(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20240129BHJP
H01H 25/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G06F3/0354 432
H01H25/00 A
(21)【出願番号】P 2022543283
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2021019145
(87)【国際公開番号】W WO2022038850
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2020138794
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯牟礼 聖
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正明
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-212004(JP,A)
【文献】特開2009-187704(JP,A)
【文献】特開2011-171224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
H01H 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作によって移動する操作体と、
前記操作体の移動に伴ってスライドする可動部と、
前記可動部と係合する第1端部と、回動中心と、前記回動中心に対して前記第1端部とは反対側の第2端部と、前記第2端部に設けられる磁石とを有し、前記可動部のスライドに伴って回動するレバーと、
前記磁石と対向して配置される磁気センサと
を含み、
前記レバーの前記回動中心から前記第1端部までの第1長さよりも、前記回動中心から前記磁石までの第2長さの方が大きい、入力装置。
【請求項2】
前記レバーを回動可能に支持する支持部をさらに含み、
前記レバーは、少なくとも回動時に前記支持部に当接する曲面をさらに有する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記レバーを前記可動部に向かって付勢する弾性部材をさらに含み、
前記可動部は、前記レバーとの係合部に、開口部の内面に沿って設けられたカム面を有し、
前記第1端部は、前記弾性部材によって前記カム面に向かって付勢されている、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記レバーの前記第1端部は円錐状部をさらに有し、
前記円錐状部の側面が前記カム面に当接する、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記操作体が操作されていない場合には、前記レバーは、前記弾性部材によって前記可動部側に付勢されて前記曲面が前記支持部から離れて、前記円錐状部が前記可動部の前記カム面に勘合保持され、
前記操作体が操作されている場合には、前記レバーは、前記カム面によって前記円錐状部が押し下げられて前記曲面が前記支持部に支持され、前記曲面が前記支持部に対して摺動することによって回動する、請求項4に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作部を横方向に移動させると、操作部に伴って横方向にスライドする駆動部が傾動体の上端に係合して傾動体を回動させ、傾動体の下端の磁石の回動方向の移動を磁気センサで検出する入力装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の入力装置は、傾動体の回動中心から操作部までの長さと、回動中心から磁石までの長さとが等しいため、操作体の横方向における微小な移動を検出するのが困難である。
【0005】
そこで、操作体の横方向における微小な操作を確実に検出可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の入力装置は、操作者の操作によって移動する操作体と、前記操作体の移動に伴ってスライドする可動部と、前記可動部と係合する第1端部と、回動中心と、前記回動中心に対して前記第1端部とは反対側の第2端部と、前記第2端部に設けられる磁石とを有し、前記可動部のスライドに伴って回動するレバーと、前記磁石と対向して配置される磁気センサとを含み、前記レバーの前記回動中心から前記第1端部までの第1長さよりも、前記回動中心から前記磁石までの第2長さの方が大きい。
【発明の効果】
【0007】
操作体の横方向における微小な操作を確実に検出可能な入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す入力装置100の一部を拡大して示す図である。
【
図3】
図2に示す入力装置100の一部をさらに拡大して示す図である。
【
図4A】入力装置100の動作を説明する図である。
【
図4B】入力装置100の動作を説明する図である。
【
図5A】入力装置100の動作を説明する図である。
【
図5B】入力装置100の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、入力装置100の断面構造を示す図である。
