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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】加熱デバイスおよび加熱システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240129BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240129BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022532991
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026178
(87)【国際公開番号】W WO2022003946
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩
(72)【発明者】
【氏名】川邊 正実
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉高
(72)【発明者】
【氏名】泉屋 貴文
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504668(JP,A)
【文献】特表2018-504134(JP,A)
【文献】特表2014-533513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスであって、
空気インレットと、
ハウジングと、
前記喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、
前記ハウジング内に位置し、前記喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、
前記チャンバの前記側壁の内周面と前記チャンバに収容された前記消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画される第1空隙と、
前記ハウジングと前記チャンバの前記側壁の外周面との間の第2空隙と、を有し、
前記第1空隙の厚みは、前記第2空隙の厚みよりも大きい、加熱デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載された加熱デバイスにおいて、
前記空気インレットから前記チャンバの内部への空気流路を有し、
前記空気流路は、前記第2空隙及び前記第1空隙を通る第1空気流路を含む、加熱デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された加熱デバイスにおいて、
前記空気インレットから前記チャンバの内部への空気流路を有し、
前記チャンバは、開口を有する底壁を有し、
前記空気流路は、前記チャンバの前記底壁の開口に通じる第2空気流路を含む、加熱デバイス。
【請求項4】
請求項2を引用する請求項3に記載された加熱デバイスにおいて、
前記ハウジングは、前記消耗品が挿入される挿入端部を有し、
前記空気インレットから前記第1空気流路と前記第2空気流路とに分岐する分岐路を含み、
前記消耗品の挿入方向において、前記挿入端部、前記底壁、前記分岐路、前記空気インレットの順に位置する、加熱デバイス。
【請求項5】
請求項2を引用する請求項3又は4に記載された加熱デバイスにおいて、
前記第2空気流路から前記喫煙可能物質に供給される空気量は、前記第1空気流路から前記喫煙可能物質に供給される空気量よりも多い、加熱デバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記加熱デバイスは、前記喫煙可能物質が加熱されるとき、前記加熱デバイスの一部が前記消耗品の前記喫煙可能物質に対応する側面とは接触しないように前記喫煙可能物質の前記消耗品の挿入方向における位置を位置決めする位置決め部を有する、加熱デバイス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記消耗品の側面と接触して前記喫煙可能物質を前記加熱要素にガイドするガイド部を有する加熱デバイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記第1空隙の体積は、前記第2空隙の体積よりも大きい、加熱デバイス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記チャンバは、前記ハウジングと接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記消耗品の挿入方向において、前記加熱要素と重ならない位置に配置される、加熱デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記ハウジングは、前記消耗品が挿入される挿入端部を有し、
前記消耗品の挿入方向において、前記チャンバの前記側壁の一端は、前記加熱要素よりも前記ハウジングの前記挿入端部側に位置する、加熱デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された加熱デバイスにおいて、
前記チャンバの底壁は、前記ハウジングに対して、前記消耗品の挿入方向に沿って移動可能に構成される、加熱デバイス。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載された加熱デバイスと、
前記加熱デバイスによって加熱される喫煙可能物質を備えた消耗品と、を有する、加熱システム。
【請求項13】
消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスと、前記加熱デバイスによって加熱される喫煙可能物質を備えた消耗品と、を有する、加熱システムであって、
空気インレットと、
ハウジングと、
前記喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、
前記ハウジング内に位置し、前記喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、
前記チャンバの前記側壁の内周面と前記チャンバに収容された前記消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画される第1空隙と、
前記ハウジングと前記チャンバの前記側壁の外周面との間の第2空隙と、を有し、
前記第1空隙の厚みは、前記第2空隙の厚みよりも大きい、加熱システム。
【請求項14】
消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスであって、
ハウジングと、
前記喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、
前記ハウジング内に位置し、前記喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、
前記チャンバの前記側壁の内周面と前記チャンバに収容された前記消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画される第1空隙とを有し、
前記第1空隙の厚みは、1.5mm以上2.0mm以下である、加熱デバイス。
【請求項15】
消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスであって、
ハウジングと、
