(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】配合物の複数の画分の定量的割合を決定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 29/11 20060101AFI20240129BHJP
G01N 29/44 20060101ALI20240129BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20240129BHJP
G01N 29/02 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/44
G01N29/24
G01N29/02
(21)【出願番号】P 2020561901
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2019053406
(87)【国際公開番号】W WO2019238274
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】102018114481.4
(32)【優先日】2018-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520424010
【氏名又は名称】ティプコ・トゥデシュキ・インダストリアル・プロセス・コントロール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】519434400
【氏名又は名称】クナウフ ギプス コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トゥデシュキ・ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】コーレイ・ヘサム
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/026503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017420(US,A1)
【文献】NSUGBE, Ejay et al.,Particle Size Distribution Estimation Of A Mixture Of Regular And Irregular Sized Particles Using Acoustic Emissions,PROCEDIA MANUFACTURING,2017年,Vol. 11,p. 2252-2259,http://dx.doi.org/10.1016/j.promfg.2017.07.373,PARTICLES USING ACOUSTIC EMISSIONS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N29/00-G01N29/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法であって、
-各画分の粒子が異なる密度を有し、配合物(2)の全ての前記画分の前記粒子の粒径が同じ粒子等級で構成されている、配合物(2)を提供するステップと、
-前記配合物(2)の粒子が、導波路として構成された少なくとも1つの衝撃構造(5)と衝突し、前記衝撃構造(5)を伝播する音波として各衝撃構造(5)内に広がる音響信号を生成する、一定のフローエネルギーによって、搬送フロー(4)において搬送方向(3)に前記配合物(2)を輸送するステップと、
-前記音響信号を取得し、振動変換器(6)を用いて電気信号に変換するステップと、
-
前記配合物(2)の定量的割合を決定するため、前記振動変換器(6)からの前記電気信号を信号処理するステップと、
を備える、配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法が、
一定のフローエネルギーを有する搬送フロー(4)用に、前記信号処理の開始前に較正関数を生成する、次のステップ(i)から(vi)によって特徴付けられていて、前記次のステップ
(i)から(vi)は、
(i)個々の
複数の試料の前記画分
の既知かつ異なる定量的割合を持つ複数の試料を、以下のステップ(ii)から(vi)で、試験するステップであって、前記以下のステップ(ii)から(vi)は、
(ii)各試料に対する前記振動変換器(6)からの前記変換した電気信号を時間窓に分割するステップと、
(iii)各試料について、全ての時間窓内の前記電気信号の最小の負の強度値又は前記電気信号の最大の正の強度値を同定するステップであって、前記時間窓内の前記電気信号の強度値ので、前記最小の負の強度値は、負の領域内でゼロから最も離れた値であり、前記最大の正の強度値は、正の領域内でゼロから最も離れた値である、前記同定するステップと、
(iv)各試料について、前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値の累積相対頻度を決定するステップと、
(v)各試料について、前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値の前記累積相対頻度から強度値I
nを決定するステップであって、
