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特許7427542シリコーンゴムスポンジ組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】シリコーンゴムスポンジ組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/32 20060101AFI20240129BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240129BHJP
   C08K 7/22 20060101ALI20240129BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
C08J9/32 CFH
C08K3/013
C08K7/22
C08L83/07
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020102970
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021195454
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】平林 佐太央
(72)【発明者】
【氏名】南川 知哉
(72)【発明者】
【氏名】飯野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】富澤 伸匡
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153774(JP,A)
【文献】特開2001-293742(JP,A)
【文献】特開2018-065889(JP,A)
【文献】特開平10-245445(JP,A)
【文献】特開平08-258224(JP,A)
【文献】特開2002-128937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C44/00-44/60
B29C67/20
C08J 9/00-9/42
C08K 3/013
C08K 7/22
C08L 83/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)補強性シリカを含み、25℃で液状の付加架橋型シリコーンゴム組成物:100質量部、
(B)比重が0.01~0.3であり、平均粒子径が10~200μmである有機樹脂殻を有する既膨張の樹脂微粒子:1.0~20質量部、
(C)前記(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径に対して、0.007~0.5倍の平均粒子径の大きさをもつ平均円形度が0.8~1である球状粒子:0.1~10質量部
を含むものであることを特徴とするシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項2】
(D)成分として、一分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有する炭素数2~10の多価アルコール、前記多価アルコールの部分エーテル化合物、部分エステル化合物、部分シリル化合物及び部分ハロゲン化合物から選ばれるモノマー、及び前記モノマーの1種又は2種以上の重合体から選ばれる1種又は2種以上の連泡化剤:0.5~20質量部
を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項3】
前記(C)成分の球状粒子が、溶融シリカ、シリコーンレジン、ガラス、中空ガラス、アルミナ又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の有機樹脂殻が、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの群から選ばれるモノマーの重合体又は該モノマーの2種以上の共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物を金型に0.01MPa~5MPaの圧力にて注入してスポンジを成形する工程を含むことを特徴とするシリコーンゴムスポンジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既膨張の樹脂微粒子含有のシリコーンゴムスポンジ組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムスポンジは、シリコーンゴム特有の耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、難燃性、圧縮永久歪み等の優れた物理特性をもったスポンジである。このような特性を有するシリコーンゴムスポンジは、OA機器や自動車、建築材料などにおいて低熱伝導化及び軽量化を進めるために使用されている。
【0003】
シリコーンゴムスポンジは、その用途に応じて、その成形、発泡形態から様々な方法で製造される。そのうちの一つとして、未硬化の液状シリコーンゴムスポンジ組成物に比重0.01以上の既膨張の樹脂微粒子を配合、加熱硬化させてスポンジに利用する方法が開示されている(特許文献1)。上記の既膨張の樹脂微粒子を多量に配合することにより、シリコーンゴムスポンジの低比重化も可能であるが、既膨張の樹脂微粒子は注型や射出成形する場合に、樹脂成分が金型注入圧力によりつぶれてしまうため、注入前の密度に比べて硬化後の比重が高くなってしまうという問題がある。
【0004】
また、ガラス、セラミックス等の無機物の中空粉体をゴム中に含有したものが知られている(特許文献2)。これらは既膨張樹脂微粒子よりも無機物の殻が固い為、金型注入圧力によって粒子がつぶれにくく、成形前後の比重差は小さいが、粉体自身の比重が大きいため軽量化には十分に寄与せず、また無機材質であるために熱伝導率の低下やクッション性なども不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-137063号公報
【文献】特開2004-026875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、既膨張の樹脂微粒子含有のシリコーンゴムスポンジ組成物の流動性を向上させ、注型、射出成形時に既膨張の樹脂微粒子の圧力による収縮変形を低減し、成形品のスポンジゴム密度の軽量化及び、密度ばらつきや硬度ばらつきを低減可能なシリコーンゴムスポンジ組成物及びシリコーンゴムスポンジの製造方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、(A)補強性シリカを含み、25℃で液状の付加架橋型シリコーンゴム組成物:100質量部、
(B)比重が0.01~0.3であり、平均粒子径が10~200μmである有機樹脂殻を有する既膨張の樹脂微粒子:1.0~20質量部、
(C)前記(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径に対して、0.001~0.5倍の平均粒子径の大きさをもつ平均円形度が0.8~1である球状粒子:0.1~10質量部
を含むものであるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供する。
【0008】
