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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】露光装置及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240129BHJP
   H01J 61/36 20060101ALI20240129BHJP
   H01J 61/52 20060101ALI20240129BHJP
   H01J 61/88 20060101ALI20240129BHJP
   H01J 5/50 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01J61/36 B
H01J61/52 B
H01J61/88 C
H01J5/50 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020090470
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021185403
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康平
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-047983(JP,A)
【文献】特開2021-047986(JP,A)
【文献】特開2019-204748(JP,A)
【文献】特開2008-262911(JP,A)
【文献】特開平11-283898(JP,A)
【文献】特開2021-048013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01J 5/50
7/24
61/36
61/52
61/88
F21V 29/502
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプを保持する保持部を有する露光装置において、
前記放電ランプは、1対の電極が対向して配置された放電空間を覆う放電管と、前記放
電管の少なくとも一つの端部側に設けた口金部と、前記1対の電極の内の少なくとも1つ
の電極を前記口金部内まで導くための金属部材とを有するとともに、前記口金部の端部側の底面に通気用の開口を有し、
前記保持部は給気通気管と排気通気管とを有し、
前記給気通気管と前記排気通気管とは、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記口金部の底面の通気用の前記開口を挿通して前記口金部内に挿入されるように構成され、
前記給気通気管を用いて、前記口金部内の前記金属部材に冷媒を供給し、前記排気通気管を介して前記口金部内の冷媒を排出することによって、前記金属部材を冷却する冷却部と、を有し、前記排気通気管は、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記排気通気管の開口が、前記口金部内において、前記給気通気管の開口より内側に配置されるように構成されていることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記給気通気管は、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記給気通気管の開口が、前記口金部内の前記金属部材の近傍に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記給気通気管の前記開口は、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記
口金部の内側の周方向に沿った位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の露光
装置。
【請求項4】
前記給気通気管の開口は、前記口金部の内側の周方向に沿った細長い形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記排気通気管の前記口金部内への突出量を、給気通気管の前記口金部内への突出量よりも小さくしたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
放電ランプを保持する保持部を有する露光装置において、
前記放電ランプは、1対の電極が対向して配置された放電空間を覆う放電管と、前記放
電管の少なくとも一つの端部側に設けた口金部と、前記1対の電極の内の少なくとも1つ
の電極を前記口金部内まで導くための金属部材と、を有するとともに、前記口金部の端部側の底面に通気用の開口を有し、
前記保持部は給気通気管と排気通気管とを有し、
前記給気通気管と前記排気通気管とは、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記口金部の底面の通気用の前記開口を挿通して前記口金部内に挿入されるように構成され、
前記給気通気管を用いて、前記口金部内の前記金属部材に冷媒を供給し、前記排気通気管を介して前記口金部内の冷媒を排出することによって、前記金属部材を冷却する冷却部と、を有し、
