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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ヌクレオチドの新規な使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7068 20060101AFI20240129BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 31/708 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240129BHJP
   A23L 33/13 20160101ALI20240129BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240129BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240129BHJP
   A21D 2/24 20060101ALI20240129BHJP
   A23C 9/152 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61K31/7072
A61K31/7076
A61K31/708
A61P11/02
A61P37/08
A23L33/13
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A23L2/52
A21D2/24
A23C9/152
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022549816
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2022073440
(87)【国際公開番号】W WO2022166641
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202110145510.8
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502331916
【氏名又は名称】陳 玉松
【住所又は居所原語表記】NO.9 JinQi Road,Advanced Equipment Manufacturing Industry Park,JinPu New District,Dalian,China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】李 勇
(72)【発明者】
【氏名】劉 欣然
(72)【発明者】
【氏名】徐 美虹
(72)【発明者】
【氏名】陳 玉松
(72)【発明者】
【氏名】曾 崢
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08075934(US,B2)
【文献】特表2009-512686(JP,A)
【文献】特開昭57-140716(JP,A)
【文献】特開昭63-188627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性鼻炎の予防・治療に用いるための薬物の製造のための、ヌクレオチドの使用であって、
前記ヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態のヌクレオチド混合物であり、各種類のヌクレオチドは、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子換算の総量が100%であり、そのうち各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれ、
(a)CMPが43質量%、AMPが17質量%、UMPが21質量%、GMPが18質量%、IMPが1質量%、
(b)CMPが78質量%、AMPが6質量%、UMPが8質量%、GMPが7質量%、IMPが1質量%、
(c)CMPが23質量%、AMPが44質量%、UMPが25質量%、GMPが7質量%、IMPが1質量%、
(d)CMPが23質量%、AMPが17質量%、UMPが40質量%、GMPが19質量%、IMPが1質量%、又は、
(e)CMPが24質量%、AMPが17質量%、UMPが7質量%、GMPが51質量%、IMPが1質量%、
である、ことを特徴とするヌクレオチドの使用。
【請求項2】
アレルギー性鼻炎の症状の緩和に用いるための機能性食品の製造のための、ヌクレオチドの使用であって、
前記ヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態のヌクレオチド混合物であり、各種類のヌクレオチドは、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子換算の総量が100%であり、そのうち各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれ、
(a)CMPが43質量%、AMPが17質量%、UMPが21質量%、GMPが18質量%、IMPが1質量%、
