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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】発振回路および位相同期回路
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/099 20060101AFI20240129BHJP
   H03L 1/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H03L7/099 150
H03L1/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020548289
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2019034804
(87)【国際公開番号】W WO2020059494
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018174087
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 宇一
(72)【発明者】
【氏名】中村 誉
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0086490(US,A1)
【文献】特開2008-258538(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072023(WO,A1)
【文献】特表2012-525105(JP,A)
【文献】米国特許第06462623(US,B1)
【文献】特開2008-042339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ノードに接続され、入力電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と
前記電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能な可変抵抗部と
を備え
前記設定部は、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能であり、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記接続ノードの電圧を変化させ、前記第1の容量素子の容量値を変化させることが可能である
発振回路。
【請求項2】
前記設定部は、第1の動作モードにおいて前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記変更動作を行うことが可能であり、第2の動作モードにおいて前記変更動作を行わないことが可能である
請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記接続ノードの電圧が第1の電圧であるときの前記第1の容量素子の前記容量値は、前記接続ノードの電圧が前記第1の電圧よりも低い第2の電圧であるときの前記第1の容量素子の前記容量値よりも大きい
請求項1に記載の発振回路。
【請求項4】
前記第1の容量素子は、MOS構造を有する
請求項1に記載の発振回路。
【請求項5】
接続ノードに接続され、入力電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と、
前記電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能な可変抵抗部と
を備え、
前記設定部は、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能であり、
前記接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の前記可変抵抗部の前記抵抗値を、前記接続ノードにおける電圧が前記所定のしきい値よりも高い場合の前記抵抗値よりも大きくすることが可能である
発振回路。
【請求項6】
第1の信号の位相と、クロック信号に応じた第2の信号の位相とを比較可能な位相比較回路と、
前記位相比較回路における位相比較結果に基づいて制御電圧を生成可能なループフィルタと、
前記制御電圧に基づいて前記クロック信号を生成可能な発振回路と
を備え、
前記発振回路は、
接続ノードに接続され、前記制御電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振することにより前記クロック信号を生成可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と
前記電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能な可変抵抗部と
を備え
前記設定部は、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能であり、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記接続ノードの電圧を変化させ、前記第1の容量素子の容量値を変化させることが可能である
位相同期回路。
【請求項7】
第1の信号の位相と、クロック信号に応じた第2の信号の位相とを比較可能な位相比較回路と、
前記位相比較回路における位相比較結果に基づいて制御電圧を生成可能なループフィルタと、
前記制御電圧に基づいて前記クロック信号を生成可能な発振回路と
を備え、
前記発振回路は、
接続ノードに接続され、前記制御電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振することにより前記クロック信号を生成可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と、
前記電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能な可変抵抗部と
を備え、
前記設定部は、
前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能であり、
前記接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の前記可変抵抗部の前記抵抗値を、前記接続ノードにおける電圧が前記所定のしきい値よりも高い場合の前記抵抗値よりも大きくすることが可能である
位相同期回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発振回路、および発振回路を備えた位相同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
位相同期回路は、位相比較回路、ループフィルタ、電圧制御発振回路(VCO:Voltage Controlled Oscillator)などを用いて構成される。例えば、特許文献1には、VCOデカップリングキャパシタを設け、このVCOデカップリングキャパシタの容量値を動作周波数に応じて変更するPLL(Phase Locked Loop)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2012-525105号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、電子回路では、電源電圧変動除去比(PSRR:Power Supply Rejection Ratio)が高いことが望まれており、発振回路においても電源電圧変動除去比が高いことが期待されている。
【0005】
電源電圧変動除去比を高くすることができる発振回路および位相同期回路を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施の形態における第1の発振回路は、電流源と、発振部と、第1の容量素子と、設定部と、可変抵抗部とを備えている。電流源は、接続ノードに接続され、入力電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから接続ノードに流すことが可能に構成される。発振部は、接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振可能に構成される。第1の容量素子は、接続ノードと第2の電源ノードとの間に設けられ、接続ノードの電圧に応じて容量値が変化するように構成される。設定部は、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能に構成される。可変抵抗部は、電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能に構成される。上記設定部は、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、変更動作を行うことが可能であり、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、接続ノードの電圧を変化させ、第1の容量素子の容量値を変化させることが可能である。
