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特許7427548配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240129BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020107752
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003457
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真樹
(72)【発明者】
【氏名】御厨 裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】李 成博
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/145747(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/234468(WO,A1)
【文献】特開2019-057265(JP,A)
【文献】特開2000-020890(JP,A)
【文献】特開2019-175491(JP,A)
【文献】特開2007-071694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に入力された配車リクエストを取得し、前記配車リクエストに基づいて、配車車両と、前記配車車両への乗車場所と、を含む配車計画を設定し、前記配車車両を前記乗車場所に走行させる配車計画部と、
前記端末装置の位置情報を取得する端末情報取得部と、
前記配車車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記乗車場所に移動するまでにかかる端末装置移動時間を算出する端末装置移動時間算出部と、
前記配車車両の位置情報に基づいて、前記配車車両が前記乗車場所に移動するまでにかかる車両移動時間を算出する車両移動時間算出部と、
前記乗車場所における前記配車車両の乗車待機時間を設定する乗車待機時間設定部と、を備え、
前記乗車待機時間設定部は、
前記端末装置移動時間及び前記車両移動時間に基づいて、前記端末装置の前記乗車場所への到着が、前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定し、
前記端末装置の前記乗車場所への到着が前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合に、前記端末装置が前記配車車両に対して遅れて到着する遅れ時間を算出し、
前記遅れ時間が長い場合には、前記遅れ時間が短い場合に比べて、前記乗車待機時間を短く設定する配車制御装置。
【請求項2】
前記配車計画部は、前記配車リクエストに基づいて、前記乗車場所で前記配車車両に乗車する乗車予定時刻を設定し、
前記乗車待機時間設定部は、前記乗車待機時間として、前記乗車予定時刻からの待機時間を設定する請求項1に記載の配車制御装置。
【請求項3】
前記配車計画部は、前記端末装置が、前記乗車待機時間が経過するまでに前記乗車場所に到着可能か否かを判定し、到着できないと判定した時点で前記配車計画をキャンセルする請求項2に記載の配車制御装置。
【請求項4】
前記配車計画部は、前記乗車予定時刻の経過後に前記配車計画をキャンセルする請求項3に記載の配車制御装置。
【請求項5】
前記乗車待機時間設定部は、前記配車車両に関する情報を記憶するデータベースから前記配車車両の予約情報を取得し、前記予約情報から前記配車車両に次の予約が無いことが特定できた場合には、前記乗車待機時間を延長する請求項2~4のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項6】
前記乗車待機時間を含む配車提示情報を、前記端末装置に送信する配車提示情報送信部を備える請求項2~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項7】
前記配車提示情報は、現在時刻、前記乗車予定時刻を含む請求項6に記載の配車制御装置。
【請求項8】
前記乗車待機時間設定部は、前記配車車両が前記乗車場所から所定の距離範囲に入ったとき、現在時刻が前記乗車予定時刻となったとき、あるいは前記配車車両が前記乗車場所に到着したとき、の少なくともいずれか1つのタイミングで前記乗車待機時間を設定し、前記配車提示情報送信部は、前記配車提示情報を前記端末装置に送信する請求項6又は7に記載の配車制御装置。
【請求項9】
前記配車提示情報送信部は、前記配車提示情報により、前記乗車待機時間を、時間経過に応じて表示形態が変化する画像によって前記端末装置の表示部に表示させる請求項6~8のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項10】
前記配車提示情報送信部は、前記配車提示情報により、前記乗車待機時間を、前記配車車両への乗車可能な距離範囲を示す距離範囲画像によって前記端末装置の表示部に表示させ、前記距離範囲画像は時間経過に応じて表示面積が小さくなる請求項6~8のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項11】
前記端末装置移動時間算出部は、前記端末装置の移動速度に関連する情報に基づいて、前記端末装置移動時間を算出する請求項1~10のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項12】
前記乗車待機時間設定部は、前記端末装置の位置情報の履歴に基づいて、前記端末装置が前記乗車場所に移動しているか否かを判定し、前記端末装置が前記乗車場所に移動していないと判定した場合に、前記乗車待機時間を短くする請求項1~11のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項13】
配車リクエストが入力される端末装置と、前記端末装置から前記配車リクエストを取得して、配車車両を配車する配車制御装置と、を備える配車制御システムであって、
前記配車制御装置は、
前記配車リクエストに基づいて、前記配車車両と、前記配車車両への乗車場所と、を含む配車計画を設定し、前記配車車両を前記乗車場所に走行させる配車計画部と、
前記端末装置の位置情報を取得する端末情報取得部と、
前記配車車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記乗車場所に移動するまでにかかる端末装置移動時間を算出する端末装置移動時間算出部と、
前記配車車両の位置情報に基づいて、前記配車車両が前記乗車場所に移動するまでにかかる車両移動時間を算出する車両移動時間算出部と、
前記乗車場所における前記配車車両の乗車待機時間を設定する乗車待機時間設定部と、を備え、
前記乗車待機時間設定部は、