このようなシリコーンゴムスポンジ組成物であれば、既膨張の樹脂微粒子含有のシリコーンゴムスポンジ組成物の流動性を向上させ、注型、射出成形時に既膨張の樹脂微粒子の圧力による収縮変形を低減し、成形品のスポンジゴム密度の軽量化及び、密度ばらつきや硬度ばらつきを低減可能となる。
【0009】
また、本発明では、(D)成分として、一分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有する炭素数2~10の多価アルコール、前記多価アルコールの部分エーテル化合物、部分エステル化合物、部分シリル化合物及び部分ハロゲン化合物から選ばれるモノマー、及び前記モノマーの1種又は2種以上の重合体から選ばれる1種又は2種以上の連泡化剤:0.5~20質量部
を含むものであるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供することができる。
【0010】
このようなシリコーンゴムスポンジ組成物であれば、ゴム硬化物中の隣接したスポンジセル同士に連通穴が空いている状態とし、硬化スポンジの外皮よりスポンジ内部に空気が入ることが出来る状態とすることができる。
【0011】
また、本発明では、前記(C)成分の球状粒子が、溶融シリカ、シリコーンレジン、ガラス、中空ガラス、アルミナ又はこれらの混合物であるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供することができる。
【0012】
このようなシリコーンゴムスポンジ組成物であれば、流動性を改良することができる。
【0013】
また、本発明では、前記(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の有機樹脂殻が、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの群から選ばれるモノマーの重合体又は該モノマーの2種以上の共重合体であるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供することができる。
【0014】
このようなシリコーンゴムスポンジ組成物であれば、本発明の効果をより向上させることができる。
【0015】
また、本発明では、前記シリコーンゴムスポンジ組成物を金型に0.01MPa~5MPaの圧力にて注入してスポンジを成形する工程を含むシリコーンゴムスポンジの製造方法を提供することができる。
【0016】
このようなシリコーンゴムスポンジの製造方法であれば、組成物のチキソ性によって金型へ充填することが出来、(B)成分の既膨張の樹脂微粒子が高い充填圧力によってつぶれてしまったり、壊されてしまいスポンジとならない恐れがなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物及びシリコーンゴムスポンジの製造方法は、組成物の流動性に優れ、配合された既膨張の樹脂微粒子成形品の成形圧力によるつぶれを抑制して成形品のスポンジ低密度化、密度ばらつきや硬さばらつきの少ないスポンジを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の組成物を注型成型する金型の概略図である。
図2】注型成型後の硬度測定を行うゴムシートの概略図である。
図3】本発明の硬化後のスポンジゴムの連泡率を測定する装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、既膨張の樹脂微粒子含有のシリコーンゴムスポンジ組成物の流動性を向上させ、注型、射出成形時に既膨張の樹脂微粒子の圧力による収縮変形を低減し、成形品のスポンジゴム密度の軽量化及び、密度ばらつきや硬度ばらつきを低減可能なシリコーンゴムスポンジ組成物及びシリコーンゴムスポンジの製造方法の開発が求められていた。
【0020】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、既膨張の樹脂微粒子を配合してなる熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物に対し、該既膨張の樹脂微粒子の粒子径に対して、0.001~0.5倍の大きさをもつ球状粒子を添加することにより、組成物の流動性を大幅に改善させて、成形品のスポンジの軽量化、密度ばらつきおよび硬度ばらつきを低減したシリコーンゴムスポンジを得る方法を知見し、本発明をなすに至った。
【0021】
即ち、本発明は、(A)補強性シリカを含み、25℃で液状の付加架橋型シリコーンゴム組成物:100質量部、
(B)比重が0.01~0.3であり、平均粒子径が10~200μmである有機樹脂殻を有する既膨張の樹脂微粒子:1.0~20質量部、
(C)前記(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径に対して、0.001~0.5倍の平均粒子径の大きさをもつ平均円形度が0.8~1である球状粒子:0.1~10質量部
を含むシリコーンゴムスポンジ組成物である。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
-(A)成分-
(A)成分は、補強性シリカを含み、25℃で液状の付加架橋型シリコーンゴム組成物である。該シリコーンゴム組成物は、本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物の主成分となるものである。具体的には、(A)成分の付加架橋型シリコーンゴム組成物は下記に説明する(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)成分からなる。
【0024】
-(A1)液状オルガノポリシロキサン-
(A1)成分の液状オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(I)
SiO(4-a)/2 (I)
[式中、Rは同一又は異種の1価炭化水素基を示し、aは1.95~2.04の正数を示す。]
で表される1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
【0025】
上記式(I)において、Rは同一又は異種の1価炭化水素基を示し、好ましくは炭素原子数1~12、より好ましくは炭素原子数1~8の1価炭化水素基が挙げられる。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。なお、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換してもよく、例えばクロロメチル基、トリフルオロプロピル基などが挙げられる。中でも、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基が80モル%以上、更に95モル%以上であることが好ましい。
【0026】
上記式(I)において、aは1.95~2.04の正数であり、好ましくは1.98~2.02の正数である。
【0027】
上記のオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖状であるが、硬化後のシリコーンゴムスポンジのゴム弾性を有する限り分岐していてもよい。このオルガノポリシロキサンは分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基などで封鎖されたものとすることができる。本発明において、このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが必要で、具体的には、Rのうち0.001~5モル%、特に0.05~0.5モル%がアルケニル基、特にビニル基であることが好ましい。
