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特許7427543配線割り振り装置および配線割り振り方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】配線割り振り装置および配線割り振り方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20240129BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20240129BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01R31/54
G01R31/52
H05K3/00 T
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020103876
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021196296
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕士
(72)【発明者】
【氏名】大兼 和幸
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 和直
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329851(JP,A)
【文献】特開平11-160380(JP,A)
【文献】特開2007-322127(JP,A)
【文献】特開2017-96736(JP,A)
【文献】特開平6-207963(JP,A)
【文献】特開2004-132861(JP,A)
【文献】特開2021-179364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査位置に配置された配線基板の一方の基板面側に配置されて当該一方の基板面における任意の位置に接触可能なプローブを有するフライングプローバと、前記配線基板の他方の基板面側に当該他方の基板面に対して接離動可能に配置されると共に当該他方の基板面における予め規定された位置に接触可能なプローブを最大でG個配置可能なフィクスチャを複数種類交換可能に装着されるプレス治具型の一括検査機とを備えて、当該複数種類のフィクスチャのうちの第1フィクスチャが装着された際には前記配線基板に形成されたすべての配線間の絶縁検査および当該すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行し、当該複数種類のフィクスチャのうちの他の第2フィクスチャが装着された際には前記すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行する検査装置における前記第1フィクスチャおよび前記第2フィクスチャとに、前記すべての配線を前記導通検査対象として割り振る割り振り処理を実行する処理部を備えている配線割り振り装置であって、
前記処理部は、前記割り振り処理において、
前記すべての配線のうちの前記他方の基板面に前記一括検査機の前記プローブを接触させる検査ポイントが存在する配線を1つの配線群に分類する分類処理と、
前記第1フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第1配線決定処理と、
前記第2フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第2配線決定処理とを実行すると共に、
前記第1配線決定処理では、前記配線群に分類された前記配線の総数と前記すべての配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの当該配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数から1を減じた数の総計との合計数が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第1フィクスチャに割り振る前記配線として決定し、
前記第2配線決定処理では、前記すべての配線のうちの前記導通検査対象として決定されていない配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの前記配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数の総計が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第2フィクスチャに割り振る前記配線として決定する配線割り振り装置。
【請求項2】
検査位置に配置された配線基板の一方の基板面側に配置されて当該一方の基板面における任意の位置に接触可能なプローブを有するフライングプローバと、前記配線基板の他方の基板面側に当該他方の基板面に対して接離動可能に配置されると共に当該他方の基板面における予め規定された位置に接触可能なプローブを最大でG個配置可能なフィクスチャを複数種類交換可能に装着されるプレス治具型の一括検査機とを備えて、当該複数種類のフィクスチャのうちの第1フィクスチャが装着された際には前記配線基板に形成されたすべての配線間の絶縁検査および当該すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行し、当該複数種類のフィクスチャのうちの他の第2フィクスチャが装着された際には前記すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行する検査装置における前記第1フィクスチャおよび前記第2フィクスチャとに、前記すべての配線を前記導通検査対象として割り振る割り振り処理を実行する配線割り振り方法であって、
前記割り振り処理において、
前記すべての配線のうちの前記他方の基板面に前記一括検査機の前記プローブを接触させる検査ポイントが存在する配線を1つの配線群に分類する分類処理と、
前記第1フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第1配線決定処理と、
前記第2フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第2配線決定処理とを実行すると共に、
前記第1配線決定処理では、前記配線群に分類された前記配線の総数と前記すべての配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの当該配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数から1を減じた数の総計との合計数が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第1フィクスチャに割り振る前記配線として決定し、
前記第2配線決定処理では、前記すべての配線のうちの前記導通検査対象として決定されていない配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの前記配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数の総計が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第2フィクスチャに割り振る前記配線として決定する配線割り振り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの配線基板に形成された複数の配線のすべてを、検査を分担する複数の検査装置に割り振る配線割り振り装置および配線割り振り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線基板に形成された複数の配線については、下記の特許文献1に開示されているような検査装置(布線検査機)で自動的に検査される。この検査装置は、異なる布線検査手段(スプリングプローブを使用した検査治具(検査用フィクスチャ。以下、単にフィクスチャともいう))を有する一括検査機、およびフライングプローバ)を有して構成されて、検査データ作製機で作製された検査データを使用して、複数の配線に対する検査を実行する。この場合、一括検査機では、配線に含まれる検査ポイントに合わせて複数のプローブが検査治具に配置されていて、複数のプローブが対応する検査ポイントに一遍に接触し得る構成のため、一度の接触動作で複数の箇所(配線の検査部位)の検査が可能な結果、一括検査機には、検査スピードが速いという長所がある。その反面、一括検査機では、検査ポイントのピッチに下限値がある(この特許文献1では、120μm程度が下限値となる)ことから、配線基板の基板面内に配置可能なスプリングプローブの本数に上限がある。また、一括検査機では、検査治具に配置された複数のプローブから、フライングプローバを併用するときには1本(もう1本はフライングプローバ側の1本)を選択的に、またフライングプローバを併用しないときには2本を選択的に検査装置における例えば測定部(電流などの検査用信号の信号源、およびこの検査用信号を測定する測定回路を含む構成要素)に切替器(スキャナ)を介して接続する構成を通常は採用しているため、切替器(スキャナ)に設けられている切り替え回路の数によっても上限が規定されることがある。このため、一括検査機には、検査で使用する検査ポイントの数に上限があるという短所がある。これに対して、フライングプローバでは、プローブはXYZ方向に高精度に駆動される構成のため、フライングプローバには、一括検査機では対応できない狭いピッチ(一括検査機での検査ポイントのピッチの下限値未満のピッチ。例えば、120μm未満のピッチ)の検査ポイントに対しても十分に対応できるという長所がある。その反面、フライングプローバでは、検査のための検査ポイントにその都度プローブを移動させて接触させる構成のため(つまり、1回の接触動作で一カ所ずつしか検査できたいため)、フライングプローバには、検査スピードが遅いという短所がある。
【0003】
