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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/42 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
B41J11/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021025932
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127765
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】田邊 宙夢
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-252958(JP,A)
【文献】特開2010-201820(JP,A)
【文献】特開2008-302536(JP,A)
【文献】特開2013-163330(JP,A)
【文献】特開2001-351142(JP,A)
【文献】特開平08-133540(JP,A)
【文献】特開2016-087932(JP,A)
【文献】特開2017-075041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
B65H 23/18-23/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部を制御する搬送制御部と、
前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記媒体に印刷される印刷内容が重要印刷内容を含むか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記印刷内容が前記重要印刷内容を含むと前記判定部により判定された場合に、前記搬送制御部は、前記媒体への前記印刷内容の印刷開始前において、少なくとも前記媒体への前記重要印刷内容の印刷中に前記媒体の張力に変動が生じない程度のたるみを前記印刷ヘッドよりも媒体搬送路上流側の前記媒体に生じさせるように前記搬送部を制御する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記印刷ヘッドに対向して配置され、
前記搬送制御部は、前記媒体を媒体搬送路下流側へ特定搬送量分搬送した後に前記媒体を前記媒体搬送路上流側へ前記印刷ヘッドによる印刷位置まで搬送するように前記搬送部を制御することにより、前記たるみを前記印刷ヘッドよりも前記媒体搬送路上流側の前記媒体に生じさせる、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記印刷ヘッドに対向して配置された第1の搬送部と、前記印刷ヘッドよりも前記媒体搬送路上流側に配置された第2の搬送部とを有し、
前記搬送制御部は、前記媒体を媒体搬送路下流側へ特定搬送量分搬送するように前記第2の搬送部を制御した後に、前記媒体を前記媒体搬送路上流側へ前記印刷ヘッドによる印刷位置まで搬送するように前記第1の搬送部を制御することにより、前記たるみを前記印刷ヘッドよりも前記媒体搬送路上流側の前記媒体に生じさせる、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記特定搬送量は、前記印刷内容における前記重要印刷内容の位置に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記印刷内容である印刷データが表す印刷イメージを複数のブロックに分割して各ブロックの印刷密度を算出し、前記印刷密度が閾値以上のブロックの有無を判定することにより、前記印刷内容が前記重要印刷内容を含むか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の印刷装置。
【請求項6】
前記特定搬送量は、前記印刷イメージにおける、前記印刷密度が閾値以上のブロックの位置に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺状の媒体に印刷を行う印刷装置として、空港カウンタ等に設置されるエアラインプリンタ(エアライン向けの印刷装置)や、特許文献1、2、3に記載の印刷装置等が知られている。
【0003】
エアラインプリンタは、例えば、手荷物タグとして使用されるロール状に巻かれた長尺状の媒体(感熱ラベル用紙)を引き出し搬送して、搭乗者名、便名、行き先等の情報を感熱方式により印刷する。印刷後は、媒体をカットして、情報が印刷された媒体を排出する。
【0004】
このようなエアラインプリンタでは、媒体の無駄を少しでも無くすために、媒体を正方向(排出方向、媒体搬送路下流方向)に搬送するだけでなく、逆方向(排出方向の反対方向、媒体搬送路上流方向)にも搬送する。例えば、印刷された媒体を排出した後、次の印刷に備えて媒体を印刷位置まで逆方向に搬送する場合である。なお、媒体を逆方向に搬送することを「戻し搬送」ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-87932号公報
【文献】特開2017-75041号公報
