(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、移動体
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240129BHJP
H04N 25/617 20230101ALI20240129BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/617
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2021198651
(22)【出願日】2021-12-07
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 大地
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0305303(US,A1)
【文献】国際公開第2020/262629(WO,A1)
【文献】特開2018-201078(JP,A)
【文献】国際公開第2021/166689(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/002366(WO,A1)
【文献】特表2019-530239(JP,A)
【文献】特開2016-012904(JP,A)
【文献】特開2014-002366(JP,A)
【文献】特開2008-177357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/617
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と浮遊拡散部とを有する半導体層と、第1の配線層を含む複数の配線層とを有する光電変換装置であって、
前記半導体層は、前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を前記浮遊拡散部に送るための転送トランジスタと、前記浮遊拡散部と電気的に接続されたゲートを備える増幅トランジスタとを有し、
前記第1の配線層は、
前記転送トランジスタを駆動する信号を前記転送トランジスタのゲートに送るための転送制御線と、
前記浮遊拡散部と前記増幅トランジスタのゲートとを接続する配線と、
前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続され、平面視で前記配線と前記転送制御線の間に設けられた第1のシールド配線とを有
し、
前記光電変換部は、第1の光電変換部と第2の光電変換部とを有し、
前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部が前記浮遊拡散部を挟んで線対称に配され、
前記転送トランジスタのゲートは前記第1の光電変換部で生成された電荷に基づく信号を転送する第1のゲートと、前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく信号を転送する第2のゲートとを含み、
前記転送制御線は前記第1のゲートを駆動する信号を伝送する第1の転送制御線と、前記第2のゲートを駆動する信号を伝送する第2の転送制御線とを含み、
前記第1のシールド配線が、第1の配線層において平面視で前記配線と前記第1の転送制御線との間及び前記配線と前記第2の転送制御線との間に位置することを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の配線層は、第2の配線層を有し、
前記第2の配線層は、前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続され、平面視で前記配線に重なる領域に設けられた第2のシールド配線を有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第2のシールド配線が、平面視で前記転送制御線に重なる領域に配置されることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
光電変換部と浮遊拡散部とを有する半導体層と、第1の配線層を含む複数の配線層とを有する光電変換装置であって、
前記半導体層は、前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を前記浮遊拡散部に送るための転送トランジスタと、前記浮遊拡散部と電気的に接続されたゲートを備える増幅トランジスタとを有し、
前記第1の配線層は、
前記転送トランジスタを駆動する信号を前記転送トランジスタのゲートに送るための転送制御線と、
前記浮遊拡散部と前記増幅トランジスタのゲートとを接続する配線と、
前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続され、平面視で前記配線と前記転送制御線の間に設けられた第1のシールド配線とを有し、
前記複数の配線層は、第2の配線層を有し、
前記第2の配線層は、前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続され、平面視で前記配線に重なる領域に設けられた第2のシールド配線を有し、
前記第2のシールド配線が、平面視で前記転送制御線に重なる領域に配置されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
前記配線と前記第2のシールド配線との間に、前記配線及び前記第2のシールド配線と異なる電位の配線を配置しないことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1の配線層は、前記第2の配線層よりも前記半導体層に近い位置に配されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1のシールド配線が、平面視で前記配線を囲んで配置されることを特徴とする請求項1
乃至請求項6のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第1の配線層において、前記配線と前記第1のシールド配線との間に前記配線及び前記第1のシールド配線と異なる電位の配線を配置しないことを特徴とする請求項1
乃至請求項7のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第1のシールド配線が、平面視で前記転送トランジスタのゲートに重なる領域に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項
8のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第1のシールド配線が、平面視で前記増幅トランジスタのゲートに重なる領域に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項
9のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の配線層は、出力線を含む第3の配線層を有し、
前記出力線は、選択トランジスタを介して前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記出力線が第1の出力線と第2の出力線を有することを特徴とする請求項
11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第1の出力線に接続された第1の画素と、前記第2の出力線に接続された第2の画素と、を有し、
前記第1の画素と、前記第2の画素のそれぞれに異なる色に対応するカラーフィルタが配されることを特徴とする請求項
12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記出力線は、平面視において前記第1のシールド配線と重なる領域に配置されることを特徴とする請求項
11乃至請求項
13のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を処理する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づき、対象物までの距離情報を取得する情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて移動体を制御する制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、該光電変換装置を有する光電変換システム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを配置して構成された光電変換装置は、光電変換部で生成された電荷を浮遊拡散部(FD)で電圧に変換し、出力する。従って、FDに対して、周囲のトランジスタのゲートやトランジスタを制御するための配線、他の画素の出力線などが近接すると、寄生容量に起因する容量性カップリングによりクロストークが発生し、信号精度が低下する場合がある。
【0003】
このクロストークを抑えるために、光電変換部で生成された電荷を転送する転送トランジスタのゲートに電気的に接続された配線と、FDの配線との間に、固定電位に保持されたシールド配線を配する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このとき、シールド配線とFDとの寄生容量によりFD容量が大きくなることで光電変換効率が低下し、出力信号に重畳するランダムノイズが増大する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は、光電変換部と浮遊拡散部とを有する半導体層と、第1の配線層を含む複数の配線層とを有する光電変換装置であって、前記半導体層は、前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を前記浮遊拡散部に送るための転送トランジスタと、前記浮遊拡散部と電気的に接続されたゲートを備える増幅トランジスタとを有し、前記第1の配線層は、前記転送トランジスタを駆動する信号を前記転送トランジスタのゲートに送るための転送制御線と、前記浮遊拡散部と前記増幅トランジスタのゲートとを接続する配線と、前記増幅トランジスタのソースまたはドレインと電気的に接続され、平面視で前記配線と前記転送制御線の間に設けられた第1のシールド配線とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、FDとの寄生容量を低減したシールド配線でクロストークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る光電変換装置の単位セルの等価回路図である。
【
図3】第1の実施形態に係る光電変換装置の単位セルの平面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態の変形例に係る光電変換装置を示す平面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る光電変換装置を示す平面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る光電変換装置の単位セルの等価回路図である。
【
図8】第3の実施形態に係る光電変換装置を示す平面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る光電変換装置の単位セルの等価回路図である。
【
図10】第3の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。
【
図11】第4の実施形態に係る光電変換装置を示す平面図である。
【
図12】第4の実施形態に係る光電変換装置の単位セルの等価回路図である。
【
図13】第4の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。
【
図14】第4の実施形態に係る光電変換装置の画素のカラーフィルタ配置を示した図である。
【
図15】第5の実施形態に係る光電変換装置を示す平面図である。
【
図16】第5の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。
【
図17】第6の実施形態に係る光電変換システムの構成を示す図である。
【
図18】第7の実施形態に係る移動体の構成、動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら各実施形態を説明する。
【0010】
以下に述べる各実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明する。ただし、各実施形態は、撮像装置に限られるものではなく、撮像装置の他の例にも適用可能である。例えば、測距装置(焦点検出やTOF(Time Of Flight)を用いた距離測定等の装置)、測光装置(入射光量の測定等の装置)などがある。
【0011】
なお、以下に述べる実施形態中に記載される半導体領域、ウエルの導電型や注入されるドーパントは一例であって、実施形態中に記載された導電型、ドーパントのみに限定されるものでは無い。実施形態中に記載された導電型、ドーパントに対して適宜変更できるし、この変更に伴って、半導体領域、ウエルの電位は適宜変更される。
