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特許7427662押出発泡ポリマー組成物および押出発泡ポリマー組成物を作製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】押出発泡ポリマー組成物および押出発泡ポリマー組成物を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20240129BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20240129BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240129BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
C08L23/06
C08L23/00
B29C44/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021521803
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2018116896
(87)【国際公開番号】W WO2020103071
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エッセガー、モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ、ウェンク
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-037922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066894(US,A1)
【文献】特開2005-154729(JP,A)
【文献】特開2004-161903(JP,A)
【文献】特開2003-082144(JP,A)
【文献】特開平9-165462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60、67/20
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造物品であって、
エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーを含む押出発泡ポリマー組成物を含み、
前記エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有し、
前記エラストマーは、0.872g/cm以下の密度を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は、少なくとも20パーセントの発泡率を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は、130MPa未満の0℃でのDMA貯蔵弾性率を有し、
前記エチレン系ポリマーはホモポリマーであり、
前記エチレン系ポリマーが、押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、30~80重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記オレフィン系エラストマーが、前記押出発泡ポリマー組成物の20~70重量パーセントの範囲の量で存在する、製造物品。
【請求項2】
前記エチレン系ポリマーと前記エラストマーとの合計重量が、前記押出発泡ポリマー組成物の少なくとも70重量パーセントを構成する、請求項1に記載の製造物品。
【請求項3】
前記押出発泡ポリマー組成物が、発泡していないがそれ以外は同一のポリマー組成物の23℃でのDMA貯蔵弾性率よりも、少なくとも25パーセント低い23℃でのDMA貯蔵弾性率を有する、請求項1に記載の製造物品。
【請求項4】
前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレンホモポリマーであり、前記オレフィン系エラストマーが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、オレフィンブロックコポリマー、オレフィンブロック複合材、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の製造物品。
【請求項5】
前記押出発泡ポリマー組成物が、0.7g/cm未満の密度を有する、請求項1に記載の製造物品。
【請求項6】
前記押出発泡ポリマー組成物が、酸化防止剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、架橋剤、充填剤、および可塑剤から選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項1に記載の製造物品。
【請求項7】
前記エチレン系ポリマーが、0.1~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I)および0.91~0.93g/cmの範囲の密度を有し、前記オレフィン系エラストマーが、0.5~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I)および0.85~0.872g/cmの範囲の密度を有する、請求項1に記載の製造物品。
【請求項8】
押出発泡ポリマー組成物を作製する方法であって、
エチレン系ポリマー、オレフィン系エラストマー、成核剤、および発泡剤を組み合わせて、発泡性ポリマー組成物を形成することと、
前記発泡性ポリマー組成物の少なくとも一部を押出機を通して押出し、それによって、前記押出発泡ポリマー組成物を形成することと、を含み、
前記押出ステップは、毎分少なくとも1メートルのライン速度で実行され、
前記エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有し、
前記エラストマーは、0.872g/cm以下の密度を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は少なくとも20パーセントの発泡率を有し、
前記エチレン系ポリマーはホモポリマーであり、