前記喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、
前記ハウジング内に位置し、前記喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、
前記消耗品と接触して前記喫煙可能物質を前記加熱要素にガイドする内面を備えたガイド部と、を有し、
前記チャンバの前記側壁の内面と前記ガイド部の前記内面との間の前記消耗品の挿入方向と直交する方向における距離は、1.5mm以上2.0mm以下である、加熱デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱デバイスおよび加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。このような香味吸引器として、例えば、喫煙物品を収容するキャビティをハウジング内に備えた電気加熱式エアロゾル発生システムが知られている(特許文献1)。この電気加熱式エアロゾル発生システムでは、ハウジングとキャビティとの間に内部空気流チャンネルが設けられ、内部空気流チャンネルを空気が通過して喫煙物品に供給されることで、空気を予熱できるとされている。また、特許文献1には、内部空気流チャンネルが設けられることにより、ハウジングが冷却されることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5963375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、新たな構造を有する加熱デバイス及び加熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスが提供される。加熱デバイスは、空気インレットと、ハウジングと、喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、ハウジング内に位置し、喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、チャンバの側壁の内周面とチャンバに収容された前記消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画される第1空隙と、ハウジングとチャンバの側壁の外周面との間の第2空隙と、を有する。第1空隙の厚みは、第2空隙の厚みよりも大きい。
【0006】
上記第1態様によれば、複数の空隙を有し、加熱要素に最も近い空隙である第1空隙の厚みが比較的大きいので、空隙が1つの場合に比べて空隙内の空気の対流を制限又は低減させることができ、以下の少なくとも1つが達成され得る。加熱要素及び加熱された喫煙可能物質の熱が第1空隙を通じてチャンバ及びハウジングに伝達されることを抑制又は低減できるので、ハウジング表面の温度上昇を低減でき、且つチャンバにより喫煙可能物質から熱が奪われることを低減することができる。特に、喫煙可能物質の外周側から熱が奪われることが低減できるので、喫煙動作の後半においても、より十分に喫煙可能物質からエアロゾルを発生させることができる。また、チャンバへの熱の伝達も抑制又は低減できることにより、チャンバを介した加熱デバイス内部への熱の伝達をも低減することができる。なお、加熱デバイス内部への熱伝達の低減は、デバイス保護の観点から好ましい。
【0007】
本明細書において、「第1空隙」は、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置付けられた状態において、喫煙可能物質の挿入方向におけるチャンバ内の喫煙可能物質の長さに対応する場所に位置するチャンバの側壁の内周面と、チャンバに収容された消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画された隙間をいう。第1空隙の厚みとは、「第1空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向(消耗品の挿入方向)に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離」をいう。また、第1空隙の厚みとは、具体的に「第1空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離のうち最も長い距離」と考えてもよいし、「第1空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離のうち最も短い距離」と考えてもよい。同様に、「第2空隙」は、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置付けられた状態において、喫煙可能物質の挿入方向におけるチャンバ内の喫煙可能物質の長さに対応する場所に位置するハウジングとチャンバの側壁の外周面との間に存在する隙間をいう。第2空隙の厚みとは、「第2空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離」をいう。また、第2空隙の厚みとは、具体的に「第2空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離のうち最も長い距離」と考えてもよいし、「第2空隙において、チャンバの中心を通り加熱デバイスの長手方向に延びる軸から放射方向に延びる方向における距離のうち最も短い距離」と考えてもよい。言い換えれば、「第1空隙」及び「第2空隙」は、喫煙可能物質の挿入方向において、チャンバに収容された喫煙可能物質の径方向外側に位置する空隙である。また、本明細書において、「消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置決めされた状態」とは、消耗品からエアロゾルを発生させるために、消耗品がチャンバ内の意図された位置に正しく位置決めされた状態(例えばチャンバが「挿入された消耗品が突き当てられる底壁」を有している場合は、消耗品が底部の少なくとも一部に突き当てられた状態、もしくは加熱デバイスが「挿入された消耗品が突き当てられる突当部」をチャンバの内部又は外部に有している場合は、消耗品が突当部の少なくとも一部に突き当てられた状態)をいう。
【0008】
加熱要素は、ピンやブレード等の喫煙可能物質に挿入可能な形状を有する。加熱要素は、例えば、セラミックや耐熱樹脂等の加熱に対する耐熱性と喫煙可能物質への挿入を許容する程度の剛性を有する基板や芯などの支持部と、支持部の表面や内部に形成された抵抗加熱可能なヒーティングトラック等の発熱部とを有し得る。これに限らず、加熱要素は、インダクションコイルによって誘導加熱されるサセプタであってもよい。本明細書における「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換できる材料を意味し、“喫煙可能物質”を加熱する目的の材料を意味する。サセプタは、“喫煙可能物質”に熱を伝えられる位置に配置される。サセプタが変動電磁場内に位置するとき、サセプタ内で誘起される渦電流やサセプタ内での磁気ヒステリシス損失がサセプタの加熱の原因となる。加熱要素は、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置付けられた状態において、喫煙可能物質と接触する部分ということもできる。
【0009】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。サセプタの形状は任意であり、例えば、顆粒状、棒状、ストリップ状、管状、又は筒状等でもよい。サセプタの形状が、環状の電気流路を有する管状であれば、効率よく渦電流を発生させることができる。区画部には、同一形状のサセプタが複数配置されてもよいし、異なる形状のサセプタが配置されてもよい。