上記の検査データ作製機は、配線基板に形成される配線(配線パターン)のCAD設計データであるガーバーデータと、一括検査機およびフライングプローバについての上記の長所および短所とに基づき、検査部位ごと(配線の検査部位ごと)に適した布線検査手段(一括検査機またはフライングプローバ)を選択して振り分ける工程と、それぞれの検査部位ごとに検査にかかる時間、コストのデータから配線基板の検査全体にかかる時間、およびコストをそれぞれの布線検査手段について求める工程とを実行する。
【0004】
これにより、この検査データ作製機では、ガーバーデータから、ほぼ自動的に配線(配線パターン)に適した布線検査手段(一括検査機またはフライングプローバ)を判定することができ、これに基づき、検査をそれぞれの布線検査手段に自動的に振り分ける(割り振る)ことが可能となっている。なお、下記の特許文献1には開示されていないが、ガーバーデータから作成される各配線についてのネットリスト(配線に規定された各検査ポイントの接続関係を示すリスト)と位置リスト(配線に規定された各検査ポイントの位置情報を示すリスト)とから、各配線に適した布線検査手段を判定して、各配線を検査に適した布線検査手段に自動的に振り分ける(割り振る)構成も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-329851号公報(第2-6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願出願人は、検査位置に配置された配線基板の一方の基板面側に配置されて、この一方の基板面に形成された各配線に規定された検査ポイントにプローブを接触させるフライングプローバと、この配線基板の他方の基板面側に配置されて、この他方の基板面に形成された各配線に規定された複数の検査ポイントの各々にプローブを一斉に接触させる一括検査機とを備えた検査装置で使用される検査データ(フライングプローバ用検査データおよび一括検査機用検査データ)をこの配線基板についてのネットリストおよび位置リストに基づいて作成する検査データ作成装置を開発している。
【0007】
この場合、配線基板の他方の基板面に形成された各配線に対応するネットリストに含まれる検査ポイントの総計が一括検査機に装着される検査治具(フィクスチャ)のスプリングプローブの本数についての上限数以下のときには、上記の開発中の検査データ作成装置において、上記の特許文献1に開示されている技術を採用することで、配線基板のすべての配線の検査部位を、それぞれの検査に適した布線検査手段(1台の検査装置を構成するフライングプローバおよび一括検査機のうちのいずれか)に自動的に振り分けること(割り振ること)が可能であり、これにより、上記のフライングプローバ用検査データおよび一括検査機用検査データを作成することが可能である。
【0008】
しかしながら、配線基板の他方の基板面に形成された各配線に対応するネットリストに含まれる検査ポイントの総計が一括検査機に装着される検査治具(フィクスチャ)のスプリングプローブについての上限数を超えるときには、スプリングプローブを配置できない検査ポイントが生じる。したがって、上記の開発中の検査データ作成装置において上記の特許文献1に開示されている技術を採用したとしても、一括検査機のフィクスチャに割り振ることができない配線が残るという改善すべき課題が存在している。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、フライングプローバおよび一括検査機を備えた検査装置の一括検査機を複数のフィクスチャを交換可能に装着し得る構成として、1つの配線基板に形成された複数の配線のすべてを各フィクスチャに自動的に割り振ることが可能な配線割り振り装置および配線割り振り方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく請求項1記載の配線割り振り装置は、検査位置に配置された配線基板の一方の基板面側に配置されて当該一方の基板面における任意の位置に接触可能なプローブを有するフライングプローバと、前記配線基板の他方の基板面側に当該他方の基板面に対して接離動可能に配置されると共に当該他方の基板面における予め規定された位置に接触可能なプローブを最大でG個配置可能なフィクスチャを複数種類交換可能に装着されるプレス治具型の一括検査機とを備えて、当該複数種類のフィクスチャのうちの第1フィクスチャが装着された際には前記配線基板に形成されたすべての配線間の絶縁検査および当該すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行し、当該複数種類のフィクスチャのうちの他の第2フィクスチャが装着された際には前記すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行する検査装置における前記第1フィクスチャおよび前記第2フィクスチャとに、前記すべての配線を前記導通検査対象として割り振る割り振り処理を実行する処理部を備えている配線割り振り装置であって、前記処理部は、前記割り振り処理において、前記すべての配線のうちの前記他方の基板面に前記一括検査機の前記プローブを接触させる検査ポイントが存在する配線を1つの配線群に分類する分類処理と、前記第1フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第1配線決定処理と、前記第2フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第2配線決定処理とを実行すると共に、前記第1配線決定処理では、前記配線群に分類された前記配線の総数と前記すべての配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの当該配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数から1を減じた数の総計との合計数が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第1フィクスチャに割り振る前記配線として決定し、前記第2配線決定処理では、前記すべての配線のうちの前記導通検査対象として決定されていない配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの前記配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数の総計が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第2フィクスチャに割り振る前記配線として決定する。
【0011】
また、請求項2記載の配線割り振り方法は、検査位置に配置された配線基板の一方の基板面側に配置されて当該一方の基板面における任意の位置に接触可能なプローブを有するフライングプローバと、前記配線基板の他方の基板面側に当該他方の基板面に対して接離動可能に配置されると共に当該他方の基板面における予め規定された位置に接触可能なプローブを最大でG個配置可能なフィクスチャを複数種類交換可能に装着されるプレス治具型の一括検査機とを備えて、当該複数種類のフィクスチャのうちの第1フィクスチャが装着された際には前記配線基板に形成されたすべての配線間の絶縁検査および当該すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行し、当該複数種類のフィクスチャのうちの他の第2フィクスチャが装着された際には前記すべての配線のうちから予め割り振られた配線を導通検査対象とする導通検査を実行する検査装置における前記第1フィクスチャおよび前記第2フィクスチャとに、前記すべての配線を前記導通検査対象として割り振る割り振り処理を実行する配線割り振り方法であって、前記割り振り処理において、前記すべての配線のうちの前記他方の基板面に前記一括検査機の前記プローブを接触させる検査ポイントが存在する配線を1つの配線群に分類する分類処理と、前記第1フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第1配線決定処理と、前記第2フィクスチャに前記導通検査対象として割り振る前記配線を決定する第2配線決定処理とを実行すると共に、前記第1配線決定処理では、前記配線群に分類された前記配線の総数と前記すべての配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの当該配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数から1を減じた数の総計との合計数が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第1フィクスチャに割り振る前記配線として決定し、前記第2配線決定処理では、前記すべての配線のうちの前記導通検査対象として決定されていない配線のうちから導通検査対象候補として選択された配線のうちの前記配線群に分類された各配線についての前記他方の基板面に存在する前記検査ポイントのそれぞれの数の総計が前記G個未満となる条件下で、前記導通検査対象候補の配線の数がより多くなるように当該導通検査対象候補の配線を選択して、当該選択された導通検査対象候補の配線を前記導通検査対象として前記第2フィクスチャに割り振る前記配線として決定する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の配線割り振り装置および請求項2記載の配線割り振り方法では、第1フィクスチャに割り振る配線については上記した第1配線決定処理を実行して決定し、この時点において第1フィクスチャに割り振られない配線が残存した状態となっているときには、第2フィクスチャに割り振る配線を決定する第2配線決定処理を実行する。したがって、この配線割り振り装置およびこの配線割り振り方法によれば、1つの配線基板に形成された複数の配線のすべてを、フライングプローバと、第1フィクスチャおよび第2フィクスチャが交換可能に装着される一括検査機とを備えた検査装置の第1フィクスチャと第2フィクスチャとに自動的に割り振ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】配線割り振り装置1および検査データ作成装置2の各構成図である。
図2】検査装置3および検査装置3の一括検査機35に装着可能な各フィクスチャTF,TF,TF,・・・の各構成図である。
