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特許7427659騒音低減テープを備えたジョイント風力タービンブレード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】騒音低減テープを備えたジョイント風力タービンブレード
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/06 20060101AFI20240129BHJP
   F03D 80/00 20160101ALI20240129BHJP
【FI】
F03D1/06 A
F03D80/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021516381
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019051879
(87)【国際公開番号】W WO2020068543
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】16/139,197
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】メルツハウザー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】へリッジ,アンドレアス
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03333416(EP,A1)
【文献】特開2010-059884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイント風力タービンブレード(28)であって、
翼弦方向接合線(34)から反対方向に延びる第1のブレードセグメント(30)及び第2のブレードセグメント(32)であって、前記第1のブレードセグメント(30)及び前記第2のブレードセグメント(32)のそれぞれが正圧側シェル部材(31)及び負圧側シェル部材(33)を有する、第1のブレードセグメント(30)及び第2のブレードセグメント(32)と、
前記翼弦方向接合線(34)に沿って前記正圧側シェル部材(31)及び前記負圧側シェル部材(33)上に貼り付けられるシーリングテープ(100)であって、
前記シーリングテープ(100)が、前記ジョイント風力タービンブレード(28)の定義された負荷及び動作状態における前記翼弦方向接合線(34)における前記正圧側シェル部材(31)及び前記負圧側シェル部材(33)上の気流(104)に平行に整列される側縁部(102)を備える、シーリングテープ(100)と
を備える、ジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項2】
前記翼弦方向接合線(34)もまた、前記定義された負荷及び動作状態における前記正圧側シェル部材(31)及び前記負圧側シェル部材(33)上の前記気流(104)に平行に向けられる、請求項1に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項3】
前記シーリングテープ(100)が、前記シーリングテープ(100)の長手方向の全長に沿って一定の断面プロファイル(106)を備える、請求項1に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項4】
前記シーリングテープ(100)が、前記翼弦方向接合線(34)に沿って前記第1のブレードセグメント(30)と前記第2のブレードセグメント(32)との間に突出する変形可能なスペーサ(108)をさらに備える、請求項に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項5】
前記翼弦方向接合線(34)が、前記シーリングテープ(100)の前記側縁部(102)が前記翼弦方向接合線(34)に平行ではないように前記ジョイント風力タービンブレードの前縁(74)に略垂直に向けられる、請求項1に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項6】
前記シーリングテープ(100)が、前記翼弦方向接合線(34)に沿って前記第1のブレードセグメント(30)と前記第2のブレードセグメント(32)との間に突出する変形可能なスペーサ(108)をさらに備え、前記スペーサが前記シーリングテープ(100)の下面(122)に、前記シーリングテープ(100)の前記側縁部(102)に平行ではない向きで画定される、請求項に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項7】
前記シーリングテープ(100)が連続的であり、前記正圧側シェル部材(31)及び前記負圧側シェル部材(33)に巻き付くような長さを備え、前記シーリングテープ(100)の両端部(103)が、前記ジョイント風力タービンブレード(28)の後縁(76)で合流し、前記スペーサ(108)が前記シーリングテープ(100)の中間点(124)から反対かつ等しい角度で延びる、請求項に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項8】
前記シーリングテープ(100)が、前記正圧側シェル部材(31)に貼り付けられる第1のテープセグメント(110)と、前記負圧側シェル部材(33)に貼り付けられる第2のテープセグメント(112)とを備え、前記第1及び第2のテープセグメント(110、112)が、前記ジョイント風力タービンブレード(28)の前縁(74)にある第1のシーム(128)、及び前記ジョイント風力タービンブレード(28)の後縁(76)にある第2のシーム(126)において接合される、請求項に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項9】