本開示の一実施の形態における第2の発振回路は、電流源と、発振部と、第1の容量素子と、設定部と、可変抵抗部とを備えている。電流源は、接続ノードに接続され、入力電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから接続ノードに流すことが可能に構成される。発振部は、接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振可能に構成される。第1の容量素子は、接続ノードと第2の電源ノードとの間に設けられ、接続ノードの電圧に応じて容量値が変化するように構成される。設定部は、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能に構成される。可変抵抗部は、電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能に構成される。上記設定部は、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、変更動作を行うことが可能であり、接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の可変抵抗部の抵抗値を、接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも高い場合の抵抗値よりも大きくすることが可能である。
【0007】
本開示の一実施の形態における第1の位相同期回路は、位相比較回路と、ループフィルタと、発振回路とを備える。位相比較回路は、第1の信号の位相と、クロック信号に応じた第2の信号の位相とを比較可能に構成される。ループフィルタは、位相比較回路における位相比較結果に基づいて制御電圧を生成可能に構成される。発振回路は、制御電圧に基づいてクロック信号を生成可能に構成される。発振回路は、電流源と、発振部と、第1の容量素子と、設定部と、可変抵抗部とを有する。電流源は、接続ノードに接続され、制御電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから接続ノードに流すことが可能に構成される。発振部は、接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振することによりクロック信号を生成可能に構成される。第1の容量素子は、接続ノードと第2の電源ノードとの間に設けられ、接続ノードの電圧に応じて容量値が変化するように構成される。設定部は、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能に構成される。可変抵抗部は、電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能に構成される。上記設定部は、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、変更動作を行うことが可能であり、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、接続ノードの電圧を変化させ、第1の容量素子の容量値を変化させることが可能である。
本開示の一実施の形態における第2の位相同期回路は、位相比較回路と、ループフィルタと、発振回路とを備える。位相比較回路は、第1の信号の位相と、クロック信号に応じた第2の信号の位相とを比較可能に構成される。ループフィルタは、位相比較回路における位相比較結果に基づいて制御電圧を生成可能に構成される。発振回路は、制御電圧に基づいてクロック信号を生成可能に構成される。発振回路は、電流源と、発振部と、第1の容量素子と、設定部と、可変抵抗部とを有する。電流源は、接続ノードに接続され、制御電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから接続ノードに流すことが可能に構成される。発振部は、接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振することによりクロック信号を生成可能に構成される。第1の容量素子は、接続ノードと第2の電源ノードとの間に設けられ、接続ノードの電圧に応じて容量値が変化するように構成される。設定部は、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能に構成される。可変抵抗部は、電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能に構成される。上記設定部は、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより、変更動作を行うことが可能であり、接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の可変抵抗部の抵抗値を、接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも高い場合の抵抗値よりも大きくすることが可能である。
【0008】
本開示の一実施の形態における第1の発振回路、第2の発振回路、第1の位相同期回路、および第2の位相同期回路では、入力電圧に応じた電流値を有する電流が、第1の電源ノードから接続ノードに流れる。接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路には、電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振する発振部が設けられる。また、接続ノードと第2の電源ノードとの間には、接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子が設けられる。そして、設定部により、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る位相同期回路の一構成例を表すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図3図2に示した発振部の一構成例を表す回路図である。
図4図2に示した容量素子における容量値の一特性例を表す特性図である。
図5図2に示した発振回路の一動作例を表すフローチャートである。
図6図2に示した発振回路の一動作例を表す表である。
図7】第1の実施の形態の変形例に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図8】第1の実施の形態の他の変形例に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図9】第1の実施の形態の他の変形例に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図10図9に示した発振回路の一動作例を表す表である。
図11】第1の実施の形態の他の変形例に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図12】第1の実施の形態の他の変形例に係る位相同期回路の一構成例を表すブロック図である。
図13図12に示した発振回路の一構成例を表す回路図である。
図14】第2の実施の形態に係る発振回路の一構成例を表す回路図である。
図15図14に示した発振回路の一動作例を表すフローチャートである。
図16図14に示した発振回路の一動作例を表す表である。
図17】第2の実施の形態の他の変形例に係る発振回路の一動作例を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0011】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る発振回路を備えた位相同期回路(位相同期回路1)の一構成例を表すものである。位相同期回路1は、クロック信号CLK1に基づいて、例えばクロック信号CLK1よりも高い周波数を有するクロック信号CLKを生成するように構成される。位相同期回路1は、例えば、1つの半導体チップに形成される。
【0012】
