(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】薬品移送管装置用カバー及びこれを含む薬品移送管装置セット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240129BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20240129BHJP
A61M 5/165 20060101ALI20240129BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240129BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A61M5/14 500
A61M25/02 502
A61M5/165 500R
A61M5/168 502
A61M5/142
(21)【出願番号】P 2021577195
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2020008634
(87)【国際公開番号】W WO2021006536
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0081439
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139848
【氏名又は名称】キム ヨンヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒョン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523495(JP,A)
【文献】特表2012-517275(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037832(WO,A1)
【文献】米国特許第05413562(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0282291(US,A1)
【文献】米国特許第04517971(US,A)
【文献】特表平10-512177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61M 25/02
A61M 5/142
A61M 5/165
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流れる薬液の時間当りの流量を制限するように構成された毛細管または高分子マイクロチューブである毛細流路を有する薬品移送管装置が挿入可能に下側に開口部を有する挿入空間を形成し、上下方向に垂直な中心軸を中心とした前記挿入空間の周りに沿って延長され前記薬品移送管装置の断熱層を提供するように構成されるカバーボディーを含む、薬品移送管装置用カバー。
【請求項2】
前記カバーボディーは、弾性変形して前記開口部が左右に広がるように構成される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項3】
前記カバーボディーは、シリコーンを含むフレキシブルな材質から形成される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項4】
前記カバーボディーの内側面には陥没して互いに離隔される複数の溝が形成される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項5】
前記カバーボディーの下側に配置され、上下方向に垂直な水平方向に延長され、前記薬品移送管装置用カバーの最下端になる下端面をそれぞれ有する一対のベースをさらに含み、
前記一対のベースの前記下端面は、上下方向に同じレベル(level)に配置される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項6】
前記カバーボディーの下側に配置され、前記下端面と前記中心軸の延長方向に離隔され、上下方向に同じレベルに配置される下端面を有する補助ベースをさらに含む、請求項5に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項7】
前記カバーボディーの下側に配置され、前記薬品移送管装置用カバーの最下端になる下端面を有するベースをさらに含み、
前記下端面には上側に陥没して前記下端面の縁部まで延長される通気溝が形成される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項8】
前記通気溝は、前記開口部から離隔される、請求項7に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項9】
前記カバーボディーで上下方向に垂直な水平方向に延長され、フック及びホールのうち少なくとも1つを形成する係止部をさらに含む、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項10】
前記カバーボディーで上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部;
前記カバーボディーの下側に配置され、上下方向に垂直な水平方向に延長され、前記薬品移送管装置用カバーの最下端になる下端面を有するベース;及び
前記カバーボディーの下側に配置され、前記係止部を介して前記ベースと離隔されて配置され、前記下端面と上下方向に同じレベルに配置される下端面を有する補助ベースをさらに含む、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項11】
前記係止部の下端面は、前記ベースの前記下端面より上下方向に高いレベルに配置される、請求項10に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項12】
前記挿入空間は、前記中心軸に沿って延長される、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項13】
前記挿入空間は、前記中心軸の延長方向の両端のうち少なくとも1つに開口部を有する、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項14】
前記カバーボディーは、
前記挿入空間のうち、前記毛細流路を内部に収容可能に毛細流路収容空間を形成する毛細流路収容部;及び
前記挿入空間のうち、前記薬品移送管装置の空気通過フィルタを内部に収容可能にフィルタ収容空間を形成するフィルタ収容部をさらに含む、請求項1に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項15】