値「n」が、前記強度値I
n以下である強度値のパーセンテージ割合であり、
各試料に対する前記強度値I
nの前記値「n」が50以上であり、かつ全ての試料について値「n」が同じである、
各試料に対する前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値の前記累積相対頻度から前記強度値I
nを決定するステップと、
(vi)各試料に対して(v)で決定された強度値I
nを前記それぞれの試料に対する前記粒状体の前記画分の既知
の定量的割合に割り当てることによって、前記較正関数を生成するステップと
であり
、
前記較正関数の生成後に、前記定量的割合を決定するため前記電気信号を信号処理する前記ステップが、
-前記振動変換器(6)によって変換された前記電気信号を時間窓に分割するステップと、
-測定期間の各時間窓内の前記電気信号の最小の負の強度値又は前記電気信号の最大の正の強度値を同定するステップと、
-前記測定期間中に、前記電気信号の前記最大又は最小の強度値について、累積相対頻度を決定するステップと、
-前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値について、前記累積相対頻度から強度値I
nを決定するステップであって、前記値「n」が、前記強度値I
n以下である前記強度値のパーセンテージ割合であり、前記較正関数の前記生成に基づいて、前記強度値I
nの前記値「n」が前記強度値I
nと同じである、前記強度値I
nを決定するステップと、
-前記較正関数を決定された前記強度値I
nに適用することによって、前記配合物(2)の前記画分の前記定量的割合を決定するステップと、を備える、
配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法。
【請求項2】
配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法であって、
-各画分の粒子が異なる密度を有し、配合物(2)の全ての前記画分の前記粒子の粒径が同じ粒子等級で構成されている、配合物(2)を提供するステップと、
-前記配合物(2)の粒子が、導波路として構成された少なくとも1つの衝撃構造(5)と衝突し、前記衝撃構造(5)を伝播する音波として各衝撃構造(5)内に広がる音響信号を生成する、既知のフローエネルギーによって、搬送フロー(4)において搬送方向(3)に前記配合物(2)を輸送するステップと、
-前記音響信号を取得し、振動変換器(6)を用いて電気信号に変換するステップと、
-
前記配合物(2)の定量的割合を決定するため、前記振動変換器(6)からの前記電気信号を信号処理するステップと、
を備える、配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法が、
非一定のフローエネルギーを持つ搬送フロー(4)に、前記信号処理の開始前に較正関数を生成する、次のステップ(i)から(viii)によって特徴付けられていて、前記次のステップ(i)から(viii)は、
(i)前記フローエネルギーを取得する少なくとも1つの変換器(14)からの前記電気信号と、前記配合物の異なる既知のフローエネルギーに対する前記搬送フロー(4)の前記フローエネルギーとの関係が決定される、少なくとも1つの正規化関数を生成するステップと、
(ii)個々の
複数の試料の前記画分の
既知かつ異なる定量的割合を持つ複数の試料を、以下のステップ(iii)から(viii)で、試験するステップであって、
(iii)前記正規化関数によって、各試料に対する前記振動変換器(6)からの前記電気信号を変換するステップと、
(iv)前記正規化関数によってエネルギー正規化された各試料に対する前記振動変換器(6)からの前記電気信号を、時間窓に分割するステップと、
(v)各試料に対する全ての時間窓内の前記電気信号の最小の負の強度値又は前記電気信号の最大の正の強度値を同定するステップであって、前記時間窓内のエネルギー正規化された前記電気信号の強度値の中で、前記最小の負の強度値は、負の領域内でゼロから最も離れた値であり、前記最大の正の強度値は、正の領域内でゼロから最も離れた値である、前記同定するステップと、
(vi)各試料に対する前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値の累積相対頻度を決定するステップと、
(vii)値「n」が、前記強度値I
n以下である強度値のパーセンテージ割合であり、各試料に対する前記強度値I
nの前記値「n」が50以上であり、かつ全ての試料について前記値「n」が同じである、各試料に対する前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値の前記累積相対頻度から前記強度値I
nを決定するステップと、
(viii)各試料に対して(vii)で決定された強度値I
nを前記それぞれの試料の前記画分の既知
の定量的割合に割り当てることによって、前記較正関数を生成するステップと、
である、前記配合物(2)の試料を試験するステップと
であり、
前記較正関数の生成後に、前記定量的割合を決定するため前記電気信号を信号処理する前記ステップが、
-前記搬送フロー(4)の前記フローエネルギーを取得し、少なくとも1つの前記変換器(14)を用いて電気信号に変換するステップと、