位相同期回路1は、位相比較回路11と、チャージポンプ12と、ループフィルタ13と、発振回路20と、分周回路14と、ロック検出回路15とを備えている。この位相同期回路1における各信号は、シングルエンド信号であってもよいし、差動信号であってもよい。
【0013】
位相比較回路11は、クロック信号CLK1の位相と、分周回路14から供給されるクロック信号CLK2の位相とを比較し、その比較結果に応じた信号UP,DNを生成するように構成される。位相比較回路11は、例えば、いわゆる位相周波数比較回路(PFD;Phase Frequency Detector)を用いて構成される。
【0014】
チャージポンプ12は、信号UP,DNに基づいて、ループフィルタ13に対して電流を流し込み、あるいはループフィルタ13から電流をシンクするように構成される。
【0015】
ループフィルタ13は、チャージポンプ12から供給された電流に基づいて制御電圧Vctrlを生成するように構成される。
【0016】
発振回路20は、電圧制御発振回路(VCO;Voltage Controlled Oscillator)であり、制御電圧Vctrlに基づいて、制御電圧Vctrlに応じた周波数を有するクロック信号CLKを生成するように構成される。
【0017】
分周回路14は、クロック信号CLKに基づいて、クロック信号CLKの周波数を分周することによりクロック信号CLK2を生成するように構成される。分周回路14における分周比は、整数であってもよいし、非整数であってもよい。
【0018】
ロック検出回路15は、信号UP,DNに基づいて、位相同期回路1において位相同期が確立しているかどうかを検出するように構成される。具体的には、ロック検出回路15は、クロック信号CLK1の位相およびクロック信号CLK2の位相が互いに同期している場合に、位相同期が確立していることを検出する。そして、ロック検出回路15は、検出結果を示す信号DETを発振回路20に供給するようになっている。なお、この例では、ロック検出回路15は、信号UP,DNに基づいて動作するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、クロック信号CLK1,CLK2に基づいて動作してもよい。
【0019】
(発振回路20)
図2は、発振回路20の一構成例を表すものである。発振回路20は、トランジスタ21と、発振部30と、容量素子22と、可変容量部23と、容量値設定部24とを有している。
【0020】
トランジスタ21は、P型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソースには電源電圧VDDが供給され、ゲートには制御電圧Vctrlが供給され、ドレインは接続ノードNDに接続される。トランジスタ21は、制御電圧Vctrlに応じた電流値を有する電流Ioscを生成する電流源として機能する。この電流Ioscは、接続ノードNDを介して発振部30に流れる。これにより、接続ノードNDには電圧Vtailが生じるようになっている。
【0021】
発振部30は、接続ノードNDと接地との間の経路に設けられ、この経路に流れる電流Ioscに応じた発振周波数foscで発振することによりクロック信号CLKを生成するように構成される。この例では、クロック信号CLKは、差動信号である。
【0022】
図3は、発振部30の一構成例を表すものである。発振部30は、差動型のリングオシレータである。クロック信号CLKは、差動信号を構成するクロック信号CLKP,CLKNを含む。発振部30は、端子TPからクロック信号CLKPを出力するとともに、端子TNからクロック信号CLKNを出力する。発振部30は、インバータ31P,32P,33P,31N,32N,33N,41~46を有している。これらのインバータは、P型のMOSトランジスタおよびN型のMOSトランジスタを用いて構成された、いわゆるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータである。
【0023】
インバータ31Pの入力端子は端子TPに接続されるとともにインバータ33Pの出力端子に接続され、出力端子はインバータ32Pの入力端子に接続される。インバータ32Pの入力端子はインバータ31Pの出力端子に接続され、出力端子はインバータ33Pの入力端子に接続される。インバータ33Pの入力端子はインバータ32Pの出力端子に接続され、出力端子は端子TPに接続されるとともにインバータ31Pの入力端子に接続される。
【0024】
インバータ31Nの入力端子は端子TNに接続されるとともにインバータ33Nの出力端子に接続され、出力端子はインバータ32Nの入力端子に接続される。インバータ32Nの入力端子はインバータ31Nの出力端子に接続され、出力端子はインバータ33Nの入力端子に接続される。インバータ33Nの入力端子はインバータ32Nの出力端子に接続され、出力端子は端子TNに接続されるとともにインバータ31Nの入力端子に接続される。
【0025】
インバータ41の入力端子はインバータ31Pの出力端子およびインバータ32Pの入力端子に接続され、出力端子はインバータ31Nの出力端子およびインバータ32Nの入力端子に接続される。インバータ42の入力端子はインバータ31Nの出力端子およびインバータ32Nの入力端子に接続され、出力端子はインバータ31Pの出力端子およびインバータ32Pの入力端子に接続される。インバータ43の入力端子はインバータ32Pの出力端子およびインバータ33Pの入力端子に接続され、出力端子はインバータ32Nの出力端子およびインバータ33Nの入力端子に接続される。インバータ44の入力端子はインバータ32Nの出力端子およびインバータ33Nの入力端子に接続され、出力端子はインバータ32Pの出力端子およびインバータ33Pの入力端子に接続される。インバータ45の入力端子はインバータ33Pの出力端子およびインバータ31Pの入力端子に接続され、出力端子はインバータ33Nの出力端子およびインバータ31Nの入力端子に接続される。インバータ46の入力端子はインバータ33Nの出力端子およびインバータ31Nの入力端子に接続され、出力端子はインバータ33Pの出力端子およびインバータ31Pの入力端子に接続される。
【0026】
この例では、3段のインバータ(インバータ31P,31N、インバータ32P,32N、およびインバータ33P,33N)を用いてリングオシレータを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、5段のインバータを用いてもよいし、7段のインバータを用いてもよい。
【0027】
これらのインバータ31P,32P,33P,31N,32N,33N,41~46の電源端子は互いに接続されるとともに、接続ノードND(図2)に接続される。これにより、トランジスタ21により生成された電流Ioscは、これらのインバータにおける電源電流として流れる。これにより、例えばインバータ31P,32P,33P,31N,32N,33Nにおける遅延時間は、この電流Ioscに応じて変化する。具体的には、電流Ioscが小さい場合には遅延時間は長くなり、電流Ioscが大きい場合には遅延時間は短くなる。その結果、発振周波数foscは、電流Ioscが小さい場合には低くなり、電流Ioscが大きい場合には高くなる。このように、発振部30は、電流Ioscに基づいて発振周波数foscが変化する、いわゆる電流制御発振回路として機能するようになっている。
【0028】
容量素子22(図2)は、発振部30のデカップリングキャパシタとして機能する。容量素子22の一端は接続ノードNDに接続され、他端は接地される。容量素子22は、MOS構造を有する、いわゆるMOSキャパシタを用いて構成される。MOSキャパシタは、例えばMIM(Metal Insulator Metal)構造を有する容量素子などと比べて、単位面積当たりの容量値が大きい。発振回路20では、このようにMOSキャパシタを用いることにより、回路面積を抑えることができるようになっている。
【0029】
可変容量部23(図2)は、制御信号S1~S3に基づいて容量値を変更可能に構成される。可変容量部23は、スイッチSW1~SW3と、容量素子CAP1~CAP3とを有している。スイッチSW1~SW3は、例えばMOSトランジスタを用いて構成される。容量素子CAP1~CAP3は、例えばMOSキャパシタを用いて構成される。容量素子CAP1~CAP3は、例えば、同じ容量値を有する。
【0030】
