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特許7427628光電変換装置、光電変換システム、移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、移動体
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240129BHJP
   H01L 21/761 20060101ALI20240129BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240129BHJP
   H04N 25/62 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L21/76 J
H04N25/76
H04N25/62
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021063490
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158522
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大貫 裕介
(72)【発明者】
【氏名】池田 一
(72)【発明者】
【氏名】三木 崇史
(72)【発明者】
【氏名】若嶋 駿一
(72)【発明者】
【氏名】林 周平
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓巳
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-167348(JP,A)
【文献】特開2015-146465(JP,A)
【文献】特開2014-086462(JP,A)
【文献】特開2017-045873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/761
H04N 25/76
H04N 25/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタの配置された第一の面と、前記第一の面に対向する第二の面と、を有する半導体基板に配された複数の画素を有する光電変換装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは光電変換部を有し、
前記光電変換部は、前記第二の面側から順に、第一の導電型の第一の半導体領域と、第二の導電型の第二の半導体領域と、前記第一の導電型の第三の半導体領域と、を有し、更に前記第二の導電型の画素内分離部を含み、
前記第二の半導体領域は、第一の端部と、前記第一の端部に対向する第二の端部とを備え、
前記第一の端部と前記第二の端部との間に第四の半導体領域を有し、
前記画素内分離部は、前記第一の半導体領域を、前記第二の面側からの上面視で前記第一の端部と重なる第一の領域と、前記第二の端部と重なる第二の領域と、に分離し、
前記第四の半導体領域の前記第二の導電型の不純物濃度は、前記画素内分離部の前記第二の導電型の不純物濃度よりも低く、
前記複数の画素のそれぞれは、裏面照射型の画素であることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第四の半導体領域と、前記画素内分離部とが、前記第二の面側からの上面視で重なることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第四の半導体領域と、前記第一の領域および前記第二の領域とが、前記第二の面側からの上面視で重なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記複数の画素同士を分離する前記第二の導電型の画素分離領域を有し、
前記画素分離領域の前記第二の導電型の不純物濃度は前記画素内分離部の前記第二の導電型の不純物濃度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第二の面に平行な方向のうち、前記第一の領域と前記画素内分離部と前記第二の領域とが順に配された方向において、
前記画素内分離部の断面の幅は、前記画素分離領域の断面の幅よりも狭いことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記画素内分離部は前記半導体基板の深さ方向に浅く形成され、
