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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】移動間仕切り装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/00 20060101AFI20240129BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240129BHJP
   E06B 7/18 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
E05D15/00 G
E04B2/74 561E
E06B7/18 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020044066
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021059966
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2019184939
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】中野 安能
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実公平7-6468(JP,Y2)
【文献】実公昭59-32709(JP,Y2)
【文献】特開平10-140945(JP,A)
【文献】特開2006-299691(JP,A)
【文献】特開2009-108662(JP,A)
【文献】実公平4-28000(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00
E06B 7/16-7/24
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを滑走可能なランナにより吊り下げ支持され、該レールに沿って左右方向に移動可能なパネルを備える移動間仕切り装置であって、
前記パネルに回動可能に設けられる回動部と、
パネルから対向面側へ移動することにより、パネルと対向面との隙間を閉塞する閉塞部と、
前記回動部に設けられて前記閉塞部の一部と接し、該回動部の回動と共に前記閉塞部が上下方向位置を維持した状態で左右方向一方側へ移動し、該移動後に前記閉塞部が対向面側へ移動するように前記閉塞部の一部を介して該閉塞部を支持する支持部と
を備えることを特徴とする移動間仕切り装置。
【請求項2】
前記支持部は、左右方向に延在すると共に、前記左右方向一方側端部が他方側端部よりも上方に位置するように傾斜する案内溝を有し、
前記閉塞部は、前記閉塞部の一部として前記回動部の回動と共に前記案内溝内を摺動する摺動突起を有し、該摺動突起が前記案内溝に遊嵌された状態で前記支持部に支持される
ことを特徴とする請求項1記載の移動間仕切り装置。
【請求項3】
前記隙間を閉塞する場合、前記閉塞部が左右方向一方側へ押圧されて前記摺動突起が前記案内溝内を摺動することにより、前記回動部が回動し、前記閉塞部が上下方向位置を維持した状態において左右方向一方側へ移動し、
左右方向一方側へ移動した後に前記閉塞部がさらに押圧された場合、前記回動部がさらに回動すると共に、該回動部の回動に応じて前記閉塞部が対向面側へ移動する
ことを特徴とする請求項2記載の移動間仕切り装置。
【請求項4】
前記閉塞部が対向面側へ移動する状態において、前記閉塞部は対向面に接触するまで該対向面側へ移動する速度が次第に増加する
ことを特徴とする請求項3記載の移動間仕切り装置。
【請求項5】
前記支持部は、一端部が前記回動部に回動可能に連結されると共に、他端部が前記摺動突起に回動可能に連結され、前記摺動突起を前記案内溝の他方側端部へ付勢する第1の付勢部材を有する
ことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の移動間仕切り装置。
【請求項6】
前記隙間を閉塞する場合、前記閉塞部が左右方向一方側へ押圧されて前記摺動突起が前記案内溝内を摺動することにより、前記回動部が回動すると共に前記第1の付勢部材の付勢力が増大し、前記閉塞部が上下方向位置を維持した状態において左右方向一方側へ移動し、
左右方向一方側へ移動した後に前記閉塞部が左右方向一方側へさらに押圧された場合、前記第1の付勢部材により前記摺動突起の前記左右方向一方側への摺動が抑制されることにより、前記回動部がさらに回動すると共に該回動部の回動に応じて前記閉塞部が対向面側へ移動する
ことを特徴とする請求項5記載の移動間仕切り装置。
【請求項7】
前記支持部は、一端部が前記回動部に回動可能に連結されると共に、他端部が前記パネルに回動可能に連結され、該一端部の連結部分と該他端部の連結部分とを互いに離間する方向に付勢することにより、前記隙間の閉塞過程における前記回動部の一方向への回動時に、該一方向とは逆方向に回動するように該回動部を付勢する第2の付勢部材を有する
ことを特徴とする請求項2~請求項6のいずれか一項に記載の移動間仕切り装置。
【請求項8】
前記第2の付勢部材は、その一端部が前記回動部の前記一方向への回動に応じて他端部を軸に前記一方向に回動し、該他端部と左右方向において同一となる位置を越えた場合、前記一方向に回動するように前記回動部を付勢する
ことを特徴とする請求項7記載の移動間仕切り装置。
【請求項9】