スイッチSW1の一端は接続ノードNDに接続され、他端は容量素子CAP1の一端に接続される。スイッチSW1は、制御信号S1に基づいてオンオフする。容量素子CAP1の一端はスイッチSW1の他端に接続され、他端は接地される。スイッチSW2の一端は接続ノードNDに接続され、他端は容量素子CAP2の一端に接続される。スイッチSW2は、制御信号S2に基づいてオンオフする。容量素子CAP2の一端はスイッチSW2の他端に接続され、他端は接地される。スイッチSW3の一端は接続ノードNDに接続され、他端は容量素子CAP3の一端に接続される。スイッチSW3は、制御信号S3に基づいてオンオフする。容量素子CAP3の一端はスイッチSW3の他端に接続され、他端は接地される。
【0031】
この構成により、可変容量部23は、制御信号S1~S3に基づいて、スイッチSW1~SW3のうちオン状態になるスイッチの数が変化する。これにより、可変容量部23は、制御信号S1~S3に基づいて、容量値を変更することができるようになっている。なお、この例では、3つのスイッチSW1~SW3を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、2つのスイッチを設けてもよいし、4つ以上のスイッチを設けてもよい。
【0032】
容量値設定部24は、電圧Vtailに基づいて、可変容量部23における容量値を設定するように構成される。容量値設定部24は、AD(Analog to Digital)変換部25と、スイッチ制御部26とを有している。AD変換部25は、電圧VtailをNビットのデジタルコードに変換するように構成される。スイッチ制御部26は、AD変換部25から供給されたデジタルコードおよびロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて制御信号S1~S3を生成するように構成される。具体的には、スイッチ制御部26は、電圧Vtailが低いほど、スイッチSW1~SW3のうちのオン状態になるスイッチの数を多くするように、制御信号S1~S3を生成する。これにより、容量値設定部24は、電圧Vtailが低いほど、可変容量部23における容量値を大きくするようになっている。スイッチ制御部26は、例えばデジタルコードと制御信号S1~S3との対応関係を示すテーブル情報を記憶しており、このテーブル情報を用いて、電圧Vtailに基づいて制御信号S1~S3を生成するようになっている。
【0033】
この構成により、発振回路20では、電圧Vtailが低い場合に可変容量部23における容量値を増加させる。このように可変容量部23における容量値を増加させることにより、発振回路20では、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを低くすることができる。その結果、発振回路20では、後述するように、電源電圧変動除去比を改善することができるようになっている。
【0034】
ここで、トランジスタ21は、本開示における「電流源」の一具体例に対応する。発振部30は、本開示における「発振部」の一具体例に対応する。容量素子22は、本開示における「第1の容量素子」の一具体例に対応する。容量値設定部24は、本開示における「設定部」の一具体例に対応する。接続ノードNDは、本開示における「接続ノード」の一具体例に対応する。電源電圧VDDが供給されるノードは、本開示における「第1の電源ノード」の一具体例に対応する。接地されたノードは、本開示における「第2の電源ノード」の一具体例に対応する。可変容量部23は、本開示における「可変容量部」の一具体例に対応する。
【0035】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の位相同期回路1の動作および作用について説明する。
【0036】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、位相同期回路1の全体動作概要を説明する。位相比較回路11は、クロック信号CLK1の位相と、分周回路14から供給されるクロック信号CLK2の位相とを比較し、その比較結果に応じた信号UP,DNを生成する。チャージポンプ12は、信号UP,DNに基づいて、ループフィルタ13に対して電流を流し込み、あるいはループフィルタ13から電流をシンクする。ループフィルタ13は、チャージポンプ12から供給された電流に基づいて制御電圧Vctrlを生成する。発振回路20は、制御電圧Vctrlに基づいて、制御電圧Vctrlに応じた周波数を有するクロック信号CLKを生成する。分周回路14は、クロック信号CLKに基づいて、クロック信号CLKの周波数を分周することにより、クロック信号CLK2を生成する。ロック検出回路15は、信号UP,DNに基づいて、位相同期回路1において位相同期が確立しているかどうかを検出する。
【0037】
(詳細動作)
発振回路20は、制御電圧Vctrlに基づいて、制御電圧Vctrlに応じた周波数を有するクロック信号CLKを生成する。発振回路20では、図2に示したように、デカップリングキャパシタである容量素子22を設け、これにより、電源電圧変動除去比の向上を図っている。
【0038】
ところで、発振回路20では、MOSキャパシタを用いて容量素子22を構成している。MOSキャパシタの容量値は、電圧依存性を有する。
【0039】
図4は、容量素子22の容量値の一例を表すものである。図4の横軸は電圧Vtailを示し、縦軸は容量素子22の容量値を示す。容量素子22は、MOSキャパシタであるので、両端間の電圧差に応じて容量値が変化し得る。よって、容量素子22の容量値は、電圧Vtailにより変化し得る。図4に示したように、この例では、電圧Vtailが高い場合には容量値が高く、電圧Vtailが低い場合には容量値が低くなる。
【0040】
上述したように、トランジスタ21が生成した電流Ioscが発振部30に流れることにより、接続ノードNDに電圧Vtailが生じる。例えば、電流Ioscが小さい場合には電圧Vtailは低くなり、電流Ioscが大きい場合には電圧Vtailは高くなる。言い換えれば、発振周波数foscが低い場合には電圧Vtailは低くなり、発振周波数foscが高い場合には電圧Vtailは高くなる。よって、容量素子22の容量値は、発振周波数foscに応じて変化し得る。
【0041】
また、電圧Vtailは、例えば半導体製造工程におけるプロセスばらつきにより変化し得る。また、電圧Vtailは、位相同期回路1を動作させるときの電源電圧変動および温度変動により変化し得る。よって、容量素子22の容量値は、プロセスばらつき、電源電圧変動、温度変動などにより変化し得る。
【0042】
このように、電圧Vtailは、様々な要因に応じて変化するので、容量素子22の容量値もまた、様々な要因に応じて変化する。例えば容量素子22の容量値が小さくなった場合には、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスが高くなるので、電源電圧変動除去比が悪化し得る。電源電圧変動除去比が低い場合には、例えば、電源電圧が揺れることにより、発振部30が生成するクロック信号CLKの位相雑音が悪化するおそれがある。
【0043】
そこで、発振回路20では、電圧Vtailが低い場合に可変容量部23における容量値を増加させる。このように可変容量部23における容量値を増加させることにより、発振回路20では、発振回路20では、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを低くする。その結果、発振回路20では、電源電圧変動除去比を改善することができる。
【0044】
次に、可変容量部23における容量値の設定について、詳細に説明する。
【0045】
図5は、可変容量部23における容量値の設定動作の一例を表すものである。容量値設定部24は、接続ノードNDにおける電圧Vtailに基づいて、可変容量部23における容量値を変化させる。この例では、初期状態では、スイッチSW1~SW3は、ともにオフ状態である。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0046】
まず、スイッチ制御部26は、ロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて、位相同期回路1において位相同期が確立しているかどうかを確認する(ステップS101)。位相同期が確立していない場合(ステップS101において“N”)には、位相同期が確立するまで、このステップS101を繰り返す。位相同期回路1は閉ループ動作を行うので、時間が経過した後に位相同期が確立する。
【0047】
ステップS101において、位相同期が確立している場合(ステップS101において“Y”)には、スイッチ制御部26は、AD変換部25から供給されたデジタルコードに基づいて、電圧Vtailが所定の電圧Vthよりも低いかどうかを確認する(ステップS102)。所定の電圧Vthよりも低くない場合(ステップS102において“N”)には、このフローは終了する。
