(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240129BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240129BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240129BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240129BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240129BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652K
H01L29/78 658F
H01L29/78 652D
H01L29/78 655A
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/44 L
H01L21/28 301S
H01L21/28 301R
(21)【出願番号】P 2020155893
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】冨田 幸太
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014392(JP,A)
【文献】特開2003-318396(JP,A)
【文献】特開2003-318395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 29/41
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、
前記第1電極から前記第1半導体層に向かう第1方向に交差する第2方向において、前記第1半導体領域と第1絶縁膜を介して設けられた第2電極と、
前記第2方向において、前記第1半導体領域と第2絶縁膜を介して設けられた第3電極と、
前記第2電極と前記第3電極の間に設けられ、第1導電材料を含む第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域の間及び前記第4電極と前記第2半導体領域の間に設けられ、前
記第1方向における前記第4電極と前記第1半導体領域の間の膜厚は、前
記第2方向における前記第4電極と前記第2半導体領域の間の膜厚より小さい、第2導電材料を含む第5電極と、
前記第4電極と前記第5電極の間に設けられた、第3導電材料を含む第6電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1方向において、前記第5電極と前記第1半導体領域の間に設けられ、前記第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第3半導体領域と、
をさらに備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第5電極と前記第3半導体領域の間に設けられ、シリサイドを含む第7電極と、
前記第5電極と前記第2半導体領域の間に設けられ、シリサイドを含む第8電極と、
をさらに備える請求項
2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極の上に設けられた層間絶縁部をさらに備え、
前記第5電極は、前記層間絶縁部の側面及び上面にさらに設けられ、
前記層間絶縁部の前記上面に設けられた前記第5電極の膜厚は、前記層間絶縁部の前記側面に設けられた前記第5電極の膜厚より小さい、
請求項1乃至請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極と前記第1半導体層の間に設けられた、第2導電型の第2半導体層と、
をさらに備える請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1導電材料は、タングステン(W)又はアルミニウム(Al)を含む、
請求項1乃至請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電材料は、チタン(Ti)又はタングステン(W)を含む、
請求項1乃至請求項6いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3導電材料は、窒化チタン(TiN)、コバルト(Co)又はNi(ニッケル)を含む、
