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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】風力推進システム及びそれを備えた船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/02 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
B63H9/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023511657
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 KR2021017094
(87)【国際公開番号】W WO2022114684
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161287
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097912
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097936
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097966
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097993
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0098006
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520387760
【氏名又は名称】ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ ソン チェ
(72)【発明者】
【氏名】パク ユン キ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538734(JP,A)
【文献】特表2016-534942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 9/02
B63H 9/00
B63B 73/20
F03D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲板に垂直に設けられる固定子と、
上記固定子の外側を覆うように円柱状に設けられる回転子と、
上記回転子に連結されるディスクを介して上記回転子に回転動力を伝達する駆動部と、
上記回転子の下部に設けられて上記回転子の横方向の運動を抑える下部ベアリング部と、を含み、
上記駆動部は、
モータによって回転する駆動軸と、上記駆動軸に設けられる駆動ギヤと、上記駆動ギヤと噛み合って回る被動ギヤと、上記被動ギヤと結合されて上記被動ギヤの回転を支持する第1被動軸と、が内蔵され、上記固定子の内側に設けられるギヤボックスと、
カップリング部材によって上記第1被動軸と連結されて上記ディスクに回転力を伝達する第2被動軸を支えるベアリングハウジングと、を含み、
上記回転子は、
上端に内側に一定の長さ延長し、上記ディスクを収容する空間を有するリング状の第1エッジパネルが設けられる下部回転子と、
下端に内側に一定の長さ延長し、上記ディスクを収容する空間を有するリング状の第2エッジパネルが設けられる上部回転子と、
上記下部回転子、上記上部回転子、上記ディスクを結合する結合部材と、を含むことを特徴とする風力推進システム。
【請求項2】
上記ベアリングハウジングは、
上記固定子の上面の内側に設けられるか、または上記固定子の上面の外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム。
【請求項3】
上記駆動軸は、
第1ベアリングによって上部が上記ギヤボックスの上面に回転可能に結合され、
第2ベアリングによって下部が上記ギヤボックスの下面に回転可能に結合され、
上記第1、2ベアリングは、
上記駆動軸の横力または上記駆動軸の横進を防げるベアリングであることを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム
【請求項4】
上記第1被動軸は、
第3ベアリングによって上部が上記ギヤボックスの上面に回転可能に結合され、
第4ベアリングによって下部が上記ギヤボックスの下面に回転可能に結合され、
上記第3、4ベアリングは、
上記第1被動軸の横力を防げるベアリングであることを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム。
【請求項5】
上記第2被動軸は、
直列に配置される第5ベアリング及び第6ベアリングによって上記固定子の上面に回転可能に結合され、
上記第5ベアリングは、
上記第2被動軸の軸力を防げるベアリングであり、
上記第6ベアリングは、
上記第2被動軸の横力を防げるベアリングであることを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム。
【請求項6】
上記結合部材は、
上記第1エッジパネルの下面と上記ディスクの下面を支える第1クランププレートと、
上記第1エッジパネルの上面と上記ディスクの上面を支える第2クランププレートと、
上記第1、2クランププレートと上記ディスクを固定する第1ボルト部材と、