前記シーリングテープ(100)が、前記正圧側シェル部材(31)及び前記負圧側シェル部材(33)に取り付けるために、前記シーリングテープ(100)の下面(122)に事前塗布された接着剤層(114)を備える、請求項1に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【請求項10】
前記シーリングテープ(100)が、前記シーリングテープ(100)の長手方向の全長に沿って前記両側縁部(102)に向かって先細になる比較的厚肉の中央セクション(107)を有する一定の断面プロファイル(106)を備える、請求項1に記載のジョイント風力タービンブレード(28)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、一般に、風力タービンロータブレードに関し、より具体的には、ジョイントプロファイルで発生する騒音および振動を低減するように設計されたジョイントブレードのセグメント間のシーリングテープ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電は、現在利用可能な最もクリーンで最も環境に優しいエネルギー源の1つと考えられ、風力タービンはこの点で注目を集めている。最新の風力タービンは、典型的には、タワー、発電機、ギヤボックス、ナセル、および1つまたは複数のロータブレードを備える。ロータブレードは、既知のフォイル原理を使用して風から運動エネルギーを取り出し、回転エネルギーを介して運動エネルギーを伝達し、ロータブレードをギヤボックスに結合する、またはギヤボックスを使用しない場合、発電機に直接結合するシャフトを回転させる。次いで、発電機は、機械的エネルギーを、電力網に供給することができる電気エネルギーに変換する。
【0003】
風力タービンロータブレードは、一般に、複合ラミネート材料の2つのシェル半体によって形成されたボディシェルを備える。シェル半体は、一般に成形プロセスを使用して製造され、次にロータブレードの対応する端に沿って互いに結合される。一般に、ボディシェルは比較的軽量であり、動作中にロータブレードに加えられる曲げモーメントおよび他の負荷に耐えるように構成されていない構造特性(例えば、剛性、座屈抵抗、および強度)を有する。
【0004】
近年、風力発電用の風力タービンは、発電効率の改善の達成、および発電量の増加のために大型化している。風力発電用の風力タービンのサイズの増加に伴い、風力タービンロータブレードも大幅に大型化しており(例えば、最大55メートルの長さ)、一体型の製造、ならびに現場へのブレードの運搬および輸送が困難になっている。
【0005】
これに関して、業界は、個別のブレードセグメントが製造され、完全なブレード(「ジョイント」ブレード)に組み立てるために現場に輸送される組み立て式風力タービンロータブレードを開発している。ある特定の構造では、ブレードセグメントは、一方のブレードセグメントから他方のブレードセグメントの受容セクションまで翼幅方向に延びるビーム構造によって互いに接合される。例えば、米国特許出願公開第2015/0369211号を参照すると、受容セクションで第2のブレードセグメントと構造的に接続する縦方向に延びるビーム構造を有する第1のブレードセグメントが記載されている。ビーム構造は、ブレードに対する内部支持構造の一部を形成し、負圧側スパーキャップおよび正圧側スパーキャップと接続された剪断ウェブを含む。ビームの端面にある翼幅方向のボルトと、ブレードセグメント間の接合線から間隔を空けて配置されたビーム構造を通る少なくとも1つの翼弦方向のボルトとを含む、複数のボルトジョイントを使用して、ビーム構造を第2のブレードセグメントの受容セクションに接続する。
【0006】
同様に、米国特許出願公開第2011/0091326号は、第1のブレード部分および第2のブレード部分が接合線から反対方向に延びるジョイントブレードを記載している。各ブレード部分は、ブレードの構造部材を形成し、縦方向に貫通するスパーセクションを含み、第1のブレード部分と第2のブレード部分とは、スパーセクションを接合するスパーブリッジによって構造的に接続される。スパーブリッジは、他のブレード部分の受容スパーセクションで受容されるスパーセクションの1つの延長部であり得る。この構成はまた、スパーの端面から延びるねじ付きボルトを使用して、受容スパーセクションのスパーを接続して張力をかける。
【0007】
しかしながら、ジョイントブレード構成は、接合線に起因する振動および騒音発生の増加の影響を受けやすいことが判明している。根元側ブレードセグメントと先端側ブレードセグメントとの間の相対的な撓みにより、接合線におけるシェル部材間にフラップ方向オフセットが生じる。この状況は、特に、接合線から(翼幅方向に)間隔を空けて配置した翼弦方向のボルトまたはピンを使用して負荷を翼弦方向のボルトからブレードシェル内に伝達するジョイントブレード構成に存在する。この翼幅方向の間隔は、ブレードセグメントと接合された内部支持構造との間の剛性および向きの差分と組み合わされて、シェル部材間にフラップ方向オフセットをもたらす。
【0008】
ジョイント構造では、誘発されたフラップ方向オフセットに加えてねじり力も生じ、これによりシェル部材間で、特にブレードの後縁においてねじれオフセットが生じる。
【0009】
風力タービンの負荷状態の下で空気がシェル表面上を流れると、接合線におけるフラップ方向オフセットおよび/またはねじれ方向オフセットにより乱流渦が発生し、これにより接合線で発生する振動および騒音が大幅に増加し得る。
【0010】
したがって、指摘された問題に対処する、ジョイントブレードのブレードセグメント間の改善されたジョイント構造は、当技術分野における有利な進歩となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開2018121826号
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様および利点は、一部は以下の説明において述べられ、あるいは明細書から自明であり得、もしくは本発明の実施を通じて習得可能であり得る。