図2は、
図1に示す入力装置100の一部を拡大して示す図である。
図3は、
図2に示す入力装置100の一部をさらに拡大して示す図である。
図3には、
図2において破線の四角で囲んだ部分を拡大して示す。以下では、
図1における上下左右方向を用いて説明するが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、上下方向は縦方向であり、左右方向は横方向である。また、平面視とは上から見ることをいう。
【0011】
入力装置100は、フレーム110、オーリング120、スライダベース125、可動部130、レバー140、磁気センサ150、コイルバネ160、ホルダ165、保持部170、及びノブ180を含む。また、入力装置100は、さらに基板101及びカバー102を含む。基板101は、一例として樹脂製の板状の基板であり、入力装置100の下部にある。カバー102は、一例として樹脂製であり、入力装置100のノブ180以外の部分を覆う板状部材である。
図1には、ここで説明する構成要素以外のものも示すが、説明を省略する。
【0012】
入力装置100は、操作者の操作によって360度にわたって任意の左右方向に移動するノブ180を備えた装置である。ノブ180は、一例として円筒状の部材である。ノブ180のストロークは、周囲にストッパーとして設けられたオーリング120がノブ180の移動に伴って潰れる量のみに設定されているため非常に微小である。
図1には、ノブ180が移動操作されていない状態における各部の初期位置を示す。
【0013】
フレーム110は、基部111、支持部112、溝部113、及び固定部114を有する。フレーム110の平面視における外形は、一例として円形であり、基部111の平面視における外形も円形である。基部111は、後述する可動部130の下側で平面方向に延在する部分であり、横方向におけるノブ180の中央よりも左側に支持部112が設けられている。また、基部111の外端部には、上方向に延在する固定部114が設けられている。
【0014】
支持部112は、可動部130のスライドに伴って回動するレバー140を回動可能に当接した状態で支持する。支持部112は、基部111よりも下側に延在しており、溝部113の内側に設けられている。支持部112は、溝部113を介して基部111に接続されている。支持部112は、レバー140の基部141の球状面141Aを支持する湾曲面112Aを有する。なお、球状面141Aは曲面の一例である。湾曲面112Aは、平面視でレバー140の基部141を囲むように360度にわたって連続的に設けても良いが、本実施形態では所定の角度ずつ分割して設けられており、湾曲面112Aの湾曲形状は、基部141の球状面141Aの形状に合わせられている。このため、支持部112は、湾曲面112Aの全体でレバー140の球状面141Aを360度にわたっていずれの方向へも回動可能に保持している。
【0015】
溝部113は、基部111よりも下側に延在しており、平面視で円環状の溝である。溝部113は、径方向の内側にある支持部112と底面で接続している。溝部113の内部にはコイルバネ160が設けられており、コイルバネ160の下端は溝部113の底面と当接している。なお、コイルバネ160は、弾性部材の一例である。
【0016】
固定部114は、基部111の外端部に接続されており、上方に延在している。固定部114は、一例として円筒状の部分であり、上端にはカバー102が固定される。なお、ここではフレーム110が入力装置100内で固定されているものとして、フレーム110に対する可動部130及びノブ180等の移動と、レバー140の回動とについて説明するが、フレーム110はカバー102とともに、例えば基板101に対して移動や振動可能であってもよく、その場合においてもフレーム110に対する可動部130及びノブ180等の移動と、レバー140の回動についての相対的な位置関係は変わらない。
【0017】
オーリング120は、一例としてゴム製の円環状の部材である。
図1には、オーリング120の円形の断面を示す。オーリング120は、ノブ180の移動に伴ってスライドする可動部130の円筒状の壁部132の外周面に設けられた凹部132Aに嵌め込まれて固定されている。オーリング120の外周面は、フレーム110の固定部114の内周面に当接しており、ノブ180はガタの無い状態で初期位置に保持されている。ノブ180が横方向に操作されると、オーリング120のうちの移動方向側にある部分が押圧されて潰れるように変形することで、フレーム110に対して可動部130が横方向に移動する。オーリング120の潰れによる変形量が可動部130及びノブ180の横方向におけるストロークである。
【0018】
スライダベース125は、フレーム110の基部111の上面と、可動部130の基部131の下面との間に設けられる部材であり、平面視で円環状の形状を有する。スライダベース125は、フレーム110に対して可動部130が横方向に移動可能にしている。スライダベース125は、一例として金属製又は樹脂製である。
【0019】
可動部130は、基部131及び壁部132を有する。可動部130の平面視における外形は、一例として円形であり、基部131は可動部130の平面視における中央に位置する部分である。基部131は、レバー140の上に位置する部分に設けられるカム面131A及び開口部131Bを有する。
