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特許7427808空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/16 20060101AFI20240129BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20240129BHJP
   B05D 7/22 20060101ALI20240129BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240129BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240129BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240129BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240129BHJP
   B29D 30/08 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B29C73/16
B05D7/02
B05D7/22 Z
B05D7/24 301N
B05D3/00 C
B05D3/00 D
B05D3/00 B
B05C5/00 101
B05C11/10
B29D30/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022567428
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021061817
(87)【国際公開番号】W WO2021224314
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】102020000009841
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【弁理士】
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ポントーニ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ ストラッフィ
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140712(JP,A)
【文献】特開2005-036890(JP,A)
【文献】独国実用新案第202006017808(DE,U1)
【文献】国際公開第2019/123272(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/16
B29D 30/06 - 30/08
B05D 7/02
B05D 7/22
B05D 7/24
B05D 3/00
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤ(4)の空洞(3)の内面(2)にシーリング剤を塗布するため、内部空洞(3)に出入りするために移動可能にされ、前記内面(3)にシーリング剤を塗布するための塗布デバイス(7)と、および該塗布デバイス(7)に接続されたシーリング剤供給回路(10)と、を備えるシステム(1)であって、該シーリング剤供給回路(10)は、
可変容積収集チャンバー(C)を有するケーシング(15)によって画定されたタンク(14)を備えるシーリング剤収集デバイス(11)と、
前記シーリング剤の温度を基準値に維持するために作動される加熱要素(34)を有するシーリング剤加熱デバイス(12)と、並びに、
シーリング剤供給デバイス(13)であり、前記シーリング剤を前記塗布デバイス(7)に供給するポンプ送出デバイス(17)、前記収集チャンバー(C)を軸方向に画定する可動ピストン(26)、前記シーリング剤を前記収集チャンバー(C)内に引き込んで該シーリング剤を前記ポンプ送出デバイス(17)に供給するよう、往復運動で移動することを意図した抽出要素(28)、ピストン(26)位置制御デバイス(30)、および、前記タンク(14)内に収蔵される前記シーリング剤の量を検出するように意図されたレベルセンサー(29)、によって実装される、前記シーリング剤供給デバイス(13)と、を有し、