前記画素分離領域は前記半導体基板の深さ方向に前記画素内分離部よりも深く形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記画素内分離部の、前記第二の面に対向する面が、前記第一の端部の前記第二の面側の面よりも前記第二の面側にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記画素内分離部の第三の領域に置ける前記第二の導電型の不純物濃度は、前記画素内分離部の前記第三の領域よりも前記第二の面に近い第四の領域の前記第二の導電型の不純物濃度よりも低いことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記光電変換部は、前記第一の面と前記第三の半導体領域との間に配された、前記第二の導電型の第五の半導体領域を有し、前記第二の面側からの上面視において、前記第五の半導体領域は前記第四の半導体領域の少なくとも一部と重なる位置に配されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第五の半導体領域は、前記第二の面側からの上面視において前記第二の半導体領域に重なる部分を有することを特徴とする請求項9に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記第一の半導体領域は、第一の点と第二の点を有し、
前記第一の点は前記第二の点よりも前記第二の面に近く、
前記第二の点は前記第一の点よりも前記第一の面に近く、
前記第一の点におけるポテンシャルは前記第二の点におけるポテンシャルよりも高いことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記第二の半導体領域は第一の部材と第二の部材とを有し、
前記第一の端部は前記第一の部材の端部であり、
前記第二の端部は前記第二の部材の端部であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第二の面に対する垂直な方向の断面視において、前記第二の面と、前記第二の半導体領域と、の間に、前記第二の面に平行な第一の線が前記第一の半導体領域及び前記画素内分離部のそれぞれを二分する位置で定められることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第四の半導体領域は、前記画素内分離部と前記第一の面との間に配されることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記第一の導電型はN型であり、前記第二の導電型はP型であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項16】
光の入射を妨げる遮光部と、前記半導体基板に配され、前記遮光部によって遮光された参照画素とを有し、
前記参照画素は前記第二の面側から順に、前記第一の導電型の第六の半導体領域と、前記第二の導電型の第七の半導体領域と、を有し、
前記第二の面に対する垂直な方向の断面視において、前記複数の画素の前記第二の面と前記第二の半導体領域との間かつ前記参照画素の前記第二の面と前記第七の半導体領域との間に、前記第二の面に平行な線が前記複数の画素の第一の半導体領域と前記参照画素の第七の半導体領域とを二分する位置で定められ、
前記線に沿った断面において、前記複数の画素の前記第一の半導体領域の前記第一の導電型の不純物濃度は、前記参照画素の前記第六の半導体領域の前記第一の導電型の不純物濃度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項18】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【請求項19】
トランジスタの配置された第一の面と、前記第一の面に対向する第二の面と、複数の画素を有し、他の半導体基板に積層される半導体基板であって、
前記複数の画素のそれぞれは光電変換部を有し、
前記光電変換部は、前記第二の面側から順に、第一の導電型の第一の半導体領域と、第二の導電型の第二の半導体領域と、前記第一の導電型の第三の半導体領域と、を有し、
前記第二の半導体領域は、第一の端部と、前記第一の端部に対向する第二の端部とを備え、
前記第一の端部と前記第二の端部との間に第四の半導体領域を有し、
前記第一の半導体領域は、前記第一の半導体領域を、前記第二の面側からの上面視で前記第一の端部と重なる第一の領域と、前記第二の端部と重なる第二の領域と、に分離する前記第二の導電型の画素内分離部を有し、
前記第四の半導体領域の前記第二の導電型の不純物濃度は、前記画素内分離部の前記第二の導電型の不純物濃度よりも低く、
前記複数の画素のそれぞれは、裏面照射型の画素であることを特徴とする半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、光電変換システム及び該光電変換システムを用いた移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換装置において、1つの画素に電荷蓄積領域を2つ有し、信号出力の位相差を検出することで像面位相差AF機能を有する画素が知られている。特許文献1には、裏面入射型で像面位相差AF機能を有する画素を有する光電変換装置について記載されている。
【0003】
また、特許文献2のように、飽和電荷量の向上やホワイトスポットの抑制のために、電荷蓄積領域の下部に空乏層の延伸を抑制するための空乏層止め層を有する画素が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-206210号公報
【文献】特開2018-107409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