前記回動部、前記閉塞部、及び前記支持部を収容し、前記パネルに対して着脱自在な収容部を更に備える
ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の移動間仕切り装置。
【請求項10】
前記回動部における第1位置から第2位置までの回動範囲以外の前記回動部の回動を規制する規制部を更に備え、
前記閉塞部は、前記回動部が第1位置または第2位置にある場合、前記対向面に当接していない開放状態または前記対向面に当接する閉鎖状態にある
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の移動間仕切り装置。
【請求項11】
1つの前記規制部により、前記回動範囲以外の回動が規制される
ことを特徴とする請求項10に記載の移動間仕切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、天井に設けられたハンガーレールに沿って間仕切りパネルを移動させることにより、室内空間の間仕切りを行う移動間仕切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスやホテル、結婚式場、店舗、学校、公共施設、体育館などの大きな空間は、使用人数や使用目的など、様々な状況に応じて、その大きさのまま使用されたり、仕切っていくつかの小さい空間として使用されたりする。このように、状況に応じて部屋の大きさや形状を変更することができるものとして移動間仕切り装置が用いられている。移動間仕切り装置は、固定部材を介して天井に支持されたハンガーレール内を移動するランナに間仕切りパネルが吊下げ支持されることによって構成されている。間仕切りパネルの移動は、人が間仕切りパネルを持ってこれを押し引きし、間仕切りパネルに移動方向の推進力を加えることによって行う。間仕切りパネルに推進力を加えることにより、ランナがハンガーレールに沿って移動するため、間仕切りパネルをハンガーレールに沿った所望の位置に移動させて配置することができる。
【0003】
このような移動間仕切り装置としては、下記特許文献1に示されるものがある。これに示される移動間仕切り装置は、上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材が壁面パネルまたは先行する間仕切パネルの側端面に当接し、これらがパネル本体内に押し込まれるように間仕切パネルの進行方向から押圧されると、上部塞ぎ部材が上方向に進出して天井との間隙を閉塞するとともに、下部塞ぎ部材が下方向に進出して床との間隙を閉塞するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-108662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した移動間仕切り装置を含め従来の移動間仕切り装置は、間隙を閉塞する際、上下の塞ぎ部材(以後、閉塞部材と称する)が勢いよく進行方向から押圧されると、閉塞部材を構成するリンク部材又はリンク部材の長孔に遊嵌されるピンに対し、直接的に衝撃が伝達されるという問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、閉塞部材の押圧時における衝撃を緩和可能な移動間仕切り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、レールを滑走可能なランナにより吊り下げ支持され、該レールに沿って左右方向に移動可能なパネルを備える移動間仕切り装置であって、前記パネルに回動可能に設けられる回動部と、パネルから対向面側へ移動することにより、パネルと対向面との隙間を閉塞する閉塞部と、前記回動部に設けられ、該回動部の回動と共に前記閉塞部が上下方向位置を維持した状態で左右方向一方側へ移動し、該移動後に前記閉塞部が対向面側へ移動するように該閉塞部を支持する支持部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、閉塞部材の押圧時における衝撃を緩和可能な移動間仕切り装置を提供することができる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る開放状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図2】第1の実施形態に係る圧接状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図3】第1の実施形態に係る隣接前の状態における複数の移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図4】第1の実施形態に係る隣接後の状態における複数の移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図5】第1の実施形態に係る開放状態における移動間仕切り装置を側面から見た側面縦断面図である。
図6】(a)は第1の実施形態に係る下部圧接機構に連結された閉塞部材の開放状態を示し、(b)はその圧接状態を示す側面縦断面図である。
図7】(a)は第1の実施形態に係る開放状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。
図8】(a)は第1の実施形態に係る閉塞状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。
図9】(a)は第1の実施形態に係る圧接状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。
