(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】コネクタ位置保証部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20240129BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020551366
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 IB2020050935
(87)【国際公開番号】W WO2020183255
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-11-08
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ニコラス リー
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05643003(US,A)
【文献】特開2018-200792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ位置保証デバイス(200)であって、
前記コネクタ位置保証デバイス(200)は、
- 上面(206)、底面(208)、ベース前端部(210)、およびベース後端部(212)を有するベース部分(202)と、
- 前記ベース部分(202)の前記後端部(212)から離れる方向へ前記ベース部分(202)の前記前端部(210)から延びる
第1の弾性変形可能ビーム(204)であって、前記ベース部分(202)から離間した自由端(224)を有する
前記第1の弾性変形可
能ビーム(204)と、
- 前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記自由端(224)に近接して設けられているカム部材(250)とを備え、
前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)は、前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記自由端(224)に近接して前記カム部材(250)と並んで設けられているロックアウト突起係合部材(230)を有し、
前記ロックアウト突起係合部材(230)は、前記カム部材(250)の表面から前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の外側壁(227)へ延びる係合面(231)を有し、
前記係合面(231)は、前記外側壁(227)に近接した前記係合面(231)が前記カム部材(250)の前記表面(233)に近接した前記係合面(231)よりも前記自由端(224)に近くなるように、第1の角度(237)で延び、
前記係合面(231)は、前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記上面(220)から前記ロックアウト突起係合部材(230)の上面(
241)へ延び、
前記係合面(231)は、前記ロックアウト突起係合部材(230)の前記上面(
241)に近接した前記係合面(231)が前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記上面(220)に近接した前記係合面(231)よりも前記自由端(224)に近くなるように、第2の角度(243)で延びる
とともに、
第2の弾性変形可能ビーム(205)が前記第1の弾性変形可能ビーム(204)から離間し、
前記第2の弾性変形可能ビーム(205)は、前記ベース部分(202)の前記後端部(212)から離れる方向へ前記ベース部分(202)の前記前端部(210)から延び、前記ベース部分(202)から離間した自由端(224)を有する、
コネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項2】
コネクタ位置保証デバイス(200)であって、
前記コネクタ位置保証デバイス(200)は、
- 上面(206)、底面(208)、ベース前端部(210)、およびベース後端部(212)を有するベース部分(202)と、
- 前記ベース部分(202)の前記後端部(212)から離れる方向へ前記ベース部分(202)の前記前端部(210)から延びる第1の弾性変形可能ビーム(204)であって、前記ベース部分(202)から離間した自由端(224)を有する前記第1の弾性変形可能ビーム(204)と、
- 前記第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記自由端(224)に近接して設けられているカム部材(250)とを備え、
前記第1の弾性変形可能ビーム(204)は、前記第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記自由端(224)に近接して前記カム部材(250)と並んで設けられているロックアウト突起係合部材(230)を有し、
前記ロックアウト突起係合部材(230)は、前記カム部材(250)の表面から前記第1の弾性変形可能ビーム(204)の外側壁(227)へ延びる係合面(231)を有し、
前記係合面(231)は、前記外側壁(227)に近接した前記係合面(231)が前記カム部材(250)の前記表面(233)に近接した前記係合面(231)よりも前記自由端(224)に近くなるように、第1の角度(237)で延び、