【0020】
カム面131Aは、円形の開口部131Bの内面に沿って開口部131Bを囲むように設けられている。すなわちカム面131Aは、基部131のうちの開口部131Bに面する内周面と、基部131のうちの上面及び下面とが、開口部131Bの周囲の部分で連続的につながって湾曲するように成形した面であり、レバー140の円錐状部142が係合する係合部である。カム面131Aは、レバー140がレバー140の基部141を中心として回動して円錐状部142が傾いたときに、円錐状部142の側面142Aが接触し続けることが可能な形状を有する。なお、カム面131Aは、円錐状部142が傾いたときに、円錐状部142の側面142Aが接触し続けることが可能であればよいため、開口部131Bの上端から下端まで連続的に湾曲する形状に限らず、上端から下端までのいずれかの区間が直線状であってもよい。
【0021】
壁部132は、一例として円筒状の部分であり、平面視で可動部130の最も外側において基部131から上方向に延在している壁状の部分である。上述した通り、壁部132は、外周面に凹部132Aを有する。凹部132Aは、円筒状の壁部132の外周面において、壁部132の全周にわたって周方向に設けられている。壁部132の外周面のうちの凹部132A以外の部分の外径は、オーリング120の内径よりも大きく、凹部132Aの外径は、オーリング120の内径よりも僅かに大きく設定されているため、オーリング120は凹部132A内に僅かに伸ばされた状態で嵌め込まれて固定される。
【0022】
レバー140は、基部141、円錐状部142、脚部143、及び磁石144を有する。基部141は、レバー140の上下方向における中央に位置する部分であり、球状面141A、回動中心141B、及び腕部141Cを有する。基部141は、平面視で回動中心141Bを中心とした円形であり、回動中心141Bから一定の半径の球状面141Aからなる球状形状を上端側で平面にカットした形状を有する。基部141の上端側の平面の回動中心141B上には円錐状部142が接続されており、回動中心141B下の下端側には脚部143が接続されている。
【0023】
腕部141Cは、基部141の球状面141Aの外側において、平面視で90度の間隔で設けられている4つの棒状の突出部である。すなわち、4つの腕部141Cは、平面視において等間隔で設けられており、球状面141Aの回動中心141Bと略同じ高さで水平方向に突出して設けられている。腕部141Cの下側の面は、コイルバネ160の上端と当接している。レバー140は、円錐状部142が可動部130のカム面131Aに当接した状態で、腕部141Cが下側からコイルバネ160によって上方向にある可動部側に付勢されている。
図1に示す初期位置では、球状面141Aはフレーム110の湾曲面112Aから僅かに離れるように設定されている。
【0024】
円錐状部142は、基部141の上端側の平面に連続的に設けられており、レバー140の上端部に位置する。レバー140の上端部は、第1端部の一例である。円錐状部142は、平面視で基部141の回動中心141B上に連続的に設けられている。本実施形態では、レバー140の上端部の全体が円錐状部142になっているがこれに限定されず、上端部の一部が円錐状部であってもよい。
【0025】
円錐状部142は、円錐体の上端部を丸く切除したような形状を有し、円錐状部142の側面142Aは、カム面131Aに当接している。レバー140は、コイルバネ160によって上方向にある可動部側に付勢されているため、円錐状部142はカム面131Aに押し付けられている。
【0026】
脚部143は、基部141から下方に延在する部分であり、レバー140の下端部に位置する。レバー140の下端部は、第2端部の一例であり、回動中心141Bに対して第1端部とは反対側にある。脚部143の下端と基板101の上面との間には間隔が設けられている。レバー140は回動するため、脚部143の下端が基板101の上面に当たらないようするためである。脚部143の外形は、一例として円筒状である。脚部143は、下面から上側に向かって凹む凹部143Aを有する。凹部143Aの中には磁石144が設けられている。
【0027】
磁石144は、脚部143の凹部143A内で接着等により固定されている。磁石144は、N極及びS極を有する永久磁石であり、一例としてN極が上側、S極が下側に位置するように設けられている。磁石144は、レバー140の回動を磁気センサ150で検出するために設けられている。
【0028】
このようなレバー140において、回動中心141Bから円錐状部142のカム面131Aに接触する部分までの縦方向の長さよりも、回動中心141Bから磁石144の下端までの縦方向の長さの方が長く設定されている。一例として、回動中心141Bから磁石144の下端までの縦方向の長さは、回動中心141Bから円錐状部142のカム面131Aに接触する部分までの縦方向の長さの約2倍に設定されている。回動中心141Bから円錐状部142のカム面131Aに接触する部分までの縦方向の長さは、第1長さの一例であり、回動中心141Bから磁石144の磁気センサ150と対向する下端までの長さは、第2長さの一例である。
【0029】