【0048】
ステップS102において、電圧Vtailが所定の電圧Vthよりも低い場合(ステップS102において“Y”)には、スイッチ制御部26は、電圧Vtailに応じてスイッチSW1~SW3のオンオフ状態を設定する(ステップS103)。
【0049】
図6は、スイッチ制御部26における設定動作の一例を表すものである。電圧Vtailが所定の電圧V1以上であり所定の電圧Vthよりも低い場合には、スイッチ制御部26は、スイッチSW1をオン状態にするとともに、スイッチSW2,SW3をオフ状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2以上であり所定の電圧V1より低い場合には、スイッチ制御部26は、スイッチSW1,SW2をオン状態にするとともに、スイッチSW3をオフ状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2より低い場合には、スイッチ制御部26は、スイッチSW1~SW3をオン状態にする。このように、スイッチ制御部26は、電圧Vtailが低いほど、スイッチSW1~SW3のうちのオン状態にするスイッチの数を多くする。これにより、スイッチ制御部26は、電圧Vtailが低いほど、可変容量部23における容量値を増加させる。その結果、発振回路20では、電圧Vtailが低下しても、接続ノードNDと接地との間の容量値がさほど小さくならないようにすることができる。言い換えれば、電圧Vtailが変化しても、接続ノードNDと接地との間の容量値が大きく変化しないようにすることができる。
【0050】
次に、スイッチ制御部26は、ロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて、位相同期が維持されているかどうかを確認する(ステップS104)。位相同期が維持されている場合(ステップS104において“Y”)には、このフローは終了する。
【0051】
ステップS104において、位相同期が維持されていない場合(ステップS104において“N”)には、スイッチ制御部26は、ロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて、位相同期が確立したかどうかを確認する(ステップS105)。位相同期が確立していない場合(ステップS105において“N”)には、位相同期が確立するまで、このステップS105を繰り返す。すなわち、ステップS104において、位相同期が維持されていない場合には、位相同期が外れているので、位相同期が確立するまで待つ。位相同期回路1は閉ループ動作を行うので、時間が経過した後に位相同期が確立する。そして、位相同期が確立した場合(ステップS105において“Y”)には、このフローは終了する。
【0052】
以上のように、位相同期回路1では、接続ノードNDにおける電圧Vtailに基づいて、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更するようにした。具体的には、位相同期回路1では、電圧Vtailに応じて、可変容量部23における容量値を変更するようにした。これにより、位相同期回路1では、電圧Vtailが低下しても、接続ノードNDと接地との間の容量値がさほど小さくならないようにすることができる。その結果、位相同期回路1では、電源電圧変動除去比を高めることができる。
【0053】
また、位相同期回路1では、電圧Vtailに応じて、可変容量部23における容量値を変更するようにした。このように可変容量部23における容量値を変更した場合において、変更前の直流動作点と、変更後の直流動作点は、ほぼ同じである。よって、可変容量部23における容量値の変更により、位相同期が外れるおそれを低減することができる。このように、位相同期回路1では、電源電圧変動除去比を高める際に、位相同期が外れるおそれを低減することができる。
【0054】
また、位相同期回路1では、このように電圧Vtailに応じて、可変容量部23における容量値を変更するようにしたので、電圧Vtailが変化しても、接続ノードNDと接地との間の容量値が大きく変化しないようにすることができる。これにより、仮に、このデカップリングキャパシタが、位相同期回路1のループ伝達関数に影響を及ぼす場合でも、ループ伝達関数への影響が大きく変化するおそれを低減することができる。その結果、位相同期回路1では、位相同期回路1のループ応答特性が変化するおそれを低減することができる。
【0055】
[効果]
以上のように本実施の形態では、接続ノードにおける電圧に基づいて、接続ノードと接地との間のインピーダンスを変更するようにしたので、電源電圧変動除去比を高めることができる。
【0056】
本実施の形態では、電圧Vtailに応じて、可変容量部における容量値を変更するようにしたので、直流動作点を維持することができるため、電源電圧変動除去比を高める際に、位相同期が外れるおそれを低減することができる。
【0057】
本実施の形態では、電圧Vtailに応じて、可変容量部における容量値を変更するようにしたので、接続ノードと接地との間の容量値がとりえる値の幅を狭くすることができるため、位相同期回路のループ応答特性が変化するおそれを低減することができる。
【0058】
[変形例1-1]
上記実施の形態では、図2に示したように、例えば、スイッチSW1と接地との間に容量素子CAP1を設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図7に示す発振回路20Aのように、例えば、容量素子CAP1とスイッチSW1の配置位置を入れ替えてもよい。この発振回路20Aは、可変容量部23Aを有している。可変容量部23Aにおいて、容量素子CAP1の一端は接続ノードNDに接続され、他端はスイッチSW1の一端に接続される。スイッチSW1の一端は容量素子CAP1の他端に接続され、他端は接地される。容量素子CAP2およびスイッチSW2についても同様であり、容量素子CAP3およびスイッチSW3についても同様である。
【0059】
図7に示した構成では、例えば、スイッチSW1をオフ状態にした場合には、容量素子CAP1の他端がフローティング状態になるので、予期せぬ不具合が生じるそれがある。そこで、図8に示す発振回路20Bのように、このようなフローティング状態を回避するように構成してもよい。この発振回路20Bは、可変容量部23Bを有している。可変容量部23Bは、インバータIV1~IV3と、スイッチSW11~SW13と、演算増幅器(Operational Amplifier)OPAとを有している。インバータIV1は、制御信号S1を反転することにより制御信号S11を生成する。インバータIV2は、制御信号S2を反転することにより制御信号S12を生成する。インバータIV3は、制御信号S3を反転することにより制御信号S13を生成する。スイッチSW11の一端は容量素子CAP1の他端およびスイッチSW1の一端に接続され、他端は演算増幅器OPAの負入力端子および出力端子に接続される。スイッチSW11は、制御信号S11に基づいてオンオフする。スイッチSW12の一端は容量素子CAP2の他端およびスイッチSW2の一端に接続され、他端は演算増幅器OPAの負入力端子および出力端子に接続される。スイッチSW12は、制御信号S12に基づいてオンオフする。スイッチSW13の一端は容量素子CAP3の他端およびスイッチSW3の一端に接続され、他端は演算増幅器OPAの負入力端子および出力端子に接続される。スイッチSW13は、制御信号S13に基づいてオンオフする。演算増幅器OPAの正入力端子は接続ノードNDに接続され、負入力端子は演算増幅器OPAの出力端子およびスイッチSW11~SW13の他端に接続され、出力端子は演算増幅器OPAの負入力端子およびスイッチSW11~SW13の他端に接続される。演算増幅器OPAは、いわゆるボルテージフォロワとして動作することにより、スイッチSW11~SW13の他端における電圧を電圧Vtailとほぼ同じ電圧に設定する。例えばスイッチSW1をオフ状態にした場合には、スイッチSW11がオン状態になる。これにより、容量素子CAP1の他端には電圧Vtailとほぼ同じ電圧が供給される。このようにして、発振回路20Bでは、例えば、スイッチSW1をオフ状態にした場合でも、容量素子CAP1の他端がフローティング状態になるのを回避することができる。
【0060】
[変形例1-2]
上記実施の形態では、図2に示したように、互いに同じ容量値を有する複数の容量素子CAP1~CAP3を用いて可変容量部23を構成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、図9に示す発振回路20Cのように、互いに異なる容量値を有する複数の容量素子を用いて可変容量部を構成してもよい。この発振回路20Cは、可変容量部23Cと、容量値設定部24Cとを有している。