-前記取得したフローエネルギーを考慮する前記正規化関数によって、前記振動変換器(6)からの前記電気信号を変換するステップと、
-前記振動変換器によって変換された前記エネルギー正規化された電気信号を時間窓に分割するステップと、
-測定期間の各時間窓内の前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値を同定するステップと、
-前記測定期間中に、前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値について、累積相対頻度を決定するステップと、
-前記電気信号の前記最小の負の強度値又は前記最大の正の強度値について、前記累積相対頻度から強度値I
nを決定するステップであって、前記値「n」が、前記強度値I
n以下である前記強度値のパーセンテージ割合であり、前記較正関数の前記生成に基づいて、前記強度値I
nの前記値「n」が前記強度値I
nと同じである、前記強度値I
nを決定するステップと、
-前記較正関数を決定された前記強度値I
nに適用することによって、前記配合物(2)の前記画分の前記定量的割合を決定するステップと、を備える、
配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を決定する方法。
【請求項3】
前記配合物(2)を提供するステップが、前記配合物(2)を粒径で分類するステップを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記配合物(2)の前記粒子等級が、15未満の均等係数C
Uを有する粒子のみ含むことを特徴とする、請求項1から3のうちの一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子の前記粒径が、0mmから60mmの前記粒子等級の前記配合物(2)の全ての画分を含む、請求項1から4のうちの一項に記載の方法。
【請求項6】
-搬送フロー(4)において搬送方向(3)に前記配合物を輸送する搬送装置と、
-前記配合物(2)の粒子を衝突させることにより音響信号を生成する、前記搬送フロー(4)内に配置された少なくとも1つの衝撃構造(5)と、
-前記音響信号を取得して電気信号に変換する、前記衝撃構造(5)に接続された振動変換器(6)と、
-請求項1に記載された前記定量的割合の連続的な決定用に、各振動変換器(6)からの前記電気信号を信号処理するように構成された信号処理ユニット(8)と、
-前記搬送フロー(4)の前記フローエネルギーを一定に保つように構成された制御手段と
を備える、請求項1に記載の方法の実行用に構成された装置(1)。
【請求項7】
-搬送フロー(4)において搬送方向(3)に前記配合物を輸送する搬送装置と、
-前記配合物(2)の粒子を衝突させることにより音響信号を生成する、前記搬送フロー(4)内に配置された少なくとも1つの衝撃構造(5)と、
-前記音響信号を取得して電気信号に変換する、前記衝撃構造(5)に接続された振動変換器(6)と、
-請求項2に記載された前記定量的割合の連続的な決定用に、各振動変換器(6)からの前記電気信号を信号処理するように構成された信号処理ユニット(8)と、
―前記搬送フロー(4)の前記フローエネルギーを検出するように構成された少なくとも1つの変換器(14)と
を備える、
と、を備える、請求項2に記載の方法の実行用に構成された装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配合物の粒状体の複数の画分の定量的割合を決定する方法、及びその方法を実行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配合物の本質的特徴は、処理監視、品質管理、品質保証、機械及びプラント監視、並びに機械及び設備制御の測定可能な変数として多数の産業分野で使用される、粒状体の様々な画分の定量的割合によって構成される。特に被覆材処理(複数)の制御に関しては、様々な鉱物の原料の顆粒画分の定量的割合又は質量割合を認識することに特定の重要性がある。
【0003】
配合物は、様々な輸送システムによって輸送され、概して、輸送は、油圧で、空気圧で、連続する搬送装置によって、又は自由落下によってフローを搬送することによって実行される。
【0004】
定量的割合は、質量割合としても知られていて、粒状体の様々な画分によって形成された配合物の定量的組成物を説明する。質量割合は、質量mi、考察中の画分i、及びおよび考察中の配合物の他の画分(複数可)jの質量mjによって形成される商として定義される。
【0005】
定量的割合を決定する既知の方法は、配合物から取り出してオフラインで調べられる試料を必要とする。試料の取得と、それを試験して結果を得ることの間の時間差は、定量的割合の変動が、その後の時点においてしか検出されないことを意味する。この時間差のため、関係する複数処理の適時制御は不可能である。
【0006】
