(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】キー粉砕パンセグメント、粉砕パンセグメントシステム、およびそのための方法
(51)【国際特許分類】
B02C 15/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
B02C15/00
(21)【出願番号】P 2022563071
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060674
(87)【国際公開番号】W WO2021209133
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591031407
【氏名又は名称】ロエシェ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】べテンワース ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】キースナー ミハエル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第761696(GB,A)
【文献】実開昭59-184946(JP,U)
【文献】西独国実用新案公開第8204278(DE,U)
【文献】実開平1-163440(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110354957(CN,A)
【文献】仏国特許出願公開第2615409(FR,A1)
【文献】中国実用新案第211070290(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/00-16
B02C 23/00-40
B09B 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラミルの粉砕パン(4)の粉砕トラック(5)のための粉砕パンセグメントシステムであって、
前記粉砕トラック(5)が、中心点の周りに外周、および当該外周より短い内周を有する環状形を有し、
前記粉砕パンセグメントシステムが、
2つの接続縁(43)によって接続された内縁(42)と外縁(41)とをそれぞれ有する複数の粉砕パンセグメント(12)であって、前記内縁(42)の長さが前記外縁(41)の長さより短い、複数の粉砕パンセグメント(12)と、
前記ローラミルの前記粉砕パン(4)の前記粉砕トラック(5)のための少なくとも1つの交換可能なキー粉砕パンセグメント(10)であって、外縁(31)、内縁(32)および当該外縁(31)と当該内縁(32)とを接続する2つの接続縁(33)を有し、前記中心点に近い前記内縁(32)の長さが、前記中心点から遠い前記外縁(31)の長さよりも長い、
キー粉砕パンセグメント(10)と、
前記キー粉砕パンセグメント(10)の隣に配置された少なくとも1つの補償粉砕パンセグメント(11)と、
を有し、
前記キー粉砕パンセグメント(10)によって形成される円弧の長さが、当該キー粉砕パンセグメント(10)の前記内縁(32)から前記外縁(31)へ半径が増大するにつれて減少し、それによって、前記キー粉砕パンセグメント(10)の形状が、逆さにしたケーキ片と同様な形状であることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
前記キー粉砕パンセグメント(10)の前記外縁(31)が前記外周に円弧を形成し、前記キー粉砕パンセグメント(10)の前記内縁(32)が前記内周に円弧を形成することを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の
粉砕パンセグメントシステムであって、
交換工程のための押圧工具の配置に対応して、押圧用凹部(15)が前記外縁(31)に設けられることを特徴とする
粉砕パンセグメントシステム。
【請求項4】
請求項
3に記載の
粉砕パンセグメントシステムであって、
前記押圧用凹部(15)を、運転中、保持リム構成部品(26)によって覆うことができることを特徴とする
粉砕パンセグメントシステム。
【請求項5】
請求項
1から4のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
複数の前記粉砕パンセグメント(12)が、それぞれが同じ大きさと形状の複数の標準粉砕パンセグメント(12)として形成され、