【0012】
また、以下に述べる実施形態に記載されるトランジスタの導電型は一例のものであって、実施形態中に記載された導電型のみに限定されるものでは無い。実施形態中に記載された導電型に対し、導電型は適宜変更できるし、この変更に伴って、トランジスタのゲート、ソース、ドレインの電位は適宜変更される。
【0013】
例えば、スイッチとして動作させるトランジスタであれば、ゲートに供給する電位のローレベルとハイレベルとを、導電型の変更に伴って、実施形態中の説明に対し逆転させるようにすればよい。また、以下に述べる実施形態中に記載される半導体領域の導電型についても一例のものであって、実施形態中に記載された導電型のみに限定されるものでは無い。実施形態中に記載された導電型に対し、導電型は適宜変更できるし、この変更に伴って、半導体領域の電位は適宜変更される。
【0014】
本明細書において、平面視とは、半導体層の光入射面に対して垂直な方向から視ることである。また、断面図とは、半導体層の光入射面に垂直な面(断面)を光入射面に対して平行な方向から視た図をいう。なお、微視的に見て半導体層の光入射面が粗面である場合は、巨視的に見たときの半導体層の光入射面を基準として平面視を定義する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る光電変換装置の構成を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る光電変換装置を示す等価回路図である。
図3は、本実施形態に係る光電変換装置が有する画素の平面図である。
図4は、
図3のA-A′線における断面図である。
【0016】
図1を用いて本実施形態に係る光電変換装置の構成を説明する。本実施形態に係る光電変換装置は、半導体層と配線層を有する半導体基板に、後述するフォトダイオードD1を各画素が有する画素アレイ100、垂直走査回路101、列読み出し回路102、水平走査回路103、出力回路104、制御回路105を有する。
【0017】
画素アレイ100は、アレイ状に配された複数の画素20を有する。画素20の1列に対して垂直出力線10が配され、画素20で生成された信号は垂直出力線10を介して出力される。ここで、画素アレイ100を構成する画素20の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素で画素アレイ100を構成してもよく、1行又は1列に並べた複数の画素で画素アレイ100を構成してもよい。
【0018】
複数列に渡って配された1行の画素20は、制御線30を介して垂直走査回路101に接続されている。垂直走査回路101は、画素20の電荷蓄積期間を制御する。
【0019】
列回路部102は、各列の垂直出力線10にそれぞれ対応して配されている複数の列回路を含む。複数の列回路の各々は、画素20から垂直出力線10に出力された信号を処理した信号を、出力回路104に出力する。この処理とは、例えばAD変換、増幅などである。
【0020】
水平走査回路103は、列回路部102が備える複数の列回路を順次選択する。これより、複数の列回路の各々が保持した信号が、順次、出力回路104に出力される。
【0021】
出力回路104は、光電変換装置の外部に信号を出力する。
【0022】
制御回路105は、垂直走査回路101、列回路部102、水平走査回路103のそれぞれに対し駆動線を介して接続され、駆動信号を供給する。
【0023】
図2は、
図1に示した画素20の等価回路図である。以下の説明では、光電変換部であるフォトダイオードが蓄積する電荷が電子であるものとし、画素20が備えるトランジスタは、すべてN型のトランジスタであるものとする。なお、フォトダイオードが蓄積する電荷は電子に限られず、フォトダイオードが蓄積する電荷を正孔としてもよい。この場合には、画素20のトランジスタをP型トランジスタとしてもよい。つまり、信号として取り扱う電荷の極性に応じて、以下の説明で用いる導電型の規定を変更することができる。
【0024】
画素20は、フォトダイオードD1と、転送トランジスタM1と、電荷変換部C1と、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5とを有する。
【0025】
フォトダイオードD1は入射した光を電荷に変換する光電変換部である。
【0026】
転送トランジスタM1は、電荷変換部C1、リセットトランジスタM3、増幅トランジスタM4が接続されたノードと、フォトダイオードD1との間の電気的経路に設けられている。
【0027】
リセットトランジスタM3のソースあるいはドレインの一端は電荷変換部C1、増幅トランジスタM4と共通のノードに接続され、他端には電源電圧VDDが与えられている。
【0028】
増幅トランジスタM4のゲートは電荷変換部C1、リセットトランジスタM3のソースまたはドレインと共通のノードに接続されている。増幅トランジスタM4のソースまたはドレインの一端には電源電圧VDDが与えられ、他端は選択トランジスタM5のソースまたはドレインの一端に接続される。
【0029】
選択トランジスタM5は、増幅トランジスタM4と垂直出力線10との間の電気的経路に設けられている。言い換えれば、増幅トランジスタM4は、選択トランジスタM5を介して、垂直出力線10に電気的に接続されている。
【0030】
電荷変換部C1は、浮遊拡散部に対応しており、半導体基板内に設けられた浮遊拡散容量と、転送トランジスタM1から当該浮遊拡散容量を介して増幅トランジスタM4に至る電気的経路の寄生容量を含む容量である。実際には浮遊拡散容量は配線容量として設けられ、この配線容量を形成する配線を以下の説明ではFD配線とも呼ぶ。
【0031】
図2の信号pRES、信号pTx、信号pSELのそれぞれは、
図1で示した垂直走査回路101から制御線30を介して画素に供給される制御信号である。転送トランジスタM1のゲートにはpTxが供給される。リセットトランジスタM3のゲートにはpRESが供給され、選択トランジスタM5のゲートにはpSELが供給される。
【0032】
垂直出力線10には、不図示の電流源が接続されている。選択トランジスタM5のゲートに供給される信号pSELがアクティブレベルとなることによって、選択トランジスタM5がオンされる。これにより、増幅トランジスタM4に、電流源から電流が供給される。画素20では、電源電圧VDDと、増幅トランジスタM4と、垂直出力線10に接続された不図示の電流源とによって、ソースフォロワ回路が形成される。このソースフォロワ回路によって、電荷変換部C1の電位に基づく信号はトランジスタM5を介して垂直出力線10に出力される。
【0033】
図3は、
図2に示した画素20のレイアウトを示した平面図である。
