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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】簡易建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20240129BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
E04B1/343 V
E04H6/02 C
E04H6/02 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020064106
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021092125
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2019221452
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】竹田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127757(JP,A)
【文献】特開2014-148817(JP,A)
【文献】特開平06-093748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 6/02
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、梁と、吊り材とを有して構成された複数のフレームにおける梁の下方に屋根が取付けられており、
複数のフレームは、梁の長手方向と直交する方向に並列状に立設され、
支柱の上端が梁の上部よりも上方にあり、
吊り材の後端が支柱における梁の上部よりも上方に取付けられていると共に、
吊り材の前端が梁の上部に取付けられ、
梁の前側の下方には、屋根の前枠が取付けられる前側取付け部材が左右方向の締結力を生じる締結具で取付けられていると共に、
梁の後側の下方には、屋根の後枠が取付けられる後側取付け部材が左右方向の締結力を生じる締結具で取付けられ、
前側取付け部材および後側取付け部材は、
それぞれ前枠および後枠に前後方向の締結力を生じる締結具で取付けられるものであり、
前側取付け部材および後側取付け部材が、前枠および後枠の長手方向の範囲内のいずれかの位置で取付け自在にされていることを特徴とする簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易建物は、下記非特許文献1に記載されているように、カーポートとして利用されているものが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社が2019年2月に発行したカタログ「エクステリア総合カタログ2019-2020(STX1260A)」の第1058ページに記載の簡易建物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の従来の簡易建物は、支柱に対して梁が片持ちで固定されていると共に、梁に屋根を載置固定している構造であるため、梁の強度からその長さが限定的である。
すなわち、従来構造の簡易建物は、梁の長手方向と交差する方向に、一台の自動車を止めることができる程度の大きさとするのが限界である。
また、支柱を立設する場所に障害物がある場合、支柱の立設位置をずらして障害物を避ける必要があるが、梁に対する屋根の固定位置が決まっているため、支柱のみをずらすことが難しく、障害物を避けるのに簡易建物ごと動かしていた。
このことから、複数台の自動車を止められると共に、容易に障害物を避けることができる簡易建物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易建物は、支柱と、梁と、吊り材とを有して構成された複数のフレームにおける梁の下方に屋根が取付けられており、複数のフレームは、梁の長手方向と直交する方向に並列状に立設され、支柱の上端が梁の上部よりも上方にあり、吊り材の後端が支柱における梁の上部よりも上方に取付けられていると共に、吊り材の前端が梁の上部に取付けられ、梁の前側の下方には、屋根の前枠が取付けられる前側取付け部材が左右方向の締結力を生