前記エチレン系ポリマーが、押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、30~80重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記オレフィン系エラストマーが、前記押出発泡ポリマー組成物の20~70重量パーセントの範囲の量で存在する、方法。
【請求項9】
前記エチレン系ポリマーおよび前記オレフィン系エラストマーをプレブレンドして、ポリマープレブレンドを形成することと、前記ポリマープレブレンドの少なくとも一部を前記押出機に供給することと、前記成核剤および前記発泡剤を、前記押出機中に配置された前記ポリマープレブレンドと組み合わせて、前記発泡性ポリマー組成物を形成することと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成核剤が、フルオロ樹脂、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、ポリ(4-メチルペンテン)、ジルコニア、タルク、アゾジカルボンアミド、または4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドから選択され、前記発泡剤が、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、モノクロロペンタフルオロエタン、またはトリクロロトリフルオロエタンから選択される不活性ガスである、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、押出発泡ポリマー組成物を含む製造物品に関する。他の態様は、押出発泡ポリマー化合物のためのプロセスに関する。
【発明の概要】
【0002】
一実施形態は、製造物品であって、
エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーを含む押出発泡ポリマー組成物を含み、
エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有し、
エラストマーは、0.91g/cm未満の密度を有し、
押出発泡ポリマー組成物は、少なくとも20パーセントの発泡率を有し、
押出発泡ポリマー組成物は130MPa未満の0℃でのDMA貯蔵弾性率を有する、製造物品である。
【0003】
別の実施形態は、押出発泡ポリマー組成物を作製する方法であって、その方法は、
エチレン系ポリマー、オレフィン系エラストマー、成核剤、および発泡剤を組み合わせて、発泡性ポリマー組成物を形成することと、
発泡性ポリマー組成物の少なくとも一部を押出機を通して押出し、それにより、押出発泡ポリマー組成物を形成することと、を含み、
押出ステップは、毎分少なくとも1メートルのライン速度で実行され、
エチレン系ポリマーは少なくとも0.91g/cmの密度を有し、
エラストマーは0.91g/cm未満の密度を有し、
押出発泡ポリマー組成物は少なくとも20パーセントの発泡率を有する、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
上記のように、本開示の様々な実施形態は、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーを含む押出発泡ポリマー組成物に関する。押出発泡ポリマー組成物は、エチレン系ポリマー、オレフィン系エラストマー、成核剤、および発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物からの押出発泡プロセスによって調製される。任意選択で、発泡性ポリマー組成物および得られる押出発泡ポリマー組成物は、1つ以上の添加剤を含有し得る。
【0005】
エチレン系ポリマー
上記のように、本明細書に記載の押出発泡ポリマー組成物の1つの成分は、エチレン系ポリマーである。本明細書で使用される場合、「エチレン系」ポリマーは、主な(すなわち、50重量パーセント(「重量%」)を超える)モノマー成分としてエチレンモノマーから調製されるポリマーであるが、他のコモノマーも用いてもよい。「ポリマー」とは、同じ種類または異なる種類のモノマーを反応(すなわち、重合)させることによって調製される巨大分子化合物を意味し、ホモポリマーおよびインターポリマーを含む。「インターポリマー」とは、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。この総称には、コポリマー(通常、2種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3種類以上の異なるモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマー(3種類の異なるモノマー)およびクォーターポリマー(4種類の異なるモノマー))が含まれる。
【0006】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマーであり得る。本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」は、単一の種類のモノマーに由来する反復単位を含むポリマーを示すが、連鎖移動剤などのホモポリマーの調製に使用される他の成分の残留量を除外しない。
【0007】
1つ以上の実施形態では、エチレン系ポリマーは、インターポリマーの全重量を基準として、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%のα-オレフィン含有量を有するエチレン/アルファオレフィン(「αオレフィン」)インターポリマーであり得る。これらのインターポリマーは、インターポリマーの全重量を基準として、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%未満のα-オレフィン含量を有し得る。α-オレフィンが用いられる場合、α-オレフィンは、C3-20(すなわち、3~20個の炭素原子を有する)線状、分岐状または環状α-オレフィンであり得る。C3-20α-オレフィンの例としては、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンは、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらす、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を有し得る。例示的なエチレン/α-オレフィンインターポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/1-ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/1-ブテン、およびエチレン/1-ブテン/1-オクテンが含まれる。