前記レベルセンサー(29)の位置での前記制御デバイス(30)の通過は、前記タンク(14)の欠乏開始位置および該タンク(14)の完全空状態位置を決定し、また、前記抽出要素(28)および前記加熱要素(34)は、前記位置の関数として制御される、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記制御デバイス30は、L字形のブラケット31によって実装され、前記レベルセンサー(29)の位置における第1端部の通過は、前記タンク(14)の前記欠乏開始位置を決定し、該レベルセンサー(29)の位置における第2端部の通過は、該タンク(14)の前記完全空状態位置を決定する、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、前記加熱要素(34)は、電気抵抗によって実装され、前記タンク(14)の底壁(16)に近接して配置された厚さを薄くしたディスク要素内に埋設されている、システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、前記加熱要素(34)は、前記タンク(14)の底壁(16)に近接して配置された加熱流体が循環する導管によって実装される、システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ピストン(26)と、該ピストン(26)およびスラスト板(22)を連結するロッド(27)と、によって形成されるアセンブリ(A)を担持し、連結された該スラスト板(22)であって、使用にあたり、前記スラスト板(22)および前記アセンブリ(A)は、前記収集チャンバー(C)の容積が最大である上端行程位置と、前記タンク(14)を完全に空にすることに実質的に相当し、前記収集チャンバー(C)の容積が最小となる下端行程位置と、の間で移動可能である、スラスト板(22)を備える、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記スラスト板(22)および前記アセンブリ(A)は、抽出要素(28)の通過のためのチャネルを画定するように、それぞれの貫通孔(23)が連通するように、内部が中空に作られている、システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシステムにおいて、前記ピストン(26)位置制御デバイス(30)は、前記スラスト板(22)に連結されている、システム。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記供給デバイス(13)は、一対の抽出デバイス(19)、特に、前記タンク(14)の外部に配置され、前記スラスト板(22)および前記アセンブリ(A)の作動を意図した一対の液圧抽出シリンダ(19)を備える、システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に従って実装されるシステムによって、空気入りタイヤ(4)の内部空洞(3)の表面(2)にシーリング剤を塗布する方法であって、前記空気入りタイヤ(4)は、その軸線(x)を中心に回転させられながら、塗布デバイス(7)によって前記内部空洞(3)の前記表面(2)にシーリング剤のストリップを塗布するステップを含む、方法であり、さらに、
前記シーリング剤の塗布中に、レベルセンサー(29)によってタンク(14)内の該シーリング剤の量を制御するステップと、
前記レベルセンサー(29)が欠乏開始位置を認識すると、完全空状態位置に達するまで、前記シーリング剤のフローを最適化するために抽出要素(28)および/または加熱要素(34)を作動させるステップと、
前記完全空状態位置に到達すると、前記塗布デバイス(7)を前記内部空洞(3)から取り外すことができるように、該塗布デバイス(7)および前記空気入りタイヤ(4)の回転を停止するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記欠乏開始位置に達すると、前記抽出要素(28)の数(n)と同じだけの抽出サイクルを有するシーケンスを繰り返し、或るシーケンスと次のシーケンスとの間の持続時間を増加させる停止間隔TSTOP_nを課すさらなるステップを含む、方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法において、前記欠乏開始位置に達すると、或るシーケンスと次のシーケンスとの間で徐々に減少する速度で実施される前記抽出要素(28)の数(n)と同じだけの抽出サイクルを有するシーケンスを繰り返すさらなるステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の方法において、前記加熱要素(34)によって前記シーリング剤の基準温度を90℃~95℃の間の最大値まで上昇させるさらなるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、空気入りタイヤは、2つの環状ビードを有し、環状トレッドを支持するトロイダルカーカスを備える。ケーシングとトレッドとの間には、多数のトレッドプライを含むトレッドベルトが介在する。インナーライナーは、気密性であり、内張り(inner lining)を構成し、空気入りタイヤ自体の空気圧を経時的に維持するために空気入りタイヤ内に空気を保持する機能を有するボディプライ内に配置される。