図10】第1の実施形態に係る開放状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図11】第1の実施形態に係る閉塞部材が平行移動した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図12】第1の実施形態に係る閉塞部材が下降し始めた状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図13】第1の実施形態に係る閉塞部材がさらに下降した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図14】第1の実施形態に係るリンク部材の支軸が死点に位置した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図15】第1の実施形態に係る圧接状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図16】第1の実施形態に係るリンク部材の回動に伴って移動する中継部材の支軸の軌跡を示す概略正面図である。
図17】第2の実施形態に係る圧接機構を内蔵した状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図18】第2の実施形態に係る下部圧接機構を取り外した状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図19】第2の実施形態に係る下部圧接機構を内蔵した状態における移動間仕切り装置の下方部分を側方から見た側面縦断面図である。
図20】第2の実施形態に係る下部圧接機構を取り外した状態における移動間仕切り装置の下方部分を側方から見た側面縦断面図である。
図21】第3の実施形態に係る開放状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図22】第3の実施形態に係る閉塞部材が平行移動した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図23】第3の実施形態に係る閉塞部材が下降し始めた状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
図24】第3の実施形態に係る圧接状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
(装置構成)
先ず、本実施形態に係る移動間仕切り装置の構成について説明する。図1及び図2は、それぞれ開放状態、圧接状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。図3及び図4は、それぞれ隣接前の状態、隣接後の状態における複数の移動間仕切り装置を示す概略正面図である。図5は、開放状態における移動間仕切り装置を側面から見た側面縦断面図である。本実施形態においては、図1に示される後述するパネル本体30の面側を移動間仕切り装置の正面とし、その面垂直方向を前後方向、パネル本体30の走行方向を左右方向または進行方向と称して以後説明を行う。なお、図1図4に示される矢印は進行方向を示している。
【0012】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る移動間仕切り装置1は、図示しない天井壁に支持されるハンガーレール10と、ハンガーレール10の内壁に沿って移動するランナ20と、ランナ20に吊下げ支持されるパネル本体30と、パネル本体30の上方部分に内蔵される上部圧接機構40aと、パネル本体30の下方部分に内蔵される下部圧接機構40bと、これら圧接機構40a,40bにそれぞれ連結される閉塞部材50と、を備える。なお、圧接機構40a,40bは同一構成であり、これらを区別しない場合は、圧接機構40と称して以後説明する。また、図1図4における上部及び下部圧接機構40a,40bは、前後方向に直交する面で切断した切断面を正面から見た状態が示されている。
【0013】
(レール10)
図1及び図5に示されるように、その内壁に沿って移動するランナ20が走行可能な走行経路を形成するものであり、ランナ20を内部に収容可能な内部空間を画成するように下方の一部が開放された断面略コ字状に形成されている。ハンガーレール10内壁にはランナ20の走行面となる一対のリブ110が上下にそれぞれ配設されており、下方のリブ110には、下方へ垂下すると共にその先端が互いに離間する方向に折れ曲がった断面略L字状のパネル載置部120が設けられている。このパネル載置部120に天井パネル2の縁部を載置することができる。
【0014】
(ランナ20)
ランナ20は、図1及び図5に示されるように、ハンガーレール10における各リブ110上にそれぞれ当接する、一対のローラ210を有する。一対のローラ210はそれぞれ、上下方向に延在する支軸周りで回転することによりリブ110上を走行する。これらローラ210の支軸には下方へ延在する吊ボルト220が設けられており、この吊ボルト220を介してパネル本体30を吊り下げ支持している。
【0015】
(パネル本体30)
パネル本体30は、レール10が配設された屋内空間を所定の区画に仕切るものであり、図1及び図5に示されるように前後方向に互いに離間する一対の化粧板310を備える。一対の化粧板310の内側には、前後両面側に石膏ボード等で構成される裏打材312が配置されており、隣接する区画への音漏れ防止を実現している。これら一対の化粧板310及び裏打材312は、上端部、下端部、及び両側端部の縁にフレーム部材320が設けられて一体的に連結されている。