【0008】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、単独で、または1つ以上の他の種類のエチレン系ポリマー(例えば、モノマー組成物および含有量、触媒調製方法などによって互いに異なる2つ以上のエチレン系ポリマーのブレンド)と組み合わせて使用することができる。エチレン系ポリマーのブレンドが使用される場合、ポリマーは、任意の反応器内プロセスまたは反応器後プロセスによってブレンドされ得る。
【0009】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(「LDPE」)であることができる。LDPEは、概して、高度に分枝状のエチレンホモポリマーであり、高圧プロセスを介して調製され得る(すなわち、HP-LDPE)。本明細書での使用に適切なLDPEは、0.91~0.94g/cmの範囲の密度を有し得る。様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有する高圧LDPEであるが、0.94g/cm未満、または0.93g/cm未満の密度を有する高圧LDPEである。本明細書で提供するポリマー密度は、ASTMInternational(「ASTM」)方法D792に従って決定される。本明細書での使用に好適なLDPEは、20g/10分未満、または0.1~10g/10分、0.5~5g/10分、1~3g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、または2g/10分のIを有することができる。本明細書で提供されるメルトインデックスは、ASTM法D1238に従って決定される。特記しない限り、メルトインデックスは、190℃および2.16kgで決定される(すなわち、I)。概して、LDPEは、広範な分子量分布(「MWD」)を有し、比較的高い多分散性指数(「PDI」、重量平均分子量の数平均分子量に対する比率」)をもたらす。
【0010】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)であることができる。LLDPEは、一般に、不均一な分布のコモノマー(例えば、α-オレフィンモノマー)を有するエチレン系ポリマーであり、短鎖分岐によって特徴付けられる。例えば、LLDPEは、上述のものなどのエチレンモノマーおよびα-オレフィンモノマーのコポリマーであり得る。本明細書での使用に好適なLLDPEは、0.916~0.925g/cmの範囲の密度を有し得る。本明細書での使用に好適なLLDPEは、1~20g/10分の範囲、または3~8g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0011】
エチレン系ポリマーを調製するために使用される生成プロセスは、当技術分野において広範囲であり、多様であり、既知である。本明細書に記載のエチレン系ポリマーを調製するために、上述の特性を有するエチレン系ポリマーを生成するための任意の従来のまたは今後発見される生成プロセスを用いてもよい。一般に、重合は、ジーグラー-ナッタまたはカミンスキー-シン型重合反応のための当技術分野で既知の条件、すなわち、0~250℃、または30もしくは200℃の温度、および大気圧~10,000大気圧(1,013メガパスカル(「MPa」))の圧力で達成することができる。ほとんどの重合反応において、触媒対使用される重合性化合物のモル比は、10~12:1から10~1:1、または10~9:1から10~5:1である。
【0012】
1つ以上の実施形態において、エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有するか、または0.91~0.93g/cm、0.915~0.925g/cm、または約0.92g/cmの範囲の密度を有する低密度ポリエチレンホモポリマーである。さらに、低密度ポリエチレンは、0.1~10g/10分、0.2~9g/10分、または0.25~8g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0013】
好適な市販のエチレン系ポリマーの例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されているDOW(商標)LDPE 132I、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されているDOW AXELERON(商標)CX 1253 NT CPD、およびThe Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されているDOW AXELERON(商標)CX 1258 NT CPDが挙げられるが、それらに限定されない。
【0014】
オレフィン系エラストマー
上記のように、押出発泡ポリマー組成物は、オレフィン系エラストマーを含む。オレフィン系エラストマーとしては、ポリオレフィンホモポリマーおよびインターポリマーの両方が挙げられる。ポリオレフィンインターポリマーの例は、エチレン/α-オレフィンインターポリマーおよびプロピレン/α-オレフィンインターポリマーである。そのような実施形態において、α-オレフィンは、C3-20線状、分岐または環状α-オレフィンであり得る(プロピレン/α-オレフィンインターポリマーの場合、エチレンは、α-オレフィンと見なされる)。C3-20α-オレフィンの例には、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含むことができ、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンが得られる。この用語の古典的な感覚にα-オレフィンはないが、本発明の目的のために、ノルボルネンおよび関連するオレフィン等の特定の環状オレフィンは、α-オレフィンであり、上記のα-オレフィンの一部または全ての代わりに使用することができる。同様に、スチレンおよびその関連オレフィン(例えば、α-メチルスチレンなど)は、本開示の目的のためのα-オレフィンである。例示的なポリオレフィンコポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/スチレンなどが挙げられる。例示的なターポリマーは、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1-オクテン、およびエチレン/ブテン/スチレンを含む。インターポリマーはランダムまたはブロック状であることができる。