請求項1乃至請求項7いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。このような半導体装置については、オン抵抗の低減や、アバランシェ耐量の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗の低減とアバランシェ耐量の向上を両立させた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1電極と、第1電極の上に設けられた、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第1電極から第1半導体層に向かう第1方向に交差する第2方向において、第1半導体領域と第1絶縁膜を介して設けられた第2電極と、第2方向において、第1半導体領域と第2絶縁膜を介して設けられた第3電極と、第2電極と第3電極の間に設けられ、第1導電材料を含む第4電極と、第4電極と第1半導体領域の間及び第4電極と第2半導体領域の間に設けられ、第1方向における第4電極と第1半導体領域の間の膜厚は、第2方向における第4電極と第2半導体領域の間の膜厚より小さい、第2導電材料を含む第5電極と、第4電極と第5電極の間に設けられた、第3導電材料を含む第6電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の他の態様の模式断面図である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す模式断面図である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す模式断面図である。
【
図7】第1実施形態の第1比較形態となる半導体装置の模式断面図である。
【
図8】第1実施形態の第2比較形態となる半導体装置の模式断面図である。
【
図9】第1実施形態の半導体装置の作用効果を説明するための模式図である。
【
図10】第2実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図11】第2実施形態の半導体装置の他の態様の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0010】
以下の説明において、n+、n、n-および、p+、p、p-の表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn+はnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1電極と、第1電極の上に設けられた、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第1半導体領域の上から第1半導体層に到達する第1トレンチ内に、第1半導体領域と第1絶縁膜を介して設けられた第2電極と、第1半導体領域の上から第1半導体層に到達する第2トレンチ内に、第1半導体領域と第2絶縁膜を介して設けられた第3電極と、第2半導体領域の上から第1半導体領域に到達し、第1トレンチと第2トレンチの間の、第2電極と第3電極の間に設けられ、第1導電材料を含む第4電極と、第4電極と第1半導体領域の間及び第4電極と第2半導体領域の間に設けられ、第1電極と第1半導体層が積層された第1方向における第4電極と第1半導体領域の間の膜厚は、第1方向に交差する第2方向における第4電極と第2半導体領域の間の膜厚より小さい、第2導電材料を含む第5電極と、第4電極と第5電極の間に設けられた、第3導電材料を含む第6電極と、第1方向において、第5電極と第1半導体領域の間に設けられ、第1半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第3半導体領域と、を備える。
【0012】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式断面図である。
図2は、本実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。半導体装置100は、例えば、縦型のMOSFETである。
【0013】
半導体装置100は、ドレイン層10と、ドリフト層12と、ベース領域14と、ソース領域16と、p+領域24と、第1シリサイド部26と、第2シリサイド部28と、コンタクト電極30と、バリアメタル32と、ドレイン電極38と、埋込電極42と、ソースメタル44と、第1トレンチ50と、第3絶縁膜52と、第1絶縁膜53と、第1フィールドプレート電極54と、第5絶縁膜56と、第1ゲート電極58と、層間絶縁部60と、第2トレンチ70と、第4絶縁膜72と、第2絶縁膜73と、第2フィールドプレート電極74と、第6絶縁膜76と、第2ゲート電極78(第3電極の一例)と、を備える。
【0014】
ドレイン層10は、第1半導体層の一例である。ドリフト層12は、第2半導体層の一例である。ベース領域14は、第1半導体領域の一例である。ソース領域16は、第2半導体領域の一例である。p+領域24bは、第3半導体領域の一例である。第1シリサイド部26は、第7電極の一例である。第2シリサイド部28は、第8電極の一例である。コンタクト電極30は、第5電極の一例である。バリアメタル32は、第6電極の一例である。ドレイン電極38は、第1電極の一例である。埋込電極42の一部である埋込電極42b及び埋込電極42eは、第4電極の一例である。第1ゲート電極58は、第2電極の一例である。第2ゲート電極78は、第3電極の一例である。
【0015】
ドレイン電極38は、MOSFETのドレイン電極として機能する電極である。
【0016】
ドレイン層10は、ドレイン電極38の上に設けられ、ドレイン電極38と電気的に接続されている。ドレイン層10は、MOSFETのドレインとして機能する層である。ドレイン層10は、例えば、n+型の半導体材料を含む。
【0017】
