(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240129BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
(21)【出願番号】P 2023081799
(22)【出願日】2023-05-17
【審査請求日】2023-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591274532
【氏名又は名称】株式会社メガハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 理一郎
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-038100(JP,A)
【文献】特開2014-013558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0349572(US,A1)
【文献】ワカムラアツシ,VIP ボーカロイドMV制作テクニック,初版,2013年06月27日,p.26-27,ISBN : 978-4-86100-833-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作データを保存する保存手段と、
前記保存手段により保存された著作データの各々に関連付けた非代替性トークンであって、当該著作データに関する関連情報を含む非代替性トークンを発行する発行手段と、
前記保存手段により保存された著作データを販売する販売手段と、
前記販売手段による著作データの販売が行われたことに応じて、当該著作データに対応する前記非代替性トークンを、当該著作データの購入ユーザの保有状態に変更する変更手段と、
前記保存手段により保存された著作データについて、
当該著作データに対応する前記非代替性トークンを保有するユーザの情報と当該非代替性トークンに含まれる前記関連情報とに基づいて、権限を有するユーザ
を特定する第1特定手段と、
を備え
る管理システムであって、
前記保存手段により保存される著作データは、第1著作データと、前記第1著作データに基づく新たな著作データである第2著作データとに分類され、
前記関連情報は、当該関連情報を含む前記非代替性トークンが対応付けられた著作データが前記第1著作データと前記第2著作データのいずれであるかを少なくとも示し、
前記第1特定手段は、前記販売手段によ
る販売が行われた
前記第1著作データについて、当該第1著作データに対応する前記非代替性トークンを保有状態にあるユーザを、当該
第1著作データに基づく
前記第2著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザ
として特定し、
前記管理システムは、
前記第2著作データが前記保存手段により保存されることを条件として、当該第2著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザからの、当該第2著作データの譲渡権限の申請を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、申請を行った申請ユーザに当該第2著作データの譲渡権限を与えるか否かを示す入力を受け付ける入力手段と、
をさらに備え、
前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力が受け付けられたことに応じて、
前記発行手段は、前記申請ユーザが当該第2著作データの譲渡権限を有するユーザであることを示す前記関連情報を含む前記非代替性トークンを、当該第2著作データに関連付けて発行し、
前記変更手段は、当該第2著作データに対応する前記非代替性トークンを、前記申請ユーザの保有状態に変更する管理システム。
【請求項2】
前記第1著作データは、著作物であり、
前記第2著作データは、前記第1著作データに基づいて生成された二次的著作物である請求項
1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、当該第2著作データの基になった前記第1著作データを特定する
第2特定手段をさらに備え、
前記
変更手段は、前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力が受け付けられたことに応じて、当該第2著作データについて前記
第2特定手段により特定された前記第1著作データ
に対応する前記非代替性トークンについて、前記申請ユーザの保有状態を解除する、
請求項
1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記
発行手段は、前記
第2特定手段により特定された前記第1著作データ
に対応する前記非代替性トークンが前記申請ユーザ
の保有状態にあることを条件として、
前記申請ユーザが前記第2著作データの譲渡権限を有するユーザ
であることを示す前記関連情報を含む前記非代替性トークンを、当該第2著作データに関連付けて
発行する請求項
3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、前記申請ユーザ
が前記非代替性トークンを保有している状態にある前記第1著作データのうちから、当該第2著作データの基になった前記第1著作データの指定を受け付ける手段をさらに備え、
前記
第2特定手段は、前記指定された前記第1著作データを前記第2著作データの基になった前記第1著作データとして特定する
請求項
3に記載の管理システム。
【請求項6】
前記
第1特定手段は、前記販売手段によ
る販売が行われた前記第1著作データ
について、当該第1著作データに対応する前記非代替性トークンを保有状態にあるユーザを、当該第1著作データの編集権限を有するユーザ
として特定し、
前記保存手段は、前記
第1著作データの編集権限を有するユーザが
当該第1著作データを編集することにより生成された前記第2著作データを保存する
請求項
1に記載の管理システム。
【請求項7】
前記第1著作データの編集方法には、当該第1著作データをダウンロードして編集する第1編集方法が含まれ、
前記入力手段は、前記保存手段により前記第1編集方法で編集して生成された前記第2著作データが保存されたことを条件として、当該第2著作データの譲渡権限を与えるか否かを示す入力を受け付ける
請求項
6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記第1著作データは、複数種類のデータ形式のデータを含み、
前記保存手段は、1つの前記第2著作データとして前記複数種類のデータ形式のデータを保存する
請求項
7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記第1編集方法は、前記第1著作データのうちの少なくとも1種類のデータ形式のデータをダウンロードして編集するものであり、
前記管理システムは、前記第1編集方法で編集して生成された前記第2著作データが保存されたことに応じて、当該第2著作データに基づいて不足している種類のデータ形式のデータを生成して前記保存手段に保存させる手段をさらに備える
請求項
8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記第1著作データの編集方法には、当該第1著作データをダウンロードせずに編集する第2編集方法が含まれ、
前記第2編集方法で編集して生成された前記第2著作データの譲渡権限が申請されたことに応じて、前記申請ユーザに当該第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力を受け付けることなく、
前記発行手段は、前記申請ユーザが当該第2著作データの譲渡権限を有するユーザ
であることを示す前記関連情報を含む前記非代替性トークンを、当該第2著作データに関連付けて
発行し、
前記変更手段は、当該第2著作データに対応する前記非代替性トークンを、前記申請ユーザの保有状態に変更する
請求項
6に記載の管理システム。
【請求項11】
ユーザごとに、当該ユーザに関連付けられた著作データの情報を公開する公開手段をさらに備え、
前記公開手段は、各ユーザについて、当該ユーザが譲渡権限を申請した前記第2著作データであって、
対応する前記非代替性トークンが他のユーザ
の保有状態にある前記第2著作データの情報を公開可能である
請求項
3に記載の管理システム。
【請求項12】
前記公開手段により公開される著作データの情報は、当該著作データの外観を示す画像を含む請求項
11に記載の管理システム。
【請求項13】
前記第2著作データは、当該第2著作データの外観を示す画像を含む請求項
12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記
発行手段は、前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えると判断されたことに応じて、当該第2著作データについて前記
第2特定手段により特定された前記第1著作データに
