(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】フレキシブル表示装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240129BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240129BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240129BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240129BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240129BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G09F9/00 302
B32B7/023
C09J7/38
G02B5/30
G06F3/041 495
G06F3/041 640
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
G09F9/30 308Z
(21)【出願番号】P 2021568079
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2020081758
(87)【国際公開番号】W WO2021189440
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】史 世明
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ジャオ▼
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/153035(WO,A1)
【文献】特開2018-027995(JP,A)
【文献】特開2019-045767(JP,A)
【文献】特開2018-200355(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110675755(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153668(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0088396(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0234616(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0007236(KR,A)
【文献】特表2020-515503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C09J7/00-7/50
G02B5/30
G09F9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル表示パネルと、
順に前記フレキシブル表示パネルに積層された第一機能部材、第二機能部材及び第三機能部材を含み、かつ前記第三機能部材は前記第一機能部材よりも前記フレキシブル表示パネルに近接する、前記フレキシブル表示パネルの一側に設置された複数の機能部材と、
前記フレキシブル表示パネルの他側に設置されたバックフィルムと、
前記バックフィルムの前記フレキシブル表示パネルから離れた一側に設置された支持部材と、
複数の粘着層と
を備え、
前記複数の粘着層は、
前記第一機能部材と前記第二機能部材との間に設置された第一粘着層と、
前記第二機能部材と前記第三機能部材との間に設置された第二粘着層と、
前記第三機能部材と前記フレキシブル表示パネルとの間に設置された第三粘着層と、
前記フレキシブル表示パネルと前記バックフィルムとの間に設置された第四粘着層と、
前記バックフィルムと前記支持部材との間に設置された第五粘着層と、
を備え、
ここで、前記第三機能部材はタッチモジュールを含み、前記タッチモジュールはタッチ基板、前記タッチ基板に設置されたセンサ層及び前記センサ層と前記タッチ基板との間に設置された接着材層を含み、前記接着材層の弾性率は前記第一粘着層、前記第二粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率以上である
ことを特徴とするフレキシブル表示装置。
【請求項2】
前記接着材層の弾性率は前記第一粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率の8倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項3】
前記接着材層の弾性率は前記第二粘着層の弾性率に等しい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項4】
前記接着材層の20℃における弾性率は500KPaより大きい
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項5】
前記接着材層の20℃における弾性率
は830~930KPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項6】
前記第一機能部材は第一保護膜、第二保護膜及び第一保護膜と前記第二保護膜との間に設置された中間粘着層を含み、前記中間粘着層の弾性率は前記接着材層の弾性率よりも小さい
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項7】
前記第三粘着層の弾性率は前記第二粘着層の弾性率よりも小さい
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項8】
前記第一粘着層の弾性率は前記中間粘着層の弾性率より大きい
ことを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項9】
前記第三粘着層の弾性率は前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率より大きい
ことを特徴とする請求項6又は8に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項10】
前記中間粘着層の弾性率、前記第四粘着層の弾性率及び前記第五粘着層の弾性率は互いに等しい
ことを特徴とする請求項6、8又は9に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項11】
