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特許7427815グリップリンクを有するユーザインターフェース装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】グリップリンクを有するユーザインターフェース装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20240129BHJP
【FI】
A61B34/37
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015211
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020568720の分割
【原出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2023052889
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】516133124
【氏名又は名称】バーブ サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verb Surgical Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サヴァル ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】レンタ シュム アレグラ アンナ
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0095298(US,A1)
【文献】特開2013-035117(JP,A)
【文献】特表2018-513711(JP,A)
【文献】国際公開第2018/107062(WO,A1)
【文献】特開2017-119168(JP,A)
【文献】国際公開第2016/201544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
B25J 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステム内のロボット外科用ツールを操作するためのユーザインターフェース装置であって、
中心軸の周りに本体表面を有する装置本体と、
前記中心軸に関して回転対称の3つ以上のグリップリンクであって、各グリップリンクは、それぞれの装置クランク継手において前記装置本体に枢動可能に連結されたそれぞれのグリップクランクを含み
記3つ以上のグリップリンクは、前記ロボット外科用ツールのグリップ動作を操作するためのグリップ信号を生成するように構成されている、グリップリンクと、
前記装置本体内に取り付けられた追跡センサであって、前記装置本体の動きを追跡し、前記ロボット外科用ツールの空間動作を制御するための入力空間状態信号を生成するように構成されている、追跡センサと、を備え、
各グリップリンクは、それぞれの従動クランク継手において前記それぞれのグリップクランクに枢動可能に連結されたそれぞれの従動アームを含み、前記それぞれの従動アームは、それぞれの従動スライダ継手においてスライダに枢動可能に連結され、前記スライダは、前記中心軸に沿って動くようにそれぞれのスライダ本体継手において前記装置本体の前記本体表面に摺動可能に連結されており、
前記装置本体に連結された第1の端部と、前記スライダに連結された第2の端部とを有するバイアス要素を更に備え、前記第1の端部及び前記第2の端部は、前記スライダを前記第1の端部に向かって又は前記第1の端部から離れるように動かすために互いに対して動くことができ、
双安定ラッチ機構を更に備え、前記双安定ラッチ機構は、非ラッチ位置と、移動終了位置と、ラッチ位置との間でカムに沿って移動するカム従動子を含み、前記カム従動子は、前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクが開位置と閉位置との間で前記装置本体に向かって枢動するとき、前記非ラッチ位置から前記移動終了位置へと動き、前記カム従動子は、前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクが前記閉位置とロック位置との間で前記装置本体から離れるように枢動するとき、前記移動終了位置から前記ラッチ位置へと動く、
ユーザインターフェース装置。
【請求項2】
前記それぞれの装置クランク継手、前記それぞれの従動クランク継手、及び前記それぞれの従動スライダ継手は回転継手であり、前記それぞれのスライダ本体継手は直動関節である、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項3】
前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれの従動アームは、前記スライダに連結されている、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項4】
前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクは、前記中心軸に沿って交差するそれぞれの平面に沿って前記装置本体から延在し、前記それぞれの平面が隣接する平面と成す角は、等角である、請求項1に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項5】
前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクの前記それぞれの平面の間で前記装置本体から延在する追加のグリップクランクを含む、追加のグリップリンクを更に備える、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項6】
前記バイアス要素は線形アクチュエータである、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項7】
前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクは、前記閉位置において前記ロック位置よりも前記中心軸に近く、前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクは、前記ロック位置において前記開位置よりも前記中心軸に近い、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項8】
前記3つ以上のグリップリンクの前記それぞれのグリップクランクのうちの1つに取り付けられたグリップクランク容量感知パッドと、
前記グリップクランク容量感知パッドの静電容量の変化を検出するために、前記グリップクランク容量感知パッドに電気的に結合されたユーザインターフェース装置プロセッサと、を更に備え、前記グリップクランク容量感知パッドの前記静電容量の前記変化を検出することに応答して、インターロックオフ信号を生成するように構成されている、請求項1に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項9】
前記3つ以上のグリップリンクの前記グリップクランクのうちの1つ以上に取り付けられた第2のグリップクランク容量感知パッドを更に備え、前記ユーザインターフェース装置プロセッサは、前記グリップクランク容量感知パッド及び前記第2のグリップクランク容量感知パッドのそれぞれの静電容量における変化のシーケンスを検出するために、前記第2のグリップクランク容量感知パッドに電気的に結合されている、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【請求項10】
前記装置本体に取り付けられた指クラッチを更に備え、前記指クラッチは、前記中心軸の周りに延在する導電パッドを含み、前記ユーザインターフェース装置プロセッサは、前記導電パッドに電気的に結合されて、前記導電パッドの静電容量の変化を検出することに応答してクラッチ信号を生成する、請求項に記載のユーザインターフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ロボットシステムに関する実施形態が開示される。より具体的には、外科用ロボットシステム及び対応するユーザインターフェース装置に関する実施形態が開示される。
【背景技術】
【0002】
内視鏡手術は、患者の身体を調べて、内視鏡及び他の外科用ツールを使用して体内で手術を行うことを伴う。例えば、腹腔鏡手術は腹腔鏡を使用して腹腔にアクセスし、これを見ることができる。内視鏡手術は、手動ツール及び/又は、ロボット支援型ツールを有する外科用ロボットシステムを使用して行うことができる。
【0003】
外科用ロボットシステムは、手術台に配置されたロボット支援型ツールを制御するために、外科医によって遠隔操作されてもよい。外科医は、手術室に配置された、又は異なる都市に配置されている可能性のあるコンピュータコンソールを使用して、ロボットに命令して手術台に取り付けられた外科用ツールを操作することができる。ロボット制御された外科用ツールは、ロボットアームに取り付けられた把持具であり得る。したがって、外科用ロボットシステムは、ロボット手術中に組織を把持するために遠隔外科医によって制御され得る。
【0004】
外科用ロボットシステムの制御は、外科医からの制御入力を必要とし得る。例えば、外科医は、ジョイスティック又はコンピュータマウスなどのユーザ入力装置を手で保持し、それを操作して、外科用ロボットシステム構成要素、例えば、アクチュエータ、ロボットアーム、及び/又はロボットシステムの外科用ツールの動作を制御する制御コマンドのための信号を生成する。
【発明の概要】
【0005】
既存のユーザ入力装置は、外科用ロボットシステムを制御するために使用されるハンドコントローラを含む。ハンドコントローラは、外科医が外科用ツールに連結されたアクチュエータの動作を遠隔制御するグリップを含んでもよい。更に、外科医は、グリップのハンドルを操作して、外科用ツールのジョーを制御することができる。しかしながら、既存のハンドコントローラでは、グリップの回転、転がり、又は捻れなどの正確な指の操作が可能でない。既存のハンドコントローラは、ジョーのグリップ構成、例えば、ジョーが閉鎖構成又は開放構成にあるかどうかに関連する触覚フィードバックを外科医に提供しない。更に、既存のハンドコントローラは、ジョーを定位置にロックすることができず、外科医がグリップハンドルに一定のグリップ力を加えることを必要とし得る。その結果、既存のハンドコントローラによって命令される動きの器用さ及び精度が制限される場合があり、既存のハンドコントローラは、ユーザの疲労を引き起こす可能性がある。
【0006】
外科用ロボットシステム内のロボット外科用ツールを操作するためのユーザインターフェース装置が提供され、これは、ロボットアクチュエータ及び/又はロボット外科用ツールの高度に器用で、正確な動きを制御するために使用されるコマンド信号を提供することができる。一実施形態では、ユーザインターフェース装置は、装置本体に連結されたいくつかの、例えば、少なくとも3つのグリップリンクを含む。各グリップリンクは、装置本体に枢動可能に連結されたグリップクランクと、装置本体の上を摺動するスライダと、グリップクランクとスライダとの間に枢動可能に連結された従動アームと、を含むことができる。したがって、グリップクランクは、装置本体上のスライダの位置を変えるために、ユーザの指の間で握ることができる。スライダの位置は、グリップリンク変位センサによって測定されて、外科用ロボットシステムのロボット外科用ツールのグリップ動作を操作するためのグリップ信号を生成することができる。ユーザインターフェース装置はまた、装置本体の動きに応答して、空間状態信号、例えば、入力姿勢信号を生成するために使用される、例えば、6つの自由度の電磁トラッカのような追跡センサを(例えば、その装置本体上に)含むことができる。空間状態信号は、外科用ロボットシステムのアクチュエータ又はロボット外科用ツールの空間運動を制御するために、1つ以上のプロセッサによって使用することができる。したがって、ユーザインターフェース装置は、ロボットアクチュエータ及び/又はロボット外科用ツールの高度に器用で、正確な動きを制御するために使用することができる。