対応する前記非代替性トークンを削除する請求項
3に記載の管理システム。
【請求項15】
前記発行手段により発行された前記非代替性トークンは、分散型管理台帳にて状態遷移の履歴が管理される請求項
1に記載の管理システム。
【請求項16】
著作データに関する前記関連情報は、当該著作データの原著作者を示す情報と、当該著作データの作成者を示す情報とを含む請求項1に記載の管理システム。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の管理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作物を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツに関する二次創作活動は、当該コンテンツに対するユーザの関心の持続化や新規ユーザの開拓等に有効である。特許文献1には、素材として登録された3次元素材を使用して作成された二次的著作物を管理し、当該二次的著作物が閲覧された場合に、素材の権利者に権利料を還元するコンテンツ配信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次的著作物の利用は、一般的には二次創作者個人の利用に限定されるものであり、二次創作者は二次的著作物を自由に頒布することはできない。二次的著作物を頒布するためには、権利者(著作者)からその二次的著作物について譲渡権限を得る必要がある。一方で、二次創作活動が多数のユーザにより行われることを踏まえると、著作者が二次的著作物のそれぞれについて都度譲渡権限を与えるか否かを決定することは現実的でなく、二次創作者に譲渡権限が与えられることは稀であった。換言すれば、二次創作者が自身の創作した二次的著作物について簡易に譲渡権限を申請する術は、これまでなかった。
【0005】
本発明は、著作者の利益を担保しつつ、活発な2次創作活動を促進する管理システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の管理システムは、著作データを保存する保存手段と、保存手段により保存された著作データを販売する販売手段と、保存手段により保存された著作データについて、権限を有するユーザの情報を管理する管理手段と、を備え、管理手段は、販売手段により著作データの販売が行われたことに応じて、当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザの情報として、当該著作データの購入ユーザの情報を当該著作データに関連付けて管理する。
本発明の別態様の管理システムは、著作データを保存する保存手段と、保存手段により保存された著作データの各々に関連付けた非代替性トークンであって、当該著作データに関する関連情報を含む非代替性トークンを発行する発行手段と、保存手段により保存された著作データを販売する販売手段と、販売手段による著作データの販売が行われたことに応じて、当該著作データに対応する非代替性トークンを、当該著作データの購入ユーザの保有状態に変更する変更手段と、保存手段により保存された著作データについて、当該著作データに対応する非代替性トークンを保有するユーザの情報と当該非代替性トークンに含まれる関連情報とに基づいて、権限を有するユーザを特定する第1特定手段と、を備える管理システムであって、保存手段により保存される著作データは、第1著作データと、第1著作データに基づく新たな著作データである第2著作データとに分類され、関連情報は、当該関連情報を含む非代替性トークンが対応付けられた著作データが第1著作データと第2著作データのいずれであるかを少なくとも示し、第1特定手段は、販売手段による販売が行われた第1著作データについて、当該第1著作データに対応する非代替性トークンを保有状態にあるユーザを、当該第1著作データに基づく第2著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザとして特定し、管理システムは、第2著作データが保存手段により保存されることを条件として、当該第2著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザからの、当該第2著作データの譲渡権限の申請を受け付ける受付手段と、受付手段により第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、申請を行った申請ユーザに当該第2著作データの譲渡権限を与えるか否かを示す入力を受け付ける入力手段と、をさらに備え、申請ユーザに第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力が受け付けられたことに応じて、発行手段は、申請ユーザが当該第2著作データの譲渡権限を有するユーザであることを示す関連情報を含む非代替性トークンを、当該第2著作データに関連付けて発行し、変更手段は、当該第2著作データに対応する非代替性トークンを、申請ユーザの保有状態に変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、著作者の利益を担保しつつ、活発な2次創作活動を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態及び変形例に係る管理システムの構成を例示したブロック図
【
図2】本発明の実施形態に係るサーバ100で実行される販売処理を例示したフローチャート
【
図3】本発明の実施形態に係るサーバ100で実行される申請処理を例示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下に説明する一実施形態は、管理システムの一例としての、データベースシステムに保存される著作物及び二次的著作物のデータ(以下、著作データとして言及)について、ブロックチェーンシステムにより発行された非代替性トークン(Non-Fungible Token:NFT)を付して所有しているユーザを管理可能なサービスを提供するシステムに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、著作データについて権限を有するユーザの情報を管理することが可能な任意の機器に適用可能である。以下、本実施形態の管理システムにおいて提供されるサービスを、管理サービスとして言及する。
【0011】
《管理システムの構成》
図1は、本実施形態に係る管理システムの構成及びサーバ100のハードウェア構成を例示したブロック図である。
【0012】
図示されるように、ユーザに対して管理サービスを提供するサーバ100は、不図示のネットワークを介して、ユーザの使用するクライアント装置400、著作データを保存・管理するデータベースシステム200、著作データのそれぞれについての権限を保証するために用いられるブロックチェーンシステム300と通信接続可能に構成される。詳細は後述するが、本実施形態の管理システムでは、ユーザはブラウジングアプリケーションを利用してクライアント装置400所定のサービスサイトに通信接続させることにより、管理サービスを利用することができる。
【0013】
サーバ100は、管理サービスをユーザに提供する。サーバ100は、サービス提供に係る各種演算を行うが、その過程において必要に応じてDBシステム200及びブロックチェーンシステム300と共働する。
【0014】
データベースシステム200は、例えば受信した(アップロードされた)著作データを保存及び管理し、必要に応じて保存している著作データの送信やこれに関する情報を送信することが可能に構成された任意のデータベース(以下、DBとして言及)サービスを提供するシステムである。本実施形態ではDBシステム200の詳細な構成については割愛するが、DBの役割を分けて説明すべく、DBシステム200が商品DB201、編集DB202、申請DB203、所有DB204の4種類のDBを有しているものとして図示されている。
【0015】
ブロックチェーンシステム300は、DBシステム200のDBに保存された著作データについて、いずれのユーザに権限があるかを保証するために用いられる。本実施形態ではブロックチェーンシステム300に保存されている著作データのうちの、いずれかのユーザの所有状態とする著作データについて、ブロックチェーンシステム300においてNFTが発行され、所有者の情報が管理される。NFTは、ブロックチェーンシステム300において発行されて状態遷移が管理されるトークンであり、例えばERC-721やERC-1155で規格が規定される。ブロックチェーンシステム300は、管理システムに限らずNFTを流通可能であり、管理サービス固有の動作を行うものである必要はない。
【0016】
クライアント装置400は、例えばPCやスマートフォン等の各ユーザがサービス利用に使用する通信端末である。クライアント装置400は、ディスプレイ410が内蔵、またはディスプレイ410が着脱可能に接続されており、管理サービスの利用時において、サーバ100等から受信した情報に基づくサービス画面をユーザに提示する。またクライアント装置400は、マウスやキーボード等、ユーザによりなされた操作入力を検出する操作I/F420を備え、必要に応じて検出された操作入力に対応する情報をサーバ100に送信する。
