(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】被覆導体
(51)【国際特許分類】
H01B 7/02 20060101AFI20240129BHJP
H01B 3/44 20060101ALI20240129BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20240129BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20240129BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20240129BHJP
【FI】
H01B7/02 Z
H01B3/44 F
C08L23/16
C08L23/06
C08K3/01
(21)【出願番号】P 2021502775
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2019039580
(87)【国際公開番号】W WO2020023178
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】フローリー、アニー エル.
(72)【発明者】
【氏名】セブン、カール エム.
(72)【発明者】
【氏名】エッセガー、モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】クミーク、チェスター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ラジャン エム.
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-534802(JP,A)
【文献】特開2016-204673(JP,A)
【文献】特表2004-535478(JP,A)
【文献】特開2002-015626(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103804798(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
H01B 3/44
C08L 23/16
C08L 23/06
C08K 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆導体であって、
導体と、
前記導体上の最外部被覆とを含み、前記被覆が、
(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、
(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーと、を含み、
前記被覆の表面粗さが、
0.508μm~2.54μm(20μインチ~100μインチ
)であ
り、かつ
前記(B)プロピレン/エチレンコポリマーが、前記プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づいて、1重量%~15重量%のエチレン由来単位を含有する、被覆導体。
【請求項2】
前記(A)エチレン系ポリマーが、エチレン/αオレフィンコポリマーである、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項3】
前記(A)エチレン系ポリマーが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項4】
前記(B)プロピレン/エチレンコポリマーの溶融温度Tmが、25℃~120℃である、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項5】
前記(B)プロピレン/エチレンコポリマーの密度が、0.880g/cc~0.905g/ccである、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項6】
前記(B)プロピレン/エチレンコポリマーの正規化緩和スペクトル指数(nRSI)が、15~35である、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項7】
前記被覆導体が、
(A)60重量%~90重量%の前記エチレン系ポリマーと、
(B)10重量%~30重量%の前記プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)任意選択で、0重量%超~15重量%の添加剤と、を含む、請求項1~6のいずれかに記載の被覆導体。
【請求項8】
前記添加剤を含み、前記添加剤が、カーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の被覆導体。
【請求項9】
前記被覆が、
(A)60重量%~90重量%の、MDPEである前記エチレン系ポリマーと、
(B)10重量%~30重量%の前記プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)任意選択で、0重量%超~15重量%の添加剤と、を含み、
前記被覆の表面粗さが、
0.762μm~2.54μm(30μインチ~100μインチ
)であり、I2が2.0g/10分~3.5g/10分である、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項10】
前記被覆が、
(A)60重量%~90重量%の、LLDPEである前記エチレン系ポリマーと、
(B)10重量%~30重量%の前記プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)任意選択で、0重量%超~15重量%の添加剤と、を含み、
前記被覆の表面粗さが、
0.762μm~2.032μm(30μインチ~80μインチ
)であり、I2が2.0g/10分~3.5g/10分である、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項11】
前記被覆が、
(A)前記エチレン系ポリマーと、
(B)前記プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)任意選択で、カーボンブラック、酸化防止剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と、からなる、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項12】
前記被覆が、前記導体と直接接触している、請求項1に記載の被覆導体。
【請求項13】
絶縁層が前記導体と直接接触しており、前記被覆が前記絶縁層と直接接触している、請求項1に記載の被覆導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電力ケーブルまたは通信ケーブルのなどのケーブルは、金属ワイヤまたはガラスファイバなどの内部伝導要素、および遮蔽および保護目的の1つ以上の外部層を含む1種の導体である。ケーブルの最外部被覆または最外部層は、典型的には、外部シースまたは外部外被と称される保護層である。
【0002】
ケーブル外被製造用のエチレン系ポリマーが知られている。ケーブル外被に使用するためのエチレン系ポリマーは、広い加工温度範囲での良好な押出特性などの良好な加工性を有する必要がある。さらに、このようなエチレン系ケーブル外被は、一般的には、良好な機械的特性を有する必要がある。I21/I2比が50未満のエチレン系溶液樹脂(SR樹脂)で作製されたケーブル外被は、ケーブル用途に十分な機械的特性を呈することが一般的に知られている。しかしながら、I21/I2比が50未満のエチレン系溶液樹脂(SR樹脂)から作製されたケーブル外被は、押出装置でうまく加工されず、より広い分子量分布(MWD)の気相重合樹脂(GP樹脂)に基づく等価化合物と比較した場合、典型的な押出ライン速度で許容できない表面粗さが生じる。
【0003】
当技術分野では、適切な加工性ならびに適切な機械的特性および性能特性を維持しながら、ケーブル外被用途での使用に利用可能なポリマー樹脂の種類を多様化および拡大する必要性を認識している。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、被覆導体に関する。被覆導体は、導体および導体上の最外部被覆を含む。被覆は、(A)I21/I2比が20~50のポリエチレン系ポリマーと、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のポリピレン/エチレンコポリマーと、を含む。被覆の表面粗さは20μインチ~100μインチである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】は、LLDPEを含む被覆試料中のプロピレン/エチレンコポリマーの量の表面粗さへの影響を示すグラフである。
【
図2】は、MDPEを含む被覆試料中のプロピレン/エチレンコポリマーの量の表面粗さへの影響を示すグラフである。
【0006】
定義
元素周期表への参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表の元素グループの参照は、付番グループの新しい表記法によるものである。
【0007】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度において)および当該技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(またはその米国版に相当するものが、参照により同様に組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0009】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離してもしなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0011】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0012】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているかどうかに関わらず、いかなる追加の構成要素、ステップ、または手順の存在も除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、そうでないと述べられていない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「本質的にからなる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からいかなる他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないいかなる成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0013】
「導体」は、熱、光および/または電気を伝導するための1つ以上のワイヤ(複数可)または1つ以上のファイバ(複数可)である。導体は、単線/ファイバまたはマルチワイヤ/ファイバであってもよく、かつ撚線形態または管状形態であってもよい。好適な導体の非限定的な例としては、炭素、銀、金、銅、およびアルミニウムなどの様々な金属が挙げられる。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光学ファイバであり得る。導体は、保護シース内に配置されてもされなくてもよい。「ケーブル」は、2本以上のワイヤ、または2本以上の光ファイバが、任意選択により、一般的な絶縁カバーで束ねられている導体である。被覆内部の個々のワイヤまたはファイバは、露出していても、被覆されていても、または絶縁されてもよい。組み合わせケーブルは、電気ワイヤおよび光ファイバの両方を含有し得る。ケーブルは、低、中、および/または高電圧用途のために設計され得る。