【0007】
一実施形態では、グリップリンクを有するユーザインターフェース装置は、双安定ラッチ機構を含む。双安定ラッチ機構は、グリップリンクが完全に内側に締め付けられると、グリップリンクを閉位置に保持することができる。グリップリンクが閉位置になったら、グリップリンクを再び内側に締め付けることによって、グリップリンクは、閉位置から解放され、開位置まで外側に延在することができる。双安定ラッチ機構は、ユーザがユーザインターフェース装置を常に握る必要なしに、ロボット外科用ツールの把持具を完全な閉位置に維持することを可能にする。したがって、ユーザインターフェース装置に組み込まれる双安定ラッチ機構は、操作者が手の疲労を経験する可能性を低減する。
【0008】
上記の概要は、本発明の全ての態様の網羅的なリストを含まない。本発明は、上記に要約された様々な態様の全ての好適な組み合わせから実施することができる全てのシステム及び方法、並びに以下の詳細な説明に開示されているもの、特に出願と共に提出された特許請求の範囲において特に指摘されているものを含む、ことが企図されている。このような組み合わせは、上記の概要に具体的に記載されていない特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、添付図面の図に例として図示されているのであって、限定として図示されているのではなく、また添付図面では同様の参照符号が類似の要素を示す。なお、本開示における本発明の「一(an)」又は「1つの(one)」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態ではなく、それらは少なくとも1つの実施形態を意味するものとする。また、簡潔さ及び図面の総数を減らす目的で、所与の図を使用して本発明の複数の実施形態の特徴を例示することができ、図中の全ての要素が所与の実施形態に必要とされない場合がある。
【0010】
図1】一実施形態による、手術領域内の例示的な外科用ロボットシステムの図である。
【0011】
図2】一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の斜視図である。
【0012】
図3】一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の側面図である。
【0013】
図4】一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の端面図である。
【0014】
図5】一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の、図4の線5-5で取った断面図である。
【0015】
図6】一実施形態による、閉鎖構成のユーザインターフェース装置の斜視図である。
【0016】
図7】一実施形態による、ユーザインターフェース装置の双安定ラッチ機構の斜視図である。
【0017】
図8】一実施形態による、ユーザインターフェース装置のいくつかのタッチ感知面の側面図である。
【0018】
図9】一実施形態による、閉鎖構成のユーザインターフェース装置の、図6の線9-9で取った断面図である。
【0019】
図10】一実施形態による、ユーザインターフェース装置を使用して外科用ロボットシステムを制御する方法のフローチャートである。
【0020】
図11】一実施形態による、ユーザインターフェース装置を使用して外科用ロボットシステムを制御する方法のフローチャートである。
【0021】
図12】一実施形態による、外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図である。
【0022】
図13】一実施形態による、開放構成で手持ちされているユーザインターフェース装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態は、ロボットシステムを制御するために使用されるコマンド信号を提供するためのユーザインターフェース装置(UID)を説明する。ロボットシステムは、外科用ロボットシステムであり得る。ただし、UID信号は、インターベンショナル心臓システム、視覚システム、又は航空機システムなどの他のシステムを制御するために使用されてもよい。
【0024】
様々な実施形態では、説明は図面を参照して行われる。しかしながら、特定の実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又は他の既知の方法及び構成と組み合わせて実施されてもよい。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成、寸法、及びプロセスなど、多数の具体的な詳細が記載される。他の例では、説明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス及び製造技術は、特に詳細に説明されていない。本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」などへの言及は、記載される特定の特徴、構造、構成、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態」、「実施形態」などの句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0025】
本明細書における相対用語の使用は、相対的な位置又は方向を示し得る。例えば、「遠位」は、基準点から離れた、例えば、ユーザから離れた第1の方向を示し得る。同様に、「近位」は、第1の方向とは反対の第2の方向、例えば、ユーザに向かう位置を示し得る。しかしながら、このような用語は、相対的な基準フレームを確立するために提供され、UIDの使用又は向きを、以下の様々な実施形態で説明される特定の構成に限定することを意図するものではない。
【0026】
一態様では、外科用ロボットシステム内のロボット外科用ツールを操作するためのUIDは、外科用ロボットシステムのロボット外科用ツールの非常に器用で正確な動きを提供するために指で保持及び操作され得るいくつかのグリップリンクを含む。グリップリンクは、ロボット外科用ツールを動かすアクチュエータの動きを制御するために使用される入力信号を生成するための追跡センサを含む装置本体に取り付けることができる。グリップリンクは、開位置と閉位置との間で握ることができ、ロボット外科用ツールは、対応する動きをすることができる。例えば、ロボット外科用ツールは把持具を含むことができ、把持具のジョーは、組織を把持するために開位置と閉位置との間を動くことができる。閉位置では、グリップリンクは、ラッチ位置に係止することができるので、ユーザがグリップリンクを連続的に握る必要なしに、把持具のジョーを閉じたままにすることができる。したがって、UIDは、ロボット外科用ツールの高度に器用で正確な制御を提供するために使用することができる。
【0027】
図1を参照すると、これは、手術領域内の例示的な外科用ロボットシステム100の図である。ロボットシステム100は、ユーザコンソール120、管制塔130、及び例えば台、ベッドなどの外科用ロボットプラットフォーム111に1つ以上の外科用ロボットアーム112を含む。システム100は、患者102の手術を行うために使用される任意の数の装置、ツール、又は付属品を組み込むことができる。例えば、システム100は、手術を行うために使用される1つ以上の外科用ツール104を含んでもよい。外科用ツール104は、外科手術を実行するために外科用アーム112の遠位端に取り付けられたエンドエフェクタであってもよい。
【0028】
各外科用ツール104は、手術中に手動で、ロボットによって、又はその両方で操作されてもよい。例えば、外科用ツール104は、患者102の内部解剖学的構造に入り、見て、又は操作するために使用されるツールであってもよい。一実施形態では、外科用ツール104は、患者102の組織を把持することができる把持具である。外科用ツール104は、ベッドサイドの操作者106によって手動で取り扱うことができ、又は、それが取り付けられている外科用ロボットアーム112の作動運動によってロボット制御されてもよい。ロボットアーム112は台搭載システムとして示されるが、その他の構成では、アーム112は、カート、天井、若しくは側壁、又はその他の好適な構造的支持体に、取り付けられてもよい。
【0029】
一般的に、外科医又はその他の操作者などの遠隔操作者107は、ユーザコンソール120を使用して、アーム112及び/又は外科用ツール104を、例えばテレオペレーションで遠隔操作してもよい。ユーザコンソール120は、図1に示されるように、システム100の残りの部分と同じ手術室内に配置されてもよい。他の実施形態では、ユーザコンソール120は、隣接する部屋又は付近の部屋に配置されていてもよく、又は異なる建物、都市又は国など、離れた場所にあってもよい。ユーザコンソール120は、座席122と、足踏み式制御部124と、1つ以上の手持ち式ユーザインターフェース装置と、UID126と、例えば患者102の体内の手術部位の像を表示するように構成された少なくとも1つのユーザディスプレイ128と、を備えている。例示的なユーザコンソール120では、遠隔操作者107は、アーム112を遠隔制御し、(アーム112の遠位端に装着されている)外科用ツール104を操作するために、足踏み式制御部124及び手持ち式UID126を操作しながら、座席122に座ってユーザディスプレイ128を見ている。足踏み式制御部(単数又は複数)124は、作動時に動作制御信号を生成する7つのペダルなどの足ペダルであり得る。ユーザコンソール120は、ユーザコンソール120又は外科用ロボットシステム100の操作を制御するための手動入力を受信するための、キーボード又はジョイスティックなどの1つ以上の追加のインターフェース装置(図12)を含んでもよい。
【0030】
いくつかの変形例では、ベッドサイドの操作者106は、システム100を「ベッド上」モードで操作することもでき、このモードではベッドサイドの操作者106(ユーザ)は、患者102の側にいて、ロボット駆動型ツール(アーム112に取り付けられたエンドエフェクタ)を、例えば片手で保持された手持ち式UID126及び手動腹腔鏡ツールと同時に操作する。例えば、ベッドサイドの操作者の左手は、手持ち式UID126を操作してロボット構成要素を制御してもよく、一方で、ベッドサイドの操作者の右手は、手動腹腔鏡ツールを操作してもよい。したがって、これらの変形例では、ベッドサイドの操作者106は、ロボット支援型低侵襲手術及び手動腹腔鏡手術の両方を患者102に行うことができる。
【0031】