【0017】
〈サーバのハードウェア構成〉
制御部101は、CPU等のプロセッサであり、サーバ100が備える各ハードウェアの動作制御を含む各種制御を行う。具体的には制御部101は、例えば記憶装置102に記憶されている必要なプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより該当の制御を行う。
【0018】
記憶装置102は、例えば不揮発性メモリ等の、恒久的な情報記憶が可能な装置である。記憶装置102は、サーバ100の動作に関するプログラムやサーバ100において実行される管理サービス提供用のプログラムに加え、各種制御の実現に必要となるパラメータの情報を記憶する。またメモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。メモリ103は、各プログラムの展開領域としてだけでなく、各種ハードウェアの動作や各種制御の過程で出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられるものであってよい。
【0019】
GPU104は、管理サービスに係るサービス画面を構成する画像情報を生成する描画装置である。本実施形態の管理サービスでは、著作データとして3次元モデルを取り扱うため、クライアント装置400の性能に依らず著作データを取り扱うことができるよう、サーバ100はGPU104を備える。GPU104は、不図示のGPUメモリを含み、記憶装置102やDBシステム200のDBから取得した各種グラフィックスデータをGPUメモリに展開し、所定の演算を行うことでサービス画面を構成する画像情報を生成する。GPU104により生成された画像情報は、クライアント装置400に伝送され、ディスプレイ410にサービス画面を表示するために用いられる。
【0020】
通信I/F105は、サーバ100が備える外部装置との通信インタフェースである。通信I/F105と外部装置との間の情報通信は、インターネット等の広域通信網(WAN)を介して行われるものであってもよいし、LAN等を介して行われるものであってもよい。通信I/F105が行う情報通信は、有線及び無線のいずれで行われるものであってもよい。
【0021】
《管理サービスの概要》
以下、
図1に示した管理システムにおいて提供される管理サービスについて、概要を説明する。
【0022】
本実施形態の管理サービスでは、コンテンツの提供者により提供された所定のコンテンツに関連するキャラクタやアイテム等の3次元モデルを著作データとして販売する。このような著作データは、DBシステム200の商品DB201にデータが保存されて管理されており、サーバ100は必要に応じて商品DB201からデータを取得してサービス画面を構成する。ユーザは、サービス画面を介して販売中の著作データを閲覧し、所望する著作データを購入することができる。購入後、ユーザは著作データについて、例えばその詳細を閲覧したり、アイコン画像を生成してSNSで利用したり、3次元モデルをダウンロードしてメタバース空間における自己のアバタとして利用する等、私的使用の範囲で利用することができる。
【0023】
ところで、コンテンツビジネスでは、新規顧客を獲得しつつ、顧客のコンテンツに対する関心を持続化させることが重要である。このような関心の持続化は、コンテンツの提供者(以下、権利者として言及)が新規のコンテンツを順次追加することだけでなく、ユーザ同士で形成されるようなコミュニティにおいて、コンテンツへの関心を高めるような交流や活動が行われることによっても支えられる。
【0024】
コンテンツへの関心を高めるユーザ活動の1つに二次創作活動がある。二次創作活動が活発に行われることで、コンテンツへのユーザの関心が高まり、コミュニティが拡大し、結果、コンテンツビジネスの長期的な増益がもたらされる。換言すれば、二次創作活動が活発である方が、多くの顧客を取り込んだり、顧客の関心を持続化させる機会が増大する。このような観点から二次創作活動を容認するコンテンツも少なくない。
【0025】
一方で、権利者のあずかり知らぬところで二次的著作物を譲渡可能としてしまうと、コンテンツの趣旨と異なる態様、即ち、オリジナルのコンテンツと同一性が保持されない内容の二次的著作物が頒布される可能性もあり、二次創作活動は必ずしも権利者の利益につながるものではない。故に、公式が提供したデータを加工する等してユーザが創作した二次的著作物の利用は、基本的には私的使用の範囲に留められていた。換言すれば、二次創作者は二次的著作物を創作したとしてもその譲渡権限を有しないため、当該二次的著作物を頒布することができない。結果、二次創作者の創作モチベーションが低下し、コミュニティを好適に活性化できない可能性があった。
【0026】
このような背景から本実施形態の管理サービスでは、二次創作を行うユーザに対して、権利者の著作物である著作データを購入することを条件として、当該著作データに基づいて生成した二次的著作物のデータについての譲渡権限の申請を行う権限を与える。以下の説明では、権利者により提供される(権利者の著作物である)著作データを「第1著作データ」、権利者とは異なる管理サービスのユーザ(二次創作者)が当該第1著作データを翻案して生成した(二次的著作物である)著作データを「第2著作データ」として言及し、峻別する。
【0027】
第1著作データを購入したユーザ(以下、購入ユーザとして言及する場合がある)は、当該第1著作データを所有している状態として管理される。詳細は後述するが、本実施形態の管理サービスでは、ユーザは第1著作データを購入するごとに、当該第1著作データを個別に所有している状態となる。即ち、ユーザが同一の第1著作データを3回購入した場合には、ユーザは当該第1著作データを3つ所有した状態となる。また管理サービスでは、複数のユーザが同一の第1著作データを所有した状態となり得る。このような所有状態を実現するために、DBシステム200では購入の都度、いずれの購入に基づいて所有状態となったかを識別可能な態様で所有DB204に該当の第1著作データが商品DB201から複製されて保存される。即ち、所有DB204には、3次元モデルが同一である第1著作データは複数保存され得るが、それらは独立して管理される。
【0028】
第1著作データは、あくまでも権利者が著作権を有するデータであり、購入により、ユーザは当該データを管理サービスにおいて所有し、私的使用の範囲で利用することができる。第1著作データを所有している状態において、購入ユーザは当該第1著作データの編集権限を有しており、当該第1著作データを編集することで二次創作を行うことができる。
【0029】
購入ユーザは、二次創作して生成した第2著作データについて申請を行って受理された場合には、当該第2著作データを頒布するための譲渡権限を得ることができる。第2著作データについての譲渡権限は、当該第2著作データの基になった第1著作データをユーザが所有できなくなることを条件として行われる。これは、購入した第1著作データに基づく二次創作を無制限に許可してしまうと、権利者側が管理できない第2著作データが頒布され得ることに依る。従って、ユーザは、第1著作データを所有した状態において当該第1著作データを編集して二次創作を行うことができるが、編集により得られた第2著作データについて譲渡権限が得られた際には、基となった第1著作データは利用できなくなる。即ち、ユーザへの第2著作データの譲渡権限の付与は、当該第2著作データの生成に用いられる第1著作データを毎回購入することを条件として認められる。つまり、ユーザへの第2著作データの譲渡権限の付与は、過去に譲渡権限が付与された第2著作データの生成に既に用いられた第1著作データを利用している場合には認められないよう制御される。
【0030】
〈編集・申請機能〉
以下、このようなユーザが購入した著作データの編集機能と、著作データを編集することにより生成された第2著作データについて譲渡権限の申請を行う機能について説明する。
【0031】
上述したように、本実施形態の管理サービスにおいてユーザの所有状態が管理される著作データは、権利者が提供する第1著作データと、第1著作データに基づいて新たに創作(二次創作)された第2著作データに分類される。著作データの編集機能は、ユーザが第2著作データを生成するために設けられた機能であり、第1著作データのみを編集対象として提供される機能である。二次的著作物に基づいて生成される作品(所謂三次的著作物)については、オリジナルのコンテンツ(原著作物)の趣旨に合致しない内容となったり、ユーザ間(二次創作者と三次創作者)の権利の調整が煩雑になったりし得るため、本実施形態の管理サービスでは第2著作データは編集対象から除外される。即ち、管理サービスにおいて譲渡権限が与えられ得る著作データは、第1著作データに基づいて生成された第2著作データに限定される。
【0032】
本実施形態の管理サービスは、2種類の編集方法でユーザが第1著作データを編集することが可能に構成される。