裏面入射型の光電変換装置では、空乏層止め層を有し、なおかつ像面位相差AF機能を有する画素において課題が生じる。具体的には、空乏層止め層と電荷蓄積領域との間にポテンシャルの障壁がある場合に、空乏層止め層下部に位置する、光電変換が行われる半導体領域から電荷蓄積領域への電荷移動が妨げられる。これにより、隣接画素に信号電荷が漏れ込みうる。隣接画素に信号電荷が漏れ込むと、偽信号となり画質の劣化を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は、トランジスタの配置された第一の面と、前記第一の面に対向する第二の面と、を有する半導体基板に配された複数の画素を有する光電変換装置であって、前記複数の画素のそれぞれは光電変換部を有し、前記光電変換部は、前記第二の面側から順に、第一の導電型の第一の半導体領域と、第二の導電型の第二の半導体領域と、前記第一の導電型の第三の半導体領域と、を有し、更に前記第二の導電型の画素内分離部を含み、前記第二の半導体領域は、第一の端部と、前記第一の端部に対向する第二の端部とを備え、前記第一の端部と前記第二の端部との間に第四の半導体領域を有し、前記画素内分離部は、前記第一の半導体領域を、前記第二の面側からの上面視で前記第一の端部と重なる第一の領域と、前記第二の端部と重なる第二の領域と、に分離し、前記第四の半導体領域の前記第二の導電型の不純物濃度は、前記画素内分離部の前記第二の導電型の不純物濃度よりも低く、前記複数の画素のそれぞれは、裏面照射型の画素であることを特徴とする。
【0007】
本発明の別の側面は、トランジスタの配置された第一の面と、前記第一の面に対向する第二の面と、複数の画素を有し、他の半導体基板に積層される半導体基板であって、前記複数の画素のそれぞれは光電変換部を有し、前記光電変換部は、前記第二の面側から順に、第一の導電型の第一の半導体領域と、第二の導電型の第二の半導体領域と、前記第一の導電型の第三の半導体領域と、を有し、前記第二の半導体領域は、第一の端部と、前記第一の端部に対向する第二の端部とを備え、前記第一の端部と前記第二の端部との間に第四の半導体領域を有し、前記第一の半導体領域は、前記第一の半導体領域を、前記第二の面側からの上面視で前記第一の端部と重なる第一の領域と、前記第二の端部と重なる第二の領域と、に分離する前記第二の導電型の画素内分離部を有し、前記第四の半導体領域の前記第二の導電型の不純物濃度は、前記画素内分離部の前記第二の導電型の不純物濃度よりも低く、前記複数の画素のそれぞれは、裏面照射型の画素であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
空乏層止め層を有し像面位相差AF機能を有する画素の画質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
図2】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素回路図である。
図3】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図4】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素断面ポテンシャル図である。
図5】第二の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図6】第三の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図7】第四の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図8】第五の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図9】第六の実施形態に係る光電変換装置の画素平面図及び断面図である。
図10】第七の実施形態に係る光電変換システムの構成を示す図である。
図11】第八の実施形態に係る移動体の構成、動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による光電変換装置及びその駆動方法に関する実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に述べる各実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明するが、各実施形態は、撮像装置に限られるものではなく、光電変換装置の他の例にも適用可能である。例えば、測距装置(焦点検出やTOF(Time Of Flight)を用いた距離測定等の装置)、測光装置(入射光量の測定等の装置)などがある。
【0011】
また、以下に述べる実施形態中に記載される半導体領域、ウエルの導電型や注入されるドーパントは一例であって、実施形態中に記載された導電型、ドーパントのみに限定されるものでは無い。実施形態中に記載された導電型、ドーパントに対して適宜変更できるし、この変更に伴って、半導体領域、ウエルの電位は適宜変更される。
【0012】