前記端末装置移動時間及び前記車両移動時間に基づいて、前記端末装置の前記乗車場所への到着が、前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定し、
前記端末装置の前記乗車場所への到着が、前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合、前記端末装置が前記配車車両に対して遅れて到着する遅れ時間を算出し、
前記遅れ時間が長い場合には、前記遅れ時間が短い場合に比べて、前記乗車待機時間を短く設定する配車制御システム。
【請求項14】
端末装置に入力された配車リクエストを取得し、前記配車リクエストに基づいて、配車車両と、前記配車車両への乗車場所と、を含む配車計画を設定するステップと、
前記配車車両を前記乗車場所に走行させるステップと、
前記端末装置の位置情報を取得するステップと、
前記配車車両の位置情報を取得するステップと、
前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記乗車場所に移動するまでにかかる端末装置移動時間を算出するステップと、
前記配車車両の位置情報に基づいて、前記配車車両が前記乗車場所に移動するまでにかかる車両移動時間を算出するステップと、
前記乗車場所における前記配車車両の乗車待機時間を設定するするステップと、を備え、
前記乗車待機時間を設定するステップは、
前記端末装置移動時間及び前記車両移動時間に基づいて、前記端末装置の前記乗車場所への到着が、前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定するステップと、
前記端末装置の前記乗車場所への到着が、前記配車車両の前記乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合、前記端末装置が前記配車車両に対して遅れて到着する遅れ時間を算出するステップと、
前記遅れ時間が長い場合には、前記遅れ時間が短い場合に比べて、前記乗車待機時間を短く設定するするステップと、を含む配車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客が携帯端末を介して出迎えを配車センタに依頼した場合に、配車センタが自動運転車両に顧客の出迎え指示と位置情報とを送信し、自動運転車両が顧客の近くの駐車可能位置まで自動運転して停車し、顧客の携帯端末に自動運転車両が到着したことを知らせる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-139483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、顧客の携帯端末に自動運転車両が到着したことを知らせた後、顧客から返答がくるのを所定の設定時間だけ待機し、この設定時間の経過後に依頼をキャンセルしている。そのため、顧客が自動運転車両に乗る気がない場合、あるいは乗車に間に合わない場合に、自動運転車両が無駄に待機する時間が発生していた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、顧客を待つために待機する時間を適切に設定することができる配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗車場所における配車車両の乗車待機時間を設定する乗車待機時間設定部を備えており、この乗車待機時間設定部は、端末装置の乗車場所への到着が、配車車両の乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定し、端末装置の乗車場所への到着が、配車車両の乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合、端末装置が配車車両に対して遅れて到着する遅れ時間を算出し、この遅れ時間が長い場合には、遅れ時間が短い場合に比べて、乗車待機時間を短く設定することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端末装置が乗車場所に到着する遅れ時間の長さに応じて乗車待機時間を設定するので、乗車場所に来る気がないユーザや、乗車予定時刻に間に合わないことが明らかなユーザを無駄に待つ時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を適用した第1実施形態の配車制御システムを示すブロック図である。
図2】端末装置の現在地から乗車場所までにかかる端末装置移動時間と、乗車待機時間とを示す説明図である。
図3】第1実施形態に係る配車提示情報の表示態様を示す端末装置の正面図である。
図4】第1実施形態に係る配車車両の配車手順を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る乗車待機時間の設定手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る配車提示情報の表示態様を示す端末装置の正面図である。
図7】第3実施形態に係る配車提示情報の表示態様を示す端末装置の正面図である。
図8】第1実施形態に係る配車車両の配車手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
本実施形態は、本発明に係る配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を実施した配車制御システムに関するものである。本実施形態に係る配車制御システムは、ユーザの端末装置に入力された配車リクエストを取得し、この配車リクエストに応じて、ユーザが乗車する配車車両と、配車車両に乗車する乗車場所と、配車車両が走行する配車経路とを含む配車計画を設定し、この配車計画に基づいて配車車両を走行させることにより、ユーザを目的地まで移送するためのシステムである。配車リクエストは、ユーザが目的地までの移動に利用する配車車両の配車を配車制御システムに要求するためのリクエスト情報である。
【0010】
なお、本実施形態の配車制御システムでは、例えば、複数箇所に設置された配車ステーションに複数台の配車車両がそれぞれ配置されている。また、配車制御システムによって配車車両が配車される配車エリアには、配車車両が停車可能で、かつ、ユーザが停車中の配車車両に乗車及び降車が可能な複数箇所の乗降地が予め設定されている。ユーザは、配車リクエストにより、これらの配車ステーション又は乗降地を、配車車両に乗車するための希望乗車地、及び配車車両により移送される希望降車地として指定して配車サービスを利用する。
【0011】
図1は、本発明に係る配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を実施した配車制御システム1の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の配車制御システム1は、ユーザにより配車リクエストが入力される複数の端末装置2と、配車リクエストに応じて配車計画を設定する配車制御装置3と、配車計画に基づいて走行する複数台の配車車両4と、端末装置2、配車制御装置3及び配車車両4を通信可能に接続するネットワークNWとを備える。ネットワークNWには、携帯電話通信網及びインターネット等の電気通信回線網が利用される。