【文献】特開平8―133540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアラインプリンタでは、戻し搬送を行うことによって媒体にたるみが生じる。このような状態で印刷を開始すると、印刷途中でたるみが解消されることになるが、その際に媒体の張力に大きな変動が生じ、その変動により印刷ずれが発生する虞がある。このような印刷ずれが、バーコード等のような重要印刷内容の印刷時に発生すると、後に、バーコードの読取不良等といった問題を引き起こす虞がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑み、少なくとも重要印刷内容の印刷時には印刷ずれの発生を防止することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
装置の一観点は、印刷装置であって、媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部を制御する搬送制御部と、前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記媒体に印刷される印刷内容が重要印刷内容を含むか否かを判定する判定部と、を備え、前記印刷内容が前記重要印刷内容を含むと前記判定部により判定された場合に、前記搬送制御部は、前記媒体への前記印刷内容の印刷開始前において、少なくとも前記媒体への前記重要印刷内容の印刷中に前記媒体の張力に変動が生じない程度のたるみを前記印刷ヘッドよりも媒体搬送路上流側の前記媒体に生じさせるように前記搬送部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも重要な印刷内容の印刷時には印刷ずれの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る印刷装置の内部構造を例示する側面図である。
図2】一実施の形態に係る印刷装置の制御構成を例示する図である。
図3】一実施の形態に係る印刷装置の制御処理の流れを例示するフローチャートである。
図4】制御処理中の媒体の状態を例示する図(その1)である。
図5】制御処理中の媒体の状態を例示する図(その2)である。
図6】制御処理中の媒体の状態を例示する図(その3)である。
図7】制御処理中の媒体の状態を例示する図(その4)である。
図8】媒体のたるみ解消ラインを例示する図である。
図9】一実施の形態に係る印刷装置の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、一実施の形態に係る印刷装置の内部構造を例示する側面図である。
図1に例示した印刷装置1は、例えば、エアラインプリンタである。
【0012】
図1に例示した印刷装置1は、ロール軸部11、プラテンローラ12、印刷ヘッド13、カッタユニット14、及び一対の排出ローラ15a,15bを備える。
ロール軸部11は、ロール状に巻かれた長尺状の媒体Mを回転可能に支持する。媒体Mは、例えば、搭乗者名、便名、行き先等の情報が印刷されて手荷物タグとして使用される感熱ラベル用紙である。
【0013】
プラテンローラ12は、印刷ヘッド13に対向して配置され、後述する制御部22(搬送制御部222)の制御の下に回転することにより媒体Mを搬送する。なお、プラテンローラ12は、搬送部又は第1の搬送部の一例である。
【0014】
印刷ヘッド13は、後述する制御部22の制御の下、プラテンローラ12との間に挟み込まれた媒体Mに印刷(印字)を行う。印刷ヘッド13は、例えば、感熱ラベル用紙である媒体Mに感熱方式により印刷を行う。
【0015】
カッタユニット14は、後述する制御部22の制御の下、媒体Mをカットする。
一対の排出ローラ15a,15bは、互いに対向して配置される。排出ローラ15aは駆動ローラであり、排出ローラ15bは従動ローラである。一対の排出ローラ15a,15bは、後述する制御部22(搬送制御部222)の制御の下に排出ローラ15aが回転することにより媒体Mを搬送する。
【0016】
図2は、一実施の形態に係る印刷装置の制御構成を例示する図である。
図2に例示した印刷装置1は、上述の印刷ヘッド13及びカッタユニット14の他、搬送駆動部21、制御部22、記憶部23、及びインタフェース部24を備える。
【0017】
搬送駆動部21は、プラテンローラ12及び排出ローラ15aを駆動する。搬送駆動部21は、例えば、モータである。なお、プラテンローラ12と排出ローラ15aは、搬送駆動部21による駆動により、媒体Mを同一のタイミング且つ同一の方向及び速度で搬送するように回転する。このことから、搬送駆動部21がプラテンローラ12を駆動することは、同時に排出ローラ15aを駆動することでもあり、また、搬送駆動部21が排出ローラ15aを駆動することは、同時にプラテンローラ12を駆動することでもある。
【0018】
制御部22は、印刷装置1の全体動作を制御する。例えば、制御部22は、印刷ヘッド13及びカッタユニット14を制御する。また、制御部22は、判定部221及び搬送制御部222を含む。判定部221は、媒体Mに印刷される印刷内容を解析し、当該印刷内容が重要印刷内容を含むか否かを判定する。ここで、重要印刷内容は、例えば、バーコードやロゴ等である。搬送制御部222は、搬送駆動部21を制御することにより、プラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御する。例えば、搬送制御部222は、印刷内容が重要印刷内容を含むと判定部221により判定された場合に、媒体Mへの印刷内容の印刷開始前において、少なくとも媒体Mへの重要印刷内容の印刷中に媒体Mの張力に変動が生じない程度のたるみを印刷ヘッド13よりも媒体搬送路上流側の媒体Mに生じさせるようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御する。なお、媒体搬送路上流側とは、媒体Mを排出する搬送方向の反対方向の搬送方向を指し、媒体搬送路下流側とは、媒体Mの排出する搬送方向を指す。制御部22は、例えば、CPU等のプロセッサとメモリ(RAM及びROM)を含み、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、印刷装置1の全体動作を制御する。
