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  • 特許-配線材の接続構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】配線材の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240129BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H05K1/02 Z
H05K3/00 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021105506
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004044
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏侑
(72)【発明者】
【氏名】茶縁 貴裕
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-113428(JP,A)
【文献】特開平5-174940(JP,A)
【文献】特開平11-297373(JP,A)
【文献】特開2011-228217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/20―26/342
H01R 4/02
H01R 43/02
H05K 1/00―1/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと配線材とを接続する接続構造であって、
前記バスバーには厚さが薄くなっている接合領域が形成され、前記接合領域に接続突起が起立して形成されていると共に、前記配線材には、前記接続突起が貫通可能な接続孔が形成され、
前記接続突起が前記接続孔を貫通した状態で、前記接続突起と前記接続孔とが溶融接合されていることを特徴とする配線材の接続構造。
【請求項2】
前記接合領域の前記接続突起を除く箇所は、前記バスバーの厚さよりも前記配線材の厚さ以上薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線材の接続構造。
【請求項3】
前記接続突起及び前記接続孔の断面形状は相似であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線材の接続構造。
【請求項4】
前記接続突起は、中心部が空洞の筒状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の配線材の接続構造。
【請求項5】
前記接続突起と前記接続孔とは、レーザ照射装置によって照射されるレーザビームによって溶融接合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配線材の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーへの配線材の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーに形成されたピン状に起立された突片を、配線材の孔部に貫通させ、突片と配線材とが半田付けされた配線材の接続構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-228217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、バスバーと配線材とを半田を用いて接合しているため、半田付けによるコストが大きい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、半田を用いることなく、バスバーと配線材とを安価に接合できる配線材の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バスバーと配線材とを接続する接続構造であって、バスバーと配線材とを接続する接続構造であって、前記バスバーには厚さが薄くなっている接合領域が形成され、前記接合領域に接続突起が起立して形成されていると共に、前記配線材には、前記接続突起が貫通可能な接続孔が形成され、前記接続突起が前記接続孔を貫通した状態で、前記接続突起と前記接続孔とが溶融接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上のように構成されているので、接続突起と接続孔との溶融接合により、半田を用いることなくバスバーと配線材とを接続でき、バスバーと配線材とを安価に接合できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る配線材の接続構造を示す分解斜視図である。
図2図1に示すバスバーと配線材との接合手順を説明する斜視図である。
図3図1に示すバスバーと配線材との接合手順を説明する縦断面図である。
図4図2に示すレーザ照射装置によるレーザビームの照射例を説明する説明図である。
図5図1に示す接続突起及び接続孔の変形例を示す斜視図及び断面図である。
図6図1に示す接続突起の変形例を示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の係る配線材の接続構造の実施の形態について説明する。
本実施の形態の接続構造は、図1に示すバスバー1と配線材2とを接合する接続構造である。
【0010】
バスバー1は、電源の接続・分配に使われる板状の導体であり、銅や銅合金等の金属板で構成されている。バスバー1の一端部における角部には、厚さが薄くなっている接合領域11が形成されている。そして、接合領域11には、円柱形の接続突起12が起立して形成されている。接続突起12が形成されている接合領域11の突起形成面は、バスバー1の板面と平行に形成され、接続突起12は、接合領域11の突起形成面に対して垂直方向に起立している。
