(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】基板保持ハンドおよび基板搬送ロボット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240129BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/00 F
(21)【出願番号】P 2022546870
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2020041030
(87)【国際公開番号】W WO2022049787
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2020148494
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】清水 一平
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-213768(JP,A)
【文献】特開2003-203962(JP,A)
【文献】特表2019-519913(JP,A)
【文献】特開平11-165863(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037976(WO,A1)
【文献】特開2010-067871(JP,A)
【文献】特開2007-283436(JP,A)
【文献】特開平11-312723(JP,A)
【文献】特開2003-019687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
基板を支持するブレードと、
前記ブレードを支持するとともに、前記ブレードを前記フレームに取り付けるための取付部材と、
前記フレームに対する前記取付部材の傾きを調整することにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構と、を備え、
前記傾き調整機構は、前記取付部材の傾きを調整した状態で、
側方から前記取付部材に挿入されて前記フレームの締結孔に締結される締結部材により前記取付部材を前記フレームに締結固定することにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である、基板保持ハンド。
【請求項2】
前記傾き調整機構は、傾き調整ピンを含み、
前記傾き調整ピンは、前記取付部材に挿入されるとともに、前記取付部材を水平方向のうち前記フレームと前記ブレードとが並ぶ前後方向に直交する側方に延びる所定の回転軸線周りに回転可能に支持し、前記側方に延びるように設けられている、請求項1に記載の基板保持ハンド。
【請求項3】
前記取付部材は、前記ブレードの基端部の一方側および他方側を前記フレームにそれぞれ取り付けるための一対の取付部材を含み、
前記傾き調整ピンは、前記一対の取付部材に対応する一対の傾き調整ピンを含み、
前記傾き調整機構は、前記一対の傾き調整ピンを回転中心として前記一対の取付部材を前記所定の回転軸線周りに回転させることにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である、請求項2に記載の基板保持ハンド。
【請求項4】
前記傾き調整ピンは、前記フレームに支持されるとともに、前記フレームの側方から突出して前記取付部材に挿入されるように設けられている、請求項2に記載の基板保持ハンド。
【請求項5】
前記傾き調整機構は、前記傾き調整ピンを回転中心として前記取付部材を前記所定の回転軸線周りに回転させることにより、前記取付部材の傾きを調整した状態で、前記締結部材により前記取付部材を前記フレームに締結固定することにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である、請求項2に記載の基板保持ハンド。
【請求項6】
前記ブレードは、前記基板を各々支持する複数のブレードを含み、
前記取付部材は、前記複数のブレードを共通に支持し、
前記傾き調整機構は、前記フレームに対する前記取付部材の傾きを調整することにより、前記複数のブレードの側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である、請求項1に記載の基板保持ハンド。
【請求項7】
前記複数のブレードは、前記ブレードの主面に垂直な方向に所定のピッチで並んで配置されており、
前記傾き調整機構は、前記ブレードの主面に垂直な方向における前記複数のブレード間のピッチを維持した状態で、前記複数のブレードの側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である、請求項6に記載の基板保持ハンド。
【請求項8】
前記取付部材は、前記フレームの側面に側方から取り付けられている、請求項1に記載の基板保持ハンド。
【請求項9】
基板保持ハンドと、
前記基板保持ハンドを移動させるアームと、を備え、
前記基板保持ハンドは、
フレームと、
基板を支持するブレードと、
前記ブレードを支持するとともに、前記ブレードを前記フレームに取り付けるための取付部材と、
前記フレームに対する前記取付部材の傾きを調整することにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構と、を含み、
前記傾き調整機構は、前記取付部材の傾きを調整した状態で、
側方から前記取付部材に挿入されて前記フレームの締結孔に締結される締結部材により前記取付部材を前記フレームに締結固定することにより、前記ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である、基板搬送ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板保持ハンドおよび基板搬送ロボットに関し、基板を支持するブレードを備える基板保持ハンドおよび基板搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を支持するブレードを備える基板保持ハンドが知られている。このようなハンドは、たとえば、特開2013-69914号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2013-69914号公報には、基板を搬送するための基板搬送用ハンド(基板保持ハンド)が開示されている。この基板搬送用ハンドは、基板を支持するハンド本体部(ブレード)を備えている。この基板搬送用ハンドは、たとえばSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格のFOUP(Front Opening Unified Pod)に対応した基板収納容器に収納された基板を、ハンド本体部で支持して搬送する。