(b)CMPが78質量%、AMPが6質量%、UMPが8質量%、GMPが7質量%、IMPが1質量%、
(c)CMPが23質量%、AMPが44質量%、UMPが25質量%、GMPが7質量%、IMPが1質量%、
(d)CMPが23質量%、AMPが17質量%、UMPが40質量%、GMPが19質量%、IMPが1質量%、又は、
(e)CMPが24質量%、AMPが17質量%、UMPが7質量%、GMPが51質量%、IMPが1質量%、
である、ことを特徴とするヌクレオチドの使用。
【請求項3】
前記薬物は、粉剤、錠剤、硬軟カプセル剤又は経口液剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記機能性食品は、粉剤、液体飲料であり、好ましくは粉乳、乳製品又はベーカリー製品である、ことを特徴とする請求項2に記載の使用。
【請求項5】
ヌクレオチドはアレルギー性鼻炎の症状を有する血清、鼻腔灌流液におけるヒスタミンの含有量を顕著に低減させ、血清におけるIgG、IgE、IL-4、IL-12を顕著に低減させ、IL-10を顕著に向上させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物開発技術分野及び機能性食品技術分野に関し、具体的にはヌクレオチドの新規な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性疾患とは生体が1種類又は多種類の感作物質(アレルゲン)に接触した後に大量の抗体を生成することで、組織や器官に機能障害又は損傷が生じる疾患であり、主にアレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性胃腸疾患及び食物アレルギーを含む。アレルギー性疾患は既に一般的な公共健康問題となっており、発症率が年々増加しており、患者に過大な医療負担をもたらしている。現在、アレルギー性疾患の最も主要な治療方法は化学薬物治療であり、ある程度、病状を緩和することができるが、薬物治療はアレルギー性疾患の進行を変えることができず、薬の使用を停止した後に薬効が長く維持できず、病状が再発しやすく、且つ長期間、化学薬物治療を利用すると、生体に悪影響を与える可能性があるので、根本的に治癒の効果を達成することができない。そのため、アレルギー性疾患を効果的に緩和又は治療できる有効な方法を探すことは明らかに必要である。
【0003】
研究によると、ヌクレオチドの摂取はマウスのアレルギー性鼻炎の症状を軽減することができ、アレルギーによる脾臓の腫大を緩和し、血清及び鼻腔灌流液におけるヒスタミンのレベルを顕著に低減させ、炎症因子を効果的に調節し、アレルギー性鼻炎を予防・治療する作用を果たすことが見出されている。この技術を健康産業に適用すれば、アレルギー疾患の患者の健康、医療のニーズを十分に満たすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アレルギー性鼻炎等の疾患を予防・治療する薬物又はアレルギー性鼻炎の症状を緩和する機能性食品の製造における低分子量且つ高吸収速度のヌクレオチド製剤の使用を提供することを目的とし、サプリメントによってアレルギー性鼻炎等の疾患を予防・治療するための新しい方法を提供するとともに、安定で効果的で、再現可能な実験動物モデルの作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
本発明の一態様では、アレルギー性鼻炎の予防・治療に用いるための薬物の調製のための、ヌクレオチドの使用を提供する。
【0007】
本発明の別の一態様では、アレルギー性鼻炎の症状の緩和に用いるための機能性食品の製造のための、ヌクレオチドの使用を提供する。
【0008】
上記態様において、さらに、前記ヌクレオチドは4種類又は5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態のヌクレオチド混合物であり、各種類のヌクレオチドはCMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子換算の総量が100%であり、そのうち各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが23~78質量%、AMPが6~44質量%、UMPが7~40質量%、GMPが7~51質量%、IMPが0~2.5質量%である。
【0009】
上記態様において、さらに、各種類のヌクレオチドの有効な含有量はCMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが42~43質量%、AMPが16~17質量%、UMPが21~22質量%、GMPが18質量%、IMPが0~2.5質量%である。
【0010】
上記態様において、さらに、各種類のヌクレオチドの有効な含有量はCMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが43質量%、AMPが17質量%、UMPが21質量%、GMPが18質量%、IMPが1質量%である。
【0011】
上記態様において、さらに、前記薬物は粉剤、錠剤、硬軟カプセル剤又は経口液剤である。
【0012】