【0010】
加熱要素としてサセプタが採用される場合、ハウジング及び/又はチャンバは、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有することが好ましい。これにより、インダクションコイルによりハウジング及び/又はチャンバが発熱しにくく、効率よくサセプタを発熱させることができる。透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する材料としては、例えば、ガラス、植物、木材、紙、PEEK等の樹脂等が挙げられる。
【0011】
インダクションコイルは、例えば平板コイルやシリンドリカルコイルであり得る。インダクションコイルは、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置決めされた状態において、チャンバの底壁を介して消耗品の反対側もしくはチャンバを囲むように設けられ得る。
【0012】
加熱デバイスは、空気インレットからチャンバの内部への空気流路を有し、空気流路は、第2空隙及び第1空隙を通る第1空気流路を含んでもよい。これにより、第2空隙を介して第1空隙に空気が到達するので、第1空隙から喫煙可能物質に空気を供給することができる。この場合、例えば消耗品の側面を形成する部材(例えば巻紙)に穴又は切り欠きを形成するか、消耗品の側面を形成する部材を気体が透過する部材とすることで、ユーザが消耗品を吸引したときに第1空隙に供給された空気を消耗品の側面から消耗品内部に取り込むことができる。また、チャンバは、チャンバ内に挿入された消耗品が突き当てられる底部を有してもよい。底部は、消耗品の端面の少なくとも一部がチャンバの内部に露出されるように、チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の一部を支持するための凹部又は凸部を有してもよい。この場合、ユーザが消耗品を吸引したときに第2空隙を介して第1空隙に供給された空気を消耗品の端面から消耗品内部に取り込むことができる。また、第1空隙の厚みが第2空隙の厚みよりも大きいので、第1空隙に到達した空気の流速が比較的低くなり、空気の対流によるチャンバの冷却を抑制又は低減することができる。これにより、喫煙可能物質の外周側から熱が奪われることが低減できる。
【0013】
加熱デバイスにおいて、第1空隙と第2空隙とが、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置づけられた状態において、互いに連通しないように構成されていてもよい。これにより、第1空隙と第2空隙との間の空気の対流を阻害することができるので、第1空隙と第2空隙とにおける断熱性能を一層向上させることができる。
【0014】
チャンバは、開口を有する底壁を有し得る。空気流路は、チャンバの底壁の開口に通じる第2空気流路を含んでもよい。これにより、第2空隙及び第1空隙を通る第1空気流路を含む場合には、第1空隙から喫煙可能物質への空気の供給に加えて、チャンバの底壁の開口から喫煙可能物質の端部に空気を供給することができるので、第1空気流路と第2空気流路の空気流量比率を容易に調整することができる。即ち、例えば喫煙可能物質の側面から消耗品に取り込まれる空気量と、喫煙可能物質の端面から取り込まれる空気量との比率を容易に調整することができる。これにより、消耗品への空気の供給の自由度を向上させることができる。
【0015】
ハウジングは、消耗品が挿入される挿入端部を有し、加熱デバイスは、空気インレットから第1空気流路と第2空気流路とに分岐する分岐路を含み、消耗品の挿入方向において、挿入端部、底壁、分岐路、空気インレットの順に位置してもよい。これにより、第1空気流路よりも、第2空気流路の長さを短くすることが容易にできるので、第2空気流路から喫煙可能物質の端部に供給する空気量の割合を容易に増加させることができる。その結果、第1空隙における空気の対流によるチャンバの冷却を抑制又は低減しながら、喫煙可能物質に効率よく空気を供給することができる。
【0016】
ユーザが消耗品を吸引したときに第2空気流路から喫煙可能物質に供給される空気量は、第1空気流路から喫煙可能物質に供給される空気量よりも多くてもよい。これにより、第1空気流路の空気の対流によるチャンバの冷却を抑制又は低減しながら、喫煙可能物質から効率的にエアロゾルを放出することができる。
【0017】
加熱デバイスは、喫煙可能物質が加熱されるとき、加熱デバイスの一部が消耗品の喫煙可能物質に対応する側面とは接触しないように喫煙可能物質の消耗品の挿入方向における位置を位置決めする位置決め部を有してもよい。これにより、加熱された喫煙可能物質の熱が加熱デバイスの一部を介して放熱されることが抑制又は低減され得る。
【0018】
加熱デバイスは、消耗品と接触して喫煙可能物質を加熱要素にガイドするガイド部を有してもよい。加熱デバイスの一部は、ガイド部であってよい。これにより、ガイド部が消耗品の喫煙可能物質に対応する側面と接触しないように、位置決め部によって消耗品の挿入方向における喫煙可能物質の位置が位置決めされる場合に、加熱された喫煙可能物質の熱がガイド部を介して放熱されることが抑制又は低減され得る。
【0019】
第1空隙の体積は、第2空隙の体積よりも大きいことが好ましい。チャンバは、ハウジングと接触する接触部を有してもよい。接触部は、消耗品の挿入方向において、加熱要素と重ならない位置に配置されることが好ましい。これにより、加熱要素がチャンバの接触部から離間した位置に設けられるので、加熱要素の熱が接触部を介してハウジングやデバイス内部に伝達されることが抑制又は低減される。その結果、効率よく喫煙可能物質を加熱することができるとともに、ハウジングやデバイス内部の温度上昇を抑制又は低減することができる。消耗品の挿入方向において、チャンバの側壁の一端は、加熱要素よりもハウジングの挿入端部側に位置することが好ましい。これにより、第1空隙と第2空隙とがチャンバの側壁により区画されるので第1空隙と第2空隙との間での空気の対流が抑制又は低減され、第1空隙の熱が第2空隙に伝達されることを抑制又は低減することができる。
【0020】
チャンバの底壁は、ハウジングに対して、消耗品の挿入方向に沿って移動可能に構成されてもよい。これにより、消耗品の使用後に、喫煙可能物質がチャンバ内に配置された状態でチャンバを加熱要素から離れるように(即ち、ハウジングの挿入端部に向かって)移動させることで、たばこ刻み等の喫煙可能物質が消耗品からこぼれることを抑制又は低減しながら、又は容易に、加熱要素から喫煙可能物質を除去することができる。もしくは、消耗品の使用後にハウジングから容易に消耗品を除去することができる。
【0021】
加熱デバイスは、チャンバに連結し、その一部がハウジングの外部に露出されるレバーなどの操作部を有してもよい。これにより、ユーザが操作部を操作することにより、チャンバの底壁をハウジングに対して消耗品の挿入方向に沿って移動させることができる。操作部は、チャンバの接触部に接続されることが好ましい。これにより、接触部が加熱要素から比較的離間した位置に設けられる場合において、加熱要素の熱が接触部に伝達されることが抑制又は低減される。このため、操作部が接触部に接続されることで、操作部に加熱要素の熱が伝達されにくく、ユーザが操作部をより安全に操作することができる。
【0022】