【0028】
(A1)成分のオルガノポリシロキサンは、通常選択されたオルガノハロシランの1種又は2種以上を加水分解縮合することによって、或いは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体或いは4量体など)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができるもので、このものは基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。また、このオルガノポリシロキサンの重合度は100~600であり、好ましくは150~500であり、更に好ましくは200~400である。
【0029】
本発明において重合度とは、下記測定条件で測定したトルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度として求めることができる。
【0030】
[測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.350mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSKgel Super MultiporeHZ-H
(いずれもTOSOH社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:10μL(濃度0.1質量%のトルエン溶液)
【0031】
(A1)成分のオルガノポリシロキサンは、25℃で液状であり、特にJIS K 7117-1:1999記載のB形回転粘度計によって測定した粘度が0.05~30Pa・sであることが好ましく、0.3~10Pa・sであることがより好ましい。
【0032】
-(A2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン-
(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(II)
SiO(4-b-c)/2 (II)
で示され、1分子中に少なくとも2個(通常2~300個)、好ましくは3個以上、より好ましくは3~150個程度のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)を有することが好ましい。
【0033】
上記式(II)中、Rは炭素数1~10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、このRとしては、上記式(I)中のRと同様の基を挙げることができるが、脂肪族不飽和基を有さないことが好ましい。
【0034】
また、上記式(II)中、bは0.7~2.1の正数であり、cは0.001~1.0の正数で、かつ、b+cは0.8~3.0を満足する正数である。好ましくは、bは1.0~2.0の正数、cは0.01~1.0の正数、b+cは1.5~2.5の正数である。
【0035】
上記式(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は通常2~300個、好ましくは4~150個程度の室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0036】
上記式(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
【0037】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A1)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~50質量部、特に0.3~20質量部とすることが好ましい。また、(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、(A2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.5~5モル、特に0.8~2.5モル程度となる量で配合することもできる。
【0038】
-(A3)補強性シリカ-
(A3)成分の補強性シリカは、シリコーンゴムスポンジの加工性、機械的強度等を良好にするために必要な充填剤であり、(A)成分の必須となる成分である。この補強性シリカの比表面積は50m/g以上であることが好ましく、より好ましくは100~400m/gである。この補強性シリカとしては煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示され、この内煙霧質シリカ(乾式シリカ)が好ましい。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカは1種単独でも2種以上併用してもよい。なお、この補強性シリカの配合量は、(A1)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5~30質量部であり、好ましくは1~20質量部、特に好ましくは1.5~10質量部である。この補強性シリカの配合量が、0.5質量部以上であれば十分な補強効果が得られ、30質量部以下であれば未架橋シリコーンゴムスポンジの加工性が悪くならず、また、得られるシリコーンゴムスポンジの連泡率が低下することがなく、また架橋前のシリコーンゴムスポンジ組成物の粘度が高くなりすぎず、スポンジ密度が高くならない。
【0039】
-(A4)付加反応触媒-
(A4)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、(A1)成分と(A2)成分との合計量(シロキサン結合を持つポリマー総量)に対して、白金族金属として0.5~1,000ppm、特に1~500ppm程度とすればよい。
【0040】
なお、上記(A)成分の付加架橋型シリコーンゴム組成物は、25℃で液状であり、JIS K 7117-1:1999記載の方法で測定したB形(HAT型)回転粘度計による25℃での粘度が、10~3,000Pa・sであることが特に好ましく、20~1,000Pa・sが更に好ましい。
【0041】
-(B)成分-
(B)成分として、有機樹脂殻を有する既膨張の樹脂微粒子を配合する。この微粒子(フィラー)は、硬化ゴム内に気体部分を付与することで、スポンジゴムのように比重を低下させるものである。
【0042】
既膨張の樹脂微粒子の有機樹脂殻としては、特に制限はないが、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの群から選ばれるモノマーの重合体又は上記モノマーの2種以上の共重合体により形成されたものを採用することが好ましい。本発明で用いる既膨張の樹脂微粒子については、この有機樹脂殻に揮発性物質又は低沸点物質を内包した未膨張の樹脂微粒子を予め単独で粉体状態で加熱膨張させて既膨張の樹脂微粒子としたものである。なお、既膨張の樹脂微粒子を配合する場合、既膨張の樹脂微粒子の強度を向上させる等のために、その表面に炭酸カルシウムやタルク等の無機質フィラー等を付着させたものを配合することもできる。
【0043】