図3】割り振り処理50を説明するためのフローチャート(配線割り振り方法を説明するためのフローチャート)のうちのフィクスチャTFのための割り振り処理を主として説明するフローチャートである。
図4】割り振り処理50を説明するためのフローチャートのうちのフィクスチャTF,TF,・・・のための割り振り処理を主として説明するフローチャートである。
図5】配線基板4に形成されている第1態様の配線Wa、第2態様の配線Wb、および第3態様の配線Wcの各構成を模式的に示す配線基板4の断面図である。
図6】配線基板4に形成されている配線Wの一具体例(配線W~配線W15)の各構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、配線割り振り装置および配線割り振り方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、図1に示す配線割り振り装置1の機能について、その概要を説明する。
【0016】
まず、形成されている配線が配線割り振り装置1によって後述する検査装置3の一括検査機35に装着可能な複数のフィクスチャTFに割り振られる配線基板4について、図2図5を参照して説明する。配線基板4は、その一方の基板面BF1(単に「基板面BF1」ともいう)および他方の基板面BF2(単に「基板面BF2」ともいう)の双方に複数の配線(図2では図示せず)が形成されている。この配線としては、図5に示すように、配線Waのように基板面BF1にのみ形成されていて、基板面BF1にのみ検査ポイントPが存在する配線(以下、区別のため、第1態様の配線ともいう)と、配線Wbのように基板面BF2にのみ形成されていて、基板面BF2にのみ検査ポイントPが存在する配線(以下、区別のため、第2態様の配線ともいう)と、配線Wcのように、基板面BF1に形成された部位と基板面BF2に形成された部位とが配線基板4を貫通するスルーホールまたはビアホールを介して接続されていて、基板面BF1および基板面BF2の双方に検査ポイントPが存在する配線(以下、区別のため、第3態様の配線ともいう)とが存在している。
【0017】
この配線基板4の各配線については、図2に示す構成の検査装置3によって絶縁検査および導通検査が自動的に実施される。この検査装置3は、後述するように、検査位置(図2において実線や破線で示される配線基板4が配置されている位置)に配置された配線基板4の基板面BF1に形成された配線に規定された任意の検査ポイントに接触可能なプローブ32,33を有するフライングプローバ31と、この配線基板4の基板面BF2に形成された配線に規定された検査ポイントのうちの予め規定された検査ポイント(対応する検査ポイント)に一斉に接触可能なプローブ37を最大でG個配置可能なフィクスチャTFが1つ装着(複数種類のフィクスチャTFが交換可能(選択的)に装着)される一括検査機35とを備えて構成されている。
【0018】
この場合、配線基板4の各配線には、上記のような検査ポイントが予め複数規定されている。この検査ポイントは、通常は、配線基板4に形成された各配線に含まれるパッドおよびランド上に規定される。そして、検査装置3は、一つの配線と他の一つの配線との間の絶縁性を検査する絶縁検査では、一つの配線に規定された複数の検査ポイントのうちの1つの検査ポイントに接触している1つのプローブ(プローブ32,33,37のいずれか)と、他の一つの配線に規定された複数の検査ポイントのうちの1つの検査ポイントに接触している1つのプローブ(プローブ32,33,37のいずれか)とを使用して、公知の検査方法(例えば、一つの配線と他の一つの配線との間に規定の電圧値の電圧を印加したときに流れる電流の電流値の多少や、この電圧値と電流値とから算出される絶縁抵抗の抵抗値の多少に基づく検査方法)により、この絶縁性を検査する。また、検査装置3は、一つの配線が全体に亘って良好に導通しているかを検査する導通検査では、この一つの配線に規定された複数の検査ポイントに接触しているすべてのプローブ(プローブ32,33,37のいずれか)を使用して、公知の検査方法(例えば、この一つの配線に規定された複数の検査ポイントのうちの隣接する一対の検査ポイント間に検査電流を供給しようとしたときに、この検査電流が流れるか否かに基づく検査を、すべての隣接する一対の検査ポイント間に対して実行する検査方法)により、一つの配線が全体に亘って良好に導通しているか否か、また導通していない(つまり、断線している)ときにはどの検査ポイント間で断線しているかを検査(特定)する。
【0019】
したがって、背景技術で述べたように、配線基板4の基板面BF2に形成された各配線に規定された検査ポイントの総計が一括検査機35のフィクスチャTF(具体的には、そのベース板36)に配置可能なプローブ37の最大数(G個。言い換えれば、上限数。以下、最大数Gともいう)を超えているときには、この基板面BF2に存在する検査ポイントの中に、プローブ37を配置できない検査ポイントが生じることになる。一方、配線基板4の基板面BF1に形成された各配線に規定された検査ポイントについては、フライングプローバ31の各プローブ32,33は基板面BF1上の任意の位置に高精度で移動して接触可能なため、プローブ32,33を接触させられない検査ポイントが生じることはない。以上のことから、配線割り振り装置1は、配線基板4の各配線間の絶縁検査については1つの検査装置3で実行しなければならないとの条件を考慮しつつ、1つの検査装置3の一括検査機35において導通検査すべき各配線(基板面BF2に形成された各配線)の検査ポイントの総数が上記の最大数Gを超えないように、導通検査する配線を複数のフィクスチャTFに割り振る機能を備えている。
【0020】
次に、配線割り振り装置1の構成について説明する。配線割り振り装置1は、図1に示すように、例えばコンピュータで構成された処理部11を少なくとも備えている。この場合、処理部11は、後述する割り振り処理50(図3図4参照)を実行する。この割り振り処理50では、処理部11は、配線基板4に形成された各配線に含まれるパッドおよびランド(検査ポイントとして規定される部位)のネットの情報を示すネットリストLnと、パッドおよびランドの配線基板4上の位置(つまり、検査ポイントの位置)の情報を示す位置リストLpとを入力する。また、処理部11は、配線基板4に形成された各配線の導通検査を複数のフィクスチャTF(フィクスチャTF,TF,TF,・・・)に割り振る必要があるときには、入力したネットリストLnと位置リストLpとに基づき、各フィクスチャTF,TF,TF,・・・用の個別の検査データDex,Dex,Dex,・・・(以下、区別しないときには、「Dex」ともいう)を作成するための個別のネットリストLnおよび個別の位置リストLp(フィクスチャTF,TF,TF,・・・のためのネットリストLn,位置リストLp、ネットリストLn,位置リストLp、ネットリストLn,位置リストLp、・・・)を作成して出力する。
【0021】
続いて、検査データ作成装置2の構成について説明する。検査データ作成装置2は、図1に示すように、例えばコンピュータで構成された処理部21を少なくとも備えている。この場合、処理部21は、配線割り振り装置1で作成された各フィクスチャTF,TF,TF,・・・用の個別のネットリストLn,Ln,Ln,・・・(以下、区別しないときには、「Ln」ともいう)および個別の位置リストLp,Lp、Lp、・・・(以下、区別しないときには、「Lp」ともいう)を入力すると共に、これら個別のネットリストLnおよび個別の位置リストLpに基づいて、各フィクスチャTF,TF,TF,・・・に割り振られた配線を検査するために、フィクスチャTF,TF,TF,・・・のいずれか1つが一括検査機35に選択的に装着された状態の検査装置3で使用される検査データDex,Dex,Dex,・・・を作成して出力する。
【0022】
本例では一例として、後述するように、複数のフィクスチャTFのうちの1番目のフィクスチャTFが装着された検査装置3(配線基板4を最初に検査する検査装置3)は、配線基板4に形成されているすべての配線間での絶縁検査を実行すると共に、自装置に割り振られた配線についての導通検査を実行する。また、複数のフィクスチャTFのうちの2番目以降のフィクスチャTF,TF,・・・のうちの1つが装着された検査装置3は、フィクスチャTFに割り振られなかった配線のうちの自装置(装着されたフィクスチャTF)に割り振られた配線についての導通検査を実行する。このため、検査データ作成装置2は、フィクスチャTFが装着された検査装置3で使用される検査データDexとして、すべての配線についての絶縁検査(すべての配線同士間での絶縁性の検査)を実行し、かつフィクスチャTFに割り振られた配線についての導通検査を実行するための検査データDexを作成する。また、検査データ作成装置2は、2番目以降のフィクスチャTF,TF,・・・のうちの1つが装着された検査装置3で使用される検査データDex,Dex,・・・として、装着されたフィクスチャTFに割り振られた配線についての導通検査を実行するための検査データDexを作成する。
【0023】
次いで、検査装置3の構成について説明する。
【0024】
検査装置3は、図2に示すように、フライングプローバ31(背景技術で説明したフライングプローバと同等の機能を備えたもの)、一括検査機35(背景技術で説明した一括検査機と同等の機能を備えたもの)、不図示の入力部、不図示の測定部、不図示の処理部、および不図示の出力部(一例として表示部)を備えて、検査位置に配置された配線基板4に形成された各配線に対する検査(絶縁検査や導通検査)を実行する。
【0025】
具体的には、フライングプローバ31は、検査位置に配置された配線基板4の基板面BF1側に配置された1または2以上のプローブ(本例では一例として、2つのフライングプローブ32,33)と、各フライングプローブ32,33(以下、単にプローブ32,33ともいう)を基板面BF1側においてXYZ方向に高精度で移動させる不図示の移動機構(以下では、プローバ31側の移動機構ともいう)とを備えて構成されている。また、フライングプローバ31では、各プローブ32,33は、基板面BF1に存在するすべての検査ポイント(基板面BF1に形成された各配線に含まれるすべてのパッドおよびランド)に接触可能に構成されている。
【0026】