図2に示した部材と同じ機能を奏する部材は、
図2で付した符号と共通する符号が付されている。
図3に示す画素20はさらにシールド配線6、FD配線7、転送制御線11を有する。
【0034】
シールド配線6、FD配線7、転送制御線11は同一の配線層に設けられている。これらの配線が設けられた配線層を第1の配線層とする。
【0035】
シールド配線6は、FDを他の配線からシールドするための配線であり、平面視において、FD配線7と転送制御線11との間に配置されている。シールド配線6は、コンタクトCT1によって、増幅トランジスタM4のソースに接続されている。よって、シールド配線6には、増幅トランジスタM4のソースの電位が供給される。言い換えれば、第1の配線層においてFD配線7とシールド配線6との間にFD配線7及びシールド配線6と異なる電位の配線は配置されない。
【0036】
FD配線7は転送トランジスタM1とリセットトランジスタM3および増幅トランジスタM4を電気的に接続するための配線である。このFD配線7の配線容量が浮遊拡散容量として機能する。
【0037】
転送制御線11は転送トランジスタM1のゲートに制御信号pTxを供給するための配線である。
【0038】
図4は、
図3に示したA-A’線が通過する領域の、半導体基板60の第1面(表面、上面)に垂直な断面図である。
【0039】
図4の断面図において、同一の配線層内で転送制御線11とFD配線7の間及び垂直出力線10とFD配線7の間にシールド配線6が設けられている。
【0040】
半導体基板60の第1面には、転送トランジスタM1のゲートと、増幅トランジスタM4のゲートとが設けられている。
【0041】
シールド配線6の設けられた第1の配線層と、転送トランジスタM1のゲートおよび増幅トランジスタM4のゲートとの間には、絶縁層55が設けられている。シールド配線6は、基板の第1面に垂直な方向からの平面視で増幅トランジスタM4のゲートの少なくとも一部と重なる。また、シールド配線6は平面視で転送トランジスタM1のゲートの少なくとも一部と重なる。
【0042】
図3に示したように、画素20の選択トランジスタM5は、接続部70を介して垂直出力線10に接続されている。この垂直出力線10は絶縁層50によってシールド配線6から隔てられた第2の配線層に設けられ、垂直出力線10と増幅トランジスタM4のゲートとの間にシールド配線6が設けられている。シールド配線6は、基板の第1面に垂直な方向からの平面視で増幅トランジスタM4のゲートと重なるように位置している。このシールド配線6は、増幅トランジスタM4の出力ノードに接続されている。
【0043】
本実施形態に係る光電変換装置の画素のそれぞれでは、
図3に示した転送制御線11を介して転送トランジスタM1のゲートに電圧を印加することで転送トランジスタM1のオン・オフを制御し、フォトダイオードD1に蓄積した電荷に基づく信号を転送する。シールド配線6が設けられていない場合、FD配線7と転送制御線11との寄生容量による容量性カップリングが発生する。この容量性カップリングによってフォトダイオードD1の電位が変動し、クロストークによる信号精度の低下が生じる。
【0044】
一方、本実施形態の光電変換装置は、増幅トランジスタM4の出力電位が供給されるシールド配線6により、FD配線7と転送制御線11の間の寄生容量を低減することができる。
【0045】
また、シールド配線を設けた場合、シールド配線とFD配線との寄生容量が発生する場合がある。この寄生容量によってFD配線の配線容量である浮遊拡散容量と寄生容量の足し合わせである電荷変換部C1の容量が大きくなると、FDの電荷変換効率が低下し、出力信号に重畳するランダムノイズが増大してしまう。本実施形態ではシールド配線6の電位を増幅トランジスタM4の出力と同じ電位にすることにより、シールド配線6とFD配線の電位は同相で変動する。この構成では、その増幅トランジスタの出力がFD側電圧に追従するためFDに対する寄生容量が実質的に小さくなる。更に、その金属シールドにより、ほぼ全ての不要な隣接FD間電気結合が遮られ電気的なクロストークが減少する。それにより、電荷変換部C1の容量低減による電荷変換効率の向上効果と、出力信号に重畳するランダムノイズの低減効果とを得られる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る光電変換装置では、シールド配線6を、増幅トランジスタM4の出力ノードに接続している。シールド配線6に、例えば所定の電源電圧を供給する場合には、当該所定の電源電圧をシールド配線6に供給するための配線が必要となる。この配線を配するために、フォトダイオードD1の開口面積の減少、配線レイアウトや素子レイアウトの自由度の低下、製造の工程数の増加によるコスト増加が乗じることがある。本実施形態では、シールド配線6に供給する電位を増幅トランジスタM4の出力ノードの電位としているため、シールド配線6に電位を供給するための配線を増やさずに、FD配線7と転送制御線11の間の寄生容量を好適に低減することができる。
【0047】
(第1の実施形態の変形例)
本発明の第1の実施形態の変形例について
図5を用いて説明する。
図5は本変形例に係る光電変換装置を示す平面図である。
図3に示す光電変換装置とはシールド配線6の形状が異なっている。
【0048】
図5に示すように、シールド配線の形状及び配置はFD配線7と転送制御線11との間に限られず、平面視においてFD配線7の四方を囲むようにシールド配線6が配置されていてもよい。この場合には、FD配線7と同一の高さの配線層に配される配線とFD配線7との間の寄生容量を低減することが可能となる。
【0049】
シールド配線6のFD配線7側のエッジ形状は、
図5のようにFD配線7の四辺を囲む四辺を備えた矩形に限られず、例えばFD配線を囲む辺を5辺以上備えた多角形でもよい。このエッジ形状は、シールド配線6によってFD配線7が環状に囲まれる形状に限られず、FD配線7の三辺に対向する辺を備えFD配線7の他の辺に対抗する辺を備えていない形状などでもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について
図6及び
図7を用いて説明する。
【0051】
図6は、本実施形態に係る光電変換装置の画素の平面図である。
図7は、本実施形態に係る光電変換装置の画素の等価回路図である。
【0052】
本実施形態に係る光電変換装置は、画素20の構造が異なるほかは、第1実施形態に係る光電変換装置と同様の構造を有するため、ここでは主に画素20の構造について説明する。
【0053】
図6及び
