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特許7427678ケーブルジャケットのためのポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ケーブルジャケットのためのポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/02 20060101AFI20240129BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20240129BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20240129BHJP
   H01B 11/18 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01B7/02 Z
C08L23/04
C08L53/00
H01B11/18 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021544723
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020013879
(87)【国際公開番号】W WO2020167409
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】62/804,468
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】サンダーズ、マデリーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-513515(JP,A)
【文献】特表2012-504682(JP,A)
【文献】特開2015-000913(JP,A)
【文献】特表2012-504684(JP,A)
【文献】特表2016-511788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0319960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
C08L 23/04
C08L 53/00
H01B 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルであって、
(a)導体と、
(b)外側ジャケットと、を含み、
前記外側ジャケットが、少なくとも部分的にポリマー組成物から形成され、
前記ポリマー組成物が、ポリマー成分および任意選択的に1つ以上の添加剤を含み、
前記ポリマー成分が、
(iii)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、またはそれらの組み合わせから選択されるエチレン系ポリマー、および
(iv)オレフィンブロックコポリマー、からなり、
前記ポリマー成分が、-40℃で測定した場合に1,200MPa未満の引張弾性(G’)を有し、
前記ポリマー成分が、20℃で測定した場合に400MPa未満の引張弾性(G’)を有し、
前記ポリマー成分が、1,000psiを超える引張強度を有し、
前記ポリマー成分が、800%を超える破断点伸びを有する、ケーブル。
【請求項2】
前記オレフィンブロックコポリマーが、0.5~1.5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、370%を超える引張伸び、および600psiを超える引張強度を有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記オレフィンブロックコポリマーが、エチレン/オクテンブロックコポリマーである、請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、熱可塑性である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、酸化防止剤、カーボンブラック、難燃剤、加工助剤、充填剤、顔料または着色剤、カップリング剤、紫外線安定剤、粘着付与剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、酸掃去剤、および金属不活性化剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、請求項1に記載のケーブル。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマーが、前記ポリマー成分の40~80重量パーセントを構成し、前記オレフィンブロックコポリマーが、前記ポリマー成分の20~60重量パーセントを構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記エチレン系ポリマーが、前記ポリマー成分の50~70重量パーセントを構成し、前記オレフィンブロックコポリマーが、前記ポリマー成分の30~50重量パーセントを構成する、請求項6に記載のケーブル。
【請求項8】
前記エチレン系ポリマーが、1g/10分未満のメルトインデックス(I)を有する、請求項7に記載のケーブル。
【請求項9】
前記エチレン系ポリマーが、0.915~0.925g/cmの範囲の密度を有する、請求項8に記載のケーブル。
【請求項10】
前記ケーブルが、同軸ケーブルである、請求項9に記載のケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、エチレン系ポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーを含むポリマー組成物、ならびにそれらの生成のための方法に関する。他の態様は、ケーブルジャケットでの使用に好適なポリマー組成物に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
熱可塑性ポリマー組成物は、ワイヤおよびケーブルジャケット用途での使用で知られている。現在の熱可塑性化合物は、優れた物理的特性を有するが、いくつかの具体的な用途について、必要な可撓性が欠け得る。典型的には、可撓性は、改善され得るが、多くの場合、引張強度および破断点伸びなどの他の物理的特性を犠牲にする。機械的特性を保持しながら、改善された可撓性を有する組成物には、改善が必要とされる。
【0003】
一実施形態は、ケーブルであって、
(a)導体と、
(b)外側ジャケットと、を含み、