前記第四粘着層の20℃での弾性率及び前記第五粘着層の20℃での弾性率はいずれも30KPaより小さい
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項12】
前記第三粘着層の20℃での弾性率
は100~120KPaの範囲内にあること、前記第一粘着層の20℃での弾性率
は40~60KPaの範囲内にあること、及び、前記中間粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの20℃での弾性率
は20~40KPaの範囲内にあることの中の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項10に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項13】
前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記接着材層、前記第三粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれは透明光学接着剤を含み、及び/又は、前記第二粘着層及び前記第四粘着層のそれぞれは感圧接着剤を含む
ことを特徴とする請求項6、8又は9に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項14】
前記接着材層の厚さは前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第二粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さ以下である
ことを特徴とする請求項6、8又は9に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項15】
前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さは前記接着材層の厚さの2倍以上である
ことを特徴とする請求項14に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項16】
前記接着材層の厚さは前記第二粘着層の厚さに等しい
ことを特徴とする請求項14又は15に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項17】
前記接着材層及び前記第二粘着層のそれぞれの厚さ
は10~20
μmの範囲内にあること、前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第三粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さ
は40~60
μmの範囲内にあること、及び、前記第四粘着層の厚さ
は20~30
μmの範囲内にあることの中の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項14~16のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項18】
前記タッチ基板の構成材料はシクロオレフィンポリマー又はトリアセチルセルロースを含み、前記タッチ基板の厚さ
は20~30
μmの範囲内にあり、前記タッチ基板の20℃での弾性率
は2~4GPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項19】
前記第一保護膜及び前記第二保護膜はポリイミド材料又はポリエチレンテレフタレート材料を含み、前記第一保護膜の厚さ
は75~85
μmの範囲内にあり、前記第一保護膜の20℃での弾性率
は6~7GPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項20】
前記第二機能部材は偏光板を含み、前記偏光板の厚さ
は60~90
μmの範囲内にあり、前記偏光板の20℃での弾性率
は2~4GPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項21】
前記バックフィルムはポリイミド材料又はポリエチレンテレフタレート材料を含み、前記バックフィルムの厚さ
は40~60
μmの範囲内にあり、前記バックフィルムの20℃での弾性率
は2~4GPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項22】
前記支持部材は金属材料を含み、前記支持部材の厚さ
は25~35
μmの範囲内にあり、前記支持部材の20℃での弾性率
は100~200GPaの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置を含む
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示技術分野に関し、かつ具体的にはフレキシブル表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、表示スクリーンにより各種の画像を表示して、ユーザーに情報を提供することができる。一般的に、表示装置はそれに割り当てられた表示スクリーンによって情報を表示する。近年、フレキシブル表示パネルを採用したフレキシブル表示装置が開発されている。剛性表示装置と異なり、フレキシブル表示装置は紙のように折り畳まれるか、巻き取りされるか又は屈曲されるように設計される。従来のスクリーンのサイズに関わらず、その形状が様々な方式で変更されたフレキシブル表示装置は携帯式であり、従って、ユーザーの利便性を改善している。フレキシブル表示装置に対して、その折り畳み信頼性をどのように向上させるかは、当業者が持続的に注目する課題の一つである。
【0003】
本部分に開示された以上の情報は本開示の発明構想の背景に対する理解のみに用いられ、従って、以上の情報は従来の技術を構成しない情報を含むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、フレキシブル表示装置を提供し、フレキシブル表示パネルと、順に前記フレキシブル表示パネルに積層された第一機能部材、第二機能部材及び第三機能部材を含み、かつ前記第三機能部材は前記第一機能部材よりも前記フレキシブル表示パネルに近接する、前記フレキシブル表示パネルの一側に設置された複数の機能部材と、前記フレキシブル表示パネルの他側に設置されたバックフィルムと、前記バックフィルムの前記フレキシブル表示パネルから離れた一側に設置された支持部材と、複数の粘着層とを備え、前記複数の粘着層は、前記第一機能部材と前記第二機能部材との間に設置された第一粘着層と、前記第二機能部材と前記第三機能部材との間に設置された第二粘着層と、前記第三機能部材と前記フレキシブル表示パネルとの間に設置された第三粘着層と、前記フレキシブル表示パネルと前記バックフィルムとの間に設置された第四粘着層と、前記バックフィルムと前記支持部材との間に設置された第五粘着層と、を含み、ここで、前記第三機能部材はタッチモジュールを含み、前記タッチモジュールはタッチ基板、前記タッチ基板に設置されたセンサ層及び前記センサ層と前記タッチ基板との間に設置された接着材層を含み、前記接着材層の弾性率は前記第一粘着層、前記第二粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率以上である。