図7に示すように、本実施形態は2つの画素20で1つのFD配線7を共有している。すなわち、第1の実施形態に係る光電変換装置では、1つの電荷変換部C1に対して1つの光電変換部D1と一つの転送トランジスタM1と一つの転送制御線11が配置されている。一方、本実施形態に係る光電変換装置では、1つの浮遊拡散部に対して、第1の光電変換部D1、転送トランジスタM1、転送制御線11の組と、第2の光電変換部D2、転送トランジスタM2、転送制御線12の組とが、FD配線7を挟んで、線対称に配置される。このとき、転送制御線11、12のそれぞれとFD配線7の間には、転送制御線11,12およびFD配線7と同一の配線層に、シールド配線6が設けられている。
【0054】
本実施形態に係る光電変換装置では、1つの浮遊拡散部に対して2つ以上の光電変換部を配することによって実施形態1に対して画素20における浮遊拡散部の占有率を下げることが可能となる。すなわち、画素20における光電変換部の面積を増大させることによって、ダイナミックレンジの拡大が可能となる。
【0055】
図7は、
図6に示した浮遊拡散層を共有する2つの画素20の回路を示した等価回路図である。本実施形態に係る二つの画素20は、光電変換部であるフォトダイオードD1、D2と、転送トランジスタM1、M2と、電荷変換部C1と、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5とを有する。転送トランジスタM1、M2は、電荷変換部C1、リセットトランジスタM3、増幅トランジスタM4が接続されたノードと、フォトダイオードD1、D2との間の電気的経路にそれぞれ設けられている。
【0056】
図6に示した転送制御線11(第1の転送制御線)、12(第2の転送制御線)を介して転送トランジスタM1のゲート(第1のゲート)、M2のゲート(第2のゲート)のそれぞれにに電圧を印加することでフォトダイオードD1、D2に蓄積した電荷を転送する。本実施形態の光電変換装置は、シールド配線6を有する。これにより、FD配線7と転送制御線11、12の間の寄生容量を、シールド配線6設けられていない場合に比べて低減することができる。よって、FD配線7と転送制御線11、12との寄生容量による容量性カップリングによってフォトダイオードD1、D2の電位が変動し、クロストークによる信号精度の低下が生じる問題を軽減または無くすことができる。
【0057】
さらに、本実施形態の光電変換装置は、シールド配線6を増幅トランジスタM4の出力ノードに接続することにより、シールド配線6の電位を増幅トランジスタM4の出力と同じ電位にしている。そのため、シールド配線6とFD配線7の電位は同相で変動する。増幅トランジスタM4の出力がFD側電圧に追従するためFD配線7に対する寄生容量が実質的に小さくなる。これにより、電荷変換部C1の容量低減による電荷変換効率の向上効果と、出力信号に重畳するランダムノイズの低減効果とを得られる。
【0058】
また、本実施形態は、シールド配線6を増幅トランジスタM4の出力ノードに接続することによりシールド配線6に供給する電位を得ている。そのため、シールド配線6に電位を供給するための配線を増やさずに、FD配線7と転送制御線11、12の間の寄生容量を好適に低減することができる効果を有する。
【0059】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について
図8から
図10までを用いて説明する。
【0060】
図8は、本実施形態に係る光電変換装置が有する画素を拡大して示す平面図である。
【0061】
図9は、本実施形態の光電変換装置を示す等価回路図である。
図10は、
図8に示したB-B’線が通過する領域の、半導体基板60の第1面(表面、上面)に垂直な断面図である。
【0062】
本実施形態に係る光電変換装置は、画素20の構造が異なるほかは、第2実施形態に係る光電変換装置と同様の構造を有するため、ここでは主に画素20の構造について説明する。
【0063】
図8及び
図9に示すように、本実施形態は、各々2つの光電変換部を備える2つの画素20で1つのFD配線を共有している。すなわち4つの光電変換部で1つの浮遊拡散部を共有している。
【0064】
第2の実施形態に係る光電変換装置は、1つの浮遊拡散部に対して2つの光電変換部D1、D2と2つの転送トランジスタM1、M2と2つの転送制御線11、12が配置されている。これに対して、本実施形態に係る光電変換装置は、
図8に示すように、平面視において1つの浮遊拡散部に対して光電変換部D1-1、D1-2、D2-1、D2-2が配置される。また、1つの浮遊拡散部に対して転送トランジスタM1-1、M1-2、M2-1、M2-2と転送制御線11-1、11-2、12-1、12-2が配置されている。具体的には、平面視において、転送制御線11-1、11-2、12-1、12-2とFD配線7の間にシールド配線6がそれぞれ設けられている。シールド配線6は、転送制御線11-1、11-2、12-1、12-2およびFD配線7と同一の配線層に設けられている。
【0065】
図9は、
図8に示した浮遊拡散層を共有する2つの画素20の回路を示した等価回路図である。
【0066】
図9において、画素20は、光電変換部であるフォトダイオードD1-1、D1-2、D2-1、D2-2を有する。さらに、転送トランジスタM1-1、M1-2、M2-1、M2-2と、電荷変換部C1と、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5とを有する。
【0067】
転送トランジスタM1-1、M1-2、M2-1、M2-2は、電荷変換部C1、リセットトランジスタM3、増幅トランジスタM4が接続されたノードとフォトダイオードD1-1、D1-2、D2-1、D2-2との間の電気的経路にそれぞれ設けられている。
【0068】
図10は、
図8に示したB-B’線が通過する領域の、半導体基板60の第1面に垂直な断面図である。
【0069】
図10において、半導体基板60の第1面である表面(上面)には、転送トランジスタM1-1、M2-2の各ゲートが設けられている。半導体基板60の中にはフォトダイオードD1-1、D1-2、D2-1、D2-2が設けられている。
【0070】
複数の配線層のうちの第1の配線層において、転送制御線11-1とFD配線7の間と、転送制御線12-2とFD配線7の間とのそれぞれに、シールド配線6が設けられている。また、1つの画素20(2つの光電変換部)ごとに1つのカラーフィルタ110及びマイクロレンズ120が設けられている。
【0071】