【0019】
記憶部23には、印刷データや、制御部22のプロセッサにより実行されるプログラム等が記憶される。記憶部23は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDDやSSDなどの記憶媒体である。
インタフェース部24は、外部機器との間で信号、データ、情報の送受信を行う。例えば、インタフェース部24は、外部のコンピュータから印刷命令と共に印刷データを受信したり、記憶部23又は制御部22のメモリに記憶されて制御部22のプロセッサにより実行されるプログラム等を受信したりする。
【0020】
次に、印刷装置1の制御処理について、図1及び図3図8を参照しながら説明する。
図3は、一実施の形態に係る印刷装置の制御処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、制御処理中の媒体の状態を例示する図(その1)である。図5は、制御処理中の媒体の状態を例示する図(その2)である。図6は、制御処理中の媒体の状態を例示する図(その3)である。図7は、制御処理中の媒体の状態を例示する図(その4)である。図8は、媒体のたるみ解消ラインを例示する図である。
【0021】
図3に例示した制御処理では、印刷装置1が待機状態であるときに、まず、制御部22は、印刷命令が有るか否かを判定する(ステップ(以下単に「S」という)11)。ここで、印刷装置1が待機状態であるとは、印刷装置1が図1に例示した状態であることをいい、この状態では、媒体Mの先端が一対の排出ローラ15a,15bに挟まれた位置にある。また、印刷命令が有るとは、例えば、外部のコンピュータからインタフェース部24を介して印刷命令を受信すること、又は、印刷装置1の図示しない操作部の操作に応じて印刷命令が入力されることを指す。S11の判定結果がNOの場合は、本判定を繰り返す。
【0022】
一方、S11の判定結果がYESの場合、制御部22(判定部221)は、印刷命令の対象となる印刷データの印刷内容を解析し(S12)、その解析結果に基づいて、印刷内容が重要印刷内容を含むか否かを判定する(S13)。ここで、印刷命令の対象となる印刷データは、例えば、外部のコンピュータからインタフェース部24を介して印刷命令と共に受信したもの、又は、記憶部23に記憶されたものである。また、S12の解析及びS13の判定は、例えば、重要印刷内容としてバーコードやロゴを想定する場合は、バーコードやロゴが通常の文字等に比べて印刷密度が高くなることが知られていることから、次のようにして行うことができる。制御部22(判定部221)は、印刷データが表す印刷イメージを複数のブロックに分割し、各ブロックの印刷密度を算出する。そして、印刷密度が閾値以上のブロックの有無を判定することにより、印刷内容が重要印刷内容を含むか否かを判定する。この場合、印刷密度が閾値以上のブロックが有る場合は、印刷内容が重要印刷内容を含むと判定し(即ち、S13の判定結果がYES)、印刷密度が閾値以上のブロックが無い場合は、印刷内容が重要印刷内容を含まないと判定する(即ち、S13の判定結果がNO)。
【0023】
S13の判定結果がYESの場合、制御部22(搬送制御部222)は、媒体Mへの印刷内容の印刷開始前において、少なくとも媒体Mへの重要印刷内容の印刷中に媒体Mの張力に変動が生じない程度のたるみを印刷ヘッド13よりも媒体搬送路上流側の媒体Mに生じさせるようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御する(S14~S16)。
【0024】
詳しくは、S14では、制御部22が、印刷内容における重要印刷内容の位置を算出する。ここで、印刷内容における重要印刷内容の位置とは、例えば、印刷データが表す印刷イメージにおける印刷密度が閾値以上のブロックの位置である。
【0025】
S15では、制御部22(搬送制御部222)が、図4に例示したように、算出した重要印刷内容の位置に基づいて決定した特定搬送量S分、媒体Mを媒体搬送路下流側へ搬送するようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御する。ここで、特定搬送量Sは、媒体Mの先端位置から印刷ヘッド13による印刷位置までの距離Lを、少なくとも、印刷データが表す印刷イメージの印刷を開始してから印刷密度が閾値以上のブロックの全ての印刷が終了するまでの媒体M上の距離よりも大きくするための搬送量である。なお、印刷データが表す印刷イメージの印刷を開始してから印刷密度が閾値以上のブロックの全ての印刷が終了するまでの媒体M上の距離とは、印刷内容が印刷される印刷エリアの先端から重要印刷内容が印刷される重要印刷エリアの後端までの媒体M上の距離に対応する。
【0026】
S16では、制御部22(搬送制御部222)が、図5に例示したように、媒体Mの先端が印刷ヘッド13による印刷位置に到達するまで媒体Mを媒体搬送路上流側へ搬送するようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御する。これにより、少なくとも媒体Mへの重要印刷内容の印刷中に媒体Mの張力に変動が生じない程度のたるみを印刷ヘッド13よりも媒体搬送路上流側の媒体Mに生じさせることができる。