【0005】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の弾性率は前記第一粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率の8倍以上である。
【0006】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の弾性率は前記第二粘着層の弾性率に等しい。
【0007】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の20℃での弾性率は500KPaより大きい。
【0008】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の20℃での弾性率は約830~930KPaの範囲内にある。
【0009】
例示的な実施例によれば、前記第一機能部材は第一保護膜、第二保護膜及び前記第一保護膜と前記第二保護膜との間に設置された中間粘着層を含み、前記中間粘着層の弾性率は前記接着材層の弾性率よりも小さい。
【0010】
例示的な実施例によれば、前記第三粘着層の弾性率は前記第二粘着層の弾性率よりも小さい。
【0011】
例示的な実施例によれば、前記第一粘着層の弾性率は前記中間粘着層の弾性率より大きい。
【0012】
例示的な実施例によれば、前記第三粘着層の弾性率は前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率より大きい。
【0013】
例示的な実施例によれば、前記中間粘着層の弾性率、前記第四粘着層の弾性率及び前記第五粘着層の弾性率は互いに等しい。
【0014】
例示的な実施例によれば、前記第四粘着層の20℃での弾性率及び前記第五粘着層の20℃での弾性率はいずれも30KPaより小さい。
【0015】
例示的な実施例によれば、前記第三粘着層の20℃での弾性率は約100~120KPaの範囲内にあり、及び/又は、前記第一粘着層の20℃での弾性率は約40~60KPaの範囲内にあり、及び/又は、前記中間粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの20℃での弾性率は約20~40KPaの範囲内にある。
【0016】
例示的な実施例によれば、前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記接着材層、前記第三粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれは透明光学接着剤を含み、及び/又は、前記第二粘着層及び前記第四粘着層のそれぞれは感圧接着剤を含む。
【0017】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の厚さは前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第二粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さ以下である。
【0018】
例示的な実施例によれば、前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さは前記接着材層の厚さの2倍以上である。
【0019】
例示的な実施例によれば、前記接着材層の厚さは前記第二粘着層の厚さに等しい。
【0020】
例示的な実施例によれば、前記接着材層及び前記第二粘着層のそれぞれの厚さは約10~20ミクロンの範囲内にあり、及び/又は、前記中間粘着層、前記第一粘着層、前記第三粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの厚さは約40~60ミクロンの範囲内にあり、及び/又は、前記第四粘着層の厚さは約20~30ミクロンの範囲内にある。
【0021】
例示的な実施例によれば、前記タッチ基板の構成材料はシクロオレフィンポリマー又はトリアセチルセルロースを含み、前記タッチ基板の厚さは約20~30ミクロンの範囲内にあり、前記タッチ基板の20℃での弾性率は約2~4GPaの範囲内にある。
【0022】
例示的な実施例によれば、前記第一保護膜及び前記第二保護膜はポリイミド材料又はポリエチレンテレフタレート材料を含み、前記第一保護膜の厚さは約75~85ミクロンの範囲内にあり、前記第一保護膜の20℃での弾性率は約6~7GPaの範囲内にある。
【0023】
例示的な実施例によれば、前記第二機能部材は偏光板を含み、前記偏光板の厚さは約60~90ミクロンの範囲内にあり、前記偏光板の20℃での弾性率は約2~4GPaの範囲内にある。
【0024】
例示的な実施例によれば、前記バックフィルムはポリイミド材料又はポリエチレンテレフタレート材料を含み、前記バックフィルムの厚さは約40~60ミクロンの範囲内にあり、前記バックフィルムの20℃での弾性率は約2~4GPaの範囲内にある。
【0025】
例示的な実施例によれば、前記支持部材は金属材料を含み、前記支持部材の厚さは約25~35ミクロンの範囲内にあり、前記支持部材の20℃での弾性率は約100~200GPaの範囲内にある。
【0026】
別の態様では、上記表示装置を含む電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面を参照しながら本開示の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本開示の特徴及び利点はより明らかになる。
【0028】
【
図1】
図1は本開示の例示的な実施例に係る表示装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2及び
図3はそれぞれ
図1の表示装置の折り畳み状態を示す側面図であり、そのうち
図2は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が曲げ軸線に対して内向きに折り畳まれるか又は屈曲されることができることを示し、
