、m行n列の行列(m及びnは適宜設定可能)として表される。後述する
図7においても、図示した行列は一例であり、
図6と同様に、走査範囲2の行列はセンサ系統における仕様によって適切に設定される。
【0059】
走査範囲2全体を観測するため、走査範囲2の始点(
図6の第1行、第1列)に観測範囲3を設定して観測を行い、観測後に観測範囲3を垂直方向(進行方向と垂直な方向)へ移動させて観測を行う(
図6の第1行、第2列)。なお、検知器34では、観測範囲3からの光を、格子配置したピクセルで検知しているため、観測範囲3(例えば第1行、第2列)の中の更に細かい位置(各ピクセル位置)に対して観測を行うことができる。このように、観測範囲3を垂直方向へ移動させて特定の行の各列に対応した位置の観測を行い、該行の観測が終了すると(
図6の第1行、第10列)、観測範囲3を進行方向(人工衛星1の進行方向であり進行の前後方向を含む)へ移動させて次の行における観測を行う(
図6の第2行、第10列から第2行、第1列)。このように垂直方向及び進行方向に観測範囲3を移動させて観測を行うことによって、走査範囲2の全域を走査することができる。走査範囲2の全域が走査されることによって、各観測範囲3での画像データにより走査範囲2全体の画像データを得ることができる。
【0060】
図6のような行列範囲(例えば第1行、第2列に対応する範囲)は、観測範囲3に対応している。このため、観測範囲3を行列に従って移動させることで走査範囲2の全域を走査することができる。行列範囲については、観測範囲3よりも小さい範囲に設定することとしてもよい。この場合には、移動前の観測範囲3と移動後の観測範囲3において一部を重複させることができるため、観測漏れを抑制することができる。
【0061】
各センサ系統では、
図6のように観測範囲3を走査範囲2内において移動することにより得た情報、すなわち、全体画像データに基づいて、目標捜索を行う。
【0062】
次に、目標追尾を行う場合の例を説明する。
追尾とは、走査範囲2において検出された目標物を追跡することである。追尾を行う場合には、観測範囲3を移動させて目標追尾を行う。追尾では、走査範囲2の全域に対して観測を行うこととしてもよいし、走査範囲2の一部であって、目標物が検出された位置を含む範囲に対して観測を行うこととしてもよい。本実施形態では、走査範囲2の一部を観測して追尾を行う場合について説明する。
【0063】
図7は、追尾を行う場合の観測範囲3の移動の一例を示す図である。
図7では、捜索により、走査範囲2の特定の範囲(第3行、第4列におけるP点)に目標物が検出されたものとする。このような場合には、目標物の検出位置(P点)が観測範囲3の中心に位置するように、観測範囲3が移動される。そして、再度観測(目標検知)を行う。
図7では、移動前の観測位置をG1(3)、追尾のための移動後の観測位置をG2(3)として示している。このように、目標物の検出位置(P点)が観測範囲3の中心に位置するように、観測範囲3が移動されることによって、目標物の移動に伴って観測範囲3を移動させることができ、追尾を行うことが可能となる。なお、追尾の方法については、上記例に限定されず適応することができる。このようにして、目標物が含まれる観測範囲3の画像データを得ることができる。
【0064】
各センサ系統では、
図7のように観測範囲3を走査範囲2内において移動することにより得た情報、すなわち、目標物が含まれる観測範囲3の画像データに基づいて、目標追尾を行う。
【0065】
次に、上述の観測制御装置60による観測制御の一例について
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る観測制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図8に示すフローは、例えば、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0066】
まず、センサ系統に異常が発生したか否かを判定する(S101)。センサ系統に異常が発生していない場合(S101のNO判定)には、処理を終了する(所定の制御周期でS101から再度処理が実行される)。そして、センサ系統に異常が発生した場合(S101のYES判定)には、追尾中の目標物があるか否かを判定する(S102)。追尾中の目標物があるか否かとは、S101の異常が発生する前段階において、いずれかのセンサ系統において目標追尾を実行していたか否かとなる。追尾中の目標物がない場合(S102のNO判定)には、目標追尾を行う必要があるか否かを判定する(S103)。S103は換言すると、追尾リソースの確保が必要であるか否かとなる。S103については、例えば、予め設定された目標追尾に対する初期設定等に基づいて判定処理が行われることとしてもよいし、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。例えば、他に観測を行う設備からの情報より所定時間後に走査範囲2に目標物が入ってきそうな予測があれば、目標追尾を行う必要があると判定する。
【0067】
目標追尾を行う必要がない場合(S103のNO判定)には、目標追尾を行わないことを前提として、正常な各センサ系統を対象として捜索周期を算出する(S104)。そして、各センサ系統に対して目標捜索の機能の割り当てを行う(S105)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、算出された捜索周期が設定され、観測が行われる。また、目標追尾を行わないことを前提としているため、例えば、捜索周期が高く、追尾周期がなし(追尾数がなし)と設定される。すなわち、S105によって、捜索優先モードとなる。
【0068】
目標追尾を行う必要がある場合(S103のYES判定)には、捜索に重きを置きつつ(目標追尾に対して目標捜索を優先して)、正常な各センサ系統を対象として追尾周期及び追尾数を算出する(S106)。捜索周期については、維持されてもよいし、正常な各センサ系統を対象として算出されてもよい。例えば追尾の対象物ごと(追尾数分)に追尾周期が設定される。S106については、例えば、予め設定された目標追尾に対する初期設定等に基づいて処理が行われることとしてもよいし、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。例えば、他に観測を行う設備からの情報より所定時間後に走査範囲2に入ってきそうな目標物の数の予測があれば、該予測に基づいて追尾数が設定される。