【0061】
可変容量部23Cは、スイッチSW1,SW2と、容量素子CAP1,CAP2とを有している。この例では、容量素子CAP2の容量値は、容量素子CAP1の容量値の2倍である。すなわち、容量素子CAP1,CAP2の容量値は重みづけされている。スイッチSW1の一端は接続ノードNDに接続され、他端は容量素子CAP1の一端に接続される。容量素子CAP1の一端はスイッチSW1の他端に接続され、他端は接地される。スイッチSW2の一端は接続ノードNDに接続され、他端は容量素子CAP2の一端に接続される。容量素子CAP2の一端はスイッチSW2の他端に接続され、他端は接地される。
【0062】
容量値設定部24Cは、スイッチ制御部26Cを有している。スイッチ制御部26Cは、AD変換部25から供給されたデジタルコードおよびロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて制御信号S1,S2を生成するように構成される。具体的には、スイッチ制御部26Cは、図10に示すように、電圧Vtailが所定の電圧V1以上であり所定の電圧Vthよりも低い場合には、スイッチSW1をオン状態にするとともに、スイッチSW2をオフ状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2以上であり所定の電圧V1より低い場合には、スイッチ制御部26Cは、スイッチSW1をオフ状態にするとともに、スイッチSW2をオン状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2より低い場合には、スイッチ制御部26Cは、スイッチSW1,SW2をオン状態にする。これにより、スイッチ制御部26Cは、電圧Vtailが低いほど、可変容量部23Cにおける容量値を増加させることができる。
【0063】
[変形例1-3]
上記実施の形態では、図2に示したように、トランジスタ21を用いて、制御電圧Vctrlに基づいて電流Ioscを生成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図11に示す発振回路20Dのように、上記実施の形態の場合とは異なる回路構成を用いて、制御電圧Vctrlに基づいて電流Ioscを生成してもよい。この発振回路20Dは、演算増幅器51Dと、トランジスタ52Dと、抵抗素子53Dとを有している。演算増幅器51Dの負入力端子には制御電圧Vctrlが供給され、正入力端子はトランジスタ52Dのドレインおよび抵抗素子53Dの一端に接続され、出力端子はトランジスタ21,52Dのゲートに接続される。トランジスタ52Dは、P型のMOSトランジスタであり、ソースには電源電圧VDDが供給され、ゲートは演算増幅器51Dの出力端子およびトランジスタ21のゲートに接続され、ドレインは演算増幅器51Dの正入力端子および抵抗素子53Dの一端に接続される。抵抗素子53Dの一端は演算増幅器51Dの正入力端子およびトランジスタ52Dのドレインに接続され、他端は接地される。トランジスタ21のゲートは演算増幅器51Dの出力端子およびトランジスタ52Dのゲートに接続される。この例では、トランジスタ52Dのゲート長はトランジスタ21のゲート長と同じ長さであり、トランジスタ52Dのゲート幅はトランジスタ21のゲート幅と同じ幅である。これにより、トランジスタ52D,21は、いわゆるカレントミラー回路を構成する。ここで、演算増幅器51D、トランジスタ52D、抵抗素子53D、およびトランジスタ21は、本開示における「電流源」の一具体例に対応する。この構成により、抵抗素子53Dの一端における電圧は、制御電圧Vctrlとほぼ同じ電圧になるので、トランジスタ52Dには、制御電圧Vctrlを抵抗素子53Dの抵抗値で除算した値とほぼ同じ電流値を有する電流が流れる。よって、トランジスタ21には、このトランジスタ52Dに流れる電流とほぼ同じ電流値を有する電流Ioscが流れる。このようにして、発振回路20Dは、制御電圧Vctrlに基づいて電流Ioscを生成する。
【0064】
[変形例1-4]
上記実施の形態では、接続ノードNDにおける電圧に基づいて、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更するようにした。例えば、第1の動作モードの場合には、接続ノードNDにおける電圧に基づいて、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更し、第2の動作モードの場合には、接続ノードNDにおける電圧に基づいてこのインピーダンスを変更しないようにしてもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
【0065】
図12は、本変形例に係る位相同期回路1Eの一構成例を表すものである。位相同期回路1Eは、動作周波数設定部19Eと、分周回路14Eと、発振回路20Eとを備えている。
【0066】
動作周波数設定部19Eは、クロック信号CLKの周波数を設定するように構成される。クロック信号CLKの周波数は、この位相同期回路1Eが適用されるアプリケーションに応じて設定される。そして、動作周波数設定部19Eは、設定した周波数に応じた制御信号SET1,SET2を生成し、制御信号SET1を分周回路14Eに供給し、制御信号SET2を発振回路20Eに供給するようになっている。
【0067】
分周回路14Eは、制御信号SET1に基づいて分周比を設定し、その分周比で、クロック信号CLKの周波数を分周することによりクロック信号CLK2を生成するように構成される。分周比は、例えば、クロック信号CLKの周波数を高くする場合には大きい値に設定され、クロック信号CLKの周波数を低くする場合には小さい値に設定される。
【0068】
図13は、発振回路20Eの一構成例を表すものである。発振回路20Eは、発振周波数設定部59Eと、可変抵抗素子53Eと、カレントミラー回路54Eと、容量値設定部24Eとを有している。
【0069】
発振周波数設定部59Eは、制御信号SET2に基づいて、可変抵抗素子53E、カレントミラー回路54E、および容量値設定部24Eに対して制御信号を供給するように構成される。
【0070】
可変抵抗素子53Eは、発振周波数設定部59Eから供給された制御信号に基づいて、抵抗値を変更可能に構成される。可変抵抗素子53Eの一端は演算増幅器51Dの正入力端子およびカレントミラー回路54Eにおけるトランジスタ52Dのドレインに接続され、他端は接地される。抵抗値は、クロック信号CLKの周波数を高くする場合には小さい値に設定され、クロック信号CLKの周波数を低くする場合には小さい値に設定される。
【0071】
カレントミラー回路54Eは、複数のトランジスタ52Dと、複数のトランジスタ21とを有する。カレントミラー回路54Eは、発振周波数設定部59Eから供給された制御信号に基づいて、カレントミラー比を維持したまま、複数のトランジスタ52Dのうちの使用するトランジスタ52Dの数を変更するとともに、複数のトランジスタ21のうちの使用するトランジスタ21の数を変更するように構成される。例えば、クロック信号CLKの周波数を高くする場合には、使用するトランジスタ52Dの数および使用するトランジスタ21の数を増やし、クロック信号CLKの周波数を低くする場合には、使用するトランジスタ52Dの数および使用するトランジスタ21の数を減らすようになっている。
【0072】
容量値設定部24Eは、スイッチ制御部26Eを有している。スイッチ制御部26Eは、発振周波数設定部59Eから供給された制御信号に基づいて、可変容量部23における容量値を変更するかどうかを判断する。例えば、クロック信号CLKの周波数を、ある所定のしきい値周波数fthよりも高くする場合には、スイッチ制御部26Eは、上記第1の実施の形態の場合と同様に、AD変換部25から供給されたデジタルコードおよびロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて制御信号S1~S3を生成する。また、例えば、クロック信号CLKの周波数を、その所定のしきい値周波数fthよりも低くする場合には、可変容量部23における容量値を変更せず、スイッチSW1~SW3をオフ状態に維持する。
【0073】
ここで、クロック信号CLKの周波数を所定のしきい値周波数fthよりも高くする動作モードは、本開示における「第1の動作モード」の一具体例に対応する。クロック信号CLKの周波数を所定のしきい値周波数fthよりも低くする動作モードは、本開示における「第2の動作モード」の一具体例に対応する。
【0074】