レバー140は、ノブ180の横方向の移動を回動動作に変換する部材である。ノブ180の横方向の移動は、保持部170を介して可動部130に伝達される。可動部130が横方向にスライド移動すると、カム面131Aに当接する円錐状部142が横方向に移動することにより、レバー140が回動中心141Bを中心とする回動動作を行い、磁石144が回動中心141Bを中心として回動動作を行う。このときに、レバー140は、円錐状部142が力点になり、球状面141Aが支点になり、磁石144が作用点になる梃子のように動作する。このため、支点と作用点との間の長さを支点と力点との間の長さよりも長くすれば、作用点の移動量を増幅する増幅装置として利用することができる。すなわち、作用点にある磁石144の移動量を増幅して、磁石144の移動による磁束の変化量を増幅することができる。磁束の変化量を増幅できれば、ノブ180の微小な移動量を磁気センサ150で確実に検出することができる。レバー140は、円錐状部142の微小な横方向の移動を増幅して磁気センサ150で検出するために、上述のような構成を有している。
【0030】
磁気センサ150は、一例として基板101の下面に固定されている。磁気センサ150は、基板101を挟んで磁石144と対向して配置されており、レバー140が回動中心141Bを中心として回動して磁石144が移動したときに、基板101を透過した磁束の変化を検出する。磁気センサ150で磁石144の回動量を検出することで、ノブ180の微小な操作量を検出することができる。
【0031】
コイルバネ160は、フレーム110の溝部113の内部に設けられており、
図1に示すように下端が溝部113の底部に当接し、上端がレバー140の4本の腕部141Cの下側の面に当接した状態で、自然長よりも圧縮されている。コイルバネ160は、レバー140の円錐状部142を可動部130のカム面131Aに向けて付勢している。
【0032】
ホルダ165は、平面視で円環状の部材であり、フレーム110の基部111の上にスライダベース125を介して設けられる可動部130の壁部132の上面に摺動可能に当接している。ホルダ165は、一例として金属製であり、フレーム110の固定部114に固定されている。ホルダ165によって可動部130の壁部132の上面が摺動可能に押さえられていることにより、スライダベース125と可動部130は、フレーム110の基部111とホルダ165の下面との間で上下方向に位置ズレすることなく、横方向にスライド移動可能になっている。
【0033】
保持部170は、可動部130の中央部133と係合する中心部を有するとともに、ノブ180を保持している。保持部170は、ノブ180の横方向の移動を可動部130に伝達する部材である。
【0034】
ノブ180は、操作者の操作によって横方向に移動する操作体の一例であり、円筒状の部材である。ノブ180は、円筒状に限らずにどのような形状であってもよい。ノブ180は、カバー102の開口部102Aからカバー102の外側に露出している。
【0035】
次に、
図4A乃至
図6を用いて入力装置100のレバー140の動作について説明する。
図4A乃至
図6は、入力装置100の動作を説明する図である。
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、及び
図6には、
図1に示す初期位置からノブ180(
図1参照)を右方向に徐々に押圧操作して移動させたときのレバー140の動作を示す。より具体的には、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、及び
図6には、初期位置からノブ180を右方向に0.1mm、0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm移動させたときのレバー140の動作状態を示す。
【0036】
【0037】
また、ノブ180が横方向に移動すると、保持部170を介して可動部130も同じ量だけ横方向に移動する。このため、ここでは、ノブ180が横方向に移動されたことによるレバー140の動作を、可動部130の横方向の移動によって生じるレバー140の動作を用いて説明する。
【0038】
図4Aに示すように可動部130が初期位置から右方向に0.1mm移動すると、円錐状部142の側面142Aの左側がカム面131Aによって押圧され、円錐状部142が初期位置においてカム面131Aに当接していた位置(
図1、
図2参照)からずれる。より具体的には、側面142Aの左側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142の下方向にずれ、側面142Aの右側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142の上方向にずれる。この結果、レバー140は、全体として初期位置に比べて少しだけ下方向に沈み込むとともに、回動中心141Bを中心として時計回りの方向に少しだけ回動する。この状態では、レバー140の球状面141Aと、支持部112の湾曲面112Aとは僅かに離れている。この隙間を設けることによって、部品製造上の寸法バラつきや累積公差を吸収して、レバー140のスムーズな回動動作を可能としている。
【0039】
図4Bに示すように可動部130が初期位置から右方向に0.3mm移動すると、円錐状部142の側面142Aの左側がカム面131Aによってさらに押圧され、円錐状部142が
