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特許7427476シート包装体、及びシート包装体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】シート包装体、及びシート包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240129BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20240129BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/16 C
A47K10/16 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020033997
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133991
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-224362(JP,A)
【文献】実開昭59-115786(JP,U)
【文献】実開昭58-012178(JP,U)
【文献】特開2012-035889(JP,A)
【文献】国際公開第00/061458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、
第1方向に延びて前記包装袋の天面に取出口を形成するミシン目とを有し、
前記天面は、
前記第1方向に延びる山折線を有する上面と、
前記第1方向に延びる谷折線を有する下面と、
前記上面の一部と前記下面の一部との間に重なるように前記山折線と前記谷折線とを接続する中間面とを有し、
前記ミシン目の全部が直線状に前記中間面のみに設けられている、シート包装体。
【請求項2】
前記ミシン目の少なくとも一部が、前記下面の一部に直線状に設けられている、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記ミシン目の少なくとも一部が、前記第1方向と交差する第2方向の前記山折線側から前記谷折線側に向かって凸となるように前記中間面に設けられている、請求項1または2に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記ミシン目の少なくとも一部が、前記第1方向と交差する第2方向の前記谷折線側から前記山折線側に向かって凸となるように前記下面の一部に設けられている、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記ミシン目の少なくとも一部が、円弧状に設けられている、請求項またはに記載のシート包装体。
【請求項6】
積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面に取出口を形成するミシン目とを有し、前記天面は、山折線を有する上面と、谷折線を有する下面と、前記上面の一部と前記下面の一部との間に重なるように前記山折線と前記谷折線とを接続する中間面とを有するシート包装体の製造方法であって、
フィルムの延伸方向に延びるミシン目を前記フィルムに形成するミシン目形成工程と、
前記延伸方向に延びる前記山折線と前記延伸方向と直交する直行方向に並んで前記延伸方向に延びる前記谷折線とに沿って前記フィルムを折込むフィルム折込工程とを有し、
前記ミシン目形成工程で、前記フィルムを折り込んだ後の前記ミシン目が平面視で前記山折線と前記谷折線の間に配置され、且つ前記ミシン目の全部が直線状に前記中間面のみに設けられるように、前記ミシン目を形成する、シート包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体、及びシート包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポケットティシュー等のシート包装体では、ティシューペーパー等のシートが樹脂フィルム製の包装袋に収容されている。包装袋の天面にはミシン目等が形成されており、このミシン目を開裂することで包装袋の天面に取出口が形成される。この取出口から包装袋内に指先を挿入し最上部にあるシートを摘むことで、シートが外部に引き出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-47270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、衛生的に使用することができるシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、第1方向に延びて前記包装袋の天面に取出口を形成するミシン目とを有し、前記天面は、前記第1方向に延びる山折線を有する上面と、前記第1方向に延びる谷折線を有する下面と、前記上面の一部と前記下面の一部との間に重なるように前記山折線と前記谷折線とを接続する中間面とを有し、前記ミシン目は、前記下面の一部または前記中間面の少なくともいずれかに設けられている、シート包装体である。
【0006】
本明細書において、第1方向は、包装袋の天面上の所定の一方向に沿う方向を示す。取出口を形成するミシン目は、開裂すると取出口の開口が形成されるミシン目を示す。山折線は、第1方向と直交する方向の側面側から見て外側に見える折目線を示す。谷折線は、第1方向と直交する方向の側面側から見て内側に隠れる折目線を示す。
【0007】
上面は、天面のうち天面の上方側に配置された部分を示す。上面の一部は、上面の山折線寄りの部分を示す。下面は、天面のうち天面の下方側に配置された部分を示す。下面の一部は、下面の谷折線寄りの部分を示す。中間面は、天面のうち上面の一部と下面の一部との間に配置された部分を示す。
【0008】
第1の態様では、包装袋の天面に取出口を形成するミシン目が、下面の一部または上面の一部と下面の一部との間に重なるように山折線と谷折線とを接続する中間面の少なくともいずれかに設けることができる。これにより、ミシン目が開裂した後の取出口の開口を上面の一部で覆うことができる。そのため、第1の態様では、取出口から包装袋内にゴミや埃等(以下、塵埃という)が入りにくくなり、シート包装体を衛生的に使用することができる。
【0009】
また、第1の態様では、下面の一部または山折線と谷折線とを接続する中間面の少なくともいずれかにミシン目が形成されていることで、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張ると、ミシン目を開裂することができる。そのため、第1の態様では、取出口の開封が容易である。
【0010】
また、第1の態様では、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張るだけで、ミシン目を開裂することができるので、包装袋の天面を押え付けずに取出口を開封できる。そのため、第1の態様によれば、取出口の開封時にシートが破れたり、シートの収容状態が乱れるのを防ぐことができる。
【0011】