【0069】
そして、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う(S107)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、捜索周期及び追尾周期が設定され、観測が行われる。また、捜索に重きを置いているため、例えば、捜索周期が高く、追尾周期が低い(追尾数が少ない)と設定される。すなわち、S107によって、捜索追尾両立の捜索重視モードとなる。
【0070】
追尾中の目標物がある場合(S102のYES判定)には、追尾中の目標物の情報(目標情報)が不要か否かを判定する(S108)。追尾中の目標物の情報が不要か否とは、追尾観測をして得た情報を人工衛星1や他の設備において使用しないか否かとなる。例えば、地上レーダ等によって人工衛星1で観測した追尾情報を使用する場合等では、追尾中の目標物の情報が必要となる。このため、S108については、例えば、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。
【0071】
追尾中の目標物の情報が不要である場合(S108のYES判定)には、捜索に重きを置きつつ(目標追尾に対して目標捜索を優先して)、正常な各センサ系統を対象として追尾周期及び追尾数を算出する(S109)。捜索周期については、維持されてもよいし、正常な各センサ系統を対象として算出されてもよい。
【0072】
そして、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う(S110)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、捜索周期及び追尾周期が設定され、観測が行われる。また、捜索に重きを置いているため、例えば、捜索周期が高く、追尾周期が低い(追尾数が少ない)と設定される。すなわち、S110によって、捜索追尾両立の捜索重視モードとなる。なお、S107とS110における捜索追尾両立の捜索重視モードでは、前段の処理で追尾周期等の算出が行われているため、設定される追尾周期等はそれぞれ異なる場合もある。
【0073】
追尾中の目標物の情報が不要でない場合(S108のNO判定)には、正常観測が可能な各センサ系統において目標物の追尾のために追尾周期の変更が必要か否かを判定する(S111)。追尾中の目標物の情報が不要でない場合とは、該情報を使用する予定がある(または使用している)場合や、不要ではない場合(使用するか不明の場合)を含んでいる。また、正常観測が可能な各センサ系統において目標物の追尾のために追尾周期の変更が必要か否かとは、現状の追尾周期の設定状態では追尾を継続して実施不可能か否かとなる。
【0074】
追尾周期の変更が必要である場合(S111のYES判定)には、目標捜索を行う必要があるか否かを判定する(S112)。S112は換言すると、捜索リソースの確保が必要であるか否かとなる。S112については、例えば、予め設定された目標捜索に対する初期設定等に基づいて判定処理が行われることとしてもよいし、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。例えば、他に観測を行う設備からの情報より所定時間後に走査範囲2に目標物が入ってきそうな予測があれば、目標捜索を行う必要があると判定する。
【0075】
目標捜索を行う必要がない場合(S112のNO判定)には、正常な各センサ系統を対象として追尾周期及び追尾数を算出する(S113)。S113については、例えば、予め設定された目標追尾に対する初期設定等に基づいて処理が行われることとしてもよいし、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。例えば、他に観測を行う設備からの情報より所定時間後に走査範囲2に入ってきそうな目標物の数の予測があれば、該予測に基づいて追尾数が設定される。
【0076】
そして、各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行う(S114)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、算出された追尾周期が設定され、観測が行われる。このため、例えば、捜索周期がなし、追尾周期が低い(追尾数が多数)と設定される。すなわち、S114によって、追尾優先モードとなる。
【0077】
目標捜索を行う必要がある場合(S112のYES判定)には、追尾に重きを置きつつ(目標捜索に対して目標追尾を優先して)、正常な各センサ系統を対象として捜索周期を算出する(S115)。追尾周期及び追尾数については、維持されてもよいし、正常な各センサ系統を対象として算出されてもよい。S115については、例えば、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。
【0078】
そして、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行う(S116)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、捜索周期及び追尾周期が設定され、観測が行われる。また、追尾に重きを置いているため、例えば、捜索周期が低く、追尾周期が低い(追尾数が多数)と設定される。すなわち、S116によって、捜索追尾両立の追尾重視モードとなる。
【0079】
追尾周期の変更が必要でない場合(S111のNO判定)には、目標捜索を行う必要があるか否かを判定する(S117)。S117は換言すると、捜索リソースの確保が必要であるか否かとなる。S117については、例えば、予め設定された目標捜索に対する初期設定等に基づいて判定処理が行われることとしてもよいし、他に観測を行う設備(例えば、人工衛星4や地上局等)からの情報に基づいて判定することとしてもよい。例えば、他に観測を行う設備からの情報より所定時間後に走査範囲2に目標物が入ってきそうな予測があれば、目標捜索を行う必要があると判定する。
【0080】