【0016】
パネル本体30の内部の上方部分及び下方部分の2箇所には、圧接機構40が設けられており、この圧接機構40を介してパネル本体30は閉塞部材50を支持している。パネル本体30の上部2箇所におけるフレーム部材320には、支持部材330が設けられており、当該支持部材330はランナ20の吊ボルト220に連結されている。この吊ボルト220と支持部材330との連結により、パネル本体30はハンガーレール10に沿って移動可能にランナ20により吊下げ支持された状態となっている。パネル本体30は、その移動を容易なものとするために天井面(パネル載置部120の下面)と、床面との間にそれぞれ間隙αが形成されている。なお、床面は場所によっては隆起している可能性があるため、パネル本体30と天井面との間隙αよりもパネル本体30と床面との間隙αの方が広く形成されている。
【0017】
(圧接機構40)
圧接機構40は、図1及び図5に示されるように、一対の化粧板310間に組み付けられたケース410を備え、パネル本体30の上方部分及び下方部分にそれぞれ上下対称に配設されている。ケース410内にはリンク部材420と、第1及び第2付勢部材430a,430bとが収納されている。リンク部材420は、ケース410に対して回動自在に軸支されると共に、閉塞部材50を回動可能に軸支しており、閉塞部材50の移動に応じて回動することにより、後述する閉塞部材50の平行移動及び圧接方向への回動を可能としている。ここでの圧接方向とは、上部圧接機構40aにおいては上方向にあたり、下部圧接機構40bにおいては下方向にあたる。上述したリンク部材420、第1及び第2付勢部材430a,430bの詳細については後述する。
【0018】
(閉塞部材50)
閉塞部材50は、図1図5に示されるように、左右方向幅がパネル本体30と略同一であり、近接する対向面(天井面または床面)の方向が開口する、側方から見て略コ字状(図5及び図6参照)に形成された長尺部材である。閉塞部材50には、その上面に対向面と逆方向に開口する、側方から見てコ字状に形成された中継部材510がボルト及びナット等により移動不能に連結されており、閉塞部材50はこの中継部材510を介して圧接機構40により左右方向に沿った平行移動自在に及び回動自在に軸支されている。本実施形態においては、図5に示されるように閉塞部材50の近接する対向面側端部には、ゴム等の弾性体からなるシール部材520が設けられている。また、閉塞部材50の前後面にはフレーム部材320の内壁に当接し、閉塞部材50の移動に応じて当該内壁面を摺動する例えば弾性体である摺動部材530が設けられている。
【0019】
閉塞部材50は、移動間仕切り装置1の初期状態(パネル本体30の走行中等)では、パネル本体30の進行方向側から端部(以後左端部と称する)が突出し、その他の大部分がパネル本体30の上端部または下端部に収納されている。この状態が、図1及び図5に示されるパネル本体30と天井面及び床面との間隙αが開放された開放状態となる。一方、閉塞部材50は、突出した左側端部がサイドフレーム等の壁面Wに当接し、進行方向とは逆方向に押圧されることにより、当該左端部がパネル本体30に収納されると共に圧接方向へ移動する。この状態が、図2に示される各間隙αが閉塞され且つ対向面に圧接する圧接状態となる。
【0020】
なお、図3及び図4に示されるように、既に閉塞部材50が圧接状態にある先行のパネル本体30の右側端部に対し、閉塞部材50が開放状態にある後行のパネル本体30を当接させることにより、同様に後行の閉塞部材50を圧接状態とすることができる。そのため、複数のパネル本体30を隣接させて所望の仕切り位置に固定することができる。
【0021】
次に、下部圧接機構40bに連結された閉塞部材50を例にとり、上述した開放状態、閉塞状態、及び圧接状態への遷移について図6図9を用いて説明する。図6(a)は、本実施形態に係る下部圧接機構40に連結された閉塞部材の開放状態を示し、(b)はその圧接状態を示す側面縦断面図である。図7(a)は開放状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。図8(a)は閉塞状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。図9(a)は圧接状態における閉塞部材を説明するための側面縦断面図であり、(b)はその正面図である。
【0022】
図6(a)及び図7に示される開放状態において、壁面Wに向けてパネル本体30を進行方向に平行移動させると、先ず閉塞部材50の突出した左端部が壁面Wに当接し、閉塞部材50がパネル本体30に対して進行方向と逆方向に相対的に平行移動して当接した左端部がパネル本体30内に押し込まれる。この時、リンク部材420が図7(b)中反時計回りに回動することにより、閉塞部材50は上下方向位置を維持しながら進行方向の逆方向に平行移動することとなる。
【0023】
この閉塞部材50の平行移動が所定距離継続した後、閉塞部材50はリンク部材420がさらに回動することにより圧接方向に回動し、シール部材520が床面に当接する。これにより閉塞部材50は、図8に示されるようにパネル本体30と対向面との間隙αを閉塞した閉塞状態となる。この閉塞状態においては、閉塞部材50の左端部は完全にはパネル30内に押し込まれておらず、依然として露出している。
【0024】