上記第1エッジパネルと上記第2エッジパネルを固定する第2ボルト部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム。
【請求項7】
上記結合部材は、
上記第1エッジパネルと上記第2クランププレートの間に設けられる第1ボンディング部材と、
上記第2エッジパネルと上記第2クランププレートの間に設けられる第2ボンディング部材と、をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の風力推進システム。
【請求項8】
陸上の基礎構造物をリフティング装置を用いて上記甲板上に搭載し、
陸上において上記固定子の上部に上記ディスクと上記駆動部を設置し、
上記下部回転子を上記リフティング装置でリフトして内部に上記固定子を収容させ、
上記結合部材を利用して上記下部回転子と上記ディスクを結合させ、
上記固定子が収容された上記下部回転子を上記リフティング装置を用いて上記基礎構造物上に搭載し、
陸上の上部回転子を上記リフティング装置を用いて上記基礎構造物上に搭載された上記下部回転子の上部に整列させ、
上記結合部材を利用して上記下部回転子と上記上部回転子を結合することを特徴とする請求項1に記載の風力推進システム。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の上記風力推進システムを備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力推進システム及びそれを備えた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は通常化石燃料を使用して推進力を得ている。船舶にはスラスターなどを駆動するための大出力のエンジンが装着されており、長距離運航時に大型船舶が消費する燃料の量は数百トンに達すると知られている。これらの船舶を運用するには膨大な費用がかかり、燃料消費による汚染物質の排出も非常に深刻な問題となっている。
【0003】
このような問題を解決するためには船舶の動力源を多様化することが望ましい。例えば、推進力の一部を電気モータから得る電気推進船舶技術が開発され適用されており、他にも船舶が海上で経験する多様な環境条件を利用して電気を得る技術が開発されている。
【0004】
さらに、排気を全く発生させない自然エネルギーとして太陽光、風力などの活用も注目を浴びている。特に風力の場合、甲板上に帆(Sail)などの設備を設けて風力を容易に推進力に変えられるという点で、構造が簡単で維持費用が安いという利点がある。
【0005】
また、最近では一般的に知られている帆とは異なり、動力を利用して直接回転しながら風力を所望する方向の推進力に変換できるローター設備(例えば、magnus rotor)が実船に搭載されている。このようなローター設備は甲板に固定される固定子(stator)と、固定子の表面と上面を覆うように円柱状に設けられ、回転速度や方向が調整される回転子(rotor)と、からなる。
【0006】
このようなローター設備は帆とは違って風力を所望する推進力に加工できることから、最近多くの研究開発が行われている。ただし、ローター設備は数メートルの直径を有し、数十メートルの高さからなる大型柱状であるため、甲板内における設置、船舶の動きによる耐久性、前方視野干渉、制御などの観点から解決及び改善すべき問題がまだ相当の数残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、回転子の構造的性能の向上及び製作を容易にし、回転子を駆動させる駆動部の構造的安定性を確保し、回転子と固定子との間に設けられる下部ベアリング部の構造的安定性の確保及びメンテナンスを容易にし、エンドプレートの軽量化による構造的安定性が確保できるようにする風力推進システム及びそれを備えた船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による風力推進システムは、 甲板に垂直に設けられる固定子と、上記固定子の外側を覆うように円柱状に設けられる回転子と、上記回転子に連結されるディスクを介して上記回転子に回転動力を伝達する駆動部と、上記回転子の下部に設けられて上記回転子の横方向の運動を抑える下部ベアリング部と、を含み、上記駆動部は、モータによって回転する駆動軸と、上記駆動軸に設けられる駆動ギヤと、上記駆動ギヤと噛み合って回る被動ギヤと、上記被動ギヤと結合されて上記被動ギヤの回転を支持する第1被動軸と、が内蔵され、上記固定子の内側に設けられるギヤボックスと、カップリング部材によって上記第1被動軸と連結されて上記ディスクに回転力を伝達する第2被動軸を支えるベアリングハウジングと、を含み、上記回転子は、上端に内側に一定の長さ延長し、上記ディスクを収容する空間を有するリング状の第1エッジパネルが設けられる下部回転子と、下端に内側に一定の長さ延長し、上記ディスクを収容する空間を有するリング状の第2エッジパネルが設けられる上部回転子と、上記下部回転子、上記上部回転子、上記ディスクを結合する結合部材と、を含んでもよい。
【0009】
具体的に、上記ベアリングハウジングは、上記固定子の上面の内側に設けられるか、または上記固定子の上面の外側に設けられてもよい。
【0010】
具体的に、上記駆動軸は、第1ベアリングによって上部が上記ギヤボックスの上面に回転可能に結合され、第2ベアリングによって下部が上記ギヤボックスの下面に回転可能に結合され、上記第1、2ベアリングは、上記駆動軸の横力または上記駆動軸の横進を防げるベアリングであってもよい。