【0003】
近年、空気入りタイヤの開発は、パンクを封止(seal)することを意図したシーリング剤で製造された内張りを備えた空気入りタイヤに向けられてきた。通常、シーリング剤は、空気入りタイヤの状態に関わらず、穴に対する封止作用と内部空洞内での安定性との両方を確保するために、高い粘度を有する。
【0004】
シーリング剤は、加硫前の空気入りタイヤに塗布され、好ましくは空気入りタイヤが路面と接触する領域(すなわち、空気入りタイヤのパンクが発生する可能性のある領域)内のインナーライナーに塗布される。特に、シーリング剤は、トレッドおよび少なくとも部分的に側壁に塗布される。
【0005】
典型的には、シーリング剤を塗布するプロセスは、加硫前の空気入りタイヤをフレーム上に位置決めするステップを備え、その後すぐに、空気入りタイヤ自体の横方向の移動を防止するような方法で横レールによってブロックされる。
【0006】
オペレーターの命令に応答して、シーリング剤塗布プロセスは、空気入りタイヤの内部空洞自体の表面に直接対面する位置で該シーリング剤塗布デバイスを挿入することによって開始される。塗布デバイスは、ノズルの一端に設けられた可動アームによって便利に実装され、空洞の内面に対してシーリング剤のほぼ均一なビードを塗布することを意図している。特に、塗布デバイスは、内部空洞の2つの横方向端部の間の往復運動によってシーリング剤のビードを塗布することを意図しており、特に、アームは、空気入りタイヤの赤道面に垂直な平面内で移動する。空気入りタイヤは、電動ローラーによる支持によって回転させられ、また、アームの動きおよび空気入りタイヤの回転によってシーリング剤が塗布されるが、これは可能な限り均一でなければならない。
【0007】
塗布デバイスは、好ましくは金属材料から製造され、かつシーリング剤を収容するタンクと、好ましくは加熱され、また、タンクを起点とし、塗布デバイスと流体連通する導管(conduit)と、シーリング剤をタンクから引き出し、加圧下で塗布デバイスに給送するポンプ送出デバイスと、を備える、シーリング剤を供給する回路に接続される。
【0008】
しかしながら、タンクからのシーリング剤の抽出は、その高粘度性に起因して特に複雑になり得る。特に、タンク内のシーリング剤の量が減少すると、シーリング剤自体がタンクの側壁から抽出点に向かって流れにくくなることがあり、これによってもポンプ送出デバイスに関連するキャビテーション現象をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を有さず、また特に実装が容易かつ安価な、空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布する方法を提供することである。
【0010】
したがって、本発明のさらなる目的は、先行技術の欠点を有さず、また特に製造が容易かつ安価な、空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布するための方法およびシステムは、添付の特許請求の範囲内で決定されるものに従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで、いくつかの非限定的であり例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を説明する。
図1】空気入りタイヤの内部空洞の表面にシーリング剤を塗布するために実装されたシステムの正面概略図である(明確にするために部品を取り除いている)。
図2図1の細部の様々な動作構成に関連する概略図である。
図3図1の細部の様々な動作構成に関連する概略図である。
図4図1の細部の様々な動作構成に関連する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、参照符号の「1」は、全体として、空気入りタイヤ4の内部空洞3の表面2にシーリング剤を塗布するように構成されたシステム1を示す。「空気入りタイヤ4の内部空洞3のプロファイル」という語句は、空気入りタイヤ4の表面プロファイルを指すことを理解されたい。
【0014】