上記態様において、さらに、前記機能性食品は粉剤、液体飲料であり、好ましくは粉乳、乳製品又はベーカリー製品である。
【0013】
上記態様において、さらに、ヌクレオチドはアレルギー性鼻炎の症状を有する血清、鼻腔灌流液におけるヒスタミン(Histamine、HIS)の含有量を顕著に低減させ、血清におけるIgG、IgE、IL-4、IL-12を顕著に低減させ、IL-10を顕著に向上させる。用いられる実験動物モデルは、特定量のオボアルブミン(OVA)と特定量の水酸化アルミニウムゲル免疫アジュバントの組み合わせによるBALB/cマウスのアレルギー性鼻炎のモデルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、従来の物質であるヌクレオチドがアレルギー性鼻炎等の疾患を予防・治療する機能を有することが見出され、アレルギー性鼻炎等の疾患を予防・治療する薬物又はアレルギー性鼻炎の症状を緩和する機能性食品の製造における使用が発見された。動物実験によれば、ヌクレオチドの摂取は、アレルギーによる脾臓の腫れを緩和することにより、血清及び鼻腔灌流液におけるヒスタミンのレベルを顕著に低減させ、炎症因子を効果的に調節し、アレルギー性疾患を予防・治療する作用を果たすことができることが確認され、アレルギー性鼻炎等の疾患を顕著に予防・治療する効果を有することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マウスの血清及び鼻腔灌流液におけるHIS含有量に対するヌクレオチドの影響。
図2】マウスの血清におけるIgE含有量に対するヌクレオチドの影響。
図3】マウスの血清におけるIgG含有量に対するヌクレオチドの影響。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下は具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに説明するが、本発明を何ら制限するものではない。
【0017】
(実施例1)
1.本実施例のヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態を、含有量が質量パーセントで、CMPが43%、AMPが17%、UMPが21%、GMPが18%、IMPが1%の割合になるようにして混合して得られたものである。
【0018】
2.具体的な製造方法は以下のとおりである。
(1)5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩をそれぞれ検査し、合格した後に使用に備える。
(2)品質検査に合格した5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩を60メッシュの篩に通して使用に備える。
(3)比例で計算して必要な各モノヌクレオチドのサンプル量を秤量し、全部加えた後に全体混合を行い、混合時間は40分以上にする。得られたサンプルは常温で保存する。
【0019】
(実施例2)
本実施例のヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態を、含有量が質量パーセントで、CMPが78%、AMPが6%、UMPが8%、GMPが7%、IMPが1%の割合になるようにして混合して得られたものである。製造方法は実施例1と同じである。
【0020】
(実施例3)
本実施例のヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態を、含有量が質量パーセントで、CMPが23%、AMPが44%、UMPが25%、GMPが7%、IMPが1%の割合になるようにして混合して得られたものである。製造方法は実施例1と同じである。
【0021】
(実施例4)
本発明に係るヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態を、含有量が質量パーセントで、CMPが23%、AMPが17%、UMPが40%、GMPが19%、IMPが1%の割合になるようにして混合して得られたものである。製造方法は実施例1と同じである。
【0022】
(実施例5)
本発明に係るヌクレオチドは、5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態を、含有量が質量パーセントで、CMPが24%、AMPが17%、UMPが7%、GMPが51%、IMPが1%の割合になるようにして混合して得られたものである。製造方法は実施例1と同じである。
【0023】
実験検証
一、材料及び方法
1.サンプル:
上記実施例1~5で得られたヌクレオチドのサンプル。
【0024】
2.実験動物:
北京大学医学部実験動物センターが提供する6~8週齢の健康のBALB/c雌マウス(SPFレベル、実験動物使用許可証番号がSYXK(京)2011-0039であり、実験動物生産許可証番号がSCXK(京)2011-0012)を用い、体重が18~22gであり、合計50匹を、北京大学医学部実験動物部でケージを分けて飼育し、各ケージは5匹ずつであり、自由に餌と水を取る。動物室の温度範囲は25℃±1℃であり、相対湿度は50%~60%であり、室内照明は12h/12h明暗周期リズムに制御する。