【0015】
オレフィン系エラストマーはまた、不飽和エステルまたは酸またはシランなどの1つ以上の官能基を含むこともでき、これらのエラストマーは、良く知られており、従来の高圧技術によって調製することができる。不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシレートであり得る。アルキル基は、1~8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1~4個の炭素原子を有することができる。カルボキシレート基は、2~8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2~5個の炭素原子を有することができる。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて1~最大50重量パーセントの範囲であり得る。アクリレートおよびメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシレートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、およびビニルブタネートである。不飽和酸の例には、アクリル酸またはマレイン酸が含まれる。不飽和シランの一例は、ビニルトリアルコキシシランである。
【0016】
官能基はまた、当該技術分野で一般に知られているようにして達成され得るグラフト化によって、オレフィン系エラストマーに含めることもできる。一実施形態では、グラフト化は、典型的には、オレフィンポリマー、フリーラジカル開始剤(例えば、過酸化物など)、および官能基を含有する化合物を溶融ブレンドすることを含むフリーラジカル官能化によって起こり得る。溶融ブレンド中、フリーラジカル開始剤は、オレフィンポリマーと反応して(反応性溶融ブレンド)、ポリマーラジカルを形成する。官能基を含有する化合物は、ポリマーラジカルの主鎖に結合して、官能化ポリマーを形成する。官能基を含有する例示的な化合物としては、アルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ならびにビニルカルボン酸および無水物、例えば、無水マレイン酸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
本明細書での使用に好適なオレフィン系エラストマーは、0.91g/cmの密度を有するか、または0.85~0.90g/cm、0.85~0.88g/cm、もしくは0.855~0.875g/cmの範囲の密度を有する。さらに、オレフィン系エラストマーは、0.5~10g/10分、または0.7~5.0g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0018】
本明細書で有用なオレフィン系エラストマーのより具体的な例としては、超低密度ポリエチレン(「VLDPE」)(例えば、The Dow Chemical Company製のFLEXOMER(商標)エチレン/1-ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した線状エチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(商標)およびExxon Chemical CompanyによるEXACT(商標))、均一に分岐した、実質的に線状のエチレン/α-オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)およびENGAGE(商標)ポリエチレン)が挙げられる。使用に好適なENGAGE(商標)エラストマーの具体例としては、ENGAGE(商標)8207、ENGAGE(商標)7447、およびENGAGE(商標)8842が挙げられ、すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0019】
本明細書で有用なオレフィン系エラストマーとしては、プロピレン、ブテン、および他のアルケン系コポリマー、例えば、プロピレンに由来する大部分のユニットおよび別のα-オレフィン(エチレンを含む)に由来する少数のユニットを含むコポリマーも挙げられる。本明細書で有用な例示的なプロピレンポリマーとしては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、およびExxonMobil Chemical Companyから入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマーが挙げられる。
【0020】
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)エラストマーおよび塩素化ポリエチレン(CPE)も挙げることができる。好適なEPDMの市販例には、The Dow Chemical Companyから市販されているNORDEL(商標)EPDMが含まれる。使用に好適なEPDMの具体例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なNORDEL(商標)IP 3722P ELである。
【0021】
他の好適なオレフィン系エラストマーとしては、オレフィンブロックコポリマー(例えば、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから商品名INFUSE(商標)で市販されているもの)、中間相分離オレフィンマルチブロックインターポリマー(例えば、米国特許第7,947,793号に記載のもの)、およびオレフィンブロック複合材(例えば、米国特許第8,822,598号、同第8,686,087号、および同第8,716,400号、ならびにPCT公開出願第WO2017/044547号および同第WO2014/043522号に記載されているもの)が挙げられる。
【0022】
本明細書での使用に好適な市販のオレフィンブロックコポリマーの例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから入手可能なINFUSE(商標)9107が挙げられるが、それらに限定されない。
【0023】
成核剤
