(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】経口吸入製剤のためのインビトロ放出試験(IVRT)装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/15 20060101AFI20240129BHJP
B01D 46/02 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01N33/15 A
B01D46/02 A
(21)【出願番号】P 2022528180
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2019081551
(87)【国際公開番号】W WO2021093979
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】522188082
【氏名又は名称】ナノファーム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プライス ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダンソン アローン
(72)【発明者】
【氏名】ストルニシャ グレゴール
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/051180(WO,A1)
【文献】国際公開第00/046597(WO,A1)
【文献】特表2014-531601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/15
G01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口吸入製剤品のためのインビトロ放出試験(IVRT)装置であって、
当該装置は、IVRT機器で使用されるものであり、
経口吸入製剤の用量を表す粒子状物質が堆積される空気透過性のフィルター(F)と、上部フィルター支持要素(130、230、330)と、下部フィルター支持要素(140、240、340)と、フィルターカバー(120、220、320)と、フィルターカバーリテーナ(110、210、310)と、を備え、
前記上部フィルター支持要素(130、230、330)と前記下部フィルター支持要素(140、240、340)との間に前記フィルター(F)の周囲が保持され、
前記フィルターカバー(120、220、320)は、前記粒子状物質が堆積されるフィルター(F)の上面を覆い、
前記フィルターカバーリテーナ(110、210、310)は、当該IVRT装置を組み立ておよびシールするために設けられており、前記下部フィルター支持要素(140、240、340)と、前記フィルター(F)と、前記上部フィルター支持要素(130、230、330)と、前記フィルターカバー(120、220、320)間の圧縮荷重を制御するためのバネを有する
ことを特徴するIVRT装置。
【請求項2】
前記下部フィルター支持要素(140、240)を受けるとともに、当該IVRT装置のシールアセンブリのために前記フィルターカバーリテーナ(110、210)と協働するホルダー(150、250)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下部フィルター支持要素(140、240)と前記フィルター(F)との間にメッシュ(145)が設けられ、前記フィルターの下面を覆うことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルターカバーリテーナ(110、210)は、前記ホルダー(150、250)上にバヨネットタイプのフィッティングを提供する脚
部を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記フィルターカバーリテーナ(310)は、当該IVRT装置のシールアセンブリのために、前記下部フィルター支持要素(340)と直接協働することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルター(F)は、織布、不織布、メッシュおよび空気透過性フィルムから選択されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルター(F)は、ガラスマイクロファイバー、合成セルロース系の材料、または、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルおよびポリエーテルエーテルケトンから選択される高分子材料のフィラメントから形成される布を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルター(F)は、金属メッシ
ュを含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルター(F)は、5μm以下、
または3μm以下の孔径を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルター(F)は、少なくとも1μmの孔径を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルター(F)は、フィルターがない場合と比較して、20%以下
、15%以下、