上記の既膨張の樹脂微粒子は、シリコーンゴムスポンジ組成物内で十分な比重の低下、熱伝導率の低下などの機能を持たせるために、真比重が0.01~0.3であり、好ましくは0.01~0.25であることがよく、0.01より小さいと配合・取り扱いが難しいばかりか、既膨張の樹脂微粒子の耐圧強度が不十分で、配合や成形時に破壊してしまい、軽量化ができなくなってしまうおそれがある。また、比重が0.3より大きいと、比重が十分に低下しなくなるおそれがある。
【0044】
また、既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径は、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは50~150μmである。この平均粒子径が200μmより大きいと、成形時の圧力により既膨張の樹脂微粒子が破壊されて比重が高くなってしまったり、耐久性が低下してしまったりするおそれがある。なお、本発明において、(B)成分の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定した値を指すものとする。
【0045】
既膨張の樹脂微粒子の配合量は、(A)成分100質量部に対し、1.0~20質量部であり、好ましくは1.5~18質量部である。また、(A)成分との体積比で20~70%となるように配合するとよい。20%以上であれば比重の低下、熱伝導率の低下等が十分であり、スポンジを連泡化させることは困難でなくなり、また、70%以下であれば成形、配合が難しくなくなるだけでなく、成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまうおそれがなくなる。
【0046】
-(C)成分-
本発明においては、上記(A)、(B)成分に加えて、(C)成分として(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径に対して、0.001~0.5倍の平均粒子径の大きさをもつ平均円形度が0.8~1である球状粒子を添加する。上記の球状粒子を添加することにより、(A)成分の架橋性シリコーン組成物に分散された(B)成分の既膨張の樹脂微粒子が流動する際に、本(C)成分の球状粒子が「コロ効果」を生み出して、本発明のシリコーン組成物の流動性を向上させるものである。
「コロ効果」とは微粒(本発明の(C)成分)が粗粒間(本発明では(B)成分の既膨張の樹脂微粒子)で潤滑剤あるいはコロのような働きをすることで、組成物系の低粘度化、すなわち流動性の改善となる効果のことである。
【0047】
(C)成分の球状粒子としては、無機金属微粒子、シリカ、アルミナのような無機酸化物微粒子、水酸化ニッケルや炭酸カルシウムのような無機金属塩、ナイロンパウダーやポリメタクリル酸エステル、セルロースなどの有機樹脂微粒子等などが挙げられ、その種類や使用を制限されるものではないが、本発明はシリコーンゴムスポンジ組成物の流動性改良を目的としており、(C)成分の球状粒子の原料比重は低い(軽い)、耐熱性の良いものが推奨され、特に溶融シリカ、シリコーンレジン、ガラス、中空ガラス、アルミナ又はこれらの混合物が好ましい。
【0048】
また、これらの(C)成分の球状粒子の表面はオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらの(C)成分の球状粒子は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0049】
状粒子の製造方法について一例をあげると、溶融シリカは溶射法によって製造され、2000℃以上の高温の火炎中に破砕シリカ粉末やシリカゲルを供給してシリカを溶融し表面張力により球状化したシリカ溶融物を急冷することで球状のシリカ粒子を得る事ができる。また、金属珪素粉末を酸素の気流中に分散させ、着火することで酸化させ、その反応熱で金属及び酸化物を蒸気または液体にし、冷却して球状シリカを得る方法もあげられる。
【0050】
シリコーンレジン粒子の製造方法としては、4官能性シラン化合物、または3官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物またはそれらの組み合わせを加水分解および縮合することによって、実質的にSiO4/2単位~RSiO3/2単位からなる球状シリカ微粒子を得る方法である。前記化学式中のRは置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。特に3官能性シラン化合物を主に原料としたシリコーンレジン粒子をシルセスキオキサン粒子と呼称する事がある。上記において、シリコーンレジン粒子が「実質的にSiO4/2~RSiO3/2単位からなる」とは、該微粒子は基本的にはSiO4/2単位から構成されているが該単位のみから構成されている訳ではなく、少なくとも表面に通常知られているようにシラノール基を多数個有する、またはメチル基やビニル基等の炭化水素基を多数個有することを意味する。また、場合によっては、原料である4官能性シラン化合物、3官能性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合生成物に由来する加水分解性基(ヒドロカルビルオキシ基)が一部シラノール基に転化されずに若干量そのまま微粒子表面や内部に残存していてもよいことを意味する。
上記シラン化合物の部分加水分解によって製造された微粒子は粒子径のばらつきが少なく、真球状に近い粒子が得られるといった特徴がある。
【0051】
ガラス粒子、中空ガラス粒子の製造方法としては、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、加水分解法等の各種方法が知られており、噴霧分解法が良く利用される。この方法は、所定温度に保持された電気炉中に噴霧し、電気ヒーターからの輻射熱を利用して熱分解するものである。この方法によれば、原料溶液を瞬時に熱分解するため、多成分系の均一な原料のサブミクロンからミクロンオーダーの微粒子を製造することができる。また、中空球状ガラスを製造するには、上記のガラス原料に硫黄やアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩などのガスを発生する不純物を含有させ、ガラス原料を0.1~2MPaの圧力で噴出させて中空ガラスを得る方法が挙げられる。
【0052】
(C)成分の球状粒子の粒子径は(B)成分の既膨張の樹脂微粒子の平均粒子径に対して、0.001~0.5倍の平均粒子径が良く、好ましくは0.005~0.4倍、特に好ましくは0.01~0.3倍である。この粒子径が0.001倍よりも小さい粒子径だと、コロ効果による粘度低下現象があらわれず、粉体比表面積が大きくなるため組成物の粘度が逆に上昇してしまうことがある。また0.5倍よりも大きい粒子径だと(B)成分の既膨張樹脂微粒子に近い大きさとなってしまい、(B)成分と(C)成分の粒子同士の接触が大きくなってしまい、コロ効果による良好な流動性や組成物への充填性が悪くなる場合があり、好ましくない。
【0053】
また、(C)成分の球状粒子は真球状の粒子が望ましく、平均円形度が0.8~1である球状粒子がよく、より好ましくは平均円形度0.85以上が良い。平均円形度が0.8未満、すなわち表面が球状ではない不定形の粉砕状粒子や楕円形、繊維状等の粒子を使用するとコロ効果による(B)成分の滑り性が失われ、粘度の低下現象は現れない。
【0054】