例示的な処置(手術)の間、患者102は、麻酔を達成するために、無菌的な方法で準備され、覆われる。手術部位への初期アクセスは、(手術部位へのアクセスを促進するために)、ロボットシステム100のアームが収納配置又は引き込み配置にある間に手動で実施され得る。一度アクセスが完了すると、そのアーム112を含むロボットシステムの初期位置決め又は準備が行われてもよい。次に、手術は、ユーザコンソール120において遠隔操作者107が、足踏み式制御部124及びUID122を利用して、様々なエンドエフェクタ及びおそらくは画像化システムを操作して手術を実行するように進行する。手動支援はまた、無菌ガウンを着用したベッドサイド職員、例えば、組織の拡張、手動再配置の実行、及びロボットアーム112の1つ以上でのツール交換などのタスクを実行し得るベッドサイドの操作者106によって、処置ベッド又は台において提供されてもよい。また、滅菌されていない職員は、ユーザコンソール120で遠隔操作者107を補助するために存在していてもよい。処置又は外科手術が完了したとき、システム100及び/又はユーザコンソール120は、洗浄又は滅菌、並びに、ユーザコンソール120を介した健康管理記録の登録又は印刷のような、手術後手順を促進するように構成されてもよい、又は促進する状態に設定されてもよい。
【0032】
一実施形態では、遠隔操作者107は、ロボットシステム100内のロボットアームアクチュエータ114を動かすための入力コマンドを提供するように、UID126を保持及び移動させる。UID126は、例えば、コンソールコンピュータシステム110を介して、ロボットシステム100の残りの部分に通信可能に連結されてもよい。UID126は、UID126の動き、例えば、UIDのハンドヘルドハウジングの位置及び向きに対応する空間状態信号を生成することができ、空間状態信号は、ロボットアーム又はツールアクチュエータ114の動作を制御するために使用される入力信号であってもよい。例えば、追跡センサは、対応する外科用ツールの空間運動を制御するための入力姿勢信号を生成することができる。ロボットシステム100は、空間状態信号から導出された制御信号を使用して、アクチュエータ114の比例運動を制御することができる。一実施形態では、1つ以上のプロセッサ、例えば、コンソールコンピュータシステム110のコンソールプロセッサは、空間状態信号を受信し、対応する制御信号を生成する。アーム112のセグメント又はリンクを動かすためのアクチュエータ114の通電方法を制御するこれらの制御信号に基づいて、アームに取り付けられた対応する外科用ツールの動きは、UID126の動きを模倣してもよい。同様に、遠隔操作者107とUID126との間の相互作用は、例えば、外科用ツールの把持具のジョーを閉じて患者102の組織を把持させるグリップ制御信号を生成することができる。例えば、1つ以上のプロセッサは、以下に説明するように、入力姿勢信号及びグリップ信号のうちの少なくとも1つに基づいて外科用ツールを制御するように構成され得る。
【0033】
あるいは、UID126の動作は、外科用ロボットシステム100の他の態様を制御するために提供されてもよい。例えば、指クラッチによって検出されたジェスチャは、アクチュエータ114及び対応する外科用ツール104の動作を停止するためのクラッチ信号を生成することができる。例えば、ユーザが指でUID126の指クラッチに触れると、指クラッチはクラッチ信号を生成してもよく、クラッチ信号は、アクチュエータ114の動作を一時停止するための入力信号であってもよい。同様に、1つ以上の容量感知パッドをUID126に配置することができ、ユーザは、診断、外科、腹腔鏡、又は低侵襲外科処置、若しくは別のロボット処置を実行している間に、容量感知パッドに触れて、内視鏡のカメラビュー、ユーザコンソール120のディスプレイ上のカーソルなどを制御することができる。
【0034】
外科用ロボットシステム100はいくつかのUID126を含んでもよく、それぞれのアーム112のアクチュエータ及び外科用ツール(エンドエフェクタ)を制御する各UIDに対してそれぞれの制御信号が生成される。例えば、遠隔操作者107は、第1のUID126を動かして、左ロボットアーム内にあるアクチュエータ114の動作を制御することができ、アクチュエータは、そのアーム112内のリンク、ギアなどを動かすことによって応答する。同様に、遠隔操作者107による第2のUID126の動きは、別のアクチュエータ114の動作を制御し、これは次にロボットシステム100の他のリンク、ギアなどを動かす。ロボットシステム100は、患者の右側のベッド又は台に固定されている右のアーム112と、患者の左側にある左のアーム112と、を含んでもよい。アクチュエータ114は、例えば、患者に対する、アームに取り付けられた外科用ツールの内視鏡又は把持具の向きを変えるために、アーム112の継手の回転を駆動するように制御される1つ以上のモータを含んでもよい。同じアーム112内のいくつかのアクチュエータ114の動作は、特定のUID126から生成された空間状態信号によって制御することができる。UID126はまた、それぞれの外科用ツール把持具の動作を制御することができる。例えば、各UID126は、アクチュエータ、例えば、線形アクチュエータの動作を制御するためのそれぞれのグリップ信号を生成することができ、これは、患者102内の組織を把持するために、外科用ツールの遠位端で把持具の顎を開閉する。
【0035】
いくつかの態様では、プラットフォーム111とユーザコンソール120との間の通信は、管制塔130を介してもよく、管制塔130は、ユーザコンソール120から(より具体的には、コンソールコンピュータシステム110から)受信されたユーザコマンドを、ロボットプラットフォーム111上のアーム112に送信されるロボット制御コマンドに変換することができる。管制塔130はまた、プラットフォーム111からユーザコンソール120へと、状態及びフィードバックを送信して戻してよい。ロボットプラットフォーム111、ユーザコンソール120、及び管制塔130との間の通信接続は、種々のデータ通信プロトコルの任意の好適なものを使用する、無線リンクを介するものであってよい。オプションで、任意の有線接続は、手術室の床及び/若しくは壁、又は天井に組み込んでよい。ロボットシステム100は、手術室内の表示並びにインターネット又はその他のネットワークを介してアクセス可能な遠隔表示を含む、1つ以上の表示へと、映像出力を提供してよい。ビデオ出力又はビデオフィードは、プライバシーを確保するために暗号化されてもよく、ビデオ出力の全て又は一部が、サーバ又は電子健康管理記録システムに保存されてもよい。
【0036】
図1の手術室シーンは例示的であり、特定の医療行為を正確に表していない場合があることが理解されるであろう。
【0037】
図2を参照すると、一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の斜視図が示されている。UID126は、ユーザ、例えば遠隔操作者107によって保持される把持構造体を含むことができる。例えば、UID126は、中央に配置された装置本体204から外側に延在するいくつかのグリップリンク202を含んでもよい。ユーザは、いくつかの指の間にグリップリンク202の一部分を保持し、作業スペース内でUID126を動かすことができる。作業スペースは、ユーザの手の届く範囲であってもよい。
【0038】
一実施形態では、装置本体204は、中心軸206に沿って長手方向に延在する。例えば、装置本体204は、ユーザがグリップリンクを保持しているときに、通常はユーザ107の手の中に包まれる近位端208から長手方向に延在してもよい。装置本体204は、前向きの表面を有する遠位端210まで延在してもよい。装置本体204は、いくつかの部分に分割することができる。装置本体204の遠位部分は、中心軸206の周りに延在する外面を有する装置ヘッド212を含み得る。装置ヘッド212の外面は、円筒形であってもよく、空洞を取り囲むことができる。装置ヘッド212内の空洞は、UID126の動きを追跡するために使用される追跡センサ214を受容することができる。より具体的には、追跡センサ214は、装置本体204内に取り付けられてもよい。追跡センサ214は、装置ヘッド212に固定することができ、したがって、追跡センサ214は、装置ヘッド212と同じ動きを経験することができる。
【0039】
後述するように、追跡センサ214は、UID126の装置本体の動きを追跡し、外科用ツールの動作を制御するための入力空間状態信号を生成するように構成することができる。入力空間状態信号は、装置本体204の動きに応答して生成され得る。追跡センサ214は、ユーザ107がUID126を動かすときに、装置本体204の位置及び/又は向きを検出することができ、検出された位置及び/又は向きは、外科用ロボットシステム100の制御に相関させることができる。例えば、追跡センサ214は、作業スペース内の装置本体204の、いくつかの自由度での動作、例えば、1つ以上の方向への並進、1つ以上の軸の周りでの回転、又は1つ以上の軸に対する傾きを検出してもよい。追跡センサ214は、加速度計及び/又はジャイロスコープ又は他の慣性センサを含んでもよい。追跡センサ214は、6つの自由度の位置センサを含んでもよい。例えば、位置センサは、周囲の磁場に応答するパラメータを有し、かつセンサの位置又は向きを決定するために例えば追跡システムによって測定可能なパラメータを有する、例えばコイルなどの構成要素を含む電磁追跡センサであり得る。追跡センサ214は、センサの位置又は向きを決定するために画像内で識別可能なマーカパターンを有する光学追跡構成要素を含んでもよい。追跡システムは、ユーザコンソール120に組み込まれてもよく、有線又は無線リンクによって追跡センサ214に接続されてもよい。作業スペース内のUID126の検出された運動は、エンドエフェクタ又はツールのグリップ動作又は把持動作などの、対応する運動、例えば、外科用ロボットシステム100の、把持具の把持運動又はジョーの把持運動などの、対応する運動を引き起こすことができる。
【0040】
外科用ツール104及び/又はアーム112を制御するために遠隔操作者107によって取り扱われるUID126は、人間工学的であり得る。例えば、UID126は、互いに角度をなして中心軸206から径方向外側に延在する、いくつかの、例えば、少なくとも3つのグリップリンク202を含むことができる。したがって、ユーザ107は、伸ばされた親指、人差し指、及び中指の間でグリップリンク202を快適に保持することができる。各グリップリンクは、ユーザ107の指によって押される外側グリップ面を有するグリップクランク216を含むことができる。グリップクランク216は、対応する枢軸(図5)で装置本体204に枢動可能に連結されてもよく、これにより、ユーザ107の指によってグリップクランク216に加えられる圧力は、グリップクランク216を装置本体204に向かって径方向内側に動かすことができる。例えば、グリップリンク202は、近位端208の近くで装置本体204に接続され得る。
【0041】
グリップクランク216の動きは、グリップリンク202の他の構成要素の動きを引き起こし得る。各グリップリンク202は、スライダクランク機構であってもよく、グリップリンク202は、装置本体204に連結された接地(グリップクランク216の枢軸)を有し得る。各グリップリンク202は、対応する枢軸においてグリップクランク216に枢動可能に連結された従動アーム218を含み得る。更に、従動アーム218は、グリップクランク216からスライダ220まで径方向内側に延在することができる。従動アーム218は、対応する枢動継手においてスライダ220に枢動可能に連結され得る。グリップクランク216は、ピボット継手で装置本体204に接地されてもよいが、スライダ220は、装置本体204に摺動可能に連結されてもよい。
【0042】