この問題を解決するために、特許文献1(DE102015101537(A1))は、搬送フロー中の配合物を連続的に分析する方法及び装置を提案していて、これは、搬送フロー中に含有される成分を検出すること、及び少なくとも1つの成分の質量画分の決定を可能にする。搬送フローは、石膏及び無水石膏画分からなり、例えば、連続する搬送装置の構成要素であり得る搬送ライン上を連続的に移動する。音響放出、構造伝播音、及び空気伝播音を検出する音響センサが、搬送装置のラインと関連付けられている。配合物の単一成分の検出、ならびに搬送フロー中のそれぞれの成分の質量画分の決定は、配合物の個々の成分の個々の際立った特徴に基づいて実行され、制御システムに記憶され、そしてセンサ信号と比較される。
【0007】
その方法は、もっぱらセンサ信号の分析に基づいているので、既知の方法では、定量的割合を十分な正確さで決定ができない。
【0008】
特許文献2(WO2016/026503(A1))によって、成分の定量的割合によって可能な限り均一である配合物を生成するために、浮石材料と変動組成の様々な鉱物成分とを混合する方法及び装置が知られている。変動組成を有する浮石材料が、第1の容器から搬送ベルト上へ堆積される。
【0009】
搬送方向において第1の容器の下流に配置された音響センサユニットを用いて、岩石材料の異なる量の個々の成分が、様々な容器から搬送ベルト上へ堆積される。制御された追加は、様々な成分からなる配合物の一定の混合を生じさせることを意図している。具体的には、第1の容器内の配合物は、鉱物の原料石膏及び無水石膏を含む。音響センサは、変動する信号強度及び周波数に基づいて、配合物中の無水石膏及び石膏の異なる周波数を検出する。第1の容器からの配合物の石膏及び無水石膏の定量的割合は、これらの信号に基づいて決定される。石膏及び無水石膏から形成された配合物の可能な限り均一な混合物を得るために、この決定の関数として、第2及び第3の容器から石膏又は無水石膏が非常に低い精度で加えられる。
【0010】
非特許文献1は、ガラスとポリエチレン粒子のセットの混合物の粒度分布を推定するために音響反射を使用する可能性を開示している。実験的なリグは、音響センサが配置された目標プレート上の粒子の連続的な流れの自由落下を可能する。目標プレート上の流量は、既知の速度で35分注される。時間領域多重閾値法を用いて、粒度分布が推定できることが観察された。信号は、混合物中の大きな粒子からの衝撃事象に対応する高振幅区間と、混合物中の小さな粒子に対応する低振幅区間に分離される。各振幅区間内では、しきい値は各区間内で変化し、これが行われるたびに振幅平均が抽出される。その後、この平均値は混合物の混合比と相関し、調査が必要な可能な混合比ごとに継続的に行われる。その後、最良の相関プロットが粒子サイズ推定モデルとして選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許出願公開第102015101537号明細書
【文献】国際公開第2016/026503号
【文献】国際公開第2017/055064号
【非特許文献】
【0012】
【文献】EJAY NSUGBE ET AL: ”Particle Size Distribution Estimation of a Mixture of Regular and Irregular Sized Particles Using Acoustic Emissions”, PROCEDIA MANUFACTURING, vol. 11,1 January 2017 (2017-01-01), pages 2252-2259, XP055583451,43rd North American Manufacturing Research Conference, NAMRC 43, 8-12 June 2015, UNC Charlotte, North Carolina, United States ISSN: 2351-9789, DOI: 10.1016 / j.promfg. 2017.07.373
【発明の概要】
【0013】
この先行技術を発端として、本発明の目的は、配合物の粒状体の複数の画分の定量的割合を決定する受動的音響法を提供することであり、この方法によって、先行技術とは対照的に、はるかに高い精度によってリアルタイムで定量的割合を決定できる。加えて、本方法を実行する装置を提案する。
【0014】
受動音響法は、音響信号が信号処理に使用されるときに提供され、音響信号は、粒状体の粒子が衝撃構造と衝突するので、配合物の輸送中に生成される。衝撃構造は、プローブであり得るか、又は実際には、輸送システムの構成要素であり得る。
【0015】
本発明は、受動音響信号が、粒子サイズ、各画分の粒子の密度、ならびに搬送フローのフローエネルギーに依存するという認識に基づいている。本発明は、取得した信号強度値に加えて、上述した要因の全てを考慮するので、粒状体の複数の画分の定量的割合を、高い精度で連続的に決定できる。配合物の全ての粒状体の粒子は、同じ粒子等級に含まれる。粒子等級は、全ての粒子サイズが、上限及び下限プルーフ粒子サイズの間に含まれる。本発明は、配合物の粒状体の全ての画分の粒子を含む粒子等級の下限及び上限プルーフ粒子サイズの差がより小さくなるにつれて、定量的割合の決定がさらに正確になるという認識に基づいている。これに関して、原則として、画分の粒子間の密度のより大きい差は、その粒子等級における粒子のより幅の広いスペクトルを可能にする。上述した要因を考慮することは、配合物が実際に1種の測定可能な粒状体の画分のみしか含まない場合であっても、本方法を適用できることを意味する。一例として、連続的に地質学的穿孔中に、又は生産井において放出される岩石材料の定量的割合を決定するときに、実際には、一度に1つの画分のみしか放出できない。この場合、本方法は、取得した信号強度値に加えて、上述した要因、すなわち、密度、粒子等級、及びフローエネルギーを考慮するので、この単一の岩石成分の質量画分の確実な検出が可能である。