【0012】
本実施形態の端末装置2は、通信機能を備えた携帯情報端末であり、例えば、ユーザによって携帯されるスマートフォン等の携帯電話や、タブレット型端末、可搬型のパーソナルコンピュータ等が用いられる。なお、以下では、端末装置2として、スマートフォンを用いる場合を例にして説明を行なう。スマートフォンからなる端末装置2は、情報の入力部及び表示部として機能するタッチパネル型ディスプレイパネル(以下、ディスプレイという)21と、配車制御装置3と通信を行なう通信部22と、端末装置2の位置を検出する位置検出部23と、端末装置2の全体を統括的に制御する制御部24とを備えている。
【0013】
位置検出部23は、いわゆるGPS(Global Positioning System)受信器であり、複数の測位衛星から送信されている電波を所定時間毎に受信することにより、端末装置2の位置情報、すなわち端末装置2を携帯しているユーザの位置情報を取得する。したがって、以下で説明する端末装置2の位置情報、移動速度及び移動時間等は、ユーザの位置情報、移動速度及び移動時間等を表す。制御部24は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。制御部24は、スマートフォンにインストールされた配車アプリケーションが起動されることにより、スマートフォンが端末装置2として動作するために必要な各種機能を実現する。
【0014】
制御部24は、ユーザによる配車リクエストの入力を受け付けるとともに、入力された配車リクエストを通信部22によって配車制御装置3に送信する。配車リクエストは、ユーザによるディスプレイ21へのタッチ操作によって端末装置2に入力される。ユーザにより入力される配車リクエストには、ユーザIDと、希望乗車時刻と、希望乗車地と、希望降車地と、希望降車時刻とが含まれる。ユーザIDは、配車制御装置3において、ユーザの識別に利用される。希望乗車地及び希望降車地は、上記のとおり、複数の配車ステーション及び複数の乗降地のなかから選択される。希望乗車時刻は、希望乗車地から配車車両4に乗車する希望時刻である。また、希望降車時刻は、希望降車地に到着を希望する時刻である。
【0015】
また、制御部24は、配車リクエストの送信時及び配車制御装置3からの要求時に、位置検出部23によって検出した端末装置2の位置情報、すなわちユーザの位置情報を通信部22によって配車制御装置3に送信する。上述した配車リクエスト及び端末装置2の位置情報は、配車制御装置3において配車計画の設定に利用される。
【0016】
さらに、制御部24は、配車制御装置3から送信された配車提示情報を通信部22により受信し、ディスプレイ21に表示する。配車提示情報は、配車制御装置3において、配車リクエストに基づいて設定された配車計画に関する情報である。端末装置2による配車提示情報の表示については、詳しくは後述する。
【0017】
また、制御部24は、ユーザが配車車両4の乗車場所に到着して認証操作が行なわれた場合に、通信部22又はスマートフォンが予め備えている近距離無線通信装置(図示せず)等を利用して配車車両4との間で通信を行い、ユーザ認証を行なう。このユーザ認証では、ユーザID等を利用して、認証操作を行なった端末装置2が、配車リクエストを送信した端末装置2であるか否かが判定される。
【0018】
なお、配車アプリケーションを利用する代わりに、配車制御システム1が運営する配車用ウェブサイトを利用して、配車リクエストの入力及び配車提示情報の表示を行なってもよい。例えば、端末装置2のウェブブラウザによって配車用ウェブサイトにアクセスし、この配車用ウェブサイトを介して配車制御装置3に配車リクエストを入力及び送信してもよい。また、端末装置2のウェブブラウザによって配車用ウェブサイトにアクセスし、このウェブサイトを介して配車提示情報を受信してディスプレイ21に表示してもよい。
【0019】
次に、本実施形態の配車車両4について説明する。本実施形態の配車車両4は、ドライバによる運転操作に依らずに車両を自律的に走行させる自律走行制御機能を備えた車両である。配車車両4は、配車制御装置3から送信された配車計画に基づいて自律走行制御により走行し、ユーザの移送を行なう。配車車両4は、詳しくは図示しないが、駆動輪を含む駆動機構と、駆動機構に駆動力を供給する駆動源と、操舵輪を含む操舵機構と、制動機構と、これらの機構及び駆動源を制御して配車車両4を自律走行させる走行制御装置とを備えている。駆動源には、電動モータ又は内燃機関、あるいは電動モータと内燃機関とを組み合わせたハイブリッド型駆動源が用いられる。
【0020】
本実施形態の配車車両4には、配車制御装置3から送信された配車計画を受信し、配車計画に基づいて配車車両4の走行制御装置に自律走行制御を実行させる車載装置41が搭載されている。車載装置41は、配車制御装置3と通信を行なう通信部411と、配車車両4の位置を検出する位置検出部412と、車載装置41全体を統括的に制御する制御部413とを備えている。位置検出部412は、いわゆるGPS受信器であり、複数の測位衛星から送信されている電波を所定時間毎に受信することにより、配車車両4の位置情報を取得する。
【0021】
制御部413は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとから構成されている。制御部413は、配車制御システム1に対応して作成された配車制御用ソフトウェアプログラムに基づいて動作することにより、車載装置41として必要な各種機能を実現する。
【0022】
制御部413は、所定時間毎に又は配車制御装置3からの要求に応じて、位置検出部412によって検出した配車車両4の位置情報を通信部411によって配車制御装置3に送信する。配車制御装置3は、配車車両4の位置情報を配車車両4の管理及び配車計画の設定に利用する。また、制御部413は、配車制御装置3で設定された配車計画を通信部411によって受信し、配車計画に基づいて走行制御装置を制御し、配車車両4を自律走行させる。より具体的には、制御部413は、配車計画に従って配車車両4を乗車場所まで走行させ、乗車場所で待機させる。ユーザが乗車場所で配車車両4に乗車した場合には、配車計画に従って配車車両4を目的地まで走行させる。また、制御部413は、乗車場所での待機中に、配車制御装置3によって配車計画がキャンセルされた場合には、配車制御装置3の指示に従って、配車ステーションまで戻る、又は別のユーザを待つために当該乗車場所での待機を継続する、あるいは別のユーザを待つために別の乗車場所まで走行する等の制御を行なう。
【0023】