図3を参照すると、一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の側面図が示されている。スライダ220は、装置本体204のシャフト部分に摺動可能に連結されてもよい。シャフト部分は、本体表面302を含むことができ、スライダ220は本体表面302に取り付けられてもよい。例として、スライダ220は、本体表面302の外形よりわずかに大きい断面輪郭を含む内側チャネルを有するカラーであってもよい。カラーは、スライダ本体の継手においてスライダ220を装置本体204に接続するために、本体表面302上に摺動嵌合を有してもよい。したがって、スライダ220は、装置本体204の遠位端210と近位端208との間で中心軸206に沿って動くことができる。
【0043】
グリップリンク202は、同じスライダ220を共有することができる。例えば、グリップ機構は、3つ以上の相互接続されたグリップリンク202のアレイを有してもよい。相互接続されたグリップリンク202は、それぞれの接地において装置本体204に接続されたそれぞれのグリップクランク216を有することができ、グリップリンク202は、同じスライダ220に接続されたそれぞれの従動アーム218を有することができる。したがって、グリップクランク216のうちの1つが装置本体204に向かって径方向内側に動くと、対応するグリップリンク202は、スライダ220を遠位に押して、他のグリップクランク216を装置本体204に向かって引っ張ることができる。すなわち、グリップリンク202は、任意の1つのグリップクランク216の作動が、グリップクランク216の全ての作動及びスライダ220の対応する動きをもたらすように相互接続されてもよい。
【0044】
スライダ220の動作は、バイアス要素304によって抵抗されてもよい。バイアス要素304は、互いに対して動くことができる第1の端部306及び第2の端部308を有することができる。バイアス要素は、受動的又は能動的要素とすることができる。例えば、バイアス要素304は、互いに対して動く端部を有する戻りばねなどの受動的要素であってもよい。戻りばねは、ばねの取り付け位置に応じて圧縮ばね又は引張ばねであり得る。例えば、戻りばねの端部は、互いに向かって(例えば、圧縮ばねの場合にばねがエネルギーを蓄えているとき、又は引張ばねの場合にばねがエネルギーを放出しているとき)、及び互いから離れて(例えば、圧縮ばねの場合にばねがエネルギーを放出しているとき、又は引張ばねの場合にばねがエネルギーを蓄えているとき)動くことができる。戻りばねは、装置本体204とスライダ220との間で予荷重をかけられ得る。例えば、バイアス要素304の第1の端部306は、装置ヘッド212の近位面に押し付けられてもよく、又は別の方法で接続されてもよく、第2の端部308は、スライダ220の遠位面に押し付けられてもよく、又は別の方法で接続されてもよい。バイアス要素304は、スライダ220を第1の端部306に向かって、及び/又は第1の端部306から離れるように動かすことができる。例えば、バイアス要素304が圧縮ばねであり、ユーザ107がグリップクランク216を閉位置まで握ったとき、ユーザ107がグリップクランク216を介抱すると、バイアス要素304は、拡張してスライダ220を近位に押し、グリップクランク216を開位置に向かって径方向外向きに押し進めることができる。同様に、バイアス要素304がスライダ220の近位面と近位端208との間に取り付けられた引張ばねであるとき、バイアス要素304は、グリップリンク202の閉鎖構成における移動終了位置から、グリップリンク202の開放構成における開位置までスライダ220を引っ張ることができる。より具体的には、ユーザ107がグリップクランク216を閉位置から解放すると、バイアス要素304は、スライダ220及びグリップリンク202を開位置に押し進めることができる。
【0045】
一実施形態では、バイアス要素304は、装置本体204に接続された第1の端部306及びスライダ220に接続された第2の端部308を有する線形アクチュエータなどの能動的要素である。線形アクチュエータは、UID126のコアに取り付けられたリニアモータを含むことができる。リニアモータは、スライダ220を装置ヘッド212に対して遠位及び近位に動かすために、第1の端部306及び第2の端部308を、互いに向かって又は互いから離れるように駆動することができる。戻りばねに関して上述したように、線形アクチュエータは、ユーザ107がグリップクランク216を閉位置から解放するときに、スライダ220及びグリップリンク202を開位置に向かって動かすために、スライダ220に復元力を及ぼすことができる。更に、線形アクチュエータは、ユーザ107に力フィードバックを提供することができる。ユーザに提供される力フィードバック又は動きは、標的組織部位に加えられるグリップ力に対応する触覚フィードバック機構、例えば触覚フィードバックであり得る。スライダ220に対して駆動することにより、線形アクチュエータは、グリップクランク216が何かを握っているという感覚をユーザ107に与えることができる。より具体的には、線形アクチュエータは、ユーザが例えば鉗子で患者102の組織を手動で握った場合にユーザ107が感じる抵抗をシミュレートする抵抗力を提供することができる。線形アクチュエータは、ユーザによって組織に加えられる力の量を示すために、ある量の力でグリップクランク216をユーザの指に対して駆動することができる。したがって、ユーザ107は、グリップリンク202を介して線形アクチュエータによってユーザの指に加えられる反力に基づいて、器具が組織に加えている力の量を知ることができる。
【0046】
図4を参照すると、一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の端面図が示されている。各グリップクランク216は、装置本体204から、それぞれの平面402に沿って延在し得る。平面402は長手方向に延在し、中心軸206に平行な線に沿って交差することができる。例えば、平面402は、中心軸206に沿って交差してもよい。一実施形態では、グリップリンク202は、中心軸206を中心として回転対称である。したがって、平面402は、中心軸206を中心に等角であり得る。例として、図4に示されるように、UID126が6つのグリップリンク202の円形アレイを含む場合、グリップリンク202は、60度の角度で互いから周方向に分離された6つの平面402に沿って分散されてもよい。したがって、グリップ構造体は、中心軸206に対して径方向に対称な機構である。
【0047】
UID126のグリップリンク202は、対称セットに分割されてもよい。一実施形態では、グリップ構造体は、中心軸206の周りに均一に分散されたグリップリンクの第1のセット404を含む。より具体的には、グリップリンクの第1のセット404は、3つ以上のグリップリンク202の第1の円形アレイであってもよい。第1のセットが3つのグリップリンク202を含むとき、各グリップリンク202のそれぞれのグリップクランク216は、他の平面402から120度離れているそれぞれの平面402に沿って延在してもよい。UID126は、グリップリンクの第2のセット406を含むことができる。グリップリンクの第2のセット406は、中心軸206の周りに均一に分散され得る。グリップリンクの第2のセット406は、3つ以上のグリップリンク202の第2の円形アレイであってもよく、第2の円形アレイは、グリップリンクの第1のセット404の第1の円形アレイと比較すると、中心軸206に対して交互に配置され得る。より具体的には、第2のセットの各グリップクランク216は、第1のセットの一対の隣接するグリップクランク216の間に延在してもよい。したがって、第2のセット406は、グリップリンクの第1のセット404のそれぞれの平面402の間で装置本体204から延在する少なくとも1つのグリップクランク216を含む。以下に記載されるように、グリップリンクの各セットは、外科用ロボットシステム100の異なる非グリップ機能を制御するために使用される信号を生成することができる。それにもかかわらず、セットは、ユーザ107がグリップクランク216のいずれかを握ったときに、外科用ロボットシステム100のグリップ機能を制御するための信号を生成するために一斉に開閉してもよい。つまり、ユーザ107がグリップクランク216を握ると、グリップリンク202は、閉位置に向かって動くことができ、中心軸206に沿ったスライダ220の位置が変わり可能性がある。スライダ位置の変化は、グリッパ制御信号の対応する出力を引き起こすための入力として検出されてもよい。
【0048】
図5を参照すると、一実施形態による、開放構成のユーザインターフェース装置の、図3の線5-5について取った断面図が示されている。UID126の各グリップリンク202は、共通のスライダ220によって相互接続されたスライダクランク機構であり得る。上述したように、グリップクランク216は、装置クランク継手502において近位端208付近の装置本体204に接続されてもよい。装置クランク継手502は、グリップクランク216が中心軸206に対して径方向内側及び径方向外側に枢動することを可能にするために、単一の自由度(枢軸を中心とする回転)を有する回転継手504であってもよい。従動アーム218は、グリップクランク216とスライダ220との間を橋渡しすることができる。より具体的には、従動アーム218は、従動クランク継手506においてグリップクランク216に接続されてもよく、従動アーム218は、従動スライダ継手508においてスライダ220に接続されてもよい。装置クランク継手502のように、従動クランク継手506及び従動スライダ継手508は、従動アーム218が中心軸206に対して枢動及び角度変更できるように、回転継手504であり得る。例えば、従動アーム218が中心軸206に対してより平行な向きに枢動すると、スライダ220は、装置本体204の本体表面302に沿って遠位に前進してもよい。対照的に、従動アーム218が中心軸とアーム218の長さとの間の角度を増加させる向きに枢動すると、スライダ220は、本体表面302に沿って近位に前進してもよい。
【0049】
本体表面302は、装置シャフト516の外面であってもよい。装置シャフト516は、装置ヘッド212と近位端208との間に延在する装置本体204の円筒形シャフト部分であり得る。装置シャフト516は、中心軸206に沿って延在することができ、したがって、本体表面302は、中心軸206の周りに延在してもよい。スライダ220は、中心軸206の周りに延在するカラーを含んでもよい。スライダ220と本体表面302との間の境界は、直動関節514とすることができる。より具体的には、スライダ220は、スライダ本体継手512において本体表面302に接続されてもよく、スライダ本体継手512は、直動関節514であってもよい。中心軸206を中心としたスライダ220の回転は、従動アーム218によって制約を受けてもよく、したがって、スライダ220は、中心軸206に沿って単一の自由度(軸方向)を有し得る。
【0050】