【0025】
3.アレルギー性鼻炎動物モデルの作製:
モデルはオボアルブミンと4%の水酸化アルミニウムゲル免疫アジュバントとの組み合わせによるマウスアレルギー性鼻炎モデルである。具体的なフローは二つの部分に分けられる。(1)初期感作:0日目、7日目、14日目及び21日目に、25μgのオボアルブミン及び2mgの水酸化アルミニウムゲルを含む200μLの生理食塩水をマウス腹腔内に注射して感作させる。(2)再度引き起こし:初期感作後の23日目、25日目及び27日目に、オボアルブミン500μgを含む生理食塩水20μLをマウスの両側鼻腔に滴下し、両側鼻腔を10μLずつ交互に滴下する。対照群は生理食塩水で代替する。毎回鼻腔に引き起こす時の20分間内に、マウスのくしゃみ及び鼻掻痒動作回数を観察して記録し、モデル群のくしゃみ及び鼻掻痒回数が対照群より顕著に高いと、モデル作製が成功したと見なす。
【0026】
4.群分けと用量:
体重に応じてマウスを5つの群にランダムに分け、各群は10匹にし、それぞれブランク対照群、モデル対照群、ヌクレオチド低用量群、ヌクレオチド中用量群、ヌクレオチド高用量群である。ブランク対照群のマウスはモデル作製過程を経ず、他の群のマウスはモデル作製後に毎日一定時間で各群に対応する被験物質を胃内投与する。ヌクレオチド低用量群には0.3g/kg.bwのヌクレオチドを与え、ヌクレオチド中用量群には0.6g/kg.bwのヌクレオチドを与え、ヌクレオチド高用量群には1.2g/kg.bwのヌクレオチドを与える。モデル対照群及びブランク対照群にはいずれも等量の無菌蒸留水を与える。関与周期は14日間であり、その間に自由に餌と水を取る。
【0027】
5.主要機器と試薬:
Bio-Radマイクロプレートリーダー(米国)、オボアルブミン(米国)、水酸化アルミニウムゲルアジュバント(中国)、Elisaキット(中国)。
【0028】
6.実験方法:
6.1体重及び臓器係数の測定:
14日間胃内投与した後に、マウスの体重を秤量し、麻酔して血を取った後に直ちに頚椎脱臼で死亡させ、肝臓、腎臓、脾臓及び胸腺を取り、筋膜を除去し、濾紙で臓器表面の血液汚れを吸尽くした後秤量し、各臓器係数を算出する。式は、臓器係数=(臓器重量/体重)*100である。
【0029】
6.2血清及び鼻腔灌流液におけるヒスタミン含有量の測定:
14日間胃内投与した後、マウスを麻酔した後に血液を1.5mLの遠心管に取り、静置してから遠心して血清を分離する。Elisaキットで血清におけるHIS含有量を検出する。マウスを死なせた後にその頭部を切断し、1mLの注射器で予冷された生理食塩水を吸引してマウスの気管から鼻咽頭部に慎重に挿入し、生理食塩水を徐々に押し出し、遠心管によりマウスの鼻孔で鼻腔灌流液を受け、遠心して灌流液の上清を分離する。Elisaキットで鼻腔灌流液におけるHIS含有量を検出する。
【0030】
6.3血清における免疫タンパク質の測定:
14日間胃内投与した後、マウスを麻酔した後に血液を遠心管に取り、静置してから遠心して血清を分離する。Elisaキットで血清におけるIgG及びIgEの含有量を検出する。
【0031】
6.4血清における炎症因子の測定:
14日間胃内投与した後、マウスを麻酔した後に血液を遠心管に取り、静置してから遠心して血清を分離する。Elisaキットで血清におけるIL-4、IL-10及びIL-12の含有量を検出する。
【0032】
7.統計方法:
全ての結果はいずれも平均値±標準偏差で表され、統計検定はSPSS23.0ソフトウェアを用いて一元配置分散分析を行い、p<0.05を差異として統計学的に有意であるとする。
【0033】
二、実施例1の実験結果
1.マウスの体重及び臓器係数に対するヌクレオチドの影響
表1の結果から分かるように、各群のマウスの体重、腎臓係数、胸腺係数の差異はいずれも統計学的に有意ではない(p>0.05)。アレルギーモデル対照群はブランク対照群より肝臓係数が顕著に高く、ヌクレオチド関与後の3つの群のマウスはいずれもモデル対照群より肝臓係数が顕著に低く、ブランク対照群のレベルに近い。これは、ヌクレオチド関与がアレルギーマウスに発生しうるいくつかの肝障害症状を改善できることを表す。
【0034】
アレルギーモデルマウスはいずれもブランク対照群より脾臓係数が顕著に高いが、ヌクレオチド低用量群の関与後のマウスはモデル対照群より脾臓係数が顕著に低減し、ヌクレオチド関与はアレルギーによる脾臓の腫大状況を軽減することができ、アレルギーの治療に対して一定の意義を有することを表す。
【0035】
【表1】
【0036】
図1から分かるように、モデル対照群はいずれもブランク対照群より血清及び鼻腔灌流液におけるHIS含有量が顕著に高く、モデル作製が非常に成功し、マウスの局所及び全身のアレルギー反応が顕著であることを表明する。ヌクレオチド関与の高用量群のマウスは血清におけるHIS含有量が顕著に低減することを示し、一方、鼻腔灌流液におけるHIS含有量において、ヌクレオチド中用量群及びヌクレオチド高用量群のHIS含有量も顕著に低減する。これは、ヌクレオチドの摂取は一定のアレルギーを治療するための作用を有することを示す。
【0037】
図2から分かるように、モデル対照群と比較し、ヌクレオチド高用量群は血清におけるIgE含有量を顕著に低減させることができ、アレルギーの治療に対して顕著な効果を有する。