空気入りタイヤ4は、電動ローラー6によって空気入りタイヤ4を支持し、そのx軸を中心に回転させるのに適したフレーム5上に配置される。システム1は、可動アーム8が設けられたロボットによって便利に実装され、また、シーリング剤のほぼ均一なビードを道路と、すなわちトレッドでおよび少なくとも部分的に側壁で接触することを意図した空気入りタイヤ3の表面2に塗布することを目的とするシーリング剤塗布デバイス7を備える。好ましい変形例によれば、半流体状態でシーリング剤の非接触塗布を実施するために、塗布デバイス7はノズル9によって実装され、該ノズル9は、好ましくは、可動アーム8の軸方向の一端に配置される。
【0015】
シーリング剤供給回路10が、塗布デバイス7に接続される。システム1はまた、塗布デバイス7および/または供給回路10の動作を管理する制御ユニットCUを備え、以下の詳述記載でよりよく説明される。
【0016】
供給回路10は、図2図4に示すように、シーリング剤収集デバイス11と、シーリング剤加熱デバイス12と、シーリング剤供給デバイス13と、を備えている。
【0017】
シーリング剤収集デバイス11は、好ましくは金属材料、特にスチールで作られており、その中にシーリング剤を収集する収集タンク14を備える。
【0018】
タンク14は、底壁16によって底部が閉じられ、かつ頂部が開いている(すなわち、上壁または蓋が設けられていない)円筒形の管状ケーシング15によって画定される。タンク14は、回転軸線を中心に円筒対称を有する可変容積収集チャンバーCを有し、また、ケーシング15によって横方向が画定される。
【0019】
対照的に、シーリング剤供給デバイス13は、作動させるための制御ユニットCUに接続され、かつ、シーリング剤をタンク14から引き出してシーリング剤供給導管18によって加圧下で塗布デバイス7に供給するのに適したポンプ送出デバイス17を備える。シーリング剤供給導管18は、好ましくは加熱され、タンク14を起点とし、塗布デバイス7と流体連通している。好ましい変形例によれば、ポンプ送出デバイス17の下流の供給導管18を通るシーリング剤のフローを制御および調節する多数の遮断弁(図示せず)もまた配置される。
【0020】
ポンプ送出デバイス17は、好ましくは、特に空気圧タイプの、具体的には高粘性材料用の抽出ポンプ(それ自体既知であり、詳細には説明されていない)によって実装される。
【0021】
図2図4に示すように、シーリング剤供給デバイス13は、タンク14の外部に配置された一対の抽出デバイス19を備える。特に、2つの抽出デバイス19は、タンク14に対して横方向に配置された一対の液圧抽出シリンダ19によって実装される。2つの抽出シリンダ19は、タンク14に対して直径方向に対向して位置する。2つの抽出シリンダ19には、既知のタイプのものであり、中空の円筒体を含むそれぞれのシリンダ20、20**と、シリンダ20、20**自体の中に収蔵される流体によりシリンダ20、20**内を摺動する可動ピストン(図示せず)と、ピストンに接続された第1端部およびシリンダ20、20**に接続された第2の外端部を有するロッド21、21**と、が設けられている。特に、ロッド21、21**は、第2の端部でスラスト板22に連結される。スラスト板22には、ほぼ中央位置に形成された貫通孔23が設けられている。上面24(すなわち、外部側の面であり、収集デバイス11に対面していない)において、スラスト板22は、ほぼ中央位置で接続されたポンプ送出デバイス17を担持する。内面25(すなわち、収集デバイス11に直接的に対面する位置)において、スラスト板22は、ほぼ中央位置に連結され、収集チャンバーCを軸線方向に画定するピストン26と、ピストン26およびスラスト板22を連結するロッド27と、によって形成されるアセンブリAを担持する。
【0022】
特に、スラスト板22およびアセンブリAは、タンク14内のシーリング剤の量が変化しても、該シーリング剤に対しほぼ一定の圧力を印加するようにして、下方に(言い換えれば、底壁16に向かって)動くことができる。
【0023】
使用中、スラスト板22およびアセンブリAは、収集チャンバーCの容積が最大である上端行程位置(upper end-of-travel position)(図2に示す)と、タンク14が完全に空になることにほぼ相当し、収集チャンバーCの容積が最小であり、かつピストン26がほぼ底壁16に配置される下端行程位置(lower end-of-travel position)(図4に示す)と、の間で移動可能である。
【0024】
ピストン26およびロッド27の両方とも、内部が中空に作られており、すなわち、それらには使用時に抽出要素28の通過のためのチャネルを画定するようにして、互いに向き合い、かつ互いに連通するように配置されるそれぞれの貫通孔が設けられる。
【0025】