中心軸206に沿ったスライダ220の変位を監視することができる。一実施形態では、UID126は、グリップリンク変位センサ518を含む。変位センサ518は、本体表面302上のスライダ220の位置又は動きを検出及び/又は測定する変位検出センサとすることができる。例えば、グリップリンク変位センサ518は、スライダ220の遠位面に向かって放射エネルギーを放射する光学変位センサであってもよい。グリップリンク変位センサ518は、遠位表面から反射されたエネルギーを検出することができる。センサは、受信されたエネルギーに基づいて、スライダ220の遠位面と装置ヘッド212との間の長手方向距離を決定することができる。より具体的には、グリップリンク変位センサ518は、光学的感知技術を使用して、本体表面302上のスライダ220の軸方向位置を決定することができる。他のセンサタイプを使用して、装置シャフト516上のスライダ220の軸方向位置を決定することができる。グリップリンク変位センサ518は、スライダ220の変位又は位置に基づいて出力信号を生成するように構成されてもよい。出力信号はグリップ信号と呼ばれることがあり、スライダ220の動きがグリップクランク216の動きに対応することを前提として、グリップ信号は、グリップリンク202の動きに応答して生成されてもよい。したがって、ユーザ107がグリップリンク202を握ると、グリップ信号が生成され、外科用ツール104の一部分、例えば把持具のジョーの動きを制御するために、グリップ信号が生成され、外科用ロボットシステム101に出力され得る。グリップリンク変位センサ518は、装置本体204内に取り付けられた他の電子機器に電気的に接続されてもよい。例えば、装置本体204内の電源は、グリップリンク変位センサ518に電力を供給することができる。同様に、グリップリンク変位センサ518は、装置本体204内に取り付けられたUIDプロセッサ520にデータを通信することができる。UIDプロセッサ520は、センサデータを処理し、対応する信号、例えばグリップ信号を、コンピュータシステム110に通信することができる。
【0051】
UID126は、UIDプロセッサ520を含む様々な電子機器を受容するための内部容積を含んでもよい。UIDプロセッサ520は、容量センサとインターフェース接続するために使用される感知増幅器回路及びアナログデジタル変換回路、並びにプログラム可能な論理又はプログラム可能なデジタルプロセッサを含む論理回路を含む、アナログ信号処理及びデジタル信号処理用の回路を包含してもよい。UIDプロセッサ520は、UIDプロセッサ520を、デバイスセンサ、例えば、追跡センサ214又はグリップリンク変位センサ518に接続するための様々なセンサ端子を有するプリント回路基板上に取り付けられ得る。電池は、プリント回路基板上に取り付けられて、UID126の電子部品に電力を供給することができる。電線(図示せず)は、UID126の各構成要素の中央ボアを通って中心軸206に沿って延在して、UIDプロセッサ520に接続することができる。例えば、電線は、中心軸206に沿って、追跡センサ214又はグリップリンク変位センサ518から装置シャフト516及び装置ヘッド212を通って延在して、UIDプロセッサ520又はプリント回路基板上の端子に取り付けることができる。UIDプロセッサ520は、他のセンサ、例えば、導電パッド又は指クラッチ(図8)に電気的に接続されてもよい。電線は、接地端子と比較することができる、静電容量信号をUIDプロセッサ520に伝導してもよい。接地端子は、UIDプロセッサ520又はプリント回路基板上にあってもよい。したがって、UIDプロセッサ520は、以下に説明する機能をトリガするために、導電パッド又は指クラッチの静電容量の変化を検出するように構成されてもよい。
【0052】
図6を参照すると、一実施形態による、閉鎖構成のユーザインターフェース装置の斜視図が示されている。ユーザ107がグリップクランク216を閉位置に握ると、グリップクランク216の横方向に面する表面は互いに当接することができる。当接するグリップクランクは、組み合わされて概ね球状の外側輪郭を形成する外面を有することができる。より具体的には、グリップクランク216の外面を画定する外側エンベロープは、1つ以上の丸みを帯びた又は球状の表面輪郭を有することができる。例えば、エンベロープは、概ね卵形であってもよく、又は楕円体であってもよい。閉鎖構成では、UID126は、各グリップクランク216上に位置する隆起部の組み合わせによって形成された周方向隆起部602を有してもよい。隆起部602は、触覚データ、すなわち、既知のグリップ位置を示す特徴を提供することができる。すなわち、隆起部602は、ユーザのグリップのための基準特徴部とすることができる。
【0053】
閉鎖構成におけるグリップクランク216のエンベロープは、中心軸206を中心にして回転する表面輪郭を有する回転表面を含んでもよい。一例では、エンベロープは楕円体を画定し、中心軸206は楕円体の長手方向軸又は長軸であってもよい。周方向隆起部602の前方のエンベロープの一部分は、より短くてもよく、隆起部602の後方のエンベロープの一部分よりも緩やかな輪郭又はテーパを有してもよい。したがって、エンベロープの遠位部分及び近位部分は、UID126の中心軸206が隆起部602が閉鎖構成に位置する横断面と交差する点から測定される、異なる曲率半径を有してもよい。そのような輪郭は、ユーザ107の快適なグリップ面を提供することができる。更に、閉鎖構成におけるグリップクランク216の組み合わされた外面によって提供される回転面は、指の操作により適している可能性がある。すなわち、UID126が閉じられると、回転面により、UID126がユーザ107の指の間で転がされて、ロボットアーム112のエンドエフェクタ及び/又は外科用ツール104のグリッパジョーの捻れ動作を制御する信号を生成することができる。したがって、閉鎖構成におけるUID126の回転面は、外科用ロボットシステム100の非常に器用で正確な動き、及び制御を可能にする。
【0054】
UID126は、開放された又は部分的な閉鎖構成における非常に器用で正確な動きをもたらす。グリップクランク216の湾曲した外面は、全ての構成でユーザの指の間で転がされてもよく、これは快適なグリップ面を提供することができる。
【0055】
図7を参照すると、一実施形態による、ユーザインターフェース装置の双安定ラッチ機構の斜視図が示されている。ユーザ107は、手術が行われている間に、グリップクランク216を一定期間閉位置で維持する必要が生じ得る。例えば、ユーザ107は、外科用ツールのグリッパジョーを、長期間にわたって閉鎖状態でロックする必要が生じ得る。手の疲労を防止するために、UID126は、ユーザ107がロック解除状態、例えば開位置に向けて解放する準備が整うまで、グリップクランク216を閉位置にロックするための双安定ラッチ機構702を含んでもよい。
【0056】
UID126は、双安定ラッチ機構702を内部に組み込んでもよい。例えば、双安定ラッチ機構702の構成要素は、スライダ220の内面と装置本体204の外面との間にあってもよく、例えば、装置シャフト516である。したがって、図7は、スライダ220の内面の下にある装置本体204の外面を明らかにする部分断面図であってもよい。
【0057】
双安定ラッチ機構702は、プッシュプッシュ機構を組み込んでもよい。プッシュプッシュ機構は、グリップクランク216が完全に閉じられてから弛緩されたときに、グリップリンク202を閉鎖構成にロックすることができる。プッシュプッシュ機構は、グリップクランク216が閉鎖構成から再び完全に閉じられてから解放されるとき、グリップリンク202をロック解除して、UID126を開放構成へと解放することができる。したがって、双安定ラッチ機構702は、ロックするために握られ、解放するために再び握られる機構であり得る。
【0058】
一実施形態において、双安定ラッチ機構702は、カム706に沿って移動するカム従動子704を含むことができる。カム従動子704及びカム706は、スライダ220又は装置本体204に組み込まれてもよい。しかしながら、カム従動子704及びカム706は、同じ構成要素に組み込まれてはならず、例えば、両方がスライダ220又は装置本体204に組み込まれてはならない。例として、カム706は、装置シャフト516内に一体化されてもよく、カム従動子704は、装置シャフト516の上に乗るスライダ220に取り付けられてもよい。カム従動子704は、スライダ220の内面と装置シャフト516の外面との間に配置することができる。カム従動子704及びカム706は、互いに対して動くことができる。
【0059】
カム従動子704は、中心軸206に平行に延在する長手方向カンチレバーを含むことができる。カム従動子704はまた、カンチレバーの端部から中心軸206に向かって径方向内側に延在する突起部を含んでもよい。突起部はカム706内に延在することができる。より具体的には、カム706は、装置シャフト516の外面に形成された溝を含んでもよく、突起部は溝内に配置されてもよい。
【0060】
カム706の溝は、ループ経路に沿って延在してもよい。例えば、経路は、溝の最近位位置に非ラッチ位置708と、溝の最遠位位置にある移動終了位置710と、最近位位置と最遠位位置との間の溝の位置にラッチ位置712とを有し得る。経路は、非ラッチ位置708から移動終了位置710まで、次いでラッチ位置712まで反時計回り方向に延在することができる。溝に沿って反時計回りの方向に進むと、経路は、非ラッチ位置708で開始点に戻る。したがって、経路は閉鎖経路であってもよい。
【0061】
カム従動子704は、グリップリンク202が閉鎖構成と開放構成との間で動くとき、溝の周りを動いてもよい。例えば、カム従動子704は、ユーザ107がグリップリンク202を握ると、非ラッチ位置708、移動終了位置710、及びラッチ位置712の間で動くことができる。開放構成では、グリップクランク216が径方向に延在している状態で、カム従動子704の突起部は、溝の非ラッチ位置708に位置してもよい。ユーザ107が、何本かの指の間でグリップクランク216をつまむと、グリップクランク216は、開放構成(図2)と閉鎖構成(図6)との間で、装置本体204に向かって枢動する。カム従動子704は、UID126が閉鎖構成に移行するとき、非ラッチ位置708と移動終了位置710との間の溝に沿って動くことができる。ユーザ107がグリップクランク216上のグリップを弛緩させ、戻りばね304がスライダ220を付勢することが可能になると、グリップクランク216は、閉位置とロック位置との間で、装置本体204から離れるように枢動する。すなわち、カム従動子704が移動終了位置710からラッチ位置712に動くと、グリップクランク216は、ロック位置まで径方向外側に動く。したがって、グリップクランク216は、ロック位置よりも閉位置にあるときの方が中心軸206に近くてもよい。
【0062】
グリップリンク202は、グリップクランク216が閉位置又はロック位置のいずれかにあるとき、閉鎖構成にあってもよい。グリップクランク216の閉位置からロック位置への径方向の移動は、無視できるほどであり得る。例えば、グリップクランク216の外面は、結合して、閉位置及びロック位置の両方において楕円体エンベロープを形成してもよい。しかしながら、ロック位置では、ユーザ107は、グリップリンク202を閉鎖構成に維持するためにグリップクランク216を握る必要はない。したがって、ユーザ107は、カム従動子704の突起がラッチ位置712にあるとき、グリップクランク216を捻る又は回転させることによって、UID126を操作することができる。
【0063】
グリップクランク216のラッチを解除するために、ユーザ107は、グリップクランク216を中心軸206に向かって握ることができる。カム従動子704の突起がラッチ位置712にあるときのグリップクランク216の径方向内側への移動は、カム従動子704をカム706の溝に沿って反時計回りの方向に押し進めることができる。突起は、ラッチ位置712の遠位にある第2の移動終了位置714に押し進めることができる。プロングが第2の移動終了位置714にあるとき、グリップクランク216は閉位置にあってもよい。グリップクランク216が閉位置から弛緩すると、カム従動子704は、第2の移動終了位置714と非ラッチ位置708との間の溝をたどることができる。