目標捜索を行う必要がない場合(S117のNO判定)には、正常な各センサ系統を対象として追尾周期及び追尾数を算出する(S118)。S118では、追尾周期を維持する前提で追尾可能な追尾数を算出することとしてもよい。そして、各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行う(S119)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、算出された追尾周期が設定され、観測が行われる。このため、例えば、捜索周期がなし、追尾周期が高い(追尾数が多数)と設定される。すなわち、S119によって、追尾優先モードとなる。なお、S114とS119における追尾優先モードでは、前段の処理で追尾周期等の算出が行われているため、設定される追尾周期等はそれぞれ異なる場合もある。
【0081】
目標捜索を行う必要がある場合(S117のYES判定)には、追尾に重きを置きつつ(目標捜索に対して目標追尾を優先して)、正常な各センサ系統を対象として捜索周期を算出する(S120)。追尾周期及び追尾数については、維持されてもよいし、正常な各センサ系統を対象として算出されてもよい。そして、各センサ系統に対して目標走査及び目標追尾の機能の割り当てを行う(S121)。すなわち、正常な各センサ系統に対して、捜索周期及び追尾周期が設定され、観測が行われる。すなわち、S116によって、捜索追尾両立の追尾重視モードとなる。なお、S116とS121における捜索追尾両立の追尾重視モードでは、前段の処理で追尾周期等の算出が行われているため、設定される追尾周期等はそれぞれ異なる場合もある。
【0082】
このようにして、各センサ系統に対する機能の割り当て状態の調整が実施される。
【0083】
なお、S101と並列して、各センサ系統において機能超過が発生しているか否かが判定される(S122)。S122は、S101と同様に、各センサ系統が正常観測が可能な状態であるか否かを判定するための処理である。機能超過が発生していない場合(S122のNO判定)には、処理を終了する(所定の制御周期でS101から再度処理が実行される)。機能超過が発生している場合(S122のYES判定)には、S108の処理が実行される。なお、S122のYES判定に続く処理では、現状の機能の割り当て状態では対応することができないため、S111はNO判定となる。なお、S122の処理については、S122のYES判定の場合にS102の処理が実行されることとしてもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラムによれば、複数のセンサ系統において正常観測が可能な状態でないセンサ系統があったとしても、各センサ系統における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整するため、センサ系統全体として、目標捜索及び/または目標追尾の機能を安定的に実行することが可能となる。例えば、あるセンサ系統に異常が発生した場合であっても、機能の割り当て状態が調整されることによって、正常なセンサ系統に機能を任せ、安定的に目標捜索及び/または目標追尾を行うことが可能となる。
【0085】
また、各センサ系統に異常が発生しているか否か、またはセンサ系統において機能超過が発生しているか否かによって、センサ系統において正常観測が可能な状態であるか否か(すなわち、機能の割り当て状態を調整する必要がないか否か)を効果的に判定することが可能となる。なお、機能超過とは、目標数の増加等によって目標追尾を担うセンサ系統で対応できる追尾能力を超えてしまうことである。
【0086】
また、センサ系統で観測可能な範囲外の観測情報に基づいて割り当て状態を調整することによって、観測範囲外の情報も加味して、機能の割り当て状態の調整を行うことが可能となる。なお、センサ系統で観測可能な範囲外の観測情報については、例えば他の宇宙機や地上局等から取得される。
【0087】
また、追尾中の目標物がなく、目標追尾を行う必要がない場合には、各センサ系統に対して目標捜索の機能の割り当てを行うことで、目標捜索を重視して観測を行うことが可能となる。そして、追尾中の目標物がなく、目標追尾を行う必要がある場合には、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。目標追尾を行う必要がある場合には、目標追尾に対して目標捜索を優先して機能の割り当てを行うため、目標捜索を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0088】
また、追尾中の目標物があり、追尾中の目標物の情報が不要である場合には、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。追尾中の目標物の情報が不要である場合には、目標追尾に対して目標捜索を優先して機能の割り当てを行うため、目標捜索を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0089】
また、目標物の情報が不要でなく、追尾周期の変更が必要であり、目標捜索を行う必要がない場合には、各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行うことで、目標追尾を重視して観測を行うことが可能となる。そして、目標物の情報が不要でなく、追尾周期の変更が必要であり、目標捜索を行う必要がある場合には、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。目標捜索を行う必要がある場合には、目標捜索に対して目標追尾を優先して機能の割り当てを行うため、目標追尾を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0090】
また、追尾周期の変更が必要でなく、目標捜索を行う必要がない場合には、各センサ系統に対して目標追尾の機能の割り当てを行うことで、目標追尾を重視して観測を行うことが可能となる。そして、追尾周期の変更が必要でなく、目標捜索を行う必要がある場合には、各センサ系統に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。目標捜索を行う必要がある場合には、目標捜索に対して目標追尾を優先して機能の割り当てを行うため、目標追尾を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0091】
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
