(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】軽型の手持式スタビライザー
(51)【国際特許分類】
F16M 13/00 20060101AFI20240129BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240129BHJP
【FI】
F16M13/00 J
F16M13/00 C
F16M13/00 G
F16M13/00 K
G03B17/56 A
G03B17/56 C
(21)【出願番号】P 2020549790
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 CN2019101746
(87)【国際公開番号】W WO2020038396
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201810956968.X
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518040943
【氏名又は名称】グイリン ジーシェン インフォメーション テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUILIN ZHISHEN INFORMATION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】9 Huangtong Road, Tieshan Industrial Park, Qixing District, Guilin, Guangxi 541004 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】イエ,ジーロン
(72)【発明者】
【氏名】スー,シャオ
(72)【発明者】
【氏名】パン,アンチュエン
(72)【発明者】
【氏名】リアオ,イールン
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ,チョンポン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,バンミン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ツァンアル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シン
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0163920(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104360690(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107466379(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0258660(US,A1)
【文献】特表2017-504983(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156748(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205859553(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 13/00 -13/08
G03B 17/56 -17/58
25/14 -29/04
H04N 5/222- 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雲台と7の字型のハンドルとを含む軽型の手持式スタビライザーであって、前記7の字型のハンドルは、第1の接続アームと第2の接続アームとを含み、第1の接続アームの一端と第2の接続アームの一端とが剛体的に交差して接続されることにより、前記軽型の手持式スタビライザーは、垂直方向のみならず水平方向についても選択的に把持可能となっており、第1の接続アームと第2の接続アームとの接続部分の端部に雲台ジョイントが設けられ、第1の接続アームは把持するためのものであり、第1の接続アームに操作装置が配置され
、
前記雲台は、電気モーターを含み、
前記電気モーターは、磁石、電気モーター駆動板、及び電気モーターシャフトを含み、
前記電気モーターシャフトの一端に前記磁石が取り付けられており、
前記磁石の外周に前記電気モーター駆動板が取り付けられ、前記磁石と前記電気モーター駆動板との間に隙間が残されており、
前記電気モーター駆動板にエンコーダーが取り付けられており、前記磁石の外周に前記エンコーダーが取り付けられ、前記エンコーダーの中間平面が前記磁石の中間平面と面一であることを特徴とする軽型の手持式スタビライザー。
【請求項2】
前記第1の接続アームの他端及び/又は第2の接続アームの他端の端面に、可動ジョイントが設けられることを特徴とする請求項1に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項3】