じる締結具で取付けられていると共に、梁の後側の下方には、屋根の後枠が取付けられる後側取付け部材が左右方向の締結力を生じる締結具で取付けられ、前側取付け部材および後側取付け部材は、それぞれ前枠および後枠に前後方向の締結力を生じる締結具で取付けられるものであり、前側取付け部材および後側取付け部材が、前枠および後枠の長手方向の範囲内のいずれかの位置で取付け自在にされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、複数台の自動車を止められると共に、容易に障害物を避けることができる簡易建物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る実施形態の簡易建物の側面図である。
図2図1の正面図である。
図3図2の平面図である。
図4図2の(4)-(4)線拡大断面図である。
図5】前側被取付け部と前側取付け部の分解拡大側面図である。
図6】前側被取付け部と前側取付け部の分解拡大正面図である。
図7】固定された前側被取付け部と前側取付け部とを梁に固定した状態を示す拡大正面図である。
図8】固定された前側被取付け部と前側取付け部とを梁に固定した状態を示す拡大側面図である。
図9】後側被取付け部と後側取付け部の分解拡大側面図である。
図10】後側被取付け部と後側取付け部の分解拡大正面図である。
図11】固定された後側被取付け部と後側取付け部とを梁に固定した状態を示す拡大正面図である。
図12】固定された後側被取付け部と後側取付け部とを梁に固定した状態を示す拡大側面図である
図13】屋根の取付け手順の第1例を説明する工程図(第1工程)である。
図14】屋根の取付け手順の第1例を説明する工程図(第2工程)である。
図15】屋根の取付け手順の第2例を説明する工程図(第1工程)である。
図16】屋根の取付け手順の第2例を説明する工程図(第2工程)である。
図17】配線挿通部材およびカバーを説明する拡大断面図である。
図18】開口部がカバーで閉じられている状態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易建物Aを説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
なお、以下の説明において、図1に示すように、簡易建物Aの屋根3の端部が高い側を後側とし、低い側を前側とする。
【0009】
[簡易建物の構成]
本実施形態で示す簡易建物Aは、図1図3に示すように、複数(図示において4本)のフレームFを図2の正面視において左右(矢印で示す)に並列させ、このフレームFに屋根4と排水樋5を設けたものである(例えば、カーポート、サイクルポート、通路シェルタ等に用いることができる)。
【0010】
[フレームの構成]
フレームFは、図1図3に示すように、地面Gに立設された支柱1と、支柱1の前側の面に取付けられた梁2と、支柱1の前側面10の上端付近と梁2の上面20とにわたるように取付けられた吊り材3とを備えた上吊りタイプのものである。
支柱1は、図1および図2に示すように、梁2の上面よりも上方に突出する長さを有している。
梁2は、図4に示すように、梁2の後端21にブラケット22aが固定されており、このブラケット22aを支柱1に固定することで、支柱1の前方から張り出すように固定されている。
吊り材3は、図1に示すように、後端30が支柱1の内部に貫通して支柱1に固定され、前端31が梁2の上面20に固定されたブラケット22bに固定されている。
このようなフレームFは、支柱1に対して梁2を固定すると共に、梁2の上方で支柱1に対して固定された吊り材3を梁2の上面20に固定することで、梁2を支持しているので、梁2の長さを長くしても屋根2を取付けた状態における必要な強度を確保することができる。
【0011】
[屋根の構成]
屋根4は、図1図3に示すように、トラス構造部40を有するものであり、梁2の下方に取付けられている。
具体的には、図3および図4に示すように、前枠41と、後枠42と、左側枠43と、右側枠44と、野縁45とを枠組みした屋根枠4aにパネル4bが嵌め込まれていると共に、屋根枠4aの下方にトラス構造部40が取付けられた屋根ユニット400を複数(図3において9個)左右で連結することで構成されている。
【0012】
[フレームと屋根の取付け構造]
