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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】多価ネコワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/125 20060101AFI20240129BHJP
   A61K 39/295 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 39/265 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 39/23 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 39/118 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240129BHJP
   C12N 15/40 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 15/86 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 7/01 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 15/48 20060101ALN20240129BHJP
   C07K 14/15 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 7/04 20060101ALN20240129BHJP
【FI】
A61K39/125
A61K39/295
A61K39/265
A61K39/23
A61K39/118
A61P31/12 171
A61P31/04 171
C12N15/40 ZNA
C12N15/86 Z
C12N7/01
C12N15/48
C07K14/15
C12N7/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020524411
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018080106
(87)【国際公開番号】W WO2019115090
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】62/599,401
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ジーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ラフルール,ロンダ
(72)【発明者】
【氏名】ターピー,イアン
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/109045(WO,A1)
【文献】特表2007-537761(JP,A)
【文献】特表2004-507249(JP,A)
【文献】特表2003-527584(JP,A)
【文献】特表2008-512130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C12N、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコカリシウイルス(FCV)カプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードするベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子と、
改変された生ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)、改変された生ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)、改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される改変された生ネコ病原体と
を含み、
前記FCVカプシドタンパク質が、FCV F9様カプシドタンパク質である、免疫原性組成物。
【請求項2】
強毒全身性FCV(VS-FCV)カプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする追加のVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子を更に含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
FeLV糖タンパク質(gp85)、gp85の抗原性断片、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される抗原をコードする1つまたは複数の追加のVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む、請求項1または2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子が、ネコ白血病ウイルス(FeLV)糖タンパク質(gp85)、該gp85の抗原性断片およびこれらの組み合わせから成る群から選択される抗原を更にコードする、請求項1、2または3に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記VS―FCVカプシドタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも95%の同一性を含むアミノ酸配列を含む、請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記FCV F9様カプシドタンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列との少なくとも95%の同一性を含むアミノ酸配列を含む、請求項1、2、3または4に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記FeLV糖タンパク質(gp85)が、配列番号6のアミノ酸配列との少なくとも95%の同一性を含むアミノ酸配列を含む、請求項3または4に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6に記載の免疫原性組成物と、薬学的に許容される担体とを含む、FCVによる疾患の予防を助けるためのワクチン。
【請求項9】
強毒全身性ネコカリシウイルスVS-FCVカプシドタンパク質およびFCV F9様カプシドタンパク質をコードするVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、
ネコ白血病ウイルス(FeLV)糖タンパク質(gp85)もしくは該gp85の抗原性断片をコードするVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、
改変された生ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)と、
改変された生ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)と、
改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)と
を含む、FCVによる疾患の予防を助けるためのワクチン。
【請求項10】
非アジュバントワクチンである、請求項8または9に記載のワクチン。
【請求項11】
病原性FCVに対してネコを免疫する方法であって、免疫学的有効量の請求項8、9または10に記載のワクチンを前記ネコに投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/599401号、2017年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/596508号、2017年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/582050号および2017年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/581955号の米国特許法第119条(e)の下での優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規なネコ用多価ワクチンに関する。多価ワクチンを単独でまたは他の防御剤と組み合わせて作製および使用する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
ネコ呼吸器疾患には、副鼻腔炎、結膜炎、流涙、唾液分泌および口腔潰瘍に代表される病気が含まれる。ネコの上気道疾患に関連する2つの最も一般的な病原体は、ネコカリシウイルス(FCV)とネコヘルペスウイルス1型ウイルス(FHV-1)としても知られているネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)である。これら2つのネコウイルスは、世界中の全てのネコ呼吸器疾患のおよそ80%の原因であると考えられている。細菌であるクラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)は、ネコ呼吸器疾患でも役割を果たし得る第3の病原体である。したがって、これらの3つの病原体に対するワクチンが現在市販されている。
【0004】
FVRは、イヌヘルペスウイルス1に関連するアルファヘルペスウイルスであり、おそらくネコ呼吸器病原体の中で最も重要である。FVRは、極めて伝染性で、子ネコならびにネコで重篤な疾患を引き起こし得る大きなエンベロープDNAウイルスである。したがって、ほとんどのネコは生涯を通じてFVRに曝露される。市販のNobivac(登録商標)Feline-1ワクチンは、改変された生ネコウイルス性鼻気管炎ウイルスを含有している。
【0005】
FCV感染の最も一般的な特徴および臨床徴候は、舌および口腔粘膜上の小胞(潰瘍)の発生であり、これは小さな個別の潰瘍として始まるが、舌の大部分に広がり、影響を及ぼし得る。感染したネコでは発熱もしばしば見られる。FCVの一定の株は、リンピング症候群(limping syndrome)として知られているネコの疾患も引き起こし、これは発熱、関節と筋肉の痛み(リンピング)、および時折の舌/口腔潰瘍を特徴とする。さらに、FCVのいくつかの株は、感染したネコの慢性口内炎と関連付けられている。FCVに感染したネコは持続感染する可能性があり、長期間にわたって感染性ウイルスを排出し得る。
【0006】
FCV分離株は抗原的に極めて可変性で、FCV F9などのFCVの古いワクチン株でワクチン接種されたネコの抗体は、現在の野外分離株全てを有効に中和するわけではない。さらに、全身性疾患および高い死亡率に関連する新たなFCV株が同定されている[米国特許第7449323号明細書参照]。これらの「強毒全身性(virulent systemic)」(VS-FCV)分離株は、局所的発生の原因であり、現在のワクチンも、これらの株によって引き起こされる疾患からネコを防御するようには思われない。