前記フィルタ収容部の内側面には陥没して前記中心軸方向に沿って延長される流路溝が形成される、請求項14に記載の薬品移送管装置用カバー。
【請求項16】
内部に流れる薬液の時間当りの流量を制限するように構成された毛細管または高分子マイクロチューブである毛細流路を有する薬品移送管装置;及び
前記薬品移送管装置が挿入可能に下側に開口部を有する挿入空間を形成し、上下方向に垂直な中心軸を中心とした前記挿入空間の周りに沿って延長され前記薬品移送管装置の断熱層を提供するように構成されるカバーを含む、薬品移送管装置セット。
【請求項17】
前記カバーは、
前記挿入空間内に前記薬品移送管装置が挿入された状態で、前記薬品移送管装置の最下端と上下方向に同じ位置に配置されるか、前記最下端より下側に配置された下端面を有するベースを含む、請求項16に記載の薬品移送管装置セット。
【請求項18】
前記カバーは、上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部を含み、
前記薬品移送管装置セットは、
前記係止部が係止される固定部材;及び
前記固定部材が固定され、使用者に付着可能に構成される付着部材を含む、請求項16に記載の薬品移送管装置セット。
【請求項19】
前記薬品移送管装置は、薬液内の空気を外部に排出するための疎水性の空気通過フィルタを含み、
前記カバーは、
前記挿入空間のうち、前記毛細流路を内部に収容可能に毛細流路収容空間を形成する毛細流路収容部;及び
前記挿入空間のうち、前記薬品移送管装置の空気通過フィルタを内部に収容可能にフィルタ収容空間を形成するフィルタ収容部を含む、請求項16に記載の薬品移送管装置セット。
【請求項20】
前記薬品移送管装置は、前記中心軸の延長方向の両端のうち少なくとも1つに薬液が流入する流入ポートを有し、
前記挿入空間は、前記中心軸の延長方向
の両端のうち前記流入ポートが配置される方向に開口部を有する、請求項16に記載の薬品移送管装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬品移送管装置用カバー及びこれを含む薬品移送管装置セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に薬品を供給するために、患者に液状の薬液(例えば、注射液)を注入する薬液注入装置が知られている。前記薬液注入装置を用いて、所定の貯蔵空間内にある薬液が患者と連結される通路(例えば、管及び注射針の内部空間)を通過して、患者の体内に流入する。
【0003】
医療の目的上、患者の体内に一時に薬液が注入されることを防止し、相当時間徐々に体内に薬液が注入されるように毛細流路を形成する薬品移送管が構成された装置が知られている。薬液を薬品移送管を通過させることで、前記薬液注入装置の前記通路に沿って流れる薬液の時間当りの流量を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者の周辺環境の温度変化に応じて薬品移送管が熱膨張または熱収縮をすることにより、温度変化に応じて毛細流路の断面積が変化することになり、これにより、毛細流路に沿って流れる薬液の流速が一定ではなくなり、相当大幅に変動するという問題がある。本開示の実施例は、温度変化に応じた薬液の流速変化幅を低減させる装置を提供する。
【0005】
従来は、薬品移送管装置を長時間患者の皮膚に付着して用いることにより、患者は皮膚に違和感を感じることになるという問題があった。特に、薬品移送管装置の一部分が患者の皮膚のうち一地点に集中的に荷重を加えながら、薬品移送管装置が皮膚に長時間付着されている場合、患者は皮膚に痛みを感じることもあるという問題があった。本開示の実施例は、薬品移送管装置を患者の皮膚に付着するとき、患者の違和感または痛みを低減させる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、薬品移送管装置用カバーの実施例を提供する。代表的な実施例による薬品移送管装置用カバーは、内部に薬液が流れるように構成された毛細流路を有する薬品移送管装置が挿入可能に下側に開口部を有する挿入空間を形成し、上下方向に垂直な中心軸を中心とした前記挿入空間の周りに沿って延長されたカバーボディーを含む。
【0007】
一実施例において、前記カバーボディーは、弾性変形して前記開口部が左右に広がるように構成され得る。
【0008】
一実施例において、前記カバーボディーは、シリコーンを含むフレキシブルな材質から形成され得る。
【0009】
一実施例において、前記カバーボディーの内側面には陥没して互いに離隔される複数の溝が形成され得る。
【0010】
一実施例において、前記カバーは、前記カバーボディーの下側に配置され、上下方向に垂直な水平方向に延長され、前記カバーの最下端になる下端面をそれぞれ有する一対のベースをさらに含み得る。前記一対のベースの前記下端面は、上下方向に同じレベル(level)に配置され得る。
【0011】
一実施例において、前記カバーは、前記カバーボディーの下側に配置され、前記下端面と前記中心軸の延長方向に離隔され、上下方向に同じレベルに配置される下端面を有する補助ベースをさらに含み得る。
【0012】
一実施例において、前記カバーは、前記カバーボディーの下側に配置され、前記カバーの最下端になる下端面を有するベースをさらに含み得る。前記下端面には上側に陥没して前記下端面の縁部まで延長される通気溝が形成され得る。
【0013】
一実施例において、前記通気溝は、前記開口部から離隔され得る。
【0014】
一実施例において、前記カバーは、前記カバーボディーで上下方向に垂直な水平方向に延長され、フック及びホールのうち少なくとも1つを形成する係止部をさらに含み得る。
【0015】
一実施例において、前記カバーは、前記カバーボディーで上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部;前記カバーボディーの下側に配置され、上下方向に垂直な水平方向に延長され、カバーの最下端になる下端面を有するベース;及び前記カバーボディーの下側に配置され、前記係止部を介して前記ベースと離隔されて配置され、前記下端面と上下方向に同じレベルに配置される下端面を有する補助ベースをさらに含み得る。
【0016】
一実施例において、前記係止部の下端面は、前記ベースの前記下端面より上下方向に高いレベルに配置され得る。
【0017】
一実施例において、前記挿入空間は、前記中心軸に沿って延長され得る。
【0018】
一実施例において、前記挿入空間は、前記中心軸の延長方向に両端のうち少なくとも1つに開口部を有し得る。
【0019】
一実施例において、前記カバーボディーは、前記挿入空間のうち、前記毛細流路を内部に収容可能に毛細流路収容空間を形成する毛細流路収容部;及び前記挿入空間のうち、前記薬品移送管装置の空気通過フィルタを内部に収容可能にフィルタ収容空間を形成するフィルタ収容部をさらに含み得る。