【0004】
また、上記特開2013-69914号公報には明記されていないが、上記特開2013-69914号公報に記載されるような従来の基板収納容器では、基板が側方視において水平方向に平行になるように収納されている。この場合、上記特開2013-69914号公報に記載されるような従来の基板搬送用ハンドでは、基板収納容器に収納された基板に対応するように、ハンド本体部が側方視において水平方向に平行になるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の基板搬送用ハンドでは、基板収納容器(収容容器)に収納された基板が側方視において水平方向に対して傾いている場合、水平方向に対する基板の傾きに合わせて、基板を支持するハンド本体部(ブレード)の側方視における水平方向に対する傾きを調整することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明の課題(目的)は、収容容器に収容された基板が側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板の傾きに合わせて、基板を支持するブレードの側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することが可能な基板保持ハンドおよび基板搬送ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による基板保持ハンドは、フレームと、基板を支持するブレードと、ブレードを支持するとともに、ブレードをフレームに取り付けるための取付部材と、フレームに対する取付部材の傾きを調整することにより、ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構と、を備え、傾き調整機構は、取付部材の傾きを調整した状態で、側方から取付部材に挿入されてフレームの締結孔に締結される締結部材により取付部材をフレームに締結固定することにより、ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。
【0009】
この発明の第2の局面による基板搬送ロボットは、基板保持ハンドと、基板保持ハンドを移動させるアームと、を備え、基板保持ハンドは、フレームと、基板を支持するブレードと、ブレードを支持するとともに、ブレードをフレームに取り付けるための取付部材と、フレームに対する取付部材の傾きを調整することにより、ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構と、を含み、傾き調整機構は、取付部材の傾きを調整した状態で、側方から取付部材に挿入されてフレームの締結孔に締結される締結部材により取付部材をフレームに締結固定することにより、ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記のように、フレームに対する取付部材の傾きを調整することにより、ブレードの側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構を設けることにより、収容容器(フープなど)に収容された基板が側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板の傾きに合わせて、基板を支持するブレードの側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、収容容器自体が傾いていることに起因して収容容器に収容された基板が側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板の傾きに合わせて、基板を支持するブレードの側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、ブレードの自重およびブレードによる基板保持時の基板の重さなどに起因してブレードが撓んでブレードが側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板の傾きに合わせて、基板を支持するブレードの側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による基板搬送ロボットの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による基板保持ハンドの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による基板保持ハンドの構成を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による基板保持ハンドの構成を示す側面図である。
【
図5】(A)(B)は、本発明の一実施形態によるブレードの傾きの調整を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1~
図5を参照して、本実施形態による基板搬送ロボット100の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、基板搬送ロボット100は、基板保持ハンド1と、基板保持ハンド1を移動させるアーム2と、を備えている。
図2~
図5に示すように、基板保持ハンド1は、フレーム31と、基板(半導体ウエハ)Wを支持するブレード32と、ブレード32を支持するとともに、ブレード32をフレーム31に取り付けるための取付部材33と、フレーム31に対する取付部材33の傾きを調整することにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構34と、を含んでいる。
【0015】