【0014】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマー由来の単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、互換的に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一触媒系、4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミンなどの配位子構造を含む均一触媒系を使用して、気相流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成され得る。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいて使用され得る。
【0015】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4~C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6~C8α-オレフィンコモノマー由来の単位とを含む、均一短鎖分岐分布を含有する、実質的に線状、または線状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc、または0.880g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.902g/cc、または0.904g/cc、または0.909g/cc、または0.910g/cc、または0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例には、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)Plastomers(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、ならびにLucene(商標)(LG Chem Ltd.から入手可能)が含まれる。
【0016】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC4~C10 α-オレフィンコモノマー、もしくはC4 α-オレフィンコモノマー、および0.94g/cc超、もしくは0.945g/cc、もしくは0.95g/cc、もしくは0.955g/cc~0.96g/cc、もしくは0.97g/cc、もしくは0.98g/ccの密度を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーである。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであってもよい。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。
【0017】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーである。この総称には、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーが含まれる。
【0018】
「外被」は、導体上の被覆である。
【0019】
「直鎖状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)は、エチレン由来の単位、および少なくとも1つのC3~C10 α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4~C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6~C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む不均一短鎖分岐分布を有する直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。LLDPEは、0.916g/cc~0.925g/ccの密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、TUFLIN(商標)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0020】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、0.915g/cc~0.925g/ccの密度を有し、かつ広いMWDの長鎖分岐を含有する、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC3~C10α-オレフィン、もしくはC3~C4α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を用いる管状反応器またはオートクレーブ)の方式で生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0021】
中密度ポリエチレン(または「MDPE」)は、0.926g/cc~0.940g/ccの密度を有するエチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンもしくはC3~C4α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0022】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレン由来の単位、ならびにUSP6,111,023、USP5,677,383、およびUSP6,984,695に記載されているような少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4~C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む。EPE樹脂の密度は、0.905g/cc、または0.912g/cc、または0.920g/cc~0.940g/cc、または0.962g/ccである。EPE樹脂の非限定的な例は、ELITE(商標)強化ポリエチレン(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITEAT(商標)先端技術樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから市販されている)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)を含む。
【0023】
「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有する(二峰性)コポリマーならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。HDPEの非限定的な例としては、DOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、CONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasellから入手可能)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「オレフィン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意により、少なくとも1種のコモノマーを含有してもよい。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0025】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかに関わらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。それはまた、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定のモノマーまたはモノマータイプに「基づく」特定のモノマー部分を含有する、1つ以上の特定のモノマーで「作製された」ものなどを指すが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0026】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセント超の重合プロピレンモノマーを含み、かつ任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含み得るポリマーである。プロピレン系ポリマーには、プロピレンホモポリマー、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が含まれる。「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。プロピレン系ポリマー(ポリプロピレン)の非限定的な例は、少なくとも1つのC2またはC4~C10α-オレフィンコモノマーを有するプロピレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0027】
「シングルサイト触媒線状低密度ポリエチレン」(または「m-LLDPE」)は、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4~C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6~C8α-オレフィンコモノマー由来の単位とを含む、均一短鎖分岐分布を含有する線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。m-LLDPEは、0.913g/cc、または0.918g/cc、または0.920g/cc~0.925g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。m-LLDPEの非限定的な例としては、EXCEED(商標)メタロセンPE(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、LUFLEXEN(商標)m-LLDPE(LyondellBasellから入手可能)、およびELTEX(商標)PF m-LLDPE(Ineos Olefins&Polymersから入手可能)が挙げられる。
【0028】
「超低密度ポリエチレン」(または「ULDPE」)および「超低密度ポリエチレン」(または「VLDPE」)はそれぞれ、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4~C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6~C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む不均一短鎖分岐分布を有する直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEは、各々、0.885g/cc、または0.90g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、ATTANE(商標)ULDPE樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)およびFLEXOMER(商標)VLDPE樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0029】
試験方法
密度は、立方センチメートル当たりのグラム数で報告された値とASTM D792に準拠して測定される(g/ccまたはg/cm3)。
【0030】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に従って、230℃、2.16kgの荷重で測定され、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0031】
メルトインデックス(I2)は、ASTM D 1238に従って、190℃、2.16kgの荷重で測定され、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0032】
メルトインデックス(I10)は、ASTM D 1238に従って、190℃、10.0kgの荷重で測定され、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0033】