【0020】
一実施例において、前記フィルタ収容部の内側面には陥没して前記中心軸方向に沿って延長される流路溝が形成され得る。
【0021】
本開示のもう一つの側面は、薬品移送管装置セットの実施例を提供する。代表的な実施例による薬品移送管装置セットは、内部に薬液が流れるように構成された毛細流路を有する薬品移送管装置;及び前記薬品移送管装置が挿入可能に下側に開口部を有する挿入空間を形成し、上下方向に垂直な中心軸を中心とした前記挿入空間の周りに沿って延長されたカバーを含む。
【0022】
一実施例において、前記カバーは、前記挿入空間内に前記薬品移送管装置が挿入された状態で、前記薬品移送管装置の最下端と上下方向に同じ位置に配置されるか、前記最下端より下側に配置された下端面を有するベースを含み得る。
【0023】
一実施例において、前記カバーは、上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部を含み得る。前記薬品移送管装置セットは、前記係止部が係止される固定部材;及び前記固定部材が固定され、使用者に付着可能に構成される付着部材を含み得る。
【0024】
一実施例において、前記薬品移送管装置は、薬液内の空気を外部に排出するための疎水性の空気通過フィルタを含み得る。前記カバーは、前記挿入空間のうち、前記毛細流路を内部に収容可能に毛細流路収容空間を形成する毛細流路収容部;及び前記挿入空間のうち、前記薬品移送管装置の空気通過フィルタを内部に収容可能にフィルタ収容空間を形成するフィルタ収容部を含み得る。
【0025】
一実施例において、前記薬品移送管装置は、前記中心軸の延長方向に両端のうち少なくとも1つに薬液が流入する流入ポートを有し得る。前記挿入空間は、前記中心軸の延長方向に両端のうち前記流入ポートが配置される方向に開口部を有し得る。
【発明の効果】
【0026】
本開示の実施例によれば、薬品移送管装置に断熱層を提供して外気の温度変化に応じた毛細流路の熱膨張及び熱収縮の程度を低減させ、これにより、薬品移送管装置を通じて流れる薬液の流速が相対的に一定に維持させることができる。
【0027】
本開示の実施例によれば、薬品移送管装置を患者に固定するとき、患者の着用感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例による薬品移送管装置セット(1)の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の付着部材(320)を除いた状態の薬品移送管装置セット(1)を他の角度から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の薬品移送管装置セット(1)をラインS1-S1'に沿って切った断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の薬品移送管装置セット(1)の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の薬品移送管装置用カバー(200)の斜視図であって、一部を切開して示したものである。
【
図6】
図6は、
図1の薬品移送管装置用カバー(200)の下側面を見た立面図である。
【
図7】
図7は、
図6のカバー(200)をラインS2-S2'に沿って切った断面図である。
【
図8】
図8は、
図6のカバー(200)をラインS3-S3'に沿って切った断面図である。
【
図9】
図9は、
図6のカバー(200)をラインS4-S4'に沿って切った断面図である。
【
図10】
図10は、
図1の薬品移送管装置セット(1)の使用状態を例示的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が、以下に提示される実施例やこれら実施例に関する具体的説明に限定されるわけではない。
【0030】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示を更に明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたわけではない。
【0031】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されるべきである。
【0032】
本開示で記述された単数形の表現は、特に言及しない限り、複数形の意味を含み得、これは特許請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0033】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0034】
本開示において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか、「結合されて」いると言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結され得るか、結合され得るものと、または、新たな他の構成要素を媒介として連結され得るか、結合され得るものと理解されるべきである。
【0035】
本開示で用いられる「薬液」は、治療用物質が含まれた液体だけでなく、治療用物質を補助するか、治療用物質とともに用いられる液体、患者に投入されることができる液体も含むものと理解されるべきである。
【0036】
本開示で用いられる「上流」及び「下流」は、流入ポート(O1)から流出ポート(O2)まで流路(P)内で薬液が流れる方向を基準に定義される。
図3の矢印Fdの方向が下流方向と定義され、前記下流方向の反対方向が上流方向と定義される。
【0037】
本開示で用いられる「下方」、「下」等の方向指示語は、添付の図面で下側開口部(200sa)が挿入空間(200s)に対して位置する方向を基準とし、「上方」「上」等の方向指示語は、その反対方向を意味し、図面には下方(D)及び上方(U)が示される。また、本開示で用いられる「前(F)」、「後(R)」、「左(Le)」、「右(Ri)」等の方向を指す表現は、図面に表示されたものによって定義する。しかし、添付の図面に示す薬品移送管装置セット(1)は、異なって配向することもでき、前記方向指示語は、それに合わせて解釈されることができる。
【0038】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面で、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素が、ある実施例に含まれないものと意図されるわけではない。
【0039】
図1は、本開示の一実施例による薬品移送管装置セット(1)の斜視図である。
図2は、
図1の付着部材(320)を除いた状態の薬品移送管装置セット(1)を他の角度から見た斜視図である。