また、一括検査機35は、プレス治具型の一括検査機であって、検査位置に配置された配線基板4の基板面BF2側に、基板面BF2と対向する状態で配置されたベース板36と、ベース板36における基板面BF2との対向面に複数立設されたプローブ37(例えば、スプリング内蔵式のスプリングプローブ)と、ベース板36を基板面BF2に対して直線的に接離動(Z方向に移動)させる不図示の移動機構(以下では、一括検査機35側の移動機構ともいう)とを備えて構成されている。また、ベース板36では、各プローブ37は、隣同士が接触しないように最小配置間隔以上の間隔を開けて、それぞれが基板面BF2に形成された各配線Wに含まれるパッドおよびランドのうちの対応する1つ(各配線Wに含まれる複数の検査ポイントのうちの対応する1つの検査ポイント)に接触可能な位置に立設される。このように、プローブ37には、立設する本数についての上限が存在することから、プローブ37の最大の立設数(最大の配置数。例えば、数百本から数千本程度)は上記のようにG個に制限される。本例では、後述するスキャナ内部のスイッチ回路の数により、プローブ37の本数がG個に制限される。
【0027】
また、一括検査機35では、ベース板36およびこのベース板36に立設された複数のプローブ37は全体として1つのフィクスチャ(検査用フィクスチャ)TFを構成する。また、一括検査機35では、このフィクスチャTFは、一括検査機35側の移動機構に対して着脱自在に装着される。なお、一括検査機35に装着されたフィクスチャTFは、測定部に自動的に接続される。また、このフィクスチャTFは、導通検査のために配線割り振り装置1によって配線が割り振られたフィクスチャTFの数(種類)分だけ作製される。このため、このフィクスチャTFの数(配線の検査を分担するフィクスチャTFの数)については、配線基板4の基板面BF2に存在する検査ポイントの数に応じて増減する。
【0028】
また、入力部は、通信用インターフェース回路や媒体用インターフェース回路などの種々のインターフェース回路で構成されて、検査データ作成装置2と接続された伝送路を介して、または装着された記憶媒体を介して検査データDexを入力すると共に処理部に出力する。
【0029】
また、測定部は、図示はしないが、一例として、スキャナ、測定信号源(例えば、定電圧源および定電流源)、および計測器(例えば、電流計)を備えて構成されている。この場合、スキャナは、プローブ32,33およびすべてのプローブ37に接続されると共に、測定信号源および計測器に接続されている。また、スキャナは、処理部によって内部に存在する複数のスイッチ回路の接続状態が切り替えられることで、プローブ32,33およびすべてのプローブ37のうちの任意の2つのプローブ間に、測定信号源および計測器を直列状態で接続する。これにより、この2つのプローブが配線Wに含まれる検査ポイント(パッドまたはランド)に接触している状態では、2つのプローブのうちの一方のプローブと接触している配線W、この一方のプローブ、測定信号源と計測器の直列回路、および2つのプローブのうちの他方のプローブを経由して、この他方のプローブと接触している配線W(導通検査のときには、一方のプローブが接触している配線Wと同じ配線W、また絶縁検査のときには、一方のプローブが接触している配線Wとは異なる配線W)に至る電流経路が形成される。
【0030】
また、測定信号源は、処理部によって制御されて、上記の電流経路に処理部によって選択された測定信号(定電圧源からの定電圧信号(既知の電圧値)または定電流源からの定電流信号(既知の電流値))を供給する。また、計測器は、上記の電流経路に流れる電流の電流値を計測して処理部に出力する。
【0031】
また、処理部は、不図示のコンピュータで構成されて、検査データDexを使用して、プローバ31側の移動機構および一括検査機35側の移動機構、並びに測定部のスキャナおよび測定信号源に対する制御処理を実行して、検査の対象である配線Wにプローブ32,33を接触させるか、または検査の対象である配線Wに接触しているプローブ37を選択するかして、検査の対象である配線Wに接触している2つのプローブ間に測定信号を供給する。また、処理部は、この測定信号の供給状態において計測器で計測された電流値に基づいて、2つのプローブが接触している配線Wに対する導通検査、または2つのプローブが接触している2つの配線Wに対する絶縁検査を実行して、その検査結果を記憶する検査処理と、記憶した検査結果を表示部に表示させる出力処理とを実行する。
【0032】
次に、配線割り振り装置1、検査データ作成装置2および検査装置3の各動作について説明する。また、具体例については、図6に示す構成の配線Wが形成された配線基板4を例に挙げて説明する。この配線基板4には、理解の容易のため、本来の数よりも大幅に少ない15個の配線Wが形成されているものとし、各配線Wにはシリアル番号(1,2,3,・・・,14,15)が付与されているものとする。これにより、以下では、各配線Wについて区別するときには、対応するシリアル番号を例えば下付文字として付加して、W,W,・・・,W14,W15のように表記するものとする。
【0033】
また、図6に示す各配線Wについては、例えば配線Wのように、基板面BF1および基板面BF2の双方に検査ポイントが存在している配線は、上記の第3態様の配線である。また、例えば配線Wのように、基板面BF1にのみ検査ポイントが存在している配線Wは、上記の第1態様の配線である。また、例えば配線Wのように、基板面BF2にのみ検査ポイントが存在している配線Wは、上記の第2態様の配線である。
【0034】
まず、配線割り振り装置1の動作(配線割り振り装置1が実行する配線割り振り方法)について図1図3図4および図6を参照して説明する。なお、検査装置3の一括検査機35についての各フィクスチャTFでのプローブ37の最大数Gは、一例として4000個(本)であるものとする。
【0035】
配線割り振り装置1では、処理部11が、配線基板4についてのネットリストLnおよび位置リストLpを入力したときには、このネットリストLnおよび位置リストLpに基づいて、割り振り処理50を実行する。
【0036】
この割り振り処理50では、処理部11は、まず、分類処理を実行する(ステップ51)。この分類処理では、処理部11は、入力した上記のネットリストLnおよび位置リストLpに基づいて、配線基板4に形成されているすべての配線(絶縁検査および導通検査の検査対象となるすべての配線)を、基板面BF1にのみ検査ポイント(プローブ32,33を接触させる検査ポイント)が存在する配線(図5に示す配線Waのような第1態様の配線)だけで構成される第1配線群と、基板面BF2に検査ポイント(プローブ37を接触させる検査ポイント)が存在する配線(図5に示す配線Wbのような第2態様の配線と配線Wcのような第3態様の配線)だけで構成される1つの配線群としての第2配線群とに分類する。
【0037】
これにより、図6に示す各配線Wについては、配線W,W,W,W14の4個の配線Wが第1配線群に分類され、これ以外の11個の配線W,W~W,W,W10~W13,W15が第2配線群に分類される。
【0038】
次いで、処理部11は、プローブ37の最大数G(本例では4000個(本))を取得して記憶する。また、処理部11は、第2配線群に分類されている配線Wの総数Aを取得して記憶する(ステップ52)。図6に示す各配線Wについては、第2配線群に分類される配線Wの数は上記のように11個であるため、処理部11は、A=11として記憶する。
【0039】
続いて、処理部11は、配線Wのシリアル番号をカウントするためのカウント値mに初期値「1」を代入し、フィクスチャTFのシリアル番号をカウントするためのカウント値jに初期値「1」を代入し、フィクスチャTFに割り振る配線Wの最初のシリアル番号kに初期値「1」を代入し、1番目のフィクスチャTFに割り振る配線Wの検査ポイント総数Nの初期値として総数Aを代入する(ステップ53)。ここで、検査ポイント総数Nの初期値として総数Aを代入する理由は、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された検査装置3において、配線基板4に形成されたすべての配線Wについて、他の配線Wとの間での絶縁検査を実行する。このためには、基板面BF2にしか検査ポイント(プローブ37を接触させる検査ポイント)が存在しない配線Wの存在を考慮すると、基板面BF2に検査ポイントが存在するすべての配線Wについて、最低でも1つの検査ポイント(本例では1つの検査ポイント)に対応させてフィクスチャTFにプローブ37を立設する必要があるからである。
【0040】
次いで、処理部11は、上記のようにフィクスチャTFのシリアル番号のカウント値jが初期値「1」であることから、1番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理(第1配線決定処理)の実行を開始する。この割り振り処理では、処理部11は、まず、カウント値mと同じシリアル番号の配線W(つまり、シリアル番号mの配線W)が第2配線群に含まれているか否かを判別する(ステップ54)。ここで、処理部11は、この配線Wが第2配線群に含まれていると判別したときには、この配線WをフィクスチャTFに割り振るものとして選択したときに、この配線Wについての基板面BF2に存在する検査ポイントを含む基板面BF2側の検査ポイント総数Nを再計算する(ステップ55)。具体的には、処理部11は、この配線Wについての基板面BF2に存在する検査ポイント数から1を減算した値(この配線Wのように基板面BF2に検査ポイントが存在する配線Wについては、この検査ポイントのうちの1つが上記したように既に総数Aに含まれているから、その分を減算する)を、当初の検査ポイント総数Nに加算して新たな検査ポイント総数Nとする計算を実行する。
【0041】
また、処理部11は、ステップ55において検査ポイント総数Nを再計算したときには、新たな検査ポイント総数Nが一括検査機35のフィクスチャTF(具体的には、そのベース板36)に配置可能なプローブ37の最大数Gを上回っているか否かを判別する(ステップ56)。この判別の結果、上回っていないときには、処理部11は、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ54を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ57)と共に、インクリメント後の新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っているか否かを判別する(ステップ58)。この判別の結果、上回っていないときには、上記のステップ54を実行すべき配線Wが存在していることから、処理部11は、ステップ54に移行して、新たなカウント値mと同じシリアル番号の配線W(つまり、シリアル番号mの配線W)が第2配線群に含まれているか否かを判別する。