メルトインデックス(I21)は、ASTM D 1238に従って、190℃、21.0kgの荷重で測定され、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0034】
インデックスI21/I2または「I21/I2比」 I21/I2比は、高剪断速度および低剪断速度での粘度比の間接的な尺度であり、それぞれが加工性に著しく影響する、分子量分布(MWD)ならびに長鎖分岐の存在の両方に関連する剪断減粘性挙動を示す。一般に、長鎖分岐を含有するポリエチレンは、高い溶融強度を有し、高剪断速度条件下で低い粘度を示し、長鎖分岐をほとんどまたは全く有さないポリエチレンと比較して、高い加工速度を可能にする。
【0035】
緩和スペクトルインデックス(RSI)および正規化緩和スペクトルインデックス(nRSI)。RSIおよびnRSIは、分子量分布のレオロジー指標である。RSIは、先ず、ポリマーまたは組成物にせん断変形を加え、そして、レオメータを使用して変形に対するその応答を測定することによって決定される。動的振動せん断試験は、25 mmプレートを使用して190℃、0.25%ひずみ、0.01~100ラジアン/秒で行われる。当技術分野で知られているように、ポリマーの応答、および使用されるレオメータの機構および形状に基づいて、緩和弾性率G(t)または動的弾性率G’(ω)およびG”(ω)は、それぞれ時間tまたは周波数ωの関数として決定することができる(J.M.Dealy&K.F.Wissbrun、Melt Rheology and Its Role in Plastics Processing 269-297(1990)を参照されたい)。動的弾性率と貯蔵弾性率との間の数学的関係はフーリエ変換積分の関係であるが、周知の緩和スペクトルを使用して、一方のデータセットをもう一方のセットから計算することもできる(S.H.Wasserman、39 J.Rheology 601-625(1995)を参照されたい)。古典的な機械モデルを使用して、それぞれが特性強度または「重み」および緩和時間を有する一連の緩和または「モード」からなる離散緩和スペクトルを定義することができる。このようなスペクトルを使用して、係数は次のように再表現される。
【数1】
式中Nは、モードの数であり、g
iおよび λ
iは、各モードの重みおよび時間である(J.D.Ferry, Viscoelastic Properties of Polymers 224-263(1980)を参照されたい)。緩和スペクトルは、IRIS Developmentから市販されているIRIS(登録商標)レオロジーソフトウェアなどのソフトウェアを使用して、ポリマーまたは組成物に対して定義することができる。緩和スペクトルにおけるモードの分布が計算されると、M
wおよびM
nに類似している分布の第1および第2モーメントが、次のように、計算される。
【数2】
nRSIは次のように計算される。
nRSI=RSI×MI
0.5 等式(G)、
式中、MIはメルトインデックス(I2)である。RSIは、ポリマーの分子量分布、分子量、長鎖分岐などのパラメータに敏感であるので、ポリマーの応力緩和の敏感かつ信頼性の高い指標である。nRSIの値が高いほど、ポリマーの緩和時間分布が広くなり、したがって、ポリマー(さらには組成物)の加工性が向上する。RSIまたはnRSIが高いほど、長鎖分岐のないポリマーの分子量分布が高いことを示す。
【0036】
表面粗さ被覆の表面粗さは、Surftest SV-400シリーズ178表面テクスチャ測定装置を介して、ANSI 1995に準拠して測定される。ワイヤ試料をVブロックに置いて、スタイラス(10urn)を特定の開始位置まで下げる(約1グラムの力をワイヤに加える)。2(ミリメートル毎秒)の固定速度で、スタイラスを横方向に動かして測定する。ワイヤ試料当たり4つの読み取り値および4つの試料を試験し、次いでそれらをμインチで報告される値で平均する。
【0037】
引張り特性。本被覆は、それらの破断点引張り強さ(メガパスカル、MPa)および破断点伸び(%)によって特徴付けることができる。引張り強さ(「TS」)および破断点伸びは、ASTM D4703に準拠して調製される圧縮成形試料について、ASTM D638試験手順に準拠して測定される。破断点伸び(Elongation at break(「TE」))、または破断点伸び(Elongation to break)は、破断したときの、パーセントで示される試料のひずみである。経時引張強さおよび経時伸び試料はそれぞれ、100℃の温度で10日間保持した後、測定される。引張強度保持力は、経時引張強度を非経時引張強度で割ったものであり、パーセンテージで表される。破断点伸び保持力は、破断時の経時伸びを破断時の非経時伸びで割ったものであり、パーセンテージで表される。
【0038】
Tmまたは「融点」(プロットされたDSC曲線の形状に関連して融解ピークとも称される)は、USP5,783,638に記載されているように、ポリオレフィンの融点または融解ピークを測定するためのDSC(示差走査熱量測定)技術によって測定される。2つ以上のポリオレフィンを含む多くのブレンドは、1つ以上の融点またはピークを有し、多くの個々のポリオレフィンは1つの融点またはピークのみを含むことに留意されたい。
【0039】
プロピレン/エチレンコポリマーの13C NMR実験手順
エチレン含有量、ケーニッヒB値、三連子分布、および三連子立体規則性には、13C NMRを使用し、これは以下のように実行した。
【0040】
試料調製(プロピレン/エチレンコポリマー)-0.025MのCr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物およそ2.7gを、Norell1001-7の10mm NMR管内の0.20~0.30gの試料に添加することによって、試料を調製する。加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、チューブおよびその内容物を約150℃に加熱することにより、試料を溶解し、均質化する。各試料を目視検査して、均質性を確実にする。
【0041】
データ取得パラメータ(プロピレン/エチレン)-データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して、収集する。データを、1データファイル当たり320トランジェント、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、および逆ゲート付きデカップリングを使用して、120℃の試料温度で取得する。全ての測定をロックモードの非回転試料で行う。試料を、データ取得前に7分間熱平衡化させる。その後、mm立体規則性パーセントおよびエチレン重量%を、当技術分野において一般的に使用される方法に従って決定する。*
*参考文献:組成(重量%E)につき:S.Di Martino&M.Kelchtermans;56 J.Appl.Polym.Sci.1781-1787 (1995):立体規則性、詳細な割り当て:V.Busico&R.Cipullo;26 Prog.Polvm.Sci.443-533(2001)。
【0042】
「ケーニッヒB値」またはカイ統計量は、プロピレン/エチレンランダムコポリマーにおけるランダム性またはブロック性の1つの尺度である。1.0の値はランダムコポリマーを示し、ゼロの値はモノマーAおよびBの完全なブロックを示す。2つのB値は、交互性のコポリマーを示す。B=[EP]/(2[P][E])であり、式中、[EP]はEP二量体(EP+PE、または(EEP+PPE+PEP+EPE))の全モル分率であり、[E]はモル分率エチレンであり、[P]=1-[E]である。Jack L.Koenig,Spectroscopy of Polymers(2d ed.1999)。
【0043】
1H NMR分析-1モルのプロピレン当たりの全不飽和
クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中0.0015Mであるテトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレンの50/50混合物約3.25gを、10mmのNMR管内の0.130gの試料に添加することによって、試料を調製する。試料を、チューブおよびその内容物を110℃に加熱することにより、溶解し、均一化する。データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集する。1データファイル当たり4回のスキャン、15.6秒のパルス反復遅延を使用して、120℃の試料温度で不飽和データを収集する。10,000Hzのスペクトル幅および16,000個のデータ点のファイルサイズを使用して、取得を実行する。修正パルスシーケンス、lc1prf2.zz1で、1データファイル当たり100回のスキャンを使用して、事前飽和実験を実行した。次の計算が使用される。
プロピレン由来のHのモル:プロピレンモル分率*(積分面積δ3.5~0.2ppm)
【数3】
【数4】
【数5】
総不飽和のモル%/プロピレンのモル
ビニルのモル%+シスおよびトランスのモル%+三置換のモル%+モル+ビニリデン
【0044】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
Robotic Assistant Deliver(RAD)システムを装備した高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムは、試料調製および試料注入に使用する。濃度検出器は、Polymer Char社製の赤外線検出器(IR-5)である。(バレンシア、スペイン)データ収集は、Polymer Char DM100データ取得ボックスを使用して実施する。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。システムには、Agilentからのオンライン溶媒脱気デバイスが装備されている。カラムコンパートメントは、150℃で操作する。カラムは、4つのMixed A LS 30cm、20ミクロンカラムである。溶媒は、およそ200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は1.0mL/分であり、注入量は200μlである。「2mg/mL」の試料濃縮物は、試料をN2パージおよび予熱したTCB(200ppmのBHTを含有する)に溶解し、160℃で2.5時間穏やかに攪拌することにより調製する。
【0045】
GPCカラムセットは、狭い分子量分布20のポリスチレン標準物質で実験することにより較正する。標準物質の分子量(MW)は、580g/mol~8,400,000g/molの範囲であり、標準物質は6つの「カクテル」混合物中に含有される。各標準物質混合物は、少なくとも一桁は離れた個々の分子量を有する。各PS標準物質の等価ポリプロピレン分子量は、ポリプロピレンについて報告されたマルク-ホウインク係数(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,&A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))およびポリスチレンについて報告されたマルク-ホウインク係数(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,&P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))を用いて、以下の等式、
【数6】
を使用することによって計算し、式中、M
PPは、PP等価MWであり、M
PSは、PS等価MWであり、log K、ならびにPPおよびPSのマルク-ホウインク係数の値は、以下に列挙する。
【表1】
【0046】
対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式回帰を使用して生成する。数平均および重量平均分子量は、以下の等式:
【数7】
に従って計算され、式中、Wf
iおよびM
iが、それぞれ溶出成分iの重量分率および分子量である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示は、被覆導体を提供する。被覆導体は、導体および導体上の最外部被覆を含む。被覆は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーと、を含む。被覆の表面粗さは20μインチ~100μインチである。