前記キー粉砕パンセグメント(10)と少なくとも1つの前記補償粉砕パンセグメント(11)とが一緒になって、1つ以上の前記標準粉砕パンセグメント(12)の形状を形成することを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項6】
請求項
5に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
2つの前記補償粉砕パンセグメント(11)が、前記キー粉砕パンセグメント(10)の左と右に配置されて設けられることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項7】
請求項
6に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
前記2つの補償粉砕パンセグメント(11)が、前記キー粉砕パンセグメント(10)を通る前記粉砕トラックの半径に沿った軸線に対して実質的に鏡面対称であることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項8】
請求項
5から7のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
前記2つの補償粉砕パンセグメント(11)と1つの前記キー粉砕パンセグメント(10)とが、1つ、2つ、または3つの前記標準粉砕パンセグメント(12)の大きさを有することを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項9】
請求項
1から4のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
前記粉砕パンセグメント(12)が、前記補償粉砕パンセグメント(11)として形成され、
複数の前記キー粉砕パンセグメント(10)が設けられていることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項10】
請求項
1から4および9のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
同じ数の前記補償粉砕パンセグメント(11)と前記キー粉砕パンセグメント(10)とが設けられていることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項11】
請求項
1から10のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムであって、
前記キー粉砕パンセグメント(10)、前記補償粉砕パンセグメント(11)、および/または前記標準粉砕パンセグメント(12)を、単一部品または複数部品のクランプリング(20)によって前記粉砕パン(4)に固定することができることを特徴とする粉砕パンセグメントシステム。
【請求項12】
粉砕パン(4)を備えるローラミルであって、
前記粉砕パン(4)が、請求項
1から11のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムを有することを特徴とするローラミル。
【請求項13】
請求項
1から11のいずれか1項に記載の粉砕パンセグメントシステムを有し、
クランプリング(20)およびバッフルリング(26)をさらに備える前記粉砕パン(4)から粉砕パンセグメント(10、11、12)を取り外すための方法であって、
前記クランプリング(20)および前記バッフルリング(26)が取り外され、
押圧工具が、前記キー粉砕パンセグメント(10)
の押圧用凹部(15)に取り付けられ、
前記キー粉砕パンセグメント(10)が、前記押圧工具により前記粉砕パン(4)の中心の方向に押され、
続いて、さらなる前記粉砕パンセグメント(11、12)が取り外されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラミルの粉砕パンの粉砕トラックのためのキー粉砕パンセグメントに関する。ここで、粉砕トラックは、中心点の周りに外周およびそれより小さい内周を有する環状形態を有する。交換可能なキー粉砕パンセグメントは、外縁および内縁、ならびに外縁と内縁とを接続する2つの接続縁を有する。
【0002】
さらに、本発明は、2つの接続縁によって接続された内縁と外縁とをそれぞれ有する、同じ大きさと形状の複数の標準粉砕パンセグメントを有するローラミルの粉砕パンの粉砕トラックのための粉砕パンセグメントシステムに関する。ここでは、内縁の長さは、外縁の長さよりも短い。
