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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】光学シートおよびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240129BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240129BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240129BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240129BHJP
   G02B 1/10 20150101ALI20240129BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B5/22
G02B5/30
G02B1/14
G02B1/10
G02F1/13357
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021109329
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2022056340
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127104
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0169528
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヒョギル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テフン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、キュチュン
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1332167(KR,B1)
【文献】国際公開第2010/058702(WO,A1)
【文献】特開2010-020211(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0089549(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第106291794(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0062865(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02B 5/22
G02B 5/30
G02B 1/14
G02B 1/10
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の上に配置されるUV硬化型のプリズムパターン層とを含むプリズムシートを含み、
前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、前記光吸収剤が1種以上の不飽和結合を有する有機染料を含み、
前記プリズムパターン層が、UV遮断剤、酸化防止剤および光安定剤をさらに含み、 前記光吸収剤の主吸収波長が、470nm~520nmmまたは550nm~620nmである、光学シート。
【請求項2】
前記光吸収剤が前記プリズムパターン層の総重量を基準に、0.01重量%~1重量%の量で含まれ、
前記光吸収剤が、ピロールメチン類、ローダミン類、ボロンジピロメテン類、テトラアザポルフィリン類、スクアリン類、およびシアニン類からなる群より選択される少なくとも1種の有機染料を含み、
前記プリズムパターン層が、UV-A光に対して10%~70%の透過率を有する、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記光学シートが下記式(1)を満足する、請求項1に記載の光学シート:
FWHM≦50nm ...(1)
前記式(1)において、
FWHMは、波長に応じた純吸光率のスペクトル曲線において最大ピークの半値幅(nm)であり、前記純吸光率が測定されるために光源が用意され、前記光源からの光を前記光学シートに通過させて第1透過率T1が測定され、
前記光学シートから前記光吸収剤のみが除去された参照シートが用意され、前記光源からの光を前記参照シートに通過させて第2透過率T0が測定され、
前記純吸光率は、第2透過率T0から第1透過率T1を引いた値である。
【請求項4】
前記UV遮断剤が、ヒドロキシベンゾトリアゾール系、トリス-レゾルシノール-トリアジンクロモフォア系、およびヒドロキシフェニル-ベンゾトリアゾールクロモフォア系のUV遮断剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記酸化防止剤が、アミン系、フェノール系、硫黄系、ホスフィン系、ホスファイト系、およびチオエステル系の酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記光安定剤が、HALS系、ベンゾトリアゾール系、およびベンゾフェノール系の光安定剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記プリズムパターン層に含まれるUV遮断剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して10倍~100倍であり、前記プリズムパターン層に含まれる酸化防止剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して1倍~10倍であり、前記プリズムパターン層に含まれる光安定剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して10倍~50倍である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光学シートが、
前記プリズムシートの下に配置される機能性コーティング層をさらに含み、
前記機能性コーティング層が、光拡散層、摩耗防止層、および耐熱コーティングからなる群より選択される、請求項1に記載の光学シート。
【請求項6】
前記光学シートが、第1プリズムシートと、前記第1プリズムシート上に配置される第2プリズムシートとを含み、
前記第1プリズムシートが、第1基材層と、前記第1基材層上に配置される第1プリズムパターン層とを含み、
前記第2プリズムシートが、第2基材層と、前記第2基材層上に配置される第2プリズムパターン層とを含み、
前記第1プリズムパターン層が面内第1方向に延び、
前記第2プリズムパターン層が前記第1方向に対して交差する面内第2方向に延び、
前記第1プリズムパターン層および前記第2プリズムパターン層のうち少なくとも1つが、特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、前記光吸収剤が1種以上の有機染料を含む、請求項1に記載の光学シート。
【請求項7】
前記光学シートが
前記第1プリズムシートの下に配置される第1機能性コーティング層と、
前記第2プリズムシートの上に配置される第2機能性コーティング層とをさらに含み、
前記第1機能性コーティング層および前記第2機能性コーティング層がそれぞれ、光拡散層、摩耗防止層、耐熱コーティング層、およびハードコーティング層からなる群より選択され、
前記第1機能性コーティング層、前記第1プリズムシート、前記第2プリズムシート、および前記第2機能性コーティング層は、互いに直接または間接的に結合される、請求項6に記載の光学シート。
【請求項8】
前記光学シートが、
前記第2プリズムシートと前記第2機能性コーティング層との間に配置される反射偏光フィルムと、
前記第2プリズムシートと前記反射偏光フィルムとの間に配置される緩衝フィルムとをさらに含み、
前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される構造を有する、請求項7に記載の光学シート。
【請求項9】
基材層と、前記基材層の上に配置されるUV硬化型のプリズムパターン層とを含むプリズムシートと、
前記プリズムシートの下に配置される光拡散層とを含み、
前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、
前記光吸収剤が少なくとも1種の不飽和結合を有する有機染料を含み、
前記プリズムパターン層が、UV遮断剤、酸化防止剤および光安定剤を含み、
前記光吸収剤の主吸収波長が、470nm~520nmmまたは550nm~620nmである、光学シート。
【請求項10】
前記光吸収剤が、前記プリズムパターン層の総重量を基準に0.01重量%~1重量%の量で含まれる、請求項9に記載の光学シート。
【請求項11】
基材層の上面にプリズムパターン形成用組成物をコーティングしパターンを転写した後、UV硬化して、プリズムパターン層を形成する段階を含み、
前記プリズムパターン形成用組成物が、バインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、
前記光吸収剤が、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の不飽和結合を有する有機染料を含み、
前記光吸収剤の主吸収波長が、470nm~520nmmまたは550nm~620nmである、請求項1による光学シートの製造方法。
【請求項12】
前記プリズムパターン形成用組成物が、
前記バインダー樹脂100重量部に対して前記光吸収剤を0.01重量部~1重量部含み、前記UV遮断剤を前記光吸収剤の重量に対して10倍~100倍の重量で含み、前記酸化防止剤を前記光吸収剤の重量に対して1倍~10倍の重量で含み、前記光安定剤を光吸収剤の重量に対して10倍~50倍の重量で含む、請求項11に記載の光学シートの製造方法。
【請求項13】
(1)第1基材層の下面に第1機能性コーティング層を形成する段階と、
(2)前記第1基材層の上面に第1プリズムパターン形成用組成物をコーティングしパターンを転写した後、UV硬化して、第1プリズムパターン層を形成するとともに、前記第1プリズムパターン層の上面に第2基材層を貼り合わせる段階と、