喫煙可能物質は、通気性を有する第1の巻紙によって巻かれてもよい。第1の巻紙には、通気性を有し、喫煙可能物質の落下を防止する蓋が設けられてもよい。蓋は、第1の巻紙に糊で張り付けられてもよいし、摩擦力により第1の巻紙に固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。消耗品は、筒状部材を有してもよい。筒状部材は、紙管又は中空フィルタであり得る。
【0023】
中空フィルタは、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとで構成され得る。充填層は、繊維の充填密度が高いため、吸引時、空気やエアロゾルは、中空チャネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。中空フィルタは隣接するフィルタ部等で構成されたマウスピースを有していてもよい。
【0024】
喫煙可能物質の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。喫煙可能物質の円周は、15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mmであることがより好ましく、20mm~23mmであることがさらに好ましい。また、喫煙可能物質の長さは12mm~22mm、第1の巻紙の長さは12mm~22mm、中空フィルタの長さは7mm~26mm、フィルタ部の長さは6mm~20mmであってよい。
【0025】
消耗品に含まれる喫煙可能物質は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。固形の喫煙可能物質中のエアロゾル源の含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、特に限定されないが、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0026】
喫煙可能物質としては、ラミナ、中骨等のたばこ、又はその他の公知の植物を使用し得る。また、たばこ等の喫煙可能物質の形状は、刻み状、シート状、紐状、粉状、粒状、ペレット状、スラリー状、又は多孔質状などであってもよい。消耗品におけるたばこ等の喫煙可能物質の含有量の範囲は、喫煙可能物質の大きさが円周20mm~23mm、長さ18mm~22mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。たばこ等を喫煙可能物質として含む喫煙可能物質の水分含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、例えば、8重量%~18重量%であり10重量%~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制又は低減し、製造時の巻上適性を良好にする。喫煙可能物質の一例として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを喫煙可能物質として用いてもよい。さらに、喫煙可能物質は液状でもよく、液は粘度を有してもよく、この場合喫煙可能物質はエアロゾル源が大部分を占めていてもよい。液状の喫煙可能物質中のエアロゾル源の含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、80重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上とすることができる。また、喫煙可能物質は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0027】
消耗品は、筒状部材、中空フィルタ部、及びフィルタ部の少なくとも一つを巻装する、第1の巻紙とは異なる第2の巻紙を有していてもよい。第2の巻紙は、喫煙可能物質を巻装する第1の巻紙の一部を巻装してもよい。消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙は、坪量が例えば20gsm~65gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙及び第2の巻紙の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであることが好ましい。
【0028】
消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙には、填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙及び第2の巻紙の全重量に対して10重量%~60重量%を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料は15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、消耗品の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、消耗品の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙及び第2の巻紙は、8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、引張強度を高めることができる。
【0029】
なお、第1態様において第1態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0030】
本発明の第2態様によれば、加熱システムが提供される。加熱システムは、上記加熱デバイスと、加熱デバイスによって加熱される喫煙可能物質を備えた消耗品と、を有する。この消耗品は、加熱デバイス内の所望の位置に位置決めされ得る。ここで、消耗品が位置決めされる「加熱デバイス内の所望の位置」とは、喫煙可能物質からエアロゾルが発生するように適した加熱を行うことができる位置をいう。
【0031】
なお、第2態様において第2態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0032】
第3態様によれば、消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスと、加熱デバイスによって加熱される喫煙可能物質を備えた消耗品と、を有する、加熱システムが提供される。加熱システムは、空気インレットと、ハウジングと、喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、ハウジング内に位置し、喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、チャンバの側壁の内周面とチャンバに収容された消耗品の側面とによって少なくとも一部が区画される間の第1空隙と、ハウジングとチャンバの側壁の外周面との間の第2空隙と、を有する。第1空隙の厚みは、第2空隙の厚みよりも大きい。
【0033】
第3態様によれば、複数の空隙を有し、加熱要素に最も近い空隙である第1空隙の厚みが比較的大きいので、空隙が1つの場合に比べて空隙内の空気の対流を制限又は低減させることができる。これにより、以下の少なくとも1つが達成され得る。加熱要素及び加熱された喫煙可能物質の熱が第1の空隙を通じてチャンバ及びハウジングに伝達されることを抑制又は低減できるので、ハウジング表面の温度上昇を低減でき、且つチャンバにより喫煙可能物質から熱が奪われることを低減することができる。特に、喫煙可能物質の外周側から熱が奪われることが低減できるので、喫煙動作の後半においても、より十分に喫煙可能物質からエアロゾルを発生させることができる。また、チャンバへの熱の伝達も抑制又は低減できることにより、チャンバを介した加熱デバイス内部への熱の伝達をも低減することができる。なお、加熱デバイス内部への熱伝達の低減は、デバイス保護の観点から好ましい。また、第2態様によれば、加熱要素が加熱デバイスに設けられてもよいし、消耗品に設けられてもよい。加熱要素が消耗品に設けられる場合には、消耗品に、喫煙可能物質を内部から加熱するサセプタが設けられ得る。