図4Aにおいてカム面131Aに当接していた位置からずれる。より具体的には、側面142Aの左側がカム面131Aと接触する位置はさらに円錐状部142の下方向にずれ、右側の側面142Aがカム面131Aと接触する位置はさらに円錐状部142の上方向にずれる。この結果、レバー140は、全体として
図4Aに比べてさらに下方向に沈み込むとともに、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに当接する。これにより、少なくとも回動時にレバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着した状態で、回動中心141Bを中心として時計回りの方向に回動する。
【0040】
図5Aに示すように可動部130が初期位置から右方向に0.5mm移動すると、円錐状部142の側面142Aの左側がカム面131Aによってさらに押圧され、円錐状部142が
図4Bにおいてカム面131Aに当接していた位置からずれる。より具体的には、側面142Aの左側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに下方向にずれ、側面142Aの右側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに上方向にずれる。この結果、レバー140は、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着しているため、
図4Bに比べて上下方向の位置は略同一のまま、回動中心141Bを中心として時計回りの方向にさらに回動する。このとき、レバー140は、
図4Bの状態に比べて、球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに沿って時計回りの方向に回動している。なお、
図5Aの、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着している状態は、
図4Bの状態と変わっていないため、回動中心141Bと磁気センサ150との距離は
図4Bの状態と変わっておらず、どちらの状態においても回動中心141Bと磁気センサ150との距離が一定に保たれている。
【0041】
図5Bに示すように可動部130が初期位置から右方向に0.7mm移動すると、円錐状部142の側面142Aの左側がカム面131Aによってさらに押圧され、円錐状部142が
図5Aにおいてカム面131Aに当接していた位置からずれる。より具体的には、側面142Aの左側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに下方向にずれ、側面142Aの右側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに上方向にずれる。この結果、レバー140は、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着しているため、
図5Aに比べて上下方向の位置は略同一であるが、回動中心141Bを中心として時計回りの方向にさらに回動する。このとき、レバー140は、
図5Aの状態に比べて、球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに沿って時計回りの方向に回動している。なお、
図5Bの、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着している状態は、
図4Bの状態から変わっていないため、回動中心141Bと磁気センサ150との距離は
図4Bの状態と変わっておらず、回動中心141Bと磁気センサ150との距離が一定に保たれている。
【0042】
図6に示すように可動部130が初期位置から右方向に0.9mm移動すると、円錐状部142の側面142Aの左側がカム面131Aによってさらに押圧され、円錐状部142が
図5Bにおいてカム面131Aに当接していた位置からずれる。より具体的には、側面142Aの左側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに下方向にずれ、側面142Aの右側がカム面131Aと接触する位置は円錐状部142のさらに上方向にずれる。
図6では、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着しているため、レバー140は、
図5Bに比べて上下方向の位置は略同一であるが、回動中心141Bを中心として時計回りの方向にさらに回動している。このとき、レバー140は、
図5Bの状態に比べて、球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに沿って時計回りの方向に回動している。なお、レバー140の球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aに密着している状態は、
図4Bの状態から変わっていないため、回動中心141Bと磁気センサ150との距離は
図4Bの状態と変わっておらず、回動中心141Bと磁気センサ150との距離が一定に保たれている。
【0043】