上記のように、押出発泡ポリマー組成物は、成核剤を含有する発泡性ポリマー組成物から調製することができる。「核剤」または「成核剤」は、ポリマー溶融物内の気泡形成のための核形成部位または位置を提供する物質、典型的には小さな粒子である。成核剤は、発泡ポリマーのセル構造を強化するために使用される。好適な成核剤の非限定的な例としては、フルオロ樹脂、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、ポリ(4-メチルペンテン)、ジルコニア、タルク、アゾジカルボンアミド(「ADCA」)、および4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(「OBSH」)が挙げられる。一実施形態では、成核剤は、フルオロ樹脂、窒化ホウ素、ADCA、シリカ、ポリ(4-メチルペンテン)、およびそれらの組み合わせまたは2つ以上から選択される。様々な実施形態において、成核剤はADCAである。
【0024】
フッ素樹脂は、フッ素含有モノマーのホモポリマーおよびコポリマーを含む種々のポリマーであってもよい。好適なフルオロ樹脂の非限定的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(「PFA」)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(「ETFE」)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(「FEP」)、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(「PVdF」)、ポリクロロトリフルオロエチレン(「PCTFE」)、クロロトリフルオロエチレン-エチレンコポリマー(「ECTFE」)などが挙げられる。一実施形態では、成核剤は、PTFE、PFA、ETFE、およびそれらの組み合わせから選択されるフルオロ樹脂である。別の実施形態では、成核剤はPTFEである。
【0025】
様々な実施形態において、成核剤は、成核剤およびポリマー成分(例えば、LDPE)を含む成核マスターバッチとして発泡性ポリマー組成物に組み込むことができる。市販の成核マスターバッチの例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから入手可能なAXELERON(商標)CX A-0012 NT CPDが挙げられる。
【0026】
発泡剤
一実施形態では、押出発泡ポリマー組成物は、発泡剤を使用して調製される。発泡剤は、押出温度、発泡条件、発泡成形方法などに好適な1つ以上である。好適な発泡剤としては、例えば、不活性ガス、例えば、窒素、炭素ガス(例えば、CO、COなど)、ヘリウム、アルゴンなど、炭化水素、例えば、メタン、プロパン、ブタン、ペンタンなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、モノクロロペンタフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。
【0027】
添加剤
一実施形態では、押出発泡ポリマー組成物は、1つ以上の添加剤を含む。代表的な添加剤としては、加工助剤、潤滑剤、安定剤(酸化防止剤)、発泡助剤、界面活性剤、流動助剤、粘度制御剤、着色剤、銅害防止剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加剤は、処理前または処理中のいずれかにおいて、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーに添加することができる。組成物中の任意の特定の添加剤の量は、組成物の総重量に基づいて、典型的には0.01~1重量%、より典型的には0.01~0.5重量%、およびさらにより典型的には0.01~0.3重量%であり、組成物中の添加剤の総量は、存在する場合、典型的には0.01~5重量%、より典型的には0.01~2重量%、およびさらにより典型的には0.01~1重量%である。
【0028】
発泡性ポリマー組成物
上記のように、押出発泡ポリマー組成物は、エチレン系ポリマー、オレフィン系エラストマー、成核剤、発泡剤、および任意選択で1つ以上の添加剤を含有する発泡性ポリマー組成物から調製することができる。
【0029】
発泡性ポリマー組成物、ならびに押出発泡ポリマー組成物は、それぞれ、発泡性ポリマー組成物または押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、10~90重量%、20~80重量%、または30~70重量%の範囲の量でエチレン系ポリマーを含有することができる。いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、発泡性ポリマー組成物、ならびに押出発泡ポリマー組成物中に、それぞれ、発泡性ポリマー組成物または押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、30~50重量%の範囲の量で存在することができる。
【0030】
発泡性ポリマー組成物、ならびに押出発泡ポリマー組成物は、それぞれ、発泡性ポリマー組成物または押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、10~90重量%、20~80重量%、または30~70重量%の範囲の量でオレフィン系エラストマーを含有することができる。いくつかの実施形態において、オレフィン系エラストマーは、発泡性ポリマー組成物、ならびに押出発泡ポリマー組成物中に、それぞれ、発泡性ポリマー組成物または押出発泡ポリマー組成物の全重量に基づいて、50~70重量%の範囲の量で存在することができる。
【0031】
エチレン系ポリマーとオレフィン系エラストマーとの合計重量は、発泡性ポリマー組成物全体または押出発泡ポリマー組成物それぞれの、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、または少なくとも95重量%を構成することができる。
【0032】
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーは、発泡性ポリマー組成物、および押出発泡ポリマー組成物中に、9:1~1:9、4:1~1:4、または7:3~3:7の範囲の重量比(エチレン系ポリマー対オレフィン系エラストマー)で存在することができる。他の実施形態において、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーは、発泡性ポリマー組成物、および押出発泡ポリマー組成物中に、1:1~3:7の範囲の重量比(エチレン系ポリマー対オレフィン系エラストマー)で存在することができる。