または10%以下の流量の減少を生成するような空気透過性を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口吸入製剤のためのインビトロ放出試験(IVRT)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インビトロ(in vitro)放出試験(IVRT)は、局所ベース用製品(topical based product)の局所的に作用する半固形剤形の放出および拡散を測定するために一般的に使用されてきた。放出プロファイルは、インビトロ放出速度(IVRR)の決定を可能にする。IVRRは、医薬品有効成分の物理的および化学的特性と製剤の微細構造特性に関する重要な品質特性を提供できる速度論的パラメーターである。
【0003】
IVRTは、研究コミュニティで十分に確立されており、経口投与製剤の一般的な溶解方法と同じ基本原理を共有しているが、規制当局が、局所的に作用する局所医薬品の代替生物学的同等性評価ツールとして、IVRTの適用と検証に取り組み始めたのは、ごく最近のことである。2016年、米国食品医薬品局(FDA)は、5%アシクロビルクリームのIVRTテストの開発と検証方法に関するガイダンスを起草した。
【0004】
これらのIVRTピボタル試験は、米国薬局方(USP)の一般章<1724>:半固形製剤-性能試験(Performance Tests)で規定されている一般的な手順および統計分析方法と互換性のある方法で実行する必要がある。これらには、垂直拡散セル(VDC)、液浸セル、およびUSP4装置で使用されるフロースルーセルのさまざまなモデルが含まれる。これらのシステムを
図1~
図3に示す。
【0005】
最も一般的なIVRT技術は、垂直拡散セル(VDC)システム、またはより一般的にはフランツセルとして知られている(
図1を参照)。これは、拡散の物理的障壁として機能する膜によって分離された2つのチャンバー(ドナーチャンバーとレセプターチャンバー)で構成されている。理想的な膜は、薬物の物質移動に対する抵抗が最小であり、薬物の結合がなく、厚さが最小である必要がある。各VDCチャンバーは、クランプ、ねじ蓋またはその他の手段によって一緒に保持される。ほとんどの半固体投与量試験では、一定量のサンプルが、サンプルチャンバー内の合成不活性膜上に置かれて、ガラスサポートディスクで塞がれる。レセプター液は、一定温度に維持され、試験期間中はシンク条件下に保たれる。
【0006】
インビトロ放出速度は、
図2に示す液浸セルタイプの装置を使用して決定することもできる。このシステムは、経皮パッチをテストするためのUSPパドルオーバーディスク装置V(USP Paddle-over disk Apparatus V)法に基づいており、テフロンセルが溶解容器の底に配置される。そのセルは、剤形とレセプター液とを合成膜を介してレセプター液から分離した状態に保つ。
【0007】
第3の方法は、
図3に示すUSP4フロースルーセル装置に基づいており、サンプルは、小さなインサーションセル(insertion cell)内に含まれ、その中には、リザーバーとリングが含まれており、合成膜を保持する。そのリザーバーは、さまざまな量の半固体製品に対応するためにさまざまなサイズで利用可能である。そのセルを、合成膜が下に向くようにUSP4フロースルーセル内に挿入し、準備されたセルがヒートジャケットに挿入される。シンク条件を達成し、分析方法の精度を確保するには、そのリリースリザーバーの容量を適合させる必要がある。
【0008】
これらの技術の一般原理は非常に類似しており、薬物放出のためには、薬物受容体(drug receptor)とレセプターチャンバーとを、既知の拡散領域の露出した開口部を有する合成膜によって分離する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、経口吸入製剤の放出試験のための代表的なエアロゾル用量を受け取るように上記のシステムを適合させることである。
【0011】
本発明はまた、製造および組み立てが簡単で安価であり、信頼できる方法で使い易いIVRT装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る装置は、経口吸入製剤品のためのインビトロ放出試験(IVRT)装置であって、当該装置は、IVRT機器で使用されるものであり、経口吸入製剤の用量を表す粒子状物質が堆積される空気透過性のフィルターと、上部フィルター支持要素と、下部フィルター支持要素と、フィルターカバーと、フィルターカバーリテーナと、を備え、前記上部フィルター支持要素と前記下部フィルター支持要素との間に前記フィルターの周囲が保持され、前記フィルターカバーは、前記粒子状物質が堆積されるフィルターの上面を覆い、前記フィルターカバーリテーナは、当該IVRT装置を組み立ておよびシールするために設けられていることを特徴する。
【0013】
有利には、前記下部フィルター支持要素を受けるとともに、当該IVRT装置のシールアセンブリのために前記フィルターカバーリテーナと協働するホルダーをさらに含む。
【0014】
有利には、前記下部フィルター支持要素と前記フィルターとの間にメッシュが設けられ、前記フィルターの下面を覆う。
【0015】
有利には、前記フィルターカバーリテーナは、前記ホルダー上にバヨネットタイプのフィッティングを提供する脚部を備える。
【0016】