さらに、第1の態様では、天面の上面に山折線を有し、下面に谷折線を有し、中間面が上面の一部と下面の一部との間に重なるように山折線と谷折線とを接続することで、取出口がリブ構造を構成することができる。これにより、取出口が開口した後も包装袋の形状が保たれやすい。そのため、第1の態様では、包装袋内でシートの収容状態が乱れにくく、シート包装体を最後まできれいに使用することができる。
【0012】
本発明に係る第2の態様は、前記ミシン目の少なくとも一部が、前記下面の一部に直線状に設けられている、シート包装体である。本明細書において、ミシン目の少なくとも一部が、直線状に設けられているとは、ミシン目の全部が直線状である場合と、ミシン目の一部が直線状でその他の一部が曲線状等の他の形状であることを示す。
【0013】
第2の態様では、下面の一部にミシン目の少なくとも一部を直線状に設けることで、ミシン目が開裂した後に上面の一部と上面の山折線に接続する中間面とミシン目に沿って下面から切断されて谷折線を介して中間面に接続する部分とで取出口を覆うことができる。これにより、第2の態様では、さらに包装袋内に塵埃が入りにくくなる。
【0014】
本発明に係る第3の態様では、前記ミシン目の少なくとも一部が、前記中間面に直線状に設けられている、シート包装体である。第3の態様では、上面の一部と下面の一部との間に重なる中間面にミシン目の少なくとも一部を直線状に設けることで、ミシン目に沿って中間面から切断されて谷折線を介して下面に接続する部分が、下面に沿って進入する塵埃を取出口の手前でブロックすることができる。これにより、第3の態様では、さらに包装袋内に塵埃が入りにくくなる。
【0015】
本発明に係る第4の態様は、前記ミシン目の少なくとも一部が、前記第1方向と交差する第2方向の前記山折線側から前記谷折線側に向かって凸となるように前記中間面に設けられている、シート包装体である。ここで、第1方向と交差する第2方向は、包装袋の天面上で第1方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。山折線側から谷折線側に向かって凸となるとは、平面視で山折線から谷折線に向かう方向に凸状に形成されていることを示す。
【0016】
第4の態様では、ミシン目の少なくとも一部を第1方向と交差する第2方向の山折線側から谷折線側に向かって凸となるように中間面に設けることで、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張ったときに、ミシン目をスムーズに開裂することができる。そのため、第の態様では、取出口の開封時に取出口の周辺で天面が破れることを防ぐことができる。
【0017】
また、第4の態様では、取出口が開口された後に、ミシン目に沿って中間面から切断されて山折線を介して上面に接続する部分が、取出口を覆いながら上面から延出する自由端を構成し、このような自由端をつまむことで、取出口の開口を拡げることができる。そのため、第4の態様では、上面の一部によって取出口が覆われる場合でも、取出口からのシートの取り出しを容易に行うことができる。
【0018】
本発明に係る第5の態様は、前記ミシン目の少なくとも一部が、前記第1方向と交差する第2方向の前記谷折線側から前記山折線側に向かって凸となるように前記下面の一部に設けられている、シート包装体である。ここで、谷折線側から山折線側に向かって凸となるとは、平面視で谷折線から山折線に向かう方向に凸状に形成されていることを示す。
【0019】
第5の態様では、ミシン目の少なくとも一部を第1方向と交差する第2方向の谷折線側から山折線側に向かって凸となるように下面の一部に設けることで、平面視で谷折線側から山折線側に向かって凸状に拡がる開口を下面に形成することができる。これにより、第5の態様では、取出口から包装袋内に指先が挿入しやすくなり、シートの取り出しが容易になる。
【0020】
本発明に係る第6の態様は、前記ミシン目の少なくとも一部が、円弧状に設けられている、シート包装体である。第6の態様では、ミシン目の少なくとも一部を円弧状に設けることで、ミシン目の少なくとも一部を第1方向と交差する第2方向の山折線側から谷折線側に向かって凸となるように中間面に設ける場合に、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張ったときに、ミシン目をさらにスムーズに開裂することができる。
【0021】
また、第6の態様では、取出口が開口された後に、ミシン目に沿って中間面から切断されて山折線を介して上面に接続する部分を、円弧状の自由端となるように上面から延出させることができる。これにより、第6の態様では、円弧状の自由端がつまみやすくなり、取出口の開口を拡げやすくなることで、上面の山折線寄りの一部によって取出口が覆われる場合でも、取出口からのシートの取り出しがさらに容易になる。
【0022】
さらに、第6の態様では、ミシン目の少なくとも一部を第1方向と交差する第2方向の谷折線側から山折線側に向かって凸となるように下面の一部に設ける場合に、下面に形成され平面視で谷折線側から山折線側に向かって凸状に拡がる開口の端縁を円弧状にすることができる。これにより、第6の態様では、取出口から包装袋内に指先を挿入しやすくなる。
【0023】
本発明に係る第7の態様は、積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面に取出口を形成するミシン目とを有するシート包装体の製造方法であって、フィルムの延伸方向に延びるミシン目を前記フィルムに形成するミシン目形成工程と、前記延伸方向に延びる山折線と前記延伸方向と直交する直行方向に並んで前記延伸方向に延びる谷折線とに沿って前記フィルムを折込むフィルム折込工程とを有し、前記ミシン目形成工程で、前記フィルムを折り込んだ後の前記ミシン目が平面視で前記山折線と前記谷折線の間に配置されるように、前記ミシン目を形成する、シート包装体の製造方法である。
【0024】
本明細書において、フィルムの延伸方向は、フィルム等の樹脂成形において樹脂を流す方向(流れ方向)を示す。直行方向は、延伸方向と直交する方向を示す。第7の態様では、フィルムを折り込んだ後のミシン目が平面視で山折線と谷折線の間に配置されるように、フィルムの延伸方向に延びるミシン目をフィルムに形成することで、第の態様に係るシート包装体を提供することができる。

【0025】
すなわち、第7の態様では、得られるシート包装体において、包装袋の天面に取出口を形成するミシン目が、下面の一部または上面の一部と下面の一部との間に重なるように山折線と谷折線とを接続する中間面の少なくともいずれかに設けることができる。このようなシート包装体では、ミシン目が開裂した後の取出口の開口を上面の一部で覆うことができる。そのため、第7の態様によれば、取出口から包装袋内に塵埃が入りにくい、衛生的なシート包装体を提供することができる。
【0026】
また、第7の態様では、得られるシート包装体において、下面の一部または上面の一部と下面の一部との間に重なるように山折線と谷折線とを接続する中間面の少なくともいずれかに、包装袋の天面に取出口を形成するミシン目を形成することができる。このようなシート包装体では、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張ると、ミシン目を開裂することができる。そのため、第7の態様によれば、取出口の開封が容易なシート包装体を提供することができる。