前記係合面(231)は、前記第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記上面(220)から前記ロックアウト突起係合部材(230)の上面(241)へ延び、
前記係合面(231)は、前記ロックアウト突起係合部材(230)の前記上面(241)に近接した前記係合面(231)が前記第1の弾性変形可能ビーム(204)の前記上面(220)に近接した前記係合面(231)よりも前記自由端(224)に近くなるように、第2の角度(243)で延びるとともに、
位置決めレール(260)が前記ベース部分(202)から延び、前記位置決めレール(260)は、コネクタと協働して、前記コネクタに対する前記コネクタ位置保証デバイス(200)の適切な位置決めおよび安定化をもたらすように構成されており、
前記位置決めレール(260)はラッチ突起を有し、前記ラッチ突起は、前記コネクタと協働して、前記コネクタ位置保証デバイス(200)が前記コネクタから外れることを防ぐように構成されている、
コネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項3】
前記カム部材(250)は傾斜面(252)を有する、
請求項1
または2に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項4】
位置決めレール(260)が前記ベース部分(202)から延び、前記位置決めレール(260)は、コネクタと協働して、前記コネクタに対する前記コネクタ位置保証デバイス(200)の適切な位置決めおよび安定化をもたらすように構成されている、
請求項1に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項5】
前記位置決めレール(260)はラッチ突起を有し、前記ラッチ突起は、前記コネクタと協働して、前記コネクタ位置保証デバイス(200)が前記コネクタから外れることを防ぐように構成されている、
請求項4に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項6】
前記位置決めレール(260)の長手方向軸が、前記
第1の弾性変形可能ビーム(20
4)の長手方向軸および前記第2の弾性変形可能ビーム(205)の長手方向軸に平行である、
請求項4に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項7】
前記第1の角度(237)が60度~85度の角度である、
請求項1
または2に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項8】
前記第2の角度(243)が60度~85度の角度である、
請求項1
または2に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項9】
前記第1の角度(237)が60度~85度の角度であり、前記第2の角度(243)が60度~85度の角度である、
請求項1
または2に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項10】
第2の弾性変形可能ビーム(205)が前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)から離間し、
前記第2の弾性変形可能ビーム(205)は、前記ベース部分(202)の前記後端部(212)から離れる方向へ前記ベース部分(202)の前記前端部(210)から延び、前記ベース部分(202)から離間した自由端(224)を有する、
請求項
2に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項11】
第2のカム部材(250)が前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の前記自由端(224)に近接して設けられ、
前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)は、前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の前記自由端(224)に近接して前記第2のカム部材(250)と並んで設けられている第2のロックアウト突起係合部材(230)を有し、
前記第2のロックアウト突起係合部材(230)は第2の係合面(231)を有し、
前記第2の係合面(231)は、前記第2のカム部材(250)の表面から前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の外側壁(227)へ延び、
前記第2の係合面(231)は、前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の前記外側壁(227)に近接した前記第2の係合面(231)が前記第2のカム部材(250)の前記表面(233)に近接した前記第2の係合面(231)よりも前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の前記自由端(224)に近くなるように、第3の角度(237)で延び、
前記第2の係合面(231)は、前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の前記上面(220)から前記第2のロックアウト突起係合部材(230)の