外側ジャケットが、少なくとも部分的にポリマー組成物から形成され、
ポリマー組成物が、ポリマー成分および任意選択的に1つ以上の添加剤を含み、
ポリマー成分が、
(i)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、またはそれらの組み合わせから選択されるエチレン系ポリマー、および
(ii)オレフィンブロックコポリマー、からなり、
ポリマー成分が、-40℃で測定した場合に1,200MPa未満の引張弾性(G’)を有し、
ポリマー成分が、20℃で測定した場合に400MPa未満の引張弾性(G’)を有し、
ポリマー成分が、1,000psiを超える引張強度を有し、
ポリマー成分が、800%を超える破断点伸びを有する、ケーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示の様々な実施形態は、ケーブルジャケットとしての使用に好適なポリマー組成物に関する。ポリマー組成物は、ポリマー成分および任意選択的に1つ以上の添加剤を含む。ポリマー成分は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、およびそれらの組み合わせから選択される(a)エチレン系ポリマー、ならびに(b)オレフィンブロックコポリマーからなる。
【0005】
エチレン系ポリマー
上述のように、ポリマー組成物のポリマー成分は、エチレン系ポリマーを含有する。本明細書で使用される場合、「エチレン系」ポリマーは、主な(すなわち、50重量パーセント(「重量%」)を超える)モノマー成分としてエチレンモノマーから調製されるポリマーであるが、他のコモノマーも用いてもよい。「ポリマー」とは、同じ種類または異なる種類のモノマーを反応(すなわち、重合)させることによって調製される巨大分子化合物を意味し、ホモポリマーおよびインターポリマーを含む。「インターポリマー」とは、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。この総称には、コポリマー(通常、2種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3種類以上の異なるモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマー(3種類の異なるモノマー)およびクォーターポリマー(4種類の異なるモノマー))が含まれる。
【0006】
ある実施形態では、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(「LDPE」)であり得る。LDPEは、一般に、高度に分岐状のエチレンホモポリマーであり、高圧プロセスを介して調製され得る(すなわち、HP-LDPE)。本明細書での使用に好適なLDPEは、0.91~0.94g/cmの範囲の密度を有し得る。様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、少なくとも0.91g/cmの密度を有する高圧LDPEであるが、0.94g/cm未満、または0.93g/cm未満の密度を有する高圧LDPEである。ある実施形態では、LDPEは、0.915~0.925g/cmの範囲の密度、または約0.92g/cm密度を有し得る。本明細書で提供するポリマー密度は、ASTM International(「ASTM」)方法D792に従って決定される。本明細書での使用に好適なLDPEは、20g/10分未満、または0.1~10g/10分、0.1~5g/10分、0.1~1g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、または約0.25g/10分のIを有し得る。本明細書に提供されるメルトインデックスは、ASTM方法D1238に従って決定される。別段記述されない限り、メルトインデックスは、190℃および2.16Kgで決定される(すなわち、I)。一般に、LDPEは、広範な分子量分布(「MWD」)を有し、比較的高い多分散性指数(「PDI」、重量平均分子量の数平均分子量に対する比率」)をもたらす。
【0007】
ある実施形態では、エチレン系ポリマーは、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)であり得る。LLDPEは、一般に、不均一な分布のコモノマー(例えば、α-オレフィンモノマー)を有するエチレン系ポリマーであり、短鎖分岐によって特徴付けられる。例えば、LLDPEは、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンなどのα-オレフィンモノマーとのコポリマーであり得る。本明細書での使用に好適なLLDPEは、0.915~0.925g/cmの範囲の密度、または約0.92g/cmの密度を有し得る。本明細書での使用に好適なLLDPEは、0.1~20g/10分、0.1~5g/10分、0.1~1g/10分、もしくは0.5~1g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、または約0.7g/10分のIを有し得る。
【0008】
エチレン系ポリマーを調製するために使用される生成プロセスは、当技術分野において広範囲であり、多様であり、既知である。本明細書に記載のエチレン系ポリマーを調製するために、上述の特性を有するエチレン系ポリマーを生成するための任意の従来のまたは今後発見される生成プロセスを用いてもよい。一般に、重合は、ジーグラー-ナッタまたはカミンスキー-シン型重合反応のための当技術分野で既知の条件、すなわち、0~250℃、または30もしくは200℃の温度、および大気圧~10,000大気圧(1,013メガパスカル(「MPa」))の圧力で達成することができる。ほとんどの重合反応において、触媒の、用いられる重合性化合物に対するモル比は、10~12:1から10~1:1、または10~9:1から10~5:1である。
【0009】
エチレン系ポリマーは、LDPEおよびLLDPEの組み合わせであり得る。
【0010】
好適な市販のエチレン系ポリマーの例としては、The Dow Chemical Companyから市販されているLDPEであるDOW(商標)132I、およびThe Dow Chemical Company,Midland, MI,USAから市販されているLLDPEであるDFDA-7530 NTが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、ポリマー成分の総重量に基づいて、ポリマー成分の40~80重量パーセント(「重量%」)、または50~70重量%を構成する。いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、ポリマー成分の約50重量%を構成する。