【0003】
最後に、本発明はまた、粉砕パンセグメントシステムを有する粉砕パンから粉砕パンセグメントを取り外すための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
一般的なローラミルは、静止した、回転可能に取り付けられた粉砕ローラの下で回転する粉砕パンを有する。粉砕パンは、粉砕ローラが転がる粉砕トラックを有する。運転中、砕かれる被粉砕材料は、粉砕パンまたは粉砕トラックと粉砕ローラとの間にある。粉砕ローラはそれ自体の重さの力によって作用するが、場合によっては追加の力を受け、その結果、粉砕トラックを圧迫し、したがって粉砕パンを圧迫する。運転中、生じる力と被粉砕材料によって生じる材料摩耗とにより、一方では粉砕ローラに、他方では粉砕トラックにも摩耗が生じる。このため、ほとんどのローラミルでは、粉砕トラックは交換できるように設計されている。
【0005】
通常、環状の粉砕トラックは、ケーキ片と同様の形態を有する同じ大きさの交換可能なセグメントを有する。これは、セグメントが台形で、その外縁の長さが内縁よりも長いことを意味する。詳細には、外縁と内縁の両方が円弧形状を示しており、これは粉砕トラックが環状設計であることによるものである。しかしながら、内縁および外縁を直線に設計することも可能であり、その結果、粉砕トラックは環状形に近い多角形を形成する。粉砕パンは、しばしば粉砕テーブルまたは粉砕板とも称される。同様に、粉砕パンセグメントは、粉砕テーブル板または板セグメントとも称される。粉砕パンセグメントはまた、しばしば粉砕板または粉砕テーブル板とも称される。
【0006】
一般的な粉砕パンセグメントシステムで問題になるのはその交換である。
【0007】
運転中、粉砕ローラが粉砕トラック上を転がることにより、被粉砕材料がセグメント間の空間、すなわち隣接する2つのセグメントが接触する領域に押し込まれる。もちろん、この縁をできるだけ低く小さくするように努力されているが、粉砕工程中に発生するかなりの力によって、被粉砕材料が、特に既に非常に小さく砕かれた被粉砕材料がそこに入り込むことを防ぐことはできない。粉砕中の力により、この入り込んだ粉砕された材料は固まり、非常に強く圧縮され、したがって硬くなる。
【0008】
粉砕板を交換するためには、今のところ、まず1つのセグメントを取り外し、次いで他のセグメントを取り外す必要がある。しかしながら、この最初のセグメントは内側に引っ張ることができない。これは、外縁が大きく内縁が小さい標準的な設計により、幾何学的に不可能なためである。粉砕パンから外側に押し出すことは、ほとんどの粉砕パンの設計上、通常は不可能である。通常、粉砕パンセグメントを粉砕パンに固定しているクランプリングを取り外した後、下から押すようにして粉砕パンセグメントを上方に持ち上げる試みがなされている。
【0009】
しかしながら、これは、押し込まれた被粉砕材料のために非常に困難であり、その結果、しばしば、最初のセグメントの取外しに数時間または数日かかることさえある。ここでは、隣接する2つの粉砕パンセグメントの間の縁または接合部を、いわゆるえぐりかんな(Fugenhobels)の助けを借りてガス切断によって加工することも珍しくない。
【0010】
当該のこの種の一般的な粉砕パンセグメントは、例えば、DE1507629またはDE1507580に見出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許第1507629号明細書
【文献】独国特許第1507580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、交換工程を容易にする粉砕パンセグメント、粉砕パンセグメントシステム、および粉砕パンセグメントを交換するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴を有するキー粉砕パンセグメント、請求項6の特徴を有する粉砕パンセグメントシステム、および請求項15の特徴を有する方法によって達成される。
【0014】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、および発明を実施するための形態、ならびに図面とその説明において示される。
【0015】
本発明によるキー粉砕パンセグメントでは、中心点に近い内縁の長さは、中心点から遠い外縁の長さよりも長いことが規定されている。