【0011】
具体的に、上記第1被動軸は、第3ベアリングによって上部が上記ギヤボックスの上面に回転可能に結合され、第4ベアリングによって下部が上記ギヤボックスの下面に回転可能に結合され、上記第3、4ベアリングは、上記第1被動軸の横力を防げるベアリングであってもよい。
【0012】
具体的に、上記第2被動軸は直列に配置される第5ベアリング及び第6ベアリングによって上記固定子の上面に回転可能に結合され、上記第5ベアリングは上記第2被動軸の軸力を防げるベアリングであり、上記第6ベアリングは上記第2被動軸の横力を防げるベアリングであってもよい。
【0013】
具体的に、上記結合部材は、上記第1エッジパネルの下面と上記ディスクの下面を支える第1クランププレートと、上記第1エッジパネルの上面と上記ディスクの上面を支える第2クランププレートと、上記第1、2クランププレートと上記ディスクを固定する第1ボルト部材と、上記第1エッジパネルと上記第2エッジパネルを固定する第2ボルト部材と、を含んでもよい。
【0014】
具体的に、上記結合部材は、上記第1エッジパネルと上記第2クランププレートの間に設けられる第1ボンディング部材と、上記第2エッジパネルと上記第2クランププレートの間に設けられる第2ボンディング部材と、をさらに含んでもよい。
【0015】
具体的に、陸上の基礎構造物をリフティング装置を用いて上記甲板上に搭載し、陸上において上記固定子の上部に上記ディスクと上記駆動部を設置し、上記下部回転子を上記リフティング装置でリフトして内部に上記固定子を収容させ、上記結合部材を利用して上記下部回転子と上記ディスクを結合させ、上記固定子が収容された上記下部回転子を上記リフティング装置を用いて上記基礎構造物上に搭載し、陸上の上部回転子を上記リフティング装置を用いて上記基礎構造物上に搭載された上記下部回転子の上部に整列させ、上記結合部材を利用して上記下部回転子と上記上部回転子を結合してもよい。
【0016】
本発明の他の側面による船舶は上記した風力推進システムを含んでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による風力推進システムは、回転子の構造的性能の向上及び製作を容易にし、回転子を駆動させる駆動部の構造的安定性を確保し、回転子と固定子との間に設けられる下部ベアリング部の構造的安定性の確保及びメンテナンスを容易にし、エンドプレートの軽量化による構造的安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例による風力推進システムを備えた船舶を示す図である。
図2】本発明の一実施例による風力推進システムを説明するための図である。
図3図2に示す回転子の第1実施例を説明するための図である。
図4】第1実施例の回転子を構成する単位パネルを説明するための図である。
図5図2に示す回転子の第2実施例を説明するための図である。
図6】第2実施例の回転子を構成する下部回転子と上部回転子を連結する結合部材を説明するための図である。
図7】(a)~(d)は第2実施例の回転子の搭載工程を説明するための図である。
図8図2に示すエンドプレートの第1実施例を説明するための図である。
図9図2に示す駆動部の第1実施例を説明するための図である。
図10図2に示す駆動部の第2実施例を説明するための図である。
図11図2に示す駆動部の第3実施例を説明するための図である。
図12図2に示す下部ベアリング部の第1実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図13図12のA-A’線に沿って切断した図である。
図14図13のB-B’線に沿って切断した図である。
図15図2に示す下部ベアリング部の第2実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図16図15のA-A’線に沿って切断した図である。
図17図16のB-B’線に沿って切断した図である。
図18図2に示す下部ベアリング部の第3実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図19】第3実施例の下部ベアリング部を構成するベアリングユニットを説明するための図である。
図20】(a)~(c)は図19のベアリングユニットが固定子に設けられた状態を示す図である。
図21図2に示す下部ベアリング部の第4実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図22】第4実施例の下部ベアリング部を構成するベアリングユニットを説明するための図である。
図23図2に示す下部ベアリング部の第5実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図24図23のA-A’線に沿って切断した図である。
図25図24のB-B’線に沿って切断した図である。
図26図2に示す下部ベアリング部の第6実施例を説明するための風力推進システムの一部図である。