【0012】
オレフィンブロックコポリマー
上述のように、ポリマー組成物のポリマー成分は、オレフィンブロックコポリマー含有する。本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー」、「オレフィンブロックコポリマー」、または「OBC」という用語は、交換可能に使用され、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーを意味し、エチレンおよび重合形態の1つ以上の共重合性α-オレフィンコモノマーを含み、化学的または物理的特性が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられる。「インターポリマー」および「コポリマー」という用語は、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーという用語、およびこの段落で論じられる同様の用語について、本明細書において、交換可能に使用される。コポリマー中の「エチレン」または「コモノマー」の量に言及する場合、これが、その重合単位を意味すると理解される。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、以下の式によって表され得、
(AB)
式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは1を超える整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上であり、「A」は、ハードブロックまたはセグメントを表し、「B」は、ソフトブロックまたはセグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐した様式または実質的に星形の様式とは対照的に、実質的に線状の様式で連結される。他の実施形態では、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、ブロックコポリマーは、通常、以下のような構造を有していない。
AAA-AA-BBB-BB
【0013】
さらに他の実施形態では、ブロックコポリマーは、異なるコモノマーを含む第3の種類のブロックを通常有していない。さらに他の実施形態では、ブロックAおよびブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、残りのブロックとは実質的に異なる組成物を有する先端セグメントなどの、別個の組成物の2つ以上の部分セグメント(または部分ブロック)を含まない。
【0014】
好ましくは、エチレンは、ブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を含み、すなわち、エチレンは、ポリマー全体の少なくとも50モルパーセントを含む。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを含み、ポリマー全体の実質的な残部は、好ましくは3個以上の炭素原子を有するα-オレフィンである、少なくとも1つの他のコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、50モル%~90モル%、好ましくは60モル%~85モル%、より好ましくは65モル%~80モル%のエチレンを含み得る。多くのエチレン/オクテンブロックコポリマーについて、好ましい組成物は、ポリマー全体の80モルパーセントを超えるエチレン含有量、およびポリマー全体の10~15、好ましくは15~20モルパーセントのオクテン含有量を含む。
【0015】
オレフィンブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」および「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、95重量パーセント超、または98重量パーセント超、最大100重量パーセントの量で存在する重合単位のブロックである。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、5重量パーセント未満、または2重量パーセント未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンに由来する全ての、または実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量パーセント超、または8重量パーセント超、10重量パーセント超、または15重量パーセント超である重合単位のブロックである。いくつかの実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含有量は、20重量パーセント超、25重量パーセント超、30重量パーセント超、35重量パーセント超、40重量パーセント超、45重量パーセント超、50重量パーセント超、または60重量パーセント超であり得、最大100重量パーセントであり得る。
【0016】
ソフトセグメントは、OBC中に、OBCの総重量の1重量パーセント~99重量パーセント、または5重量パーセント~95重量パーセント、10重量パーセント~90重量パーセント、15重量パーセント~85重量パーセント、20重量パーセント~80重量パーセント、25重量パーセント~75重量パーセント、30重量パーセント~70重量パーセント、35重量パーセント~65重量パーセント、40重量パーセント~60重量パーセント、またはOBCの総重量の45重量パーセント~55重量パーセント存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量百分率およびハードセグメントの重量百分率は、DSCまたはNMRから得られたデータに基づいて計算することができる。そのような方法および計算は、例えば、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名において、2006年3月15日に出願され、かつDow Global Technologies Inc.に譲渡された「Ethylene/α-Olefin Block Interpolymers」と題された米国特許第7,608,668号に開示され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に、ハードセグメントおよびソフトセグメントの重量百分率ならびにコモノマー含有量は、US7,608,668の第57欄~第63欄に記載されるように決定され得る。