さらに、ロッド27に形成された開口部は、貫通孔23に対面し、かつ連通している。
【0026】
抽出要素28には、一方の端部に、ピストン26の近傍における収集チャンバーC内のシーリング剤を引き出し、また前記シーリング剤をポンプ送出デバイス17へ供給するようにして、往復運動で移動することを意図された可動スクープ28が設けられる。
【0027】
さらに、供給回路10は、タンク14内に収蔵されるシーリング剤の量を検出するように意図されたレベルセンサー29を備える。レベルセンサー19は、好ましくは、タンク14および一対の抽出シリンダ19の外部に配置される。レベルセンサー29は制御ユニットCUに接続され、そこにタンク14内に収蔵されるシーリング剤の量を示す信号を送信する。タンク14内に収蔵され、レベルセンサー29によって検出されたシーリング剤の量に応じて、制御ユニットCUは、過剰なシーリング剤が供給される(タンク14からオーバーフローする可能性がある)のを防止すること、並びにシーリング剤加熱デバイス12およびシーリング剤加熱供給デバイス13を作動させることの両方を目的としている。
【0028】
スラスト板22にはまた、好ましくはタンク14の外部に配置されるピストン26位置制御デバイス30が設けられる。
【0029】
好ましい変形例によれば、前記制御デバイス30は、好ましくはL字形のブラケット31によって実装されることが好ましい。ブラケット31は、スラスト板22から横方向に延在するスタブ32と、スタブ32の自由端から下向きに延在し(すなわち、底壁16に面する)、かつ該スタブ32に対してほぼ直交するスタブ33と、を備える。
【0030】
レベルセンサー29は、スタブ33の自由端の通過が検出された時と定義される欠乏開始位置(beginning of depletion position)(図3に示す)、および、これとは反対に、スタブ32に接続されたスタブ33の自由端の通過が検出された時と定義される、完全空状態位置(completely empty position)(以前に記載された下端行程位置と一致)(図4に示す)を決定/認識することを目的としている。
【0031】
加熱デバイス12は、底壁16に配置され、シーリング剤を加熱するための加熱要素34が設けられている。
【0032】
第1の変形例によれば、加熱要素34は、制御ユニットCUに接続された電気抵抗によって実装され、それによって切り替えられる。電気抵抗は、シーリング剤を加熱するために、好ましくは、厚さを薄くしたディスク要素内に埋設される。さらなる変形例によれば、加熱要素34は、供給回路によって供給される加熱流体が循環する導管またはコイルによって実装される。制御ユニットCUは、加熱要素29によって、シーリング剤の温度を基準値に維持するように意図されている。前記基準値は、75℃~85℃の間であり、好ましくは、前記基準値は80℃に等しい。
【0033】
レベルセンサー29が欠乏開始位置を認識するとき(すなわち、それがスタブ33の自由端を検出するとき)、制御ユニットCUは、シーリング剤がケーシング15の側壁から底壁16の中央位置に向かって流れることを可能にするようにして、例えば、完全空状態位置に達するまでスクープ28によって引き出されるようにして、ポンプ送出デバイス17を作動させるよう意図されている。
【0034】
より詳細には、欠乏開始位置に到達するまで(すなわち、スタブ33の自由端が検出されるとき)、CU制御ユニットは、スクープ28が1秒あたり1回のシーリング剤抽出を実施するようにして、ポンプ送出デバイス17を作動させるよう意図されている。
【0035】
例えば、第1のおよび好ましい変形例によれば、欠乏開始位置に達すると(すなわち、スタブ33の自由端の通過がレベルセンサー29によって検出されるとき)、完全空状態位置に達するまで、制御ユニットCUは、ポンプ送出デバイス17に対して以下の作動、すなわち、
・抽出要素28のn回の抽出サイクル(例えば、20回の抽出サイクル)を実施(毎秒1回のシーリング剤抽出という一定速度で)する、
・停止間隔TSTOP_1(例えば、30秒)の間、待機する、
・抽出要素28のn回の抽出サイクルを実施(毎秒1回のシーリング剤抽出という一定速度で)する、
・停止間隔TSTOP_1よりも長い、停止間隔TSTOP_2(例えば、40秒)の間、待機する、
・抽出要素28のn回の抽出サイクルを実施(毎秒1回のシーリング剤抽出という一定速度で)する、
・停止間隔TSTOP_2よりも長い、停止間隔TSTOP_3(例えば、50秒)の間、待機する、およびそのようにして、
そのようにして、抽出要素28の数nと同じだけの抽出サイクルを有するシーケンスを一定速度で繰り返し、1つのシーケンスと次のシーケンスとの間で停止間隔TSTOP_nの長さを増加させるという段取りをする、