ドリフト層12は、ドレイン層10の上に設けられている。ドリフト層12は、MOSFETのドリフト層として機能する層である。ドリフト層12は、例えば、n-型の半導体材料を含む。ドリフト層12のn型不純物濃度は、ドレイン層10のn型不純物濃度よりも低い。
【0018】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。ドレイン層10及びドリフト層12は、X方向及びY方向に平行なXY平面に平行に設けられた層である。Z方向は、ドレイン電極38及びドレイン層10が積層された方向又はドレイン層10及びドリフト層12が積層された方向である。
図1(a)は、半導体装置100のYZ平面内における模式断面図である。
【0019】
ベース領域14は、ドリフト層12の上に設けられている。ベース領域14は、MOSFETのベースとして機能する領域である。ベース領域14は、第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れることを可能とする領域である。ベース領域14は、例えば、p-型の半導体材料を含む。半導体装置100は、ベース領域14a、14b及び14cを含む。
【0020】
ソース領域16は、ベース領域14の上に設けられている。ソース領域16は、MOSFETのソースとして機能する領域である。第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に適切な電圧が印加された場合に、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れる。ソース領域16は、例えば、n+型の半導体材料を含む。ソース領域16のn型不純物濃度は、ドリフト層12の不純物濃度よりも高い。半導体装置100は、ソース領域16a、16b、16c及び16dを含む。
【0021】
第1トレンチ50は、ベース領域14の上からドリフト層12内に到達するように設けられている。
【0022】
第2トレンチ70は、ベース領域14の上からドリフト層12内に到達するように設けられている。
【0023】
第1フィールドプレート電極54は、第1トレンチ50内に、第3絶縁膜52を介して設けられている。第1フィールドプレート電極54は、例えば、第3絶縁膜52とドリフト層12の界面からドリフト層12側に空乏層が広がるので、ベース領域14とドリフト層12の界面からドレイン層10に向かって空乏層が広がるのを助長して、耐圧を増加させるために設けられている。なお、第1フィールドプレート電極54は、設けられていなくても良い。
【0024】
第2フィールドプレート電極74は、第2トレンチ70内に、第4絶縁膜72を介して設けられている。第2フィールドプレート電極74は、例えば、第4絶縁膜72とドリフト層12の界面からドリフト層12側に空乏層が広がるので、ベース領域14とドリフト層12の界面からドレイン層10に向かって空乏層が広がるのを助長して、耐圧を増加させるために設けられている。なお、第2フィールドプレート電極74は、設けられていなくても良い。
【0025】
第3絶縁膜52は、第1トレンチ50内に設けられている。第3絶縁膜52は、第1フィールドプレート電極54をドリフト層12から絶縁する、フィールドプレート絶縁膜として機能する。例えば、第3絶縁膜52は、第1フィールドプレート電極54の周囲に、第1フィールドプレート電極54を覆うように設けられていても良い。
【0026】
第1絶縁膜53は、第1トレンチ50内の、第3絶縁膜52の上に設けられている。第1絶縁膜53aは、ベース領域14aと第1ゲート電極58の間に設けられている。第1絶縁膜53bは、ベース領域14bと第1ゲート電極58の間に設けられている。言い換えると、第1ゲート電極58は、第1トレンチ50内に、第1絶縁膜53aを介してベース領域14aに対向するように設けられている。また、第1ゲート電極58は、第1トレンチ50内に、第1絶縁膜53bを介してベース領域14bに対向するように設けられている。第1絶縁膜53は、第1ゲート電極58をドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁する、ゲート絶縁膜として機能する。第1絶縁膜53aの膜厚及び第1絶縁膜53bの膜厚は、第3絶縁膜52の膜厚より薄い。
【0027】
第1絶縁膜53及び第3絶縁膜52は、第1フィールドプレート電極54及び第1ゲート電極58を、ドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁している。
【0028】
第4絶縁膜72は、第2トレンチ70内に設けられている。第4絶縁膜72は、第2フィールドプレート電極74をドリフト層12から絶縁する、フィールドプレート絶縁膜として機能する。例えば、第4絶縁膜72は、第2フィールドプレート電極74の周囲に、第2フィールドプレート電極74を覆うように設けられていても良い。
【0029】