【0017】
オレフィンブロックコポリマーは、好ましくは線状方式で接合された、2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダントまたはグラフト様式ではなく、重合エチレン性官能基に関して端部と端部とが接合している化学的に区別された単位を含むポリマーである。ある実施形態では、ブロックは、組み込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶化度の量、そのような組成物のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性の種類または程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、部位規則性もしくは部位不規則性、分岐(長鎖分岐もしくは超分岐を含む)の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性で異なる。逐次モノマー添加、流動性触媒、またはアニオン重合技術によって生成されたインターポリマーを含む先行技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のOBCは、ある実施形態では、それらの調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトル剤の効果のために、両ポリマー多分散性(PDIまたはMw/MnまたはMWD)の唯一の分布、ブロック長分布、および/またはブロック数分布によって特徴付けられる。
【0018】
ある実施形態では、OBCは、連続プロセスで生成され、1.7~3.5、または1.8~3、または1.8~2.5、または1.8~2.2の多分散指数、PDI(またはMWD)を有する。バッチまたは半バッチプロセスで生成される場合、OBCは、1.0~3.5、または1.3~3、または1.4~2.5、または1.4~2のPDIを有する。
【0019】
加えて、オレフィンブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなくシュルツ-フローリー分布に適合するPDIを有する。本発明のOBCは、多分散ブロック分布ならびにブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改善された区別可能な物理的特性を有するポリマー生成物が形成される。
【0020】
ある実施形態では、本発明のオレフィンブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を有する。ある実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、以下のものを有すると定義される。
(A)1.7~3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏)、および密度d(グラム/立方センチメートル)、式中、Tmおよびdの数値は、以下の関係に対応し、
Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)、ならびに/または
(B)1.7~3.5のMw/Mn、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高結晶化温度分析分別(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義される、デルタ量ΔT(摂氏)によって特徴付けられ、式中、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係を有し、
ΔHがゼロ超かつ最大130J/gの場合、ΔT>-0.1299ΔH+62.81
130J/g超のΔHの場合、ΔT≧48℃
式中、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのとき、CRYSTAF温度は、30℃であり、ならびに/または
(C)エチレン/α-オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセントのひずみおよび1サイクルにおける、弾性回復Re(パーセント)、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合、Reおよびdの数値は、以下の関係を満たし、
Re>1481-1629(d)、ならびに/または
(D)TREFを使用して分画した場合に40℃~130℃で溶出する分子画分を有し、その画分が、量(-0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(-0.2013)T+21.07以上のコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、式中、Tは、℃で測定されたTREF画分のピーク溶出温度の数値であり、ならびに/または、
(E)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比率は、1:1~9:1の範囲にある。
【0021】
オレフィンブロックコポリマーはまた、以下を有してもよい。
(F)TREFを使用して分画した場合に40℃~130℃で溶出する分子画分、その画分が、少なくとも0.5~最大1のブロック指数および約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とし、ならびに/または
(G)ゼロ超かつ最大1.0の平均ブロック指数および1.3を超える分子量分布Mw/Mn。
【0022】
オレフィンブロックコポリマーが、特性(A)~(G)のうちの1つ、いくつか、全て、または任意の組み合わせを有してもよいことが理解される。ブロック指数は、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,608,668号に詳述されるように決定され得る。特性(A)~(G)を決定するための分析方法は、例えば、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,608,668号、第31欄26行目~第35欄44行目に開示されている。
【0023】