【0027】
また、第7の態様では、得られるシート包装体において、天面の上面の山折線寄りの一部を天面の上方に引っ張るだけで、ミシン目を開裂することができるので、包装袋の天面を押え付けずに取出口を開封できる。そのため、第7の態様によれば、取出口の開封時にシートが破れたり、シートの収容状態が乱れるのを防ぐことができるシート包装体を提供することができる。
【0028】
さらに、第7の態様では、得られるシート包装体において、天面の上面に山折線を有し、下面に谷折線を有し、中間面が上面の一部と下面の一部との間に重なるように山折線と谷折線とを接続することで、取出口がリブ構造を構成することができる。これにより、取出口が開口した後も包装袋の形状が保たれやすくなる。そのため、第7の態様では、包装袋内でシートの収容状態が乱れにくく、最後まできれいに使用することができるシート包装体を提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、衛生的に使用することができるシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係るシート包装体を示す図である。
図2図1のシート包装体に収容されたシート積層体を示す図である。
図3図1のシート包装体を天面側から見た図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5図3においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
図6図4においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
図7】第2実施形態に係るシート包装体の断面図(図4に対応する断面図)である。
図8図7においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
図9】第3実施形態に係るシート包装体を天面側から見た図(図3に対応する図)である。
図10図9においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
図11】第1実施形態に係るシート包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図12図7においてミシン目形成工程を示す図である。
図13図7おいてフィルム折込工程を示す図である。
図14図7においてシール工程を示す図である。
図15図7において裁断工程を示す図である。
図16】第2実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。
図17】第3実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。
図18】第3実施形態の第1変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。
図19】第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。
図20】第4実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図では、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0032】
なお、各図において、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート包装体の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向)をZ方向とする。また、上方は、シート包装体の高さ方向(Z方向)において、包装袋の天面の上側を示し、下方は、シート包装体の高さ方向(Z方向)において、包装袋の天面の下側を示す。
【0033】
図1は、第1実施形態に係るシート包装体を示す図である。図2は、図1のシート包装体に収容されたシート積層体を示す図である。図3は、図1のシート包装体を天面側から見た図である。図4は、図3のA-A線断面図である。図5は、図3においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。図6は、図4においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
【0034】
第1実施形態に係るシート包装体100は、図1に示すように、包装袋10とミシン目PFを有する。シート包装体100は、実施形態に係るシート包装体の一例である。ミシン目PFは、実施形態に係るシート包装体において取出口を形成するミシン目の一例である。
【0035】
包装袋10は、図1に示すように、積層された複数枚(または複数組)のシートS(以下、シート積層体SLという)が収容される。シート積層体SLは、シートSの積層方向(LD方向)が高さ方向(Z方向)となるように、包装袋10に収容されている(図1図2参照)。シート積層体SLは、包装袋10に形成される取出口20(開口OP)を通してシートSが1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるようになっている(図5図6参照)。
【0036】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、シートSの端縁EがつまめるようにシートSが折りたたまれた状態で積層されたもの(図2参照)、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体)、複数枚のシートSが単に積層されたもの等を採用することができる。
【0037】
また、シート積層体SLの寸法は、シート包装体100の長手方向(X方向)の長さを80mm以上195mm以下、シート包装体100の長手方向(X方向)に直交する短手方向(Y方向)の幅を50mm以上145mm以下、高さ方向(Z方向)の高さを5mm以上80mm以下とすることができる(図2参照)。
【0038】
なお、シート積層体SLの態様は、特に限定されない。例えば、1枚(または1組)のシートが、Z折りにされ、上下の折り返し縁部が各々半分に折り返され、さらに長手方向の中央で2つ折りに折り畳まれた状態で積層されたものを用いることができる。
【0039】
シート積層体SLを構成するシートSの態様は、特に限定されず、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。さらに、これらの衛生薄葉紙には、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム等の水溶液、芳香剤等の香料、消臭剤等の薬剤等が含まれていてもよい。
【0040】
また、シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートとしては、これらの中でも、家庭用、携帯用のローションティシューが好適に用いられる。
【0041】