【0033】
本発明に係る第1編集方法としての1つ目の編集方法は、ユーザの所有状態にある第1著作データをクライアント装置400にダウンロードさせ、専用の編集用ソフトウェア(以下、編集ソフトとして言及)等を用いて第1著作データを加工して生成された3次元モデルを第2著作データとしてアップロードさせる方法である。ここで、専用の編集ソフトは、例えばモデリングツールやCAD等のクライアント装置400において動作する3次元モデルの編集ソフトを用いることができる。
【0034】
編集ソフトは、各々固有のデータ形式で3次元モデルを扱い得るため、DBシステム200において保存される第1著作データには、複数種類のデータ形式のデータが含まれるものとする。即ち、1つの第1著作データには、当該第1著作データが示す3次元モデルを異なるデータ形式のデータに変換して生成された複数種類のデータが含まれる。従って、ユーザは、第1著作データに含まれる複数種類のデータ形式のデータのうちの、自身の使用する編集ソフトに対応したデータをダウンロードすることで、クライアント装置400において第1著作データの編集を行うことができる。
【0035】
第2著作データの生成は、1つの第1著作データのみを編集するだけでなく、購入した複数の第1著作データを組み合わせたものを編集することによっても可能である。編集ソフトを用いて行う編集には、例えば第1著作データとして提供された3次元モデルの組み合わせや配色変更等に限らず、一部の部位の3次元モデルを変形/置換、あるいはオリジナルで考案したパーツの挿入等を含むことができる。ユーザは、その造形スキルに応じて、所望の外観や構造を有する第2著作データを第1著作データに基づいて生成することができる。
【0036】
また本発明に係る第2編集方法としての2つ目の編集方法は、ユーザの所有状態にある第1著作データをクライアント装置400にダウンロードさせることなく加工して第2著作データを出力する方法である。編集ソフトは、一般に高価であったり、使用に専門的な知識が必要であったりするため、必ずしもユーザのクライアント装置400に導入されているものではない。本実施形態の管理サービスはこのようなユーザであっても二次創作可能なよう、オンラインで完結する編集機能を提供する。より詳しくは、第2編集方法は、管理サービス利用に係りサーバ100に接続中のクライアント装置400に対して、ブラウザを介してそのユーザインタフェースが提供される。即ち、ユーザは、管理サービスを利用するためにブラウザを用いてサービスサイトにログインすることで、当該管理サービスサイトが提供する一機能として、所有している状態の第1著作データの第2編集方法での編集機能を利用することができる。つまり、第2編集方法に係る編集機能は、クライアント装置400がいずれであるかに依らず提供される。
【0037】
第2編集方法に係る編集機能の利用時、ユーザは、自身が所有している状態にある1種類以上の第1著作データを選択することで、当該第1著作データの3次元モデルを読み出して加工することができる。第1編集方法と同様に、ユーザは、1つの第1著作データのみを編集するだけでなく、購入した複数の第1著作データを組み合わせたものを編集することで第2著作データを生成することができる。第2編集方法における加工は、例えば主として第1著作データの組み合わせの変更(組み換え)、配色の変更を含むことができる。本実施形態ではサーバ100における負荷集中を避けるため、第2編集方法に係る編集機能には、3次元モデルの変形等の演算負荷が高い機能は提供されないものとする。このように第2編集方法に係る編集機能がユーザに提供されることで、本実施形態の管理サービスでは、第1著作データを購入したユーザであれば当該第1著作データに基づく二次創作を行うことができる。
【0038】
ユーザが購入した第1著作データは、当該データを所有している状態にある期間はいつでもその購入時の状態(デフォルトの状態)で入手可能なように所有DB204に保持され、所望の態様に編集できなかったとしてもユーザは再度デフォルトの状態から編集を開始することができる。このため、例えば第2編集方法で編集中の著作データは、所有DB204ではなく別の編集DB202に保存され、ユーザの任意のタイミングで編集に復帰可能に構成される。本実施形態では編集中の著作データを、DBシステム200の編集DB202を用いて管理するものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。編集中の著作データは、例えばその状態を示す情報をクライアント装置400に保存され、当該情報を用いて再編集可能に構成されるものであってもよい。また編集DB202を利用した編集中の著作データの保存は、第2編集方法の使用時に限定されるものではなく、第1編集方法の使用時に行われるものであってもよいことは言うまでもない。
【0039】
またユーザは、第1著作データを編集して生成した第2著作データについて、所望のタイミングで譲渡権限の申請を行うことができる。ここで、譲渡権限の申請は、対象となる第2著作データがDBシステム200に保存されていることを条件として受け付け可能なよう構成される。本実施形態の管理システムでは、編集中の著作データと申請対象の第2著作データとを個別に管理する態様とすべく、ユーザは譲渡権限の申請を行う際には、これに先立って明示的に第2著作データを申請DB203に保存させる手続きを行うものとする。例えば、ユーザは第2編集方法で編集中の第2著作データについて譲渡権限の申請を行いたい場合、編集機能を提供する管理サービス画面において当該第2著作データを申請用に保存するメニューを選択することで、当該第2著作データを編集DB202から複製して申請DB203に保存させることができる。また例えば、ユーザは第1編集方法で編集中の第2著作データについて譲渡権限の申請を行いたい場合、ユーザは管理サービス画面において申請用の第2著作データをアップロードするメニューを選択して該当の第2著作データのファイルを指定して送信することで、当該第2著作データを申請DB203に保存させることができる。
【0040】
本実施形態の管理サービスでは、第2著作データの生成の基になった第1著作データを、当該第2著作データについての譲渡権限の申請を行ったユーザ(以下、申請ユーザとして言及する場合がある)が所有しない状態になることを条件として第2著作データの譲渡権限を与える。このため、第2著作データの譲渡権限の申請が行われる際には、申請ユーザが所有している状態の第1著作データのうちから、当該第2著作データの生成に用いられた第1著作データを特定する処理(特定処理)が行われる。
【0041】
上述したように第2著作データは2種類の編集方法で生成され得るため、特定処理の内容はその編集方法に応じて変化する。サーバ100が提供する編集機能を利用する第2編集方法で第2著作データが生成される場合、その編集履歴の情報はサーバ100において管理することができる。このため、特定処理では、譲渡権限が申請された第2著作データの編集履歴の情報に基づいて、当該第2著作データの生成に用いられた第1著作データが特定される。
【0042】
一方で、第1編集方法で第2著作データが生成される場合は、その編集履歴の情報はサーバ100が管理できる状態ではない。このため本実施形態の管理サービスでは、第1編集方法で生成された第2著作データについて譲渡権限の申請を受け付ける際には、その第2著作データに利用した第1著作データを申請ユーザに申告させる。より詳しくは、第1編集方法で生成した第2著作データが譲渡権限の申請用にアップロードされた場合、あるいは、第1編集方法で生成した第2著作データについて譲渡権限の申請を行う機能が選択された場合、所有している状態の第1著作データのうちから申請対象の第2著作データの生成に利用した第1著作データを申請ユーザに選択させるユーザインタフェースが、管理サービス画面を介して申請ユーザに提示される。従って、特定処理は、申請ユーザにより選択された第1著作データの情報に基づいて、第2著作データの生成に用いられた第1著作データが特定される。
【0043】
申請DB203に保存された第2著作データについて譲渡権限の申請がなされると、当該第2著作データについて譲渡権限を与えるか否かの判定が行われる。本実施形態の管理サービスでは当該判定はコンテンツの提供側の担当者により行われ、その判定結果の情報がサーバ100に入力される。具体的には、サーバ100は申請がなされたことに応じて例えば担当者の管理サービスアカウントに対してその旨を示す通知を行う。担当者は、申請がなされた第2著作データを管理サービス画面を介して閲覧することができ、例えば利用された第1著作データの情報と第2著作データの構造等に基づいて判定を行う。当該判定には、コンテンツの趣旨を歪曲する表現が含まれていないか、公序良俗に反する表現が含まれていないか等の、所謂二次創作として満たすべき項目の判定も含まれる。
【0044】
担当者により判定結果の情報が入力されると、サーバ100では当該判定結果に基づいて申請された第2著作データについて申請ユーザに譲渡権限を与える処理(申請を受理する処理)、あるいは譲渡権限を与えず申請を却下する処理が行われる。即ち、判定結果が譲渡権限を与えることを示す場合には前者の処理が行われ、与えないことを示す場合には後者の処理が行われる。