図3は、
図1の薬品移送管装置セット(1)をラインS1-S1'に沿って切った断面図である。
図4は、
図1の薬品移送管装置セット(1)の分解斜視図である。
【0040】
図1~
図4を参照すると、本開示の一実施例による薬品移送管装置セット(1)は、内部に薬液が流れるように構成された毛細流路(120p)を有する薬品移送管装置(100)を含む。薬品移送管装置セット(1)は、薬品移送管装置(100)の外表面の少なくとも一部を取り囲む薬品移送管装置用カバー(200)を含む。薬品移送管装置セット(1)は、カバー(200)を患者の皮膚の上に配置させる固定装置(300)を含み得る。
【0041】
薬品移送管装置(100)は、毛細流路(120p)を有する薬品移送管(120)を含む。薬品移送管(120)は、薬品移送管装置(100)を通過する薬液の時間当りの流量を制限し得る。即ち、薬品移送管(120)は、流量制限部品(flow restricting component)としての機能を有し得る。一例として、薬品移送管(120)は、毛細管を含み得る。他の例として、薬品移送管(120)は、高分子マイクロチューブ(microtube)を含み得る。その他にも、薬品移送管(120)は、毛細流路を有する多様な形状及び材質で構成され得る。例えば、毛細流路(120p)は、約0.04~0.08mmの直径を有することにより、時間当りの薬液の流量を制限する役割をし得る。
【0042】
一実施例において、薬品移送管装置(100)は、毛細流路(120p)を形成する薬品移送管(120)及び少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)を含むが、図示されていない他の実施例において、薬品移送管装置(100)は、薬品移送管(120)を含むものの、空気通過フィルタ(160’、170’)を含まなくてもよい。以下、薬品移送管装置(100)が少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)を含む実施例を基準に説明するが、これに制限される必要はない。
【0043】
薬品移送管装置用カバー(200)は、薬品移送管装置(100)が挿入可能に下側に開口部(200sa)を有する挿入空間(200s)を形成する。カバー(200)は、上下方向に垂直な中心軸(X)を中心とした挿入空間(200s)の周りに沿って延長される。中心軸(X)は、説明の便宜のための仮想の軸である。本実施例において、中心軸(X)の延長方向を前後方向と定義し得る。また、中心軸(X)から遠くなる方向を「外側半径方向」と定義し、中心軸(X)に近づく方向を「内側半径方向」と定義し得る。
【0044】
カバー(200)は、内部に配置された毛細流路(120p)を形成する薬品移送管(120)に断熱層を提供し、外気温度の変化に応じた毛細流路(120p)の断面積の変化量を低減させることにより、薬品移送管装置(100)を通じて流れる薬液の流速が相対的に一定に維持されることができる。また、一実施例において、患者の皮膚に向く下側方向に挿入空間(200s)の開口部を置き、患者の体温によって前記挿入空間(200s)に挿入された薬品移送管装置が更に恒温を十分に維持するようにすることができる(
図10参照)。
【0045】
固定装置(300)は、使用者に付着され得る。固定装置(300)にカバー(200)が固定され得る。固定装置(300)にカバー(200)の下部が脱着可能に結合され得る。
【0046】
挿入空間(200s)内に薬品移送管装置(100)が挿入された状態で、カバー(200)は、薬品移送管装置(100)の最下端(L1)と上下方向に同じ位置に配置されるか、前記最下端(L1)より下側に配置された下端面(221)を有するベース(220)を含む(
図3参照)。これを通じて、薬品移送管装置(100)を患者に固定するとき、患者の着用感を向上させることができる。本実施例では、前記最下端(L1)より低い位置に下端面(221)が配置される。カバー(200)は、前記最下端(L1)と上下方向に同じ位置に配置されるか、前記最下端(L1)より下側に配置された下端面(241)を有する補助ベース(240)を含み得る。
【0047】
薬品移送管装置(100)は、患者に薬品を注入するための薬液注入装置(図示せず)の一部の部品、または、薬液注入装置に連結された部品として用いられる。薬液が流れるチューブ(図示せず)上に薬品移送管装置(100)を配置することにより、患者の体内に注入される薬液の時間当りの流量を一定に維持させることができる。チューブを通じて流れる薬液は、薬品移送管装置(100)の流入ポート(O1)を通じて薬品移送管装置(100)の内部に流入し、流入した薬液は、毛細流路(120p)を経た後、流出ポート(O2)を経て下流側に配置されたチューブ内に移動した後、注射針などを通じて患者の体内に流入する。
【0048】
薬品移送管装置(100)には、内部に薬液が流れるように構成された流路(P)が形成される。薬品移送管装置(100)は、前記チューブに連結され得る。薬品移送管装置(100)は、流路(P)の一部を構成する毛細流路(120p)を有する薬品移送管(120)を含む。毛細流路(120p)は、薬液が流れるように構成される。薬品移送管装置(100)は、薬品移送管(120)が配置されるハウジング(110)を含む。薬品移送管(120)は、ハウジング(110)に結合され得る。薬品移送管(120)の少なくとも一部は、ハウジング(110)の内側面に接触し得る。薬品移送管(120)は、シール部材(130)を貫いて配置され得る。薬品移送管(120)の上流側末端に毛細流路(120p)の入口が形成される。薬品移送管(120)の上流側末端は、ハウジング(110)の内側面または別に構成されたスペーサ(図示せず)に接触し得る。
【0049】
流路(P)は、前記チューブを経た薬液が内部に流入するように前記チューブに連結される。ハウジング(110)には流路(P)の少なくとも一部が形成される。ハウジング(110)には薬液の流入ポート(O1)及び流出ポート(O2)が形成される。薬品移送管装置(100)は、中心軸(X)の延長方向に両端のうち少なくとも1つに薬液が流入する流入ポート(O1)を有する。薬品移送管装置(100)は、薬液が流出する流出ポート(O2)を有する。流出ポート(O2)は、中心軸(X)の延長方向に流入ポート(O1)の反対方向に位置し得るが、本開示はこれに制限されない。流路(P)は、流入ポート(O1)及び流出ポート(O2)を連結して形成され得る。
【0050】
流路(P)は、流路(P)上で毛細流路(120p)の上流側に配置される上流流路(P1)を含み得る。上流流路(P1)は、毛細流路(120p)の断面積より大きい断面積を有する。ハウジング(110)は、上流流路(P1)を形成し得る。薬品移送管装置(100)の流入ポート(O1)は、上流流路(P1)の入口である。上流流路(P1)は、流入ポート(O2)と毛細流路(120p)を連結し得る。