以下の説明において、画素の形成される半導体基板のトランジスタが配置されている面を表面もしくは上、表面に対向する側を裏面もしくは下と表記する。以下の説明では裏面側から光が入射する画素(裏面照射型)を例に挙げるが、画素の構造はこれに限られず、表面側から光が入射する画素(表面照射型)にも本発明は適用可能である。この場合、空乏層止め層下部にある光電変換領域は、電荷蓄積領域よりも光入射面から離れた位置となる。このような場合でも、光電変換領域は、電荷蓄積領域を透過した光を中心に光電変換を行う。よって、光電変換領域から電荷蓄積領域への電荷移動が妨げられると、隣接画素への漏れ込みが生じる課題は生じる。ただし、裏面照射型の形態の方が表面照射型に比べて、光電変換領域に入射する光量が増加するため、課題がより顕著に生じる傾向にある。
【0013】
なお、以下の実施形態で述べる不純物濃度は、特に断りのない限り、実効的な不純物濃度を表すものとする。ドナーとアクセプタの両方が半導体領域に注入された場合には、その注入された不純物量の差を、その半導体領域の実効的な不純物濃度とする。
【0014】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態について図1から図4を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る光電変換装置の概略構成を表す概略図である。
【0016】
図1において、光電変換装置は画素アレイ100、垂直走査回路101、列増幅回路102、水平走査回路103、出力回路104、制御回路105を備える。
【0017】
画素アレイ100は、XYの行列状に配置された複数の単位画素20を備えている。なお、画素アレイ100を構成する画素の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素で画素アレイ100を構成してもよく、1行又は1列に並べた複数の画素で画素アレイ100を構成してもよい。
【0018】
垂直走査回路101は、単位画素20のトランジスタをオンまたはオフに制御するための制御信号を供給する。垂直走査回路101には、シフトレジスタやアドレスデコーダなどの論理回路が用いられ得る。単位画素20の各列には垂直出力線10が設けられており、単位画素20からの信号が列毎に垂直出力線10に読み出される。
【0019】
列増幅回路102は垂直出力線10に出力された画素信号を増幅し、リセット時の信号及び光電変換時の信号に基づく相関二重サンプリング処理を行う。
【0020】
水平走査回路103は、列増幅回路102の増幅器に接続されたスイッチと、該スイッチをオンまたはオフに制御するための制御信号を供給する。
【0021】
出力回路104はバッファアンプ、差動増幅器などから構成され、列増幅回路102からの画素信号を光電変換装置の外部の信号処理部に出力する。AD変換部を光電変換装置に設け、画像信号をデジタル信号として出力してもよい。
【0022】
図2は、本実施形態に係る光電変換装置を説明するための単位画素20の等価回路を示している。図2には行方向及び列方向に2次元配列された複数の単位画素20のうち、3行×3列の9個の単位画素20が示されている。
【0023】
複数の単位画素20の各々は、2つの光電変換部(以下PDとも表記する)201、2つの転送トランジスタ202、フローティングディフュージョン(以下FDとも表記する)203を備える。2つのPDのそれぞれから出力される信号の位相差を検出することで、単位画素20は像面位相差AF機能を有する。また、単位画素20はリセットトランジスタ204、増幅トランジスタ205、選択トランジスタ206を備える。さらに、垂直出力線10と繋がる出力部207、接地電位に接続された接地208、電源209を有している。
【0024】
PD201は、入射光を光電変換するとともに、光電変換された電荷を蓄積する。
【0025】
転送トランジスタ202は、オンされる事によりPDの電荷をFDに転送する。
【0026】
増幅トランジスタ205はソースフォロワ回路を構成し、FDの電圧に基づく信号を、選択トランジスタ206を介して垂直出力線10に出力する。またリセットトランジスタ204をオンさせる事により、FDの電圧を電源209の電圧でリセットすることができる。
【0027】
同一行の単位画素20Aに対しては共通の制御信号が垂直走査回路101から供給される。すなわち、第n行の転送トランジスタ202、リセットトランジスタ204、選択トランジスタ206には、それぞれ、制御信号Φ202(n)、Φ204(n)、Φ206(n)が供給される。これらのトランジスタは制御信号がハイレベルの時にオンされ、ローレベルの時にオフされる。
【0028】
図3は単位画素20の平面模式図および断面模式図を示している。図3(a)は単位画素20の平面模式図を示し、図3(a)のA-A‘における断面模式図を図3(b)に示す。また図3(a)のB-B‘における断面模式図を図3(c)に示す。
【0029】
図3(a)中に太線で示される矩形の領域は、後述する図3(b)の空乏層止め領域211のスリット部である。図3(b)、(c)に示すように、単位画素20のPD201はN型の電荷蓄積領域210、P型の空乏層止め領域211、画素内分離部212、画素分離領域213を含む。