【0045】
申請を受理する処理は、該当の第2著作データを申請DB203から所有DB204に移動し、申請ユーザが所有DB204に保存された当該第2著作データを所有している状態であるものとして管理する処理を含む。その後に第2著作データが譲渡されるユーザの利便性を考慮し、所有DB204に保存される第2著作データには、販売される第1著作データと同様の複数種類のデータ形式のデータが含められるものとする。このため、第1編集方法で一部のデータ形式の第1著作データのみを編集して生成された第2著作データが申請DB203に保存されている場合に、申請を受理する処理は、当該第2著作データに基づいて不足している種類のデータ形式のデータを生成して1つの著作データとして所有しているユーザの情報に保存する処理を含む。
【0046】
また申請を受理する処理は、所有DB204に保存された第2著作データの基になった第1著作データについて、申請ユーザの所有状態を解除する処理を含む。当該解除する処理は、特定処理によって特定された、それまで申請ユーザが所有している状態であった第1著作データを、当該第1著作データに基づく第2著作データが所有DB204に保存され、申請ユーザに譲渡権限が与えられたことを条件として、申請ユーザが再利用できない状態にする。即ち、申請ユーザは、第2著作データの譲渡権限を得たことで、それまで所有DB204に保存されていた該当の第1著作データにアクセスすることができなくなり、当該第1著作データの編集権限及び当該第1著作データに基づく他の第2著作データについての譲渡権限を申請する権限を失う。また解除する処理は、所有DB204から該当の第1著作データを削除する処理を含んでもよい。
【0047】
なお、本実施形態の管理サービスでは第2編集方法に係る編集機能は、利用する第1著作データの組み合わせや配色の変更等の限定的な機能のみを提供するよう構成されるため、担当者による判定結果の入力を要件とせずに申請を受理する処理が行われるものとする。即ち、第2編集方法に係る編集機能として担当者による判定が必要になり得る加工を施す機能が提供されなければ、生成される第2著作データは当然判定が必要な表現を含み得ない。故に、第2編集方法で生成された第2著作データについて譲渡権限の申請がなされた場合には、担当者による判定結果の情報の入力を受け付けることなく、当該第2著作データについて申請を受理する処理が実行される。
【0048】
〈権限の管理〉
続いて、本実施形態の管理システムにおける、所有DB204に保存されている著作データについてのユーザの各種権限を管理する方法を説明する。
【0049】
本実施形態では、所有DB204に保存されている著作データに対してブロックチェーンシステム300にてNFTを発行(Mint)して関連付けることで、著作データの状態や種々の権限を含んだ各種情報を管理する。NFTは、ブロックチェーン技術、広義には分散型管理台帳技術を用いて、複数の機器によりその状態遷移の履歴を管理する技術である。詳細については割愛するが、このように複数の機器によって情報が分散的に管理されることから、各NFTの状態を常に正しく保ち、その状態を客観的に保証することができる。
【0050】
本実施形態の管理システムにおいて、ユーザが著作データを所有している状態を実現するために、ユーザはブロックチェーンシステム300が提供するサービスにおいて自身のウォレットを開設する必要がある。ウォレットは、ユーザごとに設けられる口座のような役割を有し、所有している仮想通貨や保有しているNFTを管理する。従って、所有DB204に保存されている1つの著作データに対してNFTを発行し、当該NFTがユーザのウォレットに保有されている状態であるとの情報が管理されることで、当該ユーザが、当該NFTに対応付けられた1つの著作データを所有している状態であるとして管理することができる。換言すれば、ユーザが著作データを所有している状態とは、当該著作データについて発行されたNFTが、当該ユーザに紐づけられたウォレットに保有されることでシステム的に実現される。
【0051】
ブロックチェーンシステム300は、所有DB204に保存されている著作データに対してNFTを発行して特定のユーザに保有させる旨の指示を例えばDBシステム200から受けると、新たなNFTを発行して、当該NFTに著作データを紐付け、当該特定のユーザのウォレットに関連付ける。NFTの発行は、いずれかのユーザの所有状態とする著作データが所有DB204に保存されることに応じて行われる。つまり、本実施形態の管理システムではユーザにより第1著作データが購入された際と、第2著作データについて譲渡権限を与えるとの判定がなされた際にNFTが発行される。
【0052】
ブロックチェーンシステム300では、所有DB204に保存される著作データについてのNFTのコントラクトが複数の機器に分散して管理される。当該コントラクトにおいて、新たに発行したNFTを一意に特定するトークン番号(識別情報)に関連付けて、所有者の情報として特定のユーザのウォレットのアドレス情報が格納されることで、客観的にNFTの所有者を特定することが可能となる。この他、NFTのコントラクトには、紐づけられた著作データを保存する所有DB204のURLの情報が格納される。
【0053】
またNFTのそれぞれには著作データ固有の情報を記述したメタデータがコントラクトとは別に管理される。メタデータには、所有DB204における該当の著作データのパスを示す情報の他、著作データの名称、説明等を含めることができる。即ち、NFTのコントラクトで示される所有DB204のURLの情報と、所有DB204におけるパスを示す情報とを組み合わせることで、著作データにアクセスするための絶対的なURLを導くことができる。本実施形態の管理システムでは、NFTのメタデータには、著作データの権利者(原著作者)、作成者(著作データを生成した者)の情報が含まれるものとする。NFTのメタデータにおいて権利者の情報と作成者の情報が同一のユーザを指す場合には、当該NFTに対応する著作データが第1著作データ(権利者の著作物)であることを示し、異なるユーザを示す場合には、当該NFTに対応する著作データが第2著作データ(ユーザによる二次的著作物)であることを判別することができる。ここで、NFTのメタデータは、ブロックチェーンシステム300にて管理されるコントラクトに基づいて格納場所を特定可能な情報であるが、ブロックチェーンシステム300にて管理されるものである必要はない。メタデータは、例えば不図示のデータベースにて管理されるものであってよい。
【0054】
従って、本実施形態の管理システムでは、第1著作データについてNFTを発行して購入ユーザのウォレットに保有させることで、購入ユーザが当該第1著作データを所有していることをシステム的に管理する。また当該第1著作データは権利者の著作物であることから、購入ユーザに、当該第1著作データについて編集権限と当該第1著作データに基づく新たな著作データについて譲渡権限の申請を行う権限が与えられていることが示される。
【0055】
また第2著作データについてNFTを発行して申請ユーザのウォレットに保存させることで、当該第2著作データの譲渡権限が申請ユーザ(メタデータに作成者として示されるユーザ)に与えられたこと、及び申請ユーザが当該第2著作データを所有していることをシステム的に管理する。また当該第2著作データは二次的著作物であることから、申請ユーザを含む、その後に当該第2著作データを所有するユーザのいずれにも、当該第2著作データを基に生成した新たな著作データについての譲渡権限の申請を行う権限が与えられていないことが示される。
【0056】
換言すれば、所有DB204に保存された著作データのうちの第1著作データは、権利者と作成者が同一であるメタデータのNFTが関連付けられることで第1著作データとして特定され、また当該NFTを保有するウォレットにより所有しているユーザ(購入ユーザ)が特定される。また著作データが第1著作データであることから、ユーザに当該著作データの編集権限と、当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限が与えられていることが、NFTによって示される。対して、所有DB204に保存された著作データのうちの第2著作データは、権利者と作成者が異なるメタデータのNFTが関連付けられることで第2著作データとして特定され、またメタデータの作成者により特定されるユーザが譲渡権限を有するユーザ(申請ユーザ)として特定される。即ち、第2著作データについて申請ユーザの情報を作成者としてメタデータに含むNFTが発行されたことにより、当該第2著作データについて権利者から申請ユーザに譲渡権限が与えられたことが示される。また著作データが第2著作データであることから、ユーザに当該著作データの編集権限が与えられておらず、また当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限が与えられていないことが、NFTによって示される。なお、第2著作データは、譲渡権限が与えられたタイミングでは、関連付けられたNFTを保有するウォレットにより所有しているユーザ(申請ユーザ)が特定されるが、その後の譲渡により所有しているユーザは変わり得る。