【0064】
カム706内の溝のセグメントは、カム従動子704を特定の方向に付勢するために、異なる高さにあってもよい。例えば、カム従動子704が第2の移動終了位置714に到達すると、溝の床が降下して、カム従動子704を、第2の移動終了位置714と非ラッチ位置708との間の溝のセグメント上に降下させることができる。カム従動子704が非ラッチ位置708に戻ると、グリップクランク216は再び開位置にあってもよい。開位置において、グリップクランク216は、ロック位置よりも中心軸206から離れている。つまり、グリップクランク216は、開位置よりもロック位置にあるときの方が中心軸206に近くてもよい。
【0065】
図7に示され、上記で説明した双安定ラッチ機構702は、グリップリンク202の双安定ラッチを提供する1種類のプッシュプッシュ機構を含む。他のプッシュプッシュ機構を使用してもよい。いずれの場合も、プッシュプッシュ機構は、ユーザ107がグリップクランク216を移動終了まで握ると、それ自体を閉鎖構成にロックし、ユーザ107が再び機構を握ると、グリップクランク216が開位置に向かって解放される機構を含むことができる。
【0066】
双安定ラッチ機構702は、UID126の状態をユーザ107に示す機能を含むことができる。例えば、双安定ラッチ機構702は、カム従動子704が移動終了位置710に到達したことを示すスナップ機能を含んでもよい。カム従動子704の突起部が、移動終了位置710でより高い溝床からより低い溝床まで下降するとき、可聴スナップ音、又はスナップに関連する物理的触覚振動が発せられ得る。クリック音又は感覚は、移動終了位置710に到達したことを示すことができる。次に、ユーザ107は、グリップクランク216が解放されて、閉鎖構成でUID126をロックすることができることを知っている。同様のスナップ機能は、グリップクランク216の他の位置に実装されてもよい。例えば、スナップ機能は、カム従動子704が第2の移動終了位置714に達したときにクリックして、UID126がラッチ解除され、グリップクランク216が径方向外側に延在できることをユーザ107に示すことができる。
【0067】
外科用器具を用いて手術を行うために、ユーザ107は、外科用ツールのグリッパジョーがいつ完全に閉じられるかを知る必要が生じ得る。例えば、外科用ツールは、グリッパを有するニードルドライバであってもよく、また、閉じるUID126のグリップクランク216は、器具ジョーの閉鎖にマッピングされ得る。したがって、ユーザ107がスナップ機能からのクリックを感じると、器具ジョーが移動終了状態、例えば、完全にクランプされた状態に達したことがユーザ107に通知される。
【0068】
グリップリンク202の同様のラッチは、上述の線形アクチュエータを使用して行うことができる。例えば、線形アクチュエータは、スライダ220が装置シャフト516に沿って移動終了位置に到達すると判定されたときに作動を停止するように制御されてもよい。ユーザ107がグリップクランク216を再び握ると、スライダ220は移動終了位置まで前進することができ、これは、UIDプロセッサ520によって検出されてもよく、線形アクチュエータは、スライダ220をより近位位置に戻して、グリップクランク216が径方向外側に拡張できるように制御されてもよい。したがって、UID126の双安定ラッチは、機械的及び/又は電気機械的に実行することができる。
【0069】
図8を参照すると、一実施形態による、ユーザインターフェース装置のいくつかのタッチ感知面の側面図が示されている。UID126は、いくつかのタッチ感知面を含むことができる。タッチ感知面は、ユーザ107によるタッチに応答して信号を生成する容量性及び/又は導電性要素を含み得る。したがって、UID126上の所定の位置に触れることにより、ユーザ107は、外科用ロボットシステム100の特定の機能を制御することができる。機能は、非グリップ機能であり得る。
【0070】
一実施形態では、UID126は、UID126の動きを外科用ロボットシステム100の制御から切り離すためのクラッチ機構を含む。クラッチ機構は、指クラッチと呼ばれることがある。指クラッチは、ユーザ107の指からのタッチによって作動され得るため、このように呼ばれ得る。一実施形態では、指クラッチ802は、点線で示されるように、装置本体204の領域に取り付けられるか、又はこれに一体化されてもよい。例えば、装置ヘッド212は、指クラッチ802を含むことができる。指クラッチ802は、装置ヘッド212のタッチ感知外面を含んでもよく、これにより、ユーザ107は、UID126によって操作されている個々の器具の遠隔操作を休止することが可能になる。つまり、ユーザ107が指クラッチ802に触れると、そのタッチはクラッチ入力として検出されてもよい。クラッチ入力に応答して、追跡センサ214によって検出されたUID126の動きに対応する制御信号を休止することができる。クラッチ入力が取り除かれると(タッチが終了すると)、UID126の動きは、外科用ロボットシステム100の対応する動きを再び引き起こし得る。つまり、例えば指クラッチ802から指を取り除くことによって指クラッチ802のクラッチが外された場合、UIDの動きが再び検出され、運動制御入力として外科用ロボットシステム100に入力されてもよい。
【0071】
UID126の指クラッチ802は、作業スペースの限度に達したときに、ユーザ107が作業スペース内にUID126を再配置することを可能にすることができる。例えば、UID126を保持している間にアームを開始位置からある方向に完全に延在させることにより、ユーザ107は、作業スペースの限界、例えば、作業スペースの縁部に到達することができる。作業スペース内でUID126を再配置し、作業空間縁部の方向への更なる移動を可能にするために、ユーザ107は、指クラッチ802に人差し指で触れて、外科用ロボットシステム100をUID126の動きから切り離すことができる。次いで、ユーザ107は、UID126を作業スペース内の開始位置に戻し、人差し指を指クラッチ802から持ち上げることによって、外科用ロボットシステム100のクラッチを外すことができる。次いで、第1の方向への更なる移動は、UID126を動かして外科用ロボットシステム100の動きを操作することによって実行され得る。
【0072】
図9を参照すると、一実施形態による、閉鎖構成のユーザインターフェース装置の、図6の線9-9について取った断面図が示されている。指クラッチ802は、導電パッド904の上に取り付けられたクラッチカバー902を含むことができる。導電パッド904は、中心軸206の周りに延在してもよい。例えば、中心軸206は長手方向に延在してもよいが、導電パッド904の外面は、長手方向軸に直交する横断面に沿った経路をたどることができる。経路は、中心軸206の周りに完全に延在してもよく、例えば、横断面上の輪郭は円形であってもよい。あるいは、経路は、中心軸206の周囲に部分的に延在してもよく、例えば、輪郭はC字形であってもよい。一実施形態では、輪郭は、少なくとも270度の角度を超えて広がり、角度は中心軸206を中心として測定される。上述の輪郭は、導電パッド904の単一の横断スライスであってもよく、一実施形態では、輪郭の形状は、導電パッド904の長さにわたって同じであってもよい。すなわち、導電パッド904の長さに沿って取られた導電パッド904の各横断スライスは、円筒状の導電パッド904の場合には、同じ形状、例えば円形であってもよい。
【0073】
図示されていないが、一実施形態では、電線は、一方の端部で導電パッド904を、別の端部で感知増幅器回路(装置本体204内のUIDプロセッサ520の一部)の入力に結合することができる。感知増幅器回路は、電線上の信号に従って変化する感知信号を生成することができる。信号は、導電パッド904へのユーザの指の近接性に基づいて、又は導電パッド904を介した装置ヘッド212のタッチ感知部分へのユーザの指のタッチに基づいて、導電パッド904の静電容量の結果として変化してもよい。UIDプロセッサ520は、感知された信号のデジタル化バージョンを処理して、導電パッド904において静電容量の変化が生じたかどうかを判定することができる。UIDプロセッサ520は、導電パッド904の静電容量の変化を検出することに応答して、クラッチ信号を生成することができる。クラッチ信号は、所定の閾値を上回る導電パッド904上の容量読み取りに応答して生成されてもよい。
【0074】
導電パッド904は、追跡センサ214の外面とクラッチカバー902の内面との間に配置されてもよい。対照的に、クラッチカバー902は、周囲環境に向かって外向きの外側タッチ面を含んでもよい。ユーザ107の指がクラッチカバー902の外側タッチ面に触れると、指は、クラッチカバー902の壁厚によって導電パッド904から離される。クラッチカバー902は、誘電材料、例えばプラスチックから形成することができ、したがって、ユーザ107の導電性の指が外側タッチ面に触れると、クラッチカバー902の壁にまたがる静電容量は変化する。別の実施形態では、クラッチカバー902は、導電性材料で作ることができる。壁の厚さは、静電容量の変化を確実に検出できるように制限され得る。例えば、内面と外側タッチ面との間のクラッチカバー902の壁厚は、1mm未満であってもよい。したがって、クラッチカバー902及び導電パッド904は、装置ヘッド212において中心軸206上に静電容量センサを提供する。
【0075】
更に図9を参照すると、指クラッチ802は、UID126の通常の把持領域の外側に位置し得る。例えば、指クラッチ802は、通常動作中にユーザが保持するグリップクランク216の外面に対して遠位であり得る。しかしながら、指クラッチ802は、ユーザがUID126を操作しているとき、ユーザ107の指の届く範囲にあり得る。したがって、通常動作中、ユーザ107は指を伸ばして指クラッチ802に触れ、クラッチ信号を外科用ロボットシステム100に送信することができる。
【0076】
図8を再び参照すると、追加のタッチ感知領域及び容量センサを使用して、UIDの異なる機能を制御することができる。一実施形態では、UID126は、グリップリンク202のグリップクランク216上に取り付けられた少なくとも1つのグリップクランク容量感知パッド804を含む。例えば、グリップクランク容量感知パッド804は、隆起部602とグリップクランク216の遠位先端との間に、グリップクランク216の外面を含んでもよい。外面のタッチ感知領域は、下にあるグリップクランク容量感知パッド804(図9)を覆うことができる。より具体的には、グリップクランク容量感知パッド804の構成は、上述の指クラッチ802の構造と同様であってもよい。更に、指クラッチ802のように、UIDプロセッサ520は、グリップクランク容量感知パッド804に電気的に結合されて、グリップクランク容量感知パッド804の静電容量の変化を検出することができる。UIDプロセッサ520が所定の閾値を上回る静電容量を検出すると、UIDプロセッサ520は、対応する制御信号を生成することができる。対応する制御信号は、以下で説明する外科用ロボットシステム100のいくつかの所定の機能のうちの1つを制御するために使用されてもよい。
【0077】