上面(241)へ延び、
前記第2の係合面(231)は、前記第2のロックアウト突起係合部材(230)の前記上面
(241)に近接した前記第2の係合面(231)が前記第2の
弾性変形可能ビーム
(205)の前記上面(220)に近接した前記第2の係合面(231)よりも前記第2の
弾性変形可能ビーム
(205)の前記自由端(224)に近くなるように、第4の角度(243)で延びる、
請求項
1または10に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項12】
前記第1の角度(237)と前記第3の角度(237)とは等しい、
請求項11に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項13】
前記第2の角度(243)と前記第4の角度(243)とは等しい、
請求項12に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【請求項14】
前記
第1の弾性変形可能ビーム(204)の長手方向軸が、前記第2の
弾性変形可能ビーム(205)の長手方向軸に平行である、
請求項13に記載のコネクタ位置保証デバイス(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月23日に出願された米国特許出願第15/933,953号の一部継続出願であり、その優先権を主張する。米国特許出願第15/933,953号は、参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0002】
本発明は、相手側コネクタが適切に嵌合していることを保証する適切なコネクタ位置保証をもたらす、コネクタ位置保証デバイス、電気コネクタ、および電気コネクタアセンブリに関する。特に、コネクタ位置保証デバイス、電気コネクタ、および電気コネクタアセンブリは、小型のコネクタアセンブリの適切なコネクタ位置保証をもたらす。
【背景技術】
【0003】
ある応用例において、電子部品は、電気コンタクトを含む第1のハウジングと第2のハウジングとを接合する電気コネクタアセンブリを必要とする。一方のハウジングは雄電気コンタクトを含み、他方のハウジングは雌電気コンタクトを含む。第1のハウジングは、第2のハウジング内に受け入れられて、雄電気コンタクトと雌電気コンタクトとが電気的に接続するように構成されている。第1のハウジングと第2のハウジングとが電気コンタクトに適切に接続されることを保証するために、第1のハウジングと第2のハウジングとは、より一般的に位置保証機構と呼ばれるラッチアセンブリを備える。公知の応用例において、ラッチアセンブリは、ベースプレートと、第1のハウジングの吊下プロング(suspended prong)と、第2のハウジングの傾斜面とを含む。
ベースプレートは、プロングの近くに摺動可能に保持される。第1のハウジングが第2のハウジングの周りに挿入されると、プロングは傾斜面にスナップ嵌めされ、その後、ベースプレートは傾斜面およびプロング上を摺動して係合位置に入る。多くの適用において、通常、可聴クリック音を使用して、コネクタが完全に嵌合しているかどうかを検出する。しかしながら、組立工場の騒音のため、これが有効でないことがある。
【0004】
加えて、ラッチまたは保持アセンブリを使用して、コネクタ半部(connector halves)をコネクタ位置保証(CPA)デバイスと共に完全嵌合位置に維持する電気コネクタが提案されている。コネクタ半部が嵌合し、ラッチまたは保持アセンブリがコネクタ半部間の接触を維持するように位置決めされると、コネクタ位置保証デバイスは、コネクタ半部が適切に接続されていることを示す位置へ動く。したがって、コネクタ位置保証デバイスは、コネクタ半部が完全に嵌合することを保証する手段を提供する。
【0005】
公知のコネクタ位置保証デバイスは、第1のハウジングおよび第2のハウジングと比べて大きい空間を必要とする。したがって、コネクタの大きさによってコネクタ位置保証がハウジングと相互作用できる方法が限られるため、公知のコネクタ位置保証デバイスは小型のコネクタに関して実用的ではない。加えて、公知のコネクタ位置保証を使用しても、かなりの数のコネクタは適切に嵌合することができない。例えば、自動車用コネクタに関する最大の保証問題は、コネクタが完全に嵌合していないと、自動車が組立工場から出荷された後にシステムの故障が生じることである。これは、車両組立工場において、初期の電気接触を行うのに十分な程度に一部のコネクタが嵌合されるが、コネクタのラッチは完全に係合されないため、コネクタ同士がロックまたは固定されないことによる。