【0048】
i.導体
被覆導体は、導体を含む。導体は、単線/ファイバまたはマルチワイヤ/ファイバであってもよく、かつ撚線形態または管状形態であってもよい。好適な導体の非限定的な例としては、炭素、銀、金、銅、およびアルミニウムなどの様々な金属が挙げられる。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光学ファイバであり得る。導体は、保護シース内に配置されてもされなくてもよい。
【0049】
一実施形態では、導体はケーブルである。「ケーブル」は、2本以上のワイヤ、または2本以上の光ファイバが、任意選択により、一般的な絶縁カバーで束ねられている導体である。被覆内部の個々のワイヤまたはファイバは、露出していても、被覆されていても、または絶縁されてもよい。組み合わせケーブルは、電気ワイヤおよび光ファイバの両方を含有し得る。ケーブルは、低、中、および/または高電圧用途のために設計され得る。
【0050】
導体は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0051】
ii.最外部被覆
被覆導体は、導体上の最外部被覆を含む。被覆は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーと、(C)任意選択の添加剤と、を含む。
【0052】
A.エチレン系ポリマー
被覆は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーを含む。
【0053】
エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマーまたはエチレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。エチレン系ポリマーに適切なαオレフィンコモノマーの非限定的な例としては、C3~C20αオレフィン、またはC4~C12αオレフィン、またはC4~C8αオレフィンが挙げられる。適切なα-オレフィンコモノマーのさらなる非限定的な例としては、プロピレン、ブテン、メチル-1-ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)、ビニルシクロヘキサン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、エチレン系ポリマー用のα-オレフィンコモノマーは、ブテン、ヘキセン、またはオクテンから選択される。
【0054】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LLDPE、MDPE、HDPE、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0055】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LLDPE、MDPE、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0056】
エチレン系ポリマーのI21/I2比は20~50である。一実施形態では、エチレン系ポリマーはI21/I2比が、20、または22、または24~30、または32、または35、または40、または50である。
【0057】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、115℃、または120℃~125℃または、127℃、または130℃の融点(Tm)を有する。
【0058】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、I21/I2比比が、20、または22、または25~27、または30、または32、または35、または40、または45、または50のMDPEである。MDPEは、エチレン/C4-C8αオレフィンコポリマー、またはさらにエチレン/オクテンコポリマーである。MDPEは、次の特性:(i)0.926g/cc、または0.930g/cc、または0.935g/cc~0.940g/ccの密度;および/または(ii)0.5g/10分、または1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分、または2.4g/10分~3.0g/10分、または4.0g/10分、または4.3g/10分、または4.5g/10分のI2;および/または(iii)35g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または60g/10分~70g/10分、または80g/10分、または90g/10分、または97g/10分、または100g/10分のI21;および/または(iv)5g/10分、または10g/10分、または11g/10分~30g/10分、または35g/10分、または40g/10分のI10;および/または(v)120℃、または122℃、または125℃~127℃、または130℃の融点Tm;および/または(vi)2.5、または2.7、または3.0~3.3、または3.5、または4.0のMw/Mn;および/または(vii)10、または15、または19~83、または85、または90のnRSI、のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
【0059】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、I21/I2比が、20、または22、または24~30、または31、または32、または35、または40、または45、または50のLLDPEである。LLDPEは、エチレン/C4-C8αオレフィンコポリマー、またはさらなるエチレン/オクテンコポリマーまたはエチレン/ヘキセンコポリマーである。LLDPEは、次の特性:(i)0.916g/cc、または0.917g/cc~0.919g/cc、または0.920g/cc、または0.925g/ccの密度;および/または(ii)0.5g/10分、または1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分、または2.3g/10分~3.0g/10分、または4.0g/10分、または4.3g/10分、または4.5g/10分、または5g/10分、または10g/10分のI2;および/または(iii)35g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または60g/10分、または70g/10分、または71g/10分~80g/10分、または87g/10分、または90g/10分、または100g/10分のI21;および/または(iv)5g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分~25g/10分、または30g/10分、または35g/10分、または40g/10分のI10;および/または(v)120℃、または121℃~123℃、または125℃、または127℃、または130℃の融点Tm;および/または(vi)2.5、または3.0、または3.1~3.7、または4.0、または4.5、または5.0のMw/Mn;および/または(vii)1、または2~12、または15、または20、または25、または30のnRSI、のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
【0060】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、I21/I2比が、20、または25~30、または35、または40、または45、または50のHDPEである。HDPEは、密度が、0.94g/cc、または0.945g/cc、または0.95g/cc、または0.955g/cc~0.96g/cc、または0.97g/cc、または0.98g/ccである。
【0061】
一実施形態では、被覆は、被覆の総重量に基づいて、60重量%、または63重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または84重量%、または85重量%、または90重量%のエチレン系ポリマーを含む。
【0062】
エチレン系ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0063】
B.プロピレン/エチレンコポリマー
被覆は、Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを含む。
【0064】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレンと、エチレンと、任意選択のジエンコモノマーと、任意選択の添加剤と、を含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0065】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレンと、プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づき、0重量%超、または1重量%、または2重量%~5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%のエチレンコモノマーと、を含む。
【0066】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づいて、100重量%未満、または99重量%、または98重量%~97重量%、または96重量%、または95重量%のプロピレン由来単位と、逆数量、すなわち0重量%超、または1重量%、または2重量%~3重量%、または4重量%、または5重量%のエチレン由来単位と、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0067】
プロピレン/エチレンコポリマーは、Mw/Mnが、2.0~3.5、または2.0~3.5未満である。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、Mw/Mnが、2.0または2.4~3.3、または3.5未満、または3.5である。
【0068】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、密度が、0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.887g/cc~0.890g/cc、または0.891g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/ccである。
【0069】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、メルトフローレート(MFR)が、2.0g/10分、または3.0g/10分、または4.0g/10分~5.0g/10分、または6.0g/10分、または7.0g/10分、または8.0g/10分、または9.0g/10分、または10.0g/10分、または15.0g/10分、または20.0g/10分、または25.0g/10分である。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、メルトフローレート(MFR)が、2.0g/10分~10g/10分、または2.0g/10分~8g/10分である。
【0070】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、I2が、0.5g/10分、または0.8g/10分~3.3g/10分、または3.5g/10分、または5.0g/10分、または10g/10分である。
【0071】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン1モル当たりの全不飽和が、0.01%または0.015%~0.025%または0.03%である。プロピレン1モル当たりの全不飽和は、試験方法の節において上述したように、1H NMR分析によって測定される。