【0042】
処理部11は、カウント値mをインクリメントしつつ、上記のステップ54~ステップ58までの各処理を実行して、配線Wが第2配線群に含まれているときには、この配線Wの基板面BF2に存在するすべての検査ポイントを直前の検査ポイント総数Nに加算することで、新たな検査ポイント総数Nを再計算する。
【0043】
処理部11は、このステップ54からステップ58までの各処理を実行しているときのステップ56において、新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数Gを上回っていると判別したときには、シリアル番号k(この時点ではk=1)の配線W(つまり、配線W)から1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線W(つまり、配線Wm-1)までを1番目のフィクスチャTFに割り振る配線W(導通検査対象の配線W)と決定する(ステップ59)。これにより、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3が、すべての配線Wに対する絶縁検査に加えて、配線Wから配線Wm-1までの導通検査を実行することになる。言い換えれば、この第1配線決定処理では、処理部11は、第2配線群に分類された配線Wの総数Aと配線基板4に形成されているすべての配線Wのうちから導通検査対象候補として選択された配線W(配線Wから配線Wm-1までの配線W)のうちの第2配線群に分類された各配線Wについての基板面BF2に存在する検査ポイントのそれぞれの数から1を減じた数の総計との合計数(初期値を上記の総数Aとしたときの検査ポイント総数N)が最大数G未満となる条件下で、導通検査対象候補の配線Wの数がより多くなるようにこの導通検査対象候補の配線Wを選択して、この選択された導通検査対象候補の配線Wを導通検査対象として第1フィクスチャである1番目のフィクスチャTFに割り振る配線Wとして決定する。
【0044】
この場合、カウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っていると処理部11がステップ58において判別する前の状態であることから、1番目のフィクスチャTFに割り振られない配線Wが残存した状態となっている。
【0045】
一方、処理部11は、このステップ54からステップ58までの各処理を実行しているときのステップ58において、インクリメント後の新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っていると判別したときには、シリアル番号k(=1)の配線W(つまり、配線W)から1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線W(つまり、配線Wm-1)までを1番目のフィクスチャTFに割り振る配線W(導通検査対象の配線W)と決定する(ステップ60)。これにより、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3が、すべての配線Wに対する絶縁検査に加えて、配線Wから配線Wm-1までの導通検査を実行することになる。
【0046】
この場合、新たな検査ポイント総数Nが1番目のフィクスチャTFのベース板36に配置可能なプローブ37の最大数Gを上回っていると処理部11がステップ56において判別する前の状態であることから、配線基板4に形成されている配線Wのすべてが1番目のフィクスチャTFに割り振られた状態となる。したがって、1番目のフィクスチャTFに配線Wを割り振る割り振り処理(第1配線決定処理)が完了すると共に、割り振り処理50が完了する。
【0047】
図6に示す構成の配線Wが形成された配線基板4を具体例としたときには、処理部11は、カウント値mが「1」のときには、シリアル番号mが「1」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ54)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、図6に示す構成の配線基板4の上記の総数Aは「11」であって、この「11」が検査ポイント総数Nの初期値として代入されていることから、この現時点での検査ポイント総数N(=11)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1000」から1を減算した数「999」を加算して得られる数「1010」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ55)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ56)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ54を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ57)。これにより、新たなカウント値mは「2」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数(図6の配線基板4では「15」)を上回っているか否かを判別して(ステップ58)、上回っていないことから、ステップ54に移行する。
【0048】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「2」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ54)、この配線Wは第2配線群に含まれないと判別する。これにより、処理部11は、ステップ55には移行せずに(つまり、新たな検査ポイント総数Nの再計算を行うことなく)、ステップ57に移行して、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する。これにより、新たなカウント値mは「3」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ58)、上回っていないことから、ステップ54に移行する。
【0049】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「3」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ54)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=1010)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1300」から1を減算した数「1299」を加算して得られる数「2309」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ55)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ56)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ54を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ57)。これにより、新たなカウント値mは「4」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ58)、上回っていないことから、ステップ54に移行する。
【0050】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「4」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ54)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=2309)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1000」から1を減算した数「999」を加算して得られる数「3308」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ55)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ56)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ54を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ57)。これにより、新たなカウント値mは「5」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ58)、上回っていないことから、ステップ54に移行する。
【0051】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「5」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ54)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=3308)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1500」から1を減算した数「1499」を加算して得られる数「4807」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ55)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ56)、上回っていることから、ステップ59に移行する。そして、処理部11は、シリアル番号kの配線W(この時点ではkは数「1」であるため、配線W)から1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線W(この時点でのカウント値mは数「5」であるため、シリアル番号4(=5-1)の配線W)までを1番目のフィクスチャTFに割り振る(つまり、配線Wから配線Wまでを1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で導通検査する配線Wである)と決定して、この配線割り振り結果を記憶する。これにより、1番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理(第1配線決定処理)が完了する。