このようなコネクタは、その後、車両を凸凹の道路などで運転したときに現地でばらばらになり、システム機能が失われる。公知のコネクタ位置保証をコネクタに組み込んでも、多くの場合、操作者がコネクタ位置保証を適切に起動しないため、コネクタが適切に嵌合され固定されることは保証されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決すべき課題は、前述した問題を克服し、小型のコネクタアセンブリの適切なコネクタ位置保証をもたらすことである。別の解決すべき課題は、コネクタが部分的に嵌合している、または全く嵌合していない場合に、コネクタ位置保証が完全係合位置になることを防止または阻止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、ベース部分と弾性変形可能ビームとを有するコネクタ位置保証デバイスによって解決される。ベース部分は、上面、底面、ベース前端部、およびベース後端部を含む。弾性変形可能ビームは、ベース部分の後端部から離れる方向へベース部分の前端部から延びる。ビームはベース部分から離間した自由端を有する。カム部材が、ビームの自由端に近接して設けられる。ビームは、ビームの自由端に近接してカム部材と並んで設けられているロックアウト突起係合部材を有する。ロックアウト突起係合部材は係合面を有する。係合面は、カム部材の表面からビームの外側壁へ延びる。係合面は、外側壁に近接した係合面がカム部材の表面に近接した係合面よりも自由端に近くなるように、第1の角度で延びる。係合面は、ビームの上面からロックアウト突起係合部材の上面へ延びる。係合面は、ロックアウト突起係合部材の上面に近接した係合面がビームの上面に近接した係合面よりも自由端に近くなるように、第2の角度で延びる。
【0008】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的なプラグコネクタの斜視図であり、プラグコネクタが例示的なヘッダまたは相手側コネクタに嵌合している状態を示す図である。
【
図2】
図1に示したプラグコネクタの上面斜視図である。
【
図3】
図1に示したヘッダまたは相手側コネクタの正面斜視図である。
【
図4】プラグコネクタに収容される例示的なコネクタ位置保証部材の上面斜視図である。
【
図5】
図4に示したコネクタ位置保証部材の底面斜視図である。
【
図6】
図4に示したコネクタ位置保証部材のロックアウト突起係合部材の拡大上面図である。
【
図7】
図4に示したコネクタ位置保証部材のそれぞれのロックアウト突起係合部材の拡大側面図である。
【
図8A】コネクタ位置保証部材が初期位置にある状態で、プラグコネクタが最初にヘッダまたは相手側コネクタに係合する様子を示す、コネクタ位置保証部材のビームで切り取られた断面図である。
【
図8B】初期位置にあるコネクタ位置保証部材を示す、プラグコネクタの位置決めアームで切り取られた断面図である。
【
図8C】
図8Aに示した、ヘッダまたは相手側コネクタとコネクタ位置保証部材とのインタロック係合の拡大図である。
【
図9】コネクタ位置保証部材が初期位置にある状態で、プラグコネクタがヘッダまたは相手側コネクタに部分的に嵌合する様子を示す、コネクタ位置保証部材のビームで切り取られた断面図である。
【
図10】コネクタ位置保証部材が初期位置と最終位置もしくはロック位置との間にある状態で、プラグコネクタがヘッダまたは相手側コネクタに完全に嵌合する様子を示す、コネクタ位置保証部材のビームで切り取られた断面図である。
【
図11A】コネクタ位置保証部材が最終位置もしくはロック位置にある状態で、プラグコネクタがヘッダまたは相手側コネクタに完全に嵌合する様子を示す、コネクタ位置保証部材のビームで切り取られた断面図である。
【
図11B】コネクタ位置保証部材が最終位置もしくはロック位置にある状態で、プラグコネクタがヘッダまたは相手側コネクタに完全に嵌合する様子を示す、プラグコネクタの位置決めアームで切り取られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、電気コネクタまたはプラグ10が相手側コネクタまたはヘッダ100に嵌合して、共にコネクタアセンブリ50を形成する様子を示す斜視図である。電気コネクタ10および相手側コネクタ100は、代表的なものとして示されており、本発明の範囲から逸脱することなく変更可能である。コネクタ10、100は、図示しないコンタクトおよびコンタクトラッチなどの多くの他の機構を有する。
【0011】
図2を参照すると、電気コネクタ10は、コンタクト13(
図8A)を受け入れるためのコンタクト受入通路14を備えたハウジング本体12を有する。電気コネクタ10は、嵌合前端部16と後端部18とを有する。コンタクト受入通路14に挿入されたコンタクト13に電気的に係合する導体またはワイヤ15が、後端部18から延びる。第1の側面19と、反対側を向く第2の側面20とが、嵌合端部16と後端部18との間に延びる。
【0012】
係合突起24を有するラッチまたはラッチアーム22が、側面19、20から延びる。図示した実施形態において、各ラッチ22は、嵌合前端部16に近接してそれぞれの側面19、20に接続され、後端部18に向かって延びる。より完全に後述するように、ラッチ22を使用して、相手側コネクタ100をコネクタ10にラッチ止めして固定する。
図8(
図8A,
図8B,
図8C)~
図11(
図11A,
図11B)に示すように、コネクタ位置保証(CPA)受入凹部30がラッチアーム22に近接して位置決めされている。ロックアウト突起40が、ラッチ22に近接して設けられ、コネクタ位置保証受入凹部30内へ延びてコネクタ位置保証デバイス200と協働する。ロックアウト突起40は、ラッチ22の両側に設けられる。
【0013】
図3に最もよく示すように、相手側コネクタ100は相補ラッチ係合部110を有し、この相補ラッチ係合部110は、コネクタ10と相手側コネクタ100とが非嵌合位置から嵌合位置へ動くとラッチアーム22に係合するように位置決めされる。ラッチ受入開口部114が、ラッチ係合部110(または起動部110)に近接して位置決めされ、コネクタ10が相手側コネクタ100に完全に嵌合したときに係合突起24を受け入れるように寸法決めされる。ラッチ係合部110(または起動部110)は、コネクタ位置保証係合リブとしても作用する。