【0034】
なお、第3態様において第3態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0035】
第4態様によれば、消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスが提供される。加熱デバイスは、ハウジングと、喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、ハウジング内に位置し、喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、チャンバの側壁の内周面とチャンバに収容された喫煙可能物質とによって少なくとも一部が区画される間の第1空隙とを有する。第1空隙の厚みは、1.5mm以上3.0mm以下である。好ましくは第1空隙の厚みは、1.5mm以上2.0mm以下である。
【0036】
第4態様によれば、第1空隙の厚みが1.5mm以上3.0mm以下であることにより、加熱デバイスにおける喫煙時に、チャンバが喫煙可能物質から熱を奪うことを効果的に抑制又は低減することができる。具体的には、喫煙可能物質の最外層を、喫煙可能物質に含まれるグリセリン、プロピレングリコール等のエアロゾル源が蒸発する温度(例えば約250℃)を超えて加熱することができる。その結果、喫煙可能物質の略全体から効果的にエアロゾルを生成することができるので、特に喫煙動作の後半におけるエアロゾルの生成量を増加させることができる。第1空隙の厚みが1.5mm未満であると、喫煙可能物質の最外層の温度がエアロゾル源が蒸発する温度(例えば約250℃)を大きく下回り、エアロゾルが適切に生成されない恐れがある。また、第1空隙の厚みが3.0mm超であると、喫煙可能物質の最外層を十分に加熱することができるものの、加熱デバイス(ハウジング)のサイズが不必要に大きくなってしまう。第1空隙の厚みが2.0mmを超えると厚みを増やしてもチャンバが喫煙可能物質から熱を奪うことを低減する作用が小さくなるため、加熱デバイスのサイズを鑑みると、第1空隙の厚みは、1.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、「喫煙動作の後半」とは、1つの消耗品に対して行われる喫煙動作の後半を言う。
【0037】
なお、第4態様において第4態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0038】
第5態様によれば、消耗品に含まれる喫煙可能物質を加熱可能な加熱デバイスが提供される。加熱デバイスは、ハウジングと、喫煙可能物質を内部から加熱する加熱要素と、ハウジング内に位置し、喫煙可能物質の側面を取り囲む側壁を有するチャンバと、消耗品と接触して喫煙可能物質を加熱要素にガイドする内面を備えたガイド部と、を有する。チャンバの側壁の内面とガイド部の内面との間の消耗品の挿入方向と直交する方向における距離は、1.5mm以上3.0mm以下である。好ましくは、チャンバの側壁の内面とガイド部の内面との間の消耗品の挿入方向と直交する方向における距離は、1.5mm以上2.0mm以下である。
【0039】
第5態様によれば、チャンバの側壁の内面とガイド部の内面との間の消耗品の挿入方向と直交する方向における距離は、1.5mm以上3.0mm以下である。即ち、ガイド部の内面は消耗品と接触するので、チャンバの側壁の内面とガイド部の内面との距離は、消耗品の外面とチャンバの側壁の内面との間の距離に実質的に相当する。したがって、第5態様によれば、消耗品がチャンバ内の所望の位置に位置決めされた状態において、喫煙可能物質の外周面とチャンバの側壁の内周面との隙間の厚みが略1.5mm以上3.0mm以下になる。これにより、加熱デバイスにおける喫煙時に、チャンバが喫煙可能物質から熱を奪うことを効果的に抑制又は低減することができる。具体的には、喫煙可能物質の最外層を、喫煙可能物質に含まれるグリセリン、プロピレングリコール等のエアロゾル源が蒸発する温度(例えば約250℃)を超えて加熱することができる。その結果、喫煙可能物質の略全体から効果的にエアロゾルを生成することができるので、特に喫煙動作の後半におけるエアロゾルの生成量を増加させることができる。上記隙間の厚みが1.5mm未満であると、喫煙可能物質の最外層の温度が、エアロゾル源が蒸発する温度(例えば約250℃)を大きく下回り、エアロゾルが適切に生成されない恐れがある。また、上記隙間の厚みが3.0mm超であると、喫煙可能物質の最外層を十分に加熱することができるものの、加熱デバイス(ハウジング)のサイズが不必要に大きくなってしまう。上記隙間の厚みが2.0mmを超えると厚みを増やしてもチャンバが喫煙可能物質から熱を奪うことを低減する作用が小さくなる。このため、加熱デバイスのサイズを鑑みると、チャンバの側壁の内面とガイド部の内面との間の消耗品の挿入方向と直交する方向における距離、即ち上記隙間の厚みは、1.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
【0040】
なお、第5態様において第5態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本実施形態に係る加熱システムの概略側断面である。
図2図1に示した加熱ユニットの拡大概略図である。
図3】喫煙可能物質の最外層の温度を示すグラフである。
図4】他の実施形態にかかる加熱デバイスの加熱ユニットの拡大概略図である。
図5】さらに他の実施形態にかかる加熱デバイスの加熱ユニットの拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図1は、本実施形態に係る加熱システムの概略側断面である。本実施形態に係る加熱システム100は、消耗品10と、加熱デバイス20とを有する。加熱デバイス20は、携帯デバイス又はハンドヘルド型デバイスであることが好ましい。図1に示すように、消耗品10は、加熱デバイス20によって加熱される喫煙可能物質16と、中空フィルタ14と、フィルタ部12とを有する。加熱デバイス20は、バッテリ22と、PCB(Printed Circuit Board)24と、ハウジング30と、加熱ユニット40と、を有する。
【0044】
加熱デバイス20は、固形の喫煙可能物質16を加熱して喫煙可能物質16を霧化させるように構成される。喫煙可能物質16は、例えば長手方向に沿って延びる柱状形状の消耗品10の一部を構成する。消耗品10は、例えば喫煙可能物質16がたばこを含むたばこスティックであり得る。バッテリ22は、加熱デバイス20で用いる電力を蓄積する。例えば、バッテリ22は、リチウムイオン電池である。バッテリ22は、外部電源によって充電可能であってもよい。
【0045】
PCB24は、CPU及びメモリなどによって構成されており、加熱デバイス20の動作を制御する。例えば、PCB24は、図示しない押しボタンやスライド式スイッチ等の入力装置に対するユーザ操作に応じて喫煙可能物質16の加熱を開始し、一定時間が経過したら喫煙可能物質16の加熱を終了する。PCB24は、ユーザによるパフ動作の回数が一定値を超過した場合に、喫煙可能物質16の加熱開始から一定時間が経過する前であっても喫煙可能物質16の加熱を終了してもよい。例えば、パフ動作は、図示しないセンサによって検出される。