本実施形態によれば、上記のように、フレーム31に対する取付部材33の傾きを調整することにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構34を設けることにより、収容容器(フープなど)に収容された基板Wが側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、収容容器自体が傾いていることに起因して収容容器に収容された基板Wが側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、ブレード32の自重およびブレード32による基板W保持時の基板Wの重さなどに起因してブレード32が撓んでブレード32が側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。
【0016】
基板保持ハンド1は、
図2~
図5に示すように、フレーム31と、ブレード32と、取付部材33と、傾き調整機構34と、を備えている。
【0017】
図3~
図5に示すように、傾き調整機構34は、傾き調整ピン34aを含んでいる。傾き調整ピン34aは、取付部材33に挿入されるとともに、取付部材33を水平方向のうちフレーム31とブレード32とが並ぶ前後方向(Y方向)に直交する側方(X方向)に延びる所定の回転軸線C1周りに回転可能に支持し、側方(X方向)に延びるように設けられている。なお、
図5では、理解の容易化のため、ブレード32の傾きの調整を誇張して図示している。
【0018】
取付部材33は、ブレード32の基端部32cの一方側および他方側をフレーム31にそれぞれ取り付けるための一対の取付部材33を含んでいる。傾き調整ピン34aは、一対の取付部材33に対応する一対の傾き調整ピン34aを含んでいる。傾き調整機構34は、一対の傾き調整ピン34aを回転中心として一対の取付部材33を所定の回転軸線C1周りに回転させることにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。
【0019】
傾き調整ピン34aは、フレーム31に支持されるとともに、フレーム31の側方から突出して取付部材33に挿入されるように設けられている。
【0020】
傾き調整機構34は、傾き調整ピン34aを回転中心として取付部材33を所定の回転軸線C1周りに回転させることにより、取付部材33の傾きを調整した状態で、締結部材35により取付部材33をフレーム31に締結固定することにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。締結部材35は、所定の回転軸線C1と平行に延びるように設けられており、側方(X方向)から取付部材33を介してフレーム31に取り付けられている。
【0021】
ブレード32は、基板Wを各々支持する複数(4つ)のブレード32を含んでいる。取付部材33は、複数のブレード32を共通に支持する。傾き調整機構34は、フレーム31に対する取付部材33の傾きを調整することにより、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である。
【0022】
複数のブレード32は、ブレード32の主面32aに垂直な方向(Z方向)に所定のピッチで並んで配置されている。傾き調整機構34は、ブレード32の主面32aに垂直な方向(Z方向)における複数のブレード32間のピッチを維持した状態で、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である。
【0023】
取付部材33は、フレーム31の側面に側方から取り付けられている。
【0024】
図1に示すように、アーム2は、水平多関節ロボットアームである。アーム2は、第1アーム2aと、第2アーム2bとを含んでいる。第1アーム2aは、一方端部を回動中心として後述するベース5に対して回動可能に構成されている。具体的には、第1アーム2aの一方端部は、第1関節を介してベース5に回動可能に接続されている。第2アーム2bは、一方端部を回動中心として第1アーム2aに対して回動可能に構成されている。具体的には、第2アーム2bの一方端部は、第2関節を介して第1アーム2aの他方端部に回動可能に接続されている。また、第2アーム2bの他方端部には、第3関節を介して基板保持ハンド1が回動可能に接続されている。第1関節、第2関節および第3関節の各関節には、回転駆動の駆動源であるサーボモータと、サーボモータの出力軸の回転位置を検出する回転位置センサと、サーボモータの出力を関節に伝達する動力伝達機構とを含む駆動機構が設けられている。
【0025】
また、基板搬送ロボット100は、アーム2が取り付けられるベース5と、ベース5が取り付けられるアーム昇降機構6とをさらに備えている。ベース5は、一方端部が第1アーム2aの一方端部に接続されるとともに、他方端部がアーム昇降機構6に接続されるように構成されている。アーム昇降機構6は、ベース5を昇降させることにより、アーム2を昇降させるように構成されている。アーム昇降機構6は、昇降駆動の駆動源であるサーボモータと、サーボモータの出力軸の回転位置を検出する回転位置センサと、サーボモータの出力をベース5(アーム2)に伝達する動力伝達機構とを含んでいる。
【0026】
図2に示すように、基板保持ハンド1には、複数(4つ)のブレード32が設けられている。すなわち、基板保持ハンド1は、複数(4つ)の基板Wを搬送可能(保持可能)に構成されている。
【0027】
図2および
図3に示すように、基板保持ハンド1は、フレーム31と、ブレード32と、取付部材33とを備えている。フレーム31は、ブレード32を支持する支持体である。フレーム31は、一対の側壁部31aと、一対の側壁部31aを接続する基端部31bとを含んでいる。一対の側壁部31aは、一対の前支持部321が並ぶ方向に平行な方向(X方向)に、壁面が対向するように、離間して設けられている。また、一対の側壁部31aは、一対の前支持部321が並ぶ方向に直交し、かつ、ブレード32の主面32aに平行な方向(Y方向)に延びるように設けられている。基端部31bは、一対の側壁部31aの各々の基端部(Y2方向側の部分)を接続している。基端部31bは、基端側(Y2方向側)に凸状に湾曲する形状を有している。一対の側壁部31aと、基端部31bとは、ブレード32の主面32aに垂直な方向から見て、U字状をなすように設けられている。
【0028】