本実施形態では、1つのマイクロレンズ120に対して、複数のフォトダイオードが配されている。すなわち、1つのマイクロレンズ120を透過した光が、フォトダイオードD1-1、D1-2の両方に入射する。光電変換装置の信号を処理する不図示の信号処理部は、フォトダイオードD1-1が蓄積した電荷と、フォトダイオードD1-2が蓄積した電荷とを用いて、位相差検出方式の焦点検出を行うことができる。同様に光が入射したフォトダイオードD2-1、D2-2のそれぞれが蓄積した電荷を用いて、位相差検出方式の焦点検出を行うことができる。
【0072】
図8に示した転送制御線11-1、11-2、12-1、12-2を介して転送トランジスタM1-1、M1-2、M2-1、M2-2のゲートに電圧を印加することでフォトダイオードD1-1、D1-2、D2-1、D2-2に蓄積した電荷を転送する。
【0073】
本実施形態の光電変換装置は、シールド配線6を有する。これにより、FD配線7と転送制御線11-1、11-2、12-1、12-2との間の寄生容量を、シールド配線6が設けられていない場合に比べて低減することができる。
【0074】
よって、FD配線7と各転送制御線との寄生容量による容量性カップリングによって各フォトダイオードの電位が変動しクロストークによる信号精度の低下が生じる問題を、軽減または無くすことができる。
【0075】
さらに、本実施形態の光電変換装置は、シールド配線6を増幅トランジスタM4の出力ノードに接続することにより、シールド配線6の電位を増幅トランジスタM4の出力と同じ電位にしている。そのため、シールド配線6とFD配線7の電位は同相で変動する。この構成では、その増幅トランジスタM4の出力がFD側電圧に追従するためFD配線7に対する寄生容量が実質的に小さくなる。これにより、電荷変換部C1の容量低減による電荷変換効率の向上効果と、出力信号に重畳するランダムノイズの低減効果とを得られる。
【0076】
また、本実施形態は、シールド配線6を増幅トランジスタM4の出力ノードに接続することによりシールド配線6に供給する電位を得ている。そのため、シールド配線6に電位を供給するための配線を増やさずに、FD配線7と転送制御線11-1、11-2、12-1、12-211、12の間の寄生容量を好適に低減することができる効果を有する。
【0077】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について
図11から
図14までを用いて説明する。
【0078】
図11は、本実施形態に係る光電変換装置が有する1つの画素を拡大して示す平面図である。
図12は、本実施形態の光電変換装置を示す等価回路図である。
図13は、
図11に示したC-C′線が通過する領域の、半導体基板60の第1面(表面、上面)に垂直な断面図である。
図14は、画素のカラーフィルタの配置を示した図である。
【0079】
本実施形態に係る光電変換装置は、画素20の構造が異なるほかは、第1実施形態に係る光電変換装置と同様の構造を有するため、ここでは主に画素20の構造について説明する。
【0080】
第1の実施形態に係る光電変換装置では、画素アレイ100が1列毎に1つの垂直出力線10を配した複数の画素20を備えている。一方、本実施形態では、
図11で示すように画素アレイ100が1列毎に2つの垂直出力線10-1、10-を配した複数の画素20を備えている。1列の画素20に配する垂直出力線の数は1つや2つに限らず3以上であっても良い。
【0081】
図11、
図13に示す通り、垂直出力線10-1、10-2のそれぞれの一部は、増幅トランジスタM4のゲートに重なる位置に配されている。増幅トランジスタM4のゲートと、垂直出力線10-1、10-2の間には、シールド配線6が設けられている。シールド配線6には、垂直出力線10-1、10-2が延在する方向に沿って延在する不図示の接続配線が接続されている。接続配線は、増幅トランジスタM4と選択トランジスタM5とを接続する配線である。シールド配線6は、コンタクトCT1によって、増幅トランジスタM4のソースに接続されている。よって、シールド配線6には、増幅トランジスタM4のソースの電位が与えられる。
【0082】
垂直出力線10-1が接続された画素20では、平面視において、増幅トランジスタM4のゲートの少なくとも一部と、シールド配線6と、垂直出力線10-2が重なっている。
【0083】
垂直出力線10-2が接続された画素20では、平面視において、増幅トランジスタM4のゲートの少なくとも一部と、シールド配線6と、垂直出力線10-1が重なっている。
【0084】
なお、
図11では、垂直出力線10-1が接続された画素20と、垂直出力線10-2が接続された画素20のいずれにおいても、増幅トランジスタM4のゲートの全てと、シールド配線6と、垂直出力線10-1、10-2とが重なっている様子を示している。
【0085】
図12は、
図11に示した画素20の2画素分の回路を示した等価回路図である。垂直出力線10-1,10-2のそれぞれには、不図示の電流源が接続されている。信号pSEL(m)がアクティブレベルとなることによって、m行目の画素20の選択トランジスタM5がオンになる。これにより、m行目の画素20の増幅トランジスタM4に、電流源から電流が供給される。m行目の画素20では、電源電圧VDDと、増幅トランジスタM4と、垂直出力線10-1に接続された不図示の電流源とによって、ソースフォロワ回路が形成される。このソースフォロワ回路が形成されることによって、増幅トランジスタM4は、電荷変換部C1の電位に基づく信号を、垂直出力線10-1に、トランジスタM5を介して出力する。
【0086】
また、信号pSEL(m+1)がアクティブレベルとなることによって、m+1行目の画素20の選択トランジスタM5がオンになる。これにより、m+1行目の増幅トランジスタM4に、電流源から電流が供給される。m+1行目の画素20では、電源電圧VDDと、増幅トランジスタM4と、垂直出力線10-2に接続された不図示の電流源とによって、ソースフォロワ回路が形成される。このソースフォロワ回路が形成されることによって、増幅トランジスタM4は、電荷変換部C1の電位に基づく信号を、垂直出力線10-2に、トランジスタM5を介して出力する。
【0087】
このように、m行目の画素20と、m+1行目の画素20は、互に異なる垂直出力線10-1、10-2に接続されている。
【0088】
図13において、半導体基板60の表面には、転送トランジスタM1のゲート及び増幅トランジスタM4のゲートが設けられている。また、増幅トランジスタM4のゲートと垂直出力線10-1,10-2の間にはシールド配線6が設けられている。
【0089】
垂直出力線10-1,10-2とシールド配線6との間には、絶縁層50が設けられ、シールド配線6と増幅トランジスタM4のゲートとの間には絶縁層55が設けられている。