フレームFと屋根4の取付け構造を説明すると、フレームFと屋根4とは、図2および図3に示すように、全てのフレームFの立設位置を屋根4の左右方向で任意に設定できる取付け構造にされている(2点鎖線および矢印で示す)。
具体的な取付け構造は、図4に示すように、梁2の前側の下方に屋根4の前枠41が取付けられる前側取付け部23が設けられており、この前側取付け部23に前枠41が固定されている。
一方、梁2の後側の下方に屋根4の後枠42が取付けられる後側取付け部24が設けられており、この後側取付け部24に後枠42が固定されている。
屋根パネル4bと前枠41とは、屋根パネル支持部46を介して連結され、屋根パネル4bと後枠42とは、屋根パネル支持部47を介して連結されている。
【0013】
前側取付け部23は、図5図8に示すように、梁2に固定される上側固定部23aと、上固定部23aの下方に一体形成され、前枠41が固定される下側固定部23bとを備えている。
上側固定部23aは、図6および図7に示すように、断面コ型に形成されていると共に、左右の面にボルト孔b10が形成されている。
上側固定部23aは、梁2の下方から梁2の左右を挟むように嵌合すると共に、左側の上側固定部23aのボルト孔b10から右側の上側固定部23aのボルト孔b10へ梁2を貫通して締め付けるボルト・ナットb1によって固定されている。
下側固定部23bは、図5および図8に示すように、断面コ型に形成されており、前後の面にボルト孔b20が形成されている。
下側固定部23bは、前側取付け部46の上方から前側取付け部46の前後を挟むように嵌合すると共に、前後の下側固定部23bから前側取付け部46に対してボルトb2をねじ込むことによって固定されている。
【0014】
前枠41は、長手方向を屋根4の左右方向の全域にわたる範囲として設けられている。
前枠41の前後には、図5図8に示すように、長手方向の全域に沿って、ボルトb2の嵌入溝46aが形成されており、嵌入溝46a内にねじ込み孔460が設けられたねじ込み板46bが挿入されている。
ねじ込み板46bは、嵌入溝46aに対して、前後方向に抜け止めするように上下方向に凹凸嵌合されている。
このような前側取付け部材23に下側固定部23bを固定する際には、ボルトb2を前後の下側固定部23aの外側から嵌入溝46aに向けてねじ込むと共に、嵌入溝46aに挿入されたねじ込み板46bのねじ込み孔460にねじ込むことで、前側取付け部23に前枠41を固定することができる。
【0015】
後側取付け部24は、図9図12に示すように、梁2に固定される上側固定部24aと、上側固定部24aの下方に一体形成され、後枠42が固定される下側固定部24bとを備えている。
上側固定部24aは、図9および図11に示すように、断面コ型に形成されており、左右の面にボルト孔b10が形成されている。
上側固定部24aは、梁2の下方から梁2の左右を挟むように嵌合すると共に、左側の上側固定部24aのボルト孔b10から右側の上側固定部24aのボルト孔b10へ梁2を貫通して締め付けるボルト・ナットb1によって固定されている。
下側固定部24aは、図10および図12に示すように、断面コ型に形成されており、
後枠42の上方から後枠42の前後を挟むように嵌合すると共に、前後の下側固定部24bから後枠42に対してボルトb2をねじ込むことによって固定されている。
【0016】
後枠42は、長手方向を屋根4の左右方向の全域にわたる範囲として設けられている。
後枠42の前後には、図5図8に示すように、長手方向の全域に沿って、ボルトb2の嵌入溝47aが形成されており、嵌入溝47a内にねじ込み孔470が設けられたねじ込み板47bが挿入されている。
ねじ込み板47bは、嵌入溝47aに対して、前後方向に抜け止めするように上下方向に凹凸嵌合されている。
このような後枠42を下側固定部24bを固定する際には、ボルトb2を前後の下側固定部24aの外側から嵌入溝47aに向けてねじ込むと共に、嵌入溝47aに挿入されたねじ込み板47bのねじ込み孔470にねじ込むことで、後側取付け部24に後枠42を固定することができる。
【0017】
すなわち、前枠41および後枠42は、長手方向を屋根4の左右方向の全域にわたる範囲に設けていると共に、長手方向の全域に沿ってボルトb2の嵌入溝46a、47aを設けているので、ボルトb2による固定前において、前側取付け部23および後側取付け部24を前枠41および後枠42の長手方向に沿ってスライドさせることができ、これによって、前枠41および後枠42に対する前側取付け部23および後側取付け部24の取付位置を、前枠41および後枠42の長手方向の範囲内で任意の位置に設定することができる。