本発明のOBCの調製においての使用に好適なモノマーには、エチレンと、エチレン以外の1つ以上の添加重合性モノマーとが含まれる。好適なコモノマーの例としては、3~30個、好ましくは3~20個の炭素原子の直鎖または分岐α-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセン、3~30個、好ましくは3~20個の炭素原子のシクロオレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、および2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、ジ-オレフィンおよびポリオレフィン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、および5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、ならびに3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、および3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが挙げられる。
【0024】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、0.850g/cc~0.900g/cc、または0.855g/cc~0.890g/cc、または0.860g/cc~0.880g/ccの密度を有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、40~70、好ましくは45~65、より好ましくは50~65のショアA値を有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、0.1g/10分~50g/10分、または0.3g/10分~30g/10分、0.5g/10分~20g/10分、0.5~10g/10分、0.5~1.5g/10分、または0.75~1.25g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、唯一のモノマーの種類として、重合エチレンおよび1つのα-オレフィンを含む。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンから選択される。
【0025】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、スチレンを除外する。
【0026】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/オクテンコポリマーである。
【0027】
エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,858,706号に記載されるものなどの、鎖シャトリングプロセスを介して生成され得る。特に、好適な鎖シャトリング剤および関連情報は、第16欄39行目~第19欄44行目に列挙される。好適な触媒は、第19欄45行目~第46欄19行目に記載され、好適な共触媒は、第46欄20行目~第51欄28行目に記載されている。このプロセスは、本明細書を通して記載されているが、特に第51欄29行目~第54欄56行目に記載されている。このプロセスはまた、例えば、以下の、米国特許第7,608,668号、
米国特許第7,893,166号、および米国特許第7,947,793号にも記載されている。
【0028】
エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、本明細書に記載の組み合わせまたは2つ以上の実施形態を含み得る。
【0029】
様々な実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、0.5~1.5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、370%を超える引張伸び、および600psiを超える引張強度を有し得る。
【0030】
好適なオレフィンブロックコポリマーの例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから商品名INFUSE(商標)で市販されているものが挙げられる。本明細書での使用に好適な具体的な市販のオレフィンブロックコポリマーの例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAより入手可能なINFUSE(商標)9107が挙げられるが、それに限定されない。
【0031】
様々な実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、ポリマー成分の総重量に基づいて、ポリマー成分の20~60重量%、または30~50重量%を構成する。いくつかの実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、ポリマー成分の約50重量%を構成する。
【0032】
ポリマー成分
エチレン系ポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーからなるポリマー成分は、ある特定のバランスの特性を有し得る。
【0033】
1つ以上の実施形態では、ポリマー成分は、-40℃で測定した場合に1,200MPa未満の引張弾性(G’)、20℃で測定した場合に400MPa未満の引張弾性(G’)、1,000psiを超える引張強度、および800%を超える破断点伸びを有し得る。ポリマー成分のすべての機械的特性は、以下の試験方法セクションに提供される方法に従って測定される。
【0034】
1つ以上の実施形態では、ポリマー成分は、-40℃で測定した場合に1,100MPa未満の引張弾性(G’)、20℃で測定した場合に300MPa未満の引張弾性(G’)、1,200psiを超える引張強度、および820%を超える破断点伸びを有し得る。
【0035】
1つ以上の実施形態では、ポリマー成分は、-40℃で測定した場合に1,000MPa未満の引張弾性(G’)、20℃で測定した場合に200MPa未満の引張弾性(G’)、1,400psiを超える引張強度、および850%を超える破断点伸びを有し得る。
【0036】
1つ以上の実施形態では、ポリマー成分は、-40℃で測定した場合に900MPa未満の引張弾性(G’)、20℃で測定した場合に150MPa未満の引張弾性(G’)、1,500psiを超える引張強度、および900%を超える破断点伸びを有し得る。