【0007】
FCVは、3つのオープンリーディングフレーム(ORF)からなる一本鎖のプラス鎖RNAゲノムを含む。ゲノムは3’末端がポリアデニル化され、5’末端がウイルスコードタンパク質によって結合されている。第1のオープンリーディングフレームは、単一ポリペプチドで発現されるウイルスプロテアーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。次いで、このポリペプチドはウイルスプロテアーゼによって翻訳後に切断される。第2のオープンリーディングフレームは、主カプシドタンパク質(すなわち、FCVカプシドタンパク質)をコードし、これはA-Fとして示される6つの領域を有する[Scott et al.,60 Am.J.Vet.Res.:652-658(1999)]。領域Aが切断されて、成熟カプシドタンパク質が産生される。ORF2の領域B、DおよびFはFCV分離株間で比較的保存されているが、領域CおよびEは可変性であり、ORF2の領域Eは主要なB細胞エピトープを含んでいる[Radford et al.,38(2)Vet Res.:319-335(2007)参照]。ORF3は、マイナーな構造タンパク質をコードする[Sosnovtsev and Green,277 Virology:193-203(2000)]。
【0008】
クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)は、世界中のイエネコに特有の細菌である。クラミドフィラ・フェリス(C.felis)は、感染したネコの結膜炎症、鼻炎および呼吸器系の問題を引き起こし得る。クラミドフィラ・フェリス(C.felis)は、わずか約1000個のタンパク質をコードする比較的小さなゲノムを有する。この細菌は、75000塩基対を含むプラスミドも含む。市販のNobivac(登録商標)Feline-1ワクチンは、改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)を含有している。
【0009】
上記のネコ呼吸器疾患に関連する3つの病原体に加えて、ネコは通常、他の3つのウイルス:ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコ汎白血球減少症(FPVまたはFPLV)、および狂犬病ウイルスに対してもワクチン接種される。ネコ白血病ウイルスは、イエネコに感染するレトロウイルスであり、世界中で重大な罹患率および死亡率をもたらしている。FeLVは主に唾液を介して伝染するが、体液との接触を通して広がることも報告されている[Pacitti et al.,Vet Rec 118:381-384(1986)doi:10.1136/vr.118.14.381;Levy et al.,J Feline Med Surg 10:300-316(2008)doi:10.1016/j.jfms.2008.03.002]。FeLV感染中に観察されるネコの臨床徴候には、細胞増殖性障害(リンパ系または骨髄性腫瘍)、細胞抑制性障害(免疫抑制、貧血、骨髄抑制に関連する感染性疾患)、炎症性障害、神経障害、流産、および腸炎が含まれる[Hoover et al.,J Am Vet Med Assoc 199:1287-1297(1991);Levy and Crawford,Textbook of Veterinary Internal Medicine,6th ed (Ettinger SJ, Feldman EC., eds.)WB Saunders, Philadelphia, PA.(2005)]。抗原血症の有病率は、健康なネコの1~5%から罹患したネコの15~30%までさまざまである[Hosie et al.Veterinary Records,128:293-297(1989);Braley, Feline Practice 22:25-29 (1994);Malik et al.,Australian Veterinary Journal 75:323-327(1997);Arjona et al.,Journal of Clinical Microbiology 38:3448-3449(2000)]。FeLVはしばしば、付随する持続性ウイルス血症を伴う持続的な感染を確立し、しばしば宿主ネコの死につながる。
【0010】
FeLVの一本鎖RNAゲノムは、3つの遺伝子のみ:(i)エンベロープ糖タンパク質をコードするENV遺伝子、(ii)ウイルスの主要な構造要素をコードするGAG遺伝子、および(iii)RNAポリメラーゼをコードするPOL遺伝子をコードする[Thomsen et al.,Journal of General Virology 73:1819-1824(1992)]。FeLVエンベロープ(ENV)遺伝子は、1つまたは複数の細胞酵素によってタンパク質分解処理されて主要なエンベロープ糖タンパク質gp70および関連する膜貫通タンパク質p15Eを産生するgp85前駆体タンパク質をコードする[DeNoronha, et al.,Virology 85:617-621(1978);Nunberg et al.,PNAS 81:3675-3679 (1983)]。膜貫通タンパク質p15Eは、免疫抑制特性を有するガンマレトロウイルス間で保存されている配列を含む[Mathes et al.,Nature 274:687-689(1978)]。近年、欧州医薬品庁の動物用医薬品委員会(CVMP)は、活性物質として大腸菌(Escherichia coli)で発現されるFeLVサブグループAのgp70表面糖タンパク質に由来する組換えp45 FeLVエンベロープ抗原を含むワクチンについて肯定的な意見を採用した。FeLVエンベロープ糖タンパク質はFeLV特異的細胞傷害性T細胞応答の標的であると同時に、中和抗体であり、したがってFeLVの主要な免疫原の1つである[Flynn et al.,J.Virol.76(5):2306-2315(2002)]。
【0011】
ネコ汎白血球減少症(FPVまたはFPLV)は、しばしば致命的なネコの極めて伝染性のウイルス疾患である。汎白血球減少症という名称は、罹患した動物が示す白血球数(白血球)が少ないことに由来している。FPLVは、リンパ組織、骨髄、腸上皮、および非常に幼い子ネコでは、網膜および小脳の活発に分裂している細胞に感染し、これらを破壊する。ウイルスは妊娠中のネコでも経胎盤的に広がり、胚吸収、胎子ミイラ化、死産または流産を引き起こし得る。感染したネコは、尿、便および鼻分泌物にウイルスを排出し、感受性ネコがこれらの分泌物または感染したネコのノミと接触すると、感受性ネコが感染する。FPLV感染による臨床徴候はまた、ネコジステンパーまたはネコパルボとして分類されている。
【0012】
ネコ汎白血球減少症ウイルスは、パルボウイルス科(Parvoviridae)のパルボウイルス属(Parvovirus)のメンバーである。したがって、FPLVはミンク腸炎ウイルスおよびイヌ2型パルボウイルス(CPV-2)と密接に関連している。FPLVは、配列決定された一本鎖DNAゲノムを有する[Liu et al.,Genome Announc.Mar-Apr;3(2)(2015):e01556-14参照]。市販のNobivac(登録商標)Feline-1ワクチンは、改変された生ネコ汎白血球減少症ウイルスを含有している。
【0013】
狂犬病は、ヒトおよび他の哺乳動物の脳の炎症をもたらす予防可能な人畜共通感染症である。臨床狂犬病は、典型的には狂暴性狂犬病または麻痺性狂犬病に分類される急性進行性脳炎である。狂暴性狂犬病は、不穏状態、被刺激性および攻撃性を特徴とする。麻痺性狂犬病は、過度の唾液分泌、深い努力性呼吸、麻痺、および最終的には昏睡を特徴とする。狂犬病の原因因子は狂犬病ウイルスであり、これはネコを含むほとんどの哺乳動物に感染することができ、野生動物および感受性飼育動物の貯蔵所を維持している。
【0014】
狂犬病ウイルスは、5つの構造タンパク質:核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、糖タンパク質(G)およびRNA依存性RNAポリメラーゼをコードするエンベロープRNAウイルスである[Dietzschold et al.,Crit Rev Immunol 10:427-439(1991)]。糖タンパク質(G)は、ウイルス中和抗体を誘導する防御抗原と考えられている[Cox et al.,Infect Immun 16:754-759 (1977)]。この疾患に対抗するために、数種類の狂犬病ワクチンが製造されている。不活化細胞培養物由来全ウイルス死滅狂犬病ウイルスワクチンが、米国で最も一般的に使用されているワクチンである。これらの全ウイルス死滅狂犬病ウイルスワクチンは高レベルの抗原を必要とするため、アジュバントが必要である。残念ながら、このアジュバントの使用は、注射部位の反応性、過敏症、さらにはネコの注射部位肉腫の知覚されたリスクと関連している。近年、改変された生ワクチンが、野生動物の免疫化のための経口ワクチンベイトでうまく使用されている[Mahl et al.,Vet Res 45(1):77(2014)]。さらに、糖タンパク質(G)を発現する組換えワクチンが、現在、ネコで使用するために米国で販売されている。核酸ワクチンも実験室研究で使用されているが、現在米国では認可されているものはない。
【0015】
いくつかのベクター戦略は、一定の病原体から防御する努力においてワクチンで長年にわたって使用されてきた。このようなベクター戦略の1つには、アルファウイルス由来のレプリコンRNA粒子(RP)の使用が含まれ[Vander Veen,et al.Anim Health Res Rev.13(1):1-9.(2012)doi:10.1017/S1466252312000011;Kamrud et al.,J Gen Virol.91(Pt 7):1723-1727(2010)]、これらはベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)[Pushko et al.,Virology 239:389-401(1997)]、シンドビス(SIN)[Bredenbeek et al.,Journal of Virology 67:6439-6446(1993)]およびセムリキ森林ウイルス(SFV)[Liljestrom and Garoff,Biotechnology(NY)9:1356-1361(1991)]を含むいくつかの異なるアルファウイルスから開発された。RPワクチンは、増殖不全アルファウイルスRNAレプリコンを宿主細胞に送達し、インビボで(1または複数の)所望の抗原性導入遺伝子の発現をもたらす[Pushko et al.,Virology 239(2):389-401(1997)]。RPは、いくつかの従来のワクチン製剤と比較した場合、魅力的な安全性および有効性プロファイルを有する[Vander Veen,et al.Anim Health Res Rev.13(1):1-9.(2012)]。RPプラットフォームは、病原性抗原をコードするために使用されており、ブタおよび家禽用のいくつかのUSDA認可ワクチンの基礎となっている。
【0016】