(3)前記第2基材層の上面に第2プリズムパターン層を形成する段階とを含み、
前記第1プリズムパターン形成用組成物が、バインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の不飽和結合を有する有機染料を含み、
前記光吸収剤の主吸収波長が、470nm~520nmmまたは550nm~620nmである、光学シートの製造方法。
【請求項14】
光源と、
前記光源からの光が入射され画像を表示する表示パネルと、
前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置される請求項1による光学シートとを含む、表示装置。
【請求項15】
前記表示装置は、
CIE1976色度座標u'v'におけるDCI重畳比が90%以上であり、
白色光に対して250cd/m以上の輝度を示す、請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、色領域および輝度が向上された光学シートおよびこれを含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かつては、40インチ(")台のテレビが主流であったが、今や50"台、さらには60"台のテレビを購入する消費者も多くなっている。このようなサイズ競争が終わると、解像度競争が始まった。たった1年前でもFHD(Full High Definition)級であれば高級モデルに属していたが、今となってはUHD(Ultra High Definition)が市場で急速に広がっている。
【0003】
最近の表示装置分野は、大面積、高解像度競争から色感競争に進化している。このような理由から最近では、優れた色感を有する表示装置の製造に対する競争が台頭している。
【0004】
液晶表示装置(LCD)は、液晶の光学的特性を利用して画像を表示するが、画像を表示する液晶表示パネルが自発光のできない非発光型素子であるため、液晶表示パネルとともにその背面に配置され、液晶表示パネルに光を供給するバックライトユニット(back-light unit)を含む構造となる。液晶表示装置は、他の表示装置に比べて厚さが薄く、軽量で、消費電力が少なく、駆動電圧が低いという利点を有する反面、色感の面では他の表示装置に比べてやや劣る。
【0005】
また、今では消えつつある陰極線管表示装置(CRT)の場合は、色領域(color gamut)がNTSC(National Television Standards Committee)基準で80%に達し、プラズマ表示装置(PDP)もまたNTSC90%レベルの製品が最近まで発売されていた。そして、次世代表示装置として脚光を浴びている有機発光表示装置(OLED)の場合は、NTSC100%まで達成可能である。しかし、LCDテレビはNTSC72%レベルである。
【0006】
これにより、表示装置分野の市場を活性化するためには、このような液晶表示装置の欠点を向上して、従来の色領域を向上させながら、輝度が低下しない技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第2012-0072194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置のバックライトユニットに適用される光学シートは、集光、拡散、反射などの機能を果たし、2つ以上の機能を複合化する場合、個々の光学機能を補い合いながら最大化することができる。また、前記光学シートにRGB以外の不要の波長を遮断するフィルター層を複合して色領域を向上させ得る。しかし、従来ではこのような追加のフィルター層を導入する過程において、製造工程が複雑となったり、全体の厚さが増加したり、輝度が低下する問題があった。
【0009】
そこで、本発明者らが研究した結果、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料をプリズムパターン層に添加することにより、従来よりも単純な製造工程によっても、色領域を向上させながらも、光吸収による輝度の低下を最小化することができた。また、本発明者らは、プリズムパターン層の組成を調節して、UV硬化による有機染料の劣化を防止しながら、光学的特性と機械的特性とを確保することができた。
【0010】
したがって、実現例の課題は、色領域を向上させながらも、輝度および工程性にも優れる光学シート、その製造方法、およびこれを含む表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実現例によると、基材層と、前記基材層の上に配置されるプリズムパターン層を含むプリズムシートとを含み、前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、前記光吸収剤が1種以上の有機染料を含む、光学シートが提供される。
【0012】
他の実現例によると、基材層と前記基材層の上に配置されるプリズムパターン層とを含むプリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層とを含み、前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含む、光学シートが提供される。
【0013】
また他の実現例によると、基材層の上面にプリズムパターン形成用組成物をコーティングしてパターンを転写した後、UV硬化して、プリズムパターン層を形成する段階を含み、前記プリズムパターン形成用組成物が、バインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含む、光学シートの製造方法が提供される。
【0014】
また他の実現例によると、光源と、前記光源からの光が入射され画像を表示する表示パネルと、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置される前記光学シートとを含む、表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
前記実現例による光学シートは、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料をプリズムパターン層に添加することにより、従来よりも単純な製造工程によっても、色領域を向上させながらも光吸収による輝度低下が最小化された光学シートを提供し得る。
【0016】
また、好ましい実現例によると、プリズムパターン層の組成を調節して、UV硬化による有機染料の劣化を防止しながら、光学的特性と機械的特性とを確保し得る。
【0017】
これにより、前記実現例による光学シートは、LCDのような表示装置のバックライトユニットに適用され、性能を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実現例による表示装置および光の進行方向を示す。
図2図2は、CIE1976色度座標u'v'において色領域を算出する方法である。
図3図3は、一実現例による表示装置の分解斜視図を示す。
図4図4は、一実現例によるバックライトユニットの断面図を示す。
図5a図5aは、実施例1の光学シートの断面図を示す。
図5b図5bは、実施例2の光学シートの断面図を示す。
図5c図5cは、実施例3の光学シートの断面図を示す。
図5d図5dは、実施例4の光学シートの断面図を示す。
図5e図5eは、実施例5の光学シートの断面図を示す。
図6図6は、比較例1の光学シートの断面図を示したものである。
図7図7は、第1プリズムパターン層形成、および第2基材層との貼り合わせ工程を示す。
図8図8は、一実現例による光学シートの製造方法を示したものである。
図9a図9aは、他の実現例による光学シートの製造方法を示す。
図9b図9bは、また他の実現例による光学シートの製造方法を示す。
図9c図9cは、また他の実現例による光学シートの製造方法を示す。
図10a図10aは、一実現例による光学シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図10b図10bは、一実現例による光学シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図10c図10cは、一実現例による光学シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図11a図11aは、一実現例による光学シートに含まれる第1機能性コーティング層の断面図である。
図11b図11bは、一実現例による光学シートに含まれる第2機能性コーティング層の断面図である。
図12図12は、一実現例による光学シートに含まれる反射偏光フィルムの断面図である。
図13図13は、実施例5および比較例2における光学シートの透過スペクトルを示す。
図14図14は、実施例5における光学シートの純吸光率スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実現例の説明において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されるものと記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、または他の構成要素を介して間接的に形成されることをすべて含む。
【0020】
また、各構成要素の上/下に対する基準は、図面を基準に説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさと異なり得る。
【0021】
本明細書において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反する記載がない限り、その他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
また、本明細書に記載された構成要素の物性値、寸法などを表すすべての数値範囲は、特別な記載がない限り、すべての場合に「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0023】
本明細書において単数表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味として解釈されるべきである。
【0024】