【0011】
本実施の形態において、接合領域11は、接続突起12を除く箇所を配線材2の厚さT以上に表面から削り出して製作されている。従って、接続突起12は、起立長Lが配線材2の厚さTよりも高く形成される。
【0012】
バスバー1に接合する配線材2は、フレキシブルプリント配線基板(FPC)等の板状の配線部材であり、バスバー1に形成されている接続突起12が貫通される接続孔21が形成されている。配線材2の接続孔21周りの全部もしくは一部には、図示しない配線(回路パターン)が配置されている。なお、配線材2は、それ自体が配線として機能する導体で構成しても良い。
【0013】
バスバー1と配線材2との接合工程は、まず、図2(a)及び図3(a)に示すように、配線材2の接続孔21を接合領域11の接続突起12に位置合わせして、接合のために配線材2をバスバー1の接合領域11にセットする。配線材2の板面と平行な方向に沿った接続孔21の断面形状は、接合領域11の突起形成面と平行な方向に沿った接続突起12の断面形状の相似形であり、接続突起12が貫通可能な大きさを有する。従って、配線材2をバスバー1の接合領域11にセットした状態では、接続突起12が接続孔21を貫通して配線材2の表面から突出した状態となる。
【0014】
次に、配線材2をバスバー1の接合領域11にセットした状態で、レーザ照射装置3を用いて接続突起12にレーザビームを照射する。レーザビームの照射により、接続突起12と接続孔21周りの全部もしくは一部に配置されている配線とが溶融され、図2(b)及び図3(b)に示すように、両者を溶融接合される。
【0015】
バスバー1と配線材2との溶融接合は、図3(b)に示すように、接続突起12の外周面と、接続孔21の内周面との溶融よる接合である。従って、接続突起12の径がレーザ照射装置3によるレーザビームのスポット径よりも大きい場合、図4(a)に示すように、レーザビームのスポットAを接続突起12の外周を移動させるように照射すると、溶融接合をより強固にすることができる。
【0016】
また、接続突起12の径がレーザビームのスポット径よりも大きい場合、図4(b)に示すように、中心部が空洞Xとなっている円筒状(ドーナツ状)の接続突起12aを形成すると良い。この場合、レーザビームのスポットを接続突起12の外周を移動させる際に、接続突起12aの溶融スピードが速くなり、溶融接合にかかる作業効率が向上する。
【0017】
接続突起12及び接続孔21の個数には、特に制限はない。図5(a)に示すように、複数の接続突起12及び接続孔21を設けた場合、バスバー1に対する配線材2の位置決めが容易になる。
【0018】
図5(a)に示す例では、接続突起12及び接続孔21の断面形状を円形としたが、接続突起12及び接続孔21の断面形状に、特に制限はない。図5(b)、(c)に示す接続突起12b、12c及び接続孔21のように、断面形状を円形以外の多角形にした場合、バスバー1に対する配線材2の位置決めが容易になる。なお、図5(b)には、接続突起12b及び接続孔21の断面形状を矩形とした例が、図5(c)には、接続突起12c及び接続孔21の断面形状を星形多角形とした例がそれぞれ示されている。図5(c)に示す接続突起12c及び接続孔21のように、断面形状をレーザビームのスポットAに収まる凸部(星形多角形の鋭角頂点部)を有する形状にした場合、凸部にレーザビームを照射することで、溶融接合を素早くより強固にすることができる。
【0019】
本実施の形態の接続突起12は、削り出しで形成したが、図6(a)の斜視図及び断面図に示された接続突起12のように、バスバー1の下面からの打ち出しで形成しても良い。また、図6(b)の斜視図及び断面図に示された接続突起12bのように、バスバー1の端部から2本の切込みを入れて折り曲げで形成することもできる。
【0020】
また、本実施の形態では、レーザビームによる溶融接合を採用したが、抵抗溶接に酔ったバスバー1と配線材2とを溶融接合することもできる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態は、バスバー1と配線材2とを接続する接続構造であって、バスバー1には、接続突起12が起立して形成されていると共に、配線材2には、接続突起12が貫通可能な接続孔21が形成され、接続突起12が接続孔21を貫通した状態で、接続突起12と接続孔21とが溶融接合されている。
この構成により、接続突起12と接続孔21との溶融接合で半田を用いることなくバスバー1と配線材2とを接続できるため、バスバー1と配線材2とを安価に接合できる。
【0022】
さらに、本実施形態において、接続突起12の断面形状と、接続孔21の断面形状は相似である。
この構成により、配線材2をバスバー1の接合領域11にセットした際に、接続突起12の外周面と接続孔21の内周面との間隔をコントロールすることができ、接続突起12の外周面と接続孔21の内周面との溶融接合をムラなく行うことができる。
【0023】
さらに、本実施形態において、接続突起12は、中心部が空洞Xの筒状である。
この構成により、レーザビームのスポットを接続突起12の外周を移動させる際に、接続突起12aの溶融スピードが速くなり、溶融接合にかかる作業効率が向上する。
【0024】
さらに、本実施形態において、接続突起12と接続孔21とは、レーザ照射装置3によって照射されるレーザビームによって溶融接合されている。
この構成により、配線材2がセットされたバスバー1の上方からレーザビームを照射するだけで簡単に接続突起12と接続孔21とを溶融接合することができる。
【0025】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0026】
1 バスバー
2 配線材
3 レーザ照射装置
11 接合領域
12、12a、12b、12c 接続突起
21 接続孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6