これにより、位相同期回路1Eでは、クロック信号CLKの周波数を所定のしきい値周波数fthよりも高くする場合には、上記実施の形態の場合と同様に、接続ノードNDにおける電圧に基づいて、可変容量部23における容量値を変化させる。これにより、例えば、クロック信号CLKの周波数設定、プロセスばらつき、電源電圧変動、温度変動などにより容量素子22の容量値が変化した場合でも、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを低い値に維持することができるので、電源電圧変動除去比を高めることができる。
【0075】
また、位相同期回路1Eでは、クロック信号CLKの周波数を、所定のしきい値周波数fthよりも低くする場合において、位相同期回路1Eのループ応答特性を安定にすることができる。すなわち、クロック信号CLKの周波数を低くする場合には、可変抵抗素子53Eの抵抗値を大きくするので、電流Ioscが小さくなる。これにより、発振部30における発振周波数foscを低くすることができる。しかしながら、このように電流Ioscが小さい場合には、接続ノードNDにおける電圧Vtailは低くなるので、仮に、上記実施の形態の場合のように、電圧Vtailに応じて可変容量部23における容量値を増加させる場合には、接続ノードNDと接地との間の容量値が大きくなりすぎるおそれがある。この場合には、この容量値が、位相同期回路1のループ応答特性に対して大きな影響を及ぼし、ループ応答特性の安定性が低下するおそれがある。そこで、位相同期回路1Eでは、クロック信号CLKの周波数を、所定のしきい値周波数fthよりも低くする場合には、可変容量部23における容量値を変更しないようにした。これにより、接続ノードNDと接地との間の容量値は小さいままであるので、位相同期回路1のループ応答特性に対して影響を及ぼしにくいので、位相同期回路1のループ応答特性を安定にすることができる。
【0076】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0077】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る発振回路を備えた位相同期回路2について説明する。本実施の形態に係る発振回路では、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変化させる方法が、上記第1の実施の形態の場合と異なっている。なお、上記第1の実施の形態に係る位相同期回路1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0078】
図1に示したように、位相同期回路2は、発振回路60を備えている。
【0079】
図14は、発振回路60の一構成例を表すものである。発振回路60は、トランジスタ21と、可変抵抗部63と、発振部30と、容量素子22と、抵抗値設定部64とを有している。
【0080】
可変抵抗部63は、制御信号S1~S3に基づいて抵抗値を変更可能に構成される。可変抵抗部63は、スイッチSW1~SW3と、抵抗素子RES1~RES3とを有している。抵抗素子RES1~RES3は、例えば、同じ抵抗値を有する。
【0081】
抵抗素子RES1の一端は接続ノードNDに接続され、他端は抵抗素子RES2の一端に接続される。抵抗素子RES2の一端は抵抗素子RES1の他端に接続され、他端は抵抗素子RES3の一端に接続される。抵抗素子RES3の一端は抵抗素子RES2の他端に接続され、他端は発振部30に接続される。
【0082】
スイッチSW1の一端は抵抗素子RES1の一端に接続され、他端は抵抗素子RES1の他端に接続される。スイッチSW2の一端は抵抗素子RES2の一端に接続され、他端は抵抗素子RES2の他端に接続される。スイッチSW3の一端は抵抗素子RES3の一端に接続され、他端は抵抗素子RES3の他端に接続される。
【0083】
この構成により、可変抵抗部63は、制御信号S1~S3に基づいて、抵抗値を変更することができるようになっている。
【0084】
抵抗値設定部64は、電圧Vtailに基づいて、可変抵抗部63における抵抗値を設定するように構成される。抵抗値設定部64は、AD変換部25と、スイッチ制御部66とを有している。スイッチ制御部66は、AD変換部25から供給されたデジタルコードおよびロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて制御信号S1~S3を生成するように構成される。具体的には、スイッチ制御部66は、電圧Vtailが低いほど、スイッチSW1~SW3のうちのオン状態にするスイッチの数を少なくするように、制御信号S1~S3を生成する。これにより、抵抗値設定部64は、電圧Vtailが低いほど可変抵抗部63における抵抗値を大きくする。
【0085】
この構成により、発振回路60では、電圧Vtailが低い場合に可変抵抗部63における抵抗値を増加させる。発振回路60では、可変抵抗部63における抵抗値が増加することにより、この可変抵抗部63における電圧降下が増加するので、接続ノードNDにおける電圧Vtailが増加する。容量素子22は、この例では図4に示す電圧依存性を有するので、発振回路60では、電圧Vtailが増加することにより、容量素子22の容量値が増加する。このように、発振回路60では、電圧Vtailが低い場合に可変抵抗部63における抵抗値を増加させることにより、容量素子22の容量値を増加させることができ、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを低くすることができる。その結果、発振回路60では、電源電圧変動除去比を改善することができるようになっている。
【0086】
ここで、抵抗値設定部64は、本開示における「設定部」の一具体例に対応する。可変抵抗部63は、本開示における「可変抵抗部」の一具体例に対応する。
【0087】
図15は、可変抵抗部63における抵抗値の設定動作の一例を表すものである。この例では、初期状態では、スイッチSW1~SW3は、ともにオン状態である。
【0088】
まず、スイッチ制御部66は、ロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて、位相同期回路2において位相同期が確立しているかどうかを確認する(ステップS201)。位相同期が確立していない場合(ステップS201において“N”)には、位相同期が確立するまで、このステップS201を繰り返す。
【0089】
ステップS201において、位相同期が確立している場合(ステップS201において“Y”)には、スイッチ制御部66は、AD変換部25から供給されたデジタルコードに基づいて、電圧Vtailが所定の電圧Vthよりも低いかどうかを確認する(ステップS202)。所定の電圧Vthよりも低くない場合(ステップS202において“N”)には、このフローは終了する。
【0090】
ステップS202において、電圧Vtailが所定の電圧Vthよりも低い場合(ステップS202において“Y”)には、スイッチ制御部66は、電圧Vtailに応じてスイッチSW1~SW3のオンオフ状態を設定する(ステップS203)。
【0091】
図16は、スイッチ制御部66における設定動作の一例を表すものである。電圧Vtailが所定の電圧V1以上であり所定の電圧Vthよりも低い場合には、スイッチ制御部66は、スイッチSW1,SW2をオン状態にするとともに、スイッチSW3をオフ状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2以上であり所定の電圧V1より低い場合には、スイッチ制御部26は、スイッチSW1をオン状態にするとともに、スイッチSW2,SW3をオフ状態にする。また、電圧Vtailが所定の電圧V2より低い場合には、スイッチ制御部26は、スイッチSW1~SW3をオフ状態にする。このように、スイッチ制御部66は、電圧Vtailが低いほど、スイッチSW1~SW3のうちのオフ状態にするスイッチの数を多くする。これにより、スイッチ制御部66は、電圧Vtailが低いほど、可変抵抗部63における抵抗値を増加させる。可変抵抗部63における抵抗値が増加することにより、この可変抵抗部63における電圧降下が増加するので、接続ノードNDにおける電圧Vtailが増加し、容量素子22の容量値が増加する。その結果、発振回路60では、接続ノードNDと接地との間の容量値がさほど小さくならないようにすることができる。言い換えれば、接続ノードNDと接地との間の容量値が大きく変化しないようにすることができる。
【0092】