露出した左端部がさらにパネル本体30内に押し込まれ、リンク部材420がさらに回動することにより、閉塞部材50は対向面を圧接し、図6(b)及び図9に示される圧接状態となる。圧接状態においては、上部圧接機構40aに連結された閉塞部材50はパネル載置部120の下面を圧接し、下部圧接機構40bに連結された閉塞部材50は床面を圧接する。この圧接状態において閉塞部材50は、パネル本体30により仕切られた隣接する空間と連通する間隙αを閉塞して音漏れを低減することができる。
【0025】
また、図6(b)に示されるように圧接状態において、シール部材520が対向面を圧接して弾性変形することにより、対向面と隙間なく密接することができて間隙αを確実に閉塞することができる。また、圧接状態において、シール部材520が対向面を圧接することにより、摩擦抵抗が増大し、パネル30を所望の仕切り位置に確実に固定することができる。
【0026】
なお、以上の説明では下部圧接機構40bを例示して説明したが、同一構成である上部圧接機構40aについても圧接方向及び対向面が異なる以外は同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。これは以降の説明においても同様である。
【0027】
(圧接機構40の詳細)
次に、圧接機構40の詳細な構成について、下部圧接機構40bを例にとり図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る開放状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。なお、図10における下部圧接機構40bは、前後方向に直交する面で切断した切断面を正面から見た状態が示されている。
【0028】
図10に示されるように、リンク部材420は、左右方向に延在し且つ前後方向互いに離間する一対の前方壁部420a(図6参照),後方壁部420bからなる。以後、これら壁部を区別しない場合は一対の壁部と称する。リンク部材420の正面視略中央には、軸心が前後方向を向くようにケース410内に設けられた支軸411が挿通しており、リンク部材420は当該支軸411に対して回動自在に軸支されている。
【0029】
リンク部材420の一対の壁部のそれぞれには、支軸411の挿通箇所とリンク部材420の左側端部との間に、左右方向に延在する案内溝421が穿設されている。案内溝421には、軸心が前後方向を向くように中継部材510に設けられた摺動ピン511が案内溝421に沿って摺動及び回動自在に遊嵌されており、この案内溝421及び摺動ピン511を介して下部圧接機構40bは閉塞部材50を平行移動及び回動自在に支持している。案内溝421は右方向に向かうにつれて上方に漸次傾斜している。この傾斜角度は12°~18°、好ましくは14°~15°であり、このような傾斜角度に設定することで、閉塞部材50の平行移動及び平行移動からの回動への円滑な移行を実現することができる。
【0030】
リンク部材420の正面視略中央における一対の壁部間には、軸心が前後方向を向く支軸422が設けられている。第1付勢部材430aは、この支軸422に一端部が摺動自在に巻回され、摺動ピン511に他端部が摺動自在に巻回された所謂捩じりバネである。第1付勢部材430aは、両端部が互いに離間する方向に付勢しており、したがって摺動ピン511を進行方向に付勢しているため、初期状態において摺動ピン511は案内溝421の左側端部に当接した状態が維持される。
【0031】
リンク部材420の右端部における一対の壁部間には、軸心が前後方向を向く支軸423が設けられており、ケース410内には支軸411上方に位置して軸心が前後方向を向く支軸413が設けられている。第2付勢部材430bは、支軸423に一端部が摺動自在に巻回され、支軸413に他端部が摺動自在に巻回された所謂捩じりバネである。この第2付勢部材430bも第1付勢部材430aと同様に、両端部が互いに離間する方向に付勢しており、したがって支軸423を介してリンク部材420を図10中時計回り方向へ回動させるように付勢している。
【0032】
ケース410内には、規制部414がリンク部材420の左側上端部近傍に設けられており、リンク部材420がこの規制部414に当接することで、それ以上の第2付勢部材430bの付勢による時計回りの回動が規制される。リンク部材420は、初期状態において比較的重量のある閉塞部材50を支持している。そのため第2付勢部材430bは、支軸411を支点として閉塞部材50を支持可能な程度に支軸423を付勢する付勢力を有することが好ましい。
【0033】
また、リンク部材420の一対の壁部は、それぞれ右側上端部が切りかかれている。この切欠きが形成されることにより、圧接状態において支軸423を支軸413より左側に位置付けることができ、後述する第2付勢部材430bの付勢方向の逆転を生じさせることができると共に、リンク部材420が支軸413に当接することでそれ以上の反時計回りの回動が規制される。
【0034】
なお、第1及び第2付勢部材430a,430bは、上述したような捩じりバネに限らず、ゴムや板バネ、コイルバネ等の各支軸を付勢可能なものであればよい。
【0035】
(下部圧接機構40bの詳細動作)