【0016】
本発明は、これまで使用されてきた従来の形態から逸脱する基本概念に基づいている。交換可能なキー粉砕パンセグメントは、粉砕パン中心点に向かって押されたとき、その幾何学的形状により、もはやくさびにならないような寸法であり、したがって、このようにしてキー粉砕パンセグメントを取り外すことが可能になる。
【0017】
この設計の別の利点はまた、キー粉砕パンセグメントと隣接する粉砕パンセグメントに対するその接続縁との間の隙間が自動的に拡大されること、または固まった被粉砕材料によって生じる問題が、この形態ではこのように最小限に抑えられるか、もしくは生じないことである。
【0018】
キー粉砕パンセグメントの外縁は外周に円弧を形成し、キー粉砕パンセグメントの内縁は粉砕パンの内周に円弧を形成することが有利である。言い換えれば、キー粉砕パンセグメントの寸法は、粉砕パンの粉砕トラックにぴったりと合うが、先端部はない。
【0019】
さらに、キー粉砕パンセグメントによって形成される円弧の長さ(一方の接続縁から他方の接続縁までの長さ)は、内縁から外縁へ半径が増大するにつれて減少することができる。したがって、キー粉砕パンセグメントの形状は、逆さにしたケーキ片と同様な形状である。
【0020】
交換工程のための、押圧工具を配置するために、押圧用凹部がキー粉砕パンセグメントの外縁に設けられることが好ましい。この押圧用凹部によって、押圧工具を当てることができ、キー粉砕パンセグメントを粉砕パンの中心点の方向に押圧することができる。ここでは、押圧工具は、押圧用凹部と粉砕パンの本体の縁との間に当てることができる。
【0021】
有利な実施形態では、押圧用凹部を、運転中、保持リム構成部品によって覆うことができるように形成される。これは、可能であれば、この設計が、被粉砕材料が押圧用凹部に押し込まれることを防ぐように設計されることを意味する。
【0022】
本発明の文脈では、「運転中」という用語は、ローラミルが、使用する準備ができていることを意味すると理解することができる。これは、特に、粉砕パンが少なくともミル側で完全に組み立てられていること、すなわち保持リムを有する粉砕トラックが存在することを意味する。
【0023】
本発明は、それぞれが内縁と外縁とを有する複数の粉砕パンセグメントを有するローラミルの粉砕パンの粉砕トラックのための粉砕パンセグメントシステムにさらに関する。2つの縁は、2つの接続縁によって接続される。
【0024】
内縁の長さは、外縁の長さよりも短い。したがって、標準粉砕パンセグメントは、ケーキ片と同様な形状を有するが、先端部はない。
【0025】
本発明によれば、粉砕パンセグメントシステムは、本発明による少なくとも1つのキー粉砕パンセグメントと、キー粉砕パンセグメントに隣接して配置された少なくとも1つの補償粉砕パンセグメントとをさらに備えることが規定されている。
【0026】
粉砕パンセグメントシステムにキー粉砕パンセグメントを設けることによって、先行技術において先に説明したような、時間のかかる接合部からの材料の取外しおよび粉砕を必要としないで、粉砕パンセグメントシステムから構成される粉砕パン、またはローラの転動面を比較的容易に交換することができることが可能となる。
【0027】
粉砕パンセグメントが、同じ大きさと形状の標準粉砕パンセグメントとして形成され、キー粉砕パンセグメントと少なくとも1つの補償粉砕パンセグメントとが一緒になって、1つ以上の標準粉砕パンセグメントの形状を形成するならば有利である。
【0028】
このように、交換可能なキー粉砕パンセグメントのこの寸法と、補償粉砕パンセグメントの提供は、それらが一緒になって1つ以上の標準粉砕パンセグメントの形状を形成することによって、他のすべての標準粉砕パンセグメントを同じように構成することができることを達成することができる。これは在庫管理を容易にし、在庫として保有する必要のある異なる粉砕パン構成部品は少ししかないことを意味する。従来のセグメントも、この目的のために引き続き使用することができる。
【0029】
粉砕パンセグメントは、粉砕板とも称することができる。
【0030】
好ましくは、2つの補償粉砕パンセグメントは、キー粉砕パンセグメントの左と右に配置されて設けられる。この場合、2つの補償粉砕パンセグメントは、キー粉砕パンセグメントを通る粉砕パンの半径の軸線に対して実質的に鏡面対称に設計することができる。この軸線は、例えば、キー粉砕パンセグメントの半径に沿った対称軸線とすることができる。
【0031】