さらに、制御部413は、ユーザが配車車両4の乗車場所に到着し、端末装置2によって認証操作を行なった場合に、通信部411又は図示しない近距離無線通信装置を利用して端末装置2と通信を行い、ユーザ認証を行なう。このユーザ認証では、認証操作を行なった端末装置2が、配車リクエストを送信した端末装置2であるか否かが判定される。制御部413は、認証操作を行なった端末装置2が、配車リクエストを送信した端末装置2であると判定した場合には、ユーザを配車車両4に乗車させ、配車計画に従って走行制御装置に自律走行を実行させる。また、制御部413は、認証操作を行なった端末装置2が、配車リクエストを送信した端末装置2ではないと判定した場合には、図示しない音声出力部又は表示部等を利用して、ユーザに予約された配車車両ではないことを通知する。
【0024】
次に、本実施形態の配車制御装置3について説明する。本実施形態の配車制御装置3は、例えば、配車サービスを提供する事業者の管制センタ等に設置されている。配車制御装置3は、データベース31と、ネットワークNWを介して端末装置2及び配車車両4と通信を行なう通信部32と、配車制御装置3全体を統括的に制御する制御部33とを備えている。
【0025】
データベース31は、車両情報と、配車情報と、地図情報と、ユーザ情報とを記憶している。車両情報は、各配車車両4に関する情報であり、各配車車両4の現在の位置情報と、各配車車両4の現在の利用状況等が含まれる。配車車両4の現在の利用状況には、配車車両が配車状態であるいか、あるいは空車状態であるかを示すステータス情報と、配車計画に応じて設定された予約情報とが含まれる。
【0026】
データベース31の配車情報には、端末装置2から取得した配車リクエストと、この配車リクエストに応じて設定された配車計画とが含まれる。上述したように、配車リクエストには、ユーザIDと、希望乗車時刻と、希望乗車地(乗車場所)と、希望降車地と、希望降車時刻とが含まれる。配車計画には、配車リクエストに基づいて設定された配車車両4に関する情報と、配車車両4への乗車場所及び乗車予定時刻と、配車車両4が乗車場所でユーザの到着を待つための乗車待機時間とが含まれる。また、配車計画には、配車車両4が乗車場所から希望降車地まで走行するための経路である配車経路も含まれている。
【0027】
地図情報は、道路や施設などの情報を含む地図情報であって、施設の情報には、例えば、建物の階数、建物の通路、建物の出入り口等を示す建物の構造の情報が含まれる。また、本実施形態の地図情報には、複数の配車ステーション及び複数の乗降地の位置情報と、各配車ステーション及び各乗降地の周辺の施設情報と、各配車ステーション及び各乗降地周辺の交通状況、及び各配車ステーション及び各乗降地の利用状況等、各配車ステーション及び乗降地に関する情報が含まれている。
【0028】
ユーザ情報は、本実施形態の配車制御システム1を利用するためにユーザ登録を行なった全てのユーザに関する情報である。ユーザ情報には、ユーザIDと、ユーザの氏名、性別、年齢、車椅子の利用の有無、住所、電話番号、電子メールアドレス等が含まれる。また、ユーザが配車リクエストを送信して配車サービスを利用中である場合には、端末装置2から取得した端末装置2の位置情報がユーザ情報に関連づけて記憶される。
【0029】
制御部33は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとから構成されている。制御部33は、配車制御システム1に対応して作成された配車制御用ソフトウェアプログラムに基づいて動作することにより、配車制御装置3として必要な各種機能を実現する。
【0030】
制御部33は、配車制御用ソフトウェアプログラムに基づいて動作することにより、配車計画部331と、端末情報取得部332と、車両情報取得部333と、端末装置移動時間算出部334と、車両移動時間算出部335と、乗車待機時間設定部336と、配車提示情報送信部337として機能する。
【0031】
配車計画部331は、端末装置2から送信された配車リクエストを通信部32により受信し、受信した配車リクエストに基づいて、配車計画を設定する。配車計画部331は、例えば、配車リクエストに入力されたユーザの希望乗車地及び希望乗車時刻と、端末装置2の位置情報と、データベース31の車両情報から取得した配車車両4の位置情報とに基づいて、ユーザに配車する配車車両4と、配車車両4への乗車場所及び乗車予定時刻とを設定する。なお、乗車場所は、複数の配車ステーション又は複数の乗降地のなかから選択される。
【0032】
また、配車計画部331は、配車リクエストに入力されたユーザの希望降車地及び希望降車時刻に基づいて、配車車両4の目的地と、乗車場所から目的地までの配車経路とを設定する。なお、目的地は、複数の配車ステーション又は複数の乗降地のなかから選択される。配車計画部331は、設定した配車計画をデータベース31の配車情報に記憶する。また、配車計画部331は、設定した配車計画を通信部32によって配車車両4の車載装置41に送信する。
【0033】
さらに、配車計画部331は、上記の乗車待機時間設定部336で設定された乗車待機時間が経過するまでに、端末装置2が乗車場所に到着可能か否かを判定し、到着できないと判定した時点で配車計画をキャンセルする。これにより、乗車場所に来る気がないユーザや、乗車予定時刻に間に合わないことが明らかなユーザを待つための無駄な待機時間が発生しない。
【0034】
なお、配車計画のキャンセルは、ユーザの配車リクエストを尊重して、乗車予定時刻が経過するまではキャンセルされないようにしてもよい。すなわち、配車計画部331は、乗車待機時間が経過するまでに、ユーザが乗車場所に到着できないと判定した場合でも、乗車予定時刻まで待ってから配車計画をキャンセルする。これにより、例えば、ユーザが乗車場所への移動中に、利用中の移動手段(例えば、歩行)から、これよりも移動速度が速い移動手段(例えば、自転車や自動車等)に変更して乗車予定時刻に間に合うような場合には、ユーザは配車車両4に乗車することができる。
【0035】
端末情報取得部332は、所定時間毎又は所定のタイミングで、通信部32により端末装置2の位置情報を取得する。端末装置移動時間算出部334は、乗車場所の位置情報と、端末装置2の位置情報と、端末装置2の移動速度とに基づいて、端末装置2が乗車場所に到着するまでにかかる端末装置移動時間を算出する。なお、端末装置2の移動速度は、端末装置2の所定時間あたりの移動距離から算出してもよいし、人間の標準的な歩行速度を用いてもよい。また、端末装置2の移動速度に関連する情報として、端末装置2を所持するユーザのユーザ情報から、年齢、性別、車椅子の利用の有無等の情報を取得し、端末装置2の移動速度の算出に利用してもよい。また、ユーザが乗車場所までの移動に、自転車やバス等の歩行以外の移動手段を用いる場合には、配車リクエストにその移動手段を入力させ、その移動手段に応じた移動速度に基づいて端末装置移動時間を算出してもよい。
【0036】