次に、スイッチ制御部66は、ロック検出回路15から供給された信号DETに基づいて、位相同期が維持されているかどうかを確認する(ステップS204)。位相同期が維持されていない場合(ステップS204において“N”)には、ステップS201に戻る。そして、電圧Vtailが所定の電圧Vth以上になるまで、ステップS201~S204の動作を繰り返す。一方、ステップS204において、位相同期が維持されている場合(ステップS204において“Y”)には、このフローは終了する。
【0093】
以上のように、位相同期回路2では、接続ノードNDにおける電圧Vtailに基づいて、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更するようにした。具体的には、位相同期回路2では、電圧Vtailに応じて、可変抵抗部63における抵抗値を変更することにより、接続ノードNDにおける電圧Vtailを変更し、その結果、容量素子22の容量値を変更するようにした。これにより、位相同期回路2では、上記第1の実施の形態の場合と同様に、電源電圧変動除去比を高めることができる。
【0094】
また、位相同期回路2では、可変抵抗部63の抵抗値を変更することにより接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更するようにした。この可変抵抗部63の半導体チップにおける面積は、上記第1の実施の形態(図2)の可変容量部23の面積よりも小さくすることができる。よって、位相同期回路2では、半導体チップにおける回路面積を小さくすることができる。
【0095】
以上のように本実施の形態では、可変抵抗部の抵抗値を変更することにより接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更するようにしたので、半導体チップにおける回路面積を小さくすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0096】
[変形例2-1]
上記実施の形態では、図15に示したように、ステップS204において位相同期が維持しているかを確認したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図17に示すように、このステップS204を省き、ステップS203においてスイッチSW1~SW3を設定した後にステップS201に戻るようにしてもよい。すなわち、位相同期回路2では、ステップS203において、可変抵抗部63における抵抗値を変更した場合は、直流動作点が変化し得るので、位相同期が外れるおそれが高い。よって、位相同期回路2では、このステップS204を省くことができる。
【0097】
[その他の変形例]
上記実施の形態に係る位相同期回路2に、上記第1の実施の形態の変形例を適用してもよい。具体的には、例えば、発振回路60において、第1の実施の形態の変形例1-2に係る発振回路20Cの場合と同様に、抵抗素子RES1~RES3の抵抗値を重みづけしてもよい。また、例えば、発振回路60において、第1の実施の形態の変形例1-3に係る発振回路20Dの場合(図11)と同様に、演算増幅器51D、トランジスタ52D、抵抗素子53Dを設けてもよい。また、例えば、位相同期回路2において、第1の実施の形態の変形例1-4に係る位相同期回路1Eの場合(図12,13)と同様に、第1の動作モードの場合には、接続ノードNDにおける電圧に基づいて、接続ノードNDと接地との間のインピーダンスを変更し、第2の動作モードの場合には、接続ノードNDにおける電圧に基づいてこのインピーダンスを変更しないようにしてもよい。
【0098】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0099】
例えば、上記各実施の形態では、分周回路14を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、分周回路14を省いてもよい。この場合には、位相比較回路11は、クロック信号CLK1の位相と、発振回路20から供給されたクロック信号CLKの位相とを比較し、その比較結果に応じた信号UP,DNを生成するように構成することができる。
【0100】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0101】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。以下の構成の本技術によれば、電源電圧変動除去比を高くすることができる。
【0102】
(1)接続ノードに接続され、入力電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と
を備えた発振回路。
(2)前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、容量値を変更可能な可変容量部をさらに備え、
前記設定部は、前記可変容量部の前記容量値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能である
前記(1)に記載の発振回路。
(3)前記設定部は、前記接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の前記可変容量部の前記容量値を、前記接続ノードにおける電圧が前記所定のしきい値よりも高い場合の前記容量値よりも大きくすることが可能である
前記(2)に記載の発振回路。
(4)前記可変容量部は、一端が前記接続ノードに接続され、他端が前記第2の電源ノードに接続され、互いに並列に接続された複数のサブ回路を有し、
前記複数のサブ回路のそれぞれは、互いに直列に接続された第2の容量素子およびスイッチを有し、
前記設定部は、前記複数のサブ回路における前記スイッチのうちのオン状態にする前記スイッチの数を変化させることにより、前記可変容量部の前記容量値を変更可能である
請求項2または請求項3に記載の発振回路。
(5)前記電流経路に設けられ、抵抗値を変更可能な可変抵抗部をさらに備え、
前記設定部は、前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記変更動作を行うことが可能である
前記(2)または(3)に記載の発振回路。
(6)前記設定部は、前記可変抵抗部の前記抵抗値を変更することにより、前記接続ノードの電圧を変化させ、前記第1の容量素子の容量値を変化させる
前記(5)に記載の発振回路。
(7)前記設定部は、前記接続ノードにおける電圧が所定のしきい値よりも低い場合の前記可変抵抗部の前記抵抗値を、前記接続ノードにおける電圧が前記所定のしきい値よりも高い場合の前記抵抗値よりも大きくすることが可能である
前記(5)または(6)に記載の発振回路。
(8)前記設定部は、第1の動作モードにおいて前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記変更動作を行うことが可能であり、第2の動作モードにおいて前記変更動作を行わないことが可能である
前記(1)から(7)のいずれかに記載の発振回路。
(9)前記接続ノードの電圧が第1の電圧であるときの前記第1の容量素子の前記容量値は、前記接続ノードの電圧が前記第1の電圧よりも低い第2の電圧であるときの前記第1の容量素子の前記容量値よりも大きい
前記(1)から(8)のいずれかに記載の発振回路。
(10)前記第1の容量素子は、MOS構造を有する
前記(1)から(9)のいずれかに記載の発振回路。
(11)第1の信号の位相と、クロック信号に応じた第2の信号の位相とを比較可能な位相比較回路と、
前記位相比較回路における位相比較結果に基づいて制御電圧を生成可能なループフィルタと、
前記制御電圧に基づいて前記クロック信号を生成可能な発振回路と
を備え、
前記発振回路は、
接続ノードに接続され、前記制御電圧に応じた電流値を有する電流を第1の電源ノードから前記接続ノードに流すことが可能な電流源と、
前記接続ノードと第2の電源ノードの間の電流経路に設けられ、前記電流経路に流れる電流に応じた発振周波数で発振することにより前記クロック信号を生成可能な発振部と、
前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられ、前記接続ノードの電圧に応じて容量値が変化する第1の容量素子と、
前記接続ノードにおける電圧に基づいて、前記接続ノードと前記第2の電源ノードとの間のインピーダンスを変更する変更動作を行うことが可能な設定部と
を備えた位相同期回路。
【0103】
本出願は、日本国特許庁において2018年9月18日に出願された日本特許出願番号2018-174087号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0104】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17