【0030】
PD201の構造と機能について説明する。
【0031】
本実施例では、図3(b)に示すように、図3(a)のA-A‘断面において、N型の電荷蓄積領域210の下に空乏層の延伸を抑制するためのP型の空乏層止め領域211が形成されている。空乏層止め領域211は独立したスリット部を有し、スリット部の第一の端部と、第一の端部に対向する第二の端部とがA-A‘断面において左右に離隔された構造をなす。空乏層止め領域211のスリット部は、図3(a)においては各画素の空乏層止め領域毎に独立した領域として図示されるが、空乏層止め領域の構造はこれに限られず、例えばA-A‘線に沿ってA-A‘方向一帯を覆うスリットを形成してもかまわない。各画素の空乏層止め領域のそれぞれを複数の部材で構成することが可能である。
【0032】
空乏層止め領域211下部のN型の半導体領域は、P型の画素内分離部212によって左右に分離されている。分離されたN型の半導体領域はそれぞれがPDを構成し、像面位相差AF機能の実現を可能にする。
【0033】
さらに、P型の画素分離領域213によって隣り合う画素同士のPDは分離されている。
【0034】
図3(a)の裏面側、つまり図3(b)の下側から入射した光は、主にN型の半導体領域で光電変換される。光電変換によって生成された電荷は左右の空乏層止め領域211の間(スリット部)を通って電荷蓄積領域210に移動する。
【0035】
各PDで光電変換された電荷の移動経路を、ポテンシャル模式図を用いて説明する。
【0036】
図4(a)は、図3(b)と同一の断面図である。図4(b)は、図4(a)のC-C’断面における断面ポテンシャル模式図を示している。また図4(c)では、スリット部付近である図4(a)のD-D’断面における断面ポテンシャル模式図を示している。図4(b)、(c)共に図の縦軸はポテンシャルである。
【0037】
各画素において、光電変換装置の裏面に近いC-C’断面のN型の半導体領域のポテンシャルは、画素内分離部212及び画素分離領域213のポテンシャルと比べて低く、ポテンシャル井戸が形成されている。また、表面に近いD-D’断面のN型の半導体領域のポテンシャルは、裏面側のN型の半導体領域のポテンシャルよりも低い。D-D’断面の画素内分離部212のポテンシャルはC-C’断面の画素内分離部212のポテンシャルよりも低く、C-C’断面のN型の半導体領域のポテンシャルよりも低い。
【0038】
つまり、各画素はPD内に画素分離領域213によるポテンシャル障壁を有したまま光電変換装置の裏面側から表面側にかけてポテンシャルが低下し、表面側に深いポテンシャル井戸が形成されるような構成を有している。
【0039】
本実施形態の効果を説明する。
【0040】
一般に、PDのN型の半導体領域から電荷蓄積領域への経路にポテンシャル障壁がある場合、ポテンシャル障壁を超えられない電荷は隣接するPDに漏れ込む可能性がある。各画素内で隣接するPDに電荷が漏れ込んだ場合、像面位相差AF機能が低下することがある。また、例えば画素のそれぞれがカラーフィルターを有し、ベイヤ配列など隣接する画素のカラーフィルターが互いに異なる色に対応している場合、隣接画素の隣接するPDに電荷が漏れ込むことで、混色の発生による画質の劣化が懸念される。
【0041】
電荷移動経路にポテンシャル障壁がない場合であっても、高輝度の光が入射し、電荷蓄積領域に電荷が多く保持された場合には、図4(b)で示す光電変換装置の表面側(D-D’断面)のポテンシャル井戸の電位が上がる。光電変換装置表面側のポテンシャル井戸の電位が上がると、図4(a)で示す光電変換装置裏面側(C-C’断面)のポテンシャル井戸から光電変換装置表面側へのポテンシャル井戸への電界が弱くなり、ドリフトの不足により電荷の移動が妨げられる。このような場合でも隣接するPDへの電荷の漏れが起こり得る。
【0042】
裏面側のN型の半導体領域から表面側の電荷蓄積領域210への経路において最もポテンシャル障壁が出来やすいのは、空乏層止め領域211と画素内分離部212とが近接するスリット部付近である。空乏層止め領域211と画素内分離部212は、P型の不純物としてボロンなどをイオン注入することによって形成される。スリット部付近には空乏層止め領域211や画素内分離部212を形成する際の不純物の広がりや、不純物の熱拡散によって不純物がドープされ、ポテンシャル障壁ができやすくなるためである。
【0043】
本実施例では、スリット部付近におけるP型の不純物の実効濃度は、空乏層止め領域211や画素内分離部212のP型の不純物濃度よりも低くなっている。そのためスリット部付近におけるポテンシャルは周辺の空乏層止め領域211や画素内分離部212のポテンシャルよりも低く、N型の半導体領域から電荷蓄積領域210への電荷の移動を容易にしている。
【0044】
(第二の実施形態)
第二の実施形態に係る光電変換装置について図5を用いて説明する。図5(a)は単位画素20の平面模式図を示し、図5(a)のA-A‘における断面模式図を図5(b)に示す。また図5(a)のB-B‘における断面模式図を図5(c)に示す。第一の実施形態と共通する説明は省略し、主として第一の実施形態との相違点について説明する。