【0027】
このようなS14~S16の後は、制御部22が、図6に例示したように、媒体Mの印刷エリア内に印刷内容(印刷データが表す印刷イメージ)を印刷しながら媒体Mを媒体搬送路下流側へ搬送するように、印刷ヘッド13とプラテンローラ12及び排出ローラ15aとを制御する、といった印刷動作を行う(S17)。この場合は、媒体Mのたるみが解消されるタイミング(媒体Mの張力に変動が生じるタイミング)で既に重要印刷エリア内への重要印刷内容の印刷が終了しているため、重要印刷内容の印刷に印刷ずれが生じることはない。
【0028】
印刷動作が終了すると、制御部22は、媒体Mに印刷内容が印刷された印刷エリアの後端が、カッタユニット14によるカット位置に到達するまで媒体Mを媒体搬送路下流側へ搬送するようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御した後、媒体Mをカットするようにカッタユニット14を制御する、といったカット動作を行う(S18)。なお、印刷エリアは余白部分を含んでもよい。
【0029】
カット動作が終了すると、制御部22(搬送制御部222)は、図7に例示したように、媒体Mのカットされた位置が一対の排出ローラ15a,15bに挟まれる位置に到達するまで媒体Mを媒体搬送路下流側へ搬送するようにプラテンローラ12及び排出ローラ15aを制御して、印刷内容が印刷された媒体Maを排出する、といった排出動作を行う(S19)。
【0030】
排出動作が終了すると、印刷装置1は、図1に例示した待機状態となり、処理がS11に戻る。
一方、S13の判定結果がNOの場合は、処理がS16へ進み、上述のS16~S19が実行されて処理がS11に戻る。
【0031】
なお、従来の制御処理では、図3に例示した制御処理におけるS12~S15が行われておらず、S11の判定結果がYESの場合は処理がS16へ進む流れになっていた。そのため、図8に例示したように、従来の制御処理によれば、重要印刷内容が印刷される重要印刷エリア内に媒体Mのたるみ解消ラインが含まれる虞があったが、図3に例示した制御処理(実施形態に係る制御処理)によれば、その虞がないので、重要印刷内容の印刷時に印刷ずれが生じることはない。
以上のように、一実施の形態に係る印刷装置1によれば、少なくとも重要印刷内容の印刷時には印刷ずれの発生を防止することができる。
【0032】
一実施の形態に係る印刷装置1は、次のような変形が可能である。
図9は、一実施の形態に係る印刷装置の変形例を説明する図である。
この変形例では、図9に示したように、印刷装置1が、印刷ヘッド13よりも媒体搬送路上流側に配置された一対の搬送ローラ16a,16bを更に備える。なお、一対の搬送ローラ16a,16bは、第2の搬送部の一例である。一対の搬送ローラ16a,16bは、互いに対向して配置される。搬送ローラ16aは駆動ローラであり、搬送ローラ16bは従動ローラである。また、これに伴い、印刷装置1は、搬送ローラ16aを駆動する搬送駆動部(例えばモータ)を更に備え、搬送制御部222は、搬送ローラ16aを駆動する搬送駆動部の制御も行う。即ち、搬送制御部222は、搬送ローラ16aを駆動する搬送駆動部を制御することにより、搬送ローラ16aの制御も行う。そして、一対の搬送ローラ16a,16bは、搬送制御部222の制御の下に搬送ローラ16aが回転することにより媒体Mを搬送する。
【0033】
また、この変形例では、図3に例示した制御処理の一部も変形される。詳しくは、S15では、制御部22(搬送制御部222)が、図9に示したように、S14で算出した重要印刷内容の位置に基づいて決定した特定搬送量S分、媒体Mを媒体搬送路下流側へ搬送するように搬送ローラ16aを制御する。但し、このときのプラテンローラ12と排出ローラ15aは、停止するように制御される。また、このときの特定搬送量Sは、例えば、印刷データが表す印刷イメージの印刷を開始してから印刷密度が閾値以上のブロックの全ての印刷が終了するまでの媒体M上の距離(印刷内容が印刷される印刷エリアの先端から重要印刷内容が印刷される重要印刷エリアの後端までの媒体M上の距離に対応)から、印刷ヘッド13による印刷位置と一対の排出ローラ15a,15bによる媒体挟み込み位置との間の距離を差し引いた距離よりも大きな距離に相当する搬送量とされる。また、S16では、更に、搬送ローラ16aが停止するように制御される。このようなS15及びS16により、少なくとも媒体Mへの重要印刷内容の印刷中に媒体Mの張力に変動が生じない程度のたるみを印刷ヘッド13よりも媒体搬送路上流側の媒体Mに生じさせることができる。また、S17~S19では、更に、例えば、媒体Mのたるみが解消される前までは、搬送ローラ16aが停止するように制御され、媒体Mのたるみが解消された後は、プラテンローラ12及び排出ローラ15aによる媒体Mの搬送に合わせて搬送ローラ16aが制御される。このような変形例によっても、少なくとも重要印刷内容の印刷時には印刷ずれの発生を防止することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 印刷装置
11 ロール軸部
12 プラテンローラ
13 印刷ヘッド
14 カッタユニット
15a、15b 排出ローラ
16a、16b 搬送ローラ
21 搬送駆動部
22 制御部
23 記憶部
24 インタフェース部
221 判定部
222 搬送制御部
M、Ma 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9