図3は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が曲げ軸線に対して外向きに折り畳まれるか又は屈曲されることができることを示す。
【
図3】
図2及び
図3はそれぞれ
図1の表示装置の折り畳み状態を示す側面図であり、そのうち
図2は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が曲げ軸線に対して内向きに折り畳まれるか又は屈曲されることができることを示し、
図3は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が曲げ軸線に対して外向きに折り畳まれるか又は屈曲されることができることを示す。
【
図4】
図4は本開示の例示的な実施例に係る表示装置の断面図である。
【
図5】
図5は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が含む第一機能部材の断面図である。
【
図6】
図6は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が含む第三機能部材の断面図である。
【
図7】
図7は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が含むタッチパネルの、異なる弾性率マッチングの場合の歪みを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に図面を参照して、本開示の実施例の技術的解決手段を明確で、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本開示の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。説明された本開示の実施例に基づいて、当業者は創造的な労力が必要なく取得された全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0030】
なお、図面において、明らかさ及び/又は説明の目的のために、素子のサイズ及び相対的なサイズを拡大することができる。このように、各素子の寸法及び相対的な寸法は図面に示された寸法及び相対的な寸法に限定されない。明細書及び図面において、同一又は類似の図面符号は同一又は類似の部品を示す。
【0031】
素子が他の素子の「上」に「ある」とか、他の素子に「接続される」又は「結合される」と説明されている場合、前記素子は直接的に前記他の素子の上にあってもよいし、前記他の素子に直接的に接続されるか又は前記他の素子に直接的に結合されてもよく、又は中間素子が存在してもよい。しかしながら、素子が「直接的」に他の素子の「上にある」と、他の素子に「直接的に」「接続される」又は「直接的に結合される」と説明される場合、中間素子が存在しない。素子の間の関係を説明するための他の用語及び/又は表記は類似する方式で解釈されるべきであり、例えば、「……の間」と「直接に……の間」、「隣接」と「直接的に隣接」又は「……上」と「直接的に……上」等である。また、用語「接続」は物理的接続、電気的接続、通信接続及び/又は流体接続を指すことができる。また、X軸、Y軸及びZ軸は直交座標系の三つの軸に限定されず、かつより広い意味で解釈することができる。例えば、X軸、Y軸及びZ軸は互いに垂直であってもよく、又は互いに直交しない異なる方向を表すことができる。本開示の目的のために、「X、Y及びZのうちの少なくとも一つ」及び「X、Y及びZからなる群から選択される少なくとも一つ」はXのみ、Yのみ、Zのみ、又はXYZ、XYY、YZ及びZZのX、Y及びZのうちの二つ又は二つ以上の任意の組み合わせとして解釈されてもよい。本明細書に使用されるように、用語「及び/又は」は列挙された関連項目のうちの一つ又は複数の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0032】
なお、用語「第一」、「第二」等はここで様々な部品、部材、素子、領域、層及び/又は部分を説明するために用いられてもよいが、これらの部品、部材、素子、領域、層及び/又は部分はこれらの用語に限定されるべきではない。しかし、これらの用語は一つの部品、部材、素子、領域、層及び/又は部分を他の一つと区別するために用いられる。従って、例えば、以下に検討された第一部品、第一部材、第一素子、第一領域、第一層及び/又は第一部分は、本開示の教示に反することなく、第二部品、第二部材、第二素子、第二領域、第二層及び/又は第二部分と呼ばれてもよい。
【0033】
説明しやすくするために、空間関係用語、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」等はここで使用されて、一つの素子又は特徴と他の素子又は特徴が図に示すような関係であることを説明してもよい。理解すべきことは、空間関係の用語は図に記載された配向以外、装置の使用又は操作における他の異なる配向をカバーすることを意図する。例えば、図中の装置が逆様にされば、他の要素又は特徴の「下にある」、又は「下」の要素は他の要素又は特徴の「上にある」又は「上」に配向されると説明される。
【0034】
当業者であれば理解すべきことは、本明細書において、特に説明しない限り、表現「高さ」又は「厚さ」は表示パネルに垂直に設置された各膜層の表面に沿う寸法であり、すなわち表示パネルの光出射方向に沿う寸法であり、又は表示装置の法線方向に沿う寸法と呼ばれ、又は図面におけるZ方向に沿う寸法と呼ばれる。
【0035】
本明細書において、用語「弾性率」は材料の応力を受けている状態での応力と歪みの比を指し、すなわちそれは変形係数又はヤング率を指す。弾性率は材料の弾性変形の難易度を判断する指標と見なすことができ、その値が大きいほど、材料に一定の弾性変形を発生させる応力も大きくなり、すなわち材料の剛性が大きくなり、また、一定の応力の作用下で、弾性変形が小さくなることを指す。理解すべきことは、弾性率は温度に関連し、異なる材料の弾性率の、温度に伴って変化する関係は異なる。
【0036】
本明細書において、OCA接着剤(英語でOptically Clear Adhesiveと表現する)は透明光学接着剤であり、それは、無色透明で、光透過率が90%以上であり、接着強度が良好であり、室温又は中温で硬化することができるなどの特徴を有する。PSA接着剤(英語でPressure Sensitive Adhesiveと表現する)は感圧接着剤であり、それは圧力に対して感受性を有する接着剤であり、例えば、感圧接着テープの製造に用いることができる。
【0037】