前記第2の接続アームに、電池収納部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項4】
前記第1の接続アームと前記第2の接続アームとのなす夾角が60~120度であることを特徴とする請求項2に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項5】
第2の接続アームの可動ジョイントの端面の軸方向が、第2の接続アームの軸方向と0~90度の夾角をなすことを特徴とする請求項2に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項6】
前記可動ジョイントは、支持フレーム又は拡張用手持部材とスタビライザーのハンドルとを接続するようになされることを特徴とする請求項2に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項7】
前記可動ジョイントは、ボルト接続、スナップ接続、磁気接続のうちの1つによることを特徴とする請求項6に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【請求項8】
前記雲台は、負荷台、
及び接続アー
ムを含み、
前記負荷台は
前記接続アームを介して
前記電気モーターと接続され、
前記電気モーターは
前記雲台と
前記ハンドルとの接続端に固定配置されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の軽型の手持式スタビライザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雲台技術の分野、特に軽型の手持式スタビライザーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
既存の手持式雲台スタビライザーのハンドルは大部分が伝統的なストレートハンドル構造のスタビライザーのハンドルであり、長尺状の支柱と、支柱に上から下に設置されたカメラ取り付け及び重心調整構造と、ハンドル構造及びカウンタウェイト構造とを含む。カメラスタビライザーの自重が重いうえに、カメラを取り付けるとさらに重くなる。しかし、現在の手持ハンドルは水平に配置されているか垂直に配置されているかのいずれかであり、また、このようなスタビライザーの手持ハンドルは、ユーザーのニーズに応じて把持方式を切り替え、さらに単一の把持方式による疲労感を低減することができないため、現在のこのような手持式撮影スタビライザーは普及・応用の面で大きな制限を受けることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術に存在する問題点について、本発明は軽型の手持式スタビライザーを提供することを目的にしており、これによってスタビライザーハンドルの使用方法を増加させ、スタビライザー製品に対するユーザーの使用体験を向上させる。
【0004】
上述した発明の目的を達成するために、本発明に記載の軽型の手持式スタビライザーは、以下の技術的解決手段により実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
雲台と7の字型のハンドルとを含む軽型の手持式スタビライザーであって、前記7の字型のハンドルは、第1の接続アームと第2の接続アームとを含み、第1の接続アームの一端と第2の接続アームの一端とが剛体的に接続され、第1の接続アームと第2の接続アームとの接続部分の端部に雲台ジョイントが設けられ、第1の接続アームは把持するためのものであり、第1の接続アームに操作装置が配置される。
【0006】
さらに、前記第1の接続アームの他端の端面及び第2の接続アームの他端の端面にいずれも、可動ジョイントが設けられる。
【0007】
さらに、前記第2の接続アームに、電池収納部が設けられる。
【0008】
さらに、前記第1の接続アームと前記第2の接続アームとのなす夾角が60~120度である。
【0009】
さらに、第2の接続アームの可動ジョイント部の端面の軸方向が、第2の接続アームの軸方向と0~90度の夾角をなす。
【0010】
さらに、前記可動ジョイントは、支持フレーム又は拡張用手持部材とスタビライザーのハンドルとを接続するようになされる。
【0011】
さらに、前記可動接続の方式は、ボルト接続、スナップ接続、磁気接続のうちの1つである。
【0012】
さらに、前記雲台は、負荷台、接続アーム、及び電気モーターを含み、負荷台は接続アームを介して電気モーターと接続され、電気モーターは雲台とハンドルとの接続端に固定配置される。
【0013】
さらに、前記電気モーターは、磁石、電気モーター駆動板、及び電気モーターシャフトを含み、
電気モーターシャフトの一端に磁石が取り付けられており、
磁石の外周に電気モーター駆動板が取り付けられ、磁石と電気モーター駆動板との間に隙間が残されている。
【0014】
さらに、前記電気モーター駆動板にエンコーダーが取り付けられており、エンコーダーの中間平面が磁石の中間平面と面一である。
【0015】