第2絶縁膜73は、第2トレンチ70内の、第4絶縁膜72の上に設けられている。第2絶縁膜73aは、ベース領域14bと第2ゲート電極78の間に設けられている。第2絶縁膜73bは、ベース領域14cと第2ゲート電極78の間に設けられている。言い換えると、第2ゲート電極78は、第2トレンチ70内に、第2絶縁膜73aを介してベース領域14bに対向するように設けられている。また、第2ゲート電極78は、第2トレンチ70内に、第2絶縁膜73bを介してベース領域14cに対向するように設けられている。第2絶縁膜73は、第2ゲート電極78をドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁する、ゲート絶縁膜として機能する。第2絶縁膜73aの膜厚及び第2絶縁膜73bの膜厚は、第4絶縁膜72の膜厚より薄い。
【0030】
第2絶縁膜73及び第4絶縁膜72は、第2フィールドプレート電極74及び第2ゲート電極78を、ドリフト層12、ベース領域14及びソース領域16から絶縁している。
【0031】
第5絶縁膜56は、第1フィールドプレート電極54の上に設けられている。例えば、第3絶縁膜52が第1フィールドプレート電極54を覆うように設けられている場合、第5絶縁膜56は、第3絶縁膜52の一部の上に設けられている。第5絶縁膜56は、例えばPSG(Phosphosilicate Glass)により形成された絶縁膜である。なお、第5絶縁膜56は設けられていなくてもかまわない。
【0032】
第6絶縁膜76は、第2フィールドプレート電極74の上に設けられている。例えば、第4絶縁膜72が第2フィールドプレート電極74を覆うように設けられている場合、第6絶縁膜76は、第4絶縁膜72の一部の上に設けられている。第6絶縁膜76は、例えばPSG(Phosphosilicate Glass)により形成された絶縁膜である。なお、第6絶縁膜76は設けられていなくてもかまわない。
【0033】
第1ゲート電極58は、第5絶縁膜56の上に設けられている。第1ゲート電極58は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0034】
第2ゲート電極78は、第6絶縁膜76の上に設けられている。第2ゲート電極78は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0035】
層間絶縁部60aは、第1ゲート電極58の上に設けられている。層間絶縁部60bは、第2ゲート電極78の上に設けられている。層間絶縁部60は、埋込電極42、バリアメタル32及びコンタクト電極30から第1ゲート電極58及び第2ゲート電極78を絶縁するために設けられている。
【0036】
埋込電極42d及び埋込電極42aは、ソース領域16aの上からベース領域14aに到達して設けられている。埋込電極42e及び埋込電極42bは、ソース領域16cの上からベース領域14bに到達して設けられている。埋込電極42f及び埋込電極42cは、ソース領域16dの上からベース領域14cに到達して設けられている。埋込電極42gは、埋込電極42d、層間絶縁部60a、埋込電極42e、層間絶縁部60b及び埋込電極42fの上にわたって設けられている。埋込電極42a、埋込電極42b、埋込電極42c、埋込電極42d、埋込電極42e、埋込電極42f及び埋込電極42gは、例えば、一体として形成されている。埋込電極42は、MOSFETのソースとして機能する電極である。
【0037】
コンタクト電極30aは、埋込電極42bとベース領域14bの間に設けられている。コンタクト電極30bは、埋込電極42bとソース領域16bの間及び埋込電極42bとベース領域14bの間に設けられている。コンタクト電極30cは、埋込電極42bとソース領域16cの間及び埋込電極42bとベース領域14bの間に設けられている。コンタクト電極30dは、埋込電極42eとソース領域16bの間に設けられている。コンタクト電極30eは、埋込電極42eとソース領域16cの間に設けられている。コンタクト電極30fは、層間絶縁部60aと埋込電極42eの間に設けられている。コンタクト電極30gは、層間絶縁部60bと埋込電極42eの間に設けられている。コンタクト電極30hは、層間絶縁部60aと埋込電極42gの間に設けられている。コンタクト電極30iは、層間絶縁部60bと埋込電極42gの間に設けられている。コンタクト電極30は、ベース領域14及びソース領域16の間に、後述するシリサイド部を形成することにより、埋込電極42とベース領域14及びソース領域16の間の接触抵抗を低減するために設けられている。
【0038】
コンタクト電極30aのZ方向の膜厚aは、コンタクト電極30bのY方向の膜厚b1及びコンタクト電極30cのY方向の膜厚b2より小さい。また、コンタクト電極30hのZ方向の膜厚f1は、コンタクト電極30fのY方向の膜厚e1より小さい。また、コンタクト電極30iのZ方向の膜厚f2は、コンタクト電極30gのY方向の膜厚e2より小さい。
【0039】
なお、埋込電極42a及び埋込電極42dとベース領域14a、ソース領域16a及び層間絶縁部60aの間にも同様にコンタクト電極30が設けられている。また、埋込電極42c及び埋込電極42fとベース領域14c、ソース領域16d及び層間絶縁部60bの間にも同様にコンタクト電極30が設けられている。
【0040】
ソースメタル44は、埋込電極42の上に設けられ、埋込電極42と電気的に接続されている。ソースメタル44は、図示しない外部電気回路とMOSFETのソースの接続のために用いられる。