特に、アルファウイルスRNAレプリコン粒子、特にベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、全身の抗ウイルス状態を触媒し、致命的なウイルス攻撃から防御する[Konopka et al.,J.Virol.,83 (29):12432-12442(2009)]、特に口蹄疫ウイルスに対する迅速な防御を誘導する[Segundo et al.,J.Virol.,87(10):5447-5460(2013)]ことが報告されている。したがって、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は生ウイルスに対する自然免疫応答を増強するため、免疫応答に有害であると予想されるため、アルファウイルスRNAレプリコン粒子をワクチン中で改変生ウイルスと組み合わせるべきではないように思われる。
【0017】
本明細書中の任意の参考文献の引用は、このような参考文献が本出願に対する「先行技術」として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許第7449323号明細書
【非特許文献】
【0019】
【文献】Scott et al.,60 Am.J.Vet.Res.:652-658(1999)
【文献】Radford et al.,38(2)Vet Res.:319-335(2007)
【文献】Sosnovtsev and Green,277 Virology:193-203(2000)
【文献】Pacitti et al.,Vet Rec 118:381-384(1986)doi:10.1136/vr.118.14.381
【文献】Levy et al.,J Feline Med Surg 10:300-316(2008)doi:10.1016/j.jfms.2008.03.002
【文献】Hoover et al.,J Am Vet Med Assoc 199:1287-1297(1991)
【文献】Levy and Crawford,Textbook of Veterinary Internal Medicine,6th ed(Ettinger SJ,Feldman EC.,eds.)WB Saunders,Philadelphia,PA.(2005)
【文献】Hosie et al.Veterinary Records,128:293-297(1989)
【文献】Braley,Feline Practice 22:25-29(1994)
【文献】Malik et al.,Australian Veterinary Journal 75:323-327(1997)
【文献】Arjona et al.,Journal of Clinical Microbiology 38:3448-3449(2000)
【文献】Thomsen et al.,Journal of General Virology 73:1819-1824(1992)
【文献】DeNoronha,et al.,Virology 85:617-621(1978)
【文献】Nunberg et al.,PNAS 81:3675-3679(1983)
【文献】Mathes et al.,Nature 274:687-689(1978)
【文献】Flynn et al.,J.Virol.76(5):2306-2315(2002)
【文献】Liu et al.,Genome Announc.Mar-Apr;3(2)(2015):e01556-14
【文献】Dietzschold et al.,Crit Rev Immunol 10:427-439(1991)
【文献】Cox et al.,Infect Immun 16:754-759(1977)
【文献】Mahl et al.,Vet Res 45(1):77(2014)
【文献】Vander Veen,et al.Anim Health Res Rev.13(1):1-9.(2012)doi:10.1017/S1466252312000011
【文献】Kamrud et al.,J Gen Virol.91(Pt 7):1723-1727(2010)
【文献】Pushko et al.,Virology 239:389-401(1997)
【文献】Bredenbeek et al.,Journal of Virology 67:6439-6446(1993)
【文献】Liljestrom and Garoff,Biotechnology(NY)9:1356-1361(1991)
【文献】Pushko et al.,Virology 239(2):389-401(1997)
【文献】Vander Veen,et al.Anim Health Res Rev.13(1):1-9.(2012)
【文献】Konopka et al.,J.Virol.,83 (29):12432-12442(2009)
【文献】Segundo et al.,J.Virol.,87(10):5447-5460(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、1つまたは複数のネコ病原体からの1つまたは複数の抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を、1つまたは複数の改変された生ネコ病原体と共に含む免疫原性組成物を含む。本発明の免疫原性組成物の全てが、多価ワクチンにも使用され得る。このタイプの特定の実施形態では、ワクチン接種される対象がネコである。さらに特定の実施形態では、ワクチン接種される対象がイエネコである。本発明の免疫原性組成物およびワクチンを作製および使用する方法も提供される。
【0021】
特定の実施形態では、免疫原性組成物が、1つまたは複数のネコカリシウイルス(FCV)抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、改変された生ネコ病原体とを含む。他の実施形態では、免疫原性組成物が、1つまたは複数のネコ白血病ウイルス(FeLV)抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、改変された生ネコ病原体とを含む。さらに他の実施形態では、免疫原性組成物が、1つまたは複数の狂犬病ウイルス抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、改変された生ネコ病原体とを含む。一定の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)である。他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)である。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)である。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生F9様ネコカリシウイルス(FCV F9様)である。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)である。本発明はさらに、これらのアルファウイルスRNAレプリコン粒子と改変された生ネコ病原体の任意の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。このタイプの具体的な実施形態では、免疫原性組成物が、FCV抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子、FeLV抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子、改変された生FVR、改変された生FPLV、および改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)を含む。
【0022】
このタイプの一定の実施形態では、免疫原性組成物が、FCVカプシドタンパク質をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さらに特定の実施形態では、FCVカプシドタンパク質がFCV F9様カプシドタンパク質である。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様カプシドタンパク質の抗原性断片をコードする。さらに他の実施形態では、FCVカプシドタンパク質が、強毒全身性FCV(VS-FCV)カプシドタンパク質である。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質の抗原性断片をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片とVS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片の両方をコードする。
【0023】
他の実施形態では、免疫原性組成物が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含み、VS-FCVカプシドタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列との95%以上の同一性を含むアミノ酸配列を含む。より具体的な実施形態では、VS-FCVカプシドタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列を含む。さらにより具体的な実施形態では、VS-FCVカプシドタンパク質が、配列番号1または配列番号12のヌクレオチド配列によってコードされる。関連する実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする。このタイプの具体的な実施形態では、FCV F9様カプシドタンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列との95%以上の同一性を含むアミノ酸配列を含む。より具体的な実施形態では、FCV F9様カプシドタンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列を含む。このタイプのさらにより具体的な実施形態では、FCV F9様カプシドタンパク質が、配列番号3または配列番号13のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0024】
関連する実施形態では、免疫原性組成物が、1つまたは複数のネコ白血病ウイルス(FeLV)抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。一定の実施形態では、FeLV抗原がFeLV糖タンパク質(例えば、gp85)である。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FeLV gp85の抗原性断片をコードする。このタイプのさらにより具体的な実施形態では、FeLV糖タンパク質の抗原性断片がFeLV gp70である。関連する実施形態では、FeLV糖タンパク質の抗原性断片がFeLV gp45である。このタイプのより具体的な実施形態では、FeLV gp85が、配列番号6のアミノ酸配列との95%以上の同一性を含むアミノ酸配列を含む。このタイプのより具体的な実施形態では、FeLV gp85が、配列番号6のアミノ酸配列を含む。このタイプのさらにより具体的な実施形態では、FeLV gp85が、配列番号5または配列番号14のヌクレオチド配列によってコードされる。関連する実施形態では、FeLV gp70が、配列番号8のアミノ酸配列との95%以上の同一性を含むアミノ酸配列を含む。このタイプのより具体的な実施形態では、FeLV gp70が、配列番号8のアミノ酸配列を含む。このタイプのさらにより具体的な実施形態では、FeLV gp70が、配列番号7または配列番号15のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0025】