【0072】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、結晶化度が、1重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%である。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、結晶化度が、30重量%~70重量%、または40重量%~60重量%、または10重量%~40重量%、または20重量%~39重量%である。
【0073】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、溶融温度Tmが、25℃、または40℃、または50℃、または75℃、または90℃、または100℃、または105℃~110℃、または120℃、または140℃、または、または150℃、または160℃、または170℃である。別の実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、溶融温度Tmが、25℃、または40℃、または50℃、または75℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または116℃、または120℃である。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは単一の融点を有する。
【0074】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、重量平均分子量(Mw)が、20,000g/mol、または24,000g/mol、または30,000g/mol~40,000g/mol、または48,000g/mol、または50,000g/molである。
【0075】
「B値」という用語は、ランダム性の尺度であり、プロピレン/エチレンコポリマーのポリマー鎖にわたるプロピレンおよびエチレンコモノマーの分布を測定する。B値は、0~2の範囲である。B値がより高いほど、プロピレン/エチレンコポリマー中のエチレン分布はより交互になる。B値がより低いほど、プロピレン/エチレンコポリマー中のエチレン分布はよりブロック状またはクラスター状となる。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、B値が、1.0未満、または0.99未満、または0.98未満、または0.97未満である。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、B値が、0.90、または0.92、または0.93、または0.94~0.95、または0.96、または0.97、または0.98、または0.99である。
【0076】
ケーニッヒによって記述されるB値(Spectroscopy of Polymers(2d ed.1999))は、以下のように計算される。プロピレン/エチレンコポリマーについて、Bは、
【数8】
として定義され、式中、f(EP+PE)は、EPおよびPEの二連構造分率の合計に等しく、FeおよびFpは、それぞれ、コポリマー中のエチレンおよびプロピレンのモル分率に等しい。二連子分率は、f(EP+PE)=[EPE]+[EPP+PPE]/2+[PEP]+[EEP+PEE]/2に従って、三連子データから導出することができる。
【0077】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、13C NMRによって測定される、0.85超、または0.90超、または0.92超、または0.93超のアイソタクチックな三連構造(mm)を有する配列を意味する。アイソタクチックな三連子は、13C NMR分光法によって決定される、コポリマー分子鎖内の三連子単位に関してアイソタクチックな配列を指す。
【0078】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、RSIが、10、または11、または15~22、または25、または30である。
【0079】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、nRSIが、15、または18、または19~30、または31、または35である。
【0080】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、Mw/Mnが、2.0、または2.4~3.3、または3.5であり、プロピレン/エチレンコポリマーは、任意選択で、以下の特性:(i)0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.887g/cc~0.890g/cc、または0.891g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/ccの密度;および/または(ii)2.0g/10分、または3.0g/10分、または4.0g/10分~5.0g/10分、または6.0g/10分、または7.0g/10分、または8.0g/10分、または9.0g/10分、または10.0g/10分、または15.0g/10分、または20.0g/10分、または25.0g/10分の(MFR);および/または(iii)プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づいて、100重量%未満、または99重量%、または98重量%~97重量%、または96重量%、または95重量%、または90重量%、または85重量%のプロピレン由来単位および、逆数量、すなわち0重量%超、または1重量%、または2重量%~3重量%、または4重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%のエチレン由来単位;および/または(iv)0.01%~0.025%、または0.03%のプロピレン1モルあたりの総不飽和度;および/または(v)1重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%の結晶化度;および/または(vi)25℃、または50℃、または75℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または116℃、または120℃、または140℃、または150℃の融解温度Tm;および/または(vii)20,000g/mol、または24,000g/mol、または30,000g/mol~40,000g/mol、または48,000g/mol、または50,000g/molの重量平均分子量(Mw);および/または(viii)0.90、または0.93、または0.94~0.95、または0.96、または0.97、または0.98、または0.99のB値メルトフローレート;および/または(ix)0.85超の13C NMRによって測定されたアイソタクチックな三連構造(mm)を有する配列;および/または(x)0.5g/10分、または0.8g/10分~3.3g/10分、または3.5g/10分、または5.0g/10分、または10g/10分のI2;および/または(xi)10、11、または15~22、または25、または30のRSI;および/または(xii)15、18、または19~30、または31、または35のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0081】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、本パラグラフの直前に挙げたような特性(i)~(xii)のうちの少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つ、または少なくとも7つ、または少なくとも8つ、または少なくとも9つ、または少なくとも10、または少なくとも11、または12すべてを有する。
【0082】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、(i)Mw/Mnが、2.0、または2.4~3.3または3.5であり、かつ、(ii)溶融温度Tmが、25℃、または40℃、または50℃、または75℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または116℃、または120℃、または140℃、または150℃である。
【0083】
プロピレン/エチレンコポリマーは、国際公開番号WO2009/067337に記載されているように調製することができ、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン系プラストマーもしくはエラストマーである。プロピレン系プラストマーまたはエラストマーである適切なプロピレン/エチレンコポリマーの非限定的な例は、ダウケミカル社から入手可能なVERSIFY(商標)3000およびVERSIFY(商標)2000である。
【0085】
別の実施形態では、被覆は、被覆の総重量に基づいて、10重量%、または15重量%~20重量%、または25重量%、または30重量%のプロピレン/エチレンコポリマーを含有する。
【0086】
プロピレン/エチレンコポリマーは、本明細書で開示される2つ以上の実施形態を含んでいてもよい。
【0087】
C.任意の添加剤
一実施形態では、本組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含む。適切な添加剤の非限定的な例としては、カーボンブラック、酸化防止剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
一実施形態では、被覆はカーボンブラックを含有する。適切なカーボンブラックの非限定的な例は、DFNA-0037BKである。一実施形態では、被覆は、被覆の総重量に基づいて、1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%~6重量%、または7重量%、または9重量%、または10重量%のカーボンブラックを含有する。
【0089】
一実施形態では、被覆は酸化防止剤を含有する。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、およびヒドラジン系金属不活性化剤が挙げられる。一実施形態では、被覆は被覆の総重量に基づいて、0.05重量%、または0.07重量%~0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の、IRGANOX 1035などの酸化防止剤を含有する。
【0090】
一実施形態では、被覆は安定剤を含有する。適切な安定剤の非限定的な例は、Chemturaから入手可能なNAUGARD SUPER Qである。一実施形態では、被覆は、被覆の総重量に基づいて、0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の安定剤を含有する。
【0091】
一実施形態では、被覆は充填剤を含有する。適切な充填剤の非限定的な例としては、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、硫化亜鉛、有機粘土、およびこれらの組み合わせが挙げられる。充填剤は、難燃特性を有していても、または有していなくてもよい。
【0092】
一実施形態では、被覆は加工助剤を含有する。好適な加工助剤の非限定的な例は、油、有機酸(ステアリン酸など)、および有機酸の金属塩(ステアリン酸亜鉛など)を含む。さらなる実施形態では、被覆は被覆の総重量に基づいて、0.01wt%、または0.02wt%~0.05wt%、または0.10wt%、または0.15wt%、または0.20wt%、または0.25wt%、または0.30wt%、または0.34wt%、または0.35wt%の、DYNAMAR FX 5912などの加工助剤を含有する。
【0093】
一実施形態では、被覆は、カーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含有する。別の実施形態では、被覆は、カーボンブラック、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含有する。
【0094】
任意選択の助剤が、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0095】