本発明の有益な効果:1、ユーザーエクスペリエンスをさらに最適化することができる。2、ユーザーは、複数の使用方法を選択することができる。3、複数の使用方法を切り替えることにより、雲台の操作を更に省力化することができる。4、従来技術におけるエンコーダーを磁石の先端に取り付ける構造に代えて、エンコーダー及び電気モーター駆動板を磁石の円筒面の外周に取り付けることにより、電気モーターパワー等のパラメータを変更することなく、電気モーターの厚さを大幅に低減し、スタビライザー全体の重量を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の軽型の手持式スタビライザーの全体構造である。
【0017】
【
図2】本発明に記載の7の字型のハンドルの構造図である。
【0018】
【
図3】本発明に記載のハンドル端部に可動ジョイントを有する7の字型のハンドルの構造図である。
【0019】
【
図4】本発明に記載のハンドル端部が拡張用手持部と接続する7の字型のハンドルの構造図である。
【0020】
【
図5】本発明に記載のもう一つの種類のハンドル端部が拡張用手持部と接続する7の字型のハンドルの構造図である。
【0021】
【
図6】本発明に記載のハンドル端部が拡張用支持フレームと接続する7の字型のハンドルの構造図である。
【0022】
【
図7】本発明に記載のハンドル端部が角度変化可能な拡張用手持部と接続する7の字型のハンドル構造図である。
【0023】
【
図8】本発明に記載の7の字型のハンドルの多種な使用状態図である。
【0024】
【
図9】本発明に記載のスタビライザーの電気モーター構造の見取図である。
【符号の説明】
【0025】
1、第1の接続アーム;2、第2の接続アーム;3、雲台ジョイント;4、可動ジョイント;6、拡張用手持部;5、支持フレーム;7、電池収容部;11、電気モーター;12、接続アーム;13、負荷台;21、カメラ;14、磁石;15、電気モーター駆動板;16、電気モーターシャフト;17、鉄心キャリア;18、ベアリング;19、電気モーター端部カバー;20、電気モーター用鉄心;22、電気モーターシェル;23、エンコーダー。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の技術内容、実現しようとする目的及び効果を詳しく説明するために、以下の実施例及び図面で説明する。
【0027】
[実施形態1]
本実施形態は、軽型の手持式スタビライザーを提供するものであり、
図1に示すように、雲台と7の字型のハンドルとを含み、そのうち、雲台は、負荷台13、接続アーム12、及び電気モーター11を含み、カメラ21が負荷台13に取り付けられ、接続アーム12が接続アーム12と電気モーター11とを接続し、電気モーター11が7の字型のハンドルの雲台ジョイント3に取り付けられる。7の字型のハンドルは、
図1又は
図2に示すように、第1の接続アームと第2の接続アームとを含み、第1の接続アームの一端と第2の接続アームの一端とが剛体的に接続される。本実施形態は、従来のストレートハンドル構造のスタビライザーのハンドルと比較して、2本の接続アームを交差させることにより、スタビライザーの把持方式が垂直方向の把持方式に限定されるものではなく、水平方向の把持方式も選択できるようになる。ユーザーは2つの使用方法を選択することができるので、ユーザーのエクスペリエンスを向上させ、単一の把持方式によるユーザーの長期間把持の疲労感を軽減することができる。
【0028】
[実施形態2]
実施形態1に基づき、
図3に示すように、第1の接続アーム1の他端に、
図3のような拡張用手持部6を接続するための可動ジョイント4が設けられる。
【0029】
[実施形態3]
実施形態1に基づいて、
図5に示すように、第2の接続アーム2の他端の端面に可動ジョイント4が設けられている。可動ジョイント4は
図4のような拡張用手持部6、又は
図5のような支持フレーム5を接続するように、拡張装置を接続するために使用される。
【0030】
[実施形態4]
実施形態1に基づいて、
図3に示すように、第1の接続アーム1と第2の接続アーム2との接続部分の端部に雲台ジョイント3が設けられ、第1の接続アームは把持するためのものであり、第1の接続アームに操作装置が配置される。ユーザーによる雲台の取り付け、ハンドルの把持を容易にするために、ハンドルの側面の操作装置に対し制御操作を行う。
【0031】
[実施形態5]
実施形態1に基づいて、
図3に示すように、第2の接続アーム2に、手持式スタビライザーが必要な電池を収容するための電池収容部7が設置される。
【0032】
実施形態5
【0033】
実施形態1に基づいて、
図2に示すように、第1の接続アーム1と第2の接続アーム2とのなす夾角が90度であることを例示的に示しているが、本発明の他の実施形態によれば、他の角度、例えば60~120度の間に代替的に取り付けることも可能であり、これらも本発明の目的を実現し、ユーザーが把持方式を切り替える際の重心調整を容易にすることができる。
【0034】
[実施形態6]
実施形態1に基づいて、
図7に示すように、第2接続アーム2の可動ジョイント4の端面の軸方向が、第2接続アーム2の延伸方向と0~90度の夾角をなしており、可動ジョイントに拡張装置を取り付けたあと、ユーザーの操作が便利になる。
【0035】
[実施形態7]