有利には、前記フィルターカバーリテーナは、当該IVRT装置のシールアセンブリのために、前記下部フィルター支持要素と直接協働する。
【0017】
有利には、前記フィルターは、織布、不織布、メッシュおよび空気透過性フィルムから選択される。
【0018】
有利には、前記フィルターは、ガラスマイクロファイバー、合成セルロース系の材料、または、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルおよびポリエーテルエーテルケトンから選択される高分子材料のフィラメントから形成される布を含む。
【0019】
有利には、前記フィルターは、金属メッシュ、例えば、ステンレス鋼メッシュを含む。
【0020】
有利には、前記フィルターは、5μm以下、好ましくは3μm以下の孔径を有する。
【0021】
有利には、前記フィルターは、少なくとも1μmの孔径を有する。
【0022】
有利には、前記フィルターは、フィルターがない場合と比較して、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下の流量の減少を生成するような空気透過性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の特定の実施形態は、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照して以下に説明される。
【
図3】USP4フロースルーセル装置の概略図である。
【
図4】有利な実施形態による用量収集装置の断面図である。
【
図6】本発明に係る第1の有利な実施形態によるIVRT装置の概略分解斜視図である。
【
図8】本発明に係る第2の有利な実施形態によるIVRT装置の概略分解斜視図である。
【
図9】本発明に係る第3の有利な実施形態によるIVRT装置の概略分解斜視図である。
【
図10】用量収集のための一つのステップの概略図である。
【
図11】用量収集のための別の一つのステップの概略図である。
【
図12】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図13】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図14】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図15】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図16】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図17】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図18】用量収集のためのさらに別の一つのステップの概略図である。
【
図19】
図6と
図7に示されるように、装填されたフィルターをIVRT装置に移すための一つのステップの概略図である。
【
図20】装填されたフィルターをIVRT装置に移すための別のステップの概略図である。
【
図21】装填されたフィルターをIVRT装置に移すためのさらに別のステップの概略図である。
【
図22】
図2に示される液浸セル装置に配置された
図6と
図7に示すIVRT装置の概略図である。
【
図23】
図2に示される液浸セル装置に配置された
図6と
図7に示すIVRT装置の概略図である。
【
図24】
図1に示されるVDC装置上に配置された、
図8に示すIVRT装置の概略図である。
【
図25】
図3に示されるUSP4フロースルーセル装置に配置された、
図9に示すIVRT装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、吸入可能な製剤の粒子を収集するための装置を利用する。参照として本明細書に組み込まれる特許文献1には、そのような装置が開示されている。
【0025】
特許文献1に記載の装置は、フィルターFを含む用量収集セクションを含む。フィルターFは、オリフィスの下流において空気流の流れ方向に対して直交するように配置される。フィルターとの衝突点では、比較的均一で低速の空気流であるという条件が望ましい。
【0026】
用量収集セクション10の1つの有利な実施形態が
図4と
図5に示されている。
【0027】
図4に示す用量収集装置10は、
図4の上から下に向かって、上部アダプタ要素20、上部本体30、フィルターユニット40、下部本体50、およびクランプ装置60を含む。クランプ装置60は、上部本体と下部本体を一緒にクランプするために使用される。
【0028】
上部本体30は、入口オリフィス32を規定する漏斗31を備える。漏斗31は、乱流を誘発する可能性のある鋭いエッジの発生を低減するために先細りになっており、流体の流れを、オリフィス32からフィルターユニット40に向かって下向きに延びる、妨げられない垂直経路に送るように配置されている。
【0029】
フィルターFは、以下でより詳細に説明するフィルターユニット40によって支持されている。
【0030】
オリフィス32の面積は、堆積物が生じるフィルターFの露出面積と同様かまたはそれよりもわずかに小さい。
【0031】
図示されていない吸引源は、オリフィスから離れた側のフィルターFの面と空気連通しており、オリフィス32を含む経路を通して空気を引き込み、
図4と
図5においてフィルターFを下方向に引き込む働きをする。