[表示装置]
一実現例による表示装置は、光源と、表示パネルと、光学シートとを含む。前記表示パネルは、前記光源から光の入射を受けて画像を表示する。前記光学シートは、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置される。したがって、前記表示装置は、光源と、前記光源からの光が入射される光学シートと、前記光学シートからの光が入射される表示パネルとを含み得る。前記光源からの光は、前記光学シートを通過しながら特性が向上され、前記表示パネルは、前記向上された特性の光をもって画像を表示する。その結果、図1を参照すると、表示装置1の画面から出射された光Lによって表示される画像は、優れた色感で認知され得る。
【0025】
具体的に、図3を参照すると、前記表示装置1は、バックライトユニット10と、前記バックライトユニット10の上に配置される表示パネル20とを含み得る。前記バックライトユニット10は、光学シート11と、拡散板または導光板700とを含み、光源900をさらに含み得る。
【0026】
前記光源は、前記導光板の側面または前記拡散板の下に配置され得る。拡散板または導光板700は、前記光学シート11の下に配置され光源900から発生する光を表示パネル20に伝達する役割をする。前記導光板700はエッジ型光源である場合に用いられ、この際、前記導光板700の下に反射板800が配置されることにより、光の損失を低減し得る。前記拡散板は直下型の光源である場合に用いられ、LED面光源が用いられて光効率が向上され得る。
【0027】
図3を参照すると、前記光源900から発生した光は、導光板700の側面に入射し反射板800に反射されて光学シート11の下部に入射する。このように入射した光は、光学シート11を垂直に通過して上部に出射することとなる。前記光学シート11の上部に出射された光は、表示パネル20に入射され、その結果、表示パネルの画面に画像が表示され得る。
【0028】
前記光源は白色光源であり得る。例えば、前記光源は、連続発光スペクトルを有し得る。具体的に、前記光源は白色LEDであり得る。より具体的に、前記光源は、青色GaN(Gallium Nitride)発光チップと黄色YAG(Yttrium Aluminum Garnet、YAl12)蛍光体とを含み得る。また、前記光源は、青色GaN発光チップとr、g蛍光体とを含むか、またはr蛍光体と赤色KSF(KSiF:Mn)蛍光体とを含み得る。
【0029】
前記表示パネル20は、液晶セルと1つ以上の偏光板とを含み、具体的な例として、第1偏光板、液晶セル、および第2偏光板が積層された構造を有し、これらの偏光板と液晶セルとの間には接着層が形成され得る。
【0030】
前記表示装置1は、前記表示パネル20上に配置されるカバーウィンドウ30をさらに含み、前記カバーウィンドウは透明ポリイミドフィルムや超薄膜ガラス(UTG)からなり得る。また、前記表示装置1は、前記表示パネル20と接続される電極および基板をさらに含み得る。そのほかにも、前記液晶表示装置1は、これらの構成要素を取り囲みながら保護するフレーム51、52を含み得る。
【0031】
[光学シートの構成要素]
一実現例による光学シートは、基材層と、前記基材層上に配置されるプリズムパターン層を含むプリズムシートとを含み、前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、前記光吸収剤が1種以上の有機染料を含む。
【0032】
他の実現例による光学シートは、基材層、および前記基材層の上に配置されるプリズムパターン層を含むプリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層とを含み、前記プリズムパターン層が特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含む。
【0033】
このように、前記光学シートは、少なくとも1つのプリズムシートを含む。また、前記光学シートは、少なくとも1つのプリズムシートのプリズムパターン層に光吸収剤を含む。前記プリズムシートは、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置され得る。
【0034】
前記光学シートは、そのほかに基材フィルム、反射偏光フィルム、緩衝フィルム、機能性コーティング層、および接着層をさらに含み得る。
以下、各構成要素別に具体的に説明する。
【0035】
[プリズムシート]
前記プリズムシートは、プリズムパターンの界面の屈折率差による集光により輝度を向上させる役割をする。
【0036】
図10aを参照すると、前記プリズムシート200は、基材層201と、前記基材層上に形成されたプリズムパターン層202とを含む。前記パターン層のパターン形状は特に限定されず、例えば、長い三角柱状を有することにより、界面において光を屈折させ得る。
【0037】
前記プリズムシートは、互いに異なる高さを有する複数のプリズムパターンを含み得る。図10bを参照すると、前記プリズムパターンは、互いに高さが異なる第1パターン202aおよび第2パターン202bからなり得る。前記第1パターンの高さTaに対する前記第2パターンの高さTbの比Tb/Taは、0.5~0.99、または0.8~0.95であり得る。
【0038】
図10cを参照すると、第1パターン202aの上端の頂点部が接着層600に浸透して接着が行われ、この際、メニスカス601が発生して集光性能を低下させることとなる。したがって、第2パターン202bの高さを第1パターンと異にして、上端の形状を保持することにより、集光性能の低下を抑制し得る。
【0039】
前記基材層および前記パターン層は互いに同一材料からなってよく、例えば、前記基材層および前記パターン層は一体に形成され得る。または、前記基材層および前記パターン層は互いに異なる材料からなってよく、例えば、基材層の形成後、その上にパターン層が形成され得る。
【0040】
具体的に、前記基材層の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂などが挙げられる。より具体的に、前記基材層の材料はポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンナフタレート樹脂であり得る。
【0041】
また、前記パターン層の材料はUV硬化型樹脂であり、例として、エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレートのようなアクリレート系樹脂またはメタクリレート系樹脂やエポキシ樹脂であり得る。
【0042】
図10aを参照すると、前記プリズムシートの基材層の厚さT1は30μm~300μmであり、具体的に50μm~200μmであり、パターン層の厚さT2は10μm~100μmであり、具体的に20μm~60μmであり得る。
【0043】
[プリズムパターン層の組成および特性]
図8の(c)は、一実現例による光学シートに含まれるプリズムパターン層の断面図である。図8の(c)を参照すると、前記プリズムパターン層202は、光吸収剤とバインダー樹脂とを含む。
【0044】
前記光吸収剤は、特定波長帯域の光を選択的に吸収する。前記光吸収剤は、可視光波長帯域内において主吸収波長を有し得る。ただし、前記光吸収剤の主吸収波長は、可視光波長帯域内において純粋なRGBの波長を除いた帯域に属し得る。例えば、前記光吸収剤の主吸収波長が、470nm~520nmまたは550nm~620nm内に属し得る。具体的に、前記光吸収剤の主吸収波長が480nm~510nm、560nm~610nm、または580nm~620nm内に属し得る。
【0045】
前記光吸収剤は、1種以上の有機染料を含む。前記有機染料は、特定波長帯域の光を選択的に吸収する。具体的に、前記有機染料は、特定波長帯域の光を選択的に吸収する発色団(chromophore)を有し得る。特に、前記有機染料は、二重結合のような不飽和結合(例えば、共役結合)を有しており、特定波長帯域の光を選択的に吸収し得る。
【0046】
具体的な例として、前記光吸収剤は、ピロールメチン類、ローダミン類、ボロンジピロメテン類、テトラアザポルフィリン類、スクアリン類、およびシアニン類からなる群より選択される少なくとも1種の有機染料を含み得る。
【0047】
このように不飽和結合を有する有機染料は、UV光によってラジカル反応が発生して、活性が低下しやすいため、通常のコーティング層や熱硬化樹脂層に主に添加されている。一方、プリズムパターンを形成し、隣接層との接着にもパターン形状を保持するためには、UV硬化による一定レベル以上の強度の実現が求められるので、従来にはプリズムパターン層に光吸収剤を添加することが難しいという問題があった。しかし、本発明によると、プリズムパターン層に添加される成分の組成および含有量を調節して、UV硬化による光吸収剤の活性低下を防止しながら、光学的/機械的特性が確保されたプリズムパターン層を形成し得る。これにより、光吸収層を導入するための別途のコーティング層を形成しなくて済み、それによる追加のエイジング段階が不要なので、工程を簡略化し、生産性を向上させ得る。
【0048】
例えば、前記光吸収剤の含有量は、前記プリズムパターン層の総重量を基準に、0.01重量%~10重量%、例えば、0.01重量%~7重量%、0.01重量%~5重量%、または0.01重量%~3重量%であり得る。具体的に、前記光吸収剤は、前記プリズムパターン層の総重量を基準に、0.01重量%~1重量%の量で含まれ得る。また、前記光吸収剤の含有量は、前記プリズムパターン層内に含まれるバインダー樹脂100重量部を基準に、0.01重量部以上、0.015重量部以上、0.02重量部以上、0.025重量部以上、0.03重量部以上、0.035重量部以上、または0.04重量部以上であり、また、1重量部以下、0.5重量部以下、0.1重量部以下、0.05重量部以下、0.045重量部以下、0.04重量部以下、0.035重量部以下、0.03重量部以下、または0.025重量部以下であり得る。
【0049】
前記バインダー樹脂は、コーティングおよびパターン形成に適した成分からなり、例えば、前記例示のようなUV硬化型樹脂であり得る。具体的に、前記バインダー樹脂は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、メラミンアクリレート、エポキシ変性アクリレート、およびウレタン変性アクリレートからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0050】