以上のように構成された下部圧接機構40bの動作について図11図16を用いて詳細に説明する。図11は、閉塞部材が平行移動した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図であり、図12は、閉塞部材が下降し始めた状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。図13は、閉塞部材がさらに下降した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図であり、図14は、リンク部材の支軸が死点に位置した状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。図15は、圧接状態における下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図であり、図16は、リンク部材の回動に伴って移動する中継部材の支軸の軌跡を示す概略正面図である。なお、図11図16における下部圧接機構40bは、前後方向に直交する面で切断した切断面を正面から見た状態が示されている。また、図11図15中に示される黒線矢印はリンク部材420の回動方向を示し、鎖線矢印は付勢部材の付勢方向を示し、白色矢印は閉塞部材50の移動及び回動の方向及び移動量を示している。また、図16においては説明上、付勢部材等を示さずにリンク部材420を簡略化して示している。
【0036】
先ず図10に示される初期状態から、閉塞部材50の左端部が壁面Wや先行するパネル本体30に当るなどして第1付勢部材430aの付勢力に抗して閉塞部材50が進行方向とは逆方向に付勢されると、摺動ピン511が案内溝421に沿って同方向に移動する。この時、摺動ピン511の移動に応じてリンク部材420の反時計回りの回動が徐々に開始されることとなり、図11に示されるように結果的に閉塞部材50が逆方向に且つ上下方向位置を維持したまま平行移動することとなる。この平行移動により閉塞部材50の左端部が壁面Wや先行するパネル本体30に当る際の衝撃を緩和することができる。また、摺動ピン511が第1付勢部材430aにより進行方向に付勢されているため、当該衝撃を第1付勢部材430aによりさらに緩和することが可能となる。
【0037】
摺動ピン511が案内溝421に沿ってさらに摺動すると、第1付勢部材430aの付勢力が増大し、摺動ピン511を案内溝421の左側端部へ押し戻す力、つまり進行方向へ押し戻す力が作用する。閉塞部材50の進行方向とは逆方向への付勢力と第1付勢部材430aの進行方向への付勢力とが拮抗または第1付勢部材430aの付勢力が超えることにより、図12に示されるように、リンク部材420の回動と共に閉塞部材50が圧接方向に向けて回動、ここでは下降するように回動し始める。
【0038】
閉塞部材50の回動が生じると、図13に示されるように、案内溝421の傾斜角度が増大すると共に第1付勢部材430aにより中継部材510を下方へ押し戻す力が作用し、閉塞部材50の下降スピードが増加することとなる。この時、第2付勢部材430bの両端部が接近することにより、リンク部材420を時計回りに回動させる付勢力、つまり時計回りに押し戻す力が増大する。なお、本実施形態において閉塞部材50は、図14に示される状態において図8に示される閉塞状態となるが、摺動ピン511が案内溝421の左側端部に位置していない。摺動ピン511が案内溝421の左側端部に位置するか否かは床面との距離によって変化し、閉塞部材50のシール部材520が床面に接触していない場合もあり得る。
【0039】
リンク部材420が反時計回りに回動し続けると、図14に示されるように支軸413がリンク部材420の切欠きに近接し、支軸413の鉛直線上に支軸423が位置することとなる。第2付勢部材430bの両端部が互いに離間する方向に付勢していることから、この位置が死点となり、上下方向のみへの付勢が生じてリンク部材420を時計回りに押し戻す力が作用しない。なお、図14に示される符号βは死点の位置を示している。
【0040】
死点βを越えてさらにリンク部材420が回動すると、閉塞部材50の左端部が完全にパネル本体30内に収納され圧接状態となると共に、図15に示されるように支軸413の左側に支軸423が位置することとなる。そのため、第2付勢部材430bによりリンク部材420を今までとは逆に反時計回りに回動させる力が作用する。当該作用によりリンク部材420の時計回りの回動を抑制でき、閉塞部材50を上昇させる力が生じないため、閉塞部材50が圧接状態を安定して維持することができる。
【0041】
逆に圧接状態から開放状態に閉塞部材50を戻す場合は、第2付勢部材430bのリンク部材420への付勢力と、シール部材520の床面間の摩擦抵抗とに抗してパネル本体30を進行方向とは逆方向に移動させることにより、以上に説明した図15から図10に示される状態へ順次戻ることとなる。具体的には、閉塞部材50及びリンク部材420が進行方向に相対移動してリンク部材420が時計回りに回動し、支軸423が死点を通過するまでパネル本体30を移動させれば、第2の付勢部材430bにより再びリンク部材420を時計回りに押し戻す力が作用し、当該作用により自動に開放状態へ移行することができる。
【0042】
このことから第2付勢部材430bは、少なくともリンク部材420の回動及び閉塞部材50の移動及び回動を可能な程度の付勢力を有する。また、上部圧接機構40aが備える各付勢部材は、重力に反して閉塞部材50を上昇させるため、閉塞部材50を下降させる下方圧接部材40bよりも付勢力が大きくなるよう設定することが好ましい。
【0043】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞部材50を進行方向とは逆方向に上下位置を維持したまま略平行移動を行わせた後に圧接方向へ回動させることができるため、パネル本体30を走行させて壁部Wに当接させる等して生じる、閉塞部材50の押圧時における衝撃を緩和することができる。さらに第1付勢部材430aにより摺動ピン511を進行方向に常時付勢するため、当該衝撃時には該衝撃を減衰させるダンパとして機能し、したがって衝撃緩和効果を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0044】