さらに他の実施形態では、免疫原性組成物が、狂犬病ウイルス糖タンパク質(G)をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、狂犬病ウイルスGの抗原性断片をコードする。このタイプのより具体的な実施形態では、狂犬病ウイルスGが、配列番号10のアミノ酸配列との95%以上の同一性を含むアミノ酸配列を含む。このタイプのなおさらに具体的な実施形態では、狂犬病ウイルスGが、配列番号10のアミノ酸配列を含む。このタイプのさらにより具体的な実施形態では、狂犬病ウイルスGが、配列番号9または配列番号16のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0026】
特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、ベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。このタイプのより具体的な実施形態では、VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子が、TC-83 VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子である。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、シンドビス(SIN)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、セムリキ森林ウイルス(SFV)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。代替実施形態では、裸のDNAベクターが、1つまたは複数のネコ病原体に由来する1つまたは複数の抗原をコードする。このタイプの特定の実施形態では、裸のDNAベクターが、FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする。このタイプの具体的な実施形態では、裸のDNAベクターが、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする。このタイプの他の実施形態では、裸のDNAベクターがFeLV gp85またはその抗原性断片をコードする。
【0027】
一定の実施形態では、免疫原性組成物が、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、1つまたは複数のFCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片、1つまたは複数のFeLV糖タンパク質またはその抗原性断片、ならびに/あるいは1つまたは複数の狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを含むことができる。このタイプの特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片とFCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片の両方をコードする。関連する実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片とFeLV gp85またはその抗原性断片の両方をコードする。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片とFeLV gp85またはその抗原性断片の両方をコードする。別の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片と狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片の両方をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片と狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片の両方をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片、FeLV gp85またはその抗原性断片、および狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片をコードする。別の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片、およびFeLV gp85またはその抗原性断片をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片、FeLV gp85またはその抗原性断片、狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片、およびFCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FeLV gp85またはその抗原性断片、および狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片をコードする。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FeLV gp85またはその抗原性断片、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片、および狂犬病ウイルスGタンパク質またはその抗原性断片をコードする。
【0028】
したがって、本発明は、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、複数のネコ病原体抗原をコードする本発明のいずれか1つまたは複数のアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または単一ネコ病原体抗原をコードする本発明のいずれか1つまたは複数のアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを含む免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生FVRである。他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生FPLVである。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)である。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生FCV F9様である。さらに他の実施形態では、改変された生ネコ病原体が、改変された生ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)である。特定の実施形態では、2つ以上の改変された生ネコ病原体が免疫原性組成物に含まれる。このタイプの具体的な実施形態では、免疫原性組成物が、改変された生FVRおよび改変された生クラミドフィラ(Chlamydophila)を含む。他の実施形態では、3つ以上の改変された生ネコ病原体が免疫原性組成物に含まれる。このタイプの具体的な実施形態では、免疫原性組成物が、改変された生FVR、改変された生クラミドフィラ(Chlamydophila)を含み、改変された生ネコ病原体がFPLVである。さらに他の実施形態では、4つ以上の改変された生ネコ病原体が免疫原性組成物に含まれる。このタイプの具体的な実施形態では、免疫原性組成物が、改変された生FVR、改変された生クラミドフィラ(Chlamydophila)、改変された生FPLV、および改変された生F9様FCVを含む。特定の実施形態では、免疫原性組成物中のアルファウイルスRNAレプリコン粒子の全てが、ベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。さらにより具体的な実施形態では、免疫原性組成物中のVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子の全てが、TC-83 VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子である。
【0029】
さらなる実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、他のネコ病原体に由来するタンパク質抗原(またはその抗原性断片)をコードし得る。このタイプの特定の実施形態では、タンパク質抗原が、ネコニューモウイルス(FPN)に由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ネコパルボウイルス(FPV)に由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ネコ免疫不全ウイルスに由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ボルナ病ウイルス(BDV)に由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ネコインフルエンザウイルスに由来する。さらに他の実施形態では、タンパク質抗原が、ネココロナウイルス(FCoV)に由来する。
【0030】
本発明はさらに、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を、本発明の1つまたは複数の改変された生(例えば、弱毒化)ネコ病原体と共に、死滅ネコ病原体と共に含む免疫原性組成物および/またはワクチン(多価ワクチン)を提供する。特定の実施形態では、免疫原性組成物が、死滅クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)、および/または死滅FVR、および/または死滅F9様FCV、および/または死滅VS-FCV、および/または死滅FeLV、および/または死滅FPLVをさらに含み得る。一定の実施形態では、ワクチンが、免疫学的有効量の1つまたは複数のこれらの免疫原性組成物を含む。
【0031】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を含むワクチンおよび多価ワクチンをさらに含む。特定の実施形態では、多価ワクチンが非アジュバントワクチンである。一定の実施形態では、ワクチンが、FCV、および/またはFeLV、および/またはFVR、および/またはFPLV、および/または狂犬病ウイルス、および/またはクラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)による疾患の予防を助ける。関連する実施形態では、ネコがワクチンで免疫されると、ネコ対象で抗体が誘導される。本発明はさらに、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子および裸のDNAベクターの全てを含む。