そして、前側取付け部23および後側取付け部24のスライドに伴ってフレームFが同方向に移動するので、フレームFの立設位置を左右方向(前枠の長手方向)において任意の位置に設定することができる。
【0018】
また、前側取付け部23および後側取付け部24は、梁2に対して、梁2に貫通して締め付けられるボルト・ナットb1によって固定されていると共に、前枠41および後枠42に対して、嵌入溝46aおよび嵌入溝47aに抜け止めされて挿入されたねじ込み板46bおよびねじ込み板47bにボルトb2をねじ込むことによって固定されている。
これにより、前側取付け部23および後側取付け部24を梁2に対して強固に固定できると共に、前枠41および後枠42に対して強固に固定できる。
したがって、後述するように前枠41および後枠42に屋根4を取付けた際に、屋根4の落下を防止できる。
【0019】
前枠41と屋根パネル支持部46とは、図4に示すように、屋根パネル支持部46の下
方に突出させた係合凸部41aが、前枠41に設けられた係合凹部46cに上方から凹凸係合し、前枠41と屋根パネル支持部46とをボルトb3によって固定することで連結されている。
また、後枠42と屋根パネル支持部47とは、図4に示すように、屋根パネル支持部47の前端を下向きのフック状に折り曲げ形成した係合凸部42aが、後枠42に設けられた係合凹部47cに上方から凹凸係合し、後枠42と屋根パネル支持部47とをボルトb3によって固定することで連結されている。
係合凸部41a、42aは、屋根パネル支持部46、47の左右方向の全域に設けられ、係合凹部46cは、前枠41の左右方向の全域に設けられ、係合凹部47cは、後枠42の左右方向の全域に設けられている。
このため、屋根パネル支持部46と前枠41との係合部分および屋根パネル支持部47と後枠42との係合部分が、下方から見えないように隠すことができるようになっている。
また、屋根パネル支持部46および屋根パネル支持部47は、係合凸部41a、42aが係合凹部46c、47cに係合したときに、前枠41および後枠42と正対するようにされており、これによって、ボルトb3による固定が確実にできるようになっている。
前枠41には、には、図5図8に示すように、長手方向の全域に沿って、ボルトb3の嵌入溝46dが形成されており、ボルトb3を屋根パネル支持部46の外側から嵌入溝46dに嵌入されたねじ込み板46eにねじ込むことで、前枠41と屋根パネル支持部46とを固定している。
後枠42には、図9図12に示すように、から長手方向の全域に沿って、ボルトb2の嵌入溝47dが形成されており、ボルトb3を屋根パネル支持部47の外側から嵌入溝47dに嵌入されたねじ込み板47eにねじ込むことで、後枠42と屋根パネル支持部47とを固定している。
係合凸部41aおよび係合凸部42aと係合凹部46c、47cとの凹凸係合は、後述する屋根パネルの取付け工程において利用される。
【0020】
このように取付けられた屋根4は、屋根パネル支持部46と前枠41との係合部分および屋根パネル支持部47と後枠42との係合部分が見えないようにすることができ、しかも、屋根枠4aが梁2の下方にあると共に、トラス構造部40が屋根枠4aの下方にあるので、梁2の存在を目立たせずに、トラス構造部40のデザインを目立たせることができる。
【0021】
[屋根パネルの取付け工程(第1例)]
前述のフレームFと屋根4の取付け構造における屋根パネル400の取付け工程の第1例を、図13および図14を参照して説明する。
本実施例における取付け工程では、フレームFの立設位置を決定して、前側取付け部23および後側取付け部24に前枠41および後枠42を固定した状態後における屋根パネル400の取付け工程である。
第1工程(図13参照):屋根パネル400の前端側を持ち上げて、屋根パネル支持部46における係合凸部41aを前枠41の係合凹部46cに対して上方から凹凸係合させる。
このとき、係合凸部41aは、係合凹部46cに対して上方から引っ掛かる状態で係合されているので、作業中の屋根パネル400の落下を防ぐことができる。