【0033】
発泡性ポリマー組成物は、発泡性ポリマー組成物の全重量に基づいて、0.05~1重量%、0.1~0.5重量%、または0.2~0.4重量%の範囲の量で成核剤を含有することができる。マスターバッチとして存在する場合、発泡性ポリマー組成物は、発泡性ポリマー組成物の総重量に基づいて、成核マスターバッチを、0.5~10重量%、1~5重量%、または2~4重量%の範囲の量で含有することができる。
【0034】
発泡性ポリマー組成物は、当該技術分野で知られている、または今後発見される任意の方法によって調製することができる。例えば、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーをプレブレンドすることができ、それは、例えば、押出機、BUSS(商標)ニーダーなどによって達成することができる。成核剤は、プレブレンドを作製する際に同時に配合することができ、または押出発泡プロセス中に添加され得る。核剤は、そのままで、1つ以上の他の添加剤、例えば、酸化防止剤、セル安定剤などと組み合わせて、またはマスターバッチの一部として添加され得る。様々な実施形態において、成核剤は、エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーと混合して、ポリマーブレンド中の成核剤の本質的に均一な分散を達成することができ、それを達成するためには、例えば、BUSS(商標)ニーダーの使用によるバッチ混合は、典型的には、押出機での混合よりも好ましい。核剤を、最初に、押出機においてエチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーと混合する場合、典型的には、核剤は、発泡のための発泡剤を注入する前に添加する。
【0035】
使用する発泡剤の量は変えることができる。一実施形態では、発泡剤は、発泡性ポリマー組成物100重量部あたり、0.001~0.1重量部、または0.005~0.05重量部の量で存在する。発泡剤は、押出前に混合してもよく、または押出機のバレルに形成された発泡剤供給開口部から押出機に供給してもよい。
【0036】
押出発泡
発泡性組成物は、既知の、または今後発見される任意の押出発泡法を使用する押出発泡によって発泡させることができる。様々な実施形態において、押出発泡プロセスは、毎分少なくとも1メートル(「m/分」)、または少なくとも1.25m/分の速度で実施することができる。押出速度は、用途、プロセス、および所望の発泡生成物の厚さに応じて変えることができる。様々な実施形態において、押出発泡プロセスは、最大1,000m/分またはそれを超える速度で実施することができる。
【0037】
非限定的な例として、本開示の押出発泡プロセスは、ガス注入システムを備えた一軸スクリュー押出機を使用して実施することができる。ポリマー(複数可)および成核剤マスターバッチは、最初に押出機に供給される。ガス(発泡剤)は、押出機の長さに沿って中央部分に注入することができる。ポリマー溶融物および注入ガス(発泡剤)は、最初に、2つの分離相として共存している。溶融物が押出機を通過すると、その後の混合が起こり、ガス(発泡剤)が溶融物に溶解する。静的ミキサーを押出機の端に向かって用いて、均一な温度およびメルトフローを達成することができる。ダイから排出される前に、溶融物は、発泡のために好適な温度に冷却される。発泡押出装置の例としては、上記の一軸スクリュー押出機、または、直列に配置された2つの一軸スクリュー押出機が挙げられ、その2つの一軸スクリュー押出機では、終わりに溶融物を分配および冷却するために第2の押出機に入れる前に、第1の押出機を使用して、ガスを注入しながらポリマーを溶融する。
【0038】
押出発泡ポリマー組成物
得られる押出発泡ポリマー組成物は、少なくとも20パーセント、または少なくとも22パーセントの発泡率を有することができる。押出発泡ポリマー組成物の「発泡率」は、以下の式によって決定される:
【数1】
【0039】
様々な実施形態において、押出発泡ポリマー組成物は、10~60パーセントの範囲、または22~57パーセントの範囲の発泡率を有することができる。
【0040】
押出発泡ポリマー組成物は、0℃で130MPa未満、100MPa未満、または75MPa未満のDMA貯蔵弾性率を有することができる。DMA貯蔵弾性率は、以下の「試験方法」セクションに記載されている手順に従って決定される。様々な実施形態において、押出発泡ポリマー組成物は、0℃で、10~130MPa、15~100MPa、または20~75MPaの範囲のDMA貯蔵弾性率を有することができる。
【0041】
押出発泡ポリマー組成物は、23℃で71MPa未満、60MPa未満、50MPa未満、または41MPa未満のDMA貯蔵弾性率を有することができる。様々な実施形態において、押出発泡ポリマー組成物は、23℃で、10~71MPa、15~50MPa、または16~41MPaの範囲のDMA貯蔵弾性率を有することができる。
【0042】
様々な実施形態では、押出発泡ポリマー組成物は、発泡してはいないがそれ以外は同一のポリマー組成物の23℃でのDMA貯蔵弾性率よりも、少なくとも25パーセント低い、少なくとも30パーセント低い、少なくとも35パーセント低い、少なくとも40パーセント低い、少なくとも45パーセント低い、または少なくとも50パーセント低い23℃でのDMA貯蔵弾性率を有することができる。
【0043】
押出発泡ポリマー組成物は、0.7g/cm未満、または0.68g/cm未満の密度を有することができる。様々な実施形態において、押出発泡ポリマー組成物は、0.35~0.7g/cm、または0.39~0.68g/cmの範囲の密度を有することができる。
【0044】
製造物品
上記の押出発泡ポリマー組成物は、様々な製造物品の一部または全体として含めることができる。そのような製造物品には、履物(例えば、靴底)、パイプおよびチュービング、マットレス、自動車用途、ワイヤーおよびケーブル用途(例えば、ケーブル絶縁材)、建築および建設用途(例えば、断熱材)などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
試験方法
密度
密度は、ASTM D792に従って決定される。
【0046】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、Iは、ASTM D 1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分あたりに溶出されたグラム数を報告する。