【0045】
図5に示す光電変換装置は、図3に示す光電変換装置と比べ、画素内分離部212のP型の不純物濃度が低い点で異なる。例えば、画素内分離部212のP型不純物濃度は、画素分離領域213のP型不純物濃度の1/2から1/20程度である。
【0046】
画素分離領域213と画素内分離部212とでP型不純物濃度に差をつけることにより、スリット部付近におけるP型不純物の実効濃度をより低くすることができ、スリット部付近におけるポテンシャルをより低くすることができる。
【0047】
また、画素分離領域213と画素内分離部212とのP型不純物濃度が同程度の場合でも、画素内分離部212の画素内分離部212の画素分離方向と交差する断面であるA-A‘断面における幅を小さくする事で同様の効果を得られる。
【0048】
(第三の実施形態)
第三の実施形態に係る光電変換装置について図6を用いて説明する。図6(a)は単位画素20の平面模式図を示し、図6(a)のA-A‘における断面模式図を図6(b)に示す。また図6(a)のB-B‘における断面模式図を図6(c)に示す。第一及び第二の実施形態と共通する説明は省略し、主として第二の実施形態との相違点について説明する。
【0049】
図6に示す光電変換装置は、図5に示す光電変換装置と比べ、画素内分離部212の分離領域高さが低い点で異なる。ここで分離領域高さとは、断面視において裏面側から表面側への延びる分離領域上端の高さである。つまり、図5では画素分離領域213と画素内分離部212の上端の高さが同等であったのに対して、図6では画素内分離部212の上端の方が画素分離領域213の上端よりも下である。
【0050】
本実施形態に係る画素分離領域213及び画素内分離部212の形成方法として、レジストで規定された分離領域に、エネルギーを変えたイオン注入を複数回行うことで分離領域高さを変える方法が考えられる。画素分離領域213を形成する際のイオン注入エネルギーに対して、画素内分離部212を形成する際のイオン注入エネルギーを大きくし、画素内分離部212と画素分離領域213のイオン注入深さを異ならせることで、第三の実施形態の実現を可能としている。または、画素内分離部212を形成する際に、エネルギーを変えた複数回のイオン注入のうちエネルギーの小さいイオン注入を行わないことにより、画素内分離部212と画素分離領域213のイオン注入深さを異ならせ、第三の実施形態の実現を可能としている。
【0051】
画素内分離部212を低く形成し、上端をスリット部から遠ざけることにより、スリット部付近におけるP型不純物濃度をより低くすることができ、スリット部付近におけるポテンシャルをより低くすることができる。
【0052】
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る光電変換装置について図7を用いて説明する。図7(a)は単位画素20の平面模式図を示し、図7(a)のA-A‘における断面模式図を図7(b)に示す。また図7(a)のB-B‘における断面模式図を図7(c)に示す。第一から第三の実施形態と共通する説明は省略し、主として第三の実施形態との相違点について説明する。
【0053】
図7に示す光電変換装置は、図6に示す光電変換装置と比べ、画素内分離部212の裏面側のP型不純物濃度が画素内分離部212の表面側のP型不純物濃度よりも高い点で異なる。
【0054】
画素間分離部の裏面側のP型不純物濃度を表面側のP型不純物濃度よりも高くすることで、裏面側付近のPD同士の間のポテンシャル障壁を高くすることができる。裏面側付近のPD間のポテンシャル障壁を高くすることで、各PDで光電変換した電荷のクロストークを抑制することができ、像面位相差AF機能を向上させることができる。
【0055】
一方で画素間分離部の表面型のP型不純物濃度は低いため、スリット部付近におけるP型不純物濃度及びスリット部付近におけるポテンシャルは低く保つことができる。
【0056】
(第五の実施形態)
第五の実施形態に係る光電変換装置について図8を用いて説明する。図8(a)は単位画素20の平面模式図を示し、図8(a)のA-A‘における断面模式図を図8(b)に示す。また図8(a)のB-B‘における断面模式図を図8(c)に示す。第一から第四の実施形態と共通する説明は省略し、主として第四の実施形態との相違点について説明する。
【0057】
図8に示す光電変換装置は、図7に示す光電変換装置と比べ、空乏層止め領域211の表面側にスリット部と重なるようにP型のカウンター領域214が形成されている点で異なる。図8(a)中に太点線で示される矩形の領域が、後述するカウンター領域214である。
【0058】
空乏層止め領域211のスリット部では、空乏層止め領域211が形成されていないために、局所的に電荷蓄積領域210の空乏化電圧が上がり、ポテンシャル溝ができる場合がある。転送トランジスタ202を介してPDの蓄積電荷をFDへ電荷転送する際に電荷がこのポテンシャル溝に残った場合、リニアリティの劣化や残像などの画質劣化を引き起こされうる。
【0059】