被覆は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーと、(C)任意選択の添加剤と、を含む。被覆は、表面粗さが、20μインチ~100μインチである。一実施形態では、被覆は、表面粗さが、20μインチ、または25μインチ、または30μインチ、または34μインチ~55μインチ、または60μインチ、または70μインチの、または75μインチ、または80μインチ、または85μインチ、または86μインチ、または89μインチ、または90μインチ、または95μインチ、または100μインチである。20~100μインチの表面粗さは、美的価値観および顧客満足を提供する。
【0096】
一実施形態では、被覆は、密度が、0.919g/cc、または0.920g/cc~0.942g/cc、または0.965g/cc、または0.975g/ccである。
【0097】
一実施形態では、被覆は、I2が、0.5g/10分、または1.0g/10分、または2.0g/10分、または2.2g/10分、または2.4g/10分、または2.5g/10分~3.0g/10分、または3.2g/10分、または3.3g/10分、または3.5g/10分である。
【0098】
一実施形態では、被覆は、引張強度(TS)が、12MPa、または14MPa、または15MPa、または17MPa、または18MPa~24MPa、または25MPa、または30MPaである。
【0099】
一実施形態では、被覆は、経時引張強度(100℃で10日後)が、10MPa、または13MPa、または14MPa、または14.5MPa、または15MPa、または20MPa~23MPa、または24MPa、または25MPa、または26MPa、または30MPaである。
【0100】
一実施形態では、被覆は、引張強度保持力が、85%、または86%、または100%、または101%、または104%~110%、または115%、または120%である。
【0101】
一実施形態では、被覆は、破断点伸び(TE)が、135%、または136%、または175%、または177%、または200%、または300%、または400%、または500%、または600%~900%、または1000%、または2000%である。
【0102】
一実施形態では、被覆は、経時破断点伸び(100℃で10日後が、40%、または80%、または100%、または200%、または300%、または400%、または450%、または500%、または600%、または700%~800%、または900%、または1000%、または1500%、または2000%である。
【0103】
一実施形態では、被覆は、破断点伸び保持力が、30%、または40%、または45%、または50%、または70%、または80%、または85%、または100%~108%、または110%、または115%、または120%である。
【0104】
一実施形態では、被覆は、RSIが、1.0、または2.5、または2.7、または5.0、または8.0、または8.5、または9.0、または9.4~15.0、または16.0、または20.0、または22.5、または23.0である。
【0105】
一実施形態では、被覆は、nRSIが、4.0、または4.2、または7.0、または9.0、または10.0、または11.0、または12.0、または12.5~22.0、または22.5、または23.0、または25.0、または30.0、または33.5、または34.0、または35.0である。
【0106】
一実施形態では、被覆は、同じ押出条件下で、(B)プロピレン/エチレンコポリマーを有さない同等の被覆の圧力以下の圧力でダイヘッドを通して押し出され得る。言い換えれば、本被覆の圧力ヘッドは、(B)プロピレン/エチレンコポリマーを有さない同等の被覆の圧力ヘッド以下である。圧力ヘッドを下げると、ライン速度が速くなるので有利である。その結果、圧力ヘッドを下げることは、ラインの生産性が向上したことを示す。
【0107】
一実施形態では、被覆は、(A)I21/I2比が、20、または22、または24~32、または35、または40、または45、または50である、60重量%、または63重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または84重量%、または85重量%、または90重量%のエチレン系ポリマーと;(B)Mw/Mnが、2.0、または2.4~3.3、または3.5である、10重量%、または15重量%~20重量%、または25重量%、または30重量%のプロピレン/エチレンコポリマーと;(C)任意選択で、0重量%、または0.01重量%~1重量%、または5重量%、または6重量%、または7重量%、または10重量%、または12重量%、または15重量%のカーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤と;を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。また、被覆は、表面粗さが、20μインチ~100μインチである。被覆の表面粗さは、20μインチ、25μインチ、30μインチ、34μインチ~55μインチ、60μインチ、70μインチ、または75μインチ、または80μインチ、または85μインチ、または86μインチ、または89μインチ、または90μインチ、または95μインチ、または100μインチ。被覆は、任意選択で、以下の特性:(i)0.919g/cc、または0.920g/cc~0.942g/cc、または0.965g/cc、または0.975g/ccの密度;および/または(ii)0.5g/10分、または1.0g/10分、または2.0g/10分、または2.2g/10分、または2.4g/10分、または2.5g/10分~3.0g/10分、または3.2g/10分、または3.3g/10分、または3.5g/10分のI2;および/または(iii)12MPa、または14MPa、または15MPa、または17MPa、または18MPa~24MPa、または25MPa、または30MPaの引張強度(TS);および/または(iv)10MPa、または13MPa、または14MPa、または14.5MPa、または15MPa、または20MPa~23MPa、または24MPa、または25MPa、または26MPa、または30MPaの経時引張強度;および/または(v)85%、または86%、または100%、または101%、または104%~110%、または115%、または120%の引張強度保持力;および/または(vi)135%、または136%、または175%、または177%、または200%、または300%、または400%、または500%、または600%~900%、または1000%、または1500%、または2000%の破断点伸び(TE);および/または(vii)40%、または80%、または100%、または200%、または300%、または400%、または450%、または500%、または600%、または700%~800%、または900%、または1000%、または1500%、または2000%の経年劣化伸び;および/または(viii)30%、または40%、または45%、または50%、または70%、または80%、または85%、または100%~108%、または110%、または115%、または120%の破断点伸び保持力;および/または(ix)1.0、または2.5、または2.7、または5.0、または8.0、または8.5、または9.0、または9.4~15.0、または16.0、または20.0、または22.5、または23.0のRSI;および/または(x)4.0、または4.2、または7.0、または9.0、または10.0、または11.0、または12.0、または12.5~22.0、または22.5、または23.0、または25.0、または30.0、または33.5、または34.0、または35.0のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0108】
前述の粉末を含む、本明細書に開示の粉末の各々の成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0109】
一実施形態では、被覆は、2つのポリマー成分、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマー、および(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマー、のみのブレンドである。2つのポリマー成分のみを含有する被覆ブレンドは、任意選択で非ポリマー添加剤を含み得ることが理解される。
【0110】
一実施形態では、被覆は、LDPEを含まないか、または有さないか、または実質的に有さない。
【0111】
一実施形態では、被覆は、I21/I2比が、50を超えるエチレン系ポリマーを含まないか、または有さないか、または実質的に有さない。
【0112】
一実施形態では、被覆は、気相重合樹脂(GP樹脂)を含まないか、または有さないか、または実質的に有さない。
【0113】
被覆は、溶融ブレンドによって形成することができる。「溶融ブレンド」は、それによって少なくとも2つの成分が組み合わされるか、そうでなければ一緒に混合され、成分のうちの少なくとも1つが溶融状態にあるプロセスである。溶融ブレンドは、バッチ混合、押出ブレンド、押出成形、およびこれらの任意の組み合わせによって達成することができる。
【0114】
一実施形態では、被覆は導体上に押し出される。押出機は、クロスヘッドダイを有し、これは所望の層(壁または被覆)の厚さを提供する。使用することができる押出機の非限定的な例としては、クロスヘッドダイ、冷却機、および連続巻取り装置で改造された単軸スクリュー型がある。典型的な単軸スクリュー型押出機は、その上流端にホッパーを、その下流端にダイを有するものとして記載することができる。ホッパーは、スクリューを含むバレル内に供給する。下流端には、スクリューの端部とダイとの間に、スクリーンパックおよびブレーカープレートがある。押出機のスクリュー部分は、供給セクション、圧縮セクション、および計量セクションの3つのセクション、ならびに上流から下流にかけての複数のセクションに伴う後部加熱域から前部加熱域までの複数の加熱域に分割されると考えられる。バレルの長さ対直径の比は、16:1~30:1の範囲内である。溝付きバレル押出機または二軸スクリュー押出機もまた、芯材被覆プロセスにおいて用いられ得る。外被押出プロセスは、160℃、または180℃、または200℃~220℃、または240℃、または260℃の範囲内の温度で行われ得る。クロスヘッドダイは、溶融した被覆組成物が均一な速度で出て、導体に塗布されるように、被覆組成物を流動チャネル内に分布する。このようにして、ブレンド(溶融ブレンド)および押出しは、同じ単一の押出機で行われる。導体は、クロスヘッドの中心を通過し、それが出る際に、被覆の均一な層が管上ツーリングの圧力または半圧力のいずれかを用いて円周方向に塗布される。被覆(または他の材料)の1つ以上の層が、複数のクロスヘッドを用いて塗布され得る。次いで、被覆導体を水トラフ内で十分に冷却して、塗布された被覆層の巻取りリール上での変形を防ぎ、被覆導体を得る。
【0115】
溶融ブレンドは、押出しの前に連続して行われてもよい。あるいは、溶融ブレンドは、押出しと同時に、または実質的に同時に行われてもよい(すなわち、溶融ブレンドおよび押出しは同じ押出機内で行われる)。カーボンブラックは、溶融ブレンド中および/または押出し中に添加され得る。
【0116】
被覆は最外部被覆である。「最外部被覆」は、周囲環境にさらされるか、または実質的にさらされる外面を有する層である。被覆は、導体を囲む唯一の構成要素であり得る。あるいは、被覆は、導体を包む多層外被または多層シースのうちの最外部層であってもよい。
【0117】
一実施形態では、被覆は、導体と直接接触する。本明細書で使用される「直接接触する」という用語は、最外部被覆が導体に直接隣接して位置決めされ、被覆が導体に接触し、介在層、介在被覆、および/または介在構造が被覆と導体との間に存在しない被覆構成である。
【0118】
一実施形態では、被覆は、導体と間接接触する。本明細書で使用される場合、「間接接触する」という用語は、介在層、介在被覆、または介在構造が最外部被覆と導体との間に存在する被覆構成である。好適な介在層、介在被覆、および介在構造の非限定的な例としては、絶縁層、防湿層、緩衝管、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