第2工程(図14参照):係合凸部41aが係合凹部46cに対して係合されている状態で、前端側を支点として、屋根パネル400の後端側を回転させるように持ち上げて、屋根パネル支持部47における係合凸部42aを後枠42の係合凹部47cに対して上方から凹凸係合させる。
すなわち、第1工程および第2工程のように、屋根パネル400の前端側と後端側を順次持ち上げて、係合凸部41aを係合凹部46cに係合させると共に、係合凸部42aを
係合凹部47c係合させることで、屋根パネル400を配置することができる。
このとき、屋根パネル支持部46および屋根パネル支持部47が、前枠41および後枠42と正対しており、この状態において、ボルトb3によって前枠41および後枠42と屋根パネル支持部46および屋根パネル支持部47とを固定することで、屋根パネル400を取付けることができる。
この屋根パネル400の取付けは、フレームFの左端又は右端から一枚ずつ同じ工程で順次取付け、最後に、隣り合う屋根パネル400同士を連結することによって、屋根4を構成することができる。
【0022】
[屋根パネルの取付け工程(第2例)]
屋根パネル400の取付け工程の第2例は、図15および図16に示すように、第1工程(図15)において、屋根パネル400の後端側を持ち上げて屋根パネル支持部47を後枠42に係合し、第2工程(図16)において、屋根パネル400の前端側を持ち上げて屋根パネル支持部46を前枠41に係合するものである。
この第2例の取付け工程によっても、第1例と同じ作用効果を得ることができる。
なお、第1例の取付け工程と重複する部分については、同符号を付すことによって説明を省略する。
【0023】
[排水樋の構成]
排水樋5は、図4に示すように、屋根4の下方に配置された屋根樋50と支柱1に沿って配置された竪樋51とを備えている。
屋根樋50は、図2および図3に示すように、屋根4の左右方向の全域にわたる長さを有して、梁2の下方に垂設された支持板5aと屋根ユニット400の後枠42の下方に設けられた支持板5bとに支持されている。
竪樋51は、図2に示すように、左側のフレームFの支柱1に配置され、上端部分が屋根樋50の排水口500と接続されている。
【0024】
屋根樋50には、図4図17に示すように、配線挿通部材6が一体に設けられている。
配線挿通部材6は、図4および図17に示すように、屋根下に設けられる照明器具(図示せず)に電力を供給する電力ケーブルBを内蔵するものであり、屋根樋50の前方、且つ後枠42の下方に位置するように一体形成されている。
配線挿通部材6は、電力ケーブルBが内蔵される挿通空間60が形成されていると共に、挿通空間60の下方に挿通空間60と連通する開口部61を備えている。
また、配線挿通部材6には、開口部61を開閉するカバー6bが取付けられている。
挿通空間60は、屋根樋50と連通されない独立した空間として形成されていると共に、開口部61が下向きで形成されている。
これによって、カバー6bの開閉および電力ケーブルBのメンテナンスを、上方側に比べて障害物が少ない下方から行えるため、各種メンテナンスの作業容易性を高めることができ、しかも、屋根樋50から排水がオーバーフローしたとしても、挿通空間60内への排水の侵入を防ぐことができる。
なお、配線挿通部材6は、屋根樋50と一体形成された構成に限らず、屋根樋50とは別体の独立した構成としてもよい。
また、配線挿通部材6は、屋根樋50に一体または別体で設けられた形態に限らず、梁
部材や垂木部材等、屋根(天井)のある簡易構造物の屋根(天井)側に存在する部材に対して設けてもよい。
【0025】
図17に示すように、配線挿通部材6には、開口部61の前端側にカバー6bが掛合される掛合部62が形成され、カバー6bには、カバー6bの前端側に掛合部62に掛合される被掛合部63が形成されている。
掛合部62は、開口部61の下端側を上方に折り曲げて凹部62aを有するフック状に形成されている。
被掛合部63は、カバー6bの前端部を後方側に断面コ型に折り曲げて形成され、カバー6bが開いた状態において、断面コ型状の先端部63aが掛合部62の凹部62aに上方から引っ掛かるように掛合するようにされている(図15において実線で示す)。
また、カバー6bが閉じられた状態においては、フック状に形成された凹部62aの先端部62bに、断面コ型に形成された被掛合部63の先端部63aに至る直線面63bが上方から載るようにされている(図15において2点鎖線で示す)。
【0026】