【0047】
弾性率および機械的分析
引張、曲げ弾性率、および動的機械分析試験では、組成物は圧縮成形されて固体(非発泡)プラークとなる。4インチ×4インチ×0.050インチの厚さのプラークを準備する。各組成物のペレットを、低圧(500psi)下、125℃で3分間、プレスし、高圧(2500psi)まで3分間上昇させ、次いで高圧下で30℃に冷却する。成形されたプラークを取り除き、細かく切り、同じ条件下で2度目のプレスをする。
【0048】
動的機械分析(DMA)は、ARESレオメーターを使用して固体サンプル(非発泡)で試験して、温度の関数として組成物の弾性率を評価する。DMA試験条件は、ひずみ0.025%、速度3℃/分の速度で温度-80℃~120℃、周波数1Hz、浸漬時間3分である。同様に、DMAを、温度の関数として組成物の弾性率を評価するために、ARESレオメーターを使用して、押出発泡体サンプルに関して試験する。発泡サンプルDMAに関する試験条件は、ひずみ0.025%、速度3℃/分の速度で温度-50℃~120℃、周波数1Hz、浸漬時間3分である。
【0049】
引張および伸び(T&E)試験は、Instru-Metモデル4201引張試験機で、プラスチックの引張特性のためのASTM D638標準試験方法に従って固体サンプル(非発泡)に関して行う。T&Eは、毎分20インチのクロスヘッド速度、100ポンドのロードセルを備えた2.5インチのジョースパンで試験する。各試験片は、ASTM D638規格に従って、公称0.075インチの厚さのタイプIVドッグボーンに切断する。
【0050】
曲げ弾性率は、非強化および強化プラスチックおよび電気絶縁材料の曲げ特性に関するASTM D790標準試験方法に従って、固体サンプル(非発泡)に関して試験する。
【0051】
材料
以下の材料を以下の実施例で用いる。
【0052】
DOW(商標)LDPE 132Iは、0.92g/cmの密度および0.25g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0053】
ENGAGE(商標)8207は、0.870g/cmの密度および5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0054】
ENGAGE(商標)7447は、0.865g/cmの密度および5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0055】
ENGAGE(商標)8842は、0.856g/cmの密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0056】
INFUSE(商標)9107は、0.866g/cmの密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するオレフィンブロックコポリマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0057】
NORDEL(商標)IP 3722P ELは、0.872g/cmの密度および0.7g/10分のメルトインデックス(I)を有するEPDMであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0058】
IRGANOX(商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートであり、立体障害のあるフェノール系酸化防止剤であり、BASF,Ludwigshafen,Germanyから市販されている。
【0059】
AXELERON(商標)CX A-0012 NT CPDは、高圧低密度ポリエチレン(「HP LDPE」)に10重量パーセントの成核剤を含有する成核マスターバッチであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【実施例
【0060】
以下の表1に供した配合を使用して、8つの非発泡発明サンプル(S1~S8)および1つの非発泡比較サンプル(CS1)を準備する。組成物は二軸押出機で調製する。ポリマーペレットは、二軸スクリュー押出機に供給する前に事前に混合する。組成物は、約200℃および40ポンド/時の溶融温度でコンパウンドする。試験方法のセクションで上記した調製方法に従って、分析のためのサンプルの標本を準備する。上記の試験方法に従って、密度、DMA貯蔵弾性率、曲げ弾性率、および引張弾性率についてS1~S8およびCS1を分析する。その結果を以下の表1に供する。
【0061】
【表1】
【0062】
COガス注入システムを備えた一軸スクリュー押出ラインを使用して、表2の配合に従って、S1~S8およびCS1から発泡サンプルを準備する。COは、押出機の中央バレルセクションに注入する。COガス注入流量は1.0ml/分である。成核マスターバッチを、発泡体サンプルの押出中に添加する。発泡体は、25rpmのスクリュー速度で1.25m/分のライン速度で押出す。上記の試験方法に従って、発泡したS1~S8およびCS1を、密度およびDMA貯蔵弾性率について分析する。結果を以下の表2に供する。
【0063】
【表2】
【0064】
固体(非発泡)サンプルの組成および試験結果を表1に示す。発泡サンプルの組成および試験結果を表2に示す。比較例(CS1)は、>48%の高い発泡率を有するが、望ましくない高い弾性率を有する。非発泡CS1の貯蔵弾性率は、-40℃および23℃それぞれにおいて、2199MPaおよび544MPaを超えている。
【0065】
CS1とは異なり、本発明のサンプル(S1~S8)は、十分に高い発泡率と低い弾性率とのバランスを示している。本発明の組成物、特に、ブレンドは、CS1と比較して、発泡率>22%(軽量のための十分に低い密度)、すべての温度において30%を超えるDMA貯蔵弾性率の低下(-40℃で<1620MPa、0℃で<500MPa、23℃で<285)、46%を超える2%割線曲げ弾性率の低下、40%を超える引張弾性率の低下、<90MPa(改善された可撓性)をもたらす。
(態様)
(態様1)
製造物品であって、
エチレン系ポリマーおよびオレフィン系エラストマーを含む押出発泡ポリマー組成物を含み、
前記エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cm の密度を有し、