【0016】
調査される配合物のフローエネルギーは、一定に保たれなければならないか、又は信号処理のために既知でなければならない。配合物のフローエネルギーは、配合物の粒子の速度及び濃度又はかさ密度に依存する。これに関して、フローエネルギーは、速度の上昇及びより高い濃度又はかさ密度と共に増加する。かさ密度は、粒子(バルク材料)及び粒子間の空隙を満たす連続流体によって形成された、配合物の単位体積当たりの質量である。かさ密度は、連続する搬送装置上を輸送される配合物のフローエネルギーに関連する。濃度は、配合物の油圧輸送中の固体液体混合物及び配合物の空気輸送中の固体気体混合物の輸送された容量に関する、配合物の粒子の質量である。
【0017】
詳細に、この目的は、請求項1又は2に記載の特徴を有する方法と、請求項6又は7に記載の特徴を有する、本方法を実行する装置によって達成される。
【0018】
定量的割合の正確かつ好ましくは連続的な決定について、配合物の粒子等級が、もっぱら、CU<15、好ましくはCU<10又はCU<5の均等係数を有する粒子を含むことが示されている。均等係数は、配合物の粒子サイズがどのくらい均一に分布しているかを記述する、無次元の変数である。均等係数は、DIN EN ISO14688-2:2004において、60質量パーセントが篩を通過する直径d60と、10質量パーセントが通過する直径d10との比、すなわち、CU=d60/d10、として定義されている。
【0019】
CU<15、好ましくはCU<10又はCU<5に対する値は、配合物の均一な粒度分布を保証する。
【0020】
試験は、配合物(2)の全ての画分の粒子の粒子サイズが、好ましくは0mmから60mmの粒子等級に、特に好ましくは0mmから32mmの粒子等級に含まれることを示している。
【0021】
搬送フローにおける一定の搬送方向の個体粒子の輸送は、好ましくは、輸送システムを用いて実行される。具体的には、輸送システムは、空気圧すなわち固体液体混合物又は油圧すなわち固体気体混合物のいずれかとして粒子を搬送する、ベルトコンベア又はフローコンベアである。加えて、粒子は、自由落下の搬送フローとして、搬送方向に輸送され得る。
【0022】
定量的割合に関して信頼性の高い結果をリアルタイムで得るために、本発明の変形形態では、搬送フローのフローエネルギーが一定に保たれ、それにより、搬送フロー内の粒子が、一定のフローエネルギーで音響センサの衝撃構造と衝突する。
【0023】
フローエネルギーは、例えば、分散ユニットの混合チャンバ内の配合物の粒子と、混合チャンバに供給される気体状の分散媒体とを、一定の体積フローで連続的に混合することによって一定に保ってよく、分散ユニットからの放出口は、衝撃構造の上へ分散するように構成される。分散ユニットは、ジェットポンプの様態で動作し、混合チャンバに供給される気体の分散媒体が、運動量の交換によって配合物の粒子を吸い込み、それらを加速し、そしてそれらを放出口の方向に衝撃構造へと搬送する。分散媒体は、一定の体積フローで混合チャンバに供給される。この結果、分散ユニットの吸引力は一定であり、そのため、分散相は、一定の速度及び濃度で、すなわち衝撃構造の方向において一定のフローエネルギーで、分散ユニットの吸引側に均一な吸引条件の下で搬送される。
【0024】
配合物の粒子が連続する搬送装置、具体的にはベルトコンベアで搬送される場合、配合物のフローエネルギーは、搬送装置のフレーム上に固定して載置されるスクレーパを用いてベルトコンベア上の粒子の搬送フローを一定に保つことによって、一定に保てる。搬送装置の全ての動作条件の下でフローエネルギーを一定に保つために、スクレーパは、ある高さに固定して載置され、その高さでは、スクレーパの上流の搬送フローの高さにおける最大予想変動を考慮したときに、スクレーパが恒久的にその表面の上にある。搬送フローを一定に保つためのさらなる可能性は、特許文献3(WO2017/055064)に含まれている。
【0025】
処理環境のため、又は他の技術的な理由で搬送フローを一定に保てない場合、信号処理の目的で、フローエネルギーに対する変動値を知り、考慮しなければならない。配合物のフローエネルギーの取得は、少なくとも1つの変換器を用いて実行される。変換器は、好ましくは、弾性変形可能な変形構造を有する力変換器として構成され、そこには、少なくとも1つの歪みゲージが、特に接合によって適用される。搬送フローで輸送される配合物の粒子は、力変換器の変形構造と衝突し、その後に弾性的に変形し、それにより、歪みゲージの電気抵抗が変化する。ベルトコンベアによる配合物の輸送中に、フローエネルギーに対する少なくとも1つの変換器は、配合物の質量及びベルトの速度を連続的に取得する搬送装置型の秤量器及び速度センサを含み得る。配合物のフローエネルギーは、質量及び速度から導出できる。
【0026】
音響信号を取得し、電気信号に変換するために、振動変換器として、具体的には圧電素子が考慮されてよい。
【0027】
定量的割合を決定する方法は、従来の較正を必要とする。