【0032】
本発明はまた、ネコ病原体、例えばFCVに対してネコを免疫する方法であって、免疫学的有効量の本発明のワクチンまたは多価ワクチンをネコに投与するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、ワクチンが筋肉内注射を介して投与される。代替実施形態では、ワクチンが皮下注射を介して投与される。他の実施形態では、ワクチンが静脈内注射を介して投与される。さらに他の実施形態では、ワクチンが皮内注射を介して投与される。さらに他の実施形態では、ワクチンが経皮注射を介して投与される。さらに他の実施形態では、ワクチンが経口投与を介して投与される。さらに他の実施形態では、ワクチンが鼻腔内投与を介して投与される。具体的な実施形態では、ネコがイエネコである。
【0033】
本発明のワクチンおよび多価ワクチンは、プライマーワクチンおよび/またはブースターワクチンとして投与され得る。具体的な実施形態では、本発明のワクチンが、その後の投与を必要とせずに、単発ワクチン(1回用量)として投与される。一定の実施形態では、プライマーワクチンとブースターワクチンの両方の投与の場合、プライマーワクチンおよびブースターワクチンが、同一経路によって投与され得る。このタイプの一定の実施形態では、プライマーワクチンおよびブースターワクチンが共に皮下注射によって投与される。代替実施形態では、プライマーワクチンとブースターワクチンの両方の投与の場合、プライマーワクチンの投与がある経路によって実施され、ブースターワクチンが別の経路によって実施され得る。このタイプの一定の実施形態では、プライマーワクチンが皮下注射によって投与され、ブースターワクチンが経口投与され得る。
【0034】
本発明はさらに、FCVに対してネコを免疫する方法であって、免疫学的有効量の上記の本発明のワクチンをネコに注射するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、ワクチンが、例えば、約1×10~約1×1010個のRPまたはそれ以上を含み得る。さらに特定の実施形態では、ワクチンが、約1×10~約1×10個のRPを含み得る。さらにより特定の実施形態では、ワクチンが、約1×10~約1×10個のRPを含み得る。特定の実施形態では、ネコがイエネコである。
【0035】
特定の実施形態では、本発明のワクチンが、0.05mL~3mL用量で投与される。さらに特定の実施形態では、投与される用量が0.1mL~2mLである。なおさらに特定の実施形態では、投与される用量が0.2mL~1.5mLである。さらにより特定の実施形態では、投与される用量が0.3~1.0mLである。なおさらに特定の実施形態では、投与される用量が0.4mL~0.8mLである。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、安全で有効な多価ワクチンを提供する。特定の実施形態では、ワクチンが非アジュバントである。本発明のこの態様では、ワクチンがネコ注射部位肉腫を誘発しないが、それでもネコカリシウイルス(FCV)および/またはネコ白血病ウイルス(FeLV)による感染、ならびにネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)、および/またはネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)、および/または生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)による感染によって引き起こされる疾患からのワクチン接種ネコ(vaccinates)の防御を助ける。
【0038】
アルファウイルスRNAレプリコン粒子による自然免疫系の既知の増強にもかかわらず、アルファウイルスRNAレプリコン粒子と改変された生ウイルスの両方を含む本発明の多価ワクチンは、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が改変された生ウイルスの免疫学的効果を有意に妨害することなく、予想外に安全で有効である。
【0039】
実際、アルファウイルスRNAレプリコン粒子、特にベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、全身の抗ウイルス状態を触媒し、致命的なウイルス攻撃から防御することが以前示された[Konopka et al.,J.Virol.,83(29):12432-12442(2009)]。さらに、VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、口蹄疫ウイルスに対する迅速な防御を誘導することが報告されている[Segundo et al.,J.Virol.,87(10):5447-5460(2013)]。したがって、アルファウイルスRNAレプリコン粒子と改変された生ウイルスの両方を含むワクチンは、改変された生ウイルスの免疫学的効果の実質的な阻害をもたらすと予測されただろう。しかしながら、驚くべきことに、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の存在による自然免疫応答の増強は、付随する改変された生ウイルスによって誘導される免疫応答に有害ではないことが判明した。
【0040】
したがって、特定の態様では、本発明は、FCVカプシドタンパク質もしくはその抗原性断片および/またはFeLV gp85もしくはその抗原性断片をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を、改変された生ネコFVR、および/または改変された生FPLV、および/または改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)と共に含むワクチンを提供する。本発明のさらに別の態様では、ワクチンが、FCVカプシドタンパク質もしくはその抗原性断片および/またはFeLV gp85もしくはその抗原性断片をコードする裸のDNAベクターを、改変された生ネコFVR、および/または改変された生ネコFPLV、および/または改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)と共に含む。
【0041】
本発明のワクチンは、アジュバントの非存在下でネコに投与することができ、依然としてFCVに対するワクチン接種されたネコの防御を有効に助けることができる。
【0042】
本発明をより完全に理解するために、以下の定義が提供される。
【0043】
説明における便宜上の単数の用語の使用は、決してそのように限定することを意図するものではない。よって、例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」を含む組成物への言及は、1つまたは複数のこのようなポリペプチドへの言及を含む。さらに、「アルファウイルスRNAレプリコン粒子」への言及は、特に指示されない限り、複数のこのようなアルファウイルスRNAレプリコン粒子への言及を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「およそ」という用語は、「約」という用語と互換的に使用され、値が、指示される値の50パーセント以内であることを示す、すなわち、1ミリリットル当たり「およそ」1×10個のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含有する組成物は、1ミリリットル当たり0.5×10~1.5×10個のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含有する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ネコ」という用語は、ネコ科(Felidae)の任意のメンバーを指す。イエネコ、純血種および/または雑種の伴侶ネコ、ならびに野生または野生化したネコが全てネコである。
【0046】
本明細書で使用される場合、「レプリコン」という用語は、存在する場合に、細胞培養物または動物宿主で親ウイルスの増殖を成功させることができる1つまたは複数の要素(例えば、構造タンパク質のコード配列)を欠く改変されたRNAウイルスゲノムを指す。適切な細胞状況では、レプリコンは自身を増幅し、1つまたは複数のサブゲノムRNA種を産生し得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「RP」と略される「アルファウイルスRNAレプリコン粒子」という用語は、構造タンパク質、例えば、Pushkoら[Virology 239(2):389-401(1997)]によって記載されるように、同様にアルファウイルスに由来するカプシドおよび糖タンパク質にパッケージングされたアルファウイルス由来RNAレプリコンである。レプリコンはアルファウイルスの構造成分(例えば、カプシドおよび糖タンパク質)をコードしないため、RPは(ヘルパープラスミドまたは類似の成分なしで)細胞培養物または動物宿主で増殖できない。
【0048】
「FCV F9様」および「F9様FCV」という用語は、相互におよび「古典的FCV」という用語と互換的に使用され、本明細書で使用される場合、FCV F9株が典型的代表と考えられるFCVの古い、以前のユニバーサルワクチン株として特徴付けられ得るFCVである。直接対照的に、強毒全身性「VS-FCV」または本明細書で互換的に使用される「(VS)FCV」と呼ばれるFCVは、異常に毒性であり、FCV F9様株の抗体によって中和できない新たなクラスのFCVである[米国特許第7449323号明細書;Radford et al.,38(2)Vet res.319-335 (2007)参照]。
【0049】
「由来する(originate from)」、「由来する(originates from)」および「由来する(originating from)」という用語は、所与のタンパク質抗原およびそれを天然でコードする病原体またはその病原体の株に関して互換的に使用され、本明細書で使用される場合、その所与のタンパク質抗原の非改変および/または切断アミノ酸配列が、その病原体またはその病原体の株によってコードされていることを意味する。病原体に由来するタンパク質抗原についての本発明の核酸構築物内のコード配列は、病原体または病原体の株(自然弱毒化株を含む)におけるそのタンパク質抗原の対応する配列に対して発現されたタンパク質抗原のアミノ酸配列の改変および/または切断をもたらすように遺伝子操作されたかもしれない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「防御する」、または「防御を提供する」、または「防御免疫を誘発する」、「疾患の予防を助ける」、および「防御を助ける」という用語は、感染の兆候からの完全な防御を要しない。例えば、「防御を助ける」は、防御が、攻撃後、基礎となる感染の症状が少なくとも減少する、ならびに/あるいは根底にある細胞、生理学的もしくは生化学的原因または症状を引き起こす機序の1つまたは複数が減少するおよび/または排除されるように十分であることを意味することができる。この文脈で使用される「減少する」は、感染の生理学的状態だけでなく、感染の分子状態を含む、感染の状態に関連することを意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」は、動物に投与すると、野生型微生物による感染から生じる疾患からの防御を最小限助けるのに十分強力な、すなわち、疾患の予防を助ける、および/または疾患を予防、改善もしくは治癒するのに十分強力な免疫応答を誘導する、典型的には水を含有する液体などの薬学的に許容される担体と組み合わせた1つまたは複数の抗原を含む、動物、例えばネコ(一定の実施形態では、ヒトを含むが、他の実施形態では、具体的にヒトではない)に施用するのに適した組成物である。