前記エラストマーは、0.91g/cm 未満の密度を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は、少なくとも20パーセントの発泡率を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は、130MPa未満の0℃でのDMA貯蔵弾性率を有する、製造物品。
(態様2)
前記エチレン系ポリマーが、押出発泡ポリマー組成物の総重量に基づいて、10~90重量パーセントの範囲の量で存在し、前記オレフィン系エラストマーが、前記押出発泡ポリマー組成物の10~90重量パーセントの範囲の量で存在し、前記エチレン系ポリマーと前記エラストマーとの合計重量が、前記押出発泡ポリマー組成物の少なくとも70重量パーセントを構成する、態様1に記載の製造物品。
(態様3)
前記押出発泡ポリマー組成物が、発泡していないがそれ以外は同一のポリマー組成物の23℃でのDMA貯蔵弾性率よりも、少なくとも25パーセント低い23℃でのDMA貯蔵弾性率を有する、態様1または態様2のいずれかに記載の製造物品。
(態様4)
前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレンホモポリマーであり、前記オレフィン系エラストマーが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、オレフィンブロックコポリマー、オレフィンブロック複合材、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、態様1~3のいずれか一項に記載の製造物品。
(態様5)
前記押出発泡ポリマー組成物が、0.7g/cm 未満の密度を有する、態様1~4のいずれか一項に記載の製造物品。
(態様6)
前記押出発泡ポリマー組成物が、酸化防止剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、架橋剤、充填剤、および可塑剤から選択される1つ以上の成分をさらに含む、態様1~5のいずれか一項に記載の製造物品。
(態様7)
前記エチレン系ポリマーが、0.1~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I )および0.91~0.93g/cm の範囲の密度を有し、前記オレフィン系エラストマーが、0.5~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I )および0.85~0.88g/cm の範囲の密度を有する、態様1~6のいずれか一項に記載の製造物品。
(態様8)
押出発泡ポリマー組成物を作製する方法であって、
エチレン系ポリマー、オレフィン系エラストマー、成核剤、および発泡剤を組み合わせて、発泡性ポリマー組成物を形成することと、
発泡性ポリマー組成物の少なくとも一部を押出機を通して押出し、それによって、押出発泡ポリマー組成物を形成することと、を含み、
前記押出ステップは、毎分少なくとも1メートルのライン速度で実行され、
前記エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cm の密度を有し、
前記エラストマーは、0.91g/cm 未満の密度を有し、
前記押出発泡ポリマー組成物は、少なくとも20パーセントの発泡率を有する、方法。
(態様9)
前記エチレン系ポリマーおよび前記オレフィン系エラストマーをプレブレンドして、ポリマープレブレンドを形成することと、前記ポリマープレブレンドの少なくとも一部を前記押出機に供給することと、前記成核剤および前記発泡剤を、前記押出機中に配置された前記ポリマープレブレンドと組み合わせて、前記発泡性ポリマー組成物を形成することと、をさらに含む、態様8に記載の方法。
(態様10)
前記成核剤が、フルオロ樹脂、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、ポリ(4-メチルペンテン)、ジルコニア、タルク、アゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、前記発泡剤が、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、モノクロロペンタフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される不活性ガスである、態様8または態様9のいずれかに記載の方法。
(態様11)
前記エチレン系ポリマーが、前記押出発泡ポリマー組成物の総重量に基づいて、10~90重量パーセントの範囲の量で存在し、前記オレフィン系エラストマーが、前記押出発泡ポリマー組成物の10~90重量パーセントの範囲の量で存在し、前記エチレン系ポリマーと前記エラストマーとの合計重量が、前記押出発泡ポリマー組成物の少なくとも70重量パーセントを構成する、態様8~10のいずれか一項に記載の方法。
(態様12)
前記押出発泡ポリマー組成物が、発泡していないがそれ以外は同一のポリマー組成物の23℃でのDMA貯蔵弾性率よりも、少なくとも25パーセント低い23℃でのDMA貯蔵弾性率を有する、態様8~11のいずれか一項に記載の方法。
(態様13)
前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレンホモポリマーであり、前記オレフィン系エラストマーが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、オレフィンブロックコポリマー、オレフィンブロック複合材、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、態様8~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
前記押出発泡ポリマー組成物が、0.7g/cm 未満の密度を有する、態様8~13のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
前記エチレン系ポリマーが、0.1~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I )および0.91~0.93g/cm の範囲の密度を有し、前記オレフィン系エラストマーが、0.5~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I )および0.85~0.88g/cm の範囲の密度を有する、態様8~14のいずれか一項に記載の方法。