【0032】
流量コントローラ(図示せず)は、吸引源と連係することができ、適切な流れ状態を維持する。
【0033】
下部本体50は、その上面でフィルターユニット40を受け入れる。
図15に示すように前記上面は、クランプ時に装置の主要な空気経路のシールを提供するOリング70を含む。その上面にはまた、下部本体50上のフィルターユニット40の回転位置合わせを提供する第1の凹部51が設けられている。第2の凹部52は、クランプ装置60を解放する際に、下部本体50からのフィルターユニット40の手動、半自動または自動の引き抜きを可能にするために設けられている。
【0034】
フィルターFは、最大5μmまでの範囲、例えば、0.5μmから5μmの範囲の粒子を保持するのに適切な任意のフィルターとすることができる。例えば、孔径が最大3μmまでのフィルターを使用できる。
【0035】
有利には、フィルターは、フィルターがない場合の流量と比較して、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下の流量の減少を生じさせるような空気透過性を有する。このようなフィルターは、必ずしもそうとは限らないが、少なくとも1μmの孔径を有する可能性がある。
【0036】
フィルターは、例えば、織布、不織布、メッシュおよび空気透過性フィルムから選択することができる。いくつかの実施形態では、フィルターは、ガラスマイクロファイバーから形成される布、または、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(例えば、ナイロン)、アクリル、アクリルコポリマー、ポリ塩化ビニルおよびポリエーテルエーテルケトンから選択される高分子材料のフィラメントから形成される布を含む。適切なポリオレフィンには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび1つまたは複数の他のモノマーを有するエチレン、プロピレンのコポリマーが含まれる。フィルターはまた、合成セルロース系の材料、例えば酢酸セルロース、硝酸セルロースおよび混合セルロースエステル合成膜などを含むことができる。
【0037】
適切なガラスマイクロファイバーには、例えば、米国のポールコーポレーションからタイプA/Eとして市販されている、公称孔径1μmのガラス繊維フィルターなどのホウケイ酸ガラスが含まれる。適切なポリマーフィルターの実例としては、孔径が3μm以下のアクリルコポリマーフィルター、例えば、孔径が0.2、0.45、0.8、1.2および3μmのフィルターが含まれる。公称孔径が3μm以下のポリアミドまたはポリ塩化ビニルのポリマーフィルターも広く市販されている。これは、セルロース系の膜についても同様である。
【0038】
他の実施形態では、フィルターは、例えばステンレス鋼の金属メッシュを含み、これは、有利には3μm未満の孔径を有する。他の適切な材料には、例えば、適切なレベルの空気透過性を有するという条件で、ポリマーフィルムが含まれる。
【0039】
用量収集装置の使用後、収集された粒子を含むフィルターFは、IVRTの対象になるので、IVRT装置を用いて、対応するIVRT機器に移送する必要がある。
【0040】
図6~
図9は、本発明に係るIVRT装置の3つの実施形態を示す。
【0041】
図6と
図7は、
図2に示される液浸セル装置に適合しているIVRT装置100の第1の実施形態を示す。
【0042】
図8は、
図1に示されるVDC装置に適合しているIVRT装置200の第2の実施形態を示している。
【0043】
図9は、
図3に示されるUSP4フロースルーセル装置に適合しているIVRT装置300の第3の実施形態を示す。
【0044】
第1の実施形態に係るIVRT装置100は、フィルターカバーリテーナ110と、フィルターカバー120と、上部フィルター支持要素130と、フィルターFと、下部フィルター支持要素140と、フィルターFと下部フィルター支持要素140との間に挿入されるメッシュ145と、ホルダー150を備える。
【0045】
第2の実施形態に係るIVRT装置200は、フィルターカバーリテーナ210と、フィルターカバー220と、上部フィルター支持要素230と、フィルターFと、下部フィルター支持要素240と、ホルダー250と、Oリング260を備える。
【0046】
第3の実施形態に係るIVRT装置300は、フィルターカバーリテーナ310と、フィルターカバー320と、上部フィルター支持要素330と、フィルターFと、下部フィルター支持要素340を備える。
【0047】
図10~
図18は、上記の用量収集装置10を使用した場合の、3つのIVRT装置すべての用量収集に関連する基本の各ステップを示す図である。用量収集時に、使用するIVRT装置に応じて、膜をシールするためのさまざまなオプションがある。これについては後述する。
【0048】
図10~
図18に示されるようなフィルターFを取り扱うための各ステップは、下部本体50に関連しており、これらの各ステップは、下部本体50の上から見た様子が示されている。上記の各ステップは、3つのIVRT装置のすべてについて同じである。
【0049】
図10は、下部本体50を上から見た様子を示す図であり、下部本体50は、第1の凹部51と第2の凹部52を備える。
【0050】
図11は、フィルターベースを備えた下部本体50を示す図である。フィルターベースは、下部本体50に恒久的に接着されているか、または下部本体50に着脱可能とすることができる。