一定のフローエネルギーを有する搬送フローの場合、較正関数(複数可)は、各振動変換器からの電気信号と、試料を用いて配合物の画分の定量的割合を決定する従来の方法によって決定される、又は試料中の混合物から既知である定量的割合との相関関係を決定することによって、制御信号処理の開始前に生成される。考慮され得る、定量的割合を決定する従来の方法の例は、化学的特性と物理的特性の少なくとも一方に基づいて試料の様々な画分の粒子の分離に基づく等級付け法である。分離は、例えば、密度、着磁性、又は電気的特性に従って実行できる。
【0028】
搬送フローのフローエネルギーが一定でない場合、第1のステップで、制御信号処理を開始する前に、正規化関数は生成しなければならず、第2のステップで、較正関数を生成しなければならない。
第1のステップでは、正規化関数が生成され、少なくとも1つの変換器からの電気信号と、配合物の異なる既知のフローエネルギーに対する搬送フローのフローエネルギーとの関係が決定される。この方法で、均一なかさ密度又は濃度、一貫した粒子等級、及び均一な定量的割合に対して、正規化関数の関連する相関関係を決定するために、唯一の可変の変数として搬送フローの速度を変更してよい。
【0029】
較正関数を生成するために、第2のステップでは、エネルギーに関してフローエネルギーを考慮して正規化関数によって正規化される振動変換器からの電気信号と、試料を用いて配合物の画分の定量的割合を決定する従来の方法によって決定された、又は試料中の混合物により既知である、定量的割合との相関関係が決定される。
【0030】
考慮され得る、定量的割合を決定する従来の方法の例は、化学的特性と物理的特性との少なくとも一方に基づいた様々な画分の粒子を分離することに基づく等級付け法である。分離は、例えば、密度、着磁性、又は電気的特性に従って実行できる。
【0031】
一定及び非一定の搬送フローの両方に対して、較正中の音響信号の取得及び定量的割合の従来の決定は、搬送フローからの粒子の本質的に一貫した集合体に関連し、すなわち、定量的割合を決定する従来の方法に対する各試料は、音響信号の取得中に、振動変換器の空間的にすぐ近くから得られる。
【0032】
信号分類に基づく有利な較正方法は、独立請求項1に記載の特徴によって定義される。信号分類は、より高い信号強度値の領域において定量的割合の変動をより良好に検出できるという認識に基づいている。較正に対して、複数の試料が試験されるが、試験試料中の粒状体の画分の定量的割合は、異なるはずである。各試料からの複数の粒状体画分の粒子は、異なる密度を有する。複数の試料の全ての粒子は、同じ粒子等級で含まれ、複数の粒状体画分の粒子の密度の違いは全ての試料において一貫している。信号分類に基づいた較正中のフローエネルギーが一定でない場合、独立請求項2に記載の特徴によって定義されるような各振動変換器からのエネルギー正規化電気信号を使用して、各較正関数が生成される。
【0033】
搬送フローのフローエネルギーが一定である場合、定量的割合を決定する電気信号の制御信号処理が、請求項1に記載の特徴に従って実行される。
【0034】
搬送フローのフローエネルギーが一定でない場合、請求項2に記載の特徴に従って、定量的割合を決定する電気信号の制御信号処理が実行される。搬送フローのフローエネルギーは、連続的に取得され、正規化関数による電気信号のエネルギー正規化によって考慮される。
【0035】
試験される配合物の粒状体の全ての画分の粒子が同じ粒子等級に属していることを確実にするために、本発明の1つの実施形態では、配合物を提供するステップは、粒子サイズに従う分類を含む。次に、予め分類した配合物の音響信号を取得する。この分類は、例えば、篩分類又は風力分離中に実行される。
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】a)からd)は、本発明による方法を実行する装置の様々な例示的な実施形態を示す。
【
図8】制御信号処理の基準としての複数の較正関数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1a)から
図1d)は、配合物(2)の複数の粒状体画分の定量的割合を連続的に決定する方法を本発明に従って実行する、異なる装置(1)を示す。全ての装置(1)は、搬送フロー(4)において搬送方向(3)に配合物(2)を輸送する搬送装置と、配合物(2)の粒子の衝突により音響信号を生成する、搬送フロー(4)内に配置された衝撃構造(5)と、各衝撃構造(5)に接続された振動変換器(6)と、信号線(7)を介して信号処理ユニット(8)に接続されている振動変換器(6)と、を備える。その粒子が同じ粒子等級に属しているが、密度が異なる配合物(2)の様々な画分の定量的割合を連続的に決定するために、信号処理ユニット(8)は、各振動変換器(6)の電気信号を信号処理するように構成されている。
【0039】
図1a)の実施形態では、搬送装置は、搬送方向(3)に配合物(2)を移動させるために、ベルトコンベアとして構成されている。ロッド形状の衝撃構造(5)は、ベルトコンベアの上側に配置された固定具(9)に配設され、衝撃構造は、ベルトコンベア上を輸送される配合物(2)の中へ垂直方向に延在する。ベルトコンベアは、一定のフローエネルギーで配合物(2)を搬送し、コンベアベルト上の配合物(2)の粒子の搬送フロー(4)は、衝撃構造(5)の上流に配置され、搬送装置のフレームに固定的に載置されたスクレーパ(図示せず)を用いて一定に保たれる。ロッド形状の衝撃構造(5)は、導波路として作用して、振動変換器(6)が締結されるその上端面の方向に音響信号を伝達する。