車両情報取得部333は、所定時間毎又は所定のタイミングで、通信部32により配車車両4の位置情報を取得する。車両移動時間算出部335は、乗車場所の位置情報と、配車車両4の位置情報と、配車車両4の移動速度とに基づいて、配車車両4が乗車場所に到着するまでにかかる車両移動時間を算出する。なお、配車車両4の移動速度は、配車車両4の所定時間あたりの移動距離から算出してもよいし、配車車両4から配車制御装置3へ走行速度を送信してもよい。また、配車車両4が待ち合わせ場所まで走行する道路の制限速度や、混雑状況等に応じて、配車車両4の移動速度を適宜設定してもよい。道路の制限速度は、データベース31の地図情報から取得することができる。また、道路の混雑状況は、FM多重放送やビーコン等によって従来から提供されている交通情報から取得することができる。
【0037】
乗車待機時間設定部336は、配車車両4が乗車場所で端末装置2、すなわち、ユーザの到着を待つための乗車待機時間を設定する。乗車待機時間は、配車計画部331で設定された乗車予定時刻からの待機時間である。具体的には、乗車待機時間設定部336は、端末装置移動時間及び車両移動時間に基づいて、端末装置2の乗車場所への到着が、配車車両4の乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定する。次いで、乗車待機時間設定部336は、端末装置2の乗車場所への到着が配車車両4の乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合に、端末装置2が配車車両4に対して遅れて到着する遅れ時間を算出する。さらに、乗車待機時間設定部336は、算出した遅れ時間が長い場合には、遅れ時間が短い場合に比べて、乗車待機時間を短く設定する。
【0038】
乗車待機時間の設定について、具体例を用いて説明する。図2に示すように、例えば、ユーザU1の乗車場所での乗車予定時刻が「12時00分」、現在時刻が「11時55分」であるとする。この乗車場所までのユーザU1の端末装置2の端末装置移動時間が「15分」である場合、ユーザU1は現在の移動速度で移動すると「12時10分」に乗車場所に到着する。すなわち、ユーザU1の端末装置2の乗車予定時刻に対する遅れ時間は「10分」である。このような場合、ユーザU1が移動を急いだとしても乗車予定時刻までに乗車場所に到着することはできない。そのため、乗車待機時間設定部336は、ユーザU1の端末装置2の遅れ時間が相対的に長いと判定し、端末装置2が乗車場所へ到着する時刻よりも乗車待機時間が短くなるように、例えば乗車待機時間を「0分」に設定する。
【0039】
次に、乗車場所、乗車予定時刻及び現在時刻がユーザU1と同じユーザU2の場合について説明する。ユーザU2の端末装置2の乗車場所までの端末装置移動時間が「5分」である場合、ユーザU2は現在の移動速度で移動すると「12時00分」に乗車場所に到着する。すなわち、ユーザU2の端末装置2の乗車予定時刻に対する遅れ時間は「0分」である。この場合、ユーザU2が交通事情等(例えば、赤信号で待機する等)によって移動速度が多少遅くなったとしても、乗車予定時刻から大きく遅れずに乗車場所に到着することができる。そのため、乗車待機時間設定部336は、ユーザU2の端末装置2の遅れ時間が相対的に短いと判定し、端末装置2の乗車場所への到着時に配車車両4が待機していられるように、乗車待機時間を例えば「10分」に設定する。
【0040】
このように、乗車待機時間設定部336は、ユーザU1が移動を急いだとしても乗車予定時刻に間に合わない、すなわち、端末装置2の遅れ時間が長い場合であると判定した場合には、遅れ時間が短い場合に比べて、乗車待機時間を短く設定する。これにより、上記のユーザU1の例でいえば、乗車予定時刻「12時00分」の経過時に配車計画をキャンセルすることができる。したがって、乗車場所に来る気がないユーザや、乗車予定時刻に間に合わないことが明らかなユーザを待つための無駄な待機時間が発生しない。また、上記のユーザU2の例でいえば、配車車両4は、乗車予定時刻に間に合うように移動しているユーザを待機することができる。
【0041】
なお、端末装置2の位置情報の履歴を乗車待機時間の設定に利用してもよい。例えば、乗車待機時間設定部336は、端末装置2の位置情報の履歴に基づいて、ユーザが乗車場所に向かっているか否かを判定する。乗車待機時間設定部336は、ユーザが乗車場所に向かっていないと判定した場合、すなわち、ユーザが途中で寄り道をしている等の履歴があって乗車予定時刻に間に合わないような場合には、乗車待機時間を短くするようにしてもよい。これによれば、乗車場所に真っ直ぐに向かわずに、寄り道などをして遅れが生じているユーザを待つための時間を短くすることができる。
【0042】
配車提示情報送信部337は、乗車待機時間を含む配車提示情報を通信部32によって端末装置2に送信する。配車提示情報は、配車計画部331において設定された配車計画に関する情報である。具体的には、配車提示情報には、ユーザに配車される配車車両4に関する情報(例えば、車種、車両番号等)と、配車車両4への乗車場所(配車ステーション又は乗降地)と、乗車予定時刻と、配車車両4が乗車場所でユーザの到着を待つための乗車待機時間と、現在時刻の情報が含まれる。
【0043】
図3(A)は、図2に示すユーザU1の端末装置2Aに送信され、ディスプレイ21に表示された配車提示情報の一例を示している。ディスプレイ21には、配車提示情報として、上部から順に現在時刻「11:55」と、乗車予定時刻「12:00」と、乗車待機時間とが表示される。乗車待機時間は、例えば、「乗車可能時間は12:00から約0分です」と表示される。また、乗車待機時間の下方には、乗車場所を示す「乗車地」と、乗車地に向かう配車車両4と及びユーザU1とを示すアイコンと、ユーザU1の現在地から乗車地までの概略的な移動経路とが表示される。また、ユーザU1のアイコンの近傍には、ユーザU1の乗車地までの移動時間が表示されている。ディスプレイ21に表示されるユーザU1の移動経路の長さは、移動時間の長さに応じて変化する。
【0044】
また、図3(B)は、図2に示すユーザU2の端末装置2Bに送信されてディスプレイ21に表示された配車提示情報の一例を示している。ディスプレイ21には、ユーザU1の端末装置2Aと同様に、上部から順に現在時刻「11:55」と、乗車予定時刻「12:00」と、乗車待機時間とが表示される。乗車待機時間は、例えば、「乗車可能時間は12:00から約10分です」と表示される。また、乗車待機時間の下方には、乗車場所を示す「乗車地」と、乗車地に向かう配車車両4と及びユーザU2戸を示すアイコンと、ユーザU2の現在地から乗車地までの概略的な移動経路とが表示される。また、ユーザU2のアイコンの近傍には、ユーザU2の乗車地までの移動時間が表示されている。ディスプレイ21に表示されるユーザU2の移動経路の長さは、移動時間の長さに応じて変化する。したがって、ユーザU2の移動経路は、図3(A)に示すユーザU1の移動経路よりも短く表示される。
【0045】
このように、ユーザU1が移動を急いだとしても乗車予定時刻に間に合わない、すなわち、端末装置2の遅れ時間が相対的に長い場合には、配車提示情報として、短い乗車待機時間が表示される。したがって、ユーザU1は、乗車予定時刻までに乗車場所に到着するのは無理であると自ら判断し、配車サービスの予約をキャンセルことができる。また、ユーザU2の場合には、乗車予定時刻を多少過ぎても、配車車両4が乗車場所で待ってくれると判断できるので、乗車予定時刻に大きく遅れないように乗車場所まで移動することができる。