【0057】
従って、サーバ100は、ブロックチェーンシステム300へのNFTの発行要求をDBシステム200に行わせる際に、対象の著作データの原著作者及び作成者の情報と当該著作データを所有するユーザの情報を含んだ関連情報を送信する。そしてDBシステム200は、当該関連情報と対象の著作データの所有DB204におけるパスの情報とを含めた発行要求をブロックチェーンシステム300に送出する。ブロックチェーンシステム300は、発行要求を受信すると新たなNFTを発行するとともに当該NFTのメタデータを関連情報に基づいて生成し、またコントラクトに当該NFTを保有するウォレットのアドレスを格納する。
【0058】
なお、本実施形態ではNFTのメタデータを用いて、関連付けられた著作データが第1著作データであるか第2著作データであるかを識別可能にする態様を説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。所有DB204に保存されている著作データが第1著作データと第2著作データのいずれかであるかは、DBシステム200やサーバ100において別途管理されるものであってもよい。
【0059】
また第2著作データに係る新たなNFTの発行が決定した場合には、当該第2著作データの基となった第1著作データに係るNFTを削除(burn)する処理も行われる。このため、サーバ100は、特定処理により特定した基となった第1著作データを示す情報をDBシステム200に伝送し、DBシステム200は当該情報に基づいてブロックチェーンシステム300に該当のNFTの削除要求を送信する。ブロックチェーンシステム300では、NFTの削除要求を受信すると、コントラクトから該当のトークン番号について格納されている(申請ユーザの)ウォレットのアドレスが削除される。また該当のNFTを無効にする(削除する)処理も行われる。これにより、基となった第1著作データについてはNFTがユーザのウォレットに保有されていない状態となるため、クライアント装置400においてウォレットを介してメタデータを取得したり、所有DB204に保存された該当の第1著作データにアクセスしたりすることができない状態となる。また申請ユーザのウォレットは当該第1著作データに係るNFTを保有していない状態となるため、申請ユーザが同一の第1著作データを利用した新たな第2著作データについて譲渡権限を申請しようとしたとしても、当該申請は却下される。なお、削除されたNFTに関連付けて所有DB204に保存されていた第1著作データについては、DBシステム200がその後所有DB204から削除すればよい。
【0060】
このように、本実施形態の管理システムによれば、ユーザが生成した二次的著作物について、権利者により譲渡権限が与えられたことがNFTを用いて管理可能となる。譲渡権限が与えられて新たなNFTが付与された第2著作データは、サーバ100が関与しなくてもよい他の管理サービスを介して流通させることが可能になる。またNFTを発行したことでブロックチェーン技術を用いてその状態遷移を管理することができるため、権利者は個人間取引等で行われる二次的著作物の流通を追跡することができる。当該仕組みを利用することで、二次創作者が第三者に第2著作データを販売する場合や、第三者がさらに他者に第2著作データを販売する場合に、権利者や二次創作者がロイヤリティ収入を得られるように管理することができる。結果、本実施形態の管理システムにより二次的著作物の流通を権利者の適切な管理の下で活性化させることができ、ユーザのコンテンツへの関心を持続化させ、ひいてはコンテンツビジネスの長期的な増益につなげることができる。
【0061】
〈公開機能〉
また本実施形態の管理サービスは、NFTが発行された第2著作データを管理サービスの利用者に公開する機能(公開機能)も有する。公開機能は、例えば、新着のデータ(新規にNFTが発行された第2著作データ)を公開するものや、ユーザ評価の多寡に応じたランキングを公開するもの等、複数のユーザに関連付けられた第2著作データの情報を公開する機能や、特定のユーザに関連付けられた第2著作データの情報を公開する機能を含む。
【0062】
後者の公開機能では、特定のユーザが二次創作した第2著作データの情報を公開することができる。特定のユーザに関連付けられた第2著作データの情報の公開は、当該ユーザに譲渡権限が与えられた第2著作データの一覧を公開することにより行われてよい。当該一覧にて公開される第2著作データは、該当のユーザに譲渡権限が与えられ、その後に譲渡されて他のユーザの所有状態となった第2著作データが含まれるものであってよい。当該公開機能により、ユーザがこれまでに二次創作した第2著作データが閲覧可能となり、例えば二次創作者に関心を持ったユーザを第2著作データの購入に誘導することができる。
【0063】
《販売処理》
以下、本実施形態のサーバ100において第1著作データの販売に係り実行される販売処理について、
図2のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶装置102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本販売処理は、例えば第1著作データについての購入要求をクライアント装置400から受信した際に開始されるものとして説明する。
【0064】
S201で、制御部101は、受信した購入要求に基づいて、ユーザ(希望ユーザ)が購入希望の第1著作データ(対象データ)を特定する。
【0065】
S202で、制御部101は、対象データを特定する情報を含んだ保存要求をDBシステム200に送信し、対象データを新たに所有DB204に保存させる。DBシステム200では、当該保存要求を受けて、商品DB201に保存されている対象データを複製して所有DB204に保存する処理が行われる。
【0066】
S203で、制御部101は、S202においてDBシステム200に保存させた対象データについてのNFTを発行させるための情報(発行指示情報)をDBシステム200に送信する。当該発行指示情報は、例えば、原著作者及び作成者が権利者であることを示す情報と、希望ユーザの識別情報とを含む。また発行指示情報は、対象データの販売価格の情報を含む。DBシステム200は、当該発行指示情報を受信すると、S202において所有DB204に保存した対象データのパスの情報と共に、ブロックチェーンシステム300にNFTの発行要求を行う。ブロックチェーンシステム300では、当該発行要求に応じて対象データに対応するNFTを発行する処理、及び発行したNFTを希望ユーザの保有状態にする処理を行う。これらの処理は、希望ユーザのウォレットに、対象データの販売価格(+諸手数料)分の仮想通貨があることを条件に行われる。NFTを発行する処理は、該当のコントラクトに新たに発行したNFTに係るトークン番号を追加する処理、及び当該NFTのメタデータを構成して格納する処理を含む。またNFTを希望ユーザの保有状態する処理では、発行したNFTのトークン番号に希望ユーザのウォレットのアドレス情報を関連付けてコントラクトを更新する処理が含まれる。本ステップの処理により管理システムでは、希望ユーザが対象データを所有している状態として管理され、また同時に、対象データの編集権限と当該対象データに基づく新たな著作データの譲渡権限を申請する権限が希望ユーザに与えられた状態を実現できる。
【0067】
《申請処理》
また本実施形態のサーバ100において第2著作データの譲渡権限の申請に係り実行される申請処理について、
図3のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶装置102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本申請処理は、例えば第2著作データの譲渡権限の申請要求をクライアント装置400から受信した際に開始されるものとして説明する。
【0068】
S301で、制御部101は、受信した申請要求に基づいて、申請DB203に保存されている申請対象の第2著作データ(対象創作データ)を特定する。
【0069】
S302で、制御部101は、申請ユーザによる操作入力に基づいて対象創作データの外観を示す情報を生成する。
【0070】
S303で、制御部101は、申請ユーザが所有している状態の第1著作データを特定する。本ステップの処理は、例えば、申請ユーザのウォレットのアドレス情報が関連付けられているNFTのメタデータをブロックチェーンシステム300から取得し、このうちの原著作者と作成者が権利者である情報を抽出することにより実現される。
【0071】
S304で、制御部101は、S303において特定した第1著作データのうちから対象創作データの生成に利用した第1著作データについて、申請ユーザの選択を受け付ける。本ステップの処理は、申請ユーザが所有している状態の第1著作データの情報を含むサービス画面を申請ユーザのクライアント装置400に提示させ、申請ユーザが選択した第1著作データの情報を受信する処理を含む。制御部101は、申請ユーザが選択した第1著作データの情報を受信すると、処理をS305に移す。