【0051】
流路(P)は、流路(P)上で前記毛細流路(120p)の下流側に配置される下流流路(P2)を含み得る。下流流路(P2)は、毛細流路(120p)の断面積より大きい断面積を有する。ハウジング(110)は、下流流路(P2)を形成し得る。薬品移送管装置(100)の流出ポート(O2)は、下流流路(P2)の出口である。下流流路(P2)は、毛細流路(120p)と流出ポート(O2)を連結し得る。
【0052】
薬品移送管装置(100)には流路(P)から分岐して外部に連結される空気の通路(Ap)が形成され得る。空気の通路(Ap)は、流路(P)の中間と外部空間を連結して形成される。空気の通路(Ap)は、ハウジング(110)に形成されたベントホール(115bh')を含む。薬品移送管装置(100)は、薬液内の空気を外部に排出するための疎水性の少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)をさらに含み得る。1次空気通過フィルタ(160')は、ハウジング(110)に結合される。1次空気通過フィルタ(160')は、薬液の通過を遮断するものの、空気を通過させる。
【0053】
少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)は、1次空気通過フィルタ(160')を含む。1次空気通過フィルタ(160')は、通路(Ap)と流路(P)の境界に配置され得る。本実施例において、1次空気通過フィルタ(160')は、空気の通路(Ap)と第1流路(Q1)の境界に配置されるが、本開示はこれに制限されない。
【0054】
少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)は、2次空気通過フィルタ(170')をさらに含み得る。2次空気通過フィルタ(170')は、空気の通路(Ap)上に配置され、1次空気通過フィルタ(160')を通過した空気が通過するように構成される。2次空気通過フィルタ(170')は、1次空気通過フィルタ(160')の気孔や接着部位などが損傷した場合にも内部の薬液が外部に流れ出ないようにする機能を行うことができる。
【0055】
2次空気通過フィルタ(170')は、1次空気通過フィルタ(160')と同一材質であるか、多孔質のプラスチック素材が加工されて形成され得る。一例として、2次空気通過フィルタ(170')は、疎水性の多孔質のプラスチック樹脂材料が加工されて形成され得る。例えば、2次空気通過フィルタ(170')の材料は、米国ジョージア州フェアバーン(Fairburn,GA 30213)所在のポーレックスコーポレーション(Porex Corporation)(ウェブサイト:www.porex.com)から入手することができる。前記ポーレックスコーポレーションのポーレックス・ハイドロフォビック・ベント(Porex Hydrophobic Vents)という製品名で出ている製品を用いることができるが、この製品はポリエチルポリテトラフルオロエチレン(polyethyle polytetrafluoroethylene)の材料で作ったものである。
【0056】
薬品移送管装置(100)は、流路(P)上に配置される親水性(hydrophilic)の境界フィルタ(180')をさらに含み得る。境界フィルタ(180')は、上流流路(P1)上で上流側の第1流路(Q1)及び下流側の第2流路(Q2)の間の境界に配置され得る。境界フィルタ(180')は、薬液に浸された場合、第1流路(Q1)と第2流路(Q2)の圧力境界面として作用するように構成される。境界フィルタ(180')により第1流路(Q1)及び第2流路(Q2)が互いに異なる内圧を有し得る。例えば、境界フィルタ(180')は、網構造及びファイバ(fiber)構造のうち少なくとも1つの方式で構成され得る。境界フィルタ(180')は、不純物をフィルタリングする機能を追加で有し得る。
【0057】
薬品移送管装置(100)は、毛細流路(120p)の上流側に配置される流入フィルタ(150')を含み得る。流入フィルタ(150')は、1次空気通過フィルタ(160')の下流側に配置され得る。流入フィルタ(150')は、境界フィルタ(180')の下流側に配置され得る。流入フィルタ(150')は、流路(P)を流れる薬液が通過するように配置される。流入フィルタ(150')は、上流流路(P1)を経た相対的に大きい気泡が毛細流路(120p)の入口を塞がないようにすることができる。
【0058】
例えば、流入フィルタ(150')は、網構造及びコンパクトなファイバ(fiber)構造のうち少なくとも1つの方式で構成され得る。網構造及びコンパクトなファイバ構造は、入口を塞いでいる気泡を避けて液体が流入フィルタ(150')に吸収され、薬品移送管入口に流入するように誘導し得る。網構造は、大きいエアーバブルを細かく壊す役割も行い得る。網構造の流入フィルタ(150')は、疎水性(hydrophobic)材質または親水性(hydrophilic)材質であり得る。
【0059】
一例として、流入フィルタ(150')は、親水性材質からなるフィルタであり得る。親水性材質の流入フィルタ(150')は、毛細流路(120p)の上流側の気泡を細かく割いて気泡が毛細流路(120p)の入口を塞がないようにすることができる。または、親水性材質の流入フィルタ(150')を備える場合、気泡が流入フィルタ(150')の上流側に係止された状態でも、薬液が流入フィルタ(150')に染み込んで流入フィルタ(150')を通過することができる。
【0060】
他の例として、流入フィルタ(860)は、薬液が通過できる水準に相対的に粗い網を有する疎水性材質からなるフィルタであり得る。この場合、疎水性材質の流入フィルタ(150')は、毛細流路(120p)の上流側の気泡を細かく割いて気泡が毛細流路(120p)の入口を塞がないようにすることができる。
【0061】
薬品移送管装置(100)は、ハウジング(110)を含む。ハウジング(110)は、2つ以上の部品が互いに結合されてなることもでき、1つの部品からなることもできる。
【0062】
ハウジング(110)は、薬品移送管(120)が結合される移送管ハウジング(111)を含む。ハウジング(110)は、少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)が結合されるフィルタハウジング(115')をさらに含み得る。フィルタハウジング(115')は、移送管ハウジング(111)と結合され得る。
【0063】