図11に示したように、画素20の選択トランジスタM5は、接続部70を介して垂直出力線10-1(第1出力線)に接続されている。この垂直出力線10-1とは別の垂直出力線10-2(第2出力線)と、増幅トランジスタM4のゲートとの間に、絶縁層55によって隔てられた第1の配線層にシールド配線6が設けられている。シールド配線6は、増幅トランジスタM4のゲートの上部に位置している。このシールド配線6は、増幅トランジスタM4の出力ノードであるソースに接続されている。つまり、シールド配線6は、増幅トランジスタM4の入力ノードの上部に配されるとともに、増幅トランジスタM4の出力ノードが接続された配線である。垂直出力線10-1、10-2は絶縁層50によってシールド配線6から隔てられた第2の配線層に設けられている。
【0090】
図11に示したように、接続部70を介して垂直出力線10-1に接続された画素20の増幅トランジスタM4が垂直出力線10-1に信号を出力している期間、別の画素20の増幅トランジスタM4が垂直出力線10-2に信号を出力する場合がある。シールド配線6が設けられていない場合、垂直出力線10-2と、垂直出力線10-1に接続された画素20の増幅トランジスタM4のゲートとの寄生容量による容量性カップリングが大きなものとなる。この容量性カップリングにより、垂直出力線10-1に接続された画素20の電荷変換部3の電位が変動する。すなわち、2つの画素20のうち、第1画素が出力する信号に、第2画素が出力する信号に混入する。これにより、第1画素が出力する信号の信号精度の低下が生じる。なお、第2画素が出力する信号についても同じく、第1画素が出力する信号が混入する。よって、第2画素が出力する信号もまた、信号精度の低下が生じる。
【0091】
この画素間の信号の混入は、垂直出力線10-1、10-2のそれぞれに接続された画素20に配されたカラーフィルタの色が異なる場合には混色となって現れる。
【0092】
図14は、本実施形態の光電変換装置におけるカラーフィルタの配置を示した図である。
図14中に示したR、G、Bはそれぞれ、赤、緑、青のカラーフィルタを示している。
【0093】
図14の左から1列目の画素列に対応する垂直出力線10-1(第1の出力線)に接続された画素20(第1の画素)は、赤のカラーフィルタを備える。また、同じ画素列に対応する垂直出力線10-2(第2の出力線)に接続された画素20(第2の画素)は、緑のカラーフィルタを備える。赤のカラーフィルタを備える画素20が垂直出力線10-1に信号を出力している期間に、緑のカラーフィルタを備える画素20が垂直出力線10-2に信号を出力する。このため、シールド配線6が設けられていない場合には、赤のカラーフィルタを備える画素20が出力した信号と、緑のカラーフィルタを備える画素20が出力した信号とが混線し、混色が生じる。
【0094】
本実施形態に係る光電変換装置は、シールド配線6を有する。これにより、垂直出力線10-1に信号を出力する画素20では、増幅トランジスタM4のゲートと垂直出力線10-2との間の寄生容量を低減することができる。増幅トランジスタM4のゲートと垂直出力線10-2との間の容量性カップリングが低減されることで、別の画素20の信号の混入が生じにくくなる。また、垂直出力線10-2に信号を出力する画素20に関しても同様に、別の画素20の信号の混入が生じにくくなる。
【0095】
さらに、本実施形態に係る光電変換装置では、シールド配線6を、増幅トランジスタM4の出力ノードに接続している。シールド配線6とFD配線7の電位は同相で変動する。この構成では、その増幅トランジスタの出力がFD側電圧に追従するためFD配線7に対する寄生容量が実質的に小さくなる。これにより、シールド配線6に電位を供給するための配線を増やさずに、垂直出力線10-2と増幅トランジスタM4のゲートとの間の容量性カップリングを好適に低減することができる効果を有する。
【0096】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について
図15、16を用いて説明する。
【0097】
図15(a)、(b)は、本実施形態に係る1つの画素を拡大して示す平面図である。
【0098】
図16は、
図15(a)、(b)に示すD-D′線が通過する領域の、半導体基板60の第1面(表面、上面)に垂直な断面図である。本実施形態に係る光電変換装置は、画素20の構造が異なるほかは、第1実施形態に係る光電変換装置と同様の構造を有するため、ここでは主に画素20の構造について説明する。
【0099】
図15(a)は、本実施形態に係る1つの画素を拡大して示す平面図のうち、Si基板およびコンタクトプラグと1層目の配線を示す。
図15(b)は、本実施形態に係る1つの画素を拡大して示す平面図のうち、2層目・3層目の配線を示す。
【0100】
第1の実施形態による光電変換装置では、FD配線7の直上には何も配置されていない。本実施形態では、
図15(a)、(b)に示す通り、FD配線7の直上にシールド配線16及び信号制御線13が配置されている点が、第1の実施形態と異なっている。なお、信号制御線13は、転送制御線11を介して転送トランジスタM1のゲートに接続されている。
【0101】
図16において、半導体基板60の表面(第1面)には、転送トランジスタM1のゲート及び増幅トランジスタM4のゲートが設けられている。また、垂直出力線10および転送制御線11とFD配線7の間にシールド配線6(第1のシールド配線)が設けられている。シールド配線6は、電荷変換部C1を構成するFD配線7が設けられた配線層と同一の配線層に設けられている。また、信号制御線13とFD配線7の間にシールド配線16(第2のシールド配線)が設けられている。シールド配線16は、電荷変換部C1を構成するFD配線7の配線層である第1の配線層とは異なる第2の配線層に設けてあり、第2の配線層は第1の配線層よりも高い位置にある。信号制御線13は、第2の配線層よりもさらに高い第3の配線層に設けられている。
【0102】
シールド配線6と増幅トランジスタM4のゲートとの間には、絶縁層55が設けられている。シールド配線6は、増幅トランジスタM4のゲートの少なくとも一部の上部に位置する第1の配線層に設けられている。垂直出力線10は絶縁層50によってシールド配線6から隔てられた第2の配線層に設けられている。つまり、シールド配線6は、絶縁層50によって垂直出力線10から隔てられている。
【0103】
本実施形態では、
図15に示したように、FD配線7と信号制御線13の間にシールド配線16が配置されている。これによって、FD配線7と信号制御線13の間の寄生容量を、シールド配線16が設けられていない場合に比べて低減することができる。よって、シールド配線16が設けられていることにより、電荷変換部C1の容量が低減され、FDの電荷変換効率があがり、出力信号に重畳するランダムノイズを低減する効果を得られる。