【0052】
次いで、処理部11は、ステップ61に移行して、第2フィクスチャとしての2番目以降のフィクスチャTF,・・・に対する配線Wの割り振り処理(第2配線決定処理)の実行を開始する。
【0053】
ステップ61では、処理部11は、フィクスチャTFのシリアル番号jをインクリメント(j=j+1)し、インクリメントされたシリアル番号jのフィクスチャTFに割り振る配線Wの最初のシリアル番号kに現在のカウント値mを代入し、このフィクスチャTFに割り振る配線Wの検査ポイント総数Nの初期値としてゼロを代入する(ステップ61)。なお、2番目以降のフィクスチャTFでは、絶縁検査は行わないことから、上記した1番目のフィクスチャTFのときのように、検査ポイント総数Nの初期値として総数Aを代入する必要は無い。よって、検査ポイント総数Nの初期値としてゼロを代入する。
【0054】
次いで、処理部11は、カウント値mと同じシリアル番号の配線W(つまり、シリアル番号mの配線W)が第2配線群に含まれているか否かを判別する(ステップ62)。ここで、処理部11は、この配線Wが第2配線群に含まれていると判別したときには、この配線Wをj番目のフィクスチャTFに割り振るものとして選択したときに、この配線Wについての基板面BF2に存在する検査ポイントを含む基板面BF2側の検査ポイント総数Nを再計算する(ステップ63)。具体的には、処理部11は、この配線Wの基板面BF2に存在するすべての検査ポイント数を、当初の検査ポイント総数Nに加算して新たな検査ポイント総数Nとする計算を実行する。
【0055】
また、処理部11は、ステップ63において検査ポイント総数Nを再計算したときには、新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数Gを上回っているか否かを判別する(ステップ64)。この判別の結果、上回っていないときには、処理部11は、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ62を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ65)と共に、インクリメント後の新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っているか否かを判別する(ステップ66)。この判別の結果、上回っていないときには、上記のステップ62を実行すべき配線Wが存在していることから、処理部11は、ステップ62に移行して、新たなカウント値mと同じシリアル番号の配線W(つまり、シリアル番号mの配線W)が第2配線群に含まれているか否かを判別する。
【0056】
処理部11は、カウント値mをインクリメントしつつ、上記のステップ62~ステップ66までの各処理を実行して、配線Wが第2配線群に含まれているときには、この配線Wの基板面BF2に存在するすべての検査ポイントを直前の検査ポイント総数Nに加算することで、新たな検査ポイント総数Nを再計算する。
【0057】
処理部11は、このステップ62からステップ66までの各処理を実行しているときのステップ64において、新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数Gを上回っていると判別したときには、シリアル番号kの配線Wから1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線Wまでをj番目のフィクスチャTFに割り振る配線W(導通検査対象の配線W)と決定する(ステップ67)。これにより、j番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3が、配線Wから配線Wm-1までの導通検査を実行することになる。言い換えれば、この第2配線決定処理では、配線基板4に形成されているすべての配線Wのうちの導通検査対象として決定されていない配線Wのうちから導通検査対象候補として選択された配線W(配線Wから配線Wm-1までの配線W)のうちの第2配線群に分類された各配線Wについての基板面BF2に存在する検査ポイントのそれぞれの数の総計(初期値をゼロとしたときの検査ポイント総数N)が最大値G未満となる条件下で、導通検査対象候補の配線Wの数がより多くなるようにこの導通検査対象候補の配線Wを選択して、この選択された導通検査対象候補の配線Wを導通検査対象として第2フィクスチャTFとしての2番目のフィクスチャTF以降の各フィクスチャTFに割り振る配線Wとして決定する。
【0058】
この場合、処理部11が、カウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っているとステップ66において判別する前の状態であることから、j番目までのフィクスチャTFに割り振られない配線Wが残存した状態となっている。
【0059】
一方、処理部11は、このステップ62からステップ66までの各処理を実行しているときのステップ66において、インクリメント後の新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数を上回っていると判別したときには、シリアル番号kの配線Wから1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線Wまで(この場合、配線Wから最後の配線Wまで)をj番目のフィクスチャTFに割り振る配線W(導通検査対象の配線W)と決定する(ステップ68)。これにより、j番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3が、配線Wから最後の配線Wまでの導通検査を実行することになる。この場合、2番目以降のフィクスチャTF,・・・に配線Wを割り振る割り振り処理(第2配線決定処理)が完了することから、配線基板4に形成されているすべての配線Wの1番目のフィクスチャTFからj番目のフィクスチャTFへの割り振りが完了する。これにより、割り振り処理50は完了する。
【0060】
図6に示す構成の配線Wが形成された配線基板4を具体例としたときには、処理部11は、上記したようにカウント値mが「5」のときに、1番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理(第1配線決定処理)を完了させる。このため、処理部11は、2番目以降のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理(第2配線決定処理)では、まず、ステップ61において、フィクスチャTFのシリアル番号jをインクリメントして数「2」として、2番目のフィクスチャTFを配線Wを割り振る対象とすると共に、このフィクスチャTFに割り振る配線Wの最初のシリアル番号kに現在のカウント値m(=5)を代入する(つまり、シリアル番号kを、割り振られていない配線Wのうちの最も小さいシリアル番号mにする)。また、処理部11は、上記したように、検査ポイント総数Nの初期値をゼロとする。
【0061】
次いで、処理部11は、シリアル番号mが「5」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=0)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1500」を加算して得られる数「1500」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ63)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ64)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ62を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ65)。これにより、新たなカウント値mは「6」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0062】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「6」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=1500)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「200」を加算して得られる数「1700」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ63)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ64)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ62を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ65)。これにより、新たなカウント値mは「7」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0063】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「7」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線Wは第2配線群に含まれないと判別する。これにより、処理部11は、ステップ63には移行せずに(つまり、新たな検査ポイント総数Nの再計算を行うことなく)、ステップ65に移行して、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する。