一態様では、本開示は、ジョイント風力タービンロータブレードの第1のブレードセグメントと第2のブレードセグメントとの間のジョイント構成における騒音および振動を低減する方法に関する。第1および第2のブレードセグメントのそれぞれは、正圧側シェルコンポーネントおよび負圧側シェルコンポーネントを有するシェル部材を備える。本方法は、ジョイント風力タービンロータブレードの負荷状態において(定義された動作状態下で)、第1および第2のブレードセグメントのシェル部材間の翼弦方向接合線で誘発される実際のオフセットを決定することであって、実際のオフセットが、フラップ方向の力によって生じるフラップ方向オフセット、ねじれ方向の力によって生じるねじれ方向オフセット、またはヨール方向の力によって生じるヨール方向オフセットのいずれか1つまたは組み合わせである、ことを含む。これらの誘発されたオフセットに基づいて、負荷状態における実際のオフセット成分のうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に補償するジョイント構造の改良された構成が、風力タービンロータブレードの無負荷状態において定義される。次に、第1および第2のブレードセグメントが、ジョイント構造の改良された構成で接続または接合され、負荷状態において、ジョイント構造の改良された構成が、第1および第2ブレードセグメントのシェル部材間のフラップ方向オフセットおよびねじれ方向オフセットの一方または両方を低減する。
【0013】
本方法は、ブレードセグメント間の特定のジョイント構造に限定されない。しかしながら、特定の実施形態では、ジョイント構造は、第1のブレードセグメントから翼幅方向に延びるビーム構造と、ビーム構造を受容するために第2のブレードセグメントに形成された受容セクションとを備え、ジョイント構造の改良された構成が、ビーム構造と受容セクションと間の接続の変更を含む。例えば、第1のブレードセグメントは、先端側ブレードセグメントであり、第2のブレードセグメントは、根元側ブレードセグメントであり得る。ジョイント構造は、翼幅方向に接合線から間隔を空けて配置された位置で、ビーム構造および受容セクションを通って延びる翼弦方向ピンを備え得る。ジョイント構造の改良された構成は、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を補償する翼弦方向ピンの代替的な位置を含み得る。代替的な位置は、無負荷状態における反フラップ方向オフセット、反ねじれ方向オフセット、または反ヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を生じるように選択され得る。
【0014】
本方法のさらに別の実施形態では、ジョイント構造の改良された構成を決定するステップが、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を低減することに同様に寄与し得るジョイント構造における材料の組み合わせを決定することを含む。この材料の組み合わせは、ジョイント構造に対する独立した改良であってもよいし、翼弦方向ピンの位置の変更、またはジョイント構造の他の変更と組み合わせられてもよい。材料の変更としては、例えば、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を低減する剛性またはねじり抵抗を達成するためのジョイント構造に対する材料の追加または除去が含まれ得る。
【0015】
特定の実施形態では、負荷/運転状態は、ジョイント風力タービンロータブレードが使用される風力タービンの定格出力速度に近づくときの変数であり、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットは、特定の範囲の風速にわたる定格出力速度におけるそれぞれのオフセットの平均に基づく。この決定は、運転中の風力タービンからの実際の測定である場合もあれば、負荷状態におけるジョイント風力タービンブレードのコンピュータモデリングを介して行われる場合もある。
【0016】
本発明はまた、上記の特徴を有するジョイント構造を備えたジョイント風力タービンロータブレードを包含する。特に、そのようなブレードは、翼弦方向接合線から反対方向に延びる第1のブレードセグメントおよび第2のブレードセグメントを備え、ブレードセグメントのそれぞれが正圧側シェル部材および負圧側シェル部材を有する。ジョイント構造は、第1のブレードセグメントと第2のブレードセグメントとの間に設けられ、ジョイント構造は、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を補償する、ロータブレード上の無負荷状態でのカウンタオフセットを含む。この構成により、ジョイント構造は、負荷状態におけるジョイント風力タービンロータブレードが発生する騒音および振動を低減する。
【0017】
特定のブレード実施形態では、ジョイント構造は、第1のブレードセグメントから翼幅方向に延びるビーム構造と、ビーム構造を受容するために第2のブレードセグメントに形成された受容セクションとを備える。第1のブレードセグメントは、先端側ブレードセグメントであり、第2のブレードセグメントは、根元側ブレードセグメントであり得る。ジョイント構造は、翼幅方向に接合線から間隔を空けて配置された位置で、ビーム構造および受容セクションを通って延びる翼弦方向ピンを備えることができ、翼弦方向ピンは、少なくとも部分的に無負荷状態におけるカウンタオフセットを発生する場所にある。
【0018】
ロータブレードの特定の実施形態では、ジョイント構造は、負荷状態におけるフラップ方向オフセット、ねじれ方向オフセット、またはヨール方向オフセットのうちの1つまたは複数を低減するのを支援し得る材料の組み合わせを含む。この材料の組み合わせは、ジョイント構造に対する独立した改良であってもよいし、翼弦方向ピンの位置の変更と組み合わせられてもよい。材料の変更としては、例えば、負荷状態におけるフラップ方向オフセットおよびねじれ方向オフセットの一方または両方を低減する剛性またはねじり抵抗を達成するためのジョイント構造に対する材料の追加または除去が含まれ得る。