【0037】
添加剤
ポリマー組成物は、任意選択的に、ケーブルジャケットで通常使用されるものなどの非導電性カーボンブラックを含有し得る。カーボンブラック成分は、ニートで、または事前に混合されたマスターバッチの一部としてのいずれかで、上述のようなポリマー成分と調合され得る。様々な実施形態では、ポリマー組成物中のカーボンブラックの量は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、ゼロ超(>0)、典型的には1~、より典型的には2~3重量%であり得る。>0~3重量%のすべての個々の値および部分範囲、例えば2~3重量%が本明細書に含まれ、開示される。
【0038】
従来のカーボンブラックの非限定的な例として、ASTM N550、N472、N351、N110、およびN660により記載されたグレード、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ならびにアセチレンブラックが挙げられる。好適なカーボンブラックの他の非限定的な例として、Cabotより入手可能なBLACK PEARLS(登録商標)、CSX(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、MONARCH(登録商標)、REGAL(登録商標)およびVULCAN(登録商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0039】
ポリマー組成物は、任意選択的に、1つ以上の酸化防止剤を含有し得る。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、およびヒドラジン系金属不活性化剤が挙げられる。酸化防止剤は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、ゼロ超~5重量%、0.1~3重量%、または0.1~1重量%の範囲の量でポリマー組成物中に存在し得る。
【0040】
ポリマー組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加の添加剤を含有し得、これらは、一般に、ニートで、またはマスターバッチの一部としてのいずれかで、従来の量で添加される。そのような添加剤には、難燃剤、加工助剤、充填剤、顔料または着色剤、カップリング剤、紫外線安定剤(UV吸収剤を含む)、粘着付与剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、酸掃去剤、金属不活性化剤などが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
難燃剤の非限定的な例としては、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
加工助剤の非限定的な例としては、脂肪アミド、例えば、ステアルアミド、オレアミド、エルカミド、またはN,N’エチレンビス-ステアルアミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンオキシドのポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、植物性ワックス、石油ワックス、非イオン性界面活性剤、シリコーン液、ポリシロキサン、およびフルオロエラストマー、例えば、DuPont Performance Elastomers LLCより入手可能なViton(登録商標)またはDyneon LLCより入手可能なDynamar(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
充填剤の非限定的な例としては、様々な難燃剤、粘土、沈降シリカおよびケイ酸塩、ヒュームドシリカ、金属硫化物および硫酸塩(例えば、二硫化モリブデンおよび硫酸バリウム)、金属ホウ酸塩(例えば、ホウ酸バリウムおよびホウ酸亜鉛)、金属無水物(例えば、アルミニウム無水物)、および粉砕鉱物が挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、充填剤は、一般に、従来の量で、例えば、組成物の重量に基づいて、5重量%以下~50重量%以上で添加される。
【0044】
調合
ポリマー成分および任意選択の添加剤を含むポリマー組成物は、任意の好適な方法によって調製され得る。例えば、添加剤(例えば、カーボンブラック、充填剤など)は、エチレン系ポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーを含有する溶融物に添加され得る。成分の調合は、例えば、BanburyまたはBolling内部ミキサーなどの内部バッチミキサーを使用してブレンドすることによって実行され得る。代替的に、Farrel連続ミキサー、Werner and Pfleiderer二軸スクリューミキサー、またはBuss混練連続押出機などの、連続一軸または二軸スクリューミキサーを使用することができる。
【0045】
添加剤は、ポリマー成分のみ(ニート)または事前に混合されたマスターバッチとして導入され得る。そのようなマスターバッチは、通常、添加剤をLDPEまたはLLDPEなどの不活性プラスチック樹脂に分散させることによって形成される。マスターバッチは、溶融化合法により便宜的に形成される。
【0046】
ポリマー組成物
得られるポリマー組成物は、ある特定の特性除外を有することができる。
【0047】
様々な実施形態では、ポリマー組成物、および具体的にはポリマー成分は、プロピレン系ポリマーを含まない。本明細書で使用される場合、プロピレン系ポリマーは、重量で、大部分のプロピレンモノマーから調製される任意のポリマーである。
【0048】
様々な実施形態では、ポリマー組成物は、熱可塑性である。したがって、ポリマー組成物は、実質的に架橋を含み得ない
【0049】
様々な実施形態では、ポリマー組成物は、発泡されていない。
【0050】
様々な実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー成分以外のいかなるポリマーも実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、約10重量百万分率未満の含有量を有することを意味する。
【0051】
製造物品