【0092】
以上説明した各実施形態に記載の観測制御装置、観測システム、及び宇宙機、並びに観測制御方法、並びに観測制御プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る観測制御装置(60)は、観測を行うために宇宙機(1)に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御装置(60)であって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する判定部(62)と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する調整部(63)と、を備える。
【0093】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、複数の検知手段において正常観測が可能な状態でない検知手段があったとしても、各検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整するため、検知手段全体として、目標捜索及び/または目標追尾の機能を安定的に実行することが可能となる。例えば、ある検知手段に異常が発生した場合であっても、機能の割り当て状態が調整されることによって、正常な検知手段に機能を任せ、安定的に目標捜索及び/または目標追尾を行うことが可能となる。
【0094】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記判定部(62)は、各前記検知手段に異常が発生しているか否か、及び前記検知手段において機能超過が発生しているか否かの少なくともいずれか1方により、正常観測が可能な状態であるか否かを判定することとしてもよい。
【0095】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、各検知手段に異常が発生しているか否か、または検知手段において機能超過が発生しているか否かによって、検知手段において正常観測が可能な状態であるか否か(すなわち、機能の割り当て状態を調整する必要がないか否か)を効果的に判定することが可能となる。なお、機能超過とは、目標数の増加等によって目標追尾を担う検知手段で対応できる追尾能力を超えてしまうことである。
【0096】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記機能超過は、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離の少なくともいずれか1つに基づいて判定されることとしてもよい。
【0097】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標追尾は、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離によって能力制限があるため、目標追尾数、追尾周期、及び追尾対象間の距離の少なくともいずれか1つに基づくことで機能超過を判定することが可能となる。
【0098】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、各前記検知手段に対して目標捜索及び/または目標追尾に関する検知周期を調整することにより、割り当て状態を調整することとしてもよい。
【0099】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標捜索及び/または目標追尾に関する検知周期を調整することによって、各検知手段における機能の割り当て状態を効果的に調整することが可能となる。
【0100】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、前記検知手段で観測可能な範囲外の観測情報を取得し、前記観測情報に基づいて割り当て状態を調整することとしてもよい。
【0101】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、検知手段で観測可能な範囲外の観測情報に基づいて割り当て状態を調整することによって、観測範囲外の情報も加味して、機能の割り当て状態の調整を行うことが可能となる。なお、検知手段で観測可能な範囲外の観測情報については、例えば他の宇宙機(1)や地上局等から取得される。
【0102】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、追尾中の目標物がない場合に、目標追尾を行う必要があるか否かを判定し、目標追尾を行う必要がない場合に、各前記検知手段に対して目標捜索の機能の割り当てを行い、目標追尾を行う必要がある場合に、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0103】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、追尾中の目標物がなく、目標追尾を行う必要がない場合には、各検知手段に対して目標捜索の機能の割り当てを行うことで、目標捜索を重視して観測を行うことが可能となる。そして、追尾中の目標物がなく、目標追尾を行う必要がある場合には、各検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0104】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、目標追尾を行う必要がある場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0105】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標追尾を行う必要がある場合には、目標追尾に対して目標捜索を優先して機能の割り当てを行うため、目標捜索を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0106】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、前記追尾中の目標物がある場合に、前記追尾中の目標物の情報が不要か否かを判定し、前記追尾中の目標物の情報が不要である場合に、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