なお、本発明において、「球状」とは、真球だけでなく、若干歪んだ球も含む。このような「球状」の形状とは、粒子を二次元に投影した時の円形度で評価し、円形度が0.8~1の範囲にあるものを云う。ここで円形度とは、(粒子面積と等しい円の周囲長)/(粒子周囲長)である。この円形度は電子顕微鏡等で得られる粒子像を画像解析することにより測定することができる。また、(C)成分の球状粒子の平均粒度分布は、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:UPA-EX150)により測定し、その体積基準メジアン径を粒子径とする。なお、メジアン径とは粒度分布を累積分布として表した時の累積50%に相当する粒子径である。
【0055】
(C)成分の球状粒子の配合量は、シリコーンゴム組成物(A)100質量部に対し、0.1~10質量部であり、好ましくは0.2~7質量部、より好ましくは0.3~5質量部である。0.1質量部未満では流動性向上の目安である粘度の低下を確認できず、10質量部を超えると(C)成分の(A)成分に対する体積分率が高くなってしまい、シリコーンゴム組成物の硬度が上昇してしまうばかりか、粘度も上がってしまいスポンジゴムの密度ばらつきや硬度ばらつきも大きくなってしまう。
【0056】
-(D)成分-
本発明においては、上記(A)、(B)、(C)成分に加えて、(D)成分として多価アルコール又はその誘導体を添加することにより、シリコーンゴムスポンジ組成物を連泡化することができる。連泡化とはゴム硬化物中の隣接したスポンジセル同士に連通穴が空いている状態を示し、硬化スポンジの外皮よりスポンジ内部に空気が入ることが出来る状態を指す。
【0057】
スポンジを連泡化させるメカニズムは、(A)成分のシリコーンゴム組成物を加熱、硬化する温度領域よりも、多価アルコール類の揮発温度を高い温度に設定し、ゴム硬化後に多価アルコール類成分を揮発、除去させる事よりスポンジを連泡化するものである。この多価アルコール又はその誘導体としては、一分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有する炭素数2~10、好ましくは2~8の多価アルコール、及びこれらの部分エーテル化合物、部分エステル化合物、部分シリル化合物、部分ハロゲン化合物から選ばれる一分子中に少なくとも1個、好ましくは1~5個の残存アルコール性水酸基を有するモノマー、並びにこれらのモノマーの1種又は2種以上の重合体から選ばれる多価アルコール又はその誘導体が挙げられる。
【0058】
上記の多価アルコール又はその誘導体としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールなどのグリコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどの部分エーテル化合物、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、エチレングリコールモノアセテートなどの部分エステル化合物、エチレングリコールモノ(トリメチルシリル)エーテル、ジエチレングリコールモノ(トリメチルシリル)エーテルなどの部分シリル化合物、グリセリン-α-モノクロロヒドリンなどの部分ハロゲン化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体などのポリアルキレングリコールなどが挙げられ、好ましくはグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセリン-α-モノクロロヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0059】
これらの(D)多価アルコール又はその誘導体は、1種単独でも2種以上を併用してもよく、(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.5~20質量部であり、3~18質量部であることが好ましい。この配合量が0.5質量部以上であれば連泡化の効果があり、逆に、20質量部以下であればゴム強度等のゴム物性への悪影響が大きくなってしまうことがない。
【0060】
-その他の成分-
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物には、上述した成分の他に、本発明の目的に応じて、上記(A3)成分の補強性シリカ以外の半補強性又は非補強性の充填剤を配合することができる。この半補強性又は非補強性の充填剤は極力小粒径の球状充填材であることが好ましい。例えば、酸化チタンやベンガラなどの耐熱添加剤、難燃剤(白金錯体を含む)、酸化防止剤、加工助剤なども配合することができる。更に、導電性カーボンや粒子径がナノレベルのフラーレン、CNF等を添加することにより導電スポンジとすることもできる。
【0061】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物には、必要に応じて更に熱伝導性を付与することも可能である。熱伝導性物質としては、例えば、粉砕石英、酸化亜鉛、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、金属珪素粉末や炭化珪素、繊維状カーボンファイバー等のシリコーンへの添加実績のある粉体を添加したスポンジを製造することもできる。また、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール封鎖低分子シロキサン等の分散剤などを添加してもよい。
【0062】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物を製造する方法については、特に限定されないが、全ての成分を一度に混合しても、(A)成分のうち液状オルガノポリシロキサン(A1)、補強性シリカ(A3)を、プラネタリーミキサー,ニーダー,バンバリーミキサー等で混合しておき、その後残りの成分を添加してもよい。また、必要により(A1)成分と、(A3)成分を熱処理(加熱下での混練り)してもよい。更に具体的には(A1)成分と(A3)成分との補強性シリカ、その他添加剤を混練、熱処理し、次いで冷却後に(B)成分及び(C)成分を添加し、最後にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A2)成分と、付加反応触媒である白金触媒(A4)成分とを添加する方法等が挙げられる。また、(C)成分は、(A2)成分及び(A4)成分を添加混合した後に、最後に添加しても良い。上記熱処理の温度及び時間については、特に限定されないが、100~250℃、30分~5時間熱処理を行ってもよい。
【0063】
下記に本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物のスポンジ成形方法について記述する。
【0064】
本発明の成型方法では、シリコーンゴムスポンジ組成物を図1に示す金型内へ圧力をかけて材料を充填する工程を含む成型方法で、成形品のスポンジ低密度化、密度ばらつきや硬さばらつきの少ないスポンジとなる改良効果を発揮するものである。金型へシリコーンスポンジ組成物に圧力をかけて金型内に材料を移送する方法であれば、成型方法は特に限定されるものではないが、一例を挙げると充填方法(成形方法)としては注型成形,射出成形、インジェクション成形等が挙げられ、シリコーンスポンジ組成物は金型に0.01MPa~5MPaの圧力にて注入されスポンジを成形する。