【0046】
或いは、PCB24は、パフ動作の開始に応じて喫煙可能物質16の加熱を開始し、パフ動作の終了に応じて喫煙可能物質16の加熱を終了してもよい。PCB24は、パフ動作の開始から一定時間が経過した場合に、パフ動作の終了前であっても喫煙可能物質16の加熱を終了してもよい。本実施形態では、PCB24は、バッテリ22と加熱ユニット40との間に配置されている。
【0047】
図示の例では、加熱デバイス20は、スティック状の消耗品10を受け入れるように構成される。また、図示のように、バッテリ22、PCB24、及び加熱ユニット40は、消耗品10を加熱デバイス20に挿入する方向に配列され得る。ハウジング30は、バッテリ22、PCB24、加熱ユニット40を収容する筐体である。ハウジング30は、加熱ユニット40に空気を供給するための空気インレット30aと、消耗品10が挿入される開口34が形成された挿入端部32と、を有する。
【0048】
加熱ユニット40は、加熱部42と、チャンバ50と、を有する。加熱部42は、喫煙可能物質16に挿入可能な形状を有し、喫煙可能物質16を内部から加熱するように構成される。具体的には、加熱部42は、喫煙可能物質16に挿入されるブレード部42a(加熱要素の一例に相当する)と、加熱部42をハウジング30に固定するためのホルダ部42bとを有する。ブレード部42a(加熱要素)は、消耗品10がチャンバ50内の所望の位置に位置付けられた状態において、喫煙可能物質16と接触する部分である。ブレード部42aは、例えば、樹脂基板と、その表面に形成されたヒーティングトラックとを有することができる。ブレード部42aには、バッテリ22からの電力をブレード部42aに供給するためのリード線43が接続される。加熱部42は、インダクションコイルによって誘導加熱されるサセプタ(加熱要素の一例に相当する)を有してもよい。その場合、サセプタが喫煙可能物質16の内部に挿入され、図示しないインダクションコイルによって誘導加熱されることで、喫煙可能物質16が加熱される。
【0049】
次に、加熱ユニット40のチャンバ50について詳細を説明する。図2は、図1に示した加熱ユニット40の拡大概略図である。図2に示すように、チャンバ50は、喫煙可能物質16を取り囲む側壁52と、喫煙可能物質16の端部が当接する底壁54と、を有する。底壁54は、喫煙可能物質16の端部に空気を供給するための開口54aを有する。
【0050】
加熱デバイス20には、チャンバ50の側壁52の内周面とチャンバ50に収容された消耗品10の喫煙可能物質16との間に第1空隙S1が設けられる。第1空隙S1が設けられることにより、喫煙可能物質16の周囲に空気断熱層が形成されて、加熱部42のブレード部42aから生じた熱が第1空隙S1を通じてチャンバ50及びハウジング30に伝達されることを抑制又は低減できるので、ハウジング30表面の温度上昇を低減でき、且つチャンバ50により喫煙可能物質16から熱が奪われることを低減することができる。特に、喫煙可能物質16の外周側から熱が奪われることが低減できるので、喫煙動作の後半においても、より十分に喫煙可能物質16からエアロゾルを発生させることができる。
【0051】
また、加熱デバイス20には、ハウジング30とチャンバ50の側壁52の外周面との間に第2空隙S2が設けられる。本実施形態では、第1空隙S1の厚みAは、第2空隙S2の厚みBよりも大きい。また、好ましくは、第1空隙S1の体積は、第2空隙S2の体積よりも大きくてもよい。加熱デバイス20は、第1空隙S1と第2空隙S2を有し、ブレード部42aに最も近い空隙である第1空隙S1の厚みAが比較的大きいので、空隙が1つの場合に比べて空隙内の空気の対流を制限又は低減させることができる。これにより、ブレード部42a及び加熱された喫煙可能物質16の熱が第1空隙S1を通じてチャンバ50及びハウジング30に伝達されることを抑制又は低減できるので、ハウジング30表面の温度上昇を低減でき、且つチャンバ50により喫煙可能物質16から熱が奪われることを低減することができる。特に、喫煙可能物質16の外周側から熱が奪われることが低減できるので、喫煙動作の後半においても、より十分に喫煙可能物質16からエアロゾルを発生させることができる。また、チャンバ50への熱の伝達も抑制又は低減できることにより、チャンバ50を介した加熱デバイス20内部への熱の伝達をも低減することができる。図示の例では、第1空隙S1と第2空隙S2は、チャンバ50の側壁52の端部を回り込む第3空隙S3によって連通されている。
【0052】
加熱デバイス20は、ハウジング30の空気インレット30aからチャンバ50の内部に空気を供給するための空気流路を有する。具体的には、加熱デバイス20は、第2空隙S2及び第1空隙S1を通る第1空気流路F1を有する。これにより、第2空隙S2を介して第1空隙S1に空気が到達するので、第1空隙S1から喫煙可能物質16に空気を供給することができる。本実施形態において、例えば消耗品10の側面を形成する部材(例えば巻紙)に穴又は切り欠きを形成するか、消耗品10の側面を形成する部材を気体が透過する部材とすることができる。これにより、ユーザが消耗品10を吸引したときに、第1空気流路F1を通じて第1空隙S1に供給された空気を消耗品10の側面から消耗品10内部に取り込むことができる。また、本実施形態において、チャンバ50の底壁54は、消耗品10の端面の少なくとも一部がチャンバ50の内部に露出されるように、消耗品10の一部を支持するための凹部又は凸部を有してもよい。この場合、ユーザが消耗品10を吸引したときに第1空隙S1に供給された空気を消耗品10の端面から消耗品10内部に取り込むことができる。また、第1空隙S1の厚みAが第2空隙S2の厚みBよりも大きいので、第1空隙S1に到達した空気の流速が比較的低くなり、空気の対流によるチャンバ50の冷却を抑制又は低減することができる。これにより、喫煙可能物質16の外周側から熱が奪われることが低減できる。図示の例では、第1空気流路F1は、第2空隙S2と、第3空隙S3と、第1空隙S1を通過している。
【0053】
加熱デバイス20は、さらに、チャンバ50の底壁54の開口54aに通じる第2空気流路F2と、空気インレット30aから第1空気流路F1と第2空気流路F2とに分岐する分岐路F3とを有する。これにより、第1空隙S1から喫煙可能物質16への空気の供給に加えて、チャンバ50の底壁54の開口54aから喫煙可能物質16の端部に空気を供給することができるので、第1空気流路F1と第2空気流路F2の空気流量比率を容易に調整することができる。即ち、例えば喫煙可能物質16の側面から消耗品10に取り込まれる空気量と、喫煙可能物質16の端面から取り込まれる空気量との比率を容易に調整することができる。これにより、消耗品10への空気の供給の自由度を向上させることができる。なお、上述したように第1空気流路F1から消耗品10の内部に第1空隙S1に供給された空気を取り込むことができる場合には、チャンバ50の底壁54が開口54aを有していなくてもよい。
【0054】
図示のように、本実施形態では、分岐路F3は、消耗品10の挿入方向において、挿入端部32、底壁54、分岐路F3、空気インレット30aの順に位置する。これにより、第1空気流路F1よりも、第2空気流路F2の長さを短くすることが容易にできるので、第2空気流路F2から喫煙可能物質16の端部に供給する空気量の割合を容易に増加させることができる。従って、本実施形態では、第2空気流路F2は、第1空気流路F1よりも流路長が短く、第1空気流路F1よりも流路断面積が大きいので、第2空気流路F2から喫煙可能物質16に供給される空気量は、第1空気流路F1から喫煙可能物質16に供給される空気量よりも多くなる。これにより、第2空気流路F2の空気の対流によるチャンバ50の冷却を抑制又は低減しながら、喫煙可能物質16に効率よく空気を供給することができる。