図16に示されるように、初期状態における摺動ピン511の位置から回動した軌跡γ1と比較して、本実施形態に係る圧接機構40により平行移動後に回動した軌跡γ2は半径が小さい。したがって短いストロークで閉塞状態に移行することができ、閉塞部材50のシール部材520が対向面に接触して摺動する距離を短縮することができる。また、平行移動からの回動を円滑に移行させることもできる。
【0045】
なお、本実施形態において閉塞部材50の平行移動後の回動では、図16に示されるように摺動ピン511が曲線を描くように圧接方向へ移動する。しかしながら、各部材の重量やサイズ、案内溝421の角度、第1付勢部材430aの付勢力などを調節して、摺動ピン511を平行移動後に対向面側へ漸次傾斜する直線を描くように移動させ、閉塞部材50を平行移動後に直線的に圧接方向へ移動させるようにしてもよく、曲線及び直線を組み合わせて移動させるようにしてもよい。
【0046】
<第2の実施形態>
上述した第1の実施形態では、圧接機構40がパネル本体30内に固定的に組み込まれ、容易な着脱が困難なものとなっていた。しかしながら、圧接機構40をパネル本体30に対して容易に着脱可能とするようにしてもよい。本実施形態においては着脱自在にユニット化された圧接機構を備える移動間仕切り装置について、図17図20を用いて説明する。図17及び図18は、本実施形態に係る圧接機構を内蔵した状態、及び下部圧接機構を取り外した状態における移動間仕切り装置を示す概略正面図である。図19及び図20は、下部圧接機構を内蔵した状態、及び下部圧接機構を取り外した状態における移動間仕切り装置の下部を側方から見た側面縦断面図である。
【0047】
図17図20に示されるように、本実施形態に係る移動間仕切り装置1’は、パネル本体30の内部に設けられたフレーム部材320’に対し、嵌合可能な取付ベース部材60を圧接機構40に設ける点で第1の実施形態に係る移動間仕切り装置1と異なる。
【0048】
フレーム部材320’は、図20に示されるように、ケース410が挿通可能な開口320aが形成されている。取付ベース部材60は、図19に示されるように、ケース410の対向面側壁面に移動不能に固定され、対向面側が開口する断面略コ字状に形成されており、当該開口内に閉塞部材50が位置付けられている。したがって、圧接機構40、閉塞部材50、及び取付ベース部材60が一体的に連結されたユニットとして取り扱うことができ、図18及び図20に示されるようにパネル本体30から容易に取り外すことが可能となる。
【0049】
一方、取り外されたユニットをパネル本体30に取り付ける際には、開口320aにケース410を挿通するようにしてフレーム部材320’に取付ベース部材60を嵌合すればよい。この嵌合時に図示しないボルトやナット等の連結部材によりフレーム部材320’に対して取付ベース部材60を移動不能に固定するようにしてもよく、磁性材料などを用いて互いに接合するようにしてもよい。
【0050】
以上に説明した本実施形態によれば、圧接機構40、閉塞部材50、及び取付ベース部材60をユニット化してパネル本体30に着脱自在とすることができ、延いてはパネル本体30を分解することなく、圧接機構40の修理や点検等のメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【0051】
<第3の実施形態>
上述した第1の実施形態では、支軸413が第2付勢部材430bの他端部を摺動可能に支持すると共に、リンク部材420の死点βを越えての反時計回りへの回動を規制する規制部材(ストッパ)としての役割も有していた。したがって、規制部414及び支軸413により、閉塞部材50が開放状態にある位置から閉塞部材50が圧接状態にある位置までの回動範囲以外のリンク部材420の回動を規制し、閉塞部材50の開放状態及び圧接状態を安定して維持することを実現していた。しかしながら、このようなリンク部材420の回動範囲以外の回動を共通の規制部材により規制するようにしてもよい。
【0052】
本実施形態においては、共通の規制部材によりリンク部材420の回動範囲以外の回動を規制可能な圧接機構について、下部圧接機構を例にとり図21図24を用いて説明する。図21図24は、本実施形態に係る開放状態、閉塞部材が平行移動した状態、閉塞部材が下降し始めた状態、及び圧接状態のそれぞれにおける下部圧接機構を正面から見た正面縦断面図である。なお、図21図24における下部圧接機構40b’は、前後方向に直交する面で切断した切断面を正面から見た状態が示されている。また、図22及び図23中に示される黒線矢印はリンク部材420の回動方向を示し、白色矢印はここでは不図示の閉塞部材50の移動及び回動の方向及び移動量を示している。
【0053】
図21に示されるように、下部圧接機構40b’は初期状態、即ち不図示の閉塞部材50の開放状態において、支軸411の右下に規制部414’が位置している点、第1付勢部材430aの中央に位置する捩じり部分が摺動ピン511及び支軸422の下方ではなく上方に位置するように、上下逆配置とされている点で第1の実施形態に係る圧接機構40bと異なる。本実施形態に係る下部圧接機構40b’は、初期状態においてリンク部材420における図中右側の下面に規制部414’が当接しており、したがって第2付勢部材430bによるリンク部材420の図中時計回り方向への回動を規制部414’により規制している。