前記プリズムパターン層は、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤のうち少なくとも1つをさらに含み得る。
【0051】
例えば、前記UV遮断剤は、ヒドロキシベンゾトリアゾール系、トリス-レゾルシノール-トリアジンクロモフォア系、およびヒドロキシフェニル-ベンゾトリアゾールクロモフォア系のUV遮断剤からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0052】
また、前記酸化防止剤は、アミン系、フェノール系、硫黄系、ホスフィン系、ホスファイト系、およびチオエステル系の酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0053】
また、前記光安定剤は、HALS(hindered amine light stabilizer)系、ベンゾトリアゾール系およびベンゾフェノール系の光安定剤からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0054】
前記プリズムパターン層に含まれるUV遮断剤の重量は、前記光吸収剤の重量に対して10倍以上、20倍以上、または30倍以上であり、また、100倍以下、70倍以下、または50倍以下であり得る。具体的に、前記UV遮断剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して10倍~100倍であり得る。
【0055】
前記プリズムパターン層に含まれる酸化防止剤の重量は、前記光吸収剤の重量に対して0.5倍以上、1倍以上、2倍以上、10倍以上、または30倍以上であり、また、100倍以下、10倍以下、7倍以下、または5倍以下であり得る。具体的に、前記酸化防止剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して1倍~10倍であり得る。
【0056】
前記プリズムパターン層に含まれる前記光安定剤の重量は、前記光吸収剤の重量に対して、0.2倍以上、0.5倍以上、1倍以上、5倍以上、または10倍以上であり、また、50倍以下、30倍以下、20倍以下、10倍以下、または5倍以下であり得る。具体的に、前記光安定剤の重量が、前記光吸収剤の重量に対して10倍~50倍であり得る。
【0057】
また、前記プリズムパターン層は光開始剤をさらに含み、具体的に(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィン、ヒドロキシジメチルアセトフェノン、およびメチルベンゾイルホルメートからなる群より選択される少なくとも1種であり得る。前記プリズムパターン層に含まれる光開始剤の重量は、前記バインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部~1重量部であり得る。
【0058】
[プリズムパターン層の特性]
前記プリズムパターン層は、これに含まれる光吸収剤により特定波長帯域の光を選択的に吸収する。
【0059】
前記プリズムパターン層は、可視光波長帯域内で主吸収波長を有し得る。ただし、前記プリズムパターン層の主吸収波長は可視光波長帯域内において純粋なRGB波長を除いた帯域に属し得る。これにより、前記プリズムパターン層は、光源から出る純粋なRGB波長以外の不要な波長を遮断して色領域を向上させ得る。例えば、前記プリズムパターン層の主吸収波長が470nm~520nm、または550nm~620nm内に属し得る。具体的に、前記プリズムパターン層の主吸収波長が、480nm~510nm、560nm~610nm、または580nm~620nm内に属し得る。
【0060】
また、前記プリズムパターン層は、前記主吸収波長よりは吸収率の低い副吸収波長をさらに有し、前記副吸収波長も可視光波長帯域内に属し得る。例えば、前記副吸収波長も可視光波長帯域内において純粋なRGB波長を除いた帯域に属し得る。または前記副吸収波長は、前記主吸収波長とは異なり、純粋なRGB波長帯域内に属してよく、例えば、前記副吸収波長は510nm~560nm、または530nm~570nmに属し得る。
【0061】
具体的な一例として、前記プリズムパターン層は、580nm~620nmにて主吸収波長および530nm~570nmにて副吸収波長を有し得る。前記範囲内のとき、より効果的に色領域を向上させ得る。
【0062】
前記プリズムパターン層は、紫外線透過率が一定範囲内であり得る。例えば、前記プリズムパターン層のUV-A光に対する透過率は、10%以上、20%以上、または30%以上であり、また、80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下であり得る。具体的な一例として、前記プリズムパターン層がUV-A光に対して10%~70%の透過率を有し得る。
【0063】
また、前記プリズムパターン層は、可視光の透過率が一定レベル以上であり得る。例えば、前記プリズムパターン層は、590nm波長に対する光透過率が30%以上、45%以上、50%以上、または70%以上であり、具体的に30%~90%、または50%~90%であり得る。
【0064】
[機能性コーティング層の種類および組成]
前記光学シートは、1つまたは2つ以上の機能性コーティング層をさらに含み得る。
【0065】
前記機能性コーティング層は、例えば、光拡散層、摩耗防止層、ハードコーティング層、耐熱コーティング層などであり得る。
【0066】
図4を参照すると、前記光学シート11の下部に第1機能性コーティング層310、および前記光学シート11の上部に第2機能性コーティング層320が形成され得る。前記第1機能性コーティング層および前記第2機能性コーティング層は、同一であるかまたは異なる種類の機能性コーティング層であり得る。
【0067】
一例として、前記光学シートが前記プリズムシートの下に配置される機能性コーティング層をさらに含み、前記機能性コーティング層が光拡散層、摩耗防止層、および耐熱コーティング層からなる群より選択され得る。
【0068】
前記光拡散層は、光を拡散させることにより、プリズムパターンなどを隠蔽し得る。前記光学シートは、1つまたは2つ以上の光拡散層を含み得る。具体的に、前記光学シートの下部に第1光拡散層および上部に第2光拡散層が形成され得る。前記第1光拡散層は3%~30%のヘイズを有し、より具体的に7%~17%のヘイズを有し得る。前記第2光拡散層は60%~99%のヘイズを有し、より具体的に60%~98%のヘイズを有し得る。前記好ましいヘイズの範囲内のとき、十分な隠蔽力を有しながらも高輝度の利点がある。
【0069】
前記摩耗防止層は、前記光学シートと導光板との積層後、導光板下部のドット印刷パターンやレーザー加工による凹凸パターン、または光学シート上部の振動による摩擦摩耗により界面摩耗(grinding)現象が発生することを防止し得る。前記摩耗防止層は、高分子樹脂内に分散されたビーズを含み得る。前記ビーズは、表面に粗さを形成することにより、導光板との摩耗現象などを防止する役割をする。
【0070】
前記耐熱コーティング層は、耐熱性高分子樹脂を含んで光学シートの耐熱性を高める役割をする。前記耐熱性高分子樹脂は、例えば、フェニルシリコーン系樹脂を含み得る。
【0071】
前記ハードコーティング層は、光学シートの最外郭に備えられ、表面硬度を向上させ得る。前記ハードコーティング層による表面硬度は2H以上であり、具体的に3H以上、または4H以上であり得る。
【0072】
図11aおよび図11bを参照すると、第1機能性コーティング層310は、ビーズ311およびバインダー樹脂312を含み得る。また、第2機能性コーティング層320も、ビーズ321およびバインダー樹脂322を含み得る。
【0073】
前記ビーズは有機ビーズでよく、具体的な材料はアクリレート系樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群より選択される1種以上であり、より具体的に、硬質アクリレート系樹脂であり得る。前記ビーズの形状は特に限定されないが、例えば球形であり得る。また、前記ビーズの平均粒径は、5μm~20μmの平均粒径を有するのが、隠蔽力、輝度および隣接層との摩耗防止の面から有利で、より具体的に0.5μm~10μm、または0.8~6μmであり得る。
【0074】
前記バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および光硬化性樹脂のうち少なくとも1つであり得る。
【0075】
前記熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、これらの混合物などが挙げられる。
【0076】
前記光硬化性樹脂としては、UV光照射により架橋および硬化する光重合性プレポリマーを使用することができ、前記光重合性プレポリマーとしては、陽イオン重合型とラジカル重合型の光重合性プレポリマーが挙げられる。前記陽イオン重合型の光重合性プレポリマーの例としては、エポキシ系樹脂やビニルエステル系樹脂などが挙げられ、前記エポキシ系樹脂としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0077】
前記機能性コーティング層は、必要に応じて熱安定剤、UV光開始剤、カップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、シリコーン添加剤、UV吸収剤などをさらに含み得る。
【0078】
前記UV光開始剤は、通常、UV硬化型樹脂を硬化するために使用できるものであれば特に限定されない。α-ヒドロキシケトン(α-hydroxyketone)、フェニルグリオキシレート(phenylglyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(benzyldimethyl-ketal)、α-アミノケトン(α-aminoketone)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(triarylsulfonium hexafluoroantimonate)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(triarylsulfonium hexafluorophosphate)、およびジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)のような陽イオン性光開始剤を含む。