UID126は、非常に器用で、指で操作されるものであり、手術中にユーザ107がUID126を落下させる可能性がある。安全上の理由から、インターロックを使用して、UID126が落下したときに意図しない器具の動きを防止することができる。例えば、落下検出センサは、落下時に自由落下状態に入ることに応答して、落下信号を生成することができる。落下検出センサは、UID126の動きを監視し得る追跡センサ214とすることができる。追跡センサ214が、落下状態に対応する動きを検出すると、センサは、インターロックオフ信号を生成して、UID126と外科用ロボットシステム100との間のインターロックを中断又は切断する。
【0078】
一実施形態では、グリップクランク容量感知パッド804の静電容量値に応答してUIDプロセッサ520によって生成された制御信号を使用して、UID126の機能と外科用ロボットシステム100との間のインターロックを制御することができる。より具体的には、グリップクランク容量感知パッド804は、ユーザ107がUID126を保持しているか、又はUID126が落下したかどうかを検出するために使用されてもよい。ユーザ107がUID126を保持しているとき、UID126の動きは、外科用ロボットシステム100の動きに連動することができ、例えば、追跡センサ214によって検出されるUID126の動きは、ロボットアーム112の対応する動きに変換され得る。対照的に、UID126の落下状態が検出されると、UID126と外科用ロボットシステム100との間のインターロックが中断又は切断され得る。
【0079】
UIDプロセッサ520は、グリップクランク容量感知パッド804の静電容量を監視して、ユーザ107がUID126を保持しているかどうかを検出することができる。UIDプロセッサ520は、第1のグリップクランク216上のグリップクランク容量感知パッド804及び別のグリップクランク216上の1つ以上の容量感知パッドを連続的に監視することができる。例えば、UIDプロセッサ520は、グリップクランク容量感知パッド804及び第2のグリップクランク216上の第1の容量感知パッド806を監視してもよい。UIDプロセッサ520が、容量感知パッドのうちの1つ以上の静電容量が所定の期間にわたって所定の閾値を下回っていることを検出することに応答して、UIDプロセッサ520は、UID126が落下状態にあると判定することができる。例えば、少なくとも5ミリ秒の間、静電容量が設定閾値を下回ると、UIDプロセッサ520は、インターロックオフ信号を生成することができる。本明細書で使用される場合、用語「インターロックオフ」は、例えば、許容できない事象又は動作に応じて、外科用ロボットシステム100の一部分の遠隔操作が中断されることを意味し得る。UID126は、インターロックオフ信号を外科用ロボットシステム100に送信して、ロボットアーム112及び/又は外科用ツール104の遠隔操作を中断することができる。
【0080】
更に図8を参照すると、UID126は、各グリップクランク216の外面上に少なくとも1つの容量感知パッドを含んでもよい。少なくとも1つのグリップクランク216は、外面上にいくつかの容量感知パッドを有してもよい。例えば、グリップクランク216は、第1の容量感知パッド806、第2の容量感知パッド808、及び/又は第3の容量感知パッド810を含んでもよい。容量感知パッドは、グリップクランク216の外面上に順次取り付けられるか又は配置されてもよい。例えば、第1の容量感知パッド806は、外面上で第2の容量感知パッド808の遠位にあってもよく、第2の容量感知パッド808は、第3の容量感知パッド810の遠位にあってもよい。
【0081】
一実施形態では、グリップクランク容量感知パッド804の線形アレイは、スワイプジェスチャを検出するために、UIDプロセッサ520によって監視されてもよい。ユーザ107は、グリップクランク216の外面上で指をスワイプすることによって、スワイプジェスチャを入力することができる。スワイプは、第1のグリップクランク容量感知パッド806、第2のグリップクランク容量感知パッド808及び/又は第3のグリップクランク容量感知パッド810のそれぞれの静電容量の変化を引き起こすことができる。UIDプロセッサ520は、パッドのアレイ上でのスワイプジェスチャとして変化のシーケンスを検出することができる。スワイプジェスチャは、様々な出力を制御するために使用されてもよい。例えば、スワイプジェスチャは、制御信号をトリガして、ロボットアーム112に所定の動作を実行させることができる。あるいは、スワイプジェスチャは、ユーザコンソール120のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一部の要素を制御することができる。例えば、ユーザ107は、メニューをナビゲートし、表示されたビューをスクロールし、表示された画像でズームイン及びズームアウトし、又はGUIの他の態様を制御するための制御入力として、グリップクランク216の外面をスワイプしてもよい。
【0082】
グリップクランク216の一部又は全ての容量感知パッドは、追加の機能を制御するために割り当てられてもよい。例えば、UIDプロセッサ520によって検出されたタッチ又はスワイプジェスチャは、制御信号をトリガして、外科用ツール104にエネルギーを送達させることができる。より具体的には、外科用ツール104は、エネルギー器具、例えばレーザ又は紫外線光源であってもよく、所定のタッチ入力は、エネルギー器具の起動をトリガするために検出されてもよい。
【0083】
一実施形態では、外科用ツール把持具の開閉を制御するために使用されるグリップクランク216は、GUI制御又はエネルギー送達制御などの他の機能を制御するために使用されるグリップクランク216と交互にすることができる。例として、グリップリンクの第1のセット404を使用して、外科用ツール把持具の開閉を制御することができる。更に、グリップリンクの第1のセット404は、落下検出を提供して、UID126の落下状態を検出し、UID126がユーザ107によって保持されていないときにインターロックオフ信号を送信することができる。対照的に、グリップリンクの第2のセット406を使用して、外科用ロボットシステム100の他の機能を制御することができる。上述したように、第2のセット406のグリップクランク216は、第1のセット404の隣接するグリップクランク216の間に配置されてもよい。したがって、第1のセット404及び第2のセット406のグリップクランク216は、UID126の全ての回転方向においてアクセス可能であり得る。
【0084】
追跡センサ214は、装置本体204の動きに応答して空間状態信号を生成するように構成することができる。空間状態信号は、自由空間におけるUID126の位置及び/又は向きに対応し得る。空間状態信号は、ロボットアーム112などの外科用ロボットシステム100の動作を制御することができる。例えば、ユーザ107が作業スペース内でUID126を右方向に動かすと、ロボットアーム112のエンドエフェクタも右方向に動くように制御され得る。同様に、中心軸206を中心にしてUID126を回転させることにより、エンドエフェクタを操作して、対応する長手方向軸を中心に空間内で同様に回転させることができる。
【0085】
追跡センサ214は、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、又は物理的運動を対応する電気信号に変換することができる1つ以上の他のトランスデューサを含んでもよい。例えば、追跡センサ214は、UID126の物理的変位(例えば、XYZ空間又は他の好適な座標系内での並進)、ロール、ピッチ、及びヨーを含む、6つの自由度を測定することが可能である磁気追跡プローブを含むことができる。一実施形態では、いくつかの追跡センサ214を使用して、UID126の位置及び/又は向きの検出に冗長性を提供する。追跡センサ(単数又は複数)214は、電気信号(単数又は複数)を出力することができ、電気信号(単数又は複数)は、例えば、平均化されて空間状態信号に組み合わせることができる。空間状態信号は、外科用ロボットシステム100の動作を制御するために提供されてもよい。
【0086】
UID126を介して入力される制御信号は、有線又は無線接続を通じてコンピュータシステム110に通信されてもよい。一実施形態では、電線は、例えば遠位端210などのUID126の遠位端から延在して、UID126をコンピュータシステム110に接続する。電線は、UID126に電力を供給することができ、センサ信号、例えば、空間状態信号、グリップ信号、インターロックオフ信号、クラッチ信号などをコンピュータシステム110に伝達してもよい。したがって、UID126は、コンピュータシステム110にコマンドを入力するために使用される周辺装置であってもよい。UID(単数又は複数)200は、他の周辺入力装置と組み合わせて使用することができる。例えば、フットペダルスイッチは、外科用ロボットシステム100にクラッチ入力を提供するために、コンピュータシステム110に接続されてもよい。各UID126は、それぞれの外科用ツール104のそれぞれのロボットアーム112又は把持具の遠隔操作を中断するために個々にクラッチされてもよいが、それぞれのロボットアーム112又は外科用ツール104は、フットペダルスイッチを押すことによって同時にクラッチされてもよい。したがって、アクチュエータ114の動きは、コンピュータシステム110のUID及び他の周辺入力装置によって操作されてもよい。
【0087】
図10を参照すると、一実施形態による、ユーザインターフェース装置を使用してロボットシステムを制御する方法のフローチャートが示されている。図示された方法は、ユーザ107が、ロボットアーム112及び/又は外科用ツール104の動きをもたらすように、UID126を操作することに対応する。例えば、図示された方法は、患者102の組織を把持するために外科用ツール104の把持具を制御するユーザ107に対応してもよい。
【0088】
ユーザインターフェース装置を使用して外科用ロボットシステム内のロボット外科用ツールを操作するための方法は、6つの自由度の空間におけるユーザインターフェース装置の動きを追跡することを含み得る。動作1002において、UID126の追跡センサ214は、空間状態信号、例えば、UID126の動きを表す入力姿勢信号を生成する。空間状態信号は、UIDプロセッサ520に出力することができる。UIDプロセッサ520は、追跡センサ214から空間状態信号を受信する。UIDプロセッサ520は、信号を分析又は修正し、得られた空間状態信号をユーザコンソール120に出力することができる。ユーザコンソール120は、次に、空間状態信号を外科用ロボットシステム100に送信してもよい。
【0089】
空間内でのUIDの動きを追跡することに加えて、UIDの1つ以上のグリップリンクの動きを検出することができる。動作1004において、UID126のグリップリンク変位センサ518は、外科用ツールのグリップ動作を制御するためのグリップ信号を生成する。グリップ信号は、UID126のグリップリンク202の動きを表すことができる。グリップリンク変位センサ518は、装置本体204の基準点、例えば、装置ヘッド212の近位面に対するスライダ220の動き又は位置を検出することができる。検出された位置情報は、UIDプロセッサ520に出力することができる。UIDプロセッサ520は、グリップリンク変位センサ518からの受信信号に基づいて、UID126の装置本体204に対するグリップリンク202の動きを検出することができる。UID126は、信号を分析又は修正し、得られたグリップ信号を生成し、ユーザコンソール120に出力することができる。ユーザコンソール120は、次に、グリップ信号を外科用ロボットシステム100に送信してもよい。
【0090】