【0054】
下部圧接機構40b’の動作は、圧接状態までは第1の実施形態にかかる下部圧接機構40bと略同様となる。具体的に説明すると、先ず図21に示される初期状態から、第1付勢部材430aの付勢力に抗して不図示の閉塞部材50が進行方向とは逆方向に付勢されると、中継部材510と共に摺動ピン511が案内溝421に沿って同方向(逆方向)に移動する。この時、図22に示されるように、摺動ピン511の移動に応じてリンク部材420の反時計回りの回動が徐々に開始されることとなり、結果的に閉塞部材50が逆方向に且つ上下方向位置を維持したまま平行移動することとなる。また、リンク部材420は反時計回りに回動することにより規制部414’から離間することとなる。
【0055】
摺動ピン511がさらに摺動すると、第1付勢部材430aの付勢力、つまり摺動ピン511を進行方向へ押し戻す力が増大し、第1付勢部材430aの付勢力と、外力である閉塞部材50の進行方向とは逆方向への付勢力とが拮抗または当該付勢力を第1付勢部材430aの付勢力が超えることにより、図23に示されるように、リンク部材420の回動と共に閉塞部材50が圧接方向に向けて回動する。この時、第2付勢部材430bの両端部が接近することにより、リンク部材420を時計回りに回動させる付勢力、つまり時計回りに押し戻す力が増大する。
【0056】
リンク部材420が死点を超えて反時計回りに回動し続けると、閉塞部材50の左端部が完全にパネル本体30内に収納され圧接状態となり(図4参照)、図24に示されるように支軸413の左側に支軸423が位置することとなる。そのため、第2付勢部材430bによりリンク部材420を今までとは逆に反時計回りに回動させる力が作用する。当該作用によりリンク部材420の時計回りの回動を抑制でき、閉塞部材50を上昇させる力が生じないため、閉塞部材50が圧接状態を安定して維持することができる。
【0057】
また、図24に示されるように、この状態において規制部414’は、第1の実施形態に係る下部圧接機構40bとは異なり、リンク部材420の切欠きへ支軸413が当接するに先立って、リンク部材420に再び当接する。この当接により、第2付勢部材430bによるリンク部材420の反時計回り方向への回動を規制している。
【0058】
圧接状態から開放状態に閉塞部材50を戻す場合は、第1の実施形態と同様、第2付勢部材430bのリンク部材420への付勢力と、シール部材520の床面間の摩擦抵抗とに抗してパネル本体30を進行方向とは逆方向に移動させればよい。
【0059】
なお、図24に示されるように、第1の実施形態と比較してリンク部材420の回動角度が小さくなされており、支軸423は第1の実施形態のように支軸413に対して図中左側に大きく移動することなく、僅かに左に移動した状態に留まっている。したがって、圧接状態から開放状態に閉塞部材50を戻す場合は、第1の実施形態と比較して第2付勢部材430bの付勢力に抗した回動を短縮でき、容易に圧接状態から開放状態に閉塞部材50を戻すことができる。
【0060】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞部材50が開放状態にある位置から閉塞部材50が圧接状態にある位置までの回動範囲以外のリンク部材420の回動を1つの規制部414’により規制することができる。したがって、閉塞部材50の開放状態及び圧接状態を安定して維持することができると共に、製造段階での加工工数を低減、延いては低コスト化を実現できる。また、閉塞部材50が圧接状態にある状態において、リンク部材420は支軸413に当接せず規制部414’に当接するため、第2付勢部材430bの他端部とリンク部材420との干渉を回避でき、ストッパとしての効果の安定性、及び圧接機構の耐久性の向上を実現できる。また、第1付勢部材430aを上下逆配置としたため、圧接機構の動作中における第1付勢部材430aの捩じり部分の中継部材510への干渉を回避することができ、スムーズな動作を維持することが可能となり、更なる圧接機構の耐久性の向上をも実現できる。
【0061】
なお、本実施形態においては、閉塞部材50が開放状態にある位置から閉塞部材50が圧接状態にある位置までの回動範囲以外のリンク部材420の回動を1つの規制部414’により規制すると説明した。しかしながら、ストッパのみの機能を有する2つの規制部により、回動範囲以外のリンク部材420の回動を規制してもよい。この場合、一方の規制部が、開放状態時のリンク機構420の時計回りへの回動を規制する位置に設けられ、他方の規制部が圧接状態時のリンク機構420の反時計回りへの回動を規制する位置に設けられる。
【0062】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の第1~第3の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0063】
1,1’ 移動間仕切り装置
10 ハンガーレール
20 ランナ
30 パネル本体
40 圧接機構(回動部)
410 ケース
414,414’ 規制部
420 リンク部材(回動部)
421 案内溝(支持部)
430a 第1付勢部材(支持部)
430b 第2付勢部材
50 閉塞部材(閉塞部)
511 摺動ピン(摺動突起)
60 取付ベース部材(収容部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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