【0040】
図1b)は、
図1a)の装置の変形形態を示し、衝撃構造(5)が、配合物(2)の自由落下搬送フロー(4)においてベルトコンベアのコンベア経路が終わるところ(ハンドオーバ)(10)の背面に配置される。この場合、スクレーパは、搬送フロー(4)を一定に保つために、好ましくは、ハンドオーバ(10)のすぐ上流に取り付けられる。
【0041】
図1c)の実施形態では、搬送フロー(4)のフローエネルギーは、気体の分散媒体を混合チャンバ(11)に一定の体積フローで供給して、分散ユニットの混合チャンバ(11)内で、配合物(3)の粒子を混合することによって一定に保たれる。分散ユニットは、ジェットポンプのように動作する。混合チャンバ(11)に供給された気体の分散媒体が、運動量の交換によって配合物(2)の粒子を混合チャンバ(11)の吸引側(12)で吸い込み、配合物(2)をロッド形状の衝撃構造(5)の方向に加速し、搬送する。分散媒体の一定の体積フローは、吸引側(12)において定常吸引条件を生じさせ、それにより、搬送フロー(4)が、一定の速度及び濃度(すなわち一定のフローエネルギー)で衝撃構造(5)の方向に搬送される。ロッド形状の衝撃構造(5)は、導波路として作用して、振動変換器(6)が締結されるその上端面の方向に音響信号を伝達する。分散ユニットに供給される配合物(2)は、例えば、配合物の連続ベルトリンクされた搬送フローから吸い込み可能である。吸引は、例えば、搬送フロー上に浮かぶ吸引装置によって実行してよい。
【0042】
図1d)は、配合物(2)の空気輸送のための装置を示す。振動変換器(6)が、空気輸送用パイプライン(13)の外装上に配置される。パイプライン(13)は、同時に衝撃構造(5)でもあり、それと配合物(2)の粒子が衝突し、構造拘束音波としてパイプライン(13)内を伝播し、振動変換器(6)によって電気信号に変換される音響信号を生成する。パイプの断面を満たす搬送フロー(4)のフローエネルギーは、空気搬送中に変動し得る。したがって、搬送フロー(4)のフローエネルギーの取得が必要である。フローエネルギーの取得は、パイプライン(13)上の振動変換器(6)のすぐ近くに、かつ搬送フロー(4)に対して固定位置に配置された力変換器(14)によって、
図1d)の例示的な実施形態において実行される。搬送フロー(4)では、輸送された配合物(2)の粒子が、パイプライン(13)の内部に延在している力変換器(14)のロッド形状の弾性変形構造と衝突し、変形構造を弾性的に変形させ、それにより、変形構造に印加された力変換器(14)の少なくとも1つの歪みゲージの電気抵抗が、搬送フロー(4)のフローエネルギーの大きさの関数として、より大きく又はより小さく変動する。歪みゲージの変動する信号は、さらなる信号線(15)によって信号処理ユニット(8)に送信される。配合物(2)の画分の定量的割合の決定は、振動変換器(6)及び力変換器(14)の電気信号を考慮して、信号処理ユニット(8)において実行される。
【0043】
図1d)の例示的な実施形態の場合のように、搬送フローのフローエネルギーが一定でない場合、定量的割合を決定するために、所定の正規化関数を使用して、振動変換器(6)からの電気信号の信号処理が実行される。搬送フロー(4)のフローエネルギーは、力変換器(14)によって連続的に取得され、振動変換器(6)からの電気信号の正規化関数によるエネルギー正規化中に考慮される。
【0044】
しかしながら、
図1a)から
図1c)の例示的な実施形態の場合のように、搬送フローのフローエネルギーが一定である場合、少なくとも1つの以前に決定された較正関数を適用することによって、定量的割合を決定する電気信号の制御信号処理が実行される。振動変換器からの電気信号の取得及び評価中にフローエネルギーを取得することの考慮は不要である。
【0045】
制御信号処理前に必要とされる較正関数の生成は、好ましくは、以下のように、信号の強度値を考慮して実行される。随意のエネルギー正規化較正のために、複数の試料が試験されるが、試験試料中の粒状体画分の定量的割合は、異なるはずである。各試料の複数の粒状体画分の粒子は、異なる密度を有する。複数の試料の全ての粒子は、同じ粒子等級で含まれ、複数の粒状体画分の粒子の密度の違いは全ての試料において一貫している。しかしながら、様々な試料において個々の画分の定量的割合を完全に一定に保つことは困難である。これらの変動を無効にするために、較正では、個々の画分の起こり得る変動を考慮する統計的に有意な数のデータ点を使用しなければならない。
【0046】
定量的割合の変動を、取得された電気信号の累積相対頻度の高い強度値Inで、より良好に検出できることが示されていて、ここで、「n」は、強度値In以下である強度値のパーセンテージ割合である。これに関して、較正中に、好ましくは、様々な試料に対して、取得された電気信号の累積相対頻度の上限範囲から強度値Inが、例えば、強度値の上限領域から3つの強度値In、例えばI50、I75、及びI95が選択される。強度値I50の場合、強度値の50%が強度値I50よりも小さい。強度値I75の場合、強度値の75%が強度値I75よりも小さく、I95の強度値の場合、強度値の95%が強度値I75よりも小さい。