【0052】
本明細書中で使用される場合、多価ワクチンは、2つ以上の異なる抗原を含むワクチンである。このタイプの特定の実施形態では、多価ワクチンが、2つ以上の異なる病原体に対するレシピエントの免疫系を刺激する。
【0053】
「アジュバント」および「免疫刺激剤」という用語は、本明細書で互換的に使用され、免疫系の刺激を引き起こす1つまたは複数の物質として定義される。これに関連して、アジュバントは、1つまたは複数のワクチン抗原/分離株に対する免疫応答を増強するために使用される。したがって、「アジュバント」は、特定の抗原に対する免疫応答を非特異的に増加させ、したがって、任意の所与のワクチンに必要な抗原の量、および/またはの目的の抗原に対する十分な免疫応答を生成するために必要な注射の頻度を減少させる薬剤である。これに関連して、アジュバントは、1つまたは複数のワクチン抗原/分離株に対する免疫応答を増強するために使用される。例えば、アメリカ猫獣医師協会のネコワクチン接種ガイドラインは、非アジュバントFeLVワクチンの使用を提案している[AAFP Feline Advisory Panel, 15:785-808 (2013)]。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「非アジュバントワクチン」は、アジュバントを含有しないワクチンまたは多価ワクチンである。
【0055】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、修飾された名詞が医薬品での使用に適切であることを意味するために形容詞的に使用される。これが、例えば、医薬品ワクチンの賦形剤を説明するために使用される場合、これは、その賦形剤が組成物の他の成分と適合性であり、意図したレシピエント動物、例えばネコに不利に有害ではないとして特徴付ける。
【0056】
「非経口投与」は、皮下注射、粘膜下注射、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射および注入を含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、特定のタンパク質(例えば、タンパク質抗原)に関する「抗原性断片」という用語は、抗原性である、すなわち、免疫グロブリン(抗体)またはT細胞抗原受容体などの免疫系の抗原認識分子と特異的に相互作用することができるそのタンパク質の断片である。例えば、FCVカプシドタンパク質の抗原性断片は、抗原性であるカプシドタンパク質の断片である。好ましくは、本発明の抗原性断片は、抗体および/またはT細胞受容体認識に対して免疫優性である。特定の実施形態では、所与のタンパク質抗原に関する抗原性断片が、完全長タンパク質の抗原性の少なくとも25%を保持するそのタンパク質の断片である。好ましい実施形態では、抗原性断片が、完全長タンパク質の抗原性の少なくとも50%を保持する。より好ましい実施形態では、抗原性断片が、完全長タンパク質の抗原性の少なくとも75%を保持する。抗原性断片は、20個のアミノ酸程度の小さなものである場合もあれば、その一方で、完全長タンパク質から1個のアミノ酸だけが失われている大きな断片である場合もある。特定の実施形態では、抗原性断片が、25~150個のアミノ酸残基を含む。他の実施形態では、抗原性断片が、50~250個のアミノ酸残基を含む。例えば、FeLVの場合、FeLV gp45糖タンパク質およびFeLV gp70糖タンパク質はFeLV gp85糖タンパク質の抗原性断片であるが、FCVの場合、FCVカプシドタンパク質の1つの抗原性断片がORF2の領域Eを含む。
【0058】
本明細書で使用する場合、両方の配列のアミノ酸残基が同一である場合、1つのアミノ酸配列は第2のアミノ酸配列と100%「同一」であるまたは100%の「同一性」を有する。したがって、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基の50%が同一である場合、あるアミノ酸配列は第2のアミノ酸配列と50%「同一」である。配列比較は、所与のタンパク質、例えば比較されるタンパク質、またはポリペプチドの一部に含まれるアミノ酸残基の連続ブロックにわたって行われる。特定の実施形態では、2つのアミノ酸配列間の対応を変える可能性がある選択された欠失または挿入が考慮される。
【0059】
本明細書で使用する場合、ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列同一性%は、アラインメント・デフォルト・パラメータおよび同一性についてのデフォルトパラメータと共にC, MacVector(MacVector, Inc.Cary、NC 27519)、Vector NTI(Informax, Inc.MD)、Oxford Molecular Group PLC(1996)およびClustal Wアルゴリズムを用いて決定することができる。これらの市販のプログラムを使用して、同一または類似のデフォルトパラメータを用いて配列類似性を決定することもできる。あるいは、例えば、デフォルトパラメータを使用するGCG(Genetics Computer Group、GCGパッケージ用プログラムマニュアル、バージョン7、マディソン、ウィスコンシン州)パイルアッププログラムを使用して、デフォルトフィルター条件下でのAdvanced Blast検索を使用することができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「不活性化」微生物という用語は、「死滅」微生物という用語と互換的に使用される。本発明の目的のために、「不活性化」微生物は、動物で免疫応答を誘発することができるが、動物に感染することができない生物である。本発明の抗原(例えば、不活化ネコカリシウイルス)は、バイナリーエチレンイミン(binary ethyleneimine)、ホルマリン、β-プロピオラクトン、チメロサール、または熱からなる群から選択される因子によって不活化され得る。特定の実施形態では、本発明のRPと組み合わされた不活性化ネコカリシウイルス分離株が、バイナリーエチレンイミンによって不活性化される。
【0061】
本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、凍結乾燥され、滅菌水希釈剤で再水和され得る。他方、アルファウイルスRNAレプリコン粒子が個別に保存されているが、投与前に他のワクチン成分と混合することを意図している場合、アルファウイルスRNAレプリコン粒子をそれらの成分の安定化溶液、例えば高スクロース溶液中に保存することができる。
【0062】
本発明のワクチンは、静脈内、筋肉内、皮下、経口、鼻腔内、皮内および/または腹腔内ワクチン接種を含む任意の標準的な経路によって容易に投与することができる。当業者であれば、ワクチン組成物が、好ましくは各タイプのレシピエント動物および投与経路に対して適切に製剤化されることを理解するだろう。
【0063】
よって、本発明はまた、ネコ病原体に対してネコを免疫する方法を提供する。このような方法の1つは、ネコが適切な抗病原体抗体を産生するように、免疫学的有効量の本発明のワクチンをネコに注射するステップを含む。
【0064】
多価ワクチン
したがって、本発明は、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、1つまたは複数のアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを含む多価ワクチンを提供する。例えば、タンパク質抗原またはその抗原性断片のコード配列、またはネコワクチンで有用なタンパク質抗原のこのようなコード配列の組み合わせを、アルファウイルスRNAレプリコン粒子(RP)に添加する、あるいは例えば、多価ワクチン中のFCVカプシドタンパク質および/またはFeLV糖タンパク質(gp85)をコードするものと同じRPに組み合わせることができる。
【0065】
具体的な実施形態では、ワクチンが、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、FCV F9様カプシドタンパク質もしくはその抗原性断片、および/またはVS-FCVカプシドタンパク質もしくはその抗原性断片をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを、FeLV gp85またはその抗原性断片をコードする別のアルファウイルスRNAレプリコン粒子と共に含む。他の実施形態では、ワクチンが、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする1つのアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、FeLV gp85またはその抗原性断片をコードする別のアルファウイルスRNAレプリコン粒子と、さらにFCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする第3のアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを含む。さらに他の実施形態では、ワクチンが、少なくとも1つの改変された生ネコ病原体と、FCV F9様カプシドタンパク質またはその抗原性断片、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片、およびFeLV gp85またはその抗原性断片をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子とを含む。
【0066】