【0019】
本発明はまた、風力タービンの運転状態におけるブレードの振動および騒音を低減するシーリングテープ構成を備えたジョイント風力タービンロータブレードを包含する。ジョイント風力タービンロータブレードは、翼弦方向接合線から反対方向に延びる第1のブレードセグメントおよび第2のブレードセグメントを備え、ブレードセグメントのそれぞれが正圧側シェル部材および負圧側シェル部材を有する。シーリングテープが、翼弦方向接合線に沿って正圧側シェル部材および負圧側シェル部材上に貼り付けられる。シーリングテープは、ジョイント風力タービンブレードの定義された負荷/動作状態における翼弦方向接合線における正圧側シェル部材および負圧側シェル部材上の気流に平行に整列される側縁部を有する。テープ縁部およびテープの断面形状が、シェル部材の表面に対して隆起したプロファイルを画定する。テープの縁部をブレード上の気流に平行になるように整列させることにより、テープの存在によって本来引き起こされる騒音およびブレードの振動が最小化される。
【0020】
シーリングテープは、シーリングテープの長手方向の全長に沿って一定の断面プロファイルを有することができ、そのようなプロファイルは、テープの両側縁部に向かって先細になる比較的厚い中央セクションを備え得る。特定の実施形態では、シーリングテープは、翼弦方向接合線に沿って第1のブレードセグメントと第2のブレードセグメントとの間に突出または嵌合するように設計された変形可能な中間スペーサを備え得る。このスペーサは、上記のように、交換ブレード先端部セグメントに作用するフラップ方向の力、ねじれ方向の力、またはヨール方向の力のいずれか1つまたは組み合わせを減衰させるように機能し得る。
【0021】
特定の実施形態では、翼弦方向接合線はまた、負荷状態における正圧側シェル部材および負圧側シェル部材上の気流に平行に向けられる。しかしながら、本実施形態は、ブレードセグメント間のジョイント構造を形成する複雑さ、時間、および費用を増大させ得る。よって、別の実施形態では、翼弦方向接合線の長さは最小化され、ジョイント風力タービンブレードの前縁に略垂直に向けられる。この構成では、シーリングテープの側縁部は翼弦方向接合線に平行ではないが、ブレード表面上の気流に平行に保たれる。本実施形態では、シーリングテープは、変形可能なスペーサを備えることができ、スペーサは、シーリングテープの下面に、シーリングテープの側縁部に平行ではない向きで画定される。
【0022】
上記の実施形態では、シーリングテープは連続的であり、正圧側シェル部材および負圧側シェル部材に巻き付くような長さを有することができ、シーリングテープの両端部は、ジョイント風力タービンブレードの後縁で交わる。本実施形態のスペーサは、シーリングテープの中間点から反対かつ等しい角度で延びる。
【0023】
別の実施形態では、シーリングテープは、正圧側シェル部材に貼り付けられる第1のテープセグメントと、負圧側シェル部材に貼り付けられる第2のテープセグメントとを備え、第1および第2のテープセグメントは、ジョイント風力タービンブレードの前縁にある第1のシーム、およびジョイント風力タービンブレードの後縁にある第2のシームにおいて接合される。
【0024】
シーリングテープは、天然または合成のウェブ材料、ビニールまたはプラスチック材料、および複合材料など、ブレードシェル部材の形状に適合し得る任意の適切な柔軟な材料から作られ得る。シーリングテープは、任意の適切な接着剤でブレードシェル部材に貼り付けられ得る。特定の実施形態では、シーリングテープは、正圧側シェル部材および負圧側シェル部材に取り付けるために、シーリングテープの下面に事前塗布された接着剤を備える。
【0025】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによってよりよく理解されるであろう。添付の図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の特定の原理を説明するのに役立つ。
【0026】
当業者に向けられた本発明の最良の態様を含む本発明の充分かつ本発明を実施可能にする開示が、添付の図面を参照して、本明細書において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示による、ジョイント風力タービンブレードを利用し得る風力タービンの斜視図である。
図2】第1のブレードセグメントおよび第2のブレードセグメントを有するロータブレード、ならびにブレードセグメントを接続するジョイント構造を示す図である。
図3】ジョイント構造を有する第1のブレードセグメントの一実施形態の斜視図である。
図4】ジョイント構造を有する第2のブレードセグメントの一実施形態の斜視図である。
図5】ブレードに作用するフラップ方向の力およびねじれ方向の力を示す、ジョイント風力タービンブレードの斜視図である。
図6】接合線におけるブレードセグメント間のフラップ方向に誘発されたオフセットを示す、ブレードセグメント間の接合線の部分斜視図である。
図7】接合線におけるブレードセグメント間のフラップ方向およびねじれ方向に誘発されたオフセットを示す、ブレードセグメント間の接合線の部分斜視図である。
図8a】ブレードの負荷状態におけるフラップ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図8b】ブレードの負荷状態におけるフラップ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図8c】ブレードの負荷状態におけるフラップ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図8d】ブレードの負荷状態におけるフラップ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図9a】ブレードの負荷状態におけるねじれ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図9b】ブレードの負荷状態におけるねじれ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図9c】ブレードの負荷状態におけるねじれ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図9d】ブレードの負荷状態におけるねじれ方向に誘発されたオフセットを補償するために、ジョイント風力タービンブレードのジョイント構造を改良するための一実施形態の連続図である。