【0079】
前記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シリコーン化合物などが挙げられ、これらのカップリング剤は単独でまたは混合して使用し得る。
【0080】
前記酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、またはリン系の酸化防止剤が挙げられ、前記酸化防止剤は、熱硬化性樹脂組成物の酸化による劣化を防止することにより、硬化物の耐熱安定性を向上させるために使用され得る。
【0081】
前記界面活性剤としては、分子中に一定の長さの炭化水素疎水基と、-COONaおよび-OSONaのような親水基とを分子中に有する化合物として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、スルホン酸塩、硫酸塩、硫酸エステル塩、エトキシレートなどが挙げられ、これらの界面活性剤は単独でまたは混合して使用し得る。
【0082】
[基材フィルム]
前記実現例による光学シートは、前記機能性コーティング層がコーティングされる基材フィルムをさらに含み得る。すなわち、前記基材フィルム上に前記機能性コーティング層がコーティングされ得る。
【0083】
前記基材フィルムの材料は、例えばポリエステル樹脂であり、具体的にポリエチレンテレフタレート樹脂であり得る。
【0084】
[反射偏光フィルム]
前記実現例による光学シートは、輝度向上のために反射偏光フィルムを含み得る。例えば、前記反射偏光フィルムは、前記プリズムシート上に配置され得る。
【0085】
前記反射偏光フィルムは、内部に積層された多数の薄膜によって、目的とする光学効果を奏するフィルムのことを意味し、例として二重輝度向上フィルム(DBEF)が挙げられる。
【0086】
具体的に、前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する2種以上の薄膜が積層された形態で含み得る。
【0087】
図12に示すように、前記反射偏光フィルムは、2つのスキン層Sの間に多数の薄膜の積層体Mを有し得る。この際、前記薄膜の互いに異なる光学的特性は、屈折率であり、または位相差でもあり得る。
【0088】
具体的な一例として、前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層、具体的に800層~1000層に積層されるものであり得る。
【0089】
[緩衝フィルム]
前記光学シートは、前記反射偏光フィルムのスキン層を保護するために、緩衝フィルムをさらに含み得る。具体的に、図4に示すように、反射偏光フィルム400の下にプリズムシート220が配置されると、プリズムシート210のパターンが反射偏光フィルムの薄膜に影響を与えて性能を低下させ得る。これにより、反射偏光フィルム400とプリズムシート220との間に緩衝フィルム500を配置することにより、このような性能低下を防止し得る。
【0090】
前記緩衝フィルムの材料は、例えばポリエステル樹脂であり、具体的にポリエチレンテレフタレート樹脂であり得る。
【0091】
[接着層]
前記光学シートは、その構成要素(プリズムシート、基材フィルム、反射偏光フィルム、緩衝フィルムなど)の間に接着層を含み得る。
【0092】
前記接着層の材料としては、通常使用される熱硬化型樹脂とUV硬化型樹脂とを使用することができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系の樹脂、またはこれらの混合物を使用し得る。前記アクリル系樹脂の例として、メチルメタクリル、メタクリル、エチルアクリル、ブチルアクリル、アリールアクリル、ヘキシルアクリル、イソプロピルメタクリル、ベンジルアクリル、ビニルアクリル、または2-メトキシエチルアクリル樹脂の単一重合体やこれらの共重合体またはブレンド樹脂が挙げられる。
【0093】
前記接着層の材料の好ましい例としては、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーンウレタン(メタ)アクリレート樹脂、シリコーンポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、フッ素ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
[光学シートの構成要素別厚さ]
以上説明した光学シートの各構成要素の厚さは、一定の範囲内に調節され得る。
【0095】
前記プリズムシートの厚さは50μm以上または80μm以上であり、300μm以下または200μm以下であり得る。
【0096】
前記機能性コーティング層の厚さは3μm以上または5μm以上であり、30μm以下または20μm以下であり得る。
【0097】
前記基材フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0098】
前記反射偏光フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0099】
前記緩衝フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0100】
具体的な例として、前記反射偏光フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、前記緩衝フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、前記プリズムシートが50μm~350μmの厚さを有し、前記機能性コーティング層が3μm~30μmの厚さを有し得る。
【0101】
[光学シートの積層構成]
前述した光学シートの構成要素(プリズムシート、機能性コーティング層、反射偏光フィルム、緩衝フィルムなど)は、光路に配置され得る。
【0102】
また、前記光学シートの構成要素は互いに結合され得る。前記結合は、直接的な結合であるか、または接着層などを介した間接的な結合であり得る。これにより、前記光学シートは、前記構成要素が直接または間接的に結合された積層体を含み得る。
【0103】
一例として、前記光学シートは、プリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される機能性コーティング層とをさらに含み、前記プリズムシートおよび前記機能性コーティング層は、互いに直接または間接的に相互結合され得る。
【0104】
また、前記光学シートは、前記プリズムシート上に配置される反射偏光フィルムと、前記反射偏光フィルム上に配置される機能性コーティング層とをさらに含み、前記反射偏光フィルムが互いに異なる光学的特性を有する2種以上の薄膜を、積層された形態で含み得る。また、前記光学シートが前記反射偏光フィルムと前記プリズムシートとの間に緩衝フィルムをさらに含み、前記反射偏光フィルム、前記緩衝フィルム、前記プリズムシート、および前記機能性コーティング層は、互いに直接または間接的に結合され得る。
【0105】
前記光学シートは、2枚以上のプリズムシートを含んでよく、具体的に前記プリズムシートは、第1プリズムシートおよび第2プリズムシートを含み得る。前記第1プリズムシートおよび前記第2プリズムシートのパターンは、互いに同一または異なり得る。例えば、前記プリズムシートは、面内第1方向に延びる第1プリズムパターンを含む第1プリズムシートと、前記第1方向に対して交差する面内第2方向に延びる第2プリズムパターンを含む第2プリズムシートとを含み得る。具体的に、前記第1プリズムシートと前記第2プリズムシートとのパターンのキメ方向は互いに直交し得る。より具体的に、第1プリズムシートは水平プリズムシートであり、前記第2プリズムシートは垂直プリズムシートであり、またはその逆でもあり得る。また、前記第1プリズムシートのパターン層と前記第2プリズムシートのパターン層とは、いずれも同じ方向を向くか、または異なる方向を向いても良い。
【0106】
前記光学シート内において、前記プリズムシートの位置(特にプリズムパターン層と他の構成要素との相対的な位置)を調節して、光学性能を向上させ得る。
【0107】
例えば、前記プリズムシートが第1プリズムシートと、前記第1プリズムシート上に配置される第2プリズムシートとを含み、前記第1プリズムシートが第1基材層、および前記第1基材層上に配置される第1プリズムパターン層を含み、前記第2プリズムシートが第2基材層、および前記第2基材層上に配置される第2プリズムパターン層を含み得る。これにより、前記光学シートから入射光が出射される正面を基準に、前記第1プリズムシートが前記第2プリズムシートよりも後方に配置され得る。この際、前記第1プリズムパターン層が面内第1方向に延び、前記第2プリズムパターン層が前記第1方向に対して交差する面内第2方向に延び得る。また、前記第1プリズムパターン層および前記第2プリズムパターン層の少なくとも1つが、特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収剤を含み、前記光吸収剤が1種以上の有機染料を含み得る。
【0108】
また、前記光学シートが前記第1プリズムシートの下に配置される第1機能性コーティング層と、前記第2プリズムシートの上に配置される第2機能性コーティング層とをさらに含み、前記第1機能性コーティング層および前記第2機能性コーティング層がそれぞれ光拡散層、摩耗防止層、耐熱コーティング層、およびハードコーティング層からなる群より選択され、前記第1機能性コーティング層、第1プリズムシート、第2プリズムシート、および前記第2機能性コーティング層は、互いに直接または間接的に結合され得る。
【0109】
また、前記光学シートが前記第2プリズムシートと前記第2機能性コーティング層との間に配置される反射偏光フィルムと、前記第2プリズムシートと前記反射偏光フィルムとの間に配置される緩衝フィルムとをさらに含み、前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される構造を有し得る。
【0110】