圧力が0.01MPa以上であれば、組成物のチキソ性によって金型へ充填することが出来、5MPa以下であれば(B)成分の既膨張の樹脂微粒子が高い充填圧力によってつぶれてしまったり、壊されてしまいスポンジとならない恐れがなくなる。
【0065】
架橋工程ではシリコーンゴムスポンジ組成物を金型内に充填し、金型の実温が80~250℃となる条件で数秒~180分程度の架橋を実施することが望ましい。加熱源としては、例えば電熱線ヒーター、セラミックヒーター、熱風乾燥器加熱水や加熱されたガラスビーズ等を用いることができる。
【0066】
上記架橋工程では、シリコーンゴムスポンジ組成物の架橋開始温度で(B)成分の既膨張の樹脂微粒子は壊れず、あるいは大きく体積膨張していないことが望ましい。またゴム組成物を硬化させる温度とは別に、架橋反応を完全に進行させる、不要な低沸点の組成物残渣やシリコーン低分子体を揮発させる目的でポストキュアと呼ばれる2次加熱工程を150~250℃となる条件で10~400分程度行っても良い。
【0067】
連泡化工程は、本発明では(D)成分を添加した組成物でスポンジゴムを連泡化させる事が可能で、一般にポストキュア工程で同時に連泡化が行われる。(D)成分を揮発させることが目的であり、熱風乾燥器によって、200~250℃の温度で0.5~20時間程度の熱処理を行う事が望ましい。
【0068】
高連泡シリコーンゴムスポンジは、連泡率が好ましくは60%以上であり、より好ましくは60~100%、さらに好ましくは75~100%である。なお、本発明において、連泡率とは次に示す方法で測定したものである。
【0069】
〈連泡率の測定方法〉
連泡率の測定方法は、例えば、下記の方法で行うことができる。
(1)スポンジ試料の比重と質量とを測定する。
なお、比重の測定にはJIS K 6268:1998記載の方法によって行い、但し、比重測定時の水中に浸漬する時間は5秒以内とする。
(2)図3に示すような真空容器1内に置いた容器2中の水3にスポンジ10を沈め、その状態で真空容器1内を真空ポンプ4により10mmHg以下に減圧する。
(3)真空容器内を常圧に戻した後に5分間放置してスポンジに吸水させる。
(4)吸水した状態でスポンジの質量を計量する。次に、下記計算式に従って連泡率を求める。
連泡率(%)=[(減圧下吸水後のスポンジ試料の質量-当初スポンジ試料の質量)/水の比重(1.00)]/[(1-(スポンジ比重/既膨張の樹脂微粒子未添加のゴム材料比重))×(スポンジ試料質量/スポンジ比重)]×100
【0070】
また、上記スポンジの発泡倍率は110~1,000%であることが好ましく、120~500%であることが特に好ましい。発泡倍率は、(既膨張の樹脂微粒子未添加のゴム材料比重/スポンジ比重)×100(%)により計算することができる。
【0071】
このようなシリコーンゴムスポンジは、該スポンジからなるパッキンや緩衝材、ゴム栓や、該スポンジからなる層を少なくとも1層有する電子写真式画像形成部材に用いられるロール、特に定着部材、駆動ロール、給排紙ロールなどの製造に有用である。定着部材の例としては、連泡スポンジからなる単層を有する定着ロール、定着ベルト支持ロール、該スポンジからなる2層以上の層をPFAチューブ等の表層離形材を接着させた2層以上の複層定着ロール、ソリッドゴムとスポンジゴム層及びトナー離形層を複合した多層構造定着ロール構造をもつトナー溶融定着用途の定着ロールなどが挙げられる。
【0072】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物を用いて、ロール部材を製造すると、特にロールの長さ方向の密度ばらつきや硬さばらつきが小さいため、上記の電子写真式画像形成部材として好適なロール部材を製造することができる。
【実施例
【0073】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」とは「質量部」を指すものとする。
実施例及び比較例において使用した各成分を以下に示す。
【0074】
オルガノポリシロキサン組成物1
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された重合度300、25℃での粘度が3Pa・s、ビニル量0.67モル%であるジメチルポリシロキサン(A1)100部、比表面積が200m/gであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、アエロジル200)(A3)3部、ヘキサメチルジシラザン2部、ジビニルテトラメチルジシラザン0.2部、水1.0部を室温で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。更に、架橋剤として両末端及び側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、SiH量0.006mol/g)(A2)を1.4部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、ベースゴム組成物を得た。このベースゴム組成物に白金触媒(Pt濃度1質量%)(A4)0.1部を混合し、「オルガノポリシロキサン組成物1」とした。
なお、以上の「オルガノポリシロキサン組成物1」において、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、各組成物中、(A1),(A2),(A3)及び(A4)成分からなるものである。
【0075】
-既膨張の樹脂微粒子(B)-
(B1):商品名920DE80d30(日本フィライト株式会社製、平均粒径80μm、真比重0.030)
(B2):商品名F80DE(松本油脂製薬株式会社製、平均粒径110μm、真比重0.020)
(B3):商品名MFL-HD60CA(松本油脂製薬株式会社製、平均粒径60μm、真比重0.120、アクリロニトリル外殻表面に炭酸カルシウムを被覆させた商品)
【0076】
-球状粒子(C)-
(C1):溶融シリカ 商品名FB-3SDC(デンカ株式会社製、平均粒径3μm、円形度0.86
(C2):シリコーンレジン 商品名KMP-590(信越化学工業株式会社製、平均粒径2μm、円形度0.96
(C3):中空ガラス 商品名セルスフィアーズ(太平洋セメント株式会社製、平均粒径4μm、円形度0.88
(C4):溶融シリカ 商品名FB-3SDC(デンカ株式会社製、平均粒径41μm、円形度0.82
(C5):アルミナ 商品名DAM-03(デンカ株式会社製、平均粒径3.7μm、円形度0.92
(C6):シリコーンレジン 商品名X-52-854(信越化学工業株式会社製、平均粒径0.7μm、円形度0.96
(C7):珪藻商品名オプライト3005K(中央化成株式会社製、平均粒径3.5μm、円形度0.72
(C8):ゾルゲル法シリカ 商品名QSG-100(信越化学工業株式会社製、平均粒径0.7μm、円形度0.98
【0077】
各実施例及び各比較例のスポンジ組成物、スポンジ成形体の評価方法を以下に示す。
・架橋前組成物のせん断後粘度の測定方法
測定器:HAAKE社製、機種名 MARS40、使用コーンプレート型番 C20 2°/Ti(直径20mm、角度2度)、ギャップ間距離0.109mm、23℃測定にて、試料をコーンプレートで挟み30秒ウェイティングタイムを与えた後、下記のせん断を与えてせん断粘度10(1/s)時点粘度測定を行った。
初期:0.0001(1/s)、300秒後:20(1/s)、Logスケールでリニア増速、取得データ点数600点測定