一実施形態では、絶縁層は導体に直接接触し、最外部被覆は絶縁層に直接接触する。別の実施形態では、導体は、導体を囲む絶縁層と直接接触する。好適な絶縁層の非限定的な例としては、発泡絶縁層、熱可塑性絶縁層、架橋絶縁層、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0120】
一実施形態では、被覆導体は、光ファイバである複数の導体を含み、光ファイバは、緩衝管内に配置され、被覆は、緩衝管を取り囲む。光ファイバは、単一の緩衝管、または複数の緩衝管内に配置することができる。
【0121】
一実施形態では、被覆の厚さが、0.254mm~0.500mm、または0.600mm、または0.700mm、または1.0mm、または1.50mm、または2.00mmまたは3.00mm、または3.18mmである。
【0122】
一実施形態では、被覆導体は、
導体と、
導体上の最外部被覆と、を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなり、該被覆は、
(A)MDPE(例えば、エチレン/C4-C8αオレフィンコポリマー、またはさらなるエチレン/オクテンコポリマー)である、60重量%、または、63重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または84重量%、または85重量%、または90重量%のエチレン系ポリマーであって、該MDPEは、I21/I2比が、20、または22、または25~27、または30、または32、または35、または40、または45、または50であり、次の特性:
(i)0.926g/cc、または0.930g/cc、または0.935g/cc~0.940g/ccの密度、および/または
(ii)0.5g/10分、1.0g/10分、1.5g/10分、または2.0g/10分、2.4g/10分~3.0g/10分、または4.0g/10分、または4.3g/10分、または4.5g/10分のI2、および/または
(iii)35g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または60g/10分~70g/10分、または80g/10分、または90g/10分、または97g/10分、または100g/10分のI21、および/または
(iv)5g/10分、または10g/10分、または11g/10分~30g/10分、または35g/10分、または40g/10分のI10、および/または
(v)120℃、または122℃、または125℃~127℃、または130℃の融点、Tm、および/または
(vi)2.5、または2.7、または3.0~3.3、または3.5、または4.0のMw/Mn、および/または
(vii)10、または15、または19~83、または85、または90のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、エチレン系ポリマーと、
(B)Mw/Mnが、2.0、または2.4~3.3、または3.5の、10重量%、または15重量%~20重量%、または25重量%、または30重量%のプロピレン/エチレンコポリマーであって、該プロピレン/エチレンコポリマーが次の特性:
(i)0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.887g/cc~0.890g/cc、または0.891g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/ccの密度、および/または
(ii)2.0g/10分、または3.0g/10分、または4.0g/10分~5.0g/10分、または6.0g/10分、または7.0g/10分、または8.0g/10分、または9.0g/10分、または10.0g/10分、または15.0g/10分、または20.0g/10分、または25.0g/10分のメルトフローレート(MFR)、および/または
(iii)プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づく、100重量%未満、または99重量%、または98重量%~97重量%、または96重量%、または95重量%、または90重量%、または85重量%のエチレン由来単位、および逆数量、すなわち0重量%超、または1重量%、または2重量%~3重量%、または4重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%のプロピレン由来単位、および/または
(iv)0.01%~0.025%、または0.03%のプロピレンのモル当たりの全不飽和、および/または
(v)1重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%の結晶化度、および/または
(vi)25℃、または50℃、または75℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または116℃、または120℃、または140℃、または150℃の溶融温度Tm、および/または
(vii)20,000g/mol、または24,000g/mol、または30,000g/mol~40,000g/mol、または48,000g/mol、または50,000g/molの重量平均分子量(Mw)、および/または
(viii)0.90、または0.94~0.95、または0.96、または0.97、または0.98、または0.99のB値、および/または
(ix)0.85を超える13C NMR測定したアイソタクチックな三連構造(mm)配列、および/または
(x)0.5g/10分、または0.8g/10分~3.3g/10分、または3.5g/10分、または5.0g/10分、または10g/10分のI2、および/または
(xi)10、または11、または15~22、または25、または30のRSI、および/または
(xii)15、または18、または19~30、または31、または35のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)カーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される、0重量%、または0.01重量%~1重量%、または5重量%、または6重量%、または7重量%、または10重量%、または12重量%、または15重量%の添加剤と、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、
そして、被覆の表面粗さが、30μインチ、または50μインチ、または60μインチ、または70μインチ、80μインチ、または85μインチ~90μインチ、または95μインチ、または100μインチであり、
そして、被覆は、任意選択で、次の特性:(i)0.925g/cc、または0.930g/cc、または0.935g/cc、または0.939g/cc、または0.940g/cc~0.941g/cc、または0.942g/cc、または0.946g/cc、または0.950g/cc、または0.960g/cc、または0.965g/cc、または0.975g/ccの密度;および/または(ii)2.0g/10分、または2.2g/10分、または2.4g/10分、または2.5g/10分~3.2g/10分、または3.3g/10分、または3.5g/10分のI2;および/または(iii)20MPa、または21MPa~24MPa、または25MPa、または30MPaの引張強度(TS)、および/または(iv)20MPa、または22MPa~23MPa、または24MPa、または25MPa、または26MPa、または30MPaの経時引張強度、および/または(v)100%、または101%、または104%~110%、または115%、または120%の引張強度保持力、および/または(vi)135%、または136%、または175%、または177%、または200%、または300%~600%、または900%、または1000%の破断点伸び(TE)、および/または(vii)40%、または80%、または100%、または200%~450%、または500%、または600%、または700%、または800%、または900%、または1000%の経時破断点伸び、および/または(viii)30%、または40%~70%、または75%、または80%、または85%、または100%、または110%の破断点伸び保持力、および/または(ix)8.0、8.5、または8.9、または9.0、または9.4~13.0、または15.0、または20.0のRSI、および/または(x)12.0、または15.0、または16.0、または16.8~20.8、または21.0、または22.0、または25.0のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0123】
一実施形態では、被覆導体は、
導体と、
導体上の最外部被覆と、を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなり、該被覆は、
(A)LLDPE(例えば、エチレン/C4-C8αオレフィンコポリマー、またはさらなるエチレン/オクテンコポリマー、またはエチレン/ヘキセンコポリマー)である、60重量%、または、63重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または84重量%、または85重量%、または90重量%のエチレン系ポリマーであって、該LLDPEは、I21/I2比が、20、または22、または24~30、または31、または32、または35、または40、または45、または50であり、次の特性:
(i)0.916g/cc、または0.917g/cc~0.919g/cc、または0.920g/cc、または0.925g/ccの密度、および/または
(ii)0.5g/10分、または1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分、または2.3g/10分~3.0g/10分、または4.0g/10分、または4.3g/10分、または4.5g/10分または5g/10分、または10g/10分のI2、および/または
(iii)35g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または60g/10分、または70g/10分、または71g/10分~80g/10分、または87g/10分または90g/10分、または100g/10分のI21、および/または
(iv)5g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分~25g/10分、または30g/10分、または35g/10分、または40g/10分のI10、および/または
(v)120℃、または121℃~123℃、または125℃、または127℃、または130℃の融点、Tm、および/または
(vi)2.5、または3.0、または3.1~3.7、または4.0、または4.5、または5.0のMw/Mn、
(vii)1、または2~12、または15、または20のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、エチレン系ポリマーと、
(B)Mw/Mnが、2.0、または2.4~3.3、または3.5の、10重量%、または15重量%~20重量%、または25重量%、または30重量%のプロピレン/エチレンコポリマーであって、該プロピレン/エチレンコポリマーが次の特性:
(i)0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.887g/cc~0.890g/cc、または0.891g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/ccの密度、および/または
(ii)2.0g/10分、または3.0g/10分、または4.0g/10分~5.0g/10分、または6.0g/10分、または7.0g/10分、または8.0g/10分、または9.0g/10分、または10.0g/10分、または15.0g/10分、または20.0g/10分、または25.0g/10分のメルトフローレート(MFR)、および/または
(iii)プロピレン/エチレンコポリマーの総重量に基づいて、100重量%未満、または99重量%、または98重量%~97重量%、または96重量%、または95重量%、または90重量%、または85重量%のエチレン由来単位、および逆数量、すなわち0重量%超、または1重量%、または2重量%~3重量%、または4重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%のプロピレン由来単位、および/または