【0041】
バリアメタル32は、埋込電極42とコンタクト電極30の間に設けられている。バリアメタル32は、埋込電極42とコンタクト電極30の間における元素の拡散を抑制するために設けられている。
【0042】
p+領域24bは、コンタクト電極30aの下の、ベース領域14b内に設けられている。p+領域24bのp型不純物濃度は、ベース領域14bのp型不純物濃度よりも高い。なお同様に、ベース領域14a内にp+領域24aが設けられ、ベース領域14c内にp+領域24cが設けられている。
【0043】
第1シリサイド部26は、コンタクト電極30aとp+領域24bの間に設けられている。第2シリサイド部28aは、コンタクト電極30bとソース領域16bの間に設けられている。例えば、第1シリサイド部26のZ方向の膜厚cは、第2シリサイド部28aのY方向の膜厚dと等しい。なお、第1シリサイド部26のZ方向の膜厚cは、第2シリサイド部28aのY方向の膜厚dと異なっていてもかまわない。
【0044】
なお、コンタクト電極30b及びコンタクト電極30cとベース領域14bの間にも、図示しないシリサイド部が設けられていてもかまわない。また、同様にして、コンタクト電極30とp+領域24a及びp+領域24cの間、コンタクト電極30とソース領域16a及びソース領域16dの間にも、シリサイド部が設けられている。
【0045】
なお、シリサイド化反応が進んだ場合には、コンタクト電極30aがすべて第1シリサイド部26となる、言い換えるとコンタクト電極30aのZ方向の膜厚aがゼロとなることが考えられる。この場合、第1シリサイド部26はバリアメタル32と直接接することになる。この場合、Z方向において、ベース領域14bと埋込電極42bの間にバリアメタル32が設けられている。また、Z方向において、バリアメタル32とベース領域14bの間にp+領域24bが設けられている。また、バリアメタル32とp+領域24bの間に第1シリサイド部26が設けられている。
【0046】
図3は、本実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。
図3(a)は、半導体装置100の、XZ平面内における模式断面図である。
図3(b)は、半導体装置100の、A-A’断面及びD-D’断面(
図3(a))における模式断面図である。なお、コンタクト電極30及びバリアメタル32の図示は、省略している。
【0047】
第1フィールドプレート電極54は、上方に延伸した部分55を有する。そして、第1フィールドプレート電極54は、かかる上方に延伸した部分55を用いて、埋込電極42の一部と電気的に接続されている。これにより、第1フィールドプレート電極54は、ソースメタル44と電気的に接続されている。第2フィールドプレート電極74とソースメタル44との電気的接続も同様に行われる。なお、第1フィールドプレート電極54及び第2フィールドプレート電極74とソースメタル44の間の電気的接続の態様は、これに限定されるものではない。
【0048】
第1ゲート電極58は、埋込電極43と電気的に接続されている。そして、埋込電極43の上にはゲートメタル46が設けられて、埋込電極43と電気的に接続されている。これにより、第1ゲート電極58は、ゲートメタル46と電気的に接続されている。ゲートメタル46は、図示しない外部電気回路とMOSFETのソースとの接続に用いられる。第2ゲート電極78とゲートメタル46との電気的接続も同様に行われる。なお、第1ゲート電極58及び第2ゲート電極78とゲートメタル46の間の電気的接続の態様は、これに限定されるものではない。
【0049】
図4は、本実施形態の半導体装置の他の態様の模式断面図である。
図4は、半導体装置110の模式断面図である。半導体装置110においては、第5絶縁膜56及び第6絶縁膜76は設けられていない。第1フィールドプレート電極54は、第1ゲート電極58と接している。これにより、第1フィールドプレート電極54は、第1ゲート電極58と電気的に接続されている。そして、第1ゲート電極58は、ゲートメタル46と電気的に接続されているため、第1フィールドプレート電極54はゲートメタル46と電気的に接続されている。なお、第2フィールドプレート電極74とゲートメタル46との電気的接続も同様に行われる。
【0050】
以上のように、第1フィールドプレート電極54及び第2フィールドプレート電極74は、ソースメタル44に電気的に接続されていてもかまわないし、ゲートメタル46に電気的に接続されていてもかまわない。
【0051】
ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16、p+領域24に用いられる半導体材料は、例えばシリコン(Si)である。
【0052】
半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n型不純物としては例えばヒ素(As)、リン(P)又はアンチモン(Sb)を、またp型不純物としては例えばB(ホウ素)を、それぞれ用いることができる。
【0053】
第1ゲート電極58、第2ゲート電極78、第1フィールドプレート電極54及び第2フィールドプレート電極74は、不純物を含むポリシリコン等の導電材料を含む。