動作1006において、外科用ロボットシステム100の1つ以上のプロセッサは、空間状態信号、例えば、入力姿勢信号又はグリップ信号を、コンピュータシステム110を介してUID126から受信する。制御信号は、コンピュータシステム110への有線又は無線接続を介して受信することができる。制御信号は、ロボットアーム112及び/又は外科用ツール104のアクチュエータ114に関連付けられた内蔵プロセッサに入力することができる。したがって、空間状態信号及びグリップ信号は、ロボットアーム112及び外科用ツール104のそれぞれの動きを引き起こすように処理され得る。
【0091】
動作1008において、外科用ロボットシステム100は、空間状態信号又はグリップ信号のうちの少なくとも1つに基づいて、アクチュエータ114又はアクチュエータ114に連結された外科用ツール104を動かす。外科用ロボットシステム100のアクチュエータ114は、空間状態信号に応答して動かすことができる。例えば、空間状態信号は、作業スペース内でのUID126の左から右への移動を表し得る。アクチュエータ114は、それに応じて、ロボットアーム112のエンドエフェクタを左から右に並進させるように動かすことができる。同様に、外科用ロボットシステム100の外科用ツール104は、グリップ信号に応答して動かすことができる。例えば、グリップ信号は、ユーザ107がグリップリンク202を握る際のグリップクランク216の径方向内側の動きを表してもよい。外科用ツール104の把持具を操作するアクチュエータは、それに応じて、把持具のジョーをピンチング動作で径方向内側に動かすように動くことができる。したがって、ロボットアーム112及び外科用ツール104は、UID126の操作に基づいて遠隔操作されて、外科用ツールの把持具に患者102の組織を把持させることができる。
【0092】
図11を参照すると、一実施形態による、ユーザインターフェース装置を使用してロボットシステムを制御する方法のフローチャートが示されている。図示された方法は、ユーザ107がUID126を落としたときの外科用ロボットシステム100の望ましくない動きを防止する安全インターロックの作動に対応する。
【0093】
動作1102において、UIDプロセッサ520は、UID126のグリップリンク202に取り付けられたグリップクランク容量感知パッド804の静電容量の変化を検出する。グリップクランク容量感知パッド804は、隆起部602に対して遠位のグリップクランク216の外面上に配置することができる。例えば、ユーザ107の指は、ユーザ107がUID126を落としたときにグリップクランク容量感知パッド804との接触を失う可能性があり、接触の喪失は、グリップクランク容量感知パッド804の検出された静電容量を変えることができる。
【0094】
動作1104において、UIDプロセッサ520は、グリップクランク容量感知パッド804の静電容量の変化を検出したことに応答して、インターロックオフ信号を生成することができる。UIDプロセッサ520は、検出された静電容量の変化に基づいて、UID126が落下状態にあることを判定することができる。すなわち、UIDプロセッサ520は、UID126が落下したか、又はもはやユーザ107によって保持されていないと判定することができる。落下状態を判定することに応答して、UIDプロセッサ520は、インターロックオフ信号を生成することができる。UIDプロセッサ520は、インターロックオフ信号をユーザコンソール120のコンピュータシステム110に送信してもよい。ユーザコンソール120は、次に、インターロックオフ信号を外科用ロボットシステム100に送信してもよい。
【0095】
動作1106において、インターロックオフ信号は、外科用ロボットシステム100によって、UIDプロセッサ520から受信される。インターロックオフ信号は、コンピュータシステム110への有線又は無線接続を介して受信することができる。インターロックオフ信号は、ロボットアーム112及び/又は外科用ツール104のアクチュエータに関連付けられた内蔵プロセッサに入力することができる。
【0096】
動作1108において、外科用ロボットシステム100は、インターロックオフ信号に応答して、アクチュエータ114又はアクチュエータ114に連結された外科用ツール104の動きを中断する。外科用ロボットシステム100の動きは、空間状態信号にかかわらず中断され得る。より具体的には、UID126が地面に落下すると、UID追跡センサ214によって生成された空間状態信号で表される回転運動及び並進運動を経験する。外科用ロボットシステム100は、空間状態信号を受信し、インターロックオフ信号がアサートされると、空間状態信号を無視することができる。同様に、外科用ロボットシステム100の動きは、グリップ信号にかかわらず中断され得る。より具体的には、UID126が地面に当たると、グリップクランク216は、衝撃によって径方向内側に押し込められ得る。外科用ロボットシステム100は、グリップ信号を受信し、インターロックオフ信号がアサートされると、グリップ信号を無視することができる。したがって、外科用ロボットシステム100の望ましくない又は潜在的に有害な動きは、UID126がユーザ107によって落下したときのインターロックオフ信号によって防止することができる。
【0097】
図12を参照すると、一実施形態による外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図が示されている。外科用ロボットシステムは、コンピュータシステム110及び1つ以上のUID126を有するユーザコンソール120を含むことができる。コンピュータシステム110及びUID126は、特定の機能に適した回路を有し、したがって、図示された回路は、例として提供され、限定するものではない。
【0098】
ユーザコンソール120は、外科用ロボットシステム100の一部、例えば、ロボットアーム112及び/又は外科用ツール104を制御することができる。UID126は、外科用ロボットシステム100を制御するための入力コマンドを提供するために、コンピュータシステム110及び/又は外科用ロボットシステム100に通信可能に連結されてもよい。例えば、UID126は、追跡センサ214からの信号に応答して、UIDプロセッサ520によって生成された空間状態信号、グリップリンク変位センサ518からの信号に応答して、UIDプロセッサ520によって生成されたグリップ信号、指クラッチ802の導電パッド904の静電容量の検出された変化に応答して、UIDプロセッサ520によって生成されたクラッチ信号、グリップクランク容量感知パッド804、806、808又は810の静電容量の検出された変化に応答して、UIDプロセッサ520によって生成されたインターロックオフ信号、といった電気制御信号1202を、コンピュータシステム110に通信することができる。電気信号は、外科用ロボットシステム100の動きを引き起こすか、又は外科用ロボットシステム100の動きを中断するための入力コマンドであってもよい。
【0099】
入力電気信号は、有線又は無線接続を介して、UIDプロセッサ520によってコンピュータシステム110のコンソールプロセッサ1206に送信されてもよい。例えば、UID126は、電線1204を介して制御信号1202をコンソールプロセッサ1206に送信してもよい。あるいは、UID126は、無線通信リンクを介して制御信号1202をコンソールプロセッサ1206に送信してもよい。無線通信リンクは、コンピュータシステム110及びUID126のそれぞれのRF回路によって確立されてもよい。無線通信は、無線周波数信号、例えば、Wi-Fi短距離信号及び/又はブルートゥース(登録商標)などの好適な無線通信プロトコルを介して行うことができる。
【0100】
コンピュータシステム110のコンソールプロセッサ1206は、上述の異なる機能及び性能を実行するための命令を実行してもよい。ユーザコンソール120のコンソールプロセッサ(単数又は複数)1206によって実行される命令は、非一時的機械可読媒体を含み得るローカルメモリ1208から取得されてもよい。命令は、外科用ロボットシステム100の構成要素、例えば、ロボットアーム(単数又は複数)112又は外科用ツール(単数又は複数)104に動作可能に連結されたアクチュエータ114などの、装置ドライバを有するオペレーティングシステムプログラムの形態であってもよい。
【0101】
一実施形態では、コンソールプロセッサ1206は、ユーザコンソール120の構成要素を制御する。例えば、1つ以上の座席アクチュエータ1209は、コンソールプロセッサ1206からのコマンドを受信して、座席122の動きを制御することができる。座席アクチュエータ(単数又は複数)1209は、前方/後方、背もたれ傾斜、ヘッドレスト位置などの1つ以上の自由度で座席122を動かすことができる。コンソールプロセッサ1206はまた、ディスプレイ128上に提示するためのビデオデータを送信することができる。したがって、コンソールプロセッサ1206は、ユーザコンソール120の動作を制御することができる。座席アクチュエータ(単数又は複数)1209又はコンソールプロセッサ1206への入力コマンドは、フットペダル(単数又は複数)124若しくはキーボード又はジョイスティックなどの別のインターフェース装置1211を介して、ユーザによって入力することができる。
【0102】
コンソールプロセッサ1206は、リンク1210を介して制御信号1202を外科用ロボットシステム100に出力することができる。制御信号1202は、外科用ロボットシステム100の動きを制御するために送信されてもよい。コンピュータシステム110は、有線又は無線リンクを介して外科用ロボットシステム100に通信可能に連結されて、制御信号1202を1つ以上の外科用ロボットシステムプロセッサ(単数又は複数)1212に出力することができる。例えば、少なくとも1つのプロセッサ1212は、管制塔130内に配置することができ、外科用ロボットプラットフォーム111又は1つ以上のディスプレイ1220などのシステム構成要素に通信可能に連結されてもよい。外科用ロボットシステム100のアクチュエータ114は、外科用システムプロセッサ1212から制御コマンドを受信して、UID126の動きに対応する動作を引き起こすか、又はユーザ107が指クラッチ802に触れるか又はUID126を落下させるときに外科用ロボットシステム100のインターロックをクラッチ及び/又は切断することによって、外科用ロボットシステム100の動きを中断させることができる。
【0103】
図13を参照すると、一実施形態による、開放構成で手持ちされているユーザインターフェース装置の斜視図が示されている。UID126は、グリップクランク216が完全に開位置にある状態でユーザの手に保持されている。UID126は、ユーザによる正確な指の操作を可能にする。すなわち、ユーザの手は、制御グリップを回転させる、転がす、又は捻ることができる。更に、グリップクランク216は、ユーザの手がグリップクランク216を軸206に向かって内側につまむ又は握ると、外科医に触覚フィードバックを提供することができる。したがって、UID126は、向上した器用さ及び動きの精度を提供する。
【0104】
前述の明細書において、本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明されている。以下の特許請求の範囲に記載される本発明のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされ得ることが明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
図1
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図13