図4を見てみると、光学シート11の下部に光が入射して上部に出射され、光吸収剤を含む第1プリズムシート210が前記第2プリズムシート220よりも下に配置され得る。このような配置によると、光源から入射した光が第2プリズムシートを通過し切る前に、光吸収剤を含む第1プリズムパターン層を通過することになるので、視野角による色偏差を最小化し得る。
【0111】
具体的に、前記プリズムシートは、光吸収剤を含み第1方向に延びる第1プリズムパターンを含む第1プリズムシートと、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第2プリズムパターンを含む第2プリズムシートとを含み、前記第1プリズムシートは前記第2プリズムシートの下に配置され、前記第1プリズムシートの下に第1機能性コーティング層が配置され得る。
【0112】
具体的な一例として、図5aに示すように、前記光学シート11は、光吸収剤を含む第1プリズムシート210からなり得る。
【0113】
具体的な他の例として、図5bに示すように、前記光学シート11は、光吸収剤を含む第1プリズムシート210と第1機能性コーティング層310との順に積層されたものであり得る。
【0114】
具体的な他の例として、図5cに示すように、前記光学シート11は、第2機能性コーティング層320、反射偏光フィルム400、緩衝フィルム500、第2プリズムシート220、光吸収剤を含む第1プリズムシート210、および第1機能性コーティング層310の順に積層されたものであってよく、これらの間に接着層610、620、630が形成され得る。
【0115】
具体的なまた他の例として、図5dに示すように、前記光学シート11は、第2機能性コーティング層320、基材フィルム350、第2プリズムシート220、光吸収剤を含む第1プリズムシート210、および第1機能性コーティング層310の順に積層されたものであってよく、これらの間に接着層610、620が形成され得る。
【0116】
具体的なまた他の例として、図5eに示すように、前記光学シート11は、第2プリズムシート220、光吸収剤を含む第1プリズムシート210と第1機能性コーティング層310との順に積層されたものであってよく、第2プリズムシート220と第1プリズムシート210との間に接着層610が形成され得る。
【0117】
具体的なまた他の例として、前記図5a~5eの積層構造において、第1プリズムパターン層212の代わりに第2プリズムパターン層222に光吸収剤を含むか、または第1プリズムパターン層212および第2プリズムパターン層222の両方に光吸収剤を含んでも良い。
【0118】
[色領域]
前記実現例による光学シートを含む表示装置は、色領域が従来よりも向上させ得る。
【0119】
色領域(color gamut)とは、光の全領域において各媒体が再現できる色の領域のことを意味する。一般に、ある媒体の色領域の評価は、CIE(Commission Internationale de L'eclairage)色度座標においてRGB三点からなる三角形を得て、これをNTSC(National Television System Committee)またはDCI(Digital Cinema Initiatives)基準のRGB三角形と比較することによって行われる。
【0120】
色度(chromaticity)とは、明るさを除いた色の性質を意味するもので、CIE1976色度座標u'v'は、人間が認知する色相に最も近く表現し得る方法である。
【0121】
図2は、CIE1976色度座標u'v'において色領域を算出する方法を示したものである。図2に示すように、色度座標の全体色領域CG内に基準となる第1色領域CG1を作図し、サンプルから測定された赤色R、緑色Gおよび青色Bの座標を頂点とする三角形である第2色領域CG2を作図した後、これらの間の重畳色領域CG0の面積を求める。その後、これらの領域の面積間の比率を算出することにより、サンプルの色領域を測定し得る。例えば、色度座標(CIE1931色度座標xyまたはCIE1976色度座標u'v')内に、基準となるDCI色領域(第1色領域)の三角形を作図し、サンプルから測定された色領域(第2色領域)の三角形を作図して、第1色領域の面積に対する第2色領域の面積の百分率(%)を計算することにより、DCI面積比を計算し得る。また、前記2つの色領域の重畳色領域を得た後、第1色領域の面積に対する重畳色領域の面積の百分率(%)を計算することにより、DCI重畳比を得られ得る。
【0122】
例えば、前記光学シートを含む表示装置は、CIE1931色度座標xyにおけるDCI面積比が80%以上であり、具体的に、85%以上、90%以上、または95%以上であり得る。
【0123】
また、前記光学シートを含む表示装置は、CIE1976色度座標u'v'においてDCI重畳比が80%以上であり、具体的に、85%以上、90%以上、または95%以上であり得る。
【0124】
一例として、前記光学シートを含む表示装置は、CIE1976色度座標u'v'におけるDCIの重畳比が90%以上であり、白色光に対して250cd/m以上、260cd/m以上、または270cd/m以上の輝度を示し得る。
【0125】
また、前記光学シートを含む表示装置は、視野角による色度座標値の変化が少ないため、見る角度による色偏差を効果的に下げ得る。
【0126】
具体的に、前記光学シートを含む表示装置は、下記式によるΔu'v'(60D)の値が0.015以下であり、より具体的に0.012以下、0.01以下、または0.007以下であり得る。
【0127】
Δu'v'(60D)=[(u'0-u'60)+(v'0-v'60)1/2
前記式においてu'0およびu'60は、それぞれ表示装置の正面および60°角度にて測定したCIE1976色度座標u'値であり、v'0およびv'60は、それぞれ表示装置の正面および60°角度にて測定したCIE1976色度座標v'値である。
【0128】
また、前記光学シートを含む表示装置は、前記のような方法により表示装置の正面および-60°角度にてそれぞれ測定して得られたΔu'v'(-60D)の値もまた、0.015以下、0.012以下、0.01以下、または0.007以下であり得る。
【0129】
[波長吸収選択性]
前記光学シートは、プリズムパターンに光吸収剤、具体的に有機染料を含んで特定波長帯域の光に対する吸収選択性に優れる。これにより、前記光学シートの透過スペクトル曲線は、可視光帯域の中の特定波長において狭くて深い谷を示し得る(図13参照)。
【0130】
一方、光吸収剤として有機染料ではなく顔料または蛍光体を使用する場合には、このような特定波長の光に対する選択的な吸収特徴は達成するのが難しい。具体的に、前記実施例によると、有機染料が溶媒に均一に溶解してプリズムパターンに添加されるので、波長吸収選択性に非常に優れ、それ以外の波長に対してはほとんど吸収しないので輝度の低下を最小化し得る。一方、光吸収剤として顔料や蛍光体を使用する場合は溶媒に溶解せずに分散されるので、特定波長に対する吸収選択性が低いため、色領域を向上させる目的としては不適である。
【0131】
前記光学シートで測定された波長別の透過率を、前記光学シートから光吸収剤のみを除去した後に測定された波長別透過率から引いた純吸光率を求めてから、これをスペクトル曲線(すなわち、横軸が波長であり、縦軸が純吸光率であるグラフ)で示すと、主吸収ピークが非常に尖って狭く表示され得る(図14参照)。
【0132】
例えば、前記光学シートは、下記式(1)を満足し得る。
【0133】
FWHM≦50nm ...(1)
前記式(1)において、FWHMは、波長に応じた純吸光率のスペクトル曲線にて最大ピークの半値幅(nm)であり、前記純吸光率が測定されるために光源が用意され、前記光源からの光を前記光学シートに通過させて第1透過率T1が測定され、前記光学シートから前記光吸収剤のみが除去された参照シートが用意され、前記光源からの光を前記参照シートに通過させて第2透過率T0が測定され、前記純吸光率は、第2透過率T0から第1透過率T1を引いた値である。
【0134】
具体的に、前記式(1)のFWHMの値は0nm~50nm、または10nm~40nmであり得る。
【0135】
より具体的に、前記純吸光率スペクトルにおいて、最大ピークは第1吸収波長帯域に現れ、ここで、前記第1吸収波長帯域は500nm~700nmであり、具体的に550nm~650nmであり得る。また、前記純吸光率のスペクトル曲線において、最大ピークの高さは5%以上であり、例えば、10%以上であり、具体的に5%~50%、または10%~30%であり得る。
【0136】
また、前記純吸光率を測定するために使用される光源は、連続発光スペクトルを有する白色光を出射する光源であり得る。
【0137】
[光学シートの製造方法]
一実現例による光学シートの製造方法は、基材層の上面にプリズムパターン形成用組成物をコーティングしてパターンを転写した後、UV硬化してプリズムパターン層を形成する段階を含み、前記プリズムパターン形成用組成物がバインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含む。
【0138】
図8は、一実現例による光学シート、具体的に、光吸収剤を含むプリズムシートの製造方法を示したものである。図8を参照すると、(a)基材層201を用意し、(b)前記基材層201の上に、光吸収剤、バインダー樹脂、およびその他の添加剤(UV遮断剤、酸化防止剤、光安定剤など)を含むプリズムパターン層組成物202'を塗布した後、(c)プリズムパターンを形成しUV光で硬化して、プリズムパターン層202が形成されたプリズムシート200を得られ得る。
【0139】
前記プリズムパターン形成用組成物に含まれる各成分の種類および含有量は、前術のプリズムパターン層に含まれる各成分の種類および含有量の説明において例示した通りである。例えば、前記プリズムパターン形成用組成物は、前記バインダー樹脂100重量部に対して前記光吸収剤を0.01重量部~1重量部含み、前記UV遮断剤を光吸収剤の重量に対して10倍~100倍の重量で含み、前記酸化防止剤を前記光吸収剤の重量に対して1倍~10倍の重量で含み、前記光安定剤を前記光吸収剤の重量に対して10倍~50倍の重量で含み得る。
【0140】
前記プリズムパターン形成用組成物は、コーティングのための粘度調節のために有機溶媒をさらに含み得る。例えば、前記溶媒は、前記組成物の固形分が10重量%~50重量%となるように含まれ得る。前記有機溶媒の具体的な例としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどであり、その他の溶媒も可能である。前記実現例によると、光吸収剤が有機染料を含むので、有機溶媒に均一に溶解され、コーティング後に光吸収特性を向上させ得る。