シートSのプライ数は、特に限定されず、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライであり、より好ましくは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、2プライのシートが折り畳まれた状態の形状が平面視で四角形(長方形、正方形等)であることが好ましい。
【0042】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙製のシート(以下、紙シートという)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0043】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されず、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0044】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。
【0045】
また、シートS(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートS(紙シートの紙厚は、2プライあたり、50μm以上500μm以下にすることができ、好ましくは60μm以上330μm以下、より好ましくは100μm以上200μm以下である。
【0046】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0047】
包装袋10の包装態様は、特に限定されない。本実施形態では、例えば、ガセット状に折り込まれた筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ピロー包装)、筒状の可撓性フィルムの両端部を折り畳んでシール(封止)する包装(キャラメル包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
【0048】
本実施形態のシート包装体100では、包装袋10の第1方向(X方向)に対向する一対の側面(妻面15、16)に、シート積層体SLがピロー包装されるようにシール部30、40が形成されている(図1図3参照)。ここで、第1方向(X方向)は、包装袋10の天面11上の所定の一方向に沿う方向を示す(図1図2参照)。
【0049】
また、包装袋10を形成する可撓性フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の樹脂を用いることができる。
【0050】
なお、これらの可撓性フィルムの中でも、柔軟で取扱い性に優れ、ヒートシールした場合のシール性が高く、安価であること等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である観点から、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0051】
包装袋10を形成する可撓性フィルムの形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、または、上述の2種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0052】
包装袋10を形成する可撓性フィルムの厚みは、特に限定されず、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは15μm以上70μm以下である。可撓性フィルムの厚みを10μm以上とすることで、シートSが収容される包装袋10としての十分な強度を確保することができる。また、可撓性フィルムの厚みを100μm以下とすることで、包装袋10の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0053】
なお、包装袋10を形成する材質は、上述した可撓性フィルム等の樹脂材料に限定されず、紙材料(クラフト紙等)を用いてもよい。また、包装袋10を形成する材質には、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いることができる。
【0054】
また、包装袋10は、天面11、底面12、側面(正面)13、側面(背面)14、妻面15、妻面16を有する。シート包装体100では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向し、側面13と側面14が前後方向(Y方向)に対向し、妻面15と妻面16が左右方向(X方向)に対向する。そして、妻面15、16は、天面11、底面12、側面13、14のいずれにも連続する(図1図3図4参照)。
【0055】
また、包装袋10の寸法は、シート包装体100の長手方向(X方向)の長さを80mm以上200mm以下、シート包装体100の長手方向(X方向)に直交する短手方向(Y方向)の幅を50mm以上150mm以下、高さ方向(Z方向)の高さを5mm以上50mm以下とすることができる(図1図4参照)。なお、この包装袋10の寸法は、包装袋10にシート積層体SLが収容された状態での寸法を示す(図1図4参照)。
【0056】
ミシン目PFは、第1方向(X方向)に延びて包装袋10の天面11に取出口20を形成する。具体的には、ミシン目PFが開裂すると、包装袋10の天面11に開口OPが形成され、この開口OPが取出口20となる(図1図3図6)。ミシン目PFは、カットCとタイT(2つのカットC間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる開裂用切目線である(図3参照)。
【0057】
ミシン目PFにおいて、カットCの長さ、及びタイTの長さは、任意である。各カットCの長さは、0.8mm以上5.0mm以下にすることができ、好ましくは1.5mm以上4.5mm以下、より好ましくは2.5mm以上3.5mm以下である。また、各タイTの長さは、0.3mm以上5.0mm以下にすることができ、好ましくは0.4mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。
【0058】
本実施形態のシート包装体100では、包装袋10の天面11が、上面50、下面60、及び中間面70を有する。上面50は、第1方向(X方向)に延びる山折線MFを有する。具体的には、上面50は、包装袋10の側面14に接続する一端51から山折線MFが設けられた他端52に向かって第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に延びている(図1図3図4参照)。
【0059】
ここで、上面50は、天面11のうち天面11の上方側に配置された部分を示す。第1方向(X方向)は、包装袋10の天面11上の所定の一方向に沿う方向を示す。山折線MFは、第2方向(Y方向)の側面13側から見て、外側に見える折目線を示す(図1図3図4参照)。
【0060】
下面60は、第1方向(X方向)に延びる谷折線VFを有する。具体的には、下面60は、包装袋10の側面13に接続する一端61から谷折線VFが設けられた他端62に向かって第2方向(Y方向)に延びている(図1図3図4参照)。ここで、下面60は、天面11のうち天面11の下方側に配置された部分を示す。谷折線VFは、第2方向(Y方向)の側面13側から見て、内側に隠れる折目線を示す(図1図3図4参照)。