【0055】
図2に示すように、チャンバ50は、消耗品10の挿入方向において、バッテリ22側にハウジング30と接触する接触部56を有する。本実施形態では、接触部56は、ハウジング30に固定されており、したがってチャンバ50がハウジング30に固定される。接触部56は、例えば、チャンバ50の側壁52又は底壁54から延びる筒状又は棒状等の部材であり得る。図示のように、接触部56は、消耗品10の挿入方向において、加熱部42のブレード部42aと重ならない位置に配置される。具体的には、接触部56は、消耗品10の挿入方向において、加熱部42のブレード部42aよりもバッテリ22側(ハウジング30の挿入端部32の反対側)に配置される。これにより、ブレード部42aがチャンバ50の接触部56から離間した位置に設けられるので、ブレード部42aの熱が接触部56を介してハウジング30に伝達されることが抑制又は低減される。その結果、効率よく喫煙可能物質16を加熱することができるとともに、ハウジング30の温度上昇を抑制又は低減することができる。
【0056】
図示のように、チャンバ50の側壁52の一端(挿入端部32側の端部)は、消耗品10の挿入方向において、加熱部42のブレード部42aよりもハウジング30の挿入端部32側に位置することが好ましい。これにより、第1空隙S1と第2空隙S2とがチャンバ50の側壁52により区画されるので第1空隙S1と第2空隙S2との間での空気の対流が抑制又は低減され、第1空隙S1の熱が第2空隙S2に伝達されることを抑制又は低減することができる。
【0057】
ハウジング30は、ガイド部36を有し、ガイド部36によって消耗品10が挿入される開口34が画定される。ガイド部36は、開口34を形成する縁部がバッテリ22側に向かって延びる筒状部材である。ガイド部36は、開口34を通じて加熱デバイス20に挿入される消耗品10の外周面と接触して喫煙可能物質16を加熱部42にガイドする内面36aを有する。図2に示す状態、即ち、加熱デバイス20によって喫煙可能物質16が加熱されるとき、ガイド部36が、消耗品10の挿入方向において喫煙可能物質16の位置に対応する消耗品10の側面と接触しないように、喫煙可能物質16が底壁54(位置決め部の一例に相当する)によって位置決めされる。言い換えれば、加熱デバイス20によって喫煙可能物質16が加熱されるとき、ガイド部36が喫煙可能物質16と接触しないように、ガイド部36の長さが設計される。これにより、加熱された喫煙可能物質16の熱がガイド部36を介して放熱されることが抑制又は低減され得る。
【0058】
〈実験例〉
次に、図1及び図2に説明した加熱デバイス20における第1空隙S1の厚みAの適切な数値について説明する。本実験例では、図1及び図2に示した加熱デバイス20の第1空隙S1の厚みAを、それぞれ1.0mm、1.5mm、2.0mmとしたときの、喫煙可能物質16の最外層の温度を計測した。加熱部42のブレード部42aは、加熱開始後350℃に到達するまで昇温され、350℃に到達した後は350℃で一定になるように制御される。加熱部42のブレード部42aが加熱を開始してから、30秒ごとに所定量の吸引を行うことで、ユーザが加熱デバイス20を使用する状態をシミュレーションした。喫煙可能物質16の一例であるたばこシートに紙を巻いた消耗品10の直径は7.0mmであり、ブレード部42aは長さ12.0mmで直径が2.5mmのピン状の形態を有する。即ち、この実験例ではブレード部42aはピンヒータを構成する。ピンヒータはセラミックの中に導電トラックを有し抵抗発熱により自身を昇温する。なお、加熱部42の温度はピンヒータの外表面の最高温度を測定した値である。
【0059】
図3は、喫煙可能物質16の最外層の温度を示すグラフである。図3に示すグラフにおいては縦軸が温度、横軸が時間を示している。図3に示すように、第1空隙S1の厚みAが1.0mmの場合、加熱を開始してから徐々に温度が上がり、150秒前後の時点で温度が安定し始める。およそ270秒の時点以降では、30秒ごとの吸引により一時的に温度が下がるため、温度は150℃から200℃の間を変動する。他方、第1空隙S1の厚みAが1.5mmの場合、加熱を開始してから徐々に温度が上がり、90秒前後の時点で温度が安定し始める。120秒の時点以降では、温度はおよそ210℃からおよそ260℃の間を変動する。第1空隙S1の厚みAが2.0mmの場合も、加熱を開始してから徐々に温度が上がり、90秒前後の時点で温度が安定し始める。120秒の時点以降では、温度はおよそ200℃からおよそ275℃の間を変動する。
【0060】
以上の実験例によれば、第1空隙S1の厚みAが1.0mmの場合、喫煙可能物質16の最外層の温度は200℃に到達しない。ここで、喫煙可能物質16に含まれるグリセリン、プロピレングリコール等のエアロゾル源が蒸発する温度は、例えば約250℃である。このため、第1空隙S1の厚みAが、1.0mmの場合、喫煙可能物質16の熱がチャンバ50に奪われて、消耗品10の外周面の温度がエアロゾル源の蒸発温度まで上昇しないことが判った。他方、第1空隙S1の厚みAが、1.5mm及び2.0mmの場合、喫煙可能物質16の最外層の温度は、吸引によって一時的に低下するものの、250℃を超える。即ち、第1空隙S1の厚みAが1.5mm及び2.0mmの場合、チャンバ50が喫煙可能物質16から熱を奪うことが抑制又は低減され、喫煙可能物質16の最外層からもエアロゾル源を蒸発させることが判った。したがって、第1空隙S1の厚みAが1.5mm及び2.0mmの場合、厚みAが1.0mmの場合に比べて、喫煙可能物質16のほぼ全体からエアロゾル源を蒸発させることができるので、エアロゾルの生成量を増加させることができる。
【0061】
また、図3のグラフを参照すると、第1空隙S1の厚みAが1.0mmと1.5mmとの場合における温度の差は、第1空隙S1の厚みAが1.5mmと2.0mmとの場合における温度の差に比べて明らかに大きいことが判る。言い換えれば、第1空隙S1の厚みAの差はともに0.5mmであるのにかかわらず、厚みAを1.5mmから1.0mmに減少させると、大幅に断熱性能が低下する一方で、厚みAを1.5mmから2.0mmに増加させても第1空隙S1の断熱性能に大きな変化はない。そうすると、第1空隙S1の厚みAを少しずつ減少させていくと、第1空隙S1の1.5mmの厚みA周辺を臨界として、断熱性能が顕著に劣化するといえる。言い換えれば、第1空隙S1の厚みAを1.5mm未満にすると、厚みAが1.5mm以上の場合に比べて単位厚み当たりの断熱性能の劣化が顕著になる。
【0062】
したがって、以上の実験例によれば、第1空隙S1の厚みAは1.5mm以上であることが好ましい。また、第1空隙S1の厚みAが1.5mmに対して著しく大きい場合、喫煙可能物質16の最外層を十分に加熱することはできるものの、加熱デバイス20(ハウジング30)が不必要に大きくなってしまう。また、厚みAが増えることで30秒ごとの吸引時の温度が低くなる傾向も見られた。このため、加熱デバイス20のサイズ及び吸引時の温度低下の観点から、第1空隙S1の厚みAは、3.0mm以下であることが好ましい。また、図3のグラフを参照すると、上述したように第1空隙S1の厚みAが1.5mmから2.0mmに増加しても、第1空隙S1の断熱性能に大きな変化はない。そうすると、第1空隙S1の厚みAが2.0mmを超えると、厚みAを増やしてもチャンバ50が喫煙可能物質16から熱を奪うことを低減する作用が小さくなるものと考えられる。このため、加熱デバイス20のサイズ及び断熱性能に鑑みると、第1空隙S1の厚みAは、2.0mm以下であることがより好ましい。