【0038】
図3から分かるように、モデル対照群と比較し、ヌクレオチド高用量群は血清におけるIgG含有量を顕著に低減させることができ、アレルギーの治療に対して顕著な効果を有する。
【0039】
表2から分かるように、ヌクレオチド高用量群はアレルギーモデルマウスの血清におけるIL-4及びIL-12のレベルを顕著に低減させることができる。
【0040】
ブランク対照群と比較し、モデル対照群のマウスの血清におけるIL-10は顕著に低減し、ヌクレオチド高用量群の関与後のマウスはモデル対照群より血清におけるIL-10のレベルが顕著に高く、その含有量はブランク対照群の健康マウスに近い。これは、ヌクレオチド関与はアレルギーマウスの血清の炎症因子の乱れを補正することに対して顕著な作用を有することを示す。
【0041】
【表2】
【0042】
三、実施例2~5の実験結果
表3から分かるように、実施例2~5のヌクレオチド高用量群はアレルギーモデルマウスの血清におけるIL-4及びIL-12のレベルを顕著に低減させることができる。
【0043】
ブランク対照群に比較し、モデル対照群のマウスの血清におけるIL-10は顕著に低減し、実施例2~5のヌクレオチド高用量群の関与後のマウスはモデル対照群より血清におけるIL-10のレベルが顕著に高く、その含有量はブランク対照群の健康マウスに近い。これは、ヌクレオチド関与はアレルギーマウスの血清の炎症因子の乱れを補正することに対して顕著な作用を有することを示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表4から分かるように、実施例2~5のヌクレオチド高用量群はアレルギーモデルマウスの血清のHISの含有量及び鼻腔のHISの含有量を顕著に低減させることができる。
【0046】
【表4】
【0047】
四、実験結論
本研究では、ブランク対照群、モデル対照群を対照群として設けることで、ヌクレオチドのアレルギー性鼻炎等の疾患を予防・治療するための作用を検討した。動物実験の結果により、ヌクレオチドはアレルギーによる脾臓の腫大を緩和することにより、血清及び鼻腔灌流液におけるヒスタミンのレベルを顕著に低減させ、炎症因子を効果的に調節し、アレルギー性疾患を治療するための作用を果たすことができることが示された。これは、本願のヌクレオチドがアレルギー性鼻炎等の疾患を治療する顕著な効果を有し、アレルギー性疾患を治療する新規薬物としての潜在力を備えることを示し、その好適な濃度範囲は毎日0.6~1.2g/kg.bwを摂取するのが良い。
【0048】
当業者であれば、本発明の技術案の範囲から逸脱することなく、上記開示された技術内容を利用して本発明の技術案に対して多くの可能な変更や修飾を行い、又は同等の変更の等価実施例に修正することができる。したがって、本発明の技術案から逸脱しない内容であれば、本発明の技術的実質に基づいて以上の実施例に対して行った如何なる簡単な修正、同等な変化及び修飾は、いずれも本発明の技術案の保護範囲内に属する。
【0049】
(付記)
(付記1)
アレルギー性鼻炎の予防・治療に用いるための薬物の製造のための、ヌクレオチドの使用。
【0050】
(付記2)
アレルギー性鼻炎の症状の緩和に用いるための機能性食品の製造のための、ヌクレオチドの使用。
【0051】
(付記3)
前記ヌクレオチドは、4種類又は5種類の5’-モノヌクレオチド又はそのナトリウム塩形態のヌクレオチド混合物であり、各種類のヌクレオチドは、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子換算の総量が100%であり、そのうち各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが23~78質量%、AMPが6~44質量%、UMPが7~40質量%、GMPが7~51質量%、IMPが0~2.5質量%である、ことを特徴とする付記1又は2に記載の使用。
【0052】
(付記4)
各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが42~43質量%、AMPが16~17質量%、UMPが21~22質量%、GMPが18質量%、IMPが0~2.5質量%である、ことを特徴とする付記3に記載の使用。
【0053】
(付記5)
各ヌクレオチドの有効な含有量は、CMP、AMP、UMP、GMP、IMP分子で計算して、それぞれCMPが43質量%、AMPが17質量%、UMPが21質量%、GMPが18質量%、IMPが1質量%である、ことを特徴とする付記3に記載の使用。
【0054】
(付記6)
前記薬物は、粉剤、錠剤、硬軟カプセル剤又は経口液剤である、ことを特徴とする付記1に記載の使用。
【0055】
(付記7)
前記機能性食品は、粉剤、液体飲料であり、好ましくは粉乳、乳製品又はベーカリー製品である、ことを特徴とする付記2に記載の使用。
【0056】
(付記8)
ヌクレオチドはアレルギー性鼻炎の症状を有する血清、鼻腔灌流液におけるヒスタミンの含有量を顕著に低減させ、血清におけるIgG、IgE、IL-4、IL-12を顕著に低減させ、IL-10を顕著に向上させる、ことを特徴とする付記1又は2に記載の使用。
図1
図2
図3