本明細書において、特に規定がない限り、表現「常温」は20℃程度の温度を表す。
【0038】
本明細書において、特に説明しない限り、略語「COP」はシクロオレフィンコポリマー(Cyclo Olefin Polymers、COPと略称する)を指し、略語「TAC」はトリアセチルセルロース(Tri Acetic acid Celluose、TACと略称)を指し、略語「PET」はポリエチレンテレフタレートを指す。
【0039】
本開示の例示的な実施例はフレキシブル表示装置を提供し、フレキシブル表示パネルと、順に前記フレキシブル表示パネルに積層された第一機能部材、第二機能部材及び第三機能部材を含み、かつ前記第三機能部材は前記第一機能部材よりも前記フレキシブル表示パネルに近接する、前記フレキシブル表示パネルの一側に設置された複数の機能部材と、前記フレキシブル表示パネルの他側に設置されたバックフィルムと、前記バックフィルムの前記フレキシブル表示パネルから離れた一側に設置された支持部材と、複数の粘着層とを備え、前記複数の粘着層は、前記第一機能部材と前記第二機能部材との間に設置された第一粘着層と、前記第二機能部材と前記第三機能部材との間に設置された第二粘着層と、前記第三機能部材と前記フレキシブル表示パネルとの間に設置された第三粘着層と、前記フレキシブル表示パネルと前記バックフィルムとの間に設置された第四粘着層と、前記バックフィルムと前記支持部材との間に設置された第五粘着層と、を備え、ここで、前記第三機能部材はタッチモジュールを含み、前記タッチモジュールはタッチ基板、前記タッチ基板に設置されたセンサ層及び前記センサ層と前記タッチ基板との間に設置された接着材層を含み、前記接着材層の弾性率は前記第一粘着層、前記第二粘着層、前記第三粘着層、前記第四粘着層及び前記第五粘着層のそれぞれの弾性率以上である。このような構造設計及び弾性率設計により、前記表示装置はR3の内折り及びR5の外折りを実現することができ、かつ高い折り曲げ信頼性を有する。
【0040】
図1は、本開示の例示的な実施例に係る表示装置100を示す斜視図である。
図1を参照すれば、当該表示装置100は表示面101を含み、例えば文字、画像などの情報を表示面101に表示することができる。表示面101は、第1方向X及び第2方向Yによって規定される面と略平行である。第三方向Zは表示面101の法線方向、すなわち、表示装置100の厚さ方向を示す。
【0041】
本開示の例示的な実施例に係る表示装置100は折り畳み可能な表示装置又は巻き取り可能な表示装置であってもよく、すなわち、表示装置100はフレキシブル表示装置であってもよい。表示装置100は外力により様々な変形を行うことができ、例えば、展開、巻き取り又は折り畳みである。
【0042】
例えば、
図1に示すように、表示装置100は第一モードで展開された形状を有してもよい。第一モードは実行されてもよく又は使用されてもよく(例えば、特定の時間又は特定の目的で)、かつ表示装置100の展開状態であってもよい。すなわち、
図1は発明の実施例に係る表示装置の展開状態を示す透視図である。第一モードでは、表示装置100は矩形形状を有し、矩形形状は六面体構造を有してもよい。しかしながら、本開示の実施例はこれに限定されない。他の実施例において、第一モードでは、表示装置100は例えば円形又は三角形の様々な形状を有してもよい。
【0043】
表示装置100は、曲げ軸線BXに沿って屈曲したり折り畳んだりすることができる。なお、曲げ軸線BXは、仮想線であってもよく、表示装置100の表示面と平行であってもよい。
図2及び
図3は、
図1の表示装置の折り畳み状態を示す側面図である。
図2を参照すれば、本開示の例示的な実施例に係る表示装置100は曲げ軸線BXに対して内向きに折り畳むか又は屈曲して(即ち内折りして)、
図1に示す表示面101の一部と他の一部が互いに対向して設置されるようにすることができる。
図3を参照すれば、本開示の例示的な実施例に係る表示装置100は曲げ軸線BXに対して外向きに折り畳むか又は屈曲して(即ち外折りして)、
図1に示される表示面101の一部と他の部分が互いに背向して設置されるようにすることができる。
【0044】
例えば、表示装置100は、所定の曲率半径を有するように屈曲されるか又は折り畳まれることができる。当該曲率半径は、曲率中心FXと表示装置100との最短距離として定義されることができる。曲率中心FXは、曲げ軸線BXが通る点であってもよい。例えば、曲率半径は曲率中心FXから表示装置100の内面までの最短距離であってもよい。
【0045】
本開示の実施例において、表示装置100はR3の内折り及びR5の外折りを実現することができ、即ち、表示装置100が
図2に示す内折り状態にある時、その曲率半径が最小で約3mmに達することができ、表示装置100が
図3に示す外折り状態にある時、その曲率半径が最小で約5mmに達することができる。
【0046】
図4は本開示の例示的な実施例に係る表示装置100の断面図である。
図4は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定される断面を示している。
【0047】
図4を参照すれば、表示装置100は表示素子4、複数の機能部材、バックフィルム5、支持部材6及び複数の粘着層を含むことができる。
【0048】
図4に示すように、前記複数の機能部材は表示素子4の一側に位置し、例えば表示素子4の表示面101に近い側に位置する。前記複数の機能部材は、Z方向において表示素子に近接して順次設けられている。説明を容易にするために、前記複数の機能部材をそれぞれ第一機能部材1、第二機能部材2及び第三機能部材3と呼ぶ。すなわち、第一機能部材1、第二機能部材2及び第三機能部材3はZ方向に順に表示素子4に近接する。例えば、各機能部材はいずれも表示素子4の上方に設置されたフィルム層であってもよい。
【0049】
図4を引き続き参照すれば、前記複数の粘着層は第一機能部材1、第二機能部材2、第三機能部材3、表示素子4、バックフィルム5及び支持部材6のうちの隣接して設置された二つの間に設置されてもよい。説明を容易にするために、前記複数の粘着層をそれぞれ第一粘着層AD1、第二粘着層AD2、第三粘着層AD3、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5と呼ぶ。
【0050】