【0072】
S305で、制御部101は、対象創作データの生成が第1編集方法と第2編集方法のいずれでなされたかを判断する。制御部101は、対象創作データの生成が第1編集方法でなされたと判断した場合は処理をS306に移し、第2編集方法でなされたと判断した場合は処理をS308に移す。
【0073】
S306で、制御部101は、担当者のサービスアカウントについて譲渡権限の申請がなされたことを示す通知を登録し、対象創作データに譲渡権限を与えるか否かの判定依頼を行う。本申請処理は、対象創作データについての担当者による判定結果が入力されるまで進行が止められる。制御部101は、対象創作データに係る判定結果の入力がなされると処理をS307に移す。
【0074】
S307で、制御部101は、対象創作データについて入力された判定結果が譲渡権限を与えることを示す内容と与えないことを示す内容のいずれであるかを判断する。制御部101は、判定結果が譲渡権限を与えることを示す内容である場合には処理をS308に移し、与えないことを示す内容である場合には処理をS311に移す。
【0075】
S308で、制御部101は、対象創作データを特定する情報を含んだ保存要求をDBシステム200に送信し、対象創作データを新たに所有DB204に保存させる。DBシステム200では、当該保存要求を受けて、申請DB203に保存されている対象創作データを所有DB204に移動して保存する処理が行われる。
【0076】
S309で、制御部101は、S308においてDBシステム200に保存させた対象創作データについてのNFTを発行させるための発行指示情報をDBシステム200に送信する。当該発行指示情報は、例えば、原作者が権利者であることと作成者が申請ユーザであることを示す情報と、申請ユーザの識別情報とを含む。DBシステム200は、当該発行指示情報を受信すると、S308において所有DB204に保存した対象創作データのパスの情報と共に、ブロックチェーンシステム300にNFTの発行要求を行う。ブロックチェーンシステム300では、当該発行要求に応じて対象創作データに対応するNFTを発行する処理、及び発行したNFTを申請ユーザの保有状態にする処理を行う。本ステップの処理により管理システムでは、申請ユーザが対象創作データを所有している状態として管理され、また同時に、対象創作データについて申請ユーザに譲渡権限が与えられた状態を実現できる。
【0077】
S310で、制御部101は、S304において特定した対象創作データの生成に利用した第1著作データについてのNFTを削除させるための削除情報をDBシステム200に送信する。当該削除情報は、当該利用した第1著作データのNFTのトークン番号を含むことができる。DBシステム200は、当該削除情報を受信すると、当該削除情報に基づいてブロックチェーンシステム300にNFTの削除要求を行う。ブロックチェーンシステム300では、当該削除要求に応じて該当のNFTを削除する処理を行う。本ステップの処理により管理システムでは、対象創作データの生成に利用された第1著作データを申請ユーザが所有していない状態として管理される。
【0078】
一方、S307において判定結果が譲渡権限を与えないことを示す内容である場合、制御部101はS311で、申請を却下する処理を行う。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の管理システムによれば、著作者の利益を担保しつつ、活発な2次創作活動を促進することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、申請ユーザがいずれの編集方法を用いて第2著作データを生成した場合であっても、譲渡権限の申請時に当該第2著作データを申請DB203に保存し、その後譲渡権限が与えられたことに応じて所有DB204に移動するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。上述したように、第2著作データが第2編集方法で生成された場合には、権利者側の担当者による判定結果の入力を要件とせずに譲渡権限が与えられて新たなNFTが発行されるため、第2著作データは申請DB203への保存を介さずに直接所有DB204に保存されるよう構成されてもよい。
【0081】
[変形例1]
上述した実施形態では、第1著作データに基づく新たな著作データ(第2著作データ)は、第1著作データを編集することにより生成された二次的著作物であるものとして説明したが、第2著作データは二次的著作物に該当するものに限られるものではない。即ち、第2著作データは、原著作物(第1著作データ)に基づき新たな思想または感情を創作的に表現したものとして認められることを要件とするものである必要はなく、第1著作データに基づいて生成された著作データであればいずれであってもよい。
【0082】
また上述した実施形態では、特に第1編集方法で第2著作データを生成する態様において、二次創作者が購入した第1著作データそのもの(3次元モデル)を加工して第2著作データを生成するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。二次創作者による第1著作データの購入は、当該第1著作データに基づく第2著作データについて譲渡権限の申請を行う際の条件として設定されるものであり、申請の時点では二次創作者は対応する第1著作データを所有している状態であれば足りる。第1著作データは、商品DB201及び所有DB204について上述したように、同一内容の3次元モデルを示すデータをユーザが複数所有している状態が生じ得る。故に、二次創作者が二次創作の都度、同一内容の3次元モデルをダウンロードして加工する手間を省くべく、編集時は過去に購入してクライアント装置400にダウンロードした第1著作データを利用し、譲渡権限の申請に先立って申請対象の第2著作データに対応する第1著作データ(過去に購入してダウンロードした第1著作データと同一内容のもの)を新たに購入して、基にした第1著作データとして申告する態様でも、本発明は実施可能である。
【0083】
[変形例2]
上述した実施形態では、特に第1編集方法で生成された第2著作データについての譲渡権限の申請時に、当該第2著作データの生成に利用した第1著作データを申請ユーザに申告させるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。申請ユーザに自己申告させる手法では漏れが生じ得るため、例えば申請DB203に保存された申請対象の第2著作データの3次元モデルを解析し、これに用いられた第1著作データを特定する処理が行われてもよい。なお、このような解析処理が行われる態様では、当該解析処理により特定された第1著作データの全てを申請ユーザが所有していることも譲渡権限を与えるために必要となる。従って、特定された第1著作データの全てが申請ユーザの所有状態にない場合には、担当者の管理サービスアカウントに対して申請を知らせる通知を行うことなく、申請を却下する処理が実行されてもよい。
【0084】
また、特に第2編集方法では第1著作データの組み合わせや配色を決定することで第2著作データが生成されるため、過去にいずれかのユーザに譲渡権限を与えた著作データと同一の構成の第2著作データが生成され得る。NFTを発行して著作データの唯一性を保証し、二次創作者の利益を担保するとの観点では、同一内容の第2著作データに他のユーザに譲渡権限を申請する権限を与えることが好ましくないこともある。従って、申請DB203に保存された申請対象の第2著作データの3次元モデルを解析し、過去にNFTが発行された3次元モデル(第2著作データ)と同一内容であるか否かを判別する処理が行われてもよい。このような判別する処理が行われる態様では、当該処理により過去にNFTが発行された3次元モデルと同一内容であると判別された場合には、同様に担当者の管理サービスアカウントに対して申請を知らせる通知を行うことなく、申請を却下する処理が実行されてもよい。
【0085】
[変形例3]
上述した実施形態では、NFTを発行することにより著作データについて権限を有するユーザを管理する態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、DBシステム200に保存された著作データについて、いずれのユーザに所有させた状態としているか、いずれのユーザに編集権限を与えているか、当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限を申請する権限をいずれのユーザに与えているかの情報は、種々のデータベースを用いてブロックチェーン技術を用いずに管理されるものとしてもよい。この場合、例えば各著作データに対し、該当のユーザを一意に特定可能な情報を関連付けることにより、権限を有するユーザの情報を管理することができる。
【0086】
[変形例4]