【0054】
第1絶縁膜53、第2絶縁膜73、第3絶縁膜52、第4絶縁膜72、第5絶縁膜56、第6絶縁膜76及び層間絶縁部60は、酸化シリコン又は窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料を含む。
【0055】
ドレイン電極38は、例えばアルミニウム(Al)等の金属を含む。
【0056】
埋込電極42は、第1導電材料を含む。ここで第1導電材料は、例えばタングステン(W)又はアルミニウム(Al)を含む、これに限定されるものではない。
【0057】
コンタクト電極30は、第2導電材料を含む。ここで第2導電材料は、例えばチタン(Ti)又はタングステン(W)を含む、これに限定されるものではない。
【0058】
バリアメタル32は、第3導電材料を含む。ここで第3導電材料は、例えば窒化チタン(TiN)、コバルト(Co)又はニッケル(Ni)を含むが、これに限定されるものではない。
【0059】
ソースメタル44及びゲートメタル46は、例えばAlを含む。
【0060】
第1シリサイド部26及び第2シリサイド部28は、シリサイドを含む。
【0061】
図5及び
図6は、本実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す模式断面図である。
【0062】
まず、ドレイン電極38、ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16、p+領域24、第1トレンチ50、第3絶縁膜52、第1絶縁膜53、第1フィールドプレート電極54、第5絶縁膜56、第1ゲート電極58、層間絶縁部60、第2トレンチ70、第4絶縁膜72、第2絶縁膜73、第2フィールドプレート電極74、第6絶縁膜76、及び第2ゲート電極78を形成する。次に、層間絶縁部60の上からベース領域14に到達するトレンチ80を形成する。なお、ここでトレンチ80は、幅gのトレンチ80aと、トレンチ80aの下に設けられ幅gより小さい幅hを有するトレンチ80bと、を有するものとなっている。しかし、単一の幅を有するトレンチがベース領域14に到達するものとなっていてもかまわない。
【0063】
次に、層間絶縁部60の上面、トレンチ80aの側面及び底面、トレンチ80bの側面及び底面に、Tiを含むコンタクト電極30を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する(
図5)。
【0064】
次に、例えば逆スパッタ法又は異方性エッチング法により、コンタクト電極30a、コンタクト電極30d、コンタクト電極30e、コンタクト電極30h及びコンタクト電極30iの膜厚を小さくする(
図6)。
【0065】
次に、コンタクト電極30の上に、例えばスパッタリングを用いて、バリアメタル32を形成する。このときに、第1シリサイド部26及び第2シリサイド部28が形成される。次に、バリアメタル32の上に、例えばCVD法又はPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて、埋込電極42及びソースメタル44を形成し、本実施形態の半導体装置100を得る。
【0066】
次に、本実施形態の半導体装置の作用効果を記載する。
【0067】
図7は、本実施形態の第1比較形態となる半導体装置の模式断面図である。コンタクト電極30は、例えばPVD法により形成されている。この場合、Z方向におけるコンタクト電極30a、コンタクト電極30d、コンタクト電極30e、コンタクト電極30h及びコンタクト電極30iの膜厚は、Y方向におけるコンタクト電極30b、コンタクト電極30c、コンタクト電極30f及びコンタクト電極30gの膜厚よりも厚い。
【0068】
図8は、本実施形態の第2比較形態となる半導体装置の模式断面図である。コンタクト電極30は、例えばCVD法により形成されている。この場合、Z方向におけるコンタクト電極30a、コンタクト電極30d、コンタクト電極30e、コンタクト電極30h及びコンタクト電極30iの膜厚は、Y方向におけるコンタクト電極30b、コンタクト電極30c、コンタクト電極30f及びコンタクト電極30gの膜厚と等しい。
【0069】
図9は、本実施形態の半導体装置100の作用効果を説明するための模式図である。
図9には、縦軸にシリサイドに接触する半導体領域とシリサイドの間のコンタクト抵抗、横軸にかかるシリサイドの膜厚をとったグラフを模式的に示している。p
+領域24とコンタクト電極30aの間には、第1シリサイド部26が形成される。第1シリサイド部26は、p
+領域24に含まれていたp型不純物を含む。一方、ソース領域16bとコンタクト電極30bの間及びソース領域16cとコンタクト電極30cの間には、第2シリサイド部28が形成される。第2シリサイド部28は、ソース領域16に含まれていたn型不純物を含む。
【0070】
n型不純物を含む第2シリサイド部28とソース領域16の間のコンタクト抵抗は、シリサイド膜厚が大きくなると共に、単調に減少する。そのため、コンタクト電極30bのY方向の膜厚b1及びコンタクト電極30cのY方向の膜厚b2は、大きくしておくことが好ましい。
【0071】