第一粘着層AD1は第一機能部材1と第二機能部材2との間に設置され、このようにして、第一機能部材1は第一粘着層AD1によって第二機能部材2に付着されることができる。第二粘着層AD2は第二機能部材2と第三機能部材3との間に設置され、このようにして、第二機能部材2は第二粘着層AD2によって第三機能部材3に付着されることができる。第三粘着層AD3は第三機能部材3と表示素子4との間に設置され、このようにして、第三機能部材3は第三粘着層AD3によって表示素子4に付着されることができる。第四粘着層AD4は表示素子4とバックフィルム5との間に設置され、このようにして、表示素子4は第四粘着層AD4によってバックフィルム5に付着されることができる。第五粘着層AD5はバックフィルム5と支持部材6との間に設置され、このように、バックフィルム5は第五粘着層AD5によって支持部材6に付着されることができる。
【0051】
本開示の実施例において、第一機能部材1は保護膜であり、それにより表示装置100の蓋板を形成してもよい。
図5は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が含む第一機能部材の断面図である。
図5に示すように、第一機能部材1は第一保護膜11、中間粘着層12及び第二保護膜13を含んでもよい。第一保護膜11は上側に設置され、第二保護膜13は下側に設置され、即ち、第一保護膜11は第二保護膜13よりも表示素子4から離れ、第一保護膜11は表示装置100の外表面として形成される。中間粘着層12は第一保護膜11と第二保護膜13との間に設置され、第一保護膜11と第二保護膜13を粘着するために用いられる。
【0052】
選択的に、第一保護膜11の第二保護膜13から離れた表面(即ち上表面)は保護コーティング112が塗布されることができる。例えば、保護コーティング112はHCコーティング(英語でhard coatingと表現する)であってもよく、当該HCコーティングはモデルがHC400のナノハード塗料を採用し硬化させて形成されてもよい。本開示の実施例において、保護コーティング112の破断伸び率は2.5%より大きい。
【0053】
具体的には、マイクログラビアコーティングローラによりナノハード塗料を第一保護膜11に塗布し、硬化させて成膜した後に前記保護コーティング112を形成し、それは優れた耐摩耗性及び耐引っかき性能を有する。例えば、第一保護膜11の上面にコロナ処理を行い、コロナ処理層を形成し、その表面張力を56ダイン以上にし、ナノハード塗料をコロナ処理層に塗布し、硬化後に対応して保護塗層112を形成することにより、保護塗層112と第一保護膜11との間の被覆効果を向上させ、保護塗層112の脱落を回避する。選択的に、保護コーティング112の上表面にアクリルワニス層がさらに塗布され、疎水疎油するようにし、表面に付着された油汚れをワイプしやすく又は水が残留せず、油汚れを防止し、洗浄効果が高くするとともに、さらにスクリーンの指紋解錠の感度及び正確性を向上させることができる。
【0054】
いくつかの例示的な実施例において、第一保護膜11及び第二保護膜13はいずれも透明であり、かつ第一保護膜11及び第二保護膜13はポリイミド(即ちPI)材料又はポリエチレンテレフタレート(即ちPET)で構成されてもよい。その常温での弾性率(すなわち20℃での弾性率)は、約6~7GPaである。第一保護膜11の厚さは約75~85ミクロン(μm)であってもよく、第一保護膜11と保護塗層112の両者の厚さの和は約80~90ミクロンであってもよい。
【0055】
いくつかの例示的な実施例において、中間粘着層12はOCA接着剤で構成されてもよい。その弾性率は約:600~700KPa(-30℃)(本明細書では-30℃での弾性率を示す)、20~40KPa(20℃)(本明細書では20℃での弾性率を示す)、5~25KPa(60℃)(本明細書では60℃での弾性率を示す)。中間粘着層12の厚さは、40~60μm程度であってもよい。
【0056】
第一機能部材1が高い反発弾性、高硬度、耐引っかき、耐衝撃の性能を有するように、第一機能部材1の構造、各フィルム層の厚さ及び弾性率を設定することにより、表示装置100の折り曲げ信頼性及び耐衝撃性を向上させることができる。
【0057】
本開示の実施例において、第二機能部材2は偏光部材、例えば、円偏光板(Circular Polarizer)を含み、それに入射する光を偏光させるようにしてもよい。例えば、前記円偏光板は直線偏光板及び1/4波長板を含んでもよい。
【0058】
いくつかの例示的な実施例において、第二機能部材2は、厚さが約60~90umであり、常温での弾性率が約2~4GPaである。
【0059】
本開示の実施例において、第一粘着層AD1はOCA接着剤を含み、第一機能部材1と第二機能部材2との間に設置される。第一粘着層AD1の材料は中間粘着層12の材料と同じであってもよく、例えば、いずれもOCA接着剤である。
【0060】
第1粘着層AD1の厚さは、中間粘着層12の厚さと実質的に同じであってもよい。
【0061】
第1粘着層AD1の弾性率は、中間粘着層12の弾性率よりも大きくてもよい。例えば、第一粘着層AD1の弾性率は中間粘着層12の弾性率の2倍以上であってもよい。このように、中間粘着層の弾性率を小さく設定することにより、第一機能部材1が受ける応力を低減して、当該応力が表示装置の全体粘着層への悪影響を低減することができる。かつ、第一粘着層の弾性率を中間粘着層の弾性率よりも大きくすることにより、第一粘着層の下方のタッチパネルの配線と表示素子が受ける応力を低減することには、有利である。
【0062】
具体的には、第一粘着層AD1は、厚さが約40~60ミクロンであってもよく、弾性率が約80~120KPa(-30℃)、40~60KPa(20℃)、20~40KPa(60℃)であってもよい。
【0063】
本開示の実施例において、第三機能部材3はタッチモジュールを含み、例えば、第三機能部材3はタッチパネルであってもよい。
図6は本開示の例示的な実施例に係る表示装置が含む第三機能部材の断面図である。具体的には、
図6を参照すれば、第三機能部材3はタッチ基板32及びタッチ基板32に設置されたセンサ層31を含む。
【0064】
いくつかの例示的な実施例において、タッチ基板32はCOP基板又はTAC基板であってもよい。説明する必要があることは、COP基板は主にCOP材料で構成され、TAC基板は主にTAC材料で構成される。理解すべきことは、COP基板又はTAC基板の構成材料は位相遅延がなく、円偏光板2の下方に設置することができ、円偏光板2の偏光効果に影響を与えることがない。
【0065】
いくつかの例示的な実施例において、タッチ基板32は、厚さが約20~30ミクロンであり、常温での弾性率が約2~4GPaである。説明する必要があることは、センサ層31はタッチ駆動電極層、タッチ誘導電極層、タッチパネル配線及び絶縁層を含んでもよく、その具体的な構造は従来のタッチ層の様々な構造を参照することができ、ここではさらに繰り返して述べない。
【0066】
本開示の実施例において、第三機能部材3はさらに接着材層8を含む。前記接着材層8は、タッチ基板32とセンサ層31との間に設けられている。