フィルタハウジング(115')は、第1流路(Q1)の少なくとも一部及び第2流路(Q2)の少なくとも一部を形成するフィルタボディー(115a')を含み得る。フィルタボディー(115a')に境界フィルタ(180')が配置され得る。フィルタボディー(115a')の上側でベントキャップ(115b')が結合され得る。フィルタボディー(115a')は、薬品移送管(120)の少なくとも一部を収容し得る。フィルタボディー(115a')に薬品移送管(120)の上流の部分が収容される。
【0064】
ハウジング(110)の下側面には上側方向に陥没した溝(110g)が形成され得る。本実施例において、溝(110g)はフィルタボディー(115a)に形成されるが、本開示はこれに制限されない。後述するカバー(200)の挿入部(250)が溝(110g)に挿入され得る。
【0065】
フィルタハウジング(115')は、フィルタボディー(115a')に結合するベントキャップ(115b')を含む。フィルタハウジング(115')は、空気の通路(Ap)が外部空間と連結される地点に位置する少なくとも1つのベントホール(115bh')を形成する。ベントホール(115bh')は、ベントキャップ(115b')に形成される。ベントホール(115bh')は、上側に向かってオープン(open)にされ得る。
【0066】
薬品移送管装置用カバー(200)は、薬品移送管装置(100)が挿入される挿入空間(200s)を形成する。挿入空間(200s)は、下側に開口部(200sa)を有する。本実施例では、挿入空間(200s)は、中心軸(X)を中心とした周りのうち下側に開口部(200sa)を有する。
【0067】
薬品移送管装置(100)は、挿入空間(200s)を限定するカバーボディー(210、280’)を含む。一実施例において、カバーボディー(210、280’)は、毛細流路(120p)を内部に収容するための毛細流路収容部(210)と、空気通過フィルタ(160’、170’)を内部に収容するためのフィルタ収容部(280')を含むが、他の実施例において、前記カバーボディーは、毛細流路収容部(210)を含むものの、フィルタ収容部(280')を含まなくてもよい。本実施例では、毛細流路収容部(210)とフィルタ収容部(280')を含むカバーボディー(210、280’)を基準として説明するが、本開示はこれに制限されない。
【0068】
薬品移送管装置(100)は、カバーボディー(210、280’)の下側に配置されるベース(220)を含み得る。ベース(220)は、上下方向に垂直な水平方向に延長される。ベース(220)は、カバー(200)の最下端になる下端面(221)を有する。薬品移送管装置(100)は、カバー(200)の最下端になる下端面(221)をそれぞれ有する一対のベース(220a、220b)を含み得る。一対のベース(220a、220b)は、下側開口部(220sa)を介して左右に配置され得る。一対のベース(220a、220b)の下端面(221)は、上下方向に同じレベル(level)に配置され得る。これを通じて、患者の皮膚にカバー(200)を固定するとき、患者の着用感を向上させることができる。
【0069】
薬品移送管装置(100)は、カバーボディー(210、280’)で上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部(230)を含み得る。本実施例において、係止部(230)は、空気フィルタ収容部(280')で水平方向に突出するが、図示されていない他の実施例において、前記係止部は、毛細流路収容部(210)で水平方向に突出し得る。薬品移送管装置(100)は、一対の係止部(230a、230b)を含み得る。一対の係止部(230a、230b)は、下側開口部(220sa)を介して左右に配置され得る。
【0070】
薬品移送管装置(100)は、カバーボディー(210、280’)の下側に配置され、ベース(220)から離隔されて配置される補助ベース(240)を含み得る。補助ベース(240)は、カバー(200)の最下端になる下端面(241)を有し得る。ベース(220)の下端面(221)と補助ベース(240)の下端面(241)は、上下方向に同じレベルに配置され得る。これを通じて、患者の皮膚にカバー(200)を固定するとき、患者の着用感を向上させることができる。薬品移送管装置(100)は、一対の補助ベース(240a、240b)を含み得る。一対の補助ベース(240a、240b)は、下側開口部(220sa)を介して左右に配置され得る。
【0071】
固定装置(300)は、係止部(230)が係止される固定部材(310)を含み得る。固定部材(310)は、係止部(230)が脱着可能に結合されるように構成され得る。
【0072】
固定部材(310)は、付着部材(320)に固定される固定ベース(311)を含み得る。固定ベース(311)は、付着部材(320)の上側面に固定され得る。
【0073】
固定部材(310)は、固定ベース(311)にヒンジ部(313)を中心に回転可能に配置されるロック部(312)を含み得る。一対の係止部(230a、230b)に対応する一対のロック部(312)が備えられる。ヒンジ部(313)は、固定ベース(311)とロック部(312)との間の回転軸を提供し、前記回転軸は中心軸(X)に平行であり得る。
【0074】
固定ベース(311)及びロック部(312)のいずれか1つは、フック部(312a)を含み、もう1つは、フック部(312a)が係止されるフック係止部(311a)を含む。本実施例では、ロック部(312)がフック部(312a)を含み、固定ベース(311)がフック係止部(311a)を含む。
【0075】
フック部(312a)がフック係止部(311a)に結合された状態でカバー(200)の係止部(230)が固定部材(310)に固定される。この時、ロック部(312)は係止部(230)の上側面を覆う。
【0076】
フック部(312a)がフック係止部(311a)から分離された状態でカバー(200)の係止部(230)が固定部材(310)から分離され得る。ロック部(312)を、ヒンジ部(313)を中心に回転させて開くことにより、カバー(200)の係止部(230)を固定部材(310)から分離させることができる。
【0077】
固定部材(310)は、係止部(230)のホール(230h)に挿入される挿入突起(311b)を含み得る。挿入突起(311b)は、上側に突出し得る。挿入突起(311b)は、固定ベース(311)から突出し得る。ロック部(312)の下側面にはホール(230h)を通過した挿入突起(311b)の上側末端部が挿入されるホールまたは溝(312b)が形成され得る。
【0078】
固定装置(300)は、固定部材(310)が固定される付着部材(320)を含み得る。付着部材(320)は、使用者に付着可能に構成され得る。例えば、付着部材(321)は、患者の皮膚に付着される下側面を含むフレキシブルな材質から形成され得る。図示されていない他の実施例において、前記付着部材は、ストラップや使用者が着用している部材などを含むこともできる。
【0079】
図5は、