【0061】
中間面70は、上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続する。具体的には、中間面70は、上面50の他端52に設けられた山折線MFから下面60の他端62に設けられた谷折線VFに向かって第2方向(Y方向)に延びるベース73を有する(図1図3図4参照)。
【0062】
ここで、上面50の一部53は、上面50の山折線MF寄りの部分を示す下面60の一部63は、下面60の谷折線VF寄りの部分を示す。中間面70は、天面11のうち上面50の一部と下面60の一部63との間に配置された部分を示す。なお、本実施形態では、中間面70の一端71は、上面50の他端52(山折線MF)に対応し、中間面70の他端72は、下面60の他端62(谷折線VF)に対応する(図1図3図4参照)。
【0063】
本実施形態のシート包装体100では、ミシン目PFが、下面60の一部63または中間面70の少なくともいずれかに設けられている。すなわち、ミシン目PFは、下面60の一部63のみに設けられていてもよく、中間面70のみに設けられていてもよく、下面60の一部63および中間面70の両方に設けられていてもよい。
【0064】
第1実施形態では、ミシン目PFの少なくとも一部が、下面60の一部63に直線状に設けられている。本明細書において、ミシン目PFの少なくとも一部が直線状に設けられているとは、ミシン目PFの全部が直線状である場合と、ミシン目PFの一部が直線状でその他の一部が曲線状等の他の形状であることを示す。本実施形態では、ミシン目PFの全部が直線状に下面60の一部63のみに形成されている(図1図3図4参照)。
【0065】
本実施形態では、上述のように、包装袋10の天面11に取出口20を形成するミシン目PFが、下面60の一部63または上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続する中間面70の少なくともいずれかに設けることができる(図1図3図4参照)。
【0066】
これにより、ミシン目PFが開裂した後の取出口20の開口OPを上面50の一部53で覆うことができる。そのため、本実施形態では、取出口20から包装袋10内にゴミや埃等(以下、塵埃という)が入りにくくなり、シート包装体100を衛生的に使用することができる(図5図6参照)。
【0067】
また、本実施形態では、下面60の一部63または山折線MFと谷折線VFとを接続する中間面70の少なくともいずれかにミシン目PFが形成されていることで、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張ると、ミシン目PFを開裂することができる。そのため、本実施形態では、取出口20の開封が容易である(図1図3図6参照)。
【0068】
また、本実施形態では、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張るだけで、ミシン目PFを開裂することができるので、包装袋10の天面11を押え付けずに取出口20を開封できる。そのため、本実施形態によれば、取出口20の開封時にシートSが破れたり、シートSの収容状態(シート積層体SLの積層状態)が乱れるのを防ぐことができる(図1図3図6参照)。
【0069】
さらに、本実施形態では、天面11の上面50に山折線MFを有し、下面60に谷折線VFを有し、中間面70が上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続することで、取出口20がリブ構造(重畳部80)を構成することができる(図1図3図4参照)。
【0070】
なお、重畳部80は、上下に重なる3つの部分81、82、83で構成されている。このうち重畳部80の部分81は、上面50の一部53に対応し、部分82は、中間面70のベース73に対応し、部分83は、下面60の一部63に対応する。
【0071】
これにより、取出口20が開口した後も包装袋10の形状が保たれやすくなる。そのため、本実施形態では、包装袋10内でシートSの収容状態(シート積層体SLの積層状態)が乱れにくく、シート包装体100を最後まできれいに使用することができる(図5図6)。
【0072】
また、第1実施形態では、上述のように、下面60の一部63にミシン目PFの少なくとも一部(本実施形態では、ミシン目PFの全部)を直線状に設けることで、ミシン目PFが開裂した後に上面50の一部53と上面50の山折線MFに接続する中間面70とミシン目PFに沿って下面60から切断されて谷折線VFを介して中間面70に接続する部分(下面60に残存部分63Aを残して開裂部分63Cで切断された切断部分63B)とで取出口20を覆うことができる。これにより、第1実施形態では、さらに包装袋10内に塵埃が入りにくくなる(図4参照)。
【0073】
図7は、第2実施形態に係るシート包装体の断面図(図4に対応する断面図)である。図8は、図7においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
【0074】
第2実施形態に係るシート包装体100は、ミシン目PFの少なくとも一部が、中間面70に直線状に設けられている。本実施形態では、ミシン目PFの全部が直線状に中間面70のみに形成されている(図7図8参照)。第2実施形態では、上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なる中間面70にミシン目PFの少なくとも一部が直線状に設けられている(図7参照)。
【0075】
そのため、ミシン目PFに沿って中間面70から切断されて谷折線VFを介して下面60に接続する部分(上面50に接続する切断部分73Bを残して開裂部分73Cで切断された残存部分73A)が、下面60に沿って進入する塵埃を取出口20の手前でブロックすることができる。これにより、第2実施形態では、さらに包装袋10内に塵埃が入りにくくなる(図8参照)。
【0076】
図9は、第3実施形態に係るシート包装体を天面側から見た図(図3に対応する図)である。図10は、図9においてミシン目を開裂(取出口が開口)した図である。
【0077】
第3実施形態に係るシート包装体100は、ミシン目PFの一部21が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けられている。ここで、山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるとは、平面視で山折線MFから谷折線VFに向かう方向に凸状に形成されていることを示す(図9参照)。
【0078】
また、第3実施形態に係るシート包装体100は、ミシン目PFの一部22が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設けられている。ここで、谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるとは、平面視で谷折線VFから山折線MFに向かう方向に凸状に形成されていることを示す(図9参照)。
【0079】
さらに、第3実施形態に係るシート包装体100は、ミシン目PFの一部21、22が、円弧状に設けられている(図9参照)。ミシン目PFの一部21、22は、連続して設けられている。