本実施形態では、空乏層止め領域211の表面側に、光入射方向からの上面視でスリット部に重なるようにカウンター領域214が形成されている。カウンター領域214は電荷蓄積領域210にボロンなどのP型不純物をイオン注入することなどによって形成される。カウンター領域214により、空乏層止め領域211のスリット部に重なる部分のポテンシャルが引き上げられ、局所的な空乏化電圧の上昇が抑制される。これにより、PDからFDへの電荷転送を容易にしている。
【0060】
また、カウンター領域214は、図8(a)に示すように、空乏層止め領域211のスリット部に対して転送トランジスタ202と反対方向に延在していても良い。PDの転送トランジスタ202から遠い領域には、転送トランジスタ202による電界が届きにくく、電荷の移動が滞る場合がある。カウンター領域214を転送トランジスタ202から遠いPD領域まで延在させ、PD領域のポテンシャルを持ち上げることで、PDからFDへの電荷転送をさらに容易にすることが可能である。
【0061】
(第六の実施形態)
第六の実施形態に係る光電変換装置について図9を用いて説明する。第六の実施形態に係る光電変換装置は、単位画素20に加え、遮光されたOB画素20B、画素部のノイズの基準値を得るための参照画素20Nを含む。
【0062】
図9(a)は単位画素20、OB画素20B、参照画素20Nの3画素分の平面模式図を示し、図9(a)のA-A‘における断面模式図を図9(b)に示す。また図9(a)のB-B‘における断面模式図を図9(c)に示し、図9(a)のC-C‘における断面模式図を図9(d)に示す。図9(b)では模式的に、OB画素20Bと参照画素20Nの光入射面側に光を遮蔽するための遮光膜が配置されている。
【0063】
単位画素20、OB画素20Bの構造は第五の実施形態に示す光電変換装置と同様であるため、詳細な説明を省略する。参照画素20NはPD201を有さず、さらに空乏層止め領域211下部の構造が画素20と異なっている。
【0064】
参照画素20NはPD201を有さないため、電荷蓄積領域210を形成するためのイオン注入が行われず、空乏層止め領域211のスリット部では相対的にP型の不純物濃度が高くなる。参照画素20NのPD201以外の構造が画素20と同様であった場合、電荷蓄積領域210を有する単位画素20及びOB画素20Bと比べ空乏層止め領域211のスリット部におけるポテンシャルが高くなり、スリット部にポテンシャル障壁が形成される。
【0065】
参照画素20NはPD201を持たず、また遮光部によって遮光されているために光電変換による電荷の発生はないが、暗電流による電荷は発生しうる。特に裏面入射型の光電変換装置では裏面側にSi界面が存在するため、表面入射型の光電変換装置と比較すると、裏面に近い位置のN型の半導体領域で暗電流による電荷が発生しやすい。
【0066】
N型の半導体領域で発生した電荷は、空乏層止め領域211のスリット部に形成されたポテンシャル障壁によって移動を抑制され、N型の半導体領域に電荷が溜まる場合がある。この溜まった電荷が、近接する画素(OB画素、単位画素)に漏れ込む場合がある。また、N型の半導体領域に溜まった電荷が当該半導体領域の蓄積可能な電荷量を越えると、余剰電荷の一部は参照画素と近接する画素20Bの間のポテンシャル障壁を超えて近接する画素に侵入する場合がある。
【0067】
OB画素20Bに余剰電荷が侵入すると、黒レベルの基準値を正確に得ることができない場合がある。また、参照画素から単位画素20に電荷が漏れ込んだ場合には、単位画素20が出力する信号精度が低下し、像面位相差AF機能の低下が懸念される。
【0068】
そこで、第六の実施形態に係る光電変換装置では、図9(b)及び図9(d)に示すように、空乏層止め領域211の下の、単位画素20のN型の半導体領域に相当する領域全面がP型の半導体領域となっている。つまり、参照画素20Nの空乏層止め領域211下の領域は単位画素20及びOB画素20Bの空乏層止め領域211下の領域と比べP型不純物の実効濃度が高く、N型不純物の実効濃度が低い。各画素の光入射面から空乏層止め領域211までの範囲を光入射面に平行に二分し、同じ深さに当たる位置で比較したときに、参照画素のほうがP型不純物の実効濃度が高く、N型不純物の実効濃度が低いということもできる。
【0069】
空乏層止め領域211の下部をP型の半導体領域とすることで、該領域での余剰電荷の発生を抑制することができる。そのため、隣接する画素への余剰電荷の侵入を抑制することができる。参照画素20N以外の画素におけるポテンシャル勾配の形成による電荷漏れ抑制の効果をより高めることができ、出力する信号精度の低下をさらに抑制できる。
【0070】
なお、空乏層止め領域211の下部のP型半導体領域は、隣り合う画素同士を分離するP型の画素分離領域213と同じイオン注入工程で形成しても良い。画素分離領域213と同じ工程で形成することで、工程の簡易化が可能である。また、この実施形態において参照画素の空乏層止め領域211にスリットは必要不可欠ではない。
【0071】