図10】本発明の追加的な態様による、シーリングテープを備えたジョイント風力タービンブレードの一実施形態の図である。
図11】シーリングテープを備えたジョイント風力タービンブレードの代替的な実施形態の図である。
図12】シーリングテープの一実施形態の斜視図である。
図13】シーリングテープの代替的な実施形態の斜視図である。
図14】スペーサ構造を組み込んだシーリングテープの一実施形態の下面図である。
図15】別個のテープストリップを利用するシーリングテープ構成の下面図である。
図16】本発明の態様による、シーリングテープを備えたジョイント風力タービンブレード上の気流の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照し、それらの1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本発明の説明のために提示され、本発明を限定するためではない。実際には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変更が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるような修正および変更を、包含するように意図されている。
【0029】
概して、本発明の主題は、ロータブレードの負荷状態におけるブレードセグメント間のフラップ方向オフセットおよびねじれ方向オフセットの一方または両方を補償するまたは無効にするように機能する改良されたジョイント構造構成を有するジョイント風力タービンロータブレードに関する。この独自の方法およびロータブレード構成により、ブレードセグメント間の接合線において発生する騒音および振動が低減される。
【0030】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による、ジョイント風力タービンロータブレードを使用し得る例示的な風力タービン10の側面図である。本実施形態では、風力タービン10は水平軸風力タービンである。代替的に、風力タービン10は垂直軸風力タービンとすることもできる。本実施形態では、風力タービン10は、支持面14から延びるタワー12、タワー12に取り付けられたナセル16、ナセル16内に配置された発電機18、発電機18に結合されたギヤボックス20、およびロータシャフト24によりギヤボックス20に回転可能に結合されたロータ22を備える。ロータ22は、回転可能なハブ26と、回転可能なハブ26に結合され、そこから外側に延びる少なくとも1つのロータブレード28とを備える。図示のように、ロータブレード28は、ブレード先端部17からブレード根元部19までを含む。
【0031】
図2および図3を参照すると、本技術の態様による、第1のブレードセグメント30および第2のブレードセグメント32を有するジョイントロータブレード28が示されている。第1のブレードセグメント30および第2のブレードセグメント32は、翼弦方向接合線34から反対方向に延びる。ブレードセグメント30、32のそれぞれが、正圧側シェル部材31および負圧側シェル部材33を備える。第1のブレードセグメント30と第2のブレードセグメント32とは、ブレードセグメント30、32の接合を容易にするために両方のブレードセグメント30、32内に延びる内部支持構造36によって接続される。矢印38は、図示の例のセグメント化されたロータブレード28が2つのブレードセグメント30、32を備え、内部支持構造36を第2のブレードセグメント32に挿入することによってこれらのブレードセグメント30、32が接合されることを示している。
【0032】
図示の実施形態では、第1のブレードセグメントは、内部支持構造36の一部を形成し、第2のブレードセグメント32の内部支持構造36と構造的に接続するために縦方向(例えば、翼幅方向)に延びるビーム構造40を備える。ビーム構造40は、スパーセクション42から突出する延長部として第1のブレードセグメント30と一体的に形成されることにより延長スパーセクションを形成することができる。ビーム構造40は、負圧側スパーキャップ46および正圧側スパーキャップ48と接続された少なくとも1つの相互に接続するウェブ44(例えば、剪断ウェブ)を備える。図示の実施形態では、ビーム構造40は、対向する相互に接続するウェブ44を有するボックスタイプ構造として形成される。
【0033】
第1のブレードセグメント30は、ビーム構造40の第1の端部54に1つまたは複数の第1のボルトジョイント(「ピン」とも呼ばれる)を備え得る。例えば、ボルト52が、ビーム構造40の端部54上に配置され、翼幅方向に向けられ得る。第1のブレードセグメント30はまた、翼弦方向接合線34に近接してビーム構造40上に配置され、翼弦方向に向けられたボルトジョイントスロット50を備え得る。第2のブレードセグメント32を第1のブレードセグメント30に接続するために使用されるボルトチューブまたはピン53と緊密に締まり嵌めして構成されたボルトジョイントスロット50内には、ブッシングが存在し得る。ボルトチューブ52、53およびボルトスロット50の任意の組み合わせは、第1のブレードセグメント30と第2のブレードセグメント32とを相互に接続する目的で、ビーム構造40と受容セクション60(図4)との間に構成され得ることを理解されたい。
【0034】