これにより、新たなカウント値mは「8」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0064】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「8」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線Wは第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=1700)に、配線Wについての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1500」を加算して得られる数「3200」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ63)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ64)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ62を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ65)。これにより、新たなカウント値mは「9」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0065】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「9」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線Wは第2配線群に含まれないと判別する。これにより、処理部11は、ステップ63には移行せずに(つまり、新たな検査ポイント総数Nの再計算を行うことなく)、ステップ65に移行して、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する。これにより、新たなカウント値mは「10」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0066】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「10」の配線Wについて第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線W10は第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=3200)に、配線W10についての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「500」を加算して得られる数「3700」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ63)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ64)、上回っていないことから、次のシリアル番号の配線Wに対して上記のステップ62を実行するために、カウント値mをインクリメント(m=m+1)する(ステップ65)。これにより、新たなカウント値mは「11」となる。続いて、処理部11は、この新たなカウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っているか否かを判別して(ステップ66)、上回っていないことから、ステップ62に移行する。
【0067】
その後、処理部11は、シリアル番号mが「11」の配線W11について第2配線群に含まれるか否かを判別して(ステップ62)、この配線W11は第2配線群に含まれると判別する。これにより、処理部11は、現時点での検査ポイント総数N(=3700)に、配線W11についての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「700」を加算して得られる数「4400」を新たな検査ポイント総数Nとして再計算する(ステップ63)。次いで、処理部11は、この新たな検査ポイント総数NがフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っているか否かを判別して(ステップ64)、上回っていることから、ステップ67に移行する。そして、処理部11は、シリアル番号kの配線W(この時点ではkは数「5」であるため、配線W)から1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線W(この時点でのカウント値mは数「11」であるため、シリアル番号10(=11-1)の配線W10)までを現在のシリアル番号j(=2)のフィクスチャTFに割り振る(つまり、配線Wから配線W10までを2番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で導通検査する配線Wである)と決定して、この配線割り振り結果を記憶する。これにより、2番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理が完了する。
【0068】
また、この時点では、カウント値mが配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回っていないことから、処理部11は、ステップ61に移行して、次の3番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理を開始する。処理部11は、まず、ステップ61において、フィクスチャTFのシリアル番号jをインクリメントして数「3」として、3番目のフィクスチャTFを配線Wを割り振る対象とすると共に、このフィクスチャTFに割り振る配線Wの最初のシリアル番号kに現在のカウント値m(=11)を代入する(つまり、シリアル番号kを、割り振られていない配線Wのうちの最も小さいシリアル番号mにする)。また、処理部11は、上記したように、検査ポイント総数Nの初期値をゼロとする。
【0069】
次いで、処理部11は、上記したステップ62からステップ66までの処理を繰り返し実行する。この場合、シリアル番号11の配線W11を、フィクスチャTFに割り振る最初の配線Wとする割り振り処理では、処理部11は、最後の配線Wであるシリアル番号mが「15」の配線W15(第2配線群に含まれる配線W)についての基板面BF2側に存在する検査ポイントの数「1900」を加算するという新たな検査ポイント総数Nの再計算をステップ63において実行したときでも、この新たな検査ポイント総数N(=3600)はフィクスチャTFのプローブ37についての最大数G(本例では4000)を上回っていない。このため、処理部11は、ステップ65に移行してカウント値mをインクリメント(m=m+1)するが、これにより、新たなカウント値mは「16」となって、配線基板4に形成されている配線Wの総数「15」を上回る。このため、処理部11は、ステップ66において、カウント値m(=16)が配線Wの総数「15」を上回っていると判別して、ステップ68に移行する。
【0070】
このステップ68では、処理部11は、ステップ67において、シリアル番号kの配線W(この時点ではkは数「11」であるため、配線W11)から1つ前のカウント値(m-1)のシリアル番号(m-1)の配線W(この時点でのカウント値mは数「16」であるため、シリアル番号15(=16-1)の配線W15)までをj(=3)番目のフィクスチャTFに割り振る(つまり、配線W11から配線W15までを3番目のフィクスチャTFで導通検査する配線Wである)と決定して、この配線割り振り結果を記憶する。これにより、3番目のフィクスチャTFに対する配線Wの割り振り処理が完了する(第2配線決定処理も完了する)と共に、配線基板4に形成されているすべての配線W~配線W15の各フィクスチャTFへの割り振り処理50が完了する。したがって、図6に示す構成の配線W~配線W15が形成された配線基板4については、処理部11が図3,4に示す割り振り処理50を実行することで、図6に示すように、配線W~配線Wが1番目のフィクスチャTFに割り振られ、配線W~配線W10が2番目のフィクスチャTFに割り振られ、配線W11~配線W15が3番目のフィクスチャTFに割り振られる。
【0071】
続いて、処理部11は、この割り振り処理50の完了後に、各フィクスチャTFへの上記の配線割り振り結果と、入力したネットリストLnおよび位置リストLpとに基づいて、各フィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される検査データDexを検査データ作成装置2に作成させるための個別のネットリストLnおよび個別の位置リストLp(つまり、フィクスチャTF毎のネットリストLnおよび位置リストLp)を作成する。図6に示す配線基板4の具体例においては、処理部11は、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される検査データDexを検査データ作成装置2に作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLp、2番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される検査データDexを検査データ作成装置2に作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLp、および3番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される検査データDexを検査データ作成装置2に作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLpを作成する。
【0072】
この場合、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3では、割り振られた配線W~配線Wの導通検査だけでなく、配線基板4に形成されているすべての配線W~配線W15についての絶縁検査も実行することから、処理部11は、上記のネットリストLnおよび位置リストLpについては、導通検査および絶縁検査を実行可能な検査データDexを検査データ作成装置2に作成させる得るものとする。