の作動をさせるよう意図する。
【0036】
換言すれば、ポンプ送出デバイス17作動の2つの順次シーケンス間に経過する停止間隔TSTOP_nは、シーリング剤に対して底壁16の中央位置に向かって流れるために必要な時間を与えるために徐々に増加する。さらに換言すれば、ポンプ送出デバイス17作動の2つの順次シーケンス間に経過する停止間隔TSTOP_nは、収集チャンバーC内に収蔵されるシーリング剤の残量に反比例する。
【0037】
代替案として、さらなる変形例によれば、欠乏開始位置に達すると(すなわち、スタブ33の自由端の通過がレベルセンサー29によって決定されるとき)、完全空状態位置に達するまで、制御ユニットCUは、抽出要素28の数nと同じだけの抽出サイクルを有するシーケンスを一定速度で(同じシーケンス中に)繰り返し、或るシーケンスと次のシーケンスとの間で徐々に減少し、或るシーケンスと次のシーケンスとの間で一定の持続時間である停止間隔TSTOPを構成するように、ポンプ送出デバイス17を作動させる段取りされる。
【0038】
あるいは、さらなる変形例によれば、欠乏開始位置に達すると(すなわち、スタブ33の自由端の通過がレベルセンサー29によって検出されるとき)、完全空状態位置に達するまで、制御ユニットCUは、抽出要素28の数nと同じだけの抽出サイクルを有するシーケンスを一定速度で(同じシーケンス中に)繰り返し、或るシーケンスと次のシーケンスとの間で徐々に減少し、或るシーケンスと次のシーケンスとの間で増加する持続時間である停止間隔TSTOP_nを構成するように、ポンプ送出デバイス17を制御する段取りされる。
【0039】
さらに、レベルセンサー29が欠乏開始位置を認識すると(すなわち、スタブ33の自由端を検出すると)、制御ユニットCUは、加熱要素34によってシーリング剤の温度を上昇させるために、ケーシング15の側壁から中央位置に向かうシーリング剤のフローを最適化し、次いで完全空状態位置に達するまでスクープ28によって引き出されるように、段取りされる。
【0040】
特に、レベルセンサー29が欠乏開始位置を認識するとき(すなわち、スタブ33の自由端が検出されるとき)、制御ユニットCUは、完全空状態位置に達するまで、加熱要素34によってシーリング剤基準温度を漸進的に上昇させるように段取りされる。換言すれば、シーリング剤がケーシング15の側壁から中央位置に向かって流れるようにするために、シーリング剤基準温度は加熱要素34によって徐々に上昇される。前記基準値は、90℃~95℃の間の最大値まで増加し、好ましくは、前記基準値は92℃まで上昇する。
【0041】
さらに換言すれば、加熱要素34によるシーリング剤基準温度は、収集チャンバーC内に収蔵されるシーリング剤の量に反比例する。
【0042】
以下に、システム1の動作方法を説明し、またこの方法は、以下のステップ、すなわち、
・シーリング剤の業務用タンク14を生産し、シーリング剤の塗布が行われる空気入りタイヤ4の製造場所に移送し、そこで加熱デバイス12および供給デバイス13を取り付けるステップ、
・オペレーターあるいは自動マニピュレーターが、空気入りタイヤ4をフレーム5上に配置し、空気入りタイヤ4自体の横方向の移動を防止するようにサイドレールによってブロックするステップ、
・塗布デバイス7を内部空洞3内に挿入するステップ、
・シーリング剤の塗布を開始するために、ノズル9を初期位置に移動するステップ、
・空気入りタイヤ4をフレームによってx軸線の周りに回転させるとともに、ノズル9がシーリング剤の塗布を開始するステップ、
・シーリング剤の塗布中、収集チャンバーC内のシーリング剤の量をレベルセンサー19によって常時モニタリングするステップ、
・レベルセンサー19が欠乏開始位置を認識すると、制御ユニットCUが、上述した方法の1つに従ってポンプ送出デバイス17を制御するように、および/または完全空状態位置に到達するまでシーリング剤のフローを最適化する目的で、加熱要素34によってシーリング剤の温度を上昇させるよう段取りするステップ、
・完全空状態位置に到達する際に、塗布デバイス7を内部空洞3から取り外すことができ、また空気入りタイヤ4をフレーム5から引き抜くことができるようフレーム5を停止させるステップ、
を順次に含む。
【0043】
先に詳述した説明に記載されたシステム1の利点は明らかである。特に、システム1は、底壁16の中央位置に向かうシーリング剤のフローを最適化することを可能にし、これにより、タンク14からのシーリング剤の抽出を簡易化し、このようにしてポンプ送出デバイス17への損傷を防止し、タンク14を完全に空の状態にすることができるようになる。
図1
図2
図3
図4