【0047】
以下、較正中の信号処理のための手順を、
図2から
図7を用いてより詳細に説明する。振動変換器(6)を使用することで、各試料からの粒子が衝撃構造(5)に衝突することに起因する構造伝播音を、アナログ信号として取得する。アナログ信号を、例えばアナログ-デジタル変換器(A/Dコンバータ)を使用して、51200ヘルツのサンプリングレートでサンプリングし、時間依存デジタル電気生信号に変換する。
【0048】
搬送フロー(4)の非一定のフローエネルギーの場合、振動変換器(6)からの電気生信号のフローエネルギーに対する依存性を排除するために、以前に生成された正規化関数によって電気生信号を正規化する。一定のフローエネルギーの場合、正規化は、省略される。
【0049】
図2は、100%ケイ砂、90%ケイ砂及び10%クロム鉄鉱砂、80%ケイ砂及び20%クロム鉄鉱砂、並びに100%クロム鉄鉱砂の4つの異なる試料に対する、随意にエネルギー正規化し、フィルタ処理した生信号を示す。フィルタリングは、配合物の粒子の衝撃によってではなく環境ノイズによって生じる干渉ノイズを低減させるために、帯域通過フィルタで実行してよい。
【0050】
図3は、試料からのフィルタ処理された生信号の窓処理を示す。電気生信号が分割される時間窓の長さは、窓処理によって設定される。例示的な実施形態では、電気生信号は、一貫した長さ、例えば10msを有する時間窓に分割される。
【0051】
図4及び
図5は、各時間窓の電気信号の負の最小強度値又は正の最大強度値の同定の情報を示す。最も顕著な強度値が正の領域により多いか、負の領域により多いか、もしくは正及び負の両方の領域でバランスが保たれているかは、振動変換器(6)の配列及び搬送フロー(4)の衝撃構造(5)に依存する。
【0052】
図6は、4つ全ての試料に対する窓内の決定された正の最大強度値の累積相対頻度を示す。
図7は、4つの試料に対する上限強度値領域内の正の最大強度値、すなわち、I50、I75、及びI95の強度値の累積相対頻度の区間を記述している。
【0053】
最後に、
図8は、配合物中のクロム鉄鉱砂の割合を決定する3つの較正関数を示し、以下のように、4つの試料に対して窓内で決定された正の最大強度値の累積相対頻度に対するI50、I75、I95の強度値に基づいて生成されている。各試料に対して、既知のクロム鉄鉱砂のパーセンテージとしての割合を、各試料に対するI50の強度値に割り当てる。4つの試料に対するI50の強度値及びクロム鉄鉱砂の割合によって形成された値の対の関係は、I50の強度値に対する較正関数を生成する。同じ様態で、4つの試料に対するI75、I95の強度値及びクロム鉄鉱砂の割合によって形成された値の対から、I75、I95強度値に対する較正関数が生成される。各試料に対するクロム鉄鉱砂の割合及びケイ砂の割合は、定量的割合を決定する従来の方法を使用して決定されるか、又は試料の混合物が既知であるので、既知である。
【0054】
定量的割合を決定する、振動変換器(6)からの電気信号の制御信号処理は、以下のステップを備える。振動変換器(6)によって、配合物の粒子が衝撃構造(5)に衝突することに起因する構造伝播音を、アナログ信号として取得する。アナログ信号を、例えばアナログ-デジタル変換器(A/Dコンバータ)を使用して、51200ヘルツのサンプリングレートでサンプリングし、デジタル時間依存電気生信号に変換する。
【0055】
搬送フロー(4)の非一定のフローエネルギーの場合、振動変換器(6)から取得した電気生信号のフローエネルギーからの依存性を排除するために、電気生信号は、以前に生成された正規化関数によって正規化される。一定のフローエネルギーの場合、正規化は、省略される。
【0056】
随意にエネルギー正規化し、フィルタ処理した電気生信号は、配合物の粒子の衝撃によってではなく、代わりに環境ノイズによって生じる干渉ノイズを低減させるために、帯域通過フィルタでフィルタ処理してよい。
【0057】
例えば、測定期間からの電気生信号は、電気信号を10msの一貫した長さを有する時間窓に分割することによって窓化される。
【0058】
次に、測定期間の時間窓に対して、電気生信号の正の強度値の最大強度値を決定する。決定された最大強度値の数は、生信号を取得する測定期間中の時間窓の数に対応する。
【0059】
続いて、窓内の決定された正の最大強度値の累積相対頻度を決定する。
【0060】
窓内の決定された正の最大強度値の累積相対頻度から、強度値の上限領域から複数の強度値Inを決定し、ここで、「n」は、強度値In以下である強度値のパーセンテージ割合であり、例示的な実施形態では、これらは、I50、I75、及びI95の強度値である。
【0061】
配合物の粒状体の画分の定量的割合は、
図8の対応する較正関数から、決定されたI50、I75、I95強度値を用いて決定される。それから、異なる較正関数によって決定される定量的割合に対する3つの値を平均する。この平均は、高い精度を有する最終結果の定量的割合を反映する。
【符号の説明】
【0062】
装置 1
配合物 2
搬送方向 3
搬送フロー 4
衝撃構造 5
振動変換器 6
信号線 7
信号処理ユニット 8
固定具 9
ハンドオーバ 10
混合チャンバ 11
吸引側 12
パイプライン 13
力変換器 14
信号線 15