一方、p型不純物を含む第1シリサイド部26とp+領域24の間のコンタクト抵抗は、シリサイド膜厚が大きくなると共に減少する。しかし、さらにシリサイド膜厚が大きくなると、逆に、増加する。これは、シリサイド膜厚が大きくなると、p+領域24からより多くのp型不純物が第1シリサイド部26に移動するため、第1シリサイド部26近傍のp+領域24のp型不純物量が少なくなってしまうためである。かかるp型不純物量が少なくなってしまうと、p+領域24と埋込電極42のコンタクト抵抗が増加し、アバランシェ耐量が低下するという問題があった。
【0072】
なお、第1シリサイド部26とp+領域24の間のコンタクト抵抗を小さくするために、p+領域24を深めに設計する、言い換えると、Z方向におけるp+領域24の長さを長くすることが考えられる。しかしこの場合、逆方向電圧が半導体装置100に印加された場合に、アバランシェ降伏が発生した場合にスナップバックモードの耐量が低下するおそれがある。また、この場合、Y方向のp型不純物の拡散長が長くなるため、半導体装置100の微細化に不利であるという問題点がある。
【0073】
そこで、本実施形態の半導体装置100では、コンタクト電極30aのZ方向の膜厚aは、コンタクト電極30bのY方向の膜厚b1及びコンタクト電極30cのY方向の膜厚b2より小さいものとしている。コンタクト電極30aの膜厚を小さくすれば、第1シリサイド部26の膜厚が大きくなりすぎることを抑制できる。そのため、コンタクト電極30aの膜厚は、小さいことが、コンタクト抵抗の極端な増加を抑制するために好ましい。
【0074】
以上より、コンタクト電極30aのZ方向の膜厚aは、コンタクト電極30bのY方向の膜厚b1及びコンタクト電極30cのY方向の膜厚b2より小さいことが好ましい。
【0075】
また、コンタクト電極30aのZ方向の膜厚aが、コンタクト電極30bのY方向の膜厚b
1及びコンタクト電極30cのY方向の膜厚b
2より小さいものとして製造を行う場合には、
図6に示したとおり、コンタクト電極30hのZ方向の膜厚f
1は、コンタクト電極30fのY方向の膜厚e
1より小さくなる。また、コンタクト電極30iのZ方向の膜厚f
2は、コンタクト電極30gのY方向の膜厚e
2より小さいものとなる。
【0076】
本実施形態の半導体装置によれば、オン抵抗の低減とアバランシェ耐量の向上を両立させた半導体装置の提供が可能となる。
【0077】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である点で、第1実施形態の半導体装置とは異なっている。ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0078】
図10は、本実施形態の半導体装置200の模式断面図である。
【0079】
コレクタ電極(第1電極の一例)38は、IGBTのコレクタ電極として機能する電極である。
【0080】
コレクタ層(第1半導体層の一例)8は、コレクタ電極38の上に設けられ、コレクタ電極38と電気的に接続されている。コレクタ層8は、IGBTのコレクタとして機能する層である。コレクタ層8は、例えば、p+型の半導体材料を含む。
【0081】
埋込電極42は、IGBTのエミッタ電極として機能する。
【0082】
図11は、本実施形態の半導体装置の他の態様の模式断面図である。
図11は、半導体装置210の模式断面図である。半導体装置210においては、第5絶縁膜56及び第6絶縁膜76は設けられていない。第1フィールドプレート電極54は、第1ゲート電極58と接している。これにより、第1フィールドプレート電極54は、第1ゲート電極58と電気的に接続されている。そして、第1ゲート電極58は、例えば
図3(d)に示したようにゲートメタル46と電気的に接続されているため、第1フィールドプレート電極54はゲートメタル46と電気的に接続されている。なお、第2フィールドプレート電極74とゲートメタル46との電気的接続も同様に行われる。
【0083】
本実施形態の半導体装置によっても、オン抵抗の低減とアバランシェ耐量の向上を両立させた半導体装置の提供が可能となる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
8 :コレクタ層(第2半導体層)
10 :ドレイン層(第2半導体層)
12 :ドリフト層(第1半導体層)
14 :ベース領域(第1半導体領域)
16 :ソース領域(第2半導体領域)
24b :p+領域(第3半導体領域)
26 :第1シリサイド部(第7電極)
28 :第2シリサイド部(第8電極)
30 :コンタクト電極(第5電極)
32 :バリアメタル(第6電極)
38 :ドレイン電極、コレクタ電極(第1電極)
42 :埋込電極
42b :埋込電極(第4電極)
42e :埋込電極(第4電極)
44 :ソースメタル
46 :ゲートメタル
50 :第1トレンチ
53 :第1絶縁膜
54 :第1フィールドプレート電極
58 :第1ゲート電極(第2電極)
60a :層間絶縁部
60b :層間絶縁部
70 :第2トレンチ
73 :第2絶縁膜
74 :第2フィールドプレート電極
76 :第6絶縁膜
78 :第2ゲート電極(第3電極)
80 :トレンチ
100 :半導体装置
110 :半導体装置
200 :半導体装置
210 :半導体装置