・スポンジ硬さ及び硬さばらつき:JIS S 6050:2008規定のアスカーC硬度にてスポンジ硬さを測定する。図2に示すように、注型成型した6mm厚の成形物を、注型口側から20mm刻みにアスカーC硬度を6点測定して最大値、最小値、平均値を求め、スポンジ硬さは6点測定した平均値とし、最大値と最小値の商を硬さばらつき指数とし、硬さ6点のばらつきの標準偏差σを算出した。標準偏差σが小さいほど、成形による硬度ばらつきが少ない材料である。
・スポンジ密度の測定:スポンジ密度の評価方法はJIS K 6249:2003記載の加硫ゴム-密度測定によって評価する。注型成型した6mm厚の成形物を、注型口側から20mm部分とオーバーフロー側より内側20mm部分を1cm角に切り出してスポンジ密度を測定し、それぞれ「スポンジ注型側」、「スポンジ出口側」とした。
【0078】
〈連泡率の測定方法〉
(1)スポンジ試料の比重と質量とを測定する。
なお、比重の測定にはJIS K 6268:1998記載の方法によって行い、但し、比重測定時の水中に浸漬する時間は5秒以内とする。
(2)図3に示すような真空容器1内に置いた容器2中の水3にスポンジ10を沈め、その状態で真空容器1内を真空ポンプ4により10mmHg以下に減圧する。
(3)真空容器内を常圧に戻した後に5分間放置してスポンジに吸水させる。
(4)吸水した状態でスポンジの質量を計量する。次に、下記計算式に従って連泡率を求める。
連泡率(%)=[(減圧下吸水後のスポンジ試料の質量-当初スポンジ試料の質量)/水の比重(1.00)]/[(1-(スポンジ比重/既膨張の樹脂微粒子未添加のゴム材料比重))×(スポンジ試料質量/スポンジ比重)]×100
【0079】
実施例1~10
[実施例1]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B1、真比重0.030、平均粒径80μm)3.8部、球状溶融シリカ粒子(C1、平均粒径3.0μm、平均円形度0.86)3.0部をプラネタリーミキサーに入れて20分撹拌のち、-0.1MPaの真空度にて5分間減圧混合脱泡し、シリコーンゴム組成物を得た。このシリコーンゴム組成物を、横45mm、縦140mm、厚み6mmの内部空間をもつ板状金型に横側35mm側の両端中央に直径3mmΦの注入口及びオーバーフロー穴を設けた肉厚5mmの注型金型(材質はSUS420)の注型口より上記のシリコーン組成物を0.5MPaの圧力で注型し、反対側の3mm穴より組成物がオーバーフローした事を確認した後、金型をすぐに150℃の熱風乾燥器に金型を横置きしてゴムを60分架橋させ、金型より取り出して板状のシリコーン成形体を得た。
【0080】
次に、この6mm厚の板状成形体を220℃の熱風乾燥器で4時間常圧熱気加熱してシリコーンスポンジを得た。得られたスポンジを、スポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表1に示す。
【0081】
[実施例2]
実施例1に記載の組成物に(D)成分としてトリエチレングリコール(和光化学社製、一級グレード、純度95%以上)6.0部を添加した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0082】
[実施例3]
実施例1に記載の組成物の球状溶融シリカ粒子(C1)3.0部を0.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0083】
[実施例4]
実施例1に記載の組成物の球状溶融シリカ粒子(C1)3.0部を球状シリコーンレジン粒子(C2、平均粒径2.0μm、平均円形度0.96)1.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0084】
[実施例5]
実施例1に記載の組成物の球状溶融シリカ粒子(C1)3.0部を球状中空ガラス粒子(C3、平均粒径4.0μm、平均円形度0.88)0.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0085】
[実施例6]
実施例1に記載の組成物の球状溶融シリカ粒子(C1)3.0部を大粒径球状溶融シリカ粒子(C4、平均粒径41μm、平均円形度0.82)2.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0086】
[実施例7]
実施例1に記載の組成物中の既膨張樹脂粒子(B1)3.8部を1.2部に減量した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0087】
[実施例8]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B2、真比重0.020、平均粒径110μm)2.7部、球状アルミナ粒子(C5、平均粒径3.7μm、平均円形度0.92)10部、(D)成分としてトリエチレングリコールを6.0部添加した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0088】
[実施例9]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B2)2.7部、球状シリコーンレジン粒子(C6、平均粒径0.7μm、平均円形度0.96)2.0部、(D)成分としてトリエチレングリコールを6.0部添加した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0089】
[実施例10]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、アクリロニトリル外殻表面に炭酸カルシウムを被覆させた既膨張樹脂粒子(B3、平均粒径60μm、真比重0.120)18部、球状シリコーンレジン粒子(C2)1.0部、(D)成分としてトリエチレングリコールを9.0部添加した以外は実施例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表1に示す。
【0090】
比較例1~6
[比較例1]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張の樹脂粒子(B1、真比重0.030、平均粒径80μm)3.8部をプラネタリーミキサーに入れて30分撹拌しシリコーンゴム組成物を得た。このシリコーンゴム組成物を、実施例1同様に横45mm、縦140mm、厚み6mmの内部空間をもつ板状金型に横側35mm側の両端中央に直径3mmΦの注入口及びオーバーフロー穴を設けた肉厚5mmの注型金型の注型口より上記のシリコーン組成物を0.5MPaの圧力で注型し、反対側の3mm穴より組成物がオーバーフローした事を確認した後、金型をすぐに150℃の熱風乾燥器に金型を横置きしてゴムを60分架橋させ、金型より取り出して板状のシリコーン成形体を得た。次いで、この6mm厚の板状成形体を220℃の熱風乾燥器で4時間常圧熱気加熱してシリコーンスポンジを得た。得られた6mm厚板状スポンジを実施例同様にスポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表2に示す。
【0091】
[比較例2]
比較例1に記載の組成物に、球状溶融シリカ粒子(C1、平均粒径3.0μm、平均円形度0.86)12部を添加した以外は比較例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表2に示す。