【0067】
例示的な実施例において、接着材層8はOCA接着剤を含んでもよい。
【0068】
例示的な実施例において、接着材層8の弾性率は第一保護膜11、第二保護膜13、第二機能部材2、タッチ基板32、表示素子4、バックフィルム5及び支持部材6のそれぞれの弾性率よりも小さく、例えば、接着材層8の常温での弾性率は第一保護膜11、第二保護膜13、第二機能部材2、タッチ基板32、表示素子4、バックフィルム5及び支持部材6のそれぞれの常温での弾性率よりも小さい。例えば、接着材層8の常温での弾性率のオーダーはKPaレベルであり、第一保護膜11、第二保護膜13、第二機能部材2、タッチ基板32、表示素子4、バックフィルム5及び支持部材6のそれぞれの常温での弾性率のオーダーはGPaレベルにある。
【0069】
例えば、接着材層8の弾性率は中間粘着層12、第一粘着層AD1、第二粘着層AD2、第三粘着層AD3、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの弾性率以上である。接着材層8の弾性率は第二粘着層AD2の弾性率と実質的に等しくてもよく、接着材層8の弾性率は中間粘着層12、第一粘着層AD1、第三粘着層AD3、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの弾性率の8倍以上であってもよい。
【0070】
例えば、前記接着材層8の常温(即ち20℃)での弾性率は500KPaより大きい。具体的には、前記接着材層8の弾性率は約4500~5500KPa(-30℃)、830~930KPa(20℃)、30~50KPa(60℃)であってもよい。前記接着材層の弾性率を小さすぎって設定すると、例えばその常温での弾性率が500KPaより小さいと、前記接着材層が曲げ過程で変形することにつながり、タッチパネルの配線応力が集中し、配線破断のリスクを増加させるようにする。
【0071】
タッチ基板とセンサ層との間にこのような接着材層を設置することにより、前記表示装置が衝撃を受ける(例えば落下する)時、前記接着材層はその上のセンサ層を保護し、センサ層にクラックが発生するリスクを軽減するか又は回避することができ、それにより表示装置が例えば落下等の衝撃を受けた時の性能を改善し、即ち前記表示装置の落下信頼性を向上させることができる。
【0072】
例示的な実施例において、接着材層8の厚さは中間粘着層12、第一粘着層AD1、第二粘着層AD2、第三粘着層AD3、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの厚さ以下である。例えば、接着材層8の厚さは第二粘着層AD2の厚さと実質的に等しくてもよく、中間粘着層12、第一粘着層AD1、第三粘着層AD3、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの厚さは接着材層8の厚さの2倍以上であってもよい。
【0073】
具体的には、前記接着材層8の厚さは約10~20ミクロンであってもよい。このように、前記表示装置に前記接着材層が増設されるが、前記接着材層の厚さが相対的に小さく、表示装置の厚さを過度に増加させることを回避している。
【0074】
本開示の実施例において、第二粘着層AD2はPSA接着剤を含み、第二機能部材2と第三機能部材3との間に設置され、具体的には、第二機能部材2とセンサ層31との間に設置される。
【0075】
いくつかの例示的な実施例において、第二粘着層AD2の弾性率は接着材層8の弾性率と実質的に等しくてもよい。第2粘着層AD2の厚さは、接着材層8の厚さと実質的に等しくてもよい。具体的には、第二粘着層AD2は、厚さが約10~20ミクロンであり、弾性率が約4500~5500KPa(-30℃)、830~930KPa(20℃)、30~50KPa(60℃)である。
【0076】
本開示の実施例が提供する表示装置100において、センサ層31の上、下の両側にそれぞれ第二粘着層AD2及び接着材層8が設置され、かつ、第二粘着層AD2の弾性率及び厚さはそれぞれ接着材層8の弾性率及び厚さに等しく、このようなマッチング設計により、センサ層31をよりよく保護し、センサ層にクラックが発生するリスクを軽減するか又は回避することができ、それにより表示装置が例えば落下等の衝撃を受けた時の性能を改善し、前記表示装置の落下信頼性をさらに向上させることができる。
【0077】
本開示の実施例において、表示素子4は表示パネルであってもよく、例えば、前記表示パネルはOLED表示パネルであってもよい。説明する必要があることは、表示パネルの具体的な構造は従来の表示パネルの様々な構造を参照することができ、ここではさらに繰り返して述べない。
【0078】
本開示の実施例において、第三粘着層AD3はOCA接着剤を含み、第三機能部材3と表示素子4との間に設置され、具体的には、タッチ基板32と表示素子4との間に設置される。
【0079】
第3粘着層AD3の厚さは、中間粘着層12及び第1粘着層AD1のそれぞれの厚さと実質的に等しくてもよい。
【0080】
第3粘着層AD3の弾性率は、第2粘着層AD2の弾性率よりも小さい。例えば、第二粘着層AD2の弾性率は第三粘着層AD3の弾性率の8倍以上であってもよい。
図7に示すように、それは異なる弾性率マッチングの状況でタッチパネルの歪みを模式的に示している。具体的には、
図7におけるAピラーは「第三粘着層AD3の弾性率が第二粘着層AD2の弾性率より小さい」場合、ある外力の作用でタッチパネルが受ける歪みを表し、Bピラーは「第三粘着層AD3の弾性率が第二粘着層AD2の弾性率に等しい」場合、当該外力の作用でタッチパネルが受ける歪みを表し、Cピラーは「第三粘着層AD3の弾性率が第二粘着層AD2の弾性率より大きい」場合、当該外力の作用でタッチパネルが受ける歪みを表す。当該比較試験から分かるように、「第三粘着層AD3の弾性率が第二粘着層AD2の弾性率より小さい」場合、前記タッチパネルが受ける歪みが安全範囲内にある。従って、第三粘着層AD3の弾性率を第二粘着層AD2の弾性率より小さくすることにより、タッチパネルが大きな応力を受けることを回避することができる。
【0081】
さらに、第三粘着層AD3の弾性率は中間粘着層12、第一粘着層AD1、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの弾性率よりも大きくてもよい。例えば、第三粘着層AD3の弾性率は第一粘着層AD1の弾性率の2倍以上であってもよく、第三粘着層AD3の弾性率は中間粘着層12、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5のそれぞれの弾性率の3倍以上であってもよい。
【0082】