このような設計により、1つのキー粉砕パンセグメントと2つの補償粉砕パンセグメントとで、1つ以上の標準粉砕パンセグメントの大きさを達成することが容易になる。これは、鏡面対称に構成された補償粉砕パンセグメントの提供によって、さらに簡素化される。
【0032】
2つの補償粉砕パンセグメントは、キー粉砕パンセグメントとともに、1つ、2つ、または3つの標準粉砕パンセグメントの大きさを有することが好ましい。
【0033】
別の実施形態では、粉砕パンセグメントは、補償粉砕パンセグメントとして形成することもできる。この場合、いくつかのキー粉砕パンセグメントが設けられる。ここでは、補償粉砕パンセグメントとキー粉砕パンセグメントとが同数設けられることが好ましい。言い換えれば、各キー粉砕パンセグメントに続いて、補償粉砕パンセグメントが設けられる。この点で、先に説明したような標準粉砕パンセグメントはもはや使用されない。この実施形態によれば、補償粉砕パンセグメントは、前の実施形態で説明したように、標準粉砕パンセグメントと補償粉砕パンセグメントとが一体に形成されていれば、それらの組合せとして考えることも可能である。この場合、2つの異なるタイプの粉砕パンセグメントを有するだけでよい。
【0034】
複数のキー粉砕パンセグメントが設けられると別の利点が生じ、それは、粉砕パンが、その上に配置された粉砕ローラに対してどの位置で停止したかは重要でなくなることである。さもなければ、分解が複雑になり、理想的にしようとするならばボウルをさらに回転させなければならないので、キー粉砕パンセグメントがローラの領域で停止しないことを確実にするように注意しなければならない。
【0035】
粉砕パンセグメント、すなわち標準粉砕パンセグメント、キー粉砕パンセグメント、および/または補償粉砕パンセグメントが、単一部品または複数部品で設計されたクランプリングによって粉砕パンに固定することができるならば有利である。この設計によれば、クランプリングは、粉砕トラックの内周に、すなわち粉砕パンセグメントの内縁に当接し、したがって粉砕パンセグメントを粉砕パンベースまたは本体の縁に対して外側に押し付けることが規定されている。
【0036】
本発明は、粉砕パンを有するローラミルにさらに関し、粉砕パンは、本発明による粉砕パンセグメントシステムを備える。
【0037】
このタイプのローラミルは、粉砕トラック、すなわち個々の粉砕パンセグメントが交換されて、新しく設置されるとき、従来の粉砕パンセグメントよりもはるかに迅速に行うことができるという利点を有する。これは、キー粉砕パンセグメントは、粉砕トラックから非常に簡単に取り外すことができ、キー粉砕パンセグメントを取り外す前に、キー粉砕パンセグメントと隣接するセグメントとの間の縁に蓄積した被粉砕材料を取り除く必要がほとんどないという事実による。
【0038】
最後に、本発明はまた、本発明による粉砕パンセグメントシステムを有するローラミルの粉砕パンの粉砕トラックから粉砕パンセグメントを取り外すための方法に関する。この場合、まず、クランプリングおよびバッフルリングが粉砕パンから取り外されることが規定されている。したがって、本発明によるキー粉砕パンセグメントの押圧用凹部は、このとき開いている。次に、押圧工具を押圧用凹部に当てることができ、キー粉砕パンセグメントを粉砕パンの中心に向けて押圧することができる。粉砕パンの本体は、ここではカウンターベアリングとして働く。
【0039】
キー粉砕パンセグメントが押されて入る空間は、その前にはクランプリングで占められていた。キー粉砕パンセグメントが取り外された後、残りの粉砕パンセグメントを取り外すことができる。ここでもまた、隣接する2つの粉砕パンセグメントの間の縁または溝から固まった被粉砕材料を最初に取り除く必要はもはやない。なぜなら、一方の側にはさらなる粉砕パンセグメントがなく、したがってこの側でわずかに滑らして動かすことで十分な隙間が得られるからである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1の実施形態による、粉砕トラックを有する粉砕パンの概略平面図である。
【
図2】第2の実施形態による、粉砕トラックを有する粉砕パンの概略平面図である。
【
図3】粉砕トラックを有する粉砕パンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を概略的な例示的実施形態によって、また図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態による、粉砕トラック5を有する粉砕パン4の概略上面図を示す。粉砕トラック5は、1つのキー粉砕パンセグメント10、2つの鏡面対称形状の補償粉砕パンセグメント11、および10個の標準粉砕パンセグメント12からなる。