【0046】
なお、配車計画部331が配車計画をキャンセルする際に、配車車両4の次の予約が空いている場合には、乗車待機時間の延長を行なってもよい。具体的には、乗車待機時間設定部336は、データベース31の車両情報から配車車両4の予約情報を取得し、この予約情報から配車車両4の次の予約状況を確認し、次の予約が無いことが特定できた場合には、乗車待機時間を延長するようにしてもよい。また、配車提示情報送信部337は、乗車待機時間が延長された場合には、新たに設定された乗車待機時間を含む配車提示情報を端末装置2に送信する。これによれば、一旦乗車場所まで配車された配車車両4を配車ステーションに戻さないので、配車された配車車両4を有効に利用することができる。
【0047】
次に、図4及び図5に示すフローチャートを参照して、配車制御装置3が配車車両4を配車する手順について説明する。まず、ステップS1において、配車計画部331は、端末装置2から送信された配車リクエストを通信部32によって取得する。次に、配車計画部331は、ステップS2において、取得した配車リクエストに基づいて配車計画を設定する。配車計画部331は、配車計画として、ユーザに配車する配車車両4と、配車車両4への乗車場所及び乗車予定時刻と、配車車両4の目的地と、乗車場所から目的地までの配車経路とを設定する。配車計画部331は、ステップS3において、設定した配車計画を通信部32によって配車車両4の車載装置41に送信する。車載装置41は、配車制御装置3から送信された配車計画に基づいて、配車車両4の走行制御装置を制御し、配車車両4を配車計画の乗車場所に向けて自律走行させる。
【0048】
次に、ステップS4において、乗車待機時間設定部336は、乗車待機時間を設定する。図5に示すステップS41において、端末情報取得部332は、通信部32によって端末装置2から位置情報を取得する。ステップS42では、車両情報取得部333は、通信部32によって配車車両4の車載装置41から位置情報を取得する。ステップS43では、端末装置移動時間算出部334は、乗車場所の位置情報と、端末装置2の位置情報と、端末装置2の移動速度とに基づいて、端末装置2が乗車場所に到着するまでにかかる端末装置移動時間を算出する。ステップS44では、車両移動時間算出部335は、乗車場所の位置情報と、配車車両4の位置情報と、配車車両4の移動速度とに基づいて、配車車両4が乗車場所に到着するまでにかかる車両移動時間を算出する。
【0049】
次に、ステップS45において、乗車待機時間設定部336は、端末装置移動時間及び車両移動時間に基づいて、端末装置2の乗車場所への到着が、配車車両4の乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定する。乗車待機時間設定部336は、端末装置2の乗車場所への到着が配車車両4の乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合、ステップS46において、端末装置2が配車車両4に対して遅れて到着する遅れ時間を算出する。
【0050】
次に、乗車待機時間設定部336は、算出した遅れ時間に基づいて、乗車待機時間を設定する。具体的には、乗車待機時間設定部336は、ステップS47において、算出した遅れ時間が相対的に長いか否かを判定する。乗車待機時間設定部336は、ユーザの移動速度が多少遅くなったとしても、乗車予定時刻から大きく遅れずに乗車場所に到着する場合、すなわち、端末装置2の遅れ時間が相対的に短いと判定した場合には、ステップS48において、ユーザの乗車場所への到着時に配車車両4が待機していられるように乗車待機時間を設定する。例えば、図2に示すユーザU2については、乗車予定時刻から大きく遅れずに乗車場所に到着することができるので、乗車待機時間を例えば「10分」に設定する。
【0051】
また、乗車待機時間設定部336は、ユーザが移動を急いだとしても乗車予定時刻に間に合わない場合、すなわち、端末装置2の遅れ時間が相対的に長いと判定した場合には、ステップS49において、端末装置2が乗車場所へ到着する時刻よりも乗車待機時間が短くなるように乗車待機時間を設定する。例えば、図2に示すユーザU1については、ユーザU1が移動を急いだとしても乗車予定時刻に間に合わないので、乗車待機時間を例えば「0分」に設定する。
【0052】
次に、図4に示すステップS5において、配車提示情報送信部337は、設定された乗車待機時間を含む配車提示情報を通信部32によって端末装置2に送信する。端末装置2は、配車制御装置3から送信された配車提示情報をディスプレイ21に表示する。図3(A)は、図2に示すユーザU1の端末装置2Aを示す。端末装置2Aは、ステップS49において、端末装置2Aが乗車場所へ到着する時刻よりも乗車待機時間が短くなるように乗車待機時間が設定されたユーザU1の端末装置である。また、図3(B)は、図2に示すユーザU2の端末装置2Bを示す。端末装置2Bは、ステップS48において、端末装置2Bの乗車場所への到着時に配車車両4が待機していられるように乗車待機時間が設定されたユーザU2の端末装置である。
【0053】
次に、ステップS6において、配車計画部331は、配車車両4の位置情報に基づいて、配車車両4が乗車場所に到着したか否かを判定する。配車計画部331は、配車車両4が乗車場所に到着したと判定した場合には、ステップS7において、ユーザが配車車両4に乗車したか否かを判定する。ユーザが配車車両4に乗車したか否かの判定は、例えば、認証操作の結果と、配車車両4の車内等に設置しているセンサの検出結果等に基づいて判定を行なう。ユーザが配車車両4に乗車したと判定された場合には、配車計画部331は、次のステップS8において、車載装置41に配車車両4の走行制御装置を制御させ、配車車両4を配車計画の目的地に向けて自律走行させる。
【0054】
また、ステップS7において、ユーザが配車車両4に乗車していないと判定された場合には、配車計画部331は、次のステップS10において、現在時刻が乗車予定時刻に達しているか否かを判定する。現在時刻が乗車予定時刻に達している場合には、配車計画部331は、次のステップS11において、現在時刻が乗車待機時間を経過しているか否かを判定する。配車計画部331は、現在時刻が乗車待機時間を経過していると判定した場合には、次のステップS12において、配車計画をキャンセルする。
【0055】