前記排気通気管の前記口金部内への突出量を、給気通気管の前記口金部内への突出量よりも小さくしたことを特徴とする露光装置。
【請求項7】
前記金属部材は前記口金部の内側の周方向に沿って配置されていることを特徴とする請
求項1~6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記給気通気管と前記排気通気管とは、前記口金部の底面の通気用の前記開口に嵌合することによって、前記放電ランプの位置決めをすることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記給気通気管と前記排気通気管の一方は大気に連通していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の前記露光装置を用いて基板にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記パターン形成工程によりパターンが形成された前記基板を現像する工程と、を含む
ことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを保持可能な露光装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの製造工程(リソグラフィ工程)で用いられる装置の1つとして、基板を露光する露光装置がある。
露光装置はマスクに形成されたパターンの像を、投影光学系を介して基板上の感光材(レジスト)に投影することにより、マスクのパターンを基板上の感光材に転写することができる。
【0003】
露光装置では、例えば波長365nmの光(i線)を用いて基板(感光材)を露光する場合、水銀ランプが光源として使用されている。
水銀ランプは、水銀が封入された石英ガラス製のガラス管内に1対の電極が対向配置され、ガラス管の両側には封止管が連設された構造になっている。
封止管内部では電極の端部と箔などの形状をとりうる金属部材とが導通、またこの金属部材と導通した金属部が封止管の外側にある口金部に接続されている。
【0004】
この結果、金属部材を介し、石英ガラス管の外側にある口金部と石英ガラス管の内側にある電極を電気的に接続することが可能となる。
金属部材は、石英ガラス管内の密閉状態を保ちつつ、石英ガラス管内と管外との導通を取るために用いられている。
具体的には、ガラス管内と管外との間には封止管の内径とほぼ同じ大きさの円柱状の封止用ガラス体が内包されているが、金属部材はこの封止管と封止用ガラス体との間に挟み込まれるように配置されている。
【0005】
ところで、露光装置内の水銀ランプは点灯時、極めて高温になり、モリブデンなどからなる金属部材も高温になり変形し、その隙間に空気が侵入する事で、金属部材が酸化する。
この酸化による導通不良や熱膨張による石英ガラスのダメージや異常発熱による金属部材溶断などにより水銀ランプが寿命を迎える事が多い。
【0006】
この課題に対して、特許文献1では、口金部内(封止管の端部)を冷却する例を示しており、口金部の周面に通風用の第1開口が形成されるとともに、口金部の尾端面(底面)にも通風用の第2開口が形成されており、冷却用気体の流路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3606149号公報
【文献】特開2019-204748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、封止管の端部近傍に冷却用の気体を流入させる事で近傍の温度上昇を抑制し、金属部材の酸化を抑え、水銀ランプを長寿命化する事を目的としている。
しかし、特許文献1の構成の場合、周面(側面)の開口部から冷却用の気体を流入させるのが難しく冷却効率が悪い。
具体的には、周面の開口の近傍に冷却用のノズルを配置する事になるが、雰囲気が高温になるためノズルは金属製が必須となる。
【0009】
金属の場合、ランプ電極との絶縁破壊のリスクがあるため、近づけることが出来ない。
結果として遠くから冷却用の気体を吹き付ける事になってしまい効率的に周面の開口部に冷却用の気体を送り込めない事になる。
逆に底面から冷却用の気体を入れ側面から出す場合、冷却効率は向上するが、以下のような課題がある。
【0010】
1つは、封止管端部の最も冷却したい部分を直接的に狙うことが出来ない。
側面から空気を流出する構造である為、空気の流れの制御が困難。結果として望みどおりの冷却が出来ないリスクがある。
もう1つは、封止管内に発生した封止剤(接着剤)の欠片等がランプハウス内に飛散する危険がある。封止管内には封止の為の接着剤など幾つかの材料が用いられているが、使用中に種々の要因で材料の欠片が落下する事がある。
【0011】
口金部の側面から冷却用の気体を流失させる場合、この空気の流れに乗りランプの外に飛び出してしまい、高温のままランプのガラス外側表面やミラーなどに吸着してしまうリスクもある。
以上に鑑み、本発明では、冷却効率の高い露光装置を提供する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
放電ランプを保持する保持部を有する露光装置において、
前記放電ランプは、1対の電極が対向して配置された放電空間を覆う放電管と、前記放
電管の少なくとも一つの端部側に設けた口金部と、前記1対の電極の内の少なくとも1つ