【0141】
前記プリズムパターンは、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方法により円柱状のマスターロールに形成されたパターンをコーティング層に転写して形成され得る。まず、マスターロールの外周面(円柱の円周面)をバイトやレーザーなどで切削加工して、マスターロールにパターンを刻印し得る。その後、パターン形成用組成物を基材フィルム上にコーティングし、マスターロールのパターンをコーティング層に転写してプリズムパターンを形成し得る。または押出によってプラスチック原材料を熱で溶かして、液状のプラスチック平板が固体化されながら前記マスターロールのパターンが転移されるようにして、プリズムパターンを形成し得る。
【0142】
また、前記プリズムパターンは、それぞれ異なる高さで形成することができ、そのためのマスターロールは、例えば、ダイヤモンド工具を用いた切削によって製造され得る。具体的な例として、硬質銅などの材料で製作された円筒形ロールを回転しながら、ダイヤモンド工具を横方向に移動しながらロールの円周に沿ってネジ切削して、連続的な溝のパターンを形成し得る。この際、ダイヤモンド工具の移動速度を調節することにより、プリズムパターンのピッチを変化させてもよく、ダイヤモンド工具が円筒形ロールに浸透する深さ、工具とロール表面との間の水平/垂直角、円筒形ロールの回転速度などを調節して、プリズムパターンの規格をより多様で細部的に変化させ得る。
【0143】
このようにして形成されたプリズムパターンは、UV光照射により硬化されプリズムパターン層を構成し得る。具体的に、前記UV硬化は、約100mJ/cm~200mJ/cmのUV照射量により行われ得る。
【0144】
前記方法により形成されたプリズムパターンは、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含むので、単純な製造工程によっても、色領域を向上させながらも光吸収による輝度低下が最小化された光学シートを提供し得る。
【0145】
他の実現例による光学シートの製造方法は、(1)基材層の下面に機能性コーティング層を形成する段階と、(2)前記基材層の上面にプリズムパターン形成用組成物をコーティングしてパターンを転写した後、UV硬化してプリズムパターン層を形成する段階とを含み、前記プリズムパターン形成用組成物がバインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含む。
【0146】
また他の実現例による光学シートの製造方法は、(1)第1基材層の下面に第1機能性コーティング層を形成する段階と、(2a)前記第1基材層の上面に第1プリズムパターン形成用組成物をコーティングしてパターンを転写した後、UV硬化して第1プリズムパターン層を形成する段階と、(2b)前記第1プリズムパターン層の上面に第2基材層を貼り合わせる段階と、(3)前記第2基材層の上面に第2プリズムパターン層を形成する段階とを含み、前記第1プリズムパターン形成用組成物がバインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が、特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含む。
【0147】
前記実現例による方法において、段階(2a)および(2b)は、別の工程ラインで行われるか、または1つの工程ラインで同時に行われ得る。
【0148】
図9a~9cは、前記実現例による光学シートの製造方法を示したものである。図9a~9cを参照すると、前記光学シートの製造方法は、(1)第1基材層211の下面に第1機能性コーティング層310を形成する段階と、(2)前記第1基材層211の上面に第1プリズムパターン形成用組成物をコーティングしてパターンを転写した後、UV硬化して第1プリズムパターン層212を形成するとともに、前記第1プリズムパターン層212の上面に第2基材層221を貼り合わせる段階と、(3)前記第2基材層221の上面に第2プリズムパターン層222を形成する段階とを含み、前記第1プリズムパターン形成用組成物がバインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含み、前記光吸収剤が特定波長帯域の光を選択的に吸収する1種以上の有機染料を含む。
【0149】
また、前記実現例による方法において、前記第1プリズムパターン層212の代わりに第2プリズムパターン層222を形成するための組成物として、バインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含む組成物を使用するか、または第1プリズムパターン層212および第2プリズムパターン層222を形成するための組成物として、いずれもバインダー樹脂、光吸収剤、UV遮断剤、酸化防止剤、および光安定剤を含む組成物を用いて形成しても良い。
【0150】
図7は、パターンロールを用いた第1プリズムパターン層の形成、および第2基材層との貼り合わせ工程を示したものである。図7を参照すると、背面に第1機能性コーティング層が形成された第1基材層が第1巻出ロール2-1から巻出され、第1コーティング装置3-1によって第1基材層上に第1プリズムパターン層組成物が塗布される。その後パターンロール4によってプリズムパターンが形成されると同時に、第1硬化装置5-1によりUV硬化され、第1プリズムパターン層が形成される。これとは別に、第2基材層が第2巻出ロール2-2から巻出され、第2コーティング装置3-2によって第2基材層上にUV硬化型接着剤組成物が塗布される。その後、2つの加圧ロール6の間を通りながら第1プリズムパターン層の表面に貼り合わせられた後、第2硬化装置5-2によりUV硬化され、第2基材層、第1プリズムパターン層、第1基材層、および第1機能性コーティング層を有する複合シートが得られ得る。その後、前記複合シートの第2基材層の表面に第2プリズムパターン層を形成して、最終的に光学シートが得られ得る。
【0151】
(実施例)
以下、前記実現例をさらに具体的な例示を挙げて説明するが、前記実現例の範囲はこれらの範囲に限定されるものではない。
【0152】
(製造例1)
以下の成分を混合して光吸収パターン層組成物を調製した。
-エポキシ変性アクリレート樹脂(固形分100%、SHPR-HV200、SMS(株))100重量部
-光吸収剤:有機染料(C590B、KISCO社)0.02重量部
-UV遮断剤(Tinuvin(登録商標)-928、BASF)1重量部
-酸化防止剤(Irganox(登録商標)-1010、BASF)0.1重量部
-光安定剤(Tinuvin(登録商標)-292、BASF)0.5重量部
-光開始剤(TPO、BASF)0.5重量部
-溶媒(メチルエチルケトン/トルエン=1:1)組成物内の固形分が80重量%となるように配合
【0153】
(製造例2)
前記製造例1の組成物において、光吸収剤の含有量を0.03重量部に変更させて、光吸収パターン層組成物を調製した。
【0154】
(製造例3)
前記製造例1の組成物において、光吸収剤の含有量を0.04重量部に変更させて、光吸収パターン層組成物を調製した。
【0155】
(製造例4)
前記製造例1の組成物において、光吸収剤を添加せず、光吸収パターン層組成物を調製した。
【0156】
(実施例1)
厚さ188μmの第1基材層(PET)の一面に前記製造例1の組成物をコーティングし、表面にパターンを有するマスターロールを用いてプリズムパターンを形成しながら、UV照射(100mJ/cm~200mJ/cm)により硬化して、厚さ約40μmの第1プリズムパターン層を形成した。その結果、第1プリズムシートからなる光学シートを得た(図5a参照)。
【0157】
(実施例2)
段階1)ポリブチルメタクリレート(PBMA)ビーズ15重量部、ウレタンアクリレート樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、厚さ188μmの第1基材層(PET)の一面にコーティングおよび乾燥して、厚さ5μmの第1光拡散層を形成した。
【0158】
段階2)前記第1基材層の他面に前記製造例1の組成物をコーティングし、表面にパターンを有するマスターロールを用いてプリズムパターンを形成しながら、UV照射(100mJ/cm~200mJ/cm)により硬化して、厚さ約40μmの第1プリズムパターン層を形成した。その結果、第1プリズムシートおよび第1光拡散層を有する光学シートを得た(図5b参照)。
【0159】
(実施例3)
段階1)ポリブチルメタクリレート(PBMA)ビーズ15重量部、ウレタンアクリレート樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、厚さ100μmの第1基材層(PET)の一面にコーティングおよび乾燥して、厚さ5μmの第1光拡散層を形成した。
【0160】
段階2)前記第1基材層の他面に前記製造例1の組成物をコーティングし、表面にパターンを有するマスターロールを用いてプリズムパターンを形成しながら、UV照射(100mJ/cm~200mJ/cm)により硬化して、厚さ約40μmの第1プリズムパターン層を形成した。厚さ100μmの第2基材層(PET)の表面にUV硬化型接着剤樹脂を0.5μm~1.0μmの厚さでマイクログラビアコーティングし、前記第1プリズムパターン層の表面に貼り合わせた後、UV光を約1000mJ/cmの量で照射して硬化した。
【0161】
段階3)前記第2基材層の表面にUV硬化型樹脂を用いて厚さ約40μmの第2プリズムパターン層を形成しUV硬化して、第2プリズムシートを製造した。
【0162】
段階4)厚さ100μmの緩衝フィルム(PET)の一面に、マイヤーバーによりUV硬化型接着剤樹脂を0.5μm~1.0μmの厚さでコーティングして、前記製造された第2プリズムシートのプリズムパターン層の表面に接着してUV硬化した。
【0163】