【0073】
ここで、絶縁検査を実行するために各配線W,W,W,W10~W13,W15のそれぞれに1つずつ立設するプローブ37(なお、配線W~配線Wについては導通検査のために割り振り済みであって、これらに含まれる全ての検査ポイントにはプローブ37が立設される)については、各配線W,W,W,W10~W13,W15の基板面BF2に存在する各検査ポイントのうちの任意の1つに対応する位置(接触し得る位置)に立設することになる。この場合、例えば、これらの検査ポイントのうちのネットリストLnにおいて最も小さい番号や最も大きい番号のような特定の番号が付与された検査ポイントとすることを予め規定しておくことで、配線割り振り装置1が配線W,W,W,W10~W13,W15毎にこの規定に基づいて自動的に決定することが可能となる。本例では一例として、この任意の1つの検査ポイントを、上記の最も小さい番号が付与された検査ポイントとすると予め規定する。これにより、本例の配線割り振り装置1は、上記の各配線W,W,W,W10~W13,W15について、それぞれのネットリストLnに含まれる検査ポイントのうちの最も小さい番号が付与された検査ポイントを絶縁検査のための検査ポイントとして、自動で決定する。
【0074】
以上のことから、図6に示す構成の配線基板4については、処理部11は、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される上記の検査データDexを作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLpとして、ネットリストLnおよび位置リストLpのうちのフィクスチャTFに割り振られて導通検査が行われる各配線W~配線Wに関するネットリストそのものおよび位置リストそのものを用いると共に、絶縁検査の際に使用されるこれらの配線W以外の配線Wであって第2配線群に含まれる配線W(配線W,W,W,W10~W13,W15)の基板面BF2に存在する検査ポイントのうちのネットリストLnにおいて最も小さい番号が付与された1つの検査ポイントだけで構成されるネットリストを生成して、この検査ポイントの位置リストと共に用いる。
【0075】
また、処理部11は、2番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される上記の検査データDexを作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLpとして、ネットリストLnおよび位置リストLpのうちのフィクスチャTFに割り振られて導通検査が行われる各配線W~配線W10に関するネットリストそのものおよび位置リストそのものを用いる。同様にして、処理部11は、3番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3で使用される上記の検査データDexを作成させるためのネットリストLnおよび位置リストLpとして、ネットリストLnおよび位置リストLpのうちのフィクスチャTFに割り振られて導通検査が行われる各配線W11~配線W15に関するネットリストそのものおよび位置リストそのものを用いる。
【0076】
検査装置3の製造者は、この配線割り振り装置1による配線Wの各フィクスチャTFへの割り振り結果に基づき、配線基板4の各配線Wに対する検査に必要なフィクスチャTFの数(種類)を知得し得ると共に、各フィクスチャTFに配置する(具体的には、そのベース板36に立設する)プローブ37の数(本数)と、各プローブ37の立設位置とをフィクスチャTF毎に知得することが可能となる。したがって、検査装置3の製造者は、この知得した情報(フィクスチャTFの数(種類)、および各フィクスチャTFのベース板36に立設するプローブ37の数(本数)と位置)に基づき、配線基板4の検査に必要な数のフィクスチャTFを含む検査装置3を製造することが可能となる。
【0077】
具体例としての図6に示す構成の配線W~配線W15が形成された配線基板4を検査するための検査装置3については、検査装置3の製造者は、配線割り振り装置1による配線W~配線W15のフィクスチャTF~フィクスチャTFへの上記のような割り振り結果に基づき、必要なフィクスチャTF3の数は3つであることを知得することができる。
【0078】
また、検査装置3の製造者は、1番目のフィクスチャTFについては、割り振られた配線W~配線Wについての導通検査を実行することから、ベース板36に立設するプローブ37の数(本数)は、配線W~配線Wのうちの第2配線群に含まれる配線W(この例では、配線W,W,W)に含まれる検査ポイントのうちの基板面BF2に存在する検査ポイントの総計(この例では、3300個(=1000+1300+1000))分だけ最低でも必要であることを知得することができる。また、検査装置3の製造者は、1番目のフィクスチャTFについては、すべての配線W~配線W15間での絶縁検査を実行することから、ベース板36に立設するプローブ37の数(本数)は、さらに、1番目のフィクスチャTFに割り振られていない他の配線W(配線Wから配線W15までの各配線W)のうちの第2配線群に含まれる配線W(この例では、配線W,W,W,W10~W13,W15)の数(8個)分だけ必要であることを知得することができる。
【0079】
また、検査装置3の製造者は、フィクスチャTFのベース板36への各プローブ37の立設位置に関しては、配線W~配線Wについての導通検査を実行するための3300個のプローブ37については、配線W,W,Wの基板面BF2に存在する各検査ポイントに対応する位置(接触し得る位置)とすることを知得することができる。また、絶縁検査を実行するために各配線W,W,W,W10~W13,W15のそれぞれに1つずつ立設するプローブ37については、各配線W,W,W,W10~W13,W15の基板面BF2に存在する各検査ポイントのうちのネットリストLnにおいて最も小さい番号が付与された1つの検査ポイントに対応する位置(接触し得る位置)とすることを知得することができる。
【0080】
また、検査装置3の製造者は、2番目以降のフィクスチャTF,TFについては、それぞれに割り振られた各配線W(フィクスチャTFでは配線W~配線W10、フィクスチャTFでは配線W11~配線W15)についての導通検査を実行することから、フィクスチャTFのベース板36に立設するプローブ37の数(本数)は、配線W~配線W10のうちの第2配線群に含まれる配線W(この例では、配線W,W,W,W10)に含まれる検査ポイントのうちの基板面BF2に存在する検査ポイントの数の合計(この例では、3700個(=1500+200+1500+500))分だけ必要であって、各プローブ37の立設位置については、基板面BF2に存在するこれらの各検査ポイントに対応する位置(接触し得る位置)とすることを知得することができる。同様にして、検査装置3の製造者は、フィクスチャTFのベース板36に立設するプローブ37の数(本数)は、配線W11~配線W15のうちの第2配線群に含まれる配線W(この例では、配線W11~W13,W15)に含まれる検査ポイントのうちの基板面BF2に存在する検査ポイントの数の合計(この例では、3600個(=700+200+800+1900))分だけ必要であって、各プローブ37の立設位置については、基板面BF2に存在するこれらの各検査ポイントに対応する位置(接触し得る位置)とすることを知得することができる。
【0081】
検査データ作成装置2では、処理部21が、配線割り振り装置1で作成されたフィクスチャTF,TF,TF,・・・が一括検査機35に装着された各状態の検査装置3のためのネットリストLnおよび位置リストLp、ネットリストLnおよび位置リストLp、ネットリストLnおよび位置リストLp、・・・に基づいて、フィクスチャTF,TF,TF,・・・が一括検査機35に装着された各状態の検査装置3で使用される検査データDex,Dex,Dex,・・・を作成する。
【0082】
この場合、処理部21は、1番目のフィクスチャTFが一括検査機35に装着された状態の検査装置3のためのネットリストLnおよび位置リストLpに基づき、この検査装置3で使用される検査データDexとして、絶縁検査のための絶縁検査用データと、導通検査のための導通検査用データとを作成する。また、処理部21は、2番目以降のフィクスチャTF,TF,・・・が一括検査機35に装着された各状態の検査装置3のためのネットリストLnおよび位置リストLp、ネットリストLnおよび位置リストLp、・・・に基づき、この各状態の検査装置3で使用される各検査データDex,Dex,・・・として、導通検査のための導通検査用データとを作成する。
【0083】
検査装置3では、検査位置に配線基板4が配置されたときには、処理部が、検査データDex,Dex,Dex,・・・のうちの一括検査機35に装着されたフィクスチャTFに対応する検査データDexを使用して、配線Wについての絶縁検査や導通検査を実行する。
【0084】
このように、この配線割り振り装置1およびこの配線割り振り方法では、1番目のフィクスチャTFに割り振る配線Wについては上記した第1配線決定処理を実行して決定し、この時点においてフィクスチャTFに割り振られない配線Wが残存した状態となっているときには、2番目以降の各フィクスチャTF,TF,・・・に割り振る配線Wを決定する第2配線決定処理を、フィクスチャTFに割り振られない配線Wがなくなるまで実行する。したがって、この配線割り振り装置1およびこの配線割り振り方法によれば、1つの配線基板4に形成された複数の配線Wのすべてを、フライングプローバ31および一括検査機35を備えた検査装置3の一括検査機35に交換可能(選択的)に装着される各フィクスチャTFに自動的に割り振ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 配線割り振り装置
2 検査データ作成装置
3 検査装置
4 配線基板
11 処理部
31 フライングプローバ
32,33 プローブ
35 一括検査機
36 ベース板
37 プローブ
BF1 一方の基板面
BF2 他方の基板面
TF フィクスチャ(第1フィクスチャ)
TF,TF フィクスチャ(第2フィクスチャ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6