の電極を前記口金部内まで導くための金属部材とを有するとともに、前記口金部の端部側の底面に通気用の開口を有し、
前記保持部は給気通気管と排気通気管とを有し、
前記給気通気管と前記排気通気管とは、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記口金部の底面の通気用の前記開口を挿通して前記口金部内に挿入されるように構成され、
前記給気通気管を用いて、前記口金部内の前記金属部材に冷媒を供給し、前記排気通気管を介して前記口金部内の冷媒を排出することによって、前記金属部材を冷却する冷却部と、を有し、前記排気通気管は、前記保持部が前記放電ランプを保持した状態で、前記排気通気管の開口が、前記口金部内において、前記給気通気管の開口より内側に配置されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷却効率の高い露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例の露光装置100の構成を示す概略図である。
図2】従来のランプ10の概略図である。
図3図2のA-A’断面図である。
図4】実施例の水銀ランプが保持部1に装着された状態を示す図である。
図5】実施例における、口金部底面の開口と金属部材16と通気管との関係を示す図である。
図6】実施例における、口金部形状と配管系の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
本発明に係る実施例の露光装置100について、図1を参照しながら説明する。
図1は、実施例の露光装置100の構成を示す概略図である。
実施例の露光装置100は、例えば、照明光学系ILと、マスクM(レチクル)を保持するマスクステージMSと、投影光学系PLと、基板W(ウェハ)を保持する基板ステージWSと、制御部CNTとを含む。
【0017】
そして、露光装置100は、マスクMのパターンの像を基板上に投影して当該基板Wを露光する処理(露光処理)を行う。
照明光学系ILは、マスクステージMSにより保持されたマスクMを照明する。
投影光学系PLは、所定の投影倍率を有し、マスクMのパターンを基板Wに投影する。また、制御部CNTは、例えばCPUやメモリなどを有するコンピュータによって構成され、メモリに記憶されたコンピュータプログラムに基づき露光装置100の各部を制御して露光処理を行う。
【0018】
次に、照明光学系ILの構成について説明する。
照明光学系ILは、例えば、ランプ10を保持する保持部1(保持装置、凹面ミラー2、平面ミラーML1、NDフィルタ3、コンデンサレンズ4、波長フィルタ5、ハエの目レンズ6、マスキングブレード7、平面ミラーML2、レンズ8を含む。保持部1は、例えばi線などの光を射出するランプ10を保持する。
【0019】
なお、本実施例では、ランプ10として水銀ランプ等の放電ランプを用いる例について説明するが、水銀ランプ以外の放電ランプをランプ10として用いてもよい。
保持部1によって保持されたランプ10から発せられた光は、凹面ミラー2によって集光され、平面ミラーML1によって反射されたのち、NDフィルタ3によって光強度が調整された後、コンデンサレンズ4で集光されて波長フィルタ5に入射する。
【0020】
波長フィルタ5は、所望の範囲内の波長の光を透過させる。
波長フィルタ5を透過した光は、ハエの目レンズ6によって光強度分布を均一化され、マスキングブレード7、平面ミラーML2、およびレンズ8を介して、マスクMに照射される。
このように構成された照明光学系ILにおける発光源であるランプ10は、消耗部品であり定期的に交換する必要がある。交換には一定の時間が必要となり、その間装置の稼動を止めてしまう事にもなり歩留まりを低下させるので、長寿命化が望まれている。
【0021】
本実施例における長寿命化を実現するための構成について説明する前に、まずランプの一般的な構成を、図2を参照しながら説明する。
図2は従来の(水銀)ランプ10の概略図である。
1対の電極12が対向して配置された放電空間を略球状の放電管としての、石英ガラス等からなるガラス管11が覆っており、1対の対向した電極12に高電圧が印加されることにより発光する。
【0022】
また、ガラス管11は、ガラス管11の両端側に設けた第1口金部14および第2口金部15をガラス管11にそれぞれ連結するために管状の封止部13を両端に有する。
そして、第1口金部14および第2口金部15は、ガラス管11の管状の両端の封止部13に嵌合して、両端の封止部13を図2の上下(±Z方向)から挟み込むように配置される。
【0023】
1対の電極12のそれぞれの電極は金属製の電極芯線保持体17をそれぞれ経由し、モリブデン等からなる数枚の薄い金属部材16とそれぞれ電気的に導通している。
薄い金属部材16は、ガラス管内を密閉させるための略円柱状の封止用ガラス体19と、管状の封止部13の内側面に挟まれるように配置されている。
【0024】
また、金属部材16は金属製の電極芯線保持体17’を経由し、金属製のリード棒21等を通じそれぞれ口金部14、15と電気的に導通している。即ち、金属部材16は、放電管の少なくとも一つの端部側に設けた口金部と、前記1対の電極の内の少なくとも1つの電極を前記口金部内まで導くように配置されている。
【0025】