段階5)ポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズ15重量部、アクリルバインダー樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、厚さ95μmの二重輝度向上フィルム(DBEF、Qv2、3M社)の一面に前記組成物をコーティングおよび乾燥して、厚さ10μmの第2光拡散層を形成した。前記二重輝度向上フィルムの他面にマイヤーバーによりUV硬化型接着剤樹脂を10μmの厚さでコーティングして、前記製造した緩衝フィルムの表面に接着した後、UV硬化して光学シートを得た(図5c参照)。
【0164】
(実施例4)
前記実施例3の段階1)~3)を繰り返して、第1光拡散層、第1プリズムシートおよび第2プリズムシートを有する光学シートを得た。
【0165】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズ15重量部、アクリルバインダー樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、厚さ100μmの基材フィルム(PET)の一面に前記組成物をコーティングおよび乾燥して、厚さ15μmの第2光拡散層を形成した。前記基材フィルムの他面にマイヤーバーによりUV硬化型接着剤樹脂を0.5μm~1.0μmの厚さでコーティングし、前記製造された第2プリズムシートのプリズムパターン層の表面に接着した後、UV硬化して光学シートを得た(図5dを参照)。
【0166】
(実施例5)
段階1)ポリブチルメタクリレート(PBMA)ビーズ15重量部、ウレタンアクリレート樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、厚さ125μmの第1基材層(PET)の一面にマイクログラビアコーティングおよび乾燥して、厚さ5μmの第1光拡散層を形成した。
【0167】
段階2)前記第1基材層の他面に前記製造例1の組成物をコーティングし、表面にパターンを有するマスターロールを用いてプリズムパターンを形成しながら、UV照射(100mJ/cm~200mJ/cm)により硬化して、厚さ約40μmの第1プリズムパターン層を形成した。それとともに、厚さ125μmの第2基材層(PET)の表面に、UV硬化型接着剤樹脂を0.5μm~1.0μmの厚さでマイクログラビアコーティングし、前記第1プリズムパターン層の表面に貼り合わせた後、UV光を約1000mJ/cmの量で照射して硬化した。
【0168】
段階3)前記第2基材層の表面に、UV硬化型樹脂を用いて厚さ約40μmの第2プリズムパターン層を形成しUV硬化して、第2プリズムシートを製造した。その結果、第1光拡散層、第1プリズムシートおよび第2プリズムシートを有する光学シートを得た(図5e参照)。
【0169】
(実施例6)
前記実施例5の段階1)~3)を繰り返すが、段階2)において第1プリズムパターン層を形成するための組成物として前記製造例2の組成物を用いて、光学シートを製造した。
【0170】
(実施例7)
前記実施例5の段階1)~3)を繰り返すが、段階2)おいて第1プリズムパターン層を形成するための組成物として前記製造例3の組成物を用いて、光学シートを製造した。
【0171】
(比較例1)
段階1)光吸収層組成物(アクリルバインダー樹脂(AOF-2914、エギョン社)およびプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)が30:70の重量比で混合された溶液100重量部に、光吸収剤(PANAX NEC 584、ウクソン化学社)0.05重量部が添加された組成物を、厚さ125μmの第1基材層(PET)の一面にコーティングおよび乾燥して、厚さ3μmの光吸収コーティング層を形成した。
【0172】
段階2)ポリブチルメタクリレート(PBMA)ビーズ15重量部、ウレタンアクリレート樹脂35重量部、および溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部が混合された組成物を調製した後、前記光吸収コーティング層の表面にマイクログラビアコーティングおよび乾燥して、厚さ5μmの第1光拡散層を形成した。
【0173】
段階3)前記第1基材層の他面にUV硬化型樹脂をコーティングし、表面にパターンを有するマスターロールを用いてプリズムパターンを形成しながら、UV硬化して、厚さ約40μmの第1プリズムパターン層を形成した。厚さ125μmの第2基材層(PET)の表面に、UV硬化型接着剤樹脂を0.5μm~1.0μmの厚さでマイクログラビアコーティングし、前記第1プリズムパターン層の表面に貼り合わせた後、UV光を約1000mJ/cmの量で照射して硬化した。
【0174】
段階4)前記第2基材層の表面にUV硬化型樹脂を用いて厚さ約40μmの第2プリズムパターン層を形成しUV硬化して、第2プリズムシートを製造した。その結果、第1光拡散層、光吸収コーティング層、第1プリズムシート、および第2プリズムシートを有する光学シートを得た(図6参照)。
【0175】
(比較例2)
前記実施例5の段階1)~3)を繰り返すが、段階2)において第1プリズムパターン層を形成するための組成物として、前記製造例4の組成物(光吸収剤未添加)を用いて、光学シートを製造した。
【0176】
(表示装置への適用例)
液晶表示装置(55インチのLED直下型、220V、LG電子社)から液晶表示パネルの背面に位置する光学フィルム(反射偏光フィルム、プリズムシートなど)を除去し、その位置に光学シートを配置した。
【0177】
(試験例1)
光学シートを表示装置に適用して、スペクトロラジオメーター(Spectroradiometer、SR-3、TOPCON、Working Distance: 660 mm、Field Spec.: 0.2D)を用いて、輝度(luminance)、CIE1931色度座標xy、CIE1976色度座標u'v'等を測定し、これに基づいて色領域の面積およびDCI重畳比等を算出した。
【0178】
また、表示装置の正面および60°角度にて色を観察して、下記の式に基づいてΔu'v'(60D)を算出して下記表に示した。
【0179】
Δu'v'(60D)=[(u'0-u'60)+(v'0-v'60)1/2
前記式において、u'0およびu'60はそれぞれ、表示装置の正面および60°角度にて測定したCIE1976色度座標u'値であり、v'0およびv'60はそれぞれ、表示装置の正面および60°角度にて測定したCIE1976色度座標v'値である。
【0180】
また、これと同様の方法により表示装置の正面および-60°角度にて色を観察して、Δu'v'(-60D)を算出した。その結果を下記の表に示した。
【0181】

【0182】
前記表に示すように、光吸収コーティング層を別途形成した比較例1の光学シートに比べて、プリズムパターン層に光吸収剤を適切に添加させた実施例5~7の光学シートを表示装置に適用するとき、より優れた輝度、視野角および色を示すものと確認された。
【0183】
特に、比較例1の光学シートは、光吸収コーティング層を別途形成する工程が追加されるのに対し、実施例5~7の光学シートは、このような別途の工程が不要なので、生産効率の面からも向上され得る。また、比較例1の光学シートに比べて、実施例5~7の光学シートを適用した表示装置は、視野角による色度座標値の変化が少ないため、見る角度による色偏差を効果的に下げ得る。
【0184】
(試験例2)
前記実施例5および比較例2の光学シートを分光測色計(CM-3700A、コニカミノルタ社、光源D65)に入れて透過スペクトルをそれぞれ測定し、その結果を図13に示した。
【0185】
図13に示すように、プリズムパターンに有機染料が添加されていない比較例2は、透過スペクトル曲線で可視光帯域のすべての波長において平らに表れた。
【0186】
一方、実施例5の透過スペクトル曲線は、可視光帯域のうち、特定波長にて狭く深い谷を示しており、これにより、実施例5の光学シートが有機染料によって特定波長の光を選択的に吸収することが確認できた。
【0187】
このような特定波長の光に対する選択的な吸収特徴は、光吸収剤として有機染料ではなく顔料または蛍光体を使用する場合には達成するのが難しい。実施例5において、有機染料が溶媒に均一に溶解してプリズムパターンに添加されるので、波長吸収選択性に非常に優れ、それ以外の波長に対してはほとんど吸収しないため、輝度の低下を最小化し得る。一方、光吸収剤として顔料や蛍光体を使用する場合、溶媒に溶解せずに分散されるので、特定波長に対する吸収選択性が低いため、色領域を向上させる用途には不適である。
【0188】
図14は、各波長別に、比較例2の透過率から実施例5の透過率を引いた値、すなわち、有機染料による純吸光率を求めた後、これをスペクトル曲線で示したものである。図14において、純吸光率のピーク(尖頭)の最高高さhは約11%であり、その1/2に相当する高さ1/2hは約5.5%であり、その高さにおけるピーク幅w、すなわち半値幅(FWHM)は約32nmと測定された。このように、実施例5の純吸光率スペクトルにおいてピークの半値幅が50nm以下と非常に狭いので、波長の吸収選択性が非常に高いことが確認できる。
【符号の説明】
【0189】
1:表示装置
2-1:第1巻出ロール
2-2:第2巻出ロール
3-1、5-1:第1硬化装置
3-2、5-2:第2硬化装置
4:パターンロール
6:加圧ロール
10:バックライトユニット
11:光学シート
20:表示パネル
30:カバーウィンドウ
51:上部フレーム
52:下部フレーム
200:プリズムシート
201:基材層
202:プリズムパターン層
202':プリズムパターン層組成物
202a:第1パターン
202b:第2パターン
210:第1プリズムシート
220:第2プリズムシート
211:第1基材層
212:第1プリズムパターン層
221:第2基材層
222:第2プリズムパターン層
310:第1機能性コーティング層
320:第2機能性コーティング層
311、321:ビーズ
312、322:バインダー樹脂
350:基材フィルム
400:反射偏光フィルム
500:緩衝フィルム
600、610、620、630:接着層
601:メニスカス
700:導光板
800:反射板
L:出射光
UV:UV光
M:積層体
S1、S2:スキン層
T1:基材層の厚さ
T2:パターン層の厚さ
Ta:第1パターンの高さ
Tb:第2パターンの高さ
CG:全色領域
CG0:重畳色領域
CG1:第1色領域
CG2:第2色領域
R:赤
G:緑
B:青
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12
図13
図14