【0063】
また、図2に示す加熱デバイス20はでは、ガイド部36の内面36aが、消耗品10が挿入される開口34を画定する。ガイド部36の内面36aは、消耗品10が開口34に挿入される際に消耗品10の外周面と接触するので、ガイド部36の内面36aの径は、消耗品10の外径と略同一ということができる。このため、チャンバ50の側壁52の内面とガイド部36の内面36aとの間の、消耗品10の挿入方向と直交する方向における距離は、第1空隙S1の厚みAの大きさと略同一である。そうすると、上記実験例によれば、チャンバ50の側壁52の内面とガイド部36の内面36aとの間の、消耗品10の挿入方向と直交する方向における距離は、1.5mm以上3.0mm以下が好ましく、1.5mm以上2.0mm以下がより好ましいということができる。
【0064】
次に、加熱デバイス20の他の実施形態について説明する。図4は、他の実施形態にかかる加熱デバイス20の加熱ユニット40の拡大概略図である。図4に示す加熱デバイス20は、図1及び図2に示した加熱デバイス20と比べて、チャンバ50がハウジング30に対して、消耗品10の挿入方向に沿って移動可能に構成される点が異なる。具体的には、チャンバ50の接触部56は、ハウジング30に固定されず、ハウジング30に対して摺動可能に構成される。また、ハウジング30は開口30bを備え、この開口30bを通じて、接触部56に連結したレバー58の一部がハウジング30の外部に露出される。一例として、開口30bは、第1空気流路F1及び第2空気流路F2と連通しており、空気インレットとしても機能し得る。ユーザは、レバー58を、消耗品10の挿入方向に沿って移動させることで、レバー58が連結したチャンバ50を消耗品10の挿入方向に動かすことができる。
【0065】
図4に示す実施形態によれば、消耗品10の使用後に、喫煙可能物質16がチャンバ50内に配置された状態で、レバー58を操作してチャンバ50を挿入端部32に向かって移動させることで、たばこ刻み等の喫煙可能物質16が消耗品10からこぼれることを抑制又は低減しながら、ブレード部42aから喫煙可能物質16を除去することができる。第3空隙S3の一部は、チャンバ50が挿入端部32に向かって移動したときのチャンバ50の側壁52の可動域となる。チャンバ50が挿入端部32に向かって移動して、ブレード部42aから喫煙可能物質16を除去するときでも、チャンバ50の側壁52によって第1空隙S1と第2空隙S2は第3空隙S3を介して連通する。即ち、第3空隙S3は、チャンバ50の側壁52によって閉鎖されない。
【0066】
なお、レバー58は、チャンバ50の任意の場所に接続されてもよいが、接触部56に接続されることが好ましい。上述したように、接触部56はブレード部42aから比較的離間した位置に設けられるので、ブレード部42aの熱が接触部56に伝達されることが抑制又は低減される。このため、レバー58が接触部56に接続されることで、レバー58にブレード部42aの熱が伝達されにくく、ユーザがレバー58をより安全に操作することができる。
【0067】
図5は、さらに他の実施形態にかかる加熱デバイス20の加熱ユニット40の拡大概略図である。図5に示す加熱デバイス20は、図4に示した加熱デバイス20と比べて、第1空隙S1と第2空隙S2とが互いに連通しない点、及び加熱部42に代えてインダクションコイル44及びサセプタ18(加熱要素の一例に相当する)を備える点が異なる。サセプタ18は、消耗品10の喫煙可能物質16の内部に設けられる。また、図5に示す消耗品10は、図1図2図4に示した消耗品10と異なり、フィルタ部12に代えて、マウスピースM1がガイド部36に設けられる。
【0068】
具体的には、図5に示すように、加熱デバイス20は、第3空隙S3に代えて、チャンバ50の側壁52の厚さと略同一の厚さの摺動用空隙S4を備える。摺動用空隙S4は消耗品10の挿入方向に延びる。図5に示すように、消耗品10がチャンバ50内の所望の位置に位置決めされた状態において、チャンバ50の側壁52の先端が摺動用空隙S4の一部に実質的に隙間なく挿入され、摺動用空隙S4の一部は、チャンバ50が挿入端部32に向かって移動したときのチャンバ50の側壁52の可動域となる。これにより、第1空隙S1と第2空隙S2とがチャンバ50の側壁52により区画され、互いに連通しない。したがって、第1空隙S1と第2空隙S2との間の空気の対流を阻害することができるので、第1空隙S1と第2空隙S2とにおける断熱性能を一層向上させることができる。なお、第2空隙S2は、空気インレット30aと連通しなくてもよいし、してもよい。摺動用空隙S4はチャンバ50が挿入端部32に向かって移動したときに空気を逃がすためのハウジング30外部に連通する空気穴を有していてもよい。
【0069】
消耗品10の中空フィルタ14は、熱伝導率が低い部材で形成されることが好ましい。中空フィルタ14がハウジング30の開口34内に位置することにより、中空フィルタ14及び喫煙可能物質16が消耗品10の挿入方向と直交する方向において位置決めされ得る。中空フィルタ14は、中空構造に限らず、エアロゾルを通過させることができる任意の構造を有する部材であってもよい。マウスピースM1は、着脱可能に消耗品10に取り付けられてもよい。マウスピースM1は、複数の消耗品10に対して繰り返し使用されてもよい。消耗品10は、マウスピースM1を取り外した後、加熱デバイス20内に入り込んで取り出しにくい。このため、ユーザは、レバー58を操作してチャンバ50を挿入端部32に向かって移動させることで、消耗品10の端部を加熱デバイス20から押し出すことができる。
【0070】
インダクションコイル44は、例えば渦巻き状の平板コイルであり得る。図5に示すように、インダクションコイル44は、消耗品10がチャンバ50内の所望の位置に位置決めされた状態において、チャンバ50の底壁54を介して消耗品10の反対側に設けられ得る。インダクションコイル44は、喫煙可能物質16の内部に設けられるサセプタ18を誘導加熱して、発熱させるように構成される。これにより、発熱したサセプタ18が喫煙可能物質16を内部から加熱することができる。図5の実施形態では、ハウジング30及び/又はチャンバ50(特に底壁54)は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有することが好ましい。これにより、インダクションコイル44によりハウジング30及び/又はチャンバ50が発熱しにくく、効率よくサセプタ18を発熱させることができる。透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する材料としては、例えば、ガラス、植物、木材、紙、PEEK等の樹脂等が挙げられる。
【0071】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【符号の説明】
【0072】
10 :消耗品
16 :喫煙可能物質
18 :サセプタ
20 :加熱デバイス
30 :ハウジング
30a :空気インレット
32 :挿入端部
34 :開口
36 :ガイド部
42 :加熱要素
50 :チャンバ
52 :側壁
54 :底壁
54a :開口
56 :接触部
100 :加熱システム
F1 :第1空気流路
F2 :第2空気流路
F3 :分岐路
S1 :第1空隙
S2 :第2空隙
図1
図2
図3
図4
図5