ある実施形態では、本発明のポリマー組成物は、既知の量で、かつ既知の方法によって、例えば、USP5,246,783、USP6,714,707、USP6,496,629、およびUSPA2006/0045439に記載の設備および方法で、シースまたは絶縁層としてケーブル、ワイヤ、または導体に適用され得る。ある実施形態では、ポリマー組成物は、ジャケットとしてケーブル、ワイヤ、または導体に適用され得る。「ジャケット」は、ケーブルまたは他の種類のコーティングされた導体の最も外側のコーティングまたは層を示す。典型的には、ポリマー組成物は、ケーブルコーティングダイを装備する反応器-押出機内で調製され、組成物の成分が配合された後、組成物は、ケーブルまたは導体がダイを通して引き出されるにつれて、ケーブルまたは導体にわたって押し出される。
【0052】
ある実施形態では、ポリマー組成物は、同軸ケーブル上にジャケットの少なくとも一部分を形成する。
【0053】
様々な実施形態では、ポリマー組成物は、同軸ケーブルのジャケットを形成する。
【0054】
定義
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いるか、または列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを用いることができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、および/またはCを含有すると記載されている場合、組成物は、A単独、B単独、C単独、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含有し得る。
【0055】
「ワイヤ」とは、導電性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムの単一の撚り線、または光ファイバーの単一の撚り線を意味する。
【0056】
「ケーブル」とは、シース内の少なくとも1つのワイヤまたは光ファイバー、例えば、絶縁被覆または保護外側ジャケットを意味する。典型的には、ケーブルは、典型的には共通の絶縁被覆および/または保護ジャケット内で、一緒に結合された2つ以上のワイヤまたは光ファイバーである。シース内の個々のワイヤまたはファイバーは、露出しても、被覆されても、または絶縁されてもよい。組み合わせケーブルは、電気ワイヤおよび光ファイバーの両方を含有し得る。ケーブルは、低、中、および/または高電圧用途のために設計され得る。典型的なケーブル設計は、USP5,246,783、6,496,629、および6,714,707に例示されている。
【0057】
「導体」は、熱、光、および/または電気を伝導するための1つ以上のワイヤまたはファイバーを示す。導体は、単一ワイヤ/ファイバーまたは複数ワイヤ/ファイバーであってもよく、撚り線形態または管状形態であってもよい。好適な導体の非限定的な例として、銀、金、銅、炭素、およびアルミニウムなどの金属が挙げられる。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光学ファイバーであり得る。
【0058】
試験方法
密度
密度は、ASTM D792に従って決定される。
【0059】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、Iは、ASTM D1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定され、10分あたりに溶出されたグラム数で報告される。
【0060】
DMA(動的機械分析)による引張弾性
Q800マシン、-80~120℃の温度掃引、単一のカンチレバークランプ、1℃/分の温度ランプ、20~30マイクロメートルの振幅、周波数1Hzを使用して、50ミルのプラーク試料に対して動的機械分析を実行する。液体窒素を使用して、温度を-80℃にする。
【0061】
曲げ弾性率
ASTM D790を使用して、曲げ弾性率についてサンプルを分析する。
【0062】
引張強度および伸び
ASTM D638およびIV型ドッグボーン形状のサンプルを使用して、引張強度および破断点伸びについてサンプルを分析する。
【0063】
材料
以下の材料を以下の実施例で用いる。
【0064】
DFDA-7530 NTは、0.7g/10分のメルトインデックス(I)、0.921g/cmの密度を有する線状低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0065】
DOW(商標)LDPE 132Iは、0.921g/cmの密度および0.25g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0066】
ENGAGE(商標)7447は、0.865g/cmの密度および5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0067】
ENGAGE(商標)8842は、0.857g/cmの密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0068】
INFUSE(商標)9107は、0.866g/cmの密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有するオレフィンブロックコポリマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【実施例
【0069】
以下の表1に提供される配合に従って、6つの比較サンプル(CS1~CS6)および3つの本発明のサンプル(IS1~IS3)を調製する。サンプルを、Brabender混合機で原材料を計量して組み合わせることによって調製する。サンプルを、材料がフラックスされた後、150℃および30rpmでローラーブレードを使用して混合する。最小混合時間は、材料がフラックスされた後5分である。材料が完全に混合された後、材料をペレット化し、所望の厚さのプラークテンプレートに移す。ペレット化した材料をプレス機でプラーク形成し、次に冷却した。プラークは、各試験に必要な厚さで作製される。
【0070】
上記に提供された試験方法に従って、すべてのサンプルを分析する。結果を以下の表1に提供する。
【表1】
【0071】
十分に低い引張弾性を有さないCS1およびCS2、および十分に高い引張強度を示さないCS3およびCS4とは対照的に、IS1~IS3は、許容可能な引張強度および伸びを有しながら、引張弾性の増加を示す。CS5およびCS6は、ENGAGE(商標)ブレンドが、典型的なワイヤおよびケーブル製品よりも低い弾性を有し得るが、必要な引張強度および伸びを満たしていないことを示す。