図6に示す状態では、ノブ180の移動量は、オーリング120が可動部130に押されて限界まで変形した状態であるノブ180の最大のストロークに達している。この状態でも、右側の腕部141Cが支持部112の上端に当接する直前まで移動し、平面部の左側が可動部130の下面に当接する直前まで移動するが、最大のストロークに達しても腕部141Cおよび平面部が支持部112および可動部130に当接しないように構成されている。これにより、最大のストロークまで達しても、ストッパーとしてのオーリング120の弾性による感触のみがノブ180に付与される。仮に腕部141Cや平面部が支持部112や可動部130に当接すると、ノブ180の操作感に硬質感が生じ、異音が発生するからである。
【0044】
以上のように、レバー140は、回動中心141Bから円錐状部142のカム面131Aに接触する部分までの縦方向の長さよりも、回動中心141Bから磁石144の下端までの縦方向の長さの方が長いので、ノブ180の横方向の移動量が微小でも、磁石144の移動量を増幅することができ、磁束の変化量を増大させることができる。このため、ノブ180の横方向の移動量が微小でも、磁束の変化を磁気センサ150で検出することができる。
【0045】
したがって、ノブ180の横方向における微小な操作を確実に検出可能な入力装置100を提供することができる。また、レバー140が球状面141Aを有し、球状面141Aは支持部112の湾曲面112Aによって回動可能に支持されるので、簡単な構成でレバー140を多方向に回動可能に支持できる。
【0046】
また、可動部130は、レバー140の円錐状部142と当接するカム面131Aを有し、円錐状部142はコイルバネ160の付勢力によってカム面131Aに付勢されているので、円錐状部142をカム面131Aに押し付けて、レバー140の回動動作の安定化を図ることができる。
【0047】
また、レバー140は、カム面131Aに当接する円錐状部142を有するので、カム面131Aと円錐状部142の側面142Aとが安定的に勘合し、衝撃や振動等の外力が加わっても容易に回動することがなく、ノブ180が操作されていない状態で、誤ったレバー140の回動動作が検出されるのを防ぐことができる。
【0048】
また、ノブ180が操作されていない状態では、レバー140はコイルバネ160によって上方向に付勢されて球状面141Aが支持部112の湾曲面112Aから離れ、円錐状部142がカム面131Aに勘合保持され、ノブ180が操作されている場合には、レバー140は、カム面131Aによって円錐状部142が押し下げられて球状面141Aが支持部112に支持され、球状面141Aが支持部112に対して摺動することによって回動するので、ノブ180の操作時に、レバー140の回動中心141Bと磁気センサ150との距離を一定に保持した状態で、レバー140を多方向に回動することができる。
これにより、繰り返し操作を行った際にも磁気センサの検出結果がバラつくことが無く、常に正確にレバー140の回動動作を検出することができる。
【0049】
なお、以上では、レバー140が上端側に円錐状部142を有し、円錐状部142が可動部130のカム面131Aに係合する形態について説明したが、レバー140のカム面131Aに係合する第1端部の形状は円錐状部142に限られるものではない。
図4A~
図6のような動作を行う際に、カム面131Aに係合可能な形状を有する第1端部であればよい。
【0050】
なお、以上では、ノブ180と可動部130とが一体となって同じ横方向のスライドを行う形態について説明したが、ノブ180の動作は横方向のスライドに限られるものではない。例えば、ノブ180が傾動動作をし、これに伴って可動部130がスライドするようにしてもよい。
【0051】
また、カム面131Aの形状は、
図1乃至
図6に示すような形状に限られず、
図4A~
図6のような動作を行う際に、レバー140の第1端部に係合可能な表面形状を有していればよい。
【0052】
また、以上では、レバー140の基部141が球状面141Aを有し、フレーム110の湾曲面112Aに支持される形態について説明したが、
図4A~
図6のような動作が可能であれば、球状面141Aと湾曲面112Aの形状は上述したような形状に限られるものではない。例えば、レバー140が特定の一方向のみに回動可能である場合には、レバーの基部141の形状は球状面である必要は無く、特定の一方向に沿って曲率が変化する曲面であればよい。
【0053】
また、以上では、レバー140が4本の腕部141Cを有する形態について説明したが、腕部141Cの数や構造は上述した数や構造に限られるものではない。例えば、レバー140は、腕部141Cの代わりに、コイルバネ160の上端に当接する円環状の凸部を有していてもよい。このような凸部は、基部141の外周面から水平方向に円環状に突出する凸部である。
【0054】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0055】
なお、本国際出願は、2020年8月19日に出願した日本国特許出願2020-138794に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0056】
100 入力装置
112 支持部
130 可動部
131A カム面
140 レバー
141A 球状面
141B 回動中心
142 円錐状部
150 磁気センサ
160 コイルバネ
180 ノブ