図15に示すように、カバー6bには、開口部61に弾性係合する弾性係合部64と、弾性係合を保持する弾性押圧部65とが設けられ、挿通部本体6aには、弾性係合部64がが係脱される被係合突起66と、弾性押圧部65が押し付けられる押圧突起67が設けられている。
弾性係合部64は、カバー6bの内側の後方側に、開口部61から挿通空間60に挿入されるように突設されていると共に、後方側を突出させた断面く型に折り曲げ形成されている。
弾性押圧部65は、カバー6bの内側の前方側に、開口部61から挿通空間60に挿入されるように突設されていると共に、前方側を突出させた断面く型に折り曲げ形成されている。
被係合突起66は、弾性係合部64が弾性的に係脱するものであり、開口部61の前端側に挿通空間60に向かって突設された突起66aの先端を前方に折り曲げて形成されている。
押圧突起67は、弾性押圧部65を押圧するものであり、挿通空間60の前壁60aの内側に後方に向かって突設されている。
被掛合突起66の先端部66bと押圧突起67の先端部67aとの距離は、弾性係合部64の前方側に突出した突出部64aと弾性押圧部65の後方側に突出した突出部65aとの距離よりも狭くなるようにされている。
【0027】
すなわち、図15に示すように、カバー6bが閉じられている状態では、弾性係合部64の断面く型の下方の傾斜面64cが、被係合突起66に係合して支持されていると共に、弾性押圧部65の上方の傾斜面65bが押圧突起67に押し付けられ、且つ掛合部62の凹部62aの先端部62bに、被掛合部63の直線面63bが上方から載っている(2点鎖線で示す)。
また、カバー6bが開いている状態では、被係合突起66に対する弾性係合部64の弾性係合が外れ、掛合部62の凹部62aに被掛合部63の先端部63aが引っ掛かるように掛合されており、これによって、開いたカバー6bを配線挿通部材6に連結された状態で保持することができる。
【0028】
カバー6bの閉じ動作では、図15に示すように、掛合部62が被掛合部63に掛合した状態で、左右方向の軸を回転中心として掛合部62が回転するように、カバー6bの後端側を上方に持ち上げる。
このとき、弾性係合部64の断面く型の上方の傾斜面64bが被係合突起66に接触して押圧され、この押圧によって、弾性係合部64が前方へ弾性変形し、この弾性変形によって、突出部64aが被係合突起66の先端部66bを乗り越える。
そして、突出部64aが被係合突起66の先端部66bを乗り越えると、弾性係合部64が弾性変形により生じる復帰方向の反発力によって、変形前の形状に復帰して、断面く型の下方の傾斜面64cが被係合突起66で支持され、弾性押圧部65の傾斜面65bが押圧突起67によって押圧されることによって、弾性係合部64と被係合突起66との係合状態を保持し、これによって、カバー6bの閉状態が保持される。
【0029】
また、カバー6bの開動作では、図15に示すように、左右方向の軸を回転中心として掛合部62が回転するように、カバー6bの後端側を弾性係合力に抗して下方に引き下げる。
このとき、弾性係合部64の断面く型の下方の傾斜面64cが被係合突起66によって押圧され、この押圧によって、弾性係合部64が前方に弾性変形し、この弾性変形によって、突出部64aが被係合突起66の先端部66bを乗り越えて、被係合突起66に対する弾性係合部64の係合が解除されて、カバー6bが開いた状態となる。
【0030】
このような配線挿通部材6は、カバー6bを閉じることによって、電力ケーブルBを隠すことができると共に、カバー6bを開くことによって開口部61から電力ケーブルBを露出させることができる。
また、カバー6bが開いた状態では、開いたカバー6bが配線挿通部材6に連結された状態で保持できると共に、この状態で電力ケーブルBを開口部61から露出させて取り出すことができる。
【0031】
以上の構成とする簡易建物Aによると、支柱1に対して梁2を固定すると共に、梁2の上方で支柱1に対して固定された吊り材3を梁2の上面20に固定することで、梁2を支持しているフレームFであるので、梁2の長さを長くしても屋根2を取付けた状態における必要な強度を確保することができる。
したがって、梁2の長手方向(前後方向)に自動車の前後方向を沿わせて駐車できると共に、左右方向に複数台の自動車を駐車できる大型の簡易建物Aを構築することができる
また、前側取付け部23および後側取付け部24の取付位置を、前枠41および後枠42の長手方向の範囲内で任意に設定できるようにしているため、フレームFの屋根4に対する立設位置を、左右方向において任意に設定することができる。