1つまたは複数のこのようなタンパク質抗原が由来し得る病原体の例としては、ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPL)、ネコヘルペスウイルス(FHV)、他のFCV株、ネコパルボウイルス(FPV)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ネコ免疫不全ウイルス、ボルナ病ウイルス(BDV)、狂犬病ウイルス、ネコインフルエンザウイルス、イヌインフルエンザウイルス、鳥インフルエンザ、イヌニューモウイルス、ネコニューモウイルス、クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)(FKA クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci))、 ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、およびバルトネラ属(Bartonella)種(例えば、バルトネラ・ヘンセラ(B.henselae))が挙げられる。特定の実施形態では、これらのネコまたはイヌ病原体の1つまたは複数からのカプシドタンパク質または類似タンパク質のコード配列を、FCV抗原と同じRPに挿入することができる。あるいは、またはそれと組み合わせて、これらのネコまたはイヌ病原体の1つまたは複数からのカプシドタンパク質または類似タンパク質のコード配列を、1つまたは複数の他のRPに挿入することができ、これをワクチンで、FCV F9様カプシドタンパク質もしくはその抗原性断片および/またはVS-FCVカプシドタンパク質もしくはその抗原性断片をコードするRPと組み合わせることができる。
【0067】
したがって、本発明は、1つまたは複数の本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子(RP)[例えば、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片]を1つまたは複数の改変された生(弱毒化)ウイルス分離株、例えば、FCVの生弱毒化古ワクチン株、例えば生弱毒化FCV F9、および/または生弱毒化ネコヘルペスウイルス、および/または生弱毒化ネコパルボウイルス、および/または生弱毒化ネコ白血病ウイルス、および/または生弱毒化ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、および/または生弱毒化ネコ免疫不全ウイルス、および/または生弱毒化ボルナ病ウイルス、および/または生弱毒化狂犬病ウイルス、および/または生弱毒化ネコインフルエンザウイルス、および/または生弱毒化イヌインフルエンザウイルス、および/または生弱毒化鳥インフルエンザ、および/または生弱毒化イヌニューモウイルス、および/または生弱毒化ネコニューモウイルスと共に含むワクチンを提供する。さらに、生弱毒化クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)、および/または生弱毒化ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、および/または生弱毒化バルトネラ属(Bartonella)種(例えば、バルトネラ・ヘンセラ(B.henselae))もこのような多価ワクチンに含めることができる。
【0068】
さらに、1つまたは複数の本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子[例えば、VS-FCVカプシドタンパク質またはその抗原性断片をコードする]を含む本発明のワクチンは、1つまたは複数の改変された生ウイルス分離株と共に、1つまたは複数の死滅ウイルス分離株、例えば死滅FCV株、および/または死滅ネコヘルペスウイルス、および/または死滅ネコパルボウイルス、および/または死滅ネコ白血病ウイルス、および/または死滅ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、および/または死滅ネコ免疫不全ウイルス、および/または死滅ボルナ病ウイルス、および/または死滅狂犬病ウイルス、および/または死滅ネコインフルエンザウイルス、および/または死滅イヌインフルエンザウイルス、および/または死滅鳥インフルエンザウイルス、および/または死滅イヌニューモウイルス、および/または死滅ネコニューモウイルスをさらに含むことができる。さらに、クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)、および/またはボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、および/または生弱毒化バルトネラ属(Bartonella)種(例えば、バルトネラ・ヘンセラ(B.henselae))のバクテリンもこのような多価ワクチンに含めることができる。
【0069】
また、本明細書に開示される特定の構成、プロセスステップ、および材料は、いくぶん変化し得るので、本発明はこのような構成、プロセスステップ、および材料に限定されないことも理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【表1】
【0070】

配列
【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

以下の実施例は、本発明のさらなる理解を提供するのに役立つが、本発明の有効な範囲を制限することを決して意味するものではない。
【0088】
[実施例]
[実施例1]
FCVカプシドタンパク質のコード配列のアルファウイルスRNAレプリコン粒子への組み込み
導入
RNAウイルスは、遺伝子操作されたワクチン抗原をゲノムに導入するためのベクター媒体として使用されている。しかしながら、現在までのそれらの使用は、主にウイルス抗原をRNAウイルスに組み込み、次いで、ウイルスをレシピエント宿主に導入することに限定されてきた。その結果、組み込まれたウイルス抗原に対する防御抗体が誘導される。アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、病原性抗原をコードするために使用されている。このようなアルファウイルスレプリコンプラットフォームは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)[Pushko et al.,Virology 239:389-401(1997)]、シンドビス(SIN)[その内容全体がこれにより本明細書に組み込まれる、Bredenbeek et al.,Journal of Virology 67:6439-6446(1993)]およびセムリキ森林ウイルス(SFV)[その内容全体がこれにより本明細書に組み込まれる、Liljestrom and Garoff,Biotechnology (NY)9:1356-1361(1991)]を含むいくつかの異なるアルファウイルスから開発された。さらに、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、ブタおよび家禽用のいくつかのUSDA認可ワクチンの基礎となっている。これらには、ブタ流行性下痢ワクチン、RNA粒子(製品コード19U5.P1)、ブタインフルエンザワクチン、RNA(製品コード19A5.D0)、鳥インフルエンザワクチン、RNA(製品コード19O5.D0)、および処方製品、RNA粒子(製品コード9PP0.00)が含まれる。
【0089】
アルファウイルスRNAレプリコン粒子構築
RP-FCV:
FCVカプシドタンパク質のアミノ酸配列を使用して、インシリコでコドン最適化(ネココドン使用)ヌクレオチド配列を作製した。最適化配列は、商用ベンダー(ATUM、Newark、CA)によって合成DNAとして調製された。したがって、合成遺伝子を、それぞれVS-FCVカプシドタンパク質およびFCV F9様カプシドタンパク質のアミノ酸配列に基づいて設計した。VS-FCVカプシドタンパク質のアミノ酸配列[配列番号2]、またはFCV F9様カプシドタンパク質の[配列番号4]をコードする構築物を、ネコについてコドン最適化し、隣接配列はアルファウイルスレプリコンプラスミドへのクローニングに適していた。
【0090】
FCVカプシドタンパク質を発現するよう設計されたVEEレプリコンベクターは、以下の修正をして、以前記載されたように[その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書参照]構築した。TC-83由来レプリコンベクター「pVEK」[米国特許第9441247号明細書に開示および記載されている]を、制限酵素AscIおよびPacIで消化した。FCVカプシド遺伝子のコドン最適化オープンリーディングフレームヌクレオチド配列を含み、5’隣接配列(5’-GGCGCGCCGCACC-3’)[配列番号11]および3’隣接配列(5’-TTAATTAA-3’)を有するDNAプラスミドを、制限酵素AscIおよびPacIで同様に消化した。次いで、合成遺伝子カセットを消化したpVEKベクターにライゲートした。
【0091】
TC-83 RNAレプリコン粒子(RP)の作製は、以前記載された方法[その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書および米国特許第8460913号明細書]に従って行った。手短に言えば、pVHVレプリコンベクターDNAおよびヘルパーDNAプラスミドを、MegaScript T7 RNAポリメラーゼおよびキャップアナログ(Promega、マディソン、WI)を使用してインビトロ転写前に、NotI制限酵素で直線化した。重要なことに、作製で使用されるヘルパーRNAは、以前記載されたように[Kamrud et al.,J Gen Virol.91(Pt 7):1723-1727(2010)]、VEEサブゲノムプロモーター配列を欠く。レプリコンおよびヘルパー成分の精製RNAを組み合わせ、Vero細胞の懸濁液と混合し、4 mmキュベットで電気穿孔し、OptiPro(登録商標)SFM細胞培養培地(Thermo Fisher、Waltham MA)に戻した。一晩のインキュベーション後、アルファウイルスRNAレプリコン粒子を、懸濁液をZetaPlus BioCapデプスフィルター(3M、Maplewood、MN)に通過させ、5%スクロース(w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、最後に400mM NaCl緩衝液で保持RPを溶出することによって、細胞および培地から精製した。溶出したRPを最終的な5%スクロース(w/v)に製剤化し、0.22ミクロン膜フィルターに通過させ、保存用に一定分量に分注した。機能的RPの力価を、感染したVero細胞単層の免疫蛍光アッセイによって決定した。
【0092】
RP-FeLV:
FeLV gp85のアミノ酸配列を使用して、インシリコでコドン最適化(ネココドン使用)ヌクレオチド配列を作製した。最適化配列は、商用ベンダー(ATUM、Newark、CA)によって合成DNAとして調製された。したがって、gp85のアミノ酸配列に基づいて合成遺伝子を設計した。構築物(gp85_wt)は野生型アミノ酸配列[配列番号2]であり、ネコについてコドン最適化し、隣接配列はアルファウイルスレプリコンプラスミドへのクローニングに適切であった。
【0093】
FeLV gp85を発現するよう設計されたVEEレプリコンベクターは、以下の修正をして、以前記載されたように[その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書参照]構築した。TC-83由来レプリコンベクター「pVEK」[米国特許第9441247号明細書に開示および記載されている]を、制限酵素AscIおよびPacIで消化した。FeLV gp85遺伝子のコドン最適化オープンリーディングフレームヌクレオチド配列を含み、5’隣接配列(5’-GGCGCGCCGCACC-3’)[配列番号11]および3’隣接配列(5’-TTAATTAA-3’)を有するDNAプラスミドを、制限酵素AscIおよびPacIで同様に消化した。次いで、合成遺伝子カセットを消化したpVEKベクターにライゲートし、得られたクローンの名前を「pVHV-FeLV gp85」に変更した。「pVHV」ベクター命名法は、pVEKのマルチクローニングサイトのAscIおよびPacI部位を介してクローニングされた導入遺伝子カセットを含むpVEK由来レプリコンベクターを指すように選択した。