ブレード32は、基板Wを支持する薄板状の支持板である。ブレード32は、先端部32b側(Y1方向側)に設けられた前支持部321と、基端部32c側(Y2方向側)に設けられた後支持部322と、を有している。また、ブレード32は、先端部32b側が二股に分かれた形状を有している。ブレード32では、二股に分かれた部分の各々に、一対の前支持部321が振り分けて設けられている。一対の前支持部321は、互いに異なる高さに設けられた複数(2つ)の支持面を有している。また、一対の後支持部322は、一対の前支持部321の下側(Z2方向側)の支持面と略同じ高さに設けられた支持面を有している。なお、「高さ」とは、ブレード32の主面32aに垂直な方向(Z方向)における、ブレード32の主面32aからの距離を意味している。
【0029】
一対の前支持部321と、一対の後支持部322とは、ブレード32の主面32a上に設けられている。一対の前支持部321と、一対の後支持部322との各支持面は、略円形状の基板Wの外周縁部の裏面(Z2方向側の面)を下側から支持するように構成されている。
【0030】
取付部材33は、フレーム31の側壁部31aに側方から取り付けられている。具体的には、X1方向側の取付部材33は、フレーム31のX1方向側の側壁部31aの先端部側の部分に、外側の側方(X1方向側)から取り付けられている。また、X1方向側の取付部材33は、フレーム31のX1方向側の側壁部31aの先端部側の部分に、X1方向側の締結部材35により固定されている。また、X2方向側の取付部材33は、フレーム31のX2方向側の側壁部31aの先端部側の部分に、外側の側方(X2方向側)から取り付けられている。また、X2方向側の取付部材33は、フレーム31のX2方向側の側壁部31aの先端部側の部分に、X2方向側の締結部材35により固定されている。締結部材35は、取付部材33にX方向に挿入されるとともに、フレーム31の側壁部31aの締結孔に締結されている。
【0031】
また、
図4および
図5に示すように、取付部材33は、ブレード32を支持するプレート状の支持部33a、33bおよび33cを有している。支持部33a、33bおよび33cは、ブレード32の主面31cに垂直な方向(Z方向)に並んで配置されている。また、支持部33a、33bおよび33cは、フレーム31側(Y2方向側)からブレード32の先端部32b側(Y1方向側)に向かって延びるように設けられている。また、支持部33aは、上側(Z1方向側)の端部のブレード(1段目のブレード)32を上面側において支持している。支持部33bは、中間のブレード(2段目および3段目のブレード)32を共通に支持している。支持部33bは、上面側および下面側の各々において、ブレード32を支持している。支持部33cは、下側(Z2方向側)の端部のブレード(4段目のブレード)32を下面側において支持している。
【0032】
傾き調整機構34により傾きを調整する場合、締結部材35を緩めた状態で、傾き調整ピン34aを回転中心として取付部材33が、回転軸線C1周りに回転される。これにより、取付部材33の支持部33a、33bおよび33cに支持された複数のブレード32が、複数のブレード32間のピッチを維持した状態で、回転軸線C1周りに回転される。その結果、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きが一括して調整される。また、締結部材35を締めることにより、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きが固定される。
【0033】
また、基板保持ハンド1は、基板Wを支持するための進退移動する可動支持ユニット36と、基板Wを押圧するための進退移動する第1可動押圧ユニット37および第2可動押圧ユニット38とをさらに備えている。可動支持ユニット36は、基板Wを支持する一対の支持部材36aと、一対の支持部材36aをY方向に進退移動させるためのアクチュエータとしてのエアシリンダ36bとを有している。可動支持ユニット36は、エアシリンダ36bにより、一対の支持部材36aをY1方向に前進させて、基板Wを支持する支持位置に配置させることが可能なように構成されている。また、可動支持ユニット36は、エアシリンダ36bにより、一対の支持部材36aをY2方向に後退させて、基板Wを支持しない退避位置に配置させることが可能なように構成されている。また、一対の支持部材36aは、一対の前支持部321の上側(Z1方向側)の支持面と略同じ高さに設けられた支持面を有している。一対の支持部材36aの各支持面は、略円形状の基板Wの外周縁部の裏面(Z2方向側の面)を下側から支持するように構成されている。
【0034】
第1可動押圧ユニット37は、基板Wを押圧する一対の押圧部材37aと、一対の押圧部材37aをY方向に進退移動させるためのアクチュエータとしてのエアシリンダ37bとを有している。第1可動押圧ユニット37は、エアシリンダ37bにより、一対の押圧部材37aをY1方向に前進させて、基板Wを押圧することが可能なように構成されている。また、第1可動押圧ユニット37は、エアシリンダ37bにより、一対の押圧部材37aをY2方向に後退させて、基板Wを押圧しない退避位置に配置させることが可能なように構成されている。
【0035】
第2可動押圧ユニット38は、基板Wを押圧する一対の押圧部材38aと、一対の押圧部材38aをY方向に進退移動させるためのアクチュエータとしてのエアシリンダ38bとを有している。第2可動押圧ユニット38は、エアシリンダ38bにより、一対の押圧部材38aをY1方向に前進させて、基板Wを押圧することが可能なように構成されている。また、第2可動押圧ユニット38は、エアシリンダ38bにより、一対の押圧部材38aをY2方向に後退させて、基板Wを押圧しない退避位置に配置させることが可能なように構成されている。
【0036】
基板保持ハンド1では、一対の前支持部321の上側(Z1方向側)の支持面と、可動支持ユニット36の一対の支持部材36aの支持面とは、処理後(洗浄後)の基板Wを支持する。そして、第1可動押圧ユニット37の一対の押圧部材37aは、一対の前支持部321の上側(Z1方向側)の支持面と、可動支持ユニット36の一対の支持部材36aの支持面とにより支持された、処理後(洗浄後)の基板Wを押圧する。
【0037】
また、基板保持ハンド1では、一対の前支持部321の下側(Z2方向側)の支持面と、一対の後支持部322の支持面とは、処理前(洗浄前)の基板Wを支持する。そして、第2可動押圧ユニット38の一対の押圧部材38aは、一対の前支持部321の下側(Z2方向側)の支持面と、一対の後支持部322の支持面とにより支持された、処理前(洗浄前)の基板Wを押圧する。一対の前支持部321と、一対の後支持部322と、可動支持ユニット36と、第1可動押圧ユニット37と、第2可動押圧ユニット38とは、処理前(洗浄前)の基板Wと処理後(洗浄後)の基板Wとで使い分けられる。