【0080】
第3実施形態では、上述のように、ミシン目PFの一部21を第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けることで、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張ったときに、ミシン目PFをスムーズに開裂することができる。そのため、第3実施形態では、取出口20の開封時に取出口20の周辺で天面11が破れることを防ぐことができる(図9図10参照)。
【0081】
また、第3実施形態では、取出口20が開口された後に、ミシン目PFに沿って中間面70から切断されて山折線MFを介して上面50に接続する部分(切断部分73B)が、取出口20を覆いながら上面50から延出する自由端21Aを構成し、このような自由端をつまむことで、取出口20の開口OPを拡げることができる。そのため、第3実施形態では、上面50の一部53によって取出口20が覆われる場合でも、取出口20からのSの取り出しを容易に行うことができる(図9図10参照)。
【0082】
第3実施形態では、上述のように、ミシン目PFの一部22を第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設けることで、平面視で谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸状に拡がる開口OPを下面60に形成することができる。これにより、第3実施形態では、取出口20から包装袋10内に指先が挿入しやすくなり、シートSの取り出しが容易になる(図9図10参照)。
【0083】
第3実施形態では、上述のように、ミシン目PFの一部21を円弧状に設けることで、ミシン目PFの少なくとも一部を第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設ける場合に、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張ったときに、ミシン目PFをさらにスムーズに開裂することができる(図9図10参照)。
【0084】
また、第3実施形態では、取出口20が開口された後に、ミシン目PFに沿って中間面70から切断されて山折線MFを介して上面50に接続する部分を、円弧状の自由端21Aとなるように上面50から延出させることができる。これにより、第3実施形態では、円弧状の自由端21Aがつまみやすくなり、取出口20の開口OPを拡げやすくなることで、上面50の山折線MF寄りの一部53によって取出口20が覆われる場合でも、取出口20からのシートS(シート積層体SL)の取り出しがさらに容易になる(図9図10参照)。
【0085】
さらに、第3実施形態では、ミシン目PFの一部22を第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設ける場合に、下面60に形成され平面視で谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸状に拡がる開口OPの端縁20Aを円弧状にすることができる。これにより、第3実施形態では、取出口20から包装袋10内に指先を挿入しやすくなる(図9図10参照)。
【0086】
図11は、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。図12は、図7においてミシン目形成工程を示す図である。図13は、図7おいてフィルム折込工程を示す図である。図14は、図7においてシール工程を示す図である。図15は、図7において裁断工程を示す図である。
【0087】
第1実施形態に係るシート包装体の製造方法は、積層された複数枚のシートS(シート積層体SL)を収容する包装袋10と、包装袋10の天面11に取出口20を形成するミシン目PFとを有する、上述のシート包装体100を製造する方法である。具体的には、図11に示すように、ミシン目形成工程S1、フィルム折込工程S2、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を有する。
【0088】
ミシン目形成工程S1では、フィルムFSの延伸方向MDに延びるミシン目PFをフィルムFSに形成する。ここで、フィルムFSの延伸方向MDは、フィルムFS等の樹脂成形において樹脂を流す方向(流れ方向)を示す。本実施形態では、フィルムFSの端縁F1から端縁F2に向かう方向が延伸方向MDとなる(図12参照)。
【0089】
本実施形態の製造方法では、ミシン目形成工程S1で、フィルムFSに延伸方向MDに延びる山折線MFと直行方向TDに並んで延伸方向MDに延びる谷折線VFを設ける。そして、後述のように、フィルムFSを折り込んだ後のミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置されるように、ミシン目PFを形成する(図12参照)。ここで、直行方向TDは、延伸方向MDと直交する方向を示す。
【0090】
具体的には、後述のようにフィルムFSを折り込んだ後にフィルムFSに山折線MFが重なる線を仮想線OLとしたとき、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、谷折線VFと仮想線OLとの間に延伸方向MDに延びるミシン目PFを形成する(図12参照)。なお、ミシン目形成工程S1は、本実施形態に係るシート包装体の製造方法におけるミシン目形成工程の一例である。
【0091】
フィルム折込工程S2では、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折込む(図11図13参照)。具体的には、フィルムFSを、延伸方向MDに延びる山折線MFに沿って山折りに曲げ、山折線MFと直行方向TDに並んで延伸方向MDに延びる谷折線VFに沿って谷折りに曲げる。
【0092】
これにより、フィルムFSが折込まれた状態で、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置される(図13参照)。なお、フィルム折込工程S2は、本実施形態に係るシート包装体の製造方法におけるフィルム折込工程の一例である。
【0093】
ウエブ包装工程S3では、フィルムFS上に、延伸方向MDに一定の間隔でウエブ(シート積層体SL)を配置する。そして、シール工程S4では、フィルムFSを直行方向TD方向に筒状にして各ウエブを包装し、ウエブが配置されていない部分を延伸方向MDに一定の間隔で直行方向TDに沿ってシールする。なお、シールの態様は、特に限定されず、例えば、ヒートシールHS(熱溶着)を行うことができる(図11図14参照)。
【0094】
裁断工程S5では、延伸方向MDに一定の間隔でシールした部分を裁断線CLとして直行方向TDに沿って裁断する(図11図15参照)。これにより、複数の個包装体として第1実施形態のシート包装体100が得られる(図15参照)。
【0095】
第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、フィルムFSを折り込んだ後のミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置されるように、フィルムFSの延伸方向MDに延びるミシン目PFをフィルムFSに形成することで、第1実施形態に係るシート包装体100を提供することができる。