(iv)0.01%~0.025%、または0.03%のプロピレンのモル当たりの全不飽和、および/または
(v)1重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%の結晶化度、ならびに/あるいは
(vi)25℃、または50℃、または75℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または116℃、または120℃、または140℃、または150℃の溶融温度Tm、および/または
(vii)20,000g/mol、または24,000g/mol、または30,000g/mol~40,000g/mol、または48,000g/mol、または50,000g/molの重量平均分子量(Mw)、および/または
(viii)0.90、または0.94~0.95、または0.96、または0.97、または0.98、または0.99のB値、および/または
(ix)0.85を超える13C NMR測定したアイソタクチックな三連構造(mm)配列、および/または
(x)0.5g/10分、または0.8g/10分~3.3g/10分、または3.5g/10分、または5.0g/10分、または10g/10分のI2、および/または
(xi)10、または11、または15~22、または25、または30のRSI、および/または
(xii)15、または18、または19~30、または31、または35のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、プロピレン/エチレンコポリマーと、
(C)カーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される、0重量%、または0.01重量%~1重量%、または5重量%、または6重量%、または7重量%、または10重量%、または12重量%、または15重量%の添加剤と、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、
被覆の表面粗さが、30μインチ、または34μインチ~55μインチ、または67μインチ、または70μインチ、または75μインチ、80μインチであり、
そして、被覆は、任意選択で、次の特性:(i)0.919g/cc、または0.920g/cc、または0.922g/cc~0.925g/cc、または0.930g/cc、または0.933g/cc、または0.935g/cc、または0.940g/ccの密度;および/または(ii)2.0g/10分、または2.2g/10分、または2.4g/10分、または2.5g/10分~2.6g/10分、または3.0g/10分、または3.2g/10分、または3.3g/10分、または3.5g/10分のI2;および/または(iii)30MPa、または34MPa、または35MPa~67MPa、または70MPa、または75MPa、または80MPa、または90MPaの引張強度(TS);および/または(iv)10MPa、または13MPa、または13.5MPa、または14MPa、または15MPa~21MPa、または25MPa、または30MPaの経時引張強度;および/または(v)55%、または59%、または85%、または86%、または100%~110%、または115%の引張強度保持力;および/または(vi)500%、または600%~900%、または1000%、または1500%の破断点伸び(TE);および/または(vii)300%、または400%、または450%、または500%~800%、または900%、または1000%、または1500%の経時破断点伸び;および/または(viii)60%、または70%、または80%~106%、または110%、または115%、または120%への破断点伸び保持力;および/または(ix)2.5、2.7、4.0、4.4、5.0、9.0、9.4~15.0、20.0、22.5、23.0、25.0のRSI;および/または(x)4.0、4.2、5.0、7.0、10.0、12.0、12.5~22.0、25.0、30.0、33.5、34.0、35.0のnRSI、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0124】
一実施形態では、被覆は、LDPEーを含まないか、または有さないか、または実質的に有さない。
【0125】
一実施形態では、被覆導体は、I21/I2比が50超のエチレン系ポリマーを含まないか、または有さないか、または実質的に有さない。
【0126】
一実施形態では、被覆導体は、光ファイバケーブル、通信ケーブル(電話線またはローカルエリアネットワーク(LAN)ケーブル等)、電源ケーブル、家庭用電化製品用の配線、携帯電話および/またはコンピュータ用の充電器用配線、コンピュータデータコード、電源コード、家電配線材料、家庭用内部配線材料、ならびに家庭用電化製品付属コード、およびこれらの任意の組み合わせである。
【0127】
(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーとの組み合わせを含有する本被覆は、有利なことに、被覆の引張強度と引張伸びを改善しながら、最外部の導体被覆の改善された表面粗さ(20~100μインチ)を提供する。
【0128】
ここで、限定ではなく例として、本開示のいくつかの実施形態を、次の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0129】
本発明の実施例および比較例で使用した材料を、下記の表1に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0130】
カーボンブラックマスターバッチ(DFNA-0037BK)、加工助剤(DYNAMAR FX 5912)、酸化防止剤(IRGANOX 1035)、および安定剤(NAUGARD Super Q)を、LLDPEペレットまたはMDPEペレットとドライブレンドして、粉体被覆エチレン系ポリマーペレットを形成する。粉体被覆エチレン系のポリマーペレットとプロピレン系ポリマーは、マドック混合スクリューを備えたブラベンダー押出機で、以下の表Aに提供される条件で混合される。混合物は、押出機の端にあるストランドダイを通して供給される。押出機を出た後、ストランドはバーリンペレタイザーに供給されて被覆用組成物ペレットを形成する。
【表3】
【0131】
被覆導体は、被覆組成物ペレットをブラベンダーミニワイヤライン押出機に加えることによる押出によって調製される。押出条件は、以下の表Bに提供される。この装置を用いて、14 American Wire Gauge(AWG)の固体銅導体(直径1.63mm/0.064インチ)上に、最終直径約21.84mm(0.86インチ)、被覆厚約0.254mm(0.01インチ)の試料を生成する。
【表4】
【0132】
定性的平滑性は、視覚的に決定される。表2で、定性的平滑性「+」は滑らかなワイヤ表面を示し、定性的滑らかさ「++」は非常に滑らかなワイヤ表面を示す。「--」の定性的平滑性は、粗いワイヤ表面を示す。
【0133】
被覆の比較試料および本発明の実施例の特性を、以下の表2に示す。
【表5】
【0134】
本開示は、表面粗さが20~100μインチの導体被覆を形成するのに適したベース樹脂の範囲を有利に拡大する。
【0135】
I21/I2比が50を超えるエチレン系ポリマーは、優れた加工性を示すことが知られている。つまり、このようなポリエチレンは、優れた表面粗さ(CS1およびCS2)で高速ライン速度で押し出すことができる。対照的に、I21/I2比が50未満のエチレンベースのポリマーは、溶融強度とせん断挙動の両方を比較的有さない粘度プロファイル(CS3、CS12)を示す。たとえば、表2は、(A)I21/I2比が20~50のLLDPE(DOWLEX 2247G、I21/I2が31)を含有するが、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを有さない、比較被覆(CS3)が、197.4μインチという許容できないほど高い表面粗さを見せることを示す。さらに、表2は、(A)I21/I2比が20~50のMDPE(DOWLEX 2036G、I21/I2が27)を含有するが、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを有さない、比較被覆(CS12)が、479.7μインチという許容できないほど高い表面粗さを見せることを示す。したがって、I21/I2比が50未満のエチレン系ポリマーは、押出性能に制限があり、一般に、表面粗さが不十分な(つまり、表面粗さが100μインチ超の)導体外被になる。
【0136】
出願人は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーの組み合わせを含有する被覆が、I21/I2比が50超のエチレン系ポリマー(GP樹脂など)を含有し、プロピレン/エチレンコポリマーを含有しない被覆と比較できる20~100μインチの表面粗さ(CS1、CS2、およびCS15)を有利に達成することを予期せず発見した。
【0137】
出願人は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーとの組み合わせを含有する被覆が、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと、(B)(i)Mw/Mnが3.5超のプロピレン/エチレンコポリマー(CS11)または(B)(ii)Mw/Mnが2.0~3.5であるがエチレンコモノマーを有さないプロピレンホモポリマー(CS10)と、を含有する被覆と同等である20~100μインチの表面粗さを有利に達成しすることを予期せず発見した。
【0138】
出願人は、(A)I21/I2比が20~50のエチレン系ポリマーと(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーとの組み合わせを含有する被覆が、被覆導体用途に適した被覆I2と引張特性を維持しながら、20~100μインチの表面粗さを有利に達成することを予期せず発見した。
【0139】
具体的には、出願人は、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを、(A)I21/I2比が20~50のLLDPE(DOWLEX 2247G、I21/I2が31)に添加することが、被覆導体の用途に適した被覆I2と引張特性を維持しながら、20~100μインチの表面粗さを有利に低減することを予期せず発見した。
図1は、LLDPE(DOWLEX 2247G)を含有する被覆中のプロピレン/エチレンコポリマー(VERSIFY 3000)の量が被覆の表面粗さに及ぼす影響を示すグラフである。
【0140】
さらに、出願人は、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを、(A)I21/I2比が20~50のMDPE(DOWLEX 2036G、I21/I2が27)に添加することが、被覆導体の用途に適した被覆I2と引張特性を維持しながら、20~100μインチの表面粗さを有利に低減することを予期せず発見した。
図2は、MDPE(DOWLEX 2036G)を含有する被覆中のプロピレン/エチレンコポリマー(VERSIFY 3000)の量が被覆の表面粗さに及ぼす影響を示すグラフである。
【0141】
(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマーを添加したときの改善された表面粗さは予想外である。つまり、表2のデータ、および
図1と2に示されているように、表面粗さは、(B)Mw/Mnが2.0~3.5のプロピレン/エチレンコポリマー含有量の線形関数ではない。さらに、本発明のブレンド組成物は、全体として、提案された被覆用組成物の範囲にわたって向上した機械的性質を示す。
【0142】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および図に限定されず、実施形態の一部分、および以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、これらの実施形態の改変形態を含むことが特に意図される。