図4、すなわち第2のブレードセグメント32では、内部支持構造36は、第1のブレードセグメント30のビーム構造40を受容するために、第2のブレードセグメント32内で縦方向(翼幅方向)に延びる受容セクション60を備える。受容セクション60は、受容セクション60の長さに沿って第1のブレードセグメント30のビーム構造40と接続するために縦方向に延びる複数のスパー構造コンポーネント66を備える。図4には示されていないが、受容セクション60は、ビーム構造40の対応するボルトまたはスロットと相互接続するためのボルトスロット50またはボルト52、53の任意の組み合わせを備えることが容易に理解される。例えば、ボルトスロットは、ビーム構造40の端部54上に設けられたボルト52を受容するために、受容セクション60の(翼弦方向接合線34から離れた)遠位端に構成される。
【0035】
図5は、ジョイント風力タービンブレードに作用するフラップ方向の力71、ねじれ方向の力73、およびヨール方向の力75の概念を示しており、そのような力は、翼弦方向接合線34における第1および第2のブレードセグメント30、32のシェルコンポーネント間においてフラップ方向オフセット70(図6)、ねじれ方向オフセット72(図7)、およびヨール方向オフセット77(図6)をそれぞれ生じ得る。これらのオフセット成分70、72、および77を合成して、シェルコンポーネント間の実際のオフセット68を導くことができる。フラップ方向の力71は、第1のブレードセグメント30の翼弦側面全体に均一に作用して、第1のブレードセグメント30を第2のブレードセグメント32に向かって実質的に「曲げ」る傾向があり、シェル部材31を垂直方向70に翼弦方向接合線34に沿って変位させる。ねじれ方向の力73は、ブレードの翼幅方向軸に沿って第2のブレードセグメント32に対して第1のブレードセグメント30のねじれを生じて、翼弦方向接合線34に沿ってシェル部材31のねじれ方向オフセット72を生じる傾向がある。ヨール方向の力75は、ブレードの翼幅方向軸に直角に第2のブレードセグメント32に対して第1のブレードセグメント30の横方向の動きを生じて、翼弦方向接合線34に沿ってシェル部材31のヨール方向オフセット77を生じる傾向がある。上述のように、これらの誘発されたオフセット70、72、77は、風力タービンの動作負荷(風力タービン10が電力曲線の定格出力範囲で動作しているときにタービンブレード28にかかる負荷)でブレード28において過度の振動および騒音を発生させ得る。
【0036】
図6は、フラップ方向オフセット70およびヨール方向オフセット77の合成としての実際のオフセット68を示している。図7は、フラップ方向オフセット70、ねじれ方向オフセット72、およびヨール方向オフセット77の合成としての実際のオフセット68を示している。実際のオフセット68は、オフセット成分70、72、および77の任意の1つまたは組み合わせから導かれ得ることを理解されたい。
【0037】
加えて、図5を参照すると、ブレード28は、ブレードピッチ軸Pに対して内側(ブレード根元部に近い方)に無負荷の適度な湾曲を有するように設計されてもよく、一方、外側セクション(ブレード先端部に近い方)はピッチ軸Pに対して最大10度(図5の角度θ)後方に湾曲され得る。
【0038】
図8aから図8dには、本開示の態様による、負荷の下でブレード28において誘発されたフラップ方向オフセット70の決定および補償が示されている。同様に、図9aから図9dには、負荷の下でブレード28において誘発されたねじれ方向オフセット72の決定および補償が示されている。ヨール方向オフセットの決定および補償についても同様の方法が使用され得ることを理解されたい。
【0039】
図8aおよび図9aを参照すると、初期無負荷状態におけるジョイントブレード28が翼弦方向接合線34において示され、ここでは、初期の無視できるフラップ方向オフセットまたはねじれ方向オフセットが、接合線34においてブレードに誘発されている。図8bは、初期負荷状態における、例えば風力タービンの定格出力での負荷の下での同じジョイントブレード28を示しており、フラップ方向オフセット70が、翼弦方向接合線34において第1のブレードセグメント30および第2のブレードセグメント32のシェル部材間に示されている。同様に、図9bは、初期負荷状態における、例えば風力タービンの定格出力に近づく、または定格出力での負荷の下でのジョイントブレード28を示しており、ねじれ方向オフセット72が、翼弦方向接合線34において第1のブレードセグメント30および第2のブレードセグメント32のシェル部材間に示されている。本方法は、フラップ方向オフセット70およびねじれ方向オフセット72の一方または両方の大きさを決定することを含む。この決定は、ブレード28(または同様のブレード)が定義された動作状態における負荷の下にあるときに、センサ、カメラなどによる、翼弦方向接合線34における実際のオフセットの測定によってなされ得る。あるいは、実際のオフセットは、適切なモデリングプログラムを介して決定されてもよい。上述のように、翼弦方向接合線34における実際のオフセット68は、フラップ方向オフセット70、ねじれ方向オフセット72、およびヨール方向オフセット77の合成であり得ることが理解されよう。また、これらのオフセットのいずれか1つは無視できる場合があり、実際のオフセットは、ブレード28にかかる負荷の下での他のオフセットの1つまたは組み合わせに主に起因する。
【0040】
図8cを参照すると、負荷の下でブレード28に接合線34において誘発された実際のオフセットに基づいて、誘発されたオフセットを補償するジョイント構造36の改良された構成が、ブレード28の無負荷状態において定義される。この改良された構成は、フラップ方向オフセット70またはねじれ方向オフセット72の一方しか補償することができないが、両方のタイプのオフセット70、72を補償することが好ましい。
【0041】
本方法は、実際のオフセット68が、定義された位置かつ定義された動作状態下で特定のタイプのブレードについて経験的にまたはコンピュータモデリングを介して決定された後、このオフセット68がその後のいくつかのブレード28の改良された構成を定義するために使用されるシナリオを包含することを理解されたい。ブレード28ごとに個別に実際のオフセットおよび改良された構成を決定する必要はない。