いくつかの例示的な実施例において、第三粘着層AD3は、厚さが約40~60ミクロンであり、弾性率が約1800~2200KPa(-30℃)であり、100~120KPa(20℃)であり、60~80KPa(60℃)である。
【0083】
本開示の実施例において、バックフィルム5は分子量の高い材料、例えばPI又はPETを含んでもよい。バックフィルム5は、表示素子4の表示面101から離れた裏面に設けられている。バックフィルム5は、厚さが約40~60ミクロンであり、常温での弾性率が約2~4GPaである。
【0084】
図4を参照すれば、第四粘着層AD4はPSA接着剤を含み、表示素子4とバックフィルム5との間に設置され、表示素子4とバックフィルム5を粘着するために用いられる。
【0085】
いくつかの例示的な実施例において、第四粘着層AD4の厚さは中間粘着層12、第一粘着層AD1、第三粘着層AD3及び第五粘着層AD5のそれぞれの厚さよりも小さくてもよい。第4粘着層AD4の弾性率は、中間粘着層12、第1粘着層AD1、第2粘着層AD2、接着材層8、第3粘着層AD3及び第5粘着層AD5のそれぞれの弾性率以下であってもよい。第四粘着層AD4の弾性率は中間粘着層12及び第五粘着層AD5のそれぞれの弾性率に実質的に等しく、かつ第一粘着層AD1、第二粘着層AD2、接着材層8及び第三粘着層AD3のそれぞれの弾性率よりも小さくてもよい。
【0086】
具体的には、第四粘着層AD4の厚さは約20~30ミクロンである。第四粘着層AD4の弾性率は約600~700KPa(-30℃)であり、20~40KPa(20℃)であり、5~25KPa(60℃)である。
【0087】
本開示の実施例において、支持部材6はSUSステンレス鋼などの金属材料で構成された支持膜を含んでもよい。支持部材6は、バックフィルム5の表示素子4から離れた裏面に設けられている。支持部材6は、厚さが約25~35ミクロンであり、常温での弾性率が約100~200GPaである。このような支持部材6を設置することにより、表示装置が折り曲げられた後に平らに戻ることには有利である。
【0088】
第五粘着層AD5はOCA接着剤を含み、それはバックフィルム5と支持部材6との間に設置され、バックフィルム5と支持部材6を粘着するために用いられる。
【0089】
いくつかの例示的な実施例において、第五粘着層AD5の厚さは中間粘着層12、第一粘着層AD1及び第三粘着層AD3のそれぞれの厚さに実質的に等しくてもよい。第5粘着層AD5の弾性率は、中間粘着層12、第1粘着層AD1、第2粘着層AD2、接着材層8、第3粘着層AD3及び第4粘着層AD4のそれぞれの弾性率以下であってもよい。第五粘着層AD5の弾性率は中間粘着層12及び第四粘着層AD4のそれぞれの弾性率に実質的に等しく、かつ第一粘着層AD1、第二粘着層AD2、接着材層8及び第三粘着層AD3のそれぞれの弾性率よりも小さくてもよい。
【0090】
具体的には、第五粘着層AD5の厚さは約40~60ミクロンである。第五粘着層AD5の弾性率は約600~700KPa(-30℃)、20~40KPa(20℃)、5~25KPa(60℃)である。
【0091】
いくつかの例示的な実施例において、第四粘着層AD4及び第五粘着層AD5の常温での弾性率は30KPaより小さいように設置されてもよい。このような設置により、バックフィルム5及び支持部材6がその上方の表示素子4の受ける応力への影響を低減して表示素子4の受ける応力が安全範囲内にあるようにし、前記表示装置が信頼性試験を通過することには有利である。
【0092】
本開示の実施例において、各膜層と各粘着層の弾性率及び/又は厚さを調整することにより、タッチパネルの配線層及び表示パネル上のデバイスが受ける応力が安全範囲内にあることを確保することができ、かつ折り曲げ過程において変形、膜層分離等の不具合が発生することを回避することができ、さらに気泡の不良を回避することができる。従って、本開示の実施例に係るフレキシブル表示装置は折り曲げ信頼性試験を通過させることができ、ユーザーの使用需要を満たすことができる。
【0093】
本開示の実施例はさらに電子機器を提供し、前記電子機器は上記いずれかの実施例が提供する表示装置を含む。例えば、電子機器はスマートフォン、携帯電話、ナビゲーション装置、テレビ(TV)、カーオーディオ本体、ラップトップ型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯型マルチメディアプレーヤ(PMP)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)等であってもよい。電子機器は、無線通信機能を有するポケットサイズの携帯通信端末として構成されてもよい。
【0094】
本明細書に使用されるように、表現「実質的に(substantially)」、「約(about)」、「略」及び類似表現は類似する表現として用いられ程度の表現ではなく、かつ当業者が認識することができる測定値又は計算値の固有偏差を考慮することを意図する。特に規定がない限り、表現「実質的に(substantially)」、「約(about)」、「略」及び類似する表現は一つ又は一つ以上の標準偏差内にあることを表すことができ、例えば、述べられた値の±5%内にあり、また例えば、このような表現が一つの数値ポイントを修飾する場合、それは当該数値点で上下に5%浮動することができることを示す。このような表現が一つの数値範囲を修飾する場合、それは当該数値範囲の各端点で上下に5%浮動することができることを示す。
【0095】
また、本明細書に列挙された任意の数値範囲は、列挙された範囲内に属する同じ数値精度の全てのサブ範囲を含むことを意図する。例えば、「1.0~10.0」の範囲は列挙された1.0の最小値と列挙された10.0の最大値との間の全てのサブ範囲(かつ列挙された1.0の最小値及び列挙された10.0の最大値を含む)、すなわち、例えば、2.4~7.6のような、1.0以上の最小値及び10.0以下の最大値を有する全てのサブ範囲を含むことを意図する。本明細書に列挙された任意の最大数値制限はその中に属する全てのより低い数値制限を含むことを意図し、かつ本明細書に列挙された任意の最小数値制限はその中に属する全てのより大きな数値制限を含むことを意図する。従って、本明細書に明確に列挙された範囲内に属する任意のサブ範囲を明確に列挙するために、出願人は本明細書(特許請求の範囲を含む)を修正する権利を保留する。
【0096】
本開示の全体的な技術的思想のいくつかの実施例は既に表示と説明されるが、当業者であれば理解されるように、前記全体的な技術的思想の原則及び精神から逸脱することなく、これらの実施例を変更することができ、本開示の範囲は特許請求の範囲及びそれらの均等物によって限定される。