【0014】
適切に嵌合すると、ラッチアーム22の係合突起24はラッチ受入開口部114と協働し、ラッチ受入開口部114に位置決めされて、相手側コネクタ100を電気コネクタ10に固定する。嵌合位置で、コネクタ10は相手側コネクタ100のシュラウド120内に受け入れられる。相手側コネクタ100の電気コンタクト130(
図8Aおよび
図8B)が、電気コネクタ10の電気コンタクト13に嵌合する。
【0015】
図8~
図11に示すように、コネクタ位置保証デバイス200が、コネクタ10のラッチアーム22に近接して位置決めされ、ラッチアーム22に対して可動になっている。コネクタ位置保証デバイス200は、コネクタ位置保証受入開口部30に維持され、
図8に示す第1の位置または開位置と、
図11に示す第2の位置または完全挿入位置との間で可動である。
【0016】
図4および
図5を参照すると、コネクタ位置保証デバイス200は、ベース部分202と、ベース部分202から延びる2つの弾性変形可能ビーム204、205とを有する。ビーム204の長手方向軸は、ビーム205の長手方向軸に略平行である。ベース部分202は、上面206、底面208、ベース前端部210、およびベース後端部212を有する。ビーム204は、後端部212から離れる方向へ、前端部210から延びる。後端部212は、操作者がコネクタ位置保証デバイス200を手動で係合または起動することができるように構成される。ベース部分202の前端部210はラッチ係合部を含む。このラッチ係合部は、上面206から延び、より完全に後述するように、コネクタ10が相手側コネクタ100と完全に嵌合していないときにラッチ22と相互作用するように構成される。ラッチ受入キャビティ228が上面に設けられる。
【0017】
弾性変形可能ビーム204、205の各々は、上面220、底面222、ビーム前端部224、ビーム後端部226、内側壁225、および外側壁227を有する。ビーム204の内側壁225は、ビーム205の内側壁225に面している。各ビーム204、205の後端部226は、ベース部分202の前端部210に取り付けられるか、または前端部210と一体である。
【0018】
ロックアウト突起係合部材230が、各ビーム204、205の上面220から延びる。カム部材250が、ロックアウト突起係合部材230に近接してロックアウト突起係合部材230と並んで設けられる。カム部材250は、各ビーム204、205の上面220から延びる。カム部材250は、ビーム204、205の自由端に近接して、かつビーム204、205の内側壁225に近接して設けられる。ロックアウト突起係合部材230は、第1のビームの自由端および第1のカム部材に近接して、かつビーム204、205の外側壁に近接して設けられる。より完全に後述するように、カム部材250は、相手側コネクタ100の起動部110とより良好に協働するための傾斜面252を有する。
【0019】
図6および
図7に最もよく示すように、各ロックアウト突起係合部材230は、コネクタ10のロックアウト突起40の相手側係合面41と協働するように構成されている係合面231を有する。
【0020】
図6を参照すると、例示的な実施形態において、係合面231は、カム部材250の表面233から変形可能ビーム204、205の外側壁227へ延びる。係合面231は、外側壁227に近接した係合面231がカム部材250の表面233に近接した係合面231よりもビーム前端部224に近くなるように傾斜している。この
図6の構成において、係合面231は角度237を形成する。角度237の大きさは変更可能であり、角度は60度~85度であり得るが、これに限定されない。
【0021】
図7を参照すると、例示的な実施形態において、係合面231は、ビーム204、205の上面220からロックアウト突起係合部材230の上面241へ延びる。係合面231は、ロックアウト突起係合部材230の上面241に近接した係合面231がビーム204、205の上面220に近接した係合面231よりもビーム前端部224に近くなるように傾斜している。この
図7の構成において、係合面231は角度243を形成する。角度243の大きさは変更可能であり、角度は60度~85度であり得るが、これに限定されない。
【0022】
図4および
図5に最もよく示すように、位置決めレール260がベース部分202から延びる。位置決めレール260はラッチ突起262を有する。位置決めレール260は、コネクタ10の相手側凹部と協働して、コネクタ10のハウジング本体12に対するコネクタ位置保証デバイス200の適切な位置決めおよび安定化をもたらす。ラッチ突起262はコネクタ10と協働して、コネクタ位置保証デバイス200がコネクタ10から外れることを防ぎ、相手側コネクタ100との嵌合前に、コネクタ位置保証デバイス200をコネクタ10における第1の位置に保持する。位置決めレール260の長手方向軸は、ビーム204、205の長手方向軸に略平行である。
【0023】
図8~
図11を参照すると、プラグまたはコネクタ10をヘッダまたは相手側コネクタ100に挿入する進行(progression)または方法が示される。
図8Aおよび
図8Bでは、コネクタ10がヘッダコネクタ100に大まかに位置決めされている。この位置では、ラッチ22の係合突起24はコネクタ100のラッチ係合部110に係合していない。コネクタ位置保証デバイス200は、嵌合前の開位置または第1の位置に維持される。この位置で、ラッチ22は正常位置または非偏向位置にある。