0107】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、追尾中の目標物があり、追尾中の目標物の情報が不要である場合には、各検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0108】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、前記追尾中の目標物の情報が不要である場合に、目標追尾に対して目標捜索を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0109】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、追尾中の目標物の情報が不要である場合には、目標追尾に対して目標捜索を優先して機能の割り当てを行うため、目標捜索を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0110】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、前記目標物の情報が不要でない場合に、正常観測が可能な各前記検知手段において前記目標物の追尾のために追尾周期の変更が必要か否かを判定し、追尾周期の変更が必要である場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各前記検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0111】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標物の情報が不要でなく、追尾周期の変更が必要であり、目標捜索を行う必要がない場合には、各検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行うことで、目標追尾を重視して観測を行うことが可能となる。そして、目標物の情報が不要でなく、追尾周期の変更が必要であり、目標捜索を行う必要がある場合には、各検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0112】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0113】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標捜索を行う必要がある場合には、目標捜索に対して目標追尾を優先して機能の割り当てを行うため、目標追尾を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0114】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、追尾周期の変更が必要でない場合に、目標捜索を行う必要があるか否かを判定し、目標捜索を行う必要がない場合に各前記検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行い、目標捜索を行う必要がある場合に各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0115】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、追尾周期の変更が必要でなく、目標捜索を行う必要がない場合には、各検知手段に対して目標追尾の機能の割り当てを行うことで、目標追尾を重視して観測を行うことが可能となる。そして、追尾周期の変更が必要でなく、目標捜索を行う必要がある場合には、各検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うことで、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0116】
本開示に係る観測制御装置(60)は、前記調整部(63)は、目標捜索を行う必要がある場合に、目標捜索に対して目標追尾を優先して、各前記検知手段に対して目標捜索及び目標追尾のそれぞれの機能の割り当てを行うこととしてもよい。
【0117】
本開示に係る観測制御装置(60)によれば、目標捜索を行う必要がある場合には、目標捜索に対して目標追尾を優先して機能の割り当てを行うため、目標追尾を重視しつつ、目標捜索及び目標追尾の両方の観測を行うことが可能となる。
【0118】
本開示に係る観測システム(50)は、複数の検知手段と、上記の観測制御装置(60)と、を備える。
【0119】
本開示に係る宇宙機(1)は、上記の観測システム(50)を備える。
【0120】
本開示に係る観測制御方法は、観測を行うために宇宙機(1)に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御方法であって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する工程と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する工程と、を有する。
【0121】
本開示に係る観測制御プログラムは、観測を行うために宇宙機(1)に搭載された複数の検知手段に適用可能な観測制御プログラムであって、各前記検知手段において正常観測が可能な状態であるか否かを判定する処理と、各前記検知手段のうち少なくとも1つに対して正常観測が可能な状態でないと判定された場合に、各前記検知手段における目標捜索及び/または目標追尾の機能の割り当て状態を調整する処理と、をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0122】
1 :人工衛星(宇宙機)
2 :走査範囲
3 :観測範囲
4 :人工衛星
11 :CPU
12 :ROM
13 :RAM
14 :ハードディスクドライブ
15 :通信部
18 :バス
31 :ミラー
32 :ジンバル
33 :レンズ
34 :検知器
35 :冷凍機
40 :回路部
41 :ジンバル制御回路
42 :信号処理回路
43 :検知器駆動回路
44 :冷凍機駆動回路
50 :観測装置
51 :電源回路
52 :バス部
53 :上位制御装置
60 :観測制御装置
62 :判定部
63 :調整部
E :地球
O :軌道