【0092】
[比較例3]
比較例2に記載の組成物の、球状溶融シリカ粒子(C1)12部を、不定形珪藻土粒子(C7、平均粒径3.5μm、平均円形度0.72)3.0部へ変更し、さらに(D)成分としてトリエチレングリコールを6.0部添加した以外は比較例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表2に示す。
【0093】
[比較例4]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B2、真比重0.020、平均粒径110μm)2.7部、粒子径の小さい球状ゾルゲルシリカ(C8、平均粒径0.7μm、平均円形度0.98)1.0部、(D)成分としてトリエチレングリコールを6.0部添加した組成物を作製し、比較例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表2に示す。
【0094】
[比較例5]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B3、平均粒径60μm、真比重0.120)18部、粒子径の大きい溶融シリカ(C4、平均粒径41μm、平均円形度0.82)2.0部、(D)成分としてトリエチレングリコールを9.0部添加した組成物を作製し、比較例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表2に示す。
【0095】
[比較例6]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B3、平均粒径60μm、真比重0.120)25部、球状シリコーンレジン粒子(C2、平均粒径2.0μm、平均円形度0.96)1.0部、(D)成分としてトリエチレングリコールを9.0部添加した組成物を作製し、比較例1と同様にしてスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表2に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
上記表1、2の各実施例及び各比較例から分かるように、本実施例(本発明品)のスポンジ組成物は、(C)成分の球状粒子を添加する事によって、低粘度化され成形物の硬度ばらつきおよび、密度ばらつきが小さいスポンジ成形物が得られる事がわかる。
【0099】
実施例11~13
[実施例11]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張樹脂粒子(B1、真比重0.030、平均粒径80μm)3.8部、球状溶融シリカ粒子(C1、平均粒径3.0μm、平均円形度0.86)3.0部をプラネタリーミキサーに入れて20分撹拌のち、-0.1MPaの真空度にて5分間減圧混合脱泡し、シリコーンゴム組成物を得た。このシリコーンゴム組成物を、横45mm、縦140mm、厚み6mmの内部空間をもつ板状金型に横側35mm側の両端中央に直径3mmΦの注入口及びオーバーフロー穴を設けた肉厚5mmの注型金型(材質はSUS420)の注型口より上記のシリコーン組成物を0.03MPaの圧力で注型し、反対側の3mm穴より組成物がオーバーフローした事を確認した後、金型をすぐに150℃の熱風乾燥器に金型を横置きしてゴムを60分架橋させ、金型より取り出して板状のシリコーン成形体を得た。
【0100】
次に、この6mm厚の板状成形体を220℃の熱風乾燥器で4時間常圧熱気加熱してシリコーンスポンジを得た。得られたスポンジを、スポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を実施例1同様にして調べた。その評価結果を表3に示す。
【0101】
[実施例12]
実施例11の組成物の注型圧力0.03MPaを0.5MPaとした以外は実施例11と同様にスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表3に示す。
実施例12は実施例1と同様の組成、および成形条件である。
【0102】
[実施例13]
実施例11の組成物の注型圧力0.03MPaを5MPaとした以外は実施例11と同様にスポンジを作製、特性を取得した。スポンジの評価結果を表3に示す。
【0103】
比較例7~10
[比較例7]
「オルガノポリシロキサン組成物1」を100部に、既膨張の樹脂粒子(B1、真比重0.030、平均粒径80μm)3.8部をプラネタリーミキサーに入れて30分撹拌しシリコーンゴム組成物を得た。このシリコーンゴム組成物を、実施例1同様に横45mm、縦140mm、厚み6mmの内部空間をもつ板状金型に横側35mm側の両端中央に直径3mmΦの注入口及びオーバーフロー穴を設けた肉厚5mmの注型金型の注型口より上記のシリコーン組成物を0.03MPaの圧力で注型したが3分待っても、反対側の3mm穴より組成物のオーバーフローは確認できず、充填不足の状態であった。オーバーフロー未確認であったが、金型をすぐに150℃の熱風乾燥器に金型を横置きしてゴムを60分架橋させ、金型より取り出して板状のシリコーン成形体を得た。次いで、この6mm厚の板状成形体を220℃の熱風乾燥器で4時間常圧熱気加熱してシリコーンスポンジを得た。得られた6mm厚板状スポンジを実施例11と同様にスポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表3に示す。
【0104】
[比較例8]
比較例7の組成物の注型圧力0.03MPaを0.5MPaとした以外は比較例7と同様にスポンジを作製、特性を取得した。0.5MPaの注型圧力ではオーバーフロー穴からの材料排出が確認出来た。スポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表3に示す。
比較例は比較例1と同様の組成、および成形条件である。
【0105】
[比較例9]
比較例7の組成物の注型圧力0.03MPaを5MPaとした以外は比較例7と同様にスポンジを作製、特性を取得した。5MPaの注型圧力ではオーバーフロー穴からの材料排出が確認出来た。スポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表3に示す。
【0106】
[比較例10]
比較例7の組成物の注型圧力0.03MPaを8MPaとした以外は比較例7と同様にスポンジを作製、特性を取得した。高い注型圧力によりスポンジセルは殆どがつぶれて架橋しており、スポンジセル空間はほとんど無い状態であった。スポンジの硬さ、スポンジ密度、連泡率を上記のようにして調べた。その評価結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
上記表3の各実施例及び各比較例から分かるように、本実施例(本発明品)のスポンジ組成物によれば、低い注型圧力でも注型性能が良く、また、硬さや密度ばらつきが少ないシリコーンゴムスポンジを得ることが可能なシリコーンゴムスポンジ組成物であることがわかる。一方、比較例7-10のように(C)成分を配合しないと、密度が高くなるとともに密度や硬度ばらつきの大きいものとなった。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0110】
1…真空容器、 2…容器、 3…水、
4…真空ポンプ、 10…スポンジ。
図1
図2
図3