図1の薬品移送管装置用カバー(200)の斜視図であって、一部を切開して示したものである。
図6は、
図1の薬品移送管装置用カバー(200)の下側面を見た立面図である。
図7は、
図6のカバー(200)をラインS2-S2'に沿って切った断面図である。
図8は、
図7のカバー(200)をラインS3-S3'に沿って切った断面図である。
【0080】
本開示の一実施例による薬品移送管装置用カバー(200)は、内部に薬液が流れるように構成された毛細流路(120p)を有する薬品移送管装置(100)が挿入される挿入空間(200s)を形成する。挿入空間(200s)は、薬品移送管装置(100)が挿入可能に下側に開口部(220sa)を有する。
【0081】
挿入空間(200s)は、中心軸(X)に沿って延長され得る。挿入空間(200s)は、薬品移送管装置(100)の外形のうち一部に対応する形状に形成され得る。
【0082】
挿入空間(200s)は、薬品移送管装置(100)の毛細流路(120p)を内部に収容可能な毛細流路収容空間(200s1)を含む。毛細流路収容空間(200s1)は、全体的に前後方向に延長され、下側に開口部(220sa)を有する円筒状に形成され得る。毛細流路収容空間(200s1)の内部に移送管ハウジング(111)が収容され得る。
【0083】
挿入空間(200s)は、薬品移送管装置(100)の少なくとも1つの空気通過フィルタ(160’、170’)を内部に収容可能なフィルタ収容空間(200s2')をさらに含み得る。フィルタ収容空間(200s2')は、前後方向に延長され、毛細流路収容空間(200s1)に連結され得る。フィルタ収容空間(200s2')は、毛細流路収容空間(200s1)の後方に配置され得る。フィルタ収容空間(200s2')の内部にフィルタハウジング(115')が収容され得る。
【0084】
下側開口部(220sa)は、中心軸(X)に沿って延長され得る。下側開口部(220sa)は、左右に幅(d2)を有し得る。下側開口部(220sa)の左右方向の幅(d2)は、位置に応じて互いに異なり得る。
【0085】
挿入空間(200s)は、中心軸(X)の延長方向に両端のうち少なくとも1つに開口部(200sb、200sc)を有し得る。挿入空間(200s)は、中心軸(X)の延長方向に両端のうち流入ポート(O1)が配置される方向に上流開口部(200sb)を有し得る。挿入空間(200s)は、中心軸(X)の延長方向に両端のうち流出ポート(O2)が配置される方向に下流開口部(200sc)を有し得る。上流開口部(200sb)と下流開口部(200sc)は、挿入空間(200s)の両端に位置し得る。
【0086】
カバー(200)は、中心軸(X)を中心とした挿入空間(200s)の周りに沿って延長されたカバーボディー(210、280’)を含む。カバーボディー(210、280’)の内側面は、挿入空間(200s)を限定する。カバーボディー(210、280’)の内側面は、薬品移送管装置(100)の外側面に向かい合い得る。
【0087】
カバーボディー(210、280’)は、薬品移送管装置(100)のハウジング(110)よりフレキシブルな材質から形成され得る。カバーボディー(210、280’)は、シリコーンを含むフレキシブル(flexible)な材質から形成され得る。例えば、シリコーンを用いてカバーボディー(210、280’)を形成し得る。これを通じて薬品移送管(120)に対する断熱性能及び患者の装置着用感を向上させることができる。
【0088】
カバーボディー(210、280’)は、弾性変形して下側開口部(200sa)が左右に広がるように構成され得る。使用者は、下側開口部(200sa)を広げて挿入空間(200s)内に薬品移送管装置(100)を挿入したり、挿入空間(200s)から薬品移送管装置(100)を取り出したりすることができる。
【0089】
カバーボディー(210、280’)は、挿入空間(200s)のうち毛細流路収容空間(200s1)を形成する毛細流路収容部(210)を含む。カバーボディー(210、280’)は、挿入空間(200s)のうちフィルタ収容空間(200s2')を形成するフィルタ収容部(280')をさらに含み得る。本実施例において、カバーボディー(210、280’)は、毛細流路収容部(210)とフィルタ収容部(280')とのいずれも含むが、図示されていない他の実施例において、カバーボディーは、毛細流路収容部(210)を含むものの、フィルタ収容部(280')を含まなくてもよい。フィルタ収容部(280')は、毛細流路収容部(210)で後側に延長される。
【0090】
カバーボディー(210、280’)の内側面には陥没して互いに離隔される複数の溝(210h)が形成され得る。毛細流路収容部(210)の内側面に複数の溝(210h)が形成され得る。複数の溝(210h)は、中心軸(X)の延長方向に互いに離隔されて配列され得る。複数の溝(210h)は、中心軸(X)を中心とした周方向に互いに離隔されて配列され得る。複数の溝(210h)を通じて空気層を形成することにより、カバー(200)の断熱性能を向上させることができる。
【0091】
フィルタ収容部(280')の内側面には薬品移送管装置(100)のベントキャップ(115b')の突出部分が挿入されるベント挿入溝(280h')が形成され得る。ベント挿入溝(280h')は、上側に陥没して形成され得る。ベント挿入溝(280h')にベントホール(115bh')が挿入され得る。
【0092】
フィルタ収容部(280')の内側面には陥没して延長される流路溝(280p')が形成され得る。流路溝(280p')は、ベントホール(115bh')を通じて薬品移送管装置(100)の外部に流出された空気が薬品移送管装置(100)とフィルタ収容部(280')との間の空間から更に十分に排出され得るように空間を提供することができる。流路溝(280p')は、中心軸(X)方向に沿って延長され得る。流路溝(280p')の一端は、流路溝(280p')に連結され得る。
【0093】
カバー(200)は、カバーボディー(210、280’)の下側に配置されるベース(220)を含み得る。ベース(220)は、カバーボディー(210、280’)から延長され得る。ベース(220)は、上下方向に垂直な水平方向に延長され得る。ベース(220)は、カバー(200)の最下端になる下端面(221)を有し得る。下端面(221)は、付着部材(320)の上側面に接触して患者の皮膚を加圧することになる面である。下端面(221)は、水平面を含み得る。一対のベース(220)の下端面(221)は、上下方向にレベル(level)が同じであり得る。
【0094】
下端面(221)には上側に陥没して下端面(221)の縁部まで延長される通気溝(220h)が形成され得る。通気溝(220h)を通じて患者の皮膚で発生する汗の排出を円滑にすることができ、患者の装置着用感を向上させることができる。通気溝(220h)は、水平方向に延長され得る。