実施形態1に基づいて、
図6に示すように、前記可動ジョイント2は支持フレーム5と可動的に接続される。ユーザーが支持フレーム5にハンドルと雲台を載置することを容易にする。
【0036】
[実施形態8]
実施形態1に基づいて、
図4~
図6に示すように、前記可動接続の方式は、ボルト接続、スナップ接続、磁気接続のうちの1つを選択することができる。前記接続の方式はいずれも本発明の目的を実現することができ、拡張部材を可動的にハンドルに接続することができる。
【0037】
[実施形態9]
図8に示すように、カメラと組み合わせて、本発明に記載の7の字型のスタビライザーのハンドルを使用する状況で、少なくとも6つの異なる使用方法を実現できる使用状態図が示され、ユーザーの多様な撮影体験を満足させる。
【0038】
[実施形態10]
上述した実施形態に基づいて、前記電気モーター11は、電気モーターシャフト16、磁石14、電気モーター駆動板15及び電気モーター駆動板15に位置するエンコーダー23を含む。電気モーター駆動板15とエンコーダー23がボルトを介して電気モーター端部カバーと接続され、電気モーターシャフト16が電気モーターシェルと接続される。エンコーダー23がリング磁石14と隙間をあけて同軸に配置され、電気モーターシャフト16がリング磁石14をエンコーダー23に対して相対回転させ、エンコーダー23がリング磁石14の回転角度を検出する。その電気モーターの厚さは、電気モーターシェルの厚さ+電気モーターシャフトの長さ+リング磁石の厚さ+隙間+エンコーダー+電気モーター駆動板の厚さ+ナットの高さ+電気モーター端部カバーの厚さである。
【0039】
[実施形態11]
実施形態10に基づいて、電気モーター構造を
図2に示す。該電気モーター11は、磁石14と、電気モーター駆動板15と、電気モーターシャフト16と、鉄心キャリア17と、ベアリング18とを含む。鉄心キャリア17は一端が電気モーター端部カバー19と着脱可能に接続され、他端が電気モーター用鉄心20を載せる。ベアリング18が鉄心キャリア17に固定される。電気モーターシャフト16の一端に磁石14が外嵌され、且つ両者が剛体的に接続され、電気モーターシャフト16の他端がベアリング18と鉄心キャリア17を貫通し、且つ電気モーターシェル22と固定接続される。ゆえに、磁石14は電気モーターシャフト16の軸方向の変位を防止することができる。磁石14に電気モーター駆動板15が外嵌され、且つ磁石14と電気モーター駆動板15との間に隙間が残されている。電気モーターシャフト16が回転すると、電気モーター駆動板15を回転させない。従来技術に係る電気モーター駆動板15を磁石14の先端に取り付ける構造に代えて、電気モーター駆動板15を磁石14の円筒面の外周に外嵌する。本実施形態における電気モーター11の厚さは電気モーターシェルの厚さ+電気モーターシャフトの高さ+磁石の厚さ+電気モーター端部カバーの厚さであり、従来技術における隙間+エンコーダー+電気モーター駆動板の厚さ+ナットの高さを省くことができる。これにより、電気モーター11のパワー等のパラメータを変更することなく、電気モーターの厚さを大幅に低減することができる。
【0040】
上記の実施形態では、電気モーターシャフト16および電気モーター駆動板15の取り付け位置を例示的に示したが、本発明の他の実施形態によれば、別の位置に取り付けられてもよい。例えば、電気モーターシャフト16は、一端が電気モーターロータに接続され、他端が磁石14に接続され、電気モーター駆動板15は電気モーターステータに接続されてもよい。或いは、電気モーターシャフト16は一端が電気モーターステータに接続され、他端が磁石14に接続され、電気モーター駆動板15は電気モーターロータに接続されてもよい。これらの接続構造はいずれも電気モーターの薄型化効果を実現することができる。
【0041】
[実施形態12]
実施形態10に基づいて、電気モーターシャフト16の磁石14が外嵌された一端には、使用中における電気モーターシャフト16の軸方向の変位を防止するためのねじ結合によるロック構造が設けられており、磁石14はロック構造によって電気モーターシャフト16に外嵌され、スタビライザーの電気モーターの安定性を向上させる。
【0042】
[実施形態13]
実施形態10に基づいて、電気モーター駆動板15はさらにエンコーダー23を含み、エンコーダー23の中間平面は磁石14の中間平面と面一であり、エンコーダー23は磁石14の回転角度を獲得することができる。本実施形態に係るエンコーダーの取り付け位置を採用すれば、エンコーダーが検出したデータは比較的に優れている。
【0043】
上記の実施形態では、磁石14に対するエンコーダー23の取り付け位置を例示的に示したが、本発明の他の実施形態によれば、磁石14の上縁又は下縁に位置するなど、エンコーダー23が代替的に他の位置に取り付けられてもよい。
【0044】
本発明を特定の実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明に基づいて、いくつかの変更又は改良を加えることが可能であることは当業者にとって明らかである。よって、本発明の精神を離れることなく行われたそのような変更又は改良は、すべて本発明の請求の範囲に含まれ得る。