上述した実施形態では、サーバ100、DBシステム200及びブロックチェーンシステム300で構成された管理システムにより本発明を実現する態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、管理システムの各構成を統合した機器において、本発明に係るプログラムを実行することで、上述した情報処理やデータ管理を行うものとしてもよい。
【0087】
[実施形態のまとめ]
上記実施形態は以下の管理システム及びプログラムを少なくとも開示する。
【0088】
(1) 著作データを保存する保存手段と、
前記保存手段により保存された著作データを販売する販売手段と、
前記保存手段により保存された著作データについて、権限を有するユーザの情報を管理する管理手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記販売手段により著作データの販売が行われたことに応じて、当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザの情報として、当該著作データの購入ユーザの情報を当該著作データに関連付けて管理する管理システム。
【0089】
(2) 前記保存手段により保存される著作データは、第1著作データと第2著作データとに分類され、
前記管理手段は、前記販売された著作データが前記第1著作データであることを条件として、前記新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザの情報として、前記購入ユーザの情報を前記販売された著作データに関連付けて管理する、(1)に記載の管理システム。
【0090】
(3) 前記新たな著作データは、前記第2著作データである(2)に記載の管理システム。
【0091】
(4) 前記第1著作データは、著作物であり、
前記第2著作データは、前記第1著作データに基づいて生成された二次的著作物である(3)に記載の管理システム。
【0092】
(5) 前記第2著作データが前記保存手段により保存されることを条件として、当該第2著作データの譲渡権限の申請を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、申請を行った申請ユーザに当該第2著作データの譲渡権限を与えるか否かを示す入力を受け付ける入力手段と、
をさらに備え、
前記管理手段は、前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力が受け付けられたことに応じて、当該第2著作データの譲渡権限を有するユーザの情報として前記申請ユーザの情報を当該第2著作データに関連付けて管理する、(3)に記載の管理システム。
【0093】
(6) 前記管理手段は、前記保存手段により保存された著作データについて、所有しているユーザの情報を関連付けて管理し、
前記管理システムは、前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、当該第2著作データの基になった前記第1著作データを特定する特定手段をさらに備え、
前記管理手段は、前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力が受け付けられたことに応じて、当該第2著作データについて前記特定手段により特定された前記第1著作データについて、所有しているユーザの情報の関連付けを解除する、(5)に記載の管理システム。
【0094】
(7) 前記管理手段は、前記特定手段により特定された前記第1著作データを所有しているユーザが前記申請ユーザであることを条件として、前記第2著作データの譲渡権限を有するユーザの情報として前記申請ユーザの情報を当該第2著作データに関連付けて管理する(6)に記載の管理システム。
【0095】
(8) 前記第2著作データの譲渡権限の申請が受け付けられたことに応じて、前記申請ユーザが所有している前記第1著作データのうちから、当該第2著作データの基になった前記第1著作データの指定を受け付ける手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記指定された前記第1著作データを前記第2著作データの基になった前記第1著作データとして特定する、(6)に記載の管理システム。
【0096】
(9) 前記管理手段は、前記販売手段により前記第1著作データの販売が行われたことに応じて、当該第1著作データの編集権限を有するユーザの情報として、前記購入ユーザの情報を当該第1著作データに関連付けて管理し、
前記保存手段は、前記購入ユーザが前記第1著作データを編集することにより生成された前記第2著作データを保存する、(5)に記載の管理システム。
【0097】
(10) 前記第1著作データの編集方法には、当該第1著作データをダウンロードして編集する第1編集方法が含まれ、
前記入力手段は、前記保存手段により前記第1編集方法で編集して生成された前記第2著作データが保存されたことを条件として、当該第2著作データの譲渡権限を与えるか否かを示す入力を受け付ける、(9)に記載の管理システム。
【0098】
(11) 前記第1著作データは、複数種類のデータ形式のデータを含み、
前記保存手段は、1つの前記第2著作データとして前記複数種類のデータ形式のデータを保存する、(10)に記載の管理システム。
【0099】
(12) 前記第1編集方法は、前記第1著作データのうちの少なくとも1種類のデータ形式のデータをダウンロードして編集するものであり、
前記管理システムは、前記第1編集方法で編集して生成された前記第2著作データが保存されたことに応じて、当該第2著作データに基づいて不足している種類のデータ形式のデータを生成して前記保存手段に保存させる手段をさらに備える、(11)に記載の管理システム。
【0100】
(13) 前記第1著作データの編集方法には、当該第1著作データをダウンロードせずに編集する第2編集方法が含まれ、
前記管理手段は、前記第2編集方法で編集して生成された前記第2著作データの譲渡権限が申請されたことに応じて、前記申請ユーザに当該第2著作データの譲渡権限を与えることを示す入力を受け付けることなく、当該第2著作データの譲渡権限を有するユーザの情報として前記申請ユーザの情報を当該第2著作データに関連付けて管理する、(9)に記載の管理システム。
【0101】
(14) ユーザごとに、当該ユーザに関連付けられた著作データの情報を公開する公開手段をさらに備え、
前記公開手段は、各ユーザについて、当該ユーザが譲渡権限を申請した前記第2著作データであって、他のユーザが所有している前記第2著作データの情報を公開可能である、(6)に記載の管理システム。
【0102】
(15) 前記公開手段により公開される著作データの情報は、当該著作データの外観を示す画像を含む(14)に記載の管理システム。
【0103】
(16) 前記第2著作データは、当該第2著作データの外観を示す画像を含む(15)に記載の管理システム。
【0104】
(17) 前記保存手段により保存された著作データの各々に関連付けた非代替性トークンを発行する発行手段をさらに備え、
前記管理手段は、著作データについて、当該著作データに関連付けられた前記非代替性トークンをユーザの保有状態とすることで、当該著作データを所有しているユーザの情報を管理する、(6)に記載の管理システム。
【0105】
(18) 前記管理手段は、前記申請ユーザに前記第2著作データの譲渡権限を与えると判断されたことに応じて、当該第2著作データについて前記特定手段により特定された前記第1著作データに関連付けられた前記非代替性トークンを削除する、(17)に記載の管理システム。
【0106】
(19) 前記発行手段により発行された前記非代替性トークンは、分散型管理台帳にて状態遷移の履歴が管理される(17)に記載の管理システム。
【0107】
(20) コンピュータを、(1)乃至(19)のいずれか1つに記載の管理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【0108】
[その他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
100:サーバ、101:制御部、102:記憶装置、103:メモリ、104:GPU、105:通信I/F、200:DBシステム、201:商品DB、202:編集DB、203:申請DB、204:所有DB、300:ブロックチェーンシステム、400:クライアント装置、410:ディスプレイ、420:操作I/F
【要約】
【課題】著作者の利益を担保しつつ、活発な2次創作活動を促進する。
【解決手段】管理システムは、著作データを保存する保存手段と、保存手段により保存された著作データを販売する販売手段と、保存手段により保存された著作データについて、権限を有するユーザの情報を管理する管理手段と、を備え、管理手段は、販売手段により著作データの販売が行われたことに応じて、当該著作データに基づく新たな著作データの譲渡権限の申請を行う権限を有するユーザの情報として、当該著作データの購入ユーザの情報を当該著作データに関連付けて管理する。
【選択図】
図1