【0104】
一方、シールド配線を設けた場合、シールド配線とFD配線との寄生容量が発生する場合がある。この寄生容量によってFD配線の配線容量である浮遊拡散容量と寄生容量の足し合わせである電荷変換部C1の容量が大きくなると、FDの電荷変換効率が低下し、出力信号に重畳するランダムノイズが増大してしまう。
【0105】
そこで本実施形態では、シールド配線16を、シールド配線6を介して増幅トランジスタM4の出力ノードに接続している。すなわち、シールド配線16に供給する電位を、増幅トランジスタM4の出力ノードの電位としている。言い換えれば、第2の配線層においてFD配線7とシールド配線16との間にFD配線7及びシールド配線16と異なる電位の配線は配置されない。これにより、シールド配線16とFD配線7との寄生容量を小さくしたり、無くしたりすることができ、電荷変換部C1の容量低減による電荷変換効率の向上効果と、出力信号に重畳するランダムノイズの低減効果とを得られる。
【0106】
また、本実施形態は、シールド配線16を、シールド配線6を介して増幅トランジスタM4の出力ノードに接続している。シールド配線16とFD配線7の電位は同相で変動する。この構成では、その増幅トランジスタM4の出力がFD側電圧に追従するためFD配線7に対する寄生容量が実質的に小さくなる。そのため、シールド配線16に電位を供給するための配線を増やさずに、FD配線7と信号制御線13の間の寄生容量を好適に低減することができるという効果を有する。
【0107】
本実施形態では、シールド配線16が、転送制御線11を介して転送トランジスタM1のゲートに接続された信号制御線13に対してFD配線7をシールドする例を示した。シールド配線16の配置はこれに限られず、シールド配線16が、リセットトランジスタM3にリセット信号を伝送する制御線、あるいは選択トランジスタM5に選択信号を伝送する制御線に対してFD配線7をシールドするようにしてもよい。
【0108】
(第6の実施形態)
本実施形態に係る光電変換システムについて、
図17を用いて説明する。
図17は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0109】
上記第1~第5実施形態で述べた光電変換装置は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。
図17には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0110】
図17に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を有する。さらに、レンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0111】
本実施形態に係る光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号(撮像信号)の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004を構成する半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004を構成する半導体基板とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0112】
また、本実施形態に係る光電変換システムは、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、画像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに対して着脱可能であるが、着脱可能でなくてもよい。
【0113】
更に、本実施形態に係る光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0114】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0115】
(第7の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0116】
図18(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置である。光電変換システム300は、撮像装置310からの撮像信号を用いて画像データを生成し、画像データに対して画像処理を行う画像処理部312と、画像処理部312からの画像データに基づいて視差(視差画像間の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、光電変換システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0117】
光電変換システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御部である制御ECU330が接続されている。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0118】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム300で撮像する。
図18(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置320が、光電変換システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0119】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0120】
(変形実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0121】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0122】
また、上記第6実施形態、第7実施形態に示した光電変換システムは、上記第1実施形態~第5実施形態のいずれかの光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものである。本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは
図17及び
図18に示した構成に限定されるものではない。
【0123】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0124】
6 シールド配線
7 FD配線
11 転送制御線
M1 転送トランジスタ
M4 増幅トランジスタ