【0094】
TC-83 RNAレプリコン粒子(RP)の作製は、以前記載された方法[その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書および米国特許第8460913号明細書]に従って行った。手短に言えば、pVHVレプリコンベクターDNAおよびヘルパーDNAプラスミドを、MegaScript T7 RNAポリメラーゼおよびキャップアナログ(Promega、マディソン、WI)を使用してインビトロ転写前に、NotI制限酵素で直線化した。重要なことに、作製で使用されるヘルパーRNAは、以前記載されたように[Kamrud et al.,J Gen Virol.91(Pt 7):1723-1727(2010)]、VEEサブゲノムプロモーター配列を欠く。レプリコンおよびヘルパー成分の精製RNAを組み合わせ、Vero細胞の懸濁液と混合し、4 mmキュベットで電気穿孔し、OptiPro(登録商標)SFM細胞培養培地(Thermo Fisher、Waltham MA)に戻した。一晩のインキュベーション後、アルファウイルスRNAレプリコン粒子を、懸濁液をZetaPlus BioCapデプスフィルター(3M、Maplewood、MN)に通過させ、5%スクロース(w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、最後に400mM NaCl緩衝液で保持RPを溶出することによって、細胞および培地から精製した。溶出したRPを最終的な5%スクロース(w/v)に製剤化し、0.22ミクロン膜フィルターに通過させ、保存用に一定分量に分注した。機能的RPの力価を、感染したVero細胞単層の免疫蛍光アッセイによって決定した。
【0095】
RP-RV
ベネズエラウマ脳炎ウイルスの非毒性TC-83株のカプシドタンパク質および糖タンパク質とパッケージングされた狂犬病ウイルス(RV)からの狂犬病ウイルス糖タンパク質(G)をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含むワクチンを調製した。狂犬病ウイルスGタンパク質のヌクレオチド配列を、ヒトについてコドン最適化した。得られた配列は、100%のアミノ酸同一性を有しているにもかかわらず、生狂犬病ウイルス糖タンパク質(G)配列に対してわずか約85%のヌクレオチド同一性しか有さない。ワクチンを、哺乳動物対象に投与される単一用量として、例えば、12週以上のネコおよびイヌに皮下的に、あるいは初回投与とそれに続く1回または複数回のブースター投与を含む複数回用量で使用することができる。
【0096】
狂犬病糖タンパク質(G)のアミノ酸配列を使用して、インシリコでコドン最適化(ヒトコドン使用)ヌクレオチド配列を作製した。最適化配列は、商用ベンダー(ATUM、Newark、CA)によって合成DNAとして調製された。したがって、狂犬病糖タンパク質のアミノ酸配列に基づいて合成遺伝子[配列番号9]を設計した。構築物(RABV-G)は野生型アミノ酸配列[配列番号10]であり、ヒトについてコドン最適化し、隣接配列はアルファウイルスレプリコンプラスミドへのクローニングに適切であった。
【0097】
狂犬病Gを発現するよう設計されたVEEレプリコンベクターは、以下の修正をして、以前記載されたように[その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書参照]構築した。TC-83由来レプリコンベクター「pVEK」[米国特許第9441247号明細書に開示および記載されている]を、制限酵素AscIおよびPacIで消化した。狂犬病G遺伝子のコドン最適化オープンリーディングフレームヌクレオチド配列を含み、5’隣接配列(5’-GGCGCGCCGCACC-3’)[配列番号11]および3’隣接配列(5’-TTAATTAA-3’)を有するDNAプラスミドを、制限酵素AscIおよびPacIで同様に消化した。次いで、合成遺伝子カセットを消化したpVEKベクターにライゲートし、得られたクローンの名前を「pVHV-RABV-G」に変更した。「pVHV」ベクター命名法は、pVEKのマルチクローニングサイトのAscIおよびPacI部位を介してクローニングされた導入遺伝子カセットを含むpVEK由来レプリコンベクターを指すように選択した。
【0098】
TC-83 RNAレプリコン粒子(RP)の作製は、以前記載された方法[その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9441247号明細書および米国特許第8460913号明細書]に従って行った。手短に言えば、pVHVレプリコンベクターDNAおよびヘルパーDNAプラスミドを、MegaScript T7 RNAポリメラーゼおよびキャップアナログ(Promega、マディソン、WI)を使用してインビトロ転写前に、NotI制限酵素で直線化した。重要なことに、作製で使用されるヘルパーRNAは、以前記載されたように[Kamrud et al.,J Gen Virol.91(Pt 7):1723-1727(2010)]、VEEサブゲノムプロモーター配列を欠く。レプリコンおよびヘルパー成分の精製RNAを組み合わせ、Vero細胞の懸濁液と混合し、4 mmキュベットで電気穿孔し、OptiPro(登録商標)SFM細胞培養培地(Thermo Fisher、Waltham、MA)に戻した。一晩のインキュベーション後、アルファウイルスRNAレプリコン粒子を、懸濁液をZetaPlus BioCap(登録商標)デプスフィルター(3M、Maplewood、MN)に通過させ、5%スクロース(w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、最後に400mM NaCl緩衝液で保持RPを溶出することによって、細胞および培地から精製した。溶出したRPを最終的な5%スクロース(w/v)に製剤化し、0.22ミクロン膜フィルターに通過させ、保存用に一定分量に分注した。機能的RPの力価を、感染したVero細胞単層の免疫蛍光アッセイによって決定した。
【0099】
[実施例2]
ネコにおける2つのRP構築物と3つの改変された生画分とを含む混合ワクチンの安全性の評価
凍結乾燥された五価ネコ混合ワクチンの種々の製剤および再構成方法を、ネコにおけるそれらの安全性に関して評価した。五価ワクチンの望ましい提示は0.5mL用量であり、最適な製剤および充填方法は0.5mL充填である。安定剤は、1.1%NZ-アミン(カゼイン酵素加水分解物)、1.1%ゼラチンおよび7.5%スクロースを含有し、提供される割合は最終濃度を表す。5つの画分を添加するための体積および最終的な効力の制約により、0.5mLを超える体積が必要な場合は、製品を製剤化して1.0mLまで充填し、0.5mLの希釈剤で再構成することができる。これにより、投与用量の安定剤成分の濃度が2倍になる。これらの抗原を含むこのような濃縮用量の安定剤の安全性は、以前はネコで試験されていなかった。
【0100】
1.0mL充填/0.5mL再水和フォーマットがネコで安全でない場合、1.0mLの希釈剤で再水和した1.0mL充填体積の第3の選択肢も試験した。ワクチンをブレンドし、次いで、凍結乾燥した。ワクチンは、1.1%ゼラチン、1.1%NZアミンおよび7.5%スクロースを含有する安定剤中、ネコ白血病ウイルス糖タンパク質(RP-FeLV)をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子およびネコカリシウイルスカプシドタンパク質(RP-FCV)をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を、市販のワクチン、Nobivac(登録商標)Feline-1の成分、すなわち、改変された生(MLV)ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPL)、改変された生ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス(FVR)および改変された生クラミドフィラ・フェリス(Chlamydophila felis)と共に含有していた。以下の表1に記載されるように、五価ネコ混合ワクチンの種々の製剤を調製し、再構成した。
【表2】
【0101】

ワクチンを同用量の各抗原を含有するよう製剤化し(0.5mLケークワクチンは2倍の各抗原の濃度で製剤化した)、安定剤を全ての製剤に一定の濃度で使用した(0.5mL希釈剤で再水和される1.0mLケークワクチンは、再水和時に2倍の濃度の安定剤を含有していた)。
【0102】
実験ネコ対象を、7~8週齢(典型的には、ネココアワクチンの最小ワクチン接種年齢を有する)と、21日後に再度、指示された体積のそれぞれの試験ワクチンでワクチン接種した。ネコを、啼鳴、刺痛、掻痒、噛みつき、ワクチンの注射時の突然の動き、または異常な反応(以下の表2および表3を参照)などの疼痛または不快感を示し得る試験ワクチンに対する反応について各ワクチン接種の直後に15分間観察した。臨床評価は、ワクチン接種の4~6時間後、およびワクチン接種後3日間、毎日獣医師によって実施した。
【0103】
臨床評価は、注射部位の触診、触れると痛い、腫脹、発赤または膿瘍を含む任意の局所反応についての観察を含んでいた。ネコを、抑うつ、嗜眠、跛行、嘔吐、振戦、激越および下痢などの任意の全身反応についても観察した。体温も測定し、ワクチン接種の4~6時間後、および各ワクチン接種後2日間、毎日記録した。局所反応についての注射部位の触診をさらに各ワクチン接種の7日後~21日後に週3回実施した。
【0104】
全てのワクチン製剤および再水和プロトコルが安全であることが分かった。ネコのいずれにも局所反応も全身反応も観察されなかった。2回目のワクチン接種の5時間後に体温103.6℃を示した処置群3(0.5mLケーク/0.5mL希釈剤)の1匹のネコを除いて、全てのネコの各測定期間での体温は正常であった。したがって、五価ワクチンの3つの調製物全てが許容されることが分かった。
【表3】
【0105】


【表4】
【0106】

本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本発明の種々の修正が、前記説明から当業者には明らかになるだろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0107】
さらに、核酸またはポリペプチドについて与えられる全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量値は近似値であり、説明のために提供されることを理解されたい。
【配列表】
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