【0042】
キー粉砕パンセグメント10は、外縁31、内縁32、および2つの横断接続縁33を有する。同様に、標準粉砕パンセグメント12もまた、外縁41、内縁42、および2つの接続縁43を有する。2つの補償粉砕パンセグメント11の場合も同じで、外縁51、内縁52、および2つの接続縁53を有する。
図1に示すように、本発明によるキー粉砕パンセグメント10の外縁31の長さは、その内縁32よりも短い。これにより、キー粉砕パンセグメント10を、粉砕パンの中心6に向かって内側に押すことができる。
【0043】
当業者には分かるように、これは、キー粉砕パンセグメント10を内側に押すことによって、キー粉砕パンセグメント10の接続縁33と補償粉砕パンセグメント11の隣接する接続縁53との間の自由空間が増大するという利点を提供する。これはまた、ここに押し込まれた被粉砕材料が、キー粉砕パンセグメントが内側に押されることを妨げることができないことを意味する。
【0044】
キー粉砕パンセグメント10は、隣接する2つの補償粉砕パンセグメント11と一緒になると、2つの通常の標準粉砕パンセグメント12の大きさになる。これは、粉砕トラックの残りの部分に標準要素を使用することができることを意味する。
【0045】
図2は、粉砕パン4の代替の実施形態を示す。以下では、
図1による実施形態からの違いのみを論じる。この実施形態による粉砕パン4は、一例として、6つのキー粉砕パンセグメント10、および、一例として、6つの補償粉砕パンセグメント11を有する。これらはそれぞれ、粉砕パン4上に交互に配置される。
図1の実施形態と併せて見ると分かるように、ここでは標準粉砕パンセグメント12は省かれている。しかしながら、
図1による実施形態とは対照的に、2つの異なるタイプの粉砕パンセグメントのみが使用される。これにより、在庫管理が簡素化される。この実施形態の別の利点は、粉砕パンの中心6に向かって内側に押すことによって取り外される最初のキー粉砕パンセグメント10を自由に選択することができることである。これは、ミルを停止したとき、キー粉砕パンセグメント10がローラのちょうど下に位置するように来て、その結果、ミルを再び起動しなければならなくなる不都合な場合があるので、特に興味深い。
図2による実施形態では、粉砕パンセグメントのピッチが粉砕ローラの数よりはるかに大きいので、この可能性は極めて低い。
【0046】
図3は、粉砕パン4の断面図を示す。ここでは、キー粉砕パンセグメント10の右側領域に押圧用凹部15が示されている。これは、保持リム26によって覆われている。保持リム26のこの位置により、運転中、すなわち粉砕工程中、押圧用凹部15に入り込む被粉砕材料がほとんどない、または少なくとも非常に少ないことが確実になる。
【0047】
キー粉砕パンセグメント10自体は、粉砕パン本体7のくぼみに配置され、クランプリング20によって固定される。
【0048】
粉砕トラック5を設置するために、この場合、キー粉砕パンセグメント10が挿入され、次いで、クランプリング20が取り付けられる。これは、ねじ21によって固定される。クランプリングは、そのくさび形状により、ねじ21が締め付けられると、キー粉砕パンセグメント10を粉砕パンの外縁に押し付ける。他の粉砕パンセグメント11、12は、この前または後に同様の方法で固定される。
【0049】
取り外すためには、この工程を逆の順序で行う。ここで、キー粉砕パンセグメント10は、他の粉砕パンセグメント11、12の前に、最初に取り外されることが重要である。これを行うには、まず、ねじ21が緩められ、その結果、クランプリング20を取り外すことができる。同時に、またはその前に、またはその後に、バッフルリング26も取り外される。次いで、押圧用凹部15に押圧工具を挿入することができ、したがって、その前にはクランプリング20があった空間にキー粉砕パンセグメント10を押して入れることができる。キー粉砕パンセグメント10が取り外された後、他の粉砕パンセグメント11、12も比較的容易に取り外すことができる。
【0050】
本発明によるキー粉砕パンセグメント、本発明による粉砕パンセグメントシステム、および本発明による方法を用いれば、ローラミルの粉砕トラックの粉砕パンセグメントの交換を大幅に簡略化し、これを短時間で実施することが可能になる。