これによりガラス管11内の密閉性を損なうことなく外部の口金部14、15と内部の1対の電極12とをそれぞれ電気的に導通させている。なお、実施例では口金部は放電管の両端にそれぞれ設けているが、一方の端だけに口金部を設け、1対の電極を1つの口金部にそれぞれ別々に導くように金属部材を配置し、口金部において両者を電気的に絶縁分離して配置するようにしてもよい。
【0026】
封止用ガラス体19と金属部材16の配置を、図3を用いて説明する。
図3は、図2のA-A’断面図である。
図3において、薄い金属部材16は、管状の封止部13の内面と封止用ガラス体19の外周面の間に挟まれるように封止用ガラス体19の周に沿って複数枚配置されている。
金属部材16が無い部分には隙間が生じるので、主に封止剤(接着剤)で隙間を充填している。
【0027】
このランプの寿命を決める要因は、ガラス管の歪や汚れ、電極の先端形状の変形など複数ある。しかし、金属部材近傍の温度上昇により管状の封止部13が変形し、隙間から空気が流入して、金属部材が酸化することで抵抗が増加し、異常発熱が発生して溶断する場合が大きな割合を占めていることが確かめられた。
【0028】
このため、本実施例では、金属製の電極芯線保持体17’近傍の冷却効率を高め、温度上昇を抑える事で長寿命化を実現している。さらにまた、封止剤(接着剤)等の欠片の飛散も抑制できるように構成している。
そのための、本実施例の露光装置側の構成を、図4を用いて説明する。
【0029】
図4は水銀ランプが保持部1に装着された状態を示す図である。ランプが保持部1に装着されると、ランプの金属製のリード棒21が、金属からなる保持部1の対向する部分に当接し電気的な導通がなされる。なお、実施例では口金部とリード棒21とは導通しているので、保持部の不図示の電気的接点と口金部とが接触することによって導通をとるようにいてもよい。
【0030】
図4に示すように、水銀ランプの第1口金部14の下側の端部の底面33に複数の通気用の開口24,25を設け、冷却部32が保持部1側の開口22、23を介して、金属部材を冷却用の気体で冷却するように構成している。
しかも、保持部側の開口22、23の形状を、口金部内に突出する突起形状の通気管とすることによって、突起状の給気用通気管30、突起形状の排気用通気管31を形成している。
【0031】
そして保持部が放電ランプを保持した状態で、給気用通気管30または排気用通気管31は口金部の底面の通気用の前記開口24,25をそれぞれ挿通して口金部内に挿入されるように構成している。
また、保持部が放電ランプを保持した状態で、給気用通気管の開口が、前記口金部内の金属部材16の近傍に対向配置されるように構成している。
【0032】
また、冷却部32は、給気用通気管30または排気用通気管31を用いて、給気または排気をすることによって口金部内に直接的または間接的に冷媒(冷却用の気体)を供給し、それによって、前記金属部材を冷却する。
このように本実施例では、冷却用の給気をピンポイント的に冷却箇所である金属部材16に導くことができるので冷却効率が大幅に向上する。
【0033】
ここで第1口金部14の底面に設けた通気用の開口24,25の径は、前記突起形状の通気管30,31の外径よりも若干大きく設定されている。そして、第1口金部14を保持部1に装着し、例えば図4の下方向に第1口金部14を保持部に押し込んだ際に、開口24,25に通気管30,31が嵌合するように構成されている。それによって、ランプの周方向または半径方向の位置合わせ(位置決め)が同時になされるように構成されている。
【0034】
ここで位置合わせ(位置決め)とは所定のずれを許容するものであってもよい。
なお、図4の下方向に第1口金部14を保持部に押し込んだ後で、第1口金部14を所定方向に若干回転することによって、ランプがバヨネット結合によって所定の位置に位置決めされるように構成してもよい。
【0035】
図5は実施例における、口金部底面の開口と金属部材16と通気管との位置関係を示す図である。なお、図5の上側の図は、図4の電極芯線保持体17’の下端面周辺を示している。
口金部の内側の周方向に沿った、金属部材16と略対向する近傍の位置に給気用通気管30の開口22が配置される。
【0036】
また、排気用通気管31の開口23は、口金部内において、給気用通気管30の開口22より内側に配置されるように構成されている。このような構成によって、最も冷却すべき、金属部材16近傍の領域Aをピンポイント的に効率よく冷却することが出来る。
なお、図5において、また、本実施例では、金属部材16は口金部の内側の周方向に沿って配置されており、給気用の開口22は金属部材16の端部の形状に沿った細長い形状を有している。
【0037】
しかも金属部材16にそれぞれ対向するように金属部材16と同じ数だけ設けられているので、更に冷却効果が高くなっている。
一方、排気用の開口23の形状は、均等な方向の排気効果を得るためにほぼ円形となっており、しかも排気用の開口23は図5に示すように、給気用の開口22の内側に配置されている。従って、給気と排気の気体の流れがスムーズとなり、冷却効率が高い。
【0038】
なお、金属部材16の端部に直接的に冷却用の気体を吹き付けなくても、金属部材16の近傍の、金属製の電極芯線保持体17’の周辺部に冷却用の気体を吹き付けてもよい。
前述したように、金属部材16は石英ガラス管内と管外の電気的導通を取るために用いられており、封止部13と封止用ガラス体19との間に配置される。