したがって、地面Gに障害物等があっても、この障害物等を避けることができる位置にフレームFを容易に設定できる。
また、屋根枠4aが梁2の下方にあると共に、トラス構造部40が屋根枠4aの下方にあるので、梁2の存在を目立たせずに、トラス構造部40のデザインを目立たせることができる。
したがって、簡易建物Aのデザイン性を損ねる梁2を、簡易建物Aの良好なデザイン性を発揮するトラス構造部40により見難くすることができるので、良好なデザインを備えた簡易建物Aを構築することができる。
また、屋根パネル400の取付けの際には、屋根パネル400の前端側と後端側を順次持ち上げて、係合凸部41aを係合凹部46cに係合させる工程と、係合凸部42aを係合凹部47c係合させる工程により、屋根パネル400を配置することができる。
したがって、簡易建物Aの大型化によって、増える屋根パネル400の取付けを容易、且つ迅速に行うことができる。
また、前側取付け部23および後側取付け部24が、梁2に対して強固に固定されていると共に、前枠41および後枠42に対して強固に固定されているため、前枠41および後枠42に屋根4を取付けた際に、屋根4の落下を防止できる。
また、配線挿通部材6は、開いたカバー6bが連結された状態でカバー6bを閉じることができると共に、カバー6bを閉じた状態では配線挿通部材6に対する弾性係合部64の弾性係合により保持されることによって、電力ケーブルBを隠すことができる。
そして、カバー6bが開いた状態では、開いたカバー6bを配線挿通部材6に連結された状態で保持できると共に、この状態で電力ケーブルBを開口部61から露出させて取り出すことができる。
したがって、カバー6bを閉じた状態においては配線挿通部材6に対する弾性係合部64の弾性係合という簡易な構成により保持でき、カバー6bを開く際には、弾性係合力に抗してカバー6bを開くことができるので、カバー6bの開閉を容易、且つ迅速に行うこ
とができる。
よって、電力ケーブルBのメンテナンスを迅速に行うことができる。
また、開かれたカバー6bが、配線挿通部材6に連結された状態で保持することができ、万が一外れたとしても、掛合部62が被掛合部63に対して引っ掛けるように掛合する連結構造であるので、迅速にカバー6bを配線挿通部材6に対して連結することができる。
【0032】
以上、本発明に係る実施形態の簡易建物および簡易建物の製造方法を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0033】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
A:簡易建物
B:電力ケーブル
F:フレーム
G:地面
1:支柱
10:前側面
2:梁
20:上面
21:後端
22a:ブラケット
22b:ブラケット
23:前側取付け部
24:後側取付け部
3:吊り材
30:後端
31:前端
4:屋根
4a:屋根枠
4b:パネル
400:屋根ユニット
40:トラス構造部
41:前枠
41a:係合凸部
42:後枠
42a:係合凸部
43:左側枠
44:右側枠
45:野縁
46:屋根パネル取付け部
46a:嵌入溝
46b:ねじ込み板
46c:係合凹部
46d:嵌入溝
46e:ねじ込み板
460:ねじ込み孔
47:屋根パネル取付け部
47a:嵌入溝
47b:ねじ込み板
47c:係合凹部
47d:嵌入溝
47e:ねじ込み板
470:ねじ込み孔
5:排水樋
50:屋根樋
51:竪樋
5a:支持板
5b:支持板
500:排水口
6:配線挿通部材
60a:前壁
6b:カバー
60:挿通空間
61:開口部
62:掛合部
62a:凹部
62b:先端部
63:被掛合部
63a:先端部
63b:直線面
64:弾性係合部
64a:突出部
64b:傾斜面
64c:傾斜面
65:弾性押圧部
65a:突出部
65b:傾斜面
66:被係合突起
66a:突起
66b:先端部
67:押圧突起
67a:先端部
b1:ボルト
b2:ボルト
b3:ボルト
b10:ボルト孔
b20:ボルト孔
図1
図2
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図5
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