以上のとおり、本実施形態に係る配車制御システム1によれば、配車リクエストに基づいて、ユーザに配車する配車車両4と、配車車両4への乗車場所と、を含む配車計画を設定し、配車車両4を乗車場所に向けて走行させる配車計画部331と、ユーザの端末装置2の位置情報を取得する端末情報取得部332と、配車車両4の位置情報を取得する車両情報取得部333と、端末装置2の位置情報に基づいて、端末装置2が乗車場所に到着するまでにかかる端末装置移動時間を算出する端末装置移動時間算出部334と、配車車両4の位置情報に基づいて、配車車両4が乗車場所に到着するまでにかかる車両移動時間を算出する車両移動時間算出部335と、乗車場所における配車車両4の乗車待機時間を設定する乗車待機時間設定部336と、を備えている。そして、乗車待機時間設定部336は、端末装置移動時間及び車両移動時間に基づいて、端末装置2の乗車場所への到着が、配車車両4の前記乗車場所への到着に対して遅れるか否かを判定し、端末装置2の乗車場所への到着が配車車両4の乗車場所への到着に対して遅れると判定した場合に、端末装置2が配車車両4に対して遅れて到着する遅れ時間を算出し、この遅れ時間が長い場合には、遅れ時間が短い場合に比べて、乗車待機時間を短く設定する。
【0056】
このように、乗車待機時間設定部336は、ユーザが移動を急いだとしても乗車予定時刻に間に合わない、すなわち、端末装置2の遅れ時間が長い場合であると判定した場合には、遅れ時間が短い場合に比べて、乗車待機時間を短く設定する。これにより、乗車場所に来る気がないユーザや、乗車予定時刻に間に合わないことが明らかなユーザを待つための無駄な待機時間が発生しない。また、乗車予定時刻に間に合うように移動しているユーザを待機することができる。
【0057】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、配車計画部331は、配車リクエストに基づいて、配車車両4に乗車場所で乗車するための乗車予定時刻を設定し、乗車待機時間設定部336は、乗車予定時刻からの待機時間を乗車待機時間として設定する。このように、乗車待機時間は、乗車予定時刻を過ぎてから端末装置2を待つための時間として設定されるので、乗車予定時刻を経過した後の無駄な待機時間を少なくすることができる。
【0058】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、配車計画部331は、端末装置2が、乗車待機時間が経過するまでに乗車場所に到着可能か否かを判定し、到着できないと判定した時点で配車計画をキャンセルする。これにより、乗車場所に来る気がないユーザや、乗車予定時刻に間に合わないことが明らかなユーザを待たずに配車計画をキャンセルすることができるので、配車車両4を有効に利用することができる。
【0059】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、配車計画部331は、乗車予定時刻の経過後に配車計画をキャンセルする。すなわち、配車計画部331は、乗車待機時間が経過するまでに端末装置2が乗車場所に到着できないと判定した場合でも、ユーザが配車リクエストを行ったという意思を尊重して、乗車予定時刻が経過するまでは配車計画をキャンセルしなし。これにより、例えば、ユーザが乗車場所への移動中に、利用中の移動手段(例えば、歩行)を、これよりも移動速度が速い移動手段(例えば、自転車や自動車等)に変更して乗車予定時刻に間に合った場合には、ユーザは配車車両4に乗車することができる。
【0060】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、配車計画部331は、配車車両4に関する情報を記憶するデータベース31から配車車両4の予約情報を取得し、予約情報から配車車両4に次の予約が無いことが特定できた場合には、乗車待機時間を延長する。これによれば、一旦乗車場所まで配車された配車車両4を配車ステーションに戻さないので、配車された配車車両4を有効に利用することができる。
【0061】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、乗車待機時間を含む配車提示情報を、端末装置2に送信する配車提示情報送信部337を備える。また、配車提示情報は、現在時刻及び乗車予定時刻を含んでいる。これにより、ユーザは、配車提示情報を確認して、自身の移動状態を的確に把握することができる。また、移動を急いだとしても乗車待機時間が経過するまでに乗車場所に到着できないユーザは、自ら判断して配車サービスの予約をキャンセルことができる。さらに、乗車待機時間が経過するまでに乗車場所に到着可能なユーザは、乗車予定時刻を多少過ぎても、配車車両4が乗車場所で待ってくれると判断できるので、乗車予定時刻に大きく遅れないように乗車場所まで移動することができる。
【0062】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、端末装置移動時間算出部334は、端末装置2の移動速度に関する情報に基づいて、端末装置移動時間を算出する。端末装置2の移動速度に関する情報としては、ユーザの年齢、性別や、車椅子、自転車等の利用の有無等の情報を用いることができる。これにより、端末装置2の移動速度を適切に設定し、正確な端末装置移動時間を算出することができる。
【0063】
本実施形態に係る配車制御システム1によれば、乗車待機時間設定部336は、端末装置2の位置情報の履歴に基づいて、端末装置2が乗車場所に向かっているか否かを判定し、端末装置2が乗車場所に向かっていないと判定した場合に、乗車待機時間を短くする。これによれば、乗車場所に真っ直ぐに向かわずに、寄り道などをして遅れが生じているユーザを待つための時間を短くすることができる。
【0064】
《第2実施形態》
次に、本発明に係る配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を実施した配車制御システムの第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同符号を用いて詳しい説明は省略する。本実施形態は、配車提示情報送信部337から端末装置2に送信し、端末装置2において表示される配車提示情報の態様が第1実施形態と異なっている。
【0065】
本実施形態の配車提示情報送信部337は、配車提示情報として、乗車待機時間を時間経過に応じて表示形態が変化する画像によって端末装置2のディスプレイ21に表示させる。図6(A)、(B)は、同じ配車提示情報の時間経過による変化を示しており、図6(B)は、図6(A)の2分後の状態を示している。図6(A)、(B)に示す配車提示情報では、ディスプレイ21の上部から順に現在時刻と、乗車待機時間である乗車可能時間とが表示される。また、乗車可能時間の下方には、乗車場所のアイコンと、配車車両4のアイコンと、乗車場所に向かうユーザのアイコンと、ユーザの現在地から乗車場所までの概略的な移動経路とが表示される。ユーザのアイコンは、ユーザの端末装置2の位置情報に応じて移動経路に対する位置が変化する。
【0066】
配車提示情報の乗車可能時間は、時間経過に応じて表示形態が変化する画像と、この画像内に表示される文字とによって表現されている。本実施形態において、時間経過に応じて表示形態が変化する画像には、いわゆる、プログレスバー21aが用いられている。プログレスバー21aは、水平に配置した棒状の表示範囲内を着色し、時間経過に応じて着色部分の面積を減少させることで、処理の進捗状況や、時間の経過を表示する。
【0067】