【0042】
上述のように、ジョイント構造36の改良された構成は、負荷状態におけるフラップ方向オフセット70およびねじれ方向オフセット72の一方または両方を低減するジョイント構造36における材料の組み合わせを決定することを含み得る。この材料の組み合わせは、ジョイント構造に対する独立した改良であってもよいし、後述のジョイント構造36のコンポーネントの位置の変更と組み合わされてもよい。材料の変更としては、例えば、負荷状態におけるフラップ方向オフセット70およびねじれ方向オフセット72の一方または両方を低減する剛性またはねじり抵抗を達成するためのジョイント構造36に対する材料の追加または除去が含まれ得る。
【0043】
図8cは、負荷状態で誘発されるフラップ方向オフセット70(図8b)を補償するために、ブレード28の無負荷状態におけるジョイント構造36が構造的に改良される実施形態を示している。本実施形態では、ジョイント構造36は、第1のブレードセグメント30(先端側セグメント)から翼幅方向に延びるビーム構造40と、ビーム構造40を受容するために第2のブレードセグメント32(根元側セグメント)に形成された受容セクション60とを備える。ジョイント構造36の改良された構成は、ビーム構造40と受容セクション60との間の接続の変更を含む。ジョイント構造36は、翼幅方向に接合線34から間隔を空けて配置された位置で、ビーム構造40および受容セクション60を通って延びる翼弦方向ピン53を備える。負荷状態におけるフラップ方向オフセット70を補償する、翼弦方向ピン53の代替的な位置が決定され、代替的な位置は、ブレード28の無負荷状態において反フラップ方向オフセットを生じるように選択される。例えば、説明の目的で図8cにおいて誇張されているように、翼弦方向ピン53は、反フラップ方向オフセットを生じるように図8aに示す初期位置に対してブレード28の正圧側または負圧側に向かって下降または上昇され得る。
【0044】
同様に、図9cは、負荷状態で誘発されるねじれ方向オフセット72(図9b)を補償するために、ブレード28の無負荷状態におけるジョイント構造36が構造的に改良される実施形態を示している。ジョイント構造36の改良された構成は、ビーム構造40と受容セクション60との間の接続の変更を含む。ジョイント構造36は、翼幅方向に接合線34から間隔を空けて配置された位置で、ビーム構造40および受容セクション60を通って延びる翼弦方向ピン53を備える。負荷状態におけるねじれ方向オフセット72を補償する、翼弦方向ピン53の代替的な位置が決定され、代替的な位置は、ブレード28の無負荷状態において反ねじれ方向オフセットを生じるように選択される。例えば、説明の目的で図9cにおいて誇張されているように、翼弦方向ピン53は、反ねじれ方向オフセットを生じるように図9aに示される初期の向きから図9cの改良された位置に回転され得る。
【0045】
ジョイント構造36への改良が決定されると、ジョイントブレード28は、そのような改良により組み立てられる。図8cは、無負荷状態の改良された組み立てられたジョイントブレード28を示し、図8dは、負荷下のブレード28を示し、ここでは、図8bに存在するフラップ方向オフセット70が図8cに示す改良によって補償されている。同様に、図9cは、無負荷状態の改良された組み立てられたジョイントブレード28を示し、図9dは、負荷下のブレード28を示し、ここでは、図9bに存在するねじれ方向オフセット72が図9cに示す改良によって補償されている。
【0046】
本発明はまた、上記の特徴を有するジョイント構造36を備えたジョイント風力タービンロータブレード28を包含する。
【0047】
図10から図16を参照すると、本発明はまた、風力タービンの運転状態におけるブレードの振動および騒音を低減するシーリングテープ100構成を備えたジョイント風力タービンロータブレード28を包含する。ジョイント風力タービンロータブレード28は、翼弦方向接合線34から反対方向に延びる第1のブレードセグメント30および第2のブレードセグメント32を備え、ブレードセグメント30、32のそれぞれが正圧側シェル部材31および負圧側シェル部材33を有する。シーリングテープ100構成は、図2から図9の実施形態に関して上で検討した特性を有するジョイント風力タービンブレード28に組み込まれてもよく、その点に関して、図2から図9の検討が図10から図16に関して本明細書に組み込まれることを理解されたい。あるいは、シーリングテープ100構成は、図2から図9の改良されたジョイント構造を含まないジョイント風力タービンブレード上の独立したコンポーネントとして使用されてもよい。
【0048】
シーリングテープ100は、正圧側シェル部材31および負圧側シェル部材33上に翼弦方向接合線34を跨ぐように貼り付けられる。シーリングテープ100は、シェル部材31、33から少なくともある程度突出する側縁部102を有する。シーリングテープは、側縁部102が、ジョイント風力タービンロータブレード28が使用される風力タービンの定格出力速度での負荷状態などのジョイント風力タービンブレード28の定義された負荷状態において翼弦方向接合線34におけるシェル部材31、33上の気流104に平行に整列するようにシェル部材31、33上で向けられる。テープ縁部102およびテープ100の断面形状が、シェル部材31、33の表面に対して隆起したプロファイルを画定する。テープ100の縁部102をブレード上の気流104に平行になるように整列させることにより、テープ100の存在によって本来引き起こされる騒音およびブレードの振動が最小化される。
【0049】