図8Bに最もよく示すように、コネクタ位置保証デバイス200は、ラッチ突起262と、コネクタ位置保証ラッチアーム受入開口部32内へ延びる突起33との協働によって、嵌合前の開位置または第1の位置に維持される。
【0024】
加えて、
図8Aおよび
図8Cに最もよく示すように、コネクタ10のロックアウト突起40は、ロックアウト突起係合部材230に係合して、コネクタ位置保証デバイス200の、嵌合後の第2の位置または挿入位置への望ましくない挿入を防ぐ。
図8Cに示すように、ロックアウト突起40の相手側係合面41は、ロックアウト突起係合部材230の係合面231とは逆の傾斜を有するように構成されて、係合面231と相手側係合面41とが一種のインタロック係合を形成することができるようになっている。係合面231および相手側係合面41の角度が協働して、意図せず克服することが困難なポジティブロックを形成するため、コネクタ10に完全に挿入されていない相手側コネクタ100へのコネクタ位置保証デバイス200の望ましくない進入を防ぐ。
【0025】
コネクタ10が相手側コネクタ100のシュラウド120に部分的に挿入されると、ラッチ22の係合突起24が動いて相手側コネクタ100のラッチ係合部110に係合する。挿入が継続されると、
図9に示すように、ラッチ係合部110によって、係合突起24とラッチ22とがコネクタ10の両側面19、20から離れて弾性的に起動または偏向する。例えば、コンタクト13、130の不適切な位置合わせによりコネクタ10が相手側コネクタ100と適切に嵌合できない場合、相手側コネクタ100内へのコネクタ10の挿入の継続を防ぐことができる。これが行われると、ラッチ22は
図9に示す偏向位置にとどまる。
この位置では、ラッチ22がコネクタ位置保証デバイス200のラッチ協働部材240の前端部242に係合して、コネクタ位置保証デバイス200が嵌合後の第2の位置または挿入位置へ動くことを防ぐため、コネクタ位置保証デバイス200は第2の位置または挿入位置へ動くことができない。
【0026】
挿入が継続されると、
図10に示すように、ラッチ22の係合部24がラッチ係合部110を通り過ぎることにより、ラッチ22は元の位置または応力を受けない位置へ戻ることができる。この位置で、係合部24はラッチ受入開口部114に位置決めされ保持される。係合部24がラッチ受入開口部114に適切に位置決めされた状態で、コネクタ位置保証デバイス200を嵌合前の開位置または第1の位置から嵌合後の第2の位置または挿入位置へ動かすことができる。これが行われると、カム部材250の傾斜面252は相手側コネクタ100のコネクタ位置保証起動領域140に係合して、カム部材250と弾性変形可能ビーム204、205とをコネクタ10の底面20に向かって動かす。
これが行われると、ロックアウト突起係合部材230の係合面231が、わずかに後方およびコネクタ10のロックアウト突起40の相手側係合面41の下方へ動くことにより、コネクタ10のコネクタ位置保証受入凹部30へのコネクタ位置保証デバイス200の挿入を継続することができる。しかしながら、コネクタ10と相手側コネクタ100とが完全に嵌合していない場合、カム部材250はコネクタ位置保証起動領域140に係合しないことにより、弾性変形可能ビーム204、205とロックアウト突起係合部材230とが動くことを防ぐ。これにより、ロックアウト突起係合部材230とロックアウト突起40との協働によって、コネクタ位置保証デバイス200の挿入の継続を防ぐ。
【0027】
弾性変形可能ビーム204、205が適切に偏向された状態で、コネクタ位置保証デバイス200の挿入を継続することができる。挿入が継続されると、
図11Aおよび
図11Bに示すように、コネクタ位置保証デバイス200は嵌合後の第2の位置または挿入位置へ動く。この位置で、カム部材250が相手側コネクタ100のコネクタ位置保証起動領域140を越えてラッチ受入開口部114に入ることにより、カム部材250と弾性変形可能ビーム204、205とは応力を受けない位置へ戻ることができる。この位置で、ロックアウト突起係合部材230は、コネクタのロックアウト突起40を通り過ぎて、嵌合後の閉位置または第2の位置へ動く。
【0028】
コネクタ位置保証デバイス200は、カム部材250とラッチ受入開口部114との協働によって、嵌合後の閉位置または第2の位置に維持される。
【0029】
この完全挿入位置では、コネクタ位置保証デバイス200のラッチ受入キャビティ228がラッチ22の真下に位置決めされる。完全挿入位置で、コネクタ位置保証デバイス200のラッチ協働部材240はラッチ22の下方に位置決めされて、ラッチ22の起動または動きを阻止し、相手側コネクタ100からのコネクタ10の望ましくないまたは意図しない分離を防ぐ。
【0030】
コネクタ10を相手側コネクタ100から分離させる場合、コネクタ位置保証デバイス200を初期位置へ戻す。コネクタ位置保証デバイス200に挿入と反対の方向へ加えられる力により、カム部材250がラッチ受入開口部114から抜け出て、コネクタ位置保証デバイス200を嵌合前の開位置または第1の位置へ動かすことができる。動きが継続されると、コネクタ位置保証デバイス200の上面206がラッチ22から離れて、ラッチ22を押し下げることができ、これにより、コネクタ10を相手側コネクタ100から分離させることができる。