このように、乗車待機時間を示す乗車可能時間の表示に、時間経過に応じて表示形態が変化する画像を用いることにより、ユーザに対し、配車車両4に乗車可能な残り時間を理解しやすく視覚的に伝えることができる。
【0068】
《第3実施形態》
次に、本発明に係る配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を実施した配車制御システムの第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同符号を用いて詳しい説明は省略する。本実施形態は、第2実施形態と同様に、配車提示情報送信部337から端末装置2に送信し、端末装置2において表示される配車提示情報の態様が第1実施形態と異なっている。
【0069】
本実施形態の配車提示情報送信部337は、配車提示情報として、乗車待機時間を配車車両4への乗車可能な距離範囲を示す距離範囲画像によって端末装置2のディスプレイ21に表示させ、距離範囲画像は時間経過に応じて表示面積を小さくするものである。図7(A)、(B)は、同じ配車提示情報の時間経過による変化を示しており、図7(B)は、図7(A)の2分後の状態を示している。図7(A)、(B)に示す配車提示情報では、ディスプレイ21の上部から順に現在時刻と、配車車両4への乗車可能な距離範囲を示す距離範囲画像21bとが表示されている。距離範囲画像21bは、乗車場所を示すアイコン21cを中心とした円形の画像であり、この円内にユーザを示すアイコンが納まっていれば、乗車待機時間が経過するまでに配車車両4に乗車可能であることを示している。距離範囲画像21bは、時間経過に応じて大きさが変化する。また、距離範囲画像21b内には、乗車場所のアイコンと、配車車両4のアイコンとが表示され、距離範囲画像21bの近傍には、乗車場所に向かうユーザのアイコンと、ユーザの現在地から乗車場所までの概略的な移動経路とが表示される。ユーザのアイコンは、端末装置2の位置情報に応じて移動経路に対する位置が変化する。
【0070】
このように、乗車待機時間の表示に、配車車両4への乗車可能な距離範囲を示す距離範囲画像21bを用いることにより、ユーザに対し、配車車両4に乗車可能な位置にいるか否かを理解しやすく視覚的に伝えることができる。
【0071】
《第4実施形態》
次に、本発明に係る配車制御装置、配車制御システム及び配車制御方法を実施した配車制御システムの第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同符号を用いて詳しい説明は省略する。本実施形態は、乗車待機時間を設定し、この乗車待機時間を含む配車提示情報を端末装置2に送信するタイミングが第1実施形態と異なっている。
【0072】
図8のフローチャートに示すように、本実施形態に係る配車制御システムの配車計画部331は、配車リクエストを取得し(ステップS1)、配車計画を設定し(ステップS2)、配車車両4に配車計画を送信し(ステップS3)、配車計画に関する配車提示情報を端末装置2に送信(ステップS20)する。配車計画部331は、ステップS21において、配車車両4の位置情報に基づいて、配車車両4が乗車場所から所定距離内に到着したか否かを判定する。乗車場所からの所定距離は、任意の距離を設定することができる。
【0073】
配車車両4が乗車場所から所定距離内に到着したと判定された場合、乗車待機時間設定部336は、ステップS22において、乗車待機時間を設定する。また、配車提示情報送信部337は、ステップS23において、設定された乗車待機時間を含む配車提示情報を端末装置2に送信する。なお、ステップS22及びステップS23では、第1実施形態のステップS4及びステップS5と同じ処理が行われるため、詳しい説明は省略する。
【0074】
また、配車計画部331は、ステップS6において、配車車両4が乗車場所に到着したか否かを判定する。配車車両4が乗車場所に到着したと判定された場合、乗車待機時間設定部336は、ステップS24において、乗車待機時間を再設定する。また、配車提示情報送信部337は、ステップS25において、再設定された乗車待機時間を含む配車提示情報を端末装置2に送信する。なお、ステップS24及びステップS25では、第1実施形態のステップS4及びステップS5と同じ処理が行われるため、詳しい説明は省略する。
【0075】
さらに、配車計画部331は、ステップS10において、現在時刻が乗車予定時刻に達しているか否かを判定する。現在時刻が乗車予定時刻に達していると判定された場合、乗車待機時間設定部336は、ステップS26において、乗車待機時間を再設定する。また、配車提示情報送信部337は、ステップS27において、再設定された乗車待機時間を含む配車提示情報を端末装置2に送信する。なお、ステップS26及びステップS27では、第1実施形態のステップS4及びステップS5と同じ処理が行われるため、詳しい説明は省略する。
【0076】
このように、本実施形態では、配車車両4が乗車場所から所定距離内に到着したタイミングと、配車車両4が乗車場所に到着したタイミングと、乗車予定時刻となったタイミングにおいて、乗車待機時間を再設定して端末装置2に通知する。これにより、乗車待機時間の変化を適時のタイミングでユーザに知らせることができるので、ユーザは、配車提示情報を確認して、自身の移動状態を的確に把握することができる。また、移動を急いだとしても乗車待機時間が経過するまでに乗車場所に到着できないユーザは、自ら判断して配車サービスの予約をキャンセルことができる。さらに、乗車待機時間が経過するまでに乗車場所に到着可能なユーザは、乗車予定時刻を多少過ぎても、配車車両4が乗車場所で待ってくれると判断できるので、乗車予定時刻に大きく遅れないように乗車場所まで移動することができる。
【0077】
なお、乗車場所からの所定距離として、複数の距離を設定してもよい。例えば、乗車場所から遠い順に、第1の所定距離、第2の所定距離及び第3の所定距離を設定し、配車車両4が各所定距離に到達したときに、乗車待機時間を設定するようにしてもよい。また、本実施形態では、配車車両4が乗車場所から所定距離内に到着したとき、配車車両4が乗車場所に到着したとき、乗車予定時刻となったときに乗車待機時間を設定したが、これらのタイミングのうちの少なくとも1つ、あるいは任意のタイミングを組み合わせて乗車待機時間を設定してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…配車制御システム
2…端末装置
21…タッチパネル型ディスプレイパネル
22…通信部
23…位置検出部
24…制御部
3…配車制御装置
31…データベース
32…通信部
33…制御部
331…配車計画部
232…端末情報取得部
333…車両情報取得部
334…端末装置移動時間算出部
335…車両移動時間算出部
336…乗車待機時間設定部
337…配車提示情報送信部
4…配車車両
41…車載装置
411…通信部
412…位置検出部
413…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8