【0051】
図12は、上記のフィルターベース上に下部フィルター支持要素140が追加された様子を示す図である。
【0052】
図13は、下部フィルター支持要素140の上にフィルターFが追加された様子を示す図である。
【0053】
図14は、フィルターFの上に上部フィルター支持要素130が追加された様子を示す図である。
【0054】
図15は、下部本体50の上に上部本体30を組み立ててクランプした様子を示す図である。このクランプにより、Oリング70が圧縮され、フィルターFがその用量収集位置に維持される。この位置では、上記の用量収集装置10を用いて、フィルターF上で用量を収集することができる。
【0055】
図16は、上部本体30を取り外した後の装置を示す図であり、
図14と同様であるが、
図16ではフィルターF上に粒子が堆積されている。
【0056】
図17は、薬剤が溶出したフィルターF上にフィルターカバー120を取り付けて、収集された用量を閉塞および保護している様子を示す図である。
【0057】
図18は、下部本体50に接着されていない場合のフィルターベースが取り外された様子を示す図である。このステップは、
図18に示すように下部本体50を上下逆さまにして行われる。
【0058】
この段階で、下部フィルター支持要素140と、装填されたフィルターFと、上部フィルター支持要素130と、フィルターカバー120とによって形成されたユニットが残っている。次に、このユニットはIVRT装置に配置され、対応するIVRT機器で使用される。
【0059】
図19~
図21は、
図2に示す液浸セル装置のアセンブリをどのように組み立てるかを示す図である。
図19が下から見たとき、
図20と
図21は、上から見たときの様子を示している。下部フィルター支持要素140と、装填されたフィルターFと、上部フィルター支持要素130と、フィルターカバー120によって形成されるユニットは、適切なメッシュ145とともに、ホルダー150内に位置決めされている。フィルターカバーリテーナ110は、3つの脚部を含み、ホルダー150と、下部フィルター支持要素140と、フィルターFと、上部フィルター支持要素130と、フィルターカバー120の間の圧縮荷重を制御するためのバネ111を有する。このフィルターカバーリテーナ110は、そのアセンブリを一緒にクランプし、薬剤が溶出したフィルターFが溶解容器内のレセプター液から閉塞され、したがって完全に浸漬され得ることを確実にする。
図21に示すようにフィルターカバーリテーナ110は、ホルダー150に取り付けられ、よく知られているバヨネットフィッティング(bayonet fitting)によってそのアセンブリをシールするために回転される。
【0060】
図22と
図23に示すように、組み立てられたセルは溶解容器に挿入が可能である。
ホルダー150の外形寸法とピッチは、ガラス容器内で容器の曲率に対して水平に位置するように設計されている。これにより、容器内のセルの正しい高さを制御できるようになり、セル表面が液浸セル装置のスターラーパドルに対して確実に位置合わせされる。
【0061】
図24は、
図8に示すIVRT装置が取り付けられたVDC装置を示す図である。
図24に示すように閉塞したセル(occluded cell)をジャケット付きの垂直拡散セル内のレセプター液と直接接触させることができる。閉塞されたエアロゾル用量とリザーバー間の拡散連通は、レセプター液とフィルターとの接触を介して行われる。その試験のための投与量送達表面積を定義する、露出したフィルター、ドナーチャンバーおよびレセプターチャンバーの直径は、類似しており、規定された直径の±5%以内である必要があることに留意すべきである。
【0062】
図25は、
図9に示すIVRT装置を備えたUSP4フロースルーセル装置を示す図である。USP4フロースルーセル装置のホルダーアセンブリは、上記の他の2つのアセンブリとはまったく異なる。下部エアチャンバー内に上記とは異なる下部フィルター支持要素340(クランプ用の3つのセクションを有する)を有し、これが、ホルダーなしでクランプおよびエアロゾル用量の閉塞を可能にする。組み立てられてシールされたインサーションセルがUSP4フロースルーセル装置に配されている様子が
図25に示されている。そのアセンブリをシールおよび閉塞する際の3つの脚部によるクランプの初期位置合わせのための領域は、レセプター液の流れ(オープンまたはクローズドシステムのいずれか)のために十分なギャップを与え、レセプター液が、露出したフィルターの拡散領域と接触し、USP4セルの上部を通る連続的な流れの出口を作ることを可能にする。
【0063】
前述の説明において、既知の、明白な、または予見可能な同等物を有する数または要素が言及されている場合、そのような同等物は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するための特許請求の範囲を参照されるべきであり、それは、そのような同等物を包含するように解釈されるべきである。また、好ましい、有利、便利などと記載されている本発明の数または特徴は任意であり、独立請求項の範囲を限定しないことも理解されたい。さらに、そのような任意の数または特徴は、本発明のいくつかの実施形態において可能な利益はあるものの、望ましくない可能性もあり、したがって、他の実施形態では存在しない可能性があることを理解されるべきである。