【0038】
また、可動支持ユニット36のエアシリンダ36bと、第1可動押圧ユニット37のエアシリンダ37bと、第2可動押圧ユニット38のエアシリンダ38bとは、フレーム内側部品40aとして、フレーム31の内側に配置されている。また、可動支持ユニット36のエアシリンダ36bと、第1可動押圧ユニット37のエアシリンダ37bと、第2可動押圧ユニット38のエアシリンダ38bとは、フレーム31の内側において、ブレード32の主面32aに垂直な方向(Z方向)に並んで配置されている。具体的には、可動支持ユニット36のエアシリンダ36bと、第1可動押圧ユニット37のエアシリンダ37bと、第2可動押圧ユニット38のエアシリンダ38bとは、ブレード32の主面32aに垂直な方向(Z方向)から見て、オーバーラップするように設けられている。これにより、エアシリンダ36b、37bおよび38bがフレーム31の幅方向(X方向)に並んで配置されないので、エアシリンダ36b、37bおよび38bをフレーム31の幅方向(X方向)にコンパクトに配置可能である。
【0039】
また、基板保持ハンド1は、フレーム31とは別個に設けられたカバー(ケーシング)39(
図2参照)をさらに備えている。カバー39は、フレーム31と、可動支持ユニット36、第1可動押圧ユニット37および第2可動押圧ユニット38の一部(フレーム31の内側に配置された部分)とを覆うように設けられている。
【0040】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
本実施形態では、上記のように、フレーム31に対する取付部材33の傾きを調整することにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能な傾き調整機構34を設けることにより、収容容器(フープなど)に収容された基板Wが側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、収容容器自体が傾いていることに起因して収容容器に収容された基板Wが側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。また、ブレード32の自重およびブレード32による基板保持時の基板Wの重さなどに起因してブレード32が撓んでブレード32が側方視において水平方向に対して傾いている場合にも、水平方向に対する基板Wの傾きに合わせて、基板Wを支持するブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単に調整することができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、傾き調整機構34は、傾き調整ピン34aを含む。また、傾き調整ピン34aは、取付部材33に挿入されるとともに、取付部材33を水平方向のうちフレーム31とブレード32とが並ぶ前後方向に直交する側方に延びる所定の回転軸線C1周りに回転可能に支持し、側方に延びるように設けられている。これにより、傾き調整ピン34aを回転中心として取付部材33を側方に延びる所定の回転軸線C1周りに簡単かつ確実に回転させることができるので、傾き調整ピン34aを含む傾き調整機構34によりブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを簡単かつ確実に調整することができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、取付部材33は、ブレード32の基端部32cの一方側および他方側をフレーム31にそれぞれ取り付けるための一対の取付部材33を含む。また、傾き調整ピン34aは、一対の取付部材33に対応する一対の傾き調整ピン34aを含む。また、傾き調整機構34は、一対の傾き調整ピン34aを回転中心として一対の取付部材33を側方に延びる所定の回転軸線C1周りに回転させることにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。これにより、一対の傾き調整ピン34aを用いて一対の取付部材33を所定の回転軸線C1周りに、より簡単かつ確実に回転させることができるので、一対の傾き調整ピン34aを含む傾き調整機構34によりブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを、より簡単かつ確実に調整することができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、傾き調整ピン34aは、フレーム31に支持されるとともに、フレーム31の側方から突出して取付部材33に挿入されるように設けられている。これにより、フレーム31により傾き調整ピン34aを強固に支持した状態で、傾き調整ピン34aにより取付部材33を所定の回転軸線C1周りに回転させることができる。その結果、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを容易に調整することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、傾き調整機構34は、傾き調整ピン34aを回転中心として取付部材33を所定の回転軸線C1周りに回転させることにより、取付部材33の傾きを調整した状態で、締結部材35により取付部材33をフレーム31に締結固定することにより、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整可能である。これにより、締結部材35により取付部材33をフレーム31に締結固定するだけで、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを調整した傾きに固定することができるので、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整作業を簡単に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、ブレード32は、基板Wを各々支持する複数のブレード32を含む。また、取付部材33は、複数のブレード32を共通に支持する。