【0096】
すなわち、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、得られるシート包装体100において、包装袋10の天面11に取出口20を形成するミシン目PFが、下面60の一部63または上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続する中間面70の少なくともいずれかに設けることができる(図1図3図4参照)。
【0097】
このようなシート包装体100では、ミシン目PFが開裂した後の取出口20の開口OPを上面50の一部53で覆うことができる。そのため、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、取出口20から包装袋10内に塵埃が入りにくい、衛生的なシート包装体100を提供することができる(図5図6参照)。
【0098】
また、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、得られるシート包装体100において、下面60の一部63または上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続する中間面70の少なくともいずれかに、包装袋10の天面11に取出口20を形成するミシン目PFを形成することができる(図1図3図4参照)。
【0099】
このようなシート包装体100では、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張ると、ミシン目PFを開裂することができる。そのため、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、取出口20の開封が容易なシート包装体100を提供することができる(図1図3図6参照)。
【0100】
また、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、得られるシート包装体100において、天面11の上面50の山折線MF寄りの一部53を天面11の上方に引っ張るだけで、ミシン目PFを開裂することができるので、包装袋10の天面11を押え付けずに取出口20を開封できる。そのため、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、取出口20の開封時にシートSが破れたり、シートSの収容状態(シート積層体SLの積層状態)が乱れるのを防ぐことができるシート包装体を提供することができる(図1図3図6参照)。
【0101】
さらに、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、得られるシート包装体100において、天面11の上面50に山折線MFを有し、下面60に谷折線VFを有し、中間面70が上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なるように山折線MFと谷折線VFとを接続することで、取出口20がリブ構造(重畳部80)を構成することができる(図1図3図4参照)。
【0102】
これにより、取出口20が開口した後も包装袋10の形状が保たれやすくなる。そのため、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、包装袋10内でシートSの収容状態(シート積層体SLの積層状態)が乱れにくく、最後まできれいに使用することができるシート包装体100を提供することができる。
【0103】
また、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、上述のように、下面60の一部63にミシン目PFの少なくとも一部(本実施形態では、ミシン目PFの全部)を直線状に設けることで、ミシン目PFが開裂した後に上面50の一部53と上面50の山折線MFに接続する中間面70とミシン目PFに沿って下面60から切断されて谷折線VFを介して中間面70に接続する部分(下面60に残存部分63Aを残して開裂部分63Cで切断された切断部分63B)とで取出口20を覆うことができる。これにより、第1実施形態に係るシート包装体の製造方法では、さらに包装袋10内に塵埃が入りにくくなるシート包装体100が得られる(図4参照)。
【0104】
図16は、第2実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。第2実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程S1では、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、山折線MFと谷折線VFとの間に延伸方向MDに延びるミシン目PFを形成する(図16参照)。
【0105】
これにより、フィルム折込工程S2において、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折り込んだ後に、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置される(図13参照)。そして、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を実行することにより、複数の個包装体として第2実施形態に係るシート包装体100が得られる。
【0106】
すなわち、第2実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なる中間面70にミシン目PFの少なくとも一部が直線状に設けられたシート包装体100が得られる(図7参照)。
【0107】
図17は、第3実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。第3実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程S1では、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、山折線MFと仮想線OLとの間に山折線MF側から谷折線VF側に向かって直行方向TDに凸となる円弧状のミシン目PFを形成する(図17参照)。
【0108】
これにより、フィルム折込工程S2において、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折り込んだ後に、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置される(図17参照)。そして、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を実行することにより、第3実施形態に係るシート包装体100が得られる。
【0109】