【0095】
通気溝(220h)は、上側に陥没して下端面(221)の外側縁部(226)まで延長される第1溝(220h1)を含み得る。ここで、下端面(221)の縁部(225、226、227、228)のうち下側開口部(200sa)に接する縁部を内側縁部(225)と定義し、内側縁部(225)の反対方向に位置する縁部を外側縁部(226)と定義する。第1溝(220h1)は、左右方向に延長され得る。
【0096】
通気溝(220h)は、上側に陥没して下端面(221)の前方縁部(227)及び後方縁部(228)のうち少なくとも1つまで延長される第2溝(220h2)を含み得る。本実施例において、第2溝(220h2)は、両端が前方縁部(227)及び後方縁部(228)まで延長され得る。第2溝(220h2)は、前後方向に延長され得る。第1溝(220h1)は、第2溝(220h2)に連結され得る。第1溝(220h1)は、第2溝(220h2)から外側縁部(226)まで延長され得る。
【0097】
通気溝(220h)は、下側開口部(220sa)から離隔され得る。通気溝(220h)は、下側開口部(220sa)から水平方向に離隔され得る。即ち、通気溝(220h)は、下端面(221)の内側縁部(225)から離隔され、下側開口部(200sa)と連結されないように形成され得る。これを通じて、通気のための空間を確保しながらも、挿入空間内に外気が流入しないようにして断熱性能を維持することができる。
【0098】
カバー(200)は、カバーボディー(210、280’)で上下方向に垂直な水平方向に延長される係止部(230)を含み得る。係止部(230)は、カバーボディー(210、280’)で外側に突出し得る。一対の係止部(230a、230b)が左右方向に突出し得る。
【0099】
係止部(230)は、固定装置(300)に固定可能に形成され得る。係止部(230)は、フック(231)及びホール(230h)のうち少なくとも1つを形成し得る。係止部(230)は、前方または後方に突出したフック(231)を含み得る。係止部(230)は、上下方向に貫くホール(230h)を形成し得る。
【0100】
係止部(230)の下端面(232)は、ベース(220)の下端面(221)より上下方向に高いレベル(level)に配置され得る。下端面(232)は、下端面(221)より段差高(d1)だけ高いレベルに配置され得る。段差高(d1)だけ上側に陥没した空間に固定装置(300)の固定部材(310)が挿入され得る。
【0101】
カバー(200)は、カバーボディー(210、280’)の下側に配置される補助ベース(240)を含み得る。補助ベース(240)は、ベース(220)から離隔され得る。補助ベース(240)は、ベース(220)から中心軸(X)の延長方向に離隔され得る。補助ベース(240)は、係止部(230)を介してベース(220)と離隔されて配置され得る。補助ベース(240)は、ベース(220)の前方に配置され得る。
【0102】
ベース(240)は、カバー(200)の最下端になる下端面(241)を有し得る。下端面(241)は、付着部材(320)の上側面に接触して患者の皮膚を加圧することになる面である。下端面(241)は、水平面を含み得る。一対のベース(240)の下端面(241)は、上下方向にレベル(level)が同じであり得る。
【0103】
補助ベース(240)は、ベース(220)の下端面(221)と上下方向に同じレベルに配置される下端面(241)を有し得る。下端面(241)は、下端面(221)と中心軸(X)の延長方向に離隔され得る。下端面(241)は、下端面(221)の前方に配置され得る。下端面(241)は、下端面(221)と係止部(230)を介して離隔され得る。補助ベース(240)を通じて、患者の装置着用感を更に向上させることができる。
【0104】
図9は、
図7のカバー(200)をラインS4-S4'に沿って切った断面図である。
図9を参照すると、ベース(220)はカバーボディー(210、280’)で内側に突出するインナー突出部(220i)を含み得る。ベース(220)は、カバーボディー(210、280’)で外側に突出するアウター突出部(220j)を含み得る。インナー突出部(220i)とアウター突出部(220j)は、左右方向に互いに連結され得る。インナー突出部(220i)の下端面とアウター突出部(220j)の下端面は、同じ水平面上で互いに連結される。インナー突出部(220i)は、薬品移送管装置(100)の下側面の一部を覆い得る。インナー突出部(220i)の前後方向の長さは、アウター突出部(220j)の前後方向の長さより短くてもよい。
【0105】
カバー(200)は、挿入空間(200s)の内側に向かって突出する挿入部(250)を含み得る。挿入部(250)は、上側に向かって突出し得る。挿入部(250)は、ベース(220)のインナー突出部(220i)で上側に突出し得る。挿入部(250)は、薬品移送管装置(100)の下側面に形成された上述の溝(110g)に挿入され得る。一対のベース(220a、220b)に対応する一対の挿入部(250a、250b)を含み得る。
【0106】
図10は、
図1の薬品移送管装置セット(1)の使用状態を例示的に示す斜視図である。薬品移送管装置(100)の流入ポート及び流出ポートに連結された2つのチューブは、他の装置に連結されるように延長され得るが、
図10では前記2つのチューブそれぞれの一部区間を除いた残りの延長の部分を省略して示す。
【0107】
図10を参照すると、患者の皮膚(M)の上に薬品移送管装置セット(1)が付着されて用いられる。付着部材(320)の下側面が患者の皮膚に付着され、カバー(200)が固定部材(310)に固定された状態でカバー(200)に囲まれた薬品移送管装置(100)が用いられる。図示されてはいないが、カバー(200)の外側及び患者の皮膚に追加で皮膚付着用テープを付着して、更にしっかり薬品移送管装置セット(1)を患者の皮膚(M)に付着することができる。カバー(200)は、外気の温度が上述の薬品移送管に及ぼす影響を減らし、薬品移送管装置(100)を通じて薬液が一定の流速で流れるようにサポートする。また、カバー(200)のベース(220)構造によって薬品移送管装置セット(1)を着用した患者が皮膚(M)に痛みを感じる確率を減らし、通気溝(220h)を通じて患者の皮膚(M)で発生する汗の排出を促進することにより、患者の装置着用感を大きく向上させることができる。
【0108】
以上、一部の実施例と添付の図面に示された例によって本開示の技術的思想が説明されたが、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされるという点を理解しなければならない。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属すると考えられなければならない。