また、傾き調整機構34は、フレーム31に対する取付部材33の傾きを調整することにより、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である。これにより、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを個別に調整する必要がある場合に比べて、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整作業の手間を省くことができるので、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整作業を簡単に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、複数のブレード32は、ブレード32の主面32aに垂直な方向に所定のピッチで並んで配置されている。また、傾き調整機構34は、ブレード32の主面32aに垂直な方向における複数のブレード32間のピッチを維持した状態で、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である。これにより、複数のブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整作業後に、複数のブレード32間のピッチ(ブレード32の中心間距離)の調整作業を行う必要がないので、ブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整作業をより簡単に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、取付部材33は、フレーム31の側面に側方から取り付けられている。これにより、取付部材33がフレーム31に対して上方または下方から取り付けられている場合に比べて、取付部材33の側方視における水平方向に対する傾きを側方から簡単に調整することができるので、取付部材33の傾きを調整することによるブレード32の側方視における水平方向に対する傾きの調整を簡単に行うことができる。
【0049】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0050】
たとえば、上記実施形態では、アームが、水平多関節ロボットアームである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、アームが、垂直多関節ロボットアームなどの水平多関節ロボットアーム以外のアームであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、基板保持ハンドに、複数のブレードが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板保持ハンドに、1つのブレードが設けられていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、基板保持ハンドに、4つのブレードが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板保持ハンドに、4つ以外の複数のブレードが設けられていてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ブレードが、二股に分かれた形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ブレードが、二股に分かれた形状以外の形状を有していてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、ブレードが、互いに異なる高さで2つの基板を支持可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ブレードが、1つの基板のみを支持可能(1つの高さでのみ基板を支持可能)に構成されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、可動支持ユニットが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動支持ユニットが設けられていなくてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、可動支持ユニットが1つの基板に対して一対の支持部材を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動支持ユニットが1つの基板に対して1つの支持部材を含んでいてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1可動押圧ユニットと第2可動押圧ユニットとの2つの押圧ユニットが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動押圧ユニットが1つのみ設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、可動押圧ユニットが一対の押圧部材を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動押圧ユニットが1つの押圧部材のみを含んでいてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、傾き調整機構が、傾き調整ピンを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、傾き調整機構が、傾き調整ピン以外の傾き調整ねじなどの傾き調整構造を含んでいてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、傾き調整機構が、複数のブレードの側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、傾き調整機構が、複数のブレードの側方視における水平方向に対する傾きを個別に調整可能であってもよい。また、傾き調整機構が、複数のブレードの一部の側方視における水平方向に対する傾きを一括して調整可能であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 基板保持ハンド
2 アーム
31 フレーム
32 ブレード
32a 主面
33 取付部材
34 傾き調整機構
34a 傾き調整ピン
35 締結部材
100 基板搬送ロボット
W 基板
C1 所定の回転軸線