すなわち、第3実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、ミシン目PFの一部21が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けられ、ミシン目PFの一部22が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設けられ、ミシン目PFの一部21、22が連続して設けられたシート包装体100が得られる(図9参照)。
【0110】
図18は、第3実施形態の第1変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。第3実施形態の第1変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程S1では、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、山折線MFと仮想線OLとの間に山折線MF側から谷折線VF側に向かって直行方向TDに凸となる台形状のミシン目PFを形成する(図18参照)。
【0111】
これにより、フィルム折込工程S2において、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折り込んだ後に、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置される(図18参照)。そして、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を実行することにより、第3実施形態の第1変形例に係るシート包装体100が得られる。
【0112】
すなわち、第3実施形態の第1変形例に係るシート包装体の製造方法によれば、ミシン目PFの一部21が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けられ、ミシン目PFの一部22が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設けられ、ミシン目PFの一部21、22が連続して設けられたシート包装体100が得られる。
【0113】
図19は、第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程S1では、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、山折線MFと仮想線OLとの間内IRから仮想線OLの外側ORに山折線MF側から谷折線VF側に向かって直行方向TDに凸となる円弧状のミシン目PFを形成する(図19参照)。
【0114】
これにより、フィルム折込工程S2において、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折り込んだ後に、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間内IR及び仮想線OLの外側ORに配置される(図19参照)。そして、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を実行することにより、第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体100が得られる。
【0115】
すなわち、第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体の製造方法によれば、ミシン目PFの一部21が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けられ、ミシン目PFの一部22が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63と重畳部80の下面60側の外側に設けられ、ミシン目PFの一部21、22が連続して設けられたシート包装体100が得られる。
【0116】
なお、第3実施形態の第2変形例に係るシート包装体の製造方法で得られたシート包装体100は、ミシン目PFが開裂した後の取出口20(開口OP)の一部が重畳部80の下面60側の外側に形成される。そして、ミシン目PFに沿って中間面70から切断されて山折線MFを介して上面50に接続する部分(上面50から延出する自由端21A)が、重畳部80の下面60側の外側に形成された取出口20(開口OP)の一部を含む取出口20(開口OP)全体を覆うことができる。
【0117】
図20は、第4実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程を示す図である。第4実施形態に係るシート包装体の製造方法においてミシン目形成工程S1では、フィルムFSを折り込む前のフィルムFSにおいて、山折線MFと谷折線VFとの間に延伸方向MDに延びるミシン目PFPM1、PM2を形成し、PFPM1、PM2と連続して仮想線OLとの間に山折線MF側から谷折線VF側に向かって直行方向TDに凸となる円弧状のミシン目PF3を形成する(図20参照)。
【0118】
これにより、フィルム折込工程S2において、山折線MFと谷折線VFとに沿ってフィルムFSを折り込んだ後に、ミシン目PFが平面視で山折線MFと谷折線VFの間に配置される(図20参照)。そして、ウエブ包装工程S3、シール工程S4、及び裁断工程S5を実行することにより、第4実施形態に係るシート包装体100が得られる。
【0119】
すなわち、第4実施形態に係るシート包装体の製造方法によれば、ミシン目PF1、PF2が上面50の一部53と下面60の一部63との間に重なる中間面70に設けられ、PF3の一部21が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の山折線MF側から谷折線VF側に向かって凸となるように中間面70に設けられ、ミシン目PF3の一部22が、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)の谷折線VF側から山折線MF側に向かって凸となるように下面60の一部63に設けられ、ミシン目PF1、PF2とPF3の一部21、22が連続して設けられたシート包装体100が得られる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
100 シート包装体
S シート
E 端縁
SL シート積層体
LD 積層方向
10 包装袋
11 天面
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
20 取出口
20A 端縁
21、22 一部
PF ミシン目
OP 開口
30 シール部
40 シール部
50 上面
51 一端
52 他端
53 一部
60 下面
61 一端
62 他端
63 一部
63A 残存部分
63B 切断部分
63C 開裂部分
70 中間面
71 一端
72 他端
73 ベース
73A 残存部分
73B 切断部分
73C 開裂部分
80 重畳部
81、82、83 部分
MF 山折線
VF 谷折線
FS フィルム
F1、F2、F3、F4 端縁
MD 延伸方向
TD 直行方向
OL 仮想線
CL 裁断線
HS ヒートシール
図1
図2
図3
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図20