本実施形態では空乏層止め領域211の下部の半導体領域をP型半導体領域として説明した。該領域を電荷蓄積領域210よりも濃度の低いN型半導体領域とし、形成されるポテンシャル井戸を浅くすることによっても、同様にスリット部のポテンシャル障壁形成による電荷移動の抑制を低減する効果を得られる。
【0072】
(第七の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0073】
上記第一~第五の実施形態で述べた光電変換装置(撮像装置)は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。図10には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0074】
図10に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を有する。さらに、レンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0075】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0076】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0077】
更に光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0078】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部1007は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0079】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0080】
(第八の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0081】
図11(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置(撮像装置)である。光電変換システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、光電変換システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、光電変換システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0082】
光電変換システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御部である制御ECU330が接続されている。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0083】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム300で撮像する。図11(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置320が、光電変換システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0084】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0085】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0087】
また、上記第七の実施形態、第八の実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものであって、本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは図10及び図11に示した構成に限定されるものではない。
【0088】
また、第一の実施形態から第六の実施形態まで図1の光電変換装置の概略図を用いて説明したが、本発明は回路を2つ以上の半導体基板に配置して、それらの基板を貼り合わせた積層構造にしてもよい。例えば回路を2枚の基板に分け、第1基板に画素アレイ100と垂直走査回路101を配置し、第2基板には列増幅回路102と水平走査回路103、制御回路105を配置する。これは配置の一例であって、本発明を限定するものではない。たとえば、第1基板に配されていた垂直走査回路101は第2基板に配されるようにしても良い。また、図1の例では単位画素20と列増幅回路102は画素の列ごとに電気的に接続されているが、例えば1つの画素毎に信号増幅回路が接続されてもよい。2枚の基板からなる積層構造を例に挙げて説明したが、例えばさらに回路を分割するか、回路や機能を追加するなどして3枚以上の基板からなる積層構造にしてもよい。
【0089】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
201 光電変換部
210 N型電荷蓄積領域
211 P型空乏層止め領域
212 画素内分離部
213 画素分離領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11