【0039】
つまり、密閉空間に配置され、冷媒(冷却用の気体)を直接吹き付けることが困難な位置にあることが多いが、本実施例の構成を用いれば、金属部材16を効率的に冷却できる。なお、上述のように、冷媒を金属部材16に直接吹き付けなくても、金属部材16の近傍に吹き付けるだけでも十分な冷却効果を得ることができることが確認された。
【0040】
以上のように構成することにより、封止剤(接着剤)等の欠片を飛散させにくく、冷却効率の極めて高い露光装置を得ることができる。なお、本実施例では、図5に示すように、円周に沿った細長い形状の給気用の開口22を有する給気用通気管30、丸い形状の排気用の開口23を有する排気用通気管31をそれぞれ4つずつ配置した。しかし、領域Aを効率的に冷却できるのであれば、個数や形状は本実施例の構成に限るものではない。
【0041】
即ち、通気管は、搭載される放電管ランプの特性や口金部等の形状に応じて異なる形状、数とすることが望ましい。
また、図5においては、4対の給気用通気管30と口金部の開口24の形状はすべて同じ形状とし、4対の排気用通気管31と口金部の開口25の形状はすべて同じ形状としている。しかしいずれか1対の形状を他の対の形状と異ならせることによって周方向の特定の位相に合わせて位置決めできるようにしてもよい。
【0042】
図6は実施例における、口金部形状と配管系の他の例を示す図であり、図6に示すように、保持部1の排気用通気管31の高さを給気用通気管30よりも低くしてもよい。即ち、排気用通気管の前記口金部内への突出量を、給気用通気管の前記口金部内への突出量よりも小さくしてもよい。それによって図6の口金部内部の下側の空気の淀みを低減させることができる。
【0043】
冷却部32による給気、排気についても、例えば冷却効果は下がるものの、一方を大気と連通(大気開放)するようにしてもよい。
例えば、1つの配管ラインを兼用して給気と排気を選択的に行うようにしてもよいが、その場合、配管系の構成や気体の制御をつかさどる制御系の構成など、設計が複雑化するだけでなく、コストがかかる傾向がある。
【0044】
従って、要求される冷却性能に応じ、配管ラインの給気と排気の構成を、例えば給気側は大気開放あるいは排気側は大気開放の様な構成などにすることで構成を簡略化できる。
なお、前述の特許文献2には、露光装置側の保持部に給気用開口と排気用開口を構成し、水銀ランプの口金部側の開口から口金部内部に冷媒(冷却用の気体)を注入し、冷却を実施する構成が記載されている。
【0045】
しかし、特許文献2の構成では、露光装置側の保持部の給気用開口と排気用開口と水銀ランプの口金部側の開口の位置を正確に位置合わせしなければ十分な冷媒を注入できず、冷却不足になってしまう問題がある。
そのため特許文献2では、別途位置合わせ機構を設けて、露光装置と水銀ランプの位置合わせをしている。
【0046】
しかしその場合、露光装置の保持部と、水銀ランプの口金部側にそれぞれ位置合わせのための機構を設ける必要があり、構成が複雑化し設計難易度が上がるだけでなく、露光装置側のコストと水銀ランプ側のコストがアップしてしまう。
【0047】
しかし、本実施例の構成では、突起形状の給気用通気管又は突起形状の排気用通気管が前述した位置合わせ機構を兼ねている。従って、特許文献2のような、位置合わせ機構を別途設ける必要がなくなり、機構を簡易化出来て設計難易度を下げることができる。
また、露光装置及び水銀ランプのコストも下げることが可能となる。
【0048】
なお、図4図6の実施例では、金属部材16の下端の面は、金属製の電極芯線保持体17’の下端の面と高さが一致している(揃っている)。しかし、金属部材16の被冷却部分の面積を増やすために、金属製の電極芯線保持体17’の下端の面よりも金属部材16下端の面が、図6中の下側に突出するようにしてもよい。なお、その場合に、管状の封止部13の下端の面は金属部材16下端の面と同じ高さにするか、金属部材16下端の面より下側に位置するように構成することが強度的に望ましい。
【0049】
次に、前述の露光装置を利用した本実施例の物品(半導体IC素子、液晶表示素子、MEMS等)の製造方法について説明する。
本実施例の物品は、前述の露光装置を使用して、感光剤が塗布された基板(ウェハ、ガラス基板等)を露光することによってパターンを形成するパターン形成工程を有する。また、パターン形成工程によりパターンが形成された基板(感光剤)を現像する工程と、現像された基板を他の周知の工程で処理することにより製造される。
他の周知の工程には、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。
【0050】
このように、本実施例を適用した物品製造方法によれば、露光装置のランプの寿命が延びるので、歩留まりが向上し、信頼性も向上させることができる。
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0051】
1 保持部
11 ガラス管
12 電極
14 第1口金部
15 第2口金部
16 金属部材
17 電極芯線保持体
19 封止用ガラス体
20 開口部
21 リード棒
22 給気用の開口
23 排気用の開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6