シーリングテープ100は、図12および図13に示すように、その長手方向の長さ全体に沿って一定の断面プロファイル106を有することができ、そのようなプロファイルは、テープの両側縁部102に向かって先細になる比較的厚肉の中央セクション107を備え得る。特定の実施形態では、シーリングテープ100は、テープ100の下面122に形成または取り付けられ、図16の破線によって示される翼弦方向接合線34に沿って第1のブレードセグメント30と第2のブレードセグメント32との間に突出または嵌合するように設計された変形可能な中間スペーサ108(図12)またはくさび109(図13)を備え得る。このスペーサ108またはくさび109は、テープ100と同じ材料で形成されることが好ましい、またはテープ100の下面122に固定される別個のコンポーネントであってもよい。スペーサ108またはくさび109は、ブレード先端部セグメント30に作用する力が、ブレード先端部セグメント30とセグメント32との間に上記のオフセットを誘発するときに圧縮可能であり、これにより交換ブレード先端部セグメント30に作用するフラップ方向の力、ねじれ方向の力、またはヨール方向の力のいずれか1つまたは組み合わせを減衰させるように機能する。
【0050】
本明細書で使用される「負荷状態」はまた、ブレード上の流れに影響を与え得る風力タービンについて決定または予想される定義された動作状態および環境を指す場合があり、したがって、風力タービンの出力曲線上の点での負荷の考慮以上のものを伴う可能性があることを理解されたい。
【0051】
図10を参照すると、特定の実施形態では、翼弦方向接合線34はまた、負荷状態におけるシェル部材31、33上の気流104に平行に向けられる。しかしながら、本実施形態は、ブレードセグメント30、32間のジョイント構造を形成する複雑さ、時間、および費用を増大させ得る。よって、図11に示す別の実施形態では、翼弦方向接合線34の長さは最小化され、ジョイント風力タービンブレード28の前縁74に略垂直に向けられる。この構成では、シーリングテープ100の側縁部102は翼弦方向接合線34に平行ではないが、図11から分かるようにブレード表面上の気流104に平行に保たれる。本実施形態では、シーリングテープ100は、変形可能なスペーサ108またはくさび109を備えることができ、スペーサ108またはくさび109は、シーリングテープ100の下面122に、シーリングテープ100の側縁部102に平行ではない向きで規定される。
【0052】
図14を参照すると、上記の実施形態では、シーリングテープ100は連続的であり、正圧側シェル部材および負圧側シェル部材31、33に巻き付くような長さを有することができ、シーリングテープ100の両端部は、ジョイント風力タービンブレード28の後縁76にあるシーム126(図10)で交わる。本実施形態におけるスペーサ108またはくさび109は、テープ100がブレード28に貼り付けられるときに前縁74の相対位置に対応するシーリングテープ100の中間点124から反対かつ等しい角度で延びる。
【0053】
図11および図15を参照すると、別の実施形態では、シーリングテープ100は、正圧側シェル部材31に貼り付けられる第1のテープセグメント110と、負圧側シェル部材33に貼り付けられる第2のテープセグメント112とを備え、第1のテープセグメント110と第2のテープセグメント112とは、ジョイント風力タービンブレード28の前縁74にある第1のシーム128、およびジョイント風力タービンブレード28の後縁76にある第2のシーム126において接合される。
【0054】
シーリングテープ100は、天然または合成のウェブ材料、ビニールまたはプラスチック材料、および複合材料など、ブレードシェル部材31、33の形状に適合し得る任意の適切な柔軟な材料から作られ得る。シーリングテープは、任意の適切な接着剤でブレードシェル部材に貼り付けられ得る。特定の実施形態では、シーリングテープ100は、正圧側シェル部材31および負圧側シェル部材33に取り付けるために、シーリングテープ100の下面122に事前塗布された接着剤層114(図13および図16)を備える。
【0055】
本明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者であれば想到できる他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を含むか、または特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0056】
10 風力タービン
12 タワー
14 支持面
16 ナセル
17 ブレード先端部
18 発電機
19 ブレード根元部
20 ギヤボックス
22 ロータ
24 ロータシャフト
26 回転可能なハブ
28 ブレード/ジョイントロータブレード/ジョイントブレード/ロータブレード/ジョイント風力タービンロータブレード/ジョイント風力タービンブレード
30 第1のブレードセグメント/ブレードセグメント/ブレード先端部セグメント
31 シェル部材/正圧側シェル部材/ブレードシェル部材
32 第2のブレードセグメント/ブレードセグメント
33 シェル部材/負圧側シェル部材/ブレードシェル部材
34 翼弦方向接合線
36 内部支持構造/ジョイント構造
38 矢印
40 ビーム構造
42 スパーセクション
44 相互に接続するウェブ
46 負圧側スパーキャップ
48 正圧側スパーキャップ
50 ボルトジョイントスロット/ボルトスロット
52 ボルト/ボルトチューブ
53 翼弦方向ピン/ボルトチューブ/ピン/ボルト
54 第1の端部/端部
60 受容セクション
66 スパー構造コンポーネント
68 オフセット
70 フラップ方向オフセット/オフセット成分/垂直方向/オフセット
71 フラップ方向の力
72 ねじれ方向オフセット/オフセット成分
73 ねじれ方向の力
74 前縁
75 ヨール方向の力
76 後縁
77 ヨール方向オフセット
100 シーリングテープ/テープ
102 側縁部/テープ縁部
103 両端部
104 気流
106 断面プロファイル
107 中央セクション
108 スペーサ/中間スペーサ
109 くさび
110 第1のテープセグメント
112 第2のテープセグメント
114 接着剤層
122 下面
124 中間点
126 シーム/第2のシーム
128 第1のシーム
P ブレードピッチ軸
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16