図27図26のA-A’線に沿って切断した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は添付の図面に関する以下の詳細な説明及び好ましい実施例からより明らかになるであろう。なお、本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同じ番号を付したことに留意されたい。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施例による風力推進システム1を備えた船舶Sを示す図であり、図2は本発明の一実施例による風力推進システム1を説明するための図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施例による風力推進システム1は、船舶Sの甲板に少なくとも1つ以上設けられ、動力を利用して直接回転しながら風力を所望する方向の推進力に変換することができ、基礎構造物10、固定子20、回転子30、エンドプレート40、ディスク50、駆動部60、下部ベアリング部70を含んでもよい。
【0023】
基礎構造物10は甲板上に固定設置され、上部に固定子20が設けられてもよい。
【0024】
固定子20は甲板上に固定される基礎構造物10上に垂直に設けられてもよく、回転子30の軸をなすことができる。
【0025】
このような固定子20は内部が空いている円柱状の構造物であってもよく、上部に駆動部60が搭載されてもよい。
【0026】
回転子30は固定子20の外側を覆うように円柱状に設けられた構造物であって、船舶Sの甲板に設置/固定される固定子20を軸とし、駆動部60により動力が付加されて360度回転することができる。このとき、船舶S周辺の風と円柱状の回転子30の間の流体力学的干渉により、風が船舶Sの推進力に切り替わることができる。
【0027】
即ち、回転子30は駆動部60の動力がディスク50を介して伝達されて回転することができる。このとき、回転子30は、垂直方向の中心軸である固定子20を基準として回転しながら一側では増加した圧力が発生し、反対側では減少した圧力/吸引が発生して、回転子30の一側と反対側のそれぞれに正圧と負圧が発生して船舶100を移動させる力である推進力を発生させることができる。
【0028】
また、回転子30の方向によって正圧と負圧が形成される方向は異なってもよいため、回転子30の方向が時計回りまたは反時計回りに回転する変換を介して船舶Sの運航方向を制御することもできる。
【0029】
本実施例の船舶は、回転子30の駆動によって推進力が形成されることに限定されず、従来の実施例と組み合わせてもよいことは言うまでもない。例えば、メインエンジン(不図示)とラダーなどによる船舶Sの運航がメインとなる場合、回転子30が補助役割をすることができる。これとは異なり、回転子30による作動がメインで行われ、メインエンジンとラダーによる船舶Sの運航が補助になることもでき、回転子30の駆動は様々な状況で必要に応じて行われることができる。
【0030】
上記の回転子30は下部に設けられる下部ベアリング部70に回転可能に連結され、固定子20の上部に設けられる駆動部60の動力の伝達を受けて回転力を付与するディスク50に連結されてもよい。
【0031】
このような回転子30は上端部が開口されてもよく、開口された部分にエンドプレート40が設けられてもよい。
【0032】
ディスク50は回転子30の内周面に対応する形状、例えば、円板状であってもよく、外周面が回転子30の内周面に固定連結されてもよい。このようなディスク50は駆動部60に連結されて駆動部60の動力の伝達を受けて回転子30に回転力を付与することができる。
【0033】
駆動部60は固定子20の上部に設けられ、ディスク50に連結されてもよい。このような駆動部60は回転子30を回転させることができる動力を発生させてディスク50を介して回転子30に回転力を伝達することができる。
【0034】
下部ベアリング部70は回転子30の下部に設けられてもよい。下部ベアリング部70は回転子30が駆動部60の動力により回転するとき、横方向の運動を抑制することができるように構成されてもよい。
【0035】
上記のように、本実施例の風力推進システム1は固定子20、回転子30、エンドプレート40、ディスク50、駆動部60、下部ベアリング部70を含み、以下において、当該風力推進システム1の各構成について図3図27を参照して具体的に説明する。
【0036】
上記した図2に示す回転子30は内部が空いている円柱状の構造物であり、様々な実施例で具現することができ、以下では、第1実施例の回転子30aを図3図4を参照して説明し、第2実施例の回転子30aを図5図7を参照して説明する。
【0037】
図3図2に示す回転子30の第1実施例を説明するための図であり、図4は第1実施例の回転子30aを構成する単位パネル31aを説明するための図である。
【0038】
図3図4に示すように、第1実施例の回転子30aは複数の単位パネル31aの結合で構成されてもよい。
【0039】
単位パネル31aはガラス繊維、炭素繊維、または様々な複合素材を用いた引き抜き成形で、一定の幅、長さ、厚さを有するように形成されることができる。
【0040】
単位パネル31aは隣接する他の単位パネル31aと締り嵌め結合ができるように構成されてもよい。
【0041】
単位パネル31aは、図4に示すように、幅方向に曲面形状を有して長手方向に延長する曲面板31a1と、曲面板31a1の一側の縁に沿って設けられる雌コネクタ31a2と、曲面板31a1の他方の縁に沿って設けられる雄コネクタ31a3と、からなってもよい。単位パネル31aをなす曲面板31a1、雌コネクタ31a2、雄コネクタ31a3のそれぞれの厚さは同じまたは類似することができる。
【0042】
曲面板31a1は回転子30aの半径に対応する曲面を有することができる。
【0043】
雌コネクタ31a2と雄コネクタ31a3は、隣接する単位パネル31a同士を締り嵌め結合できる様々な構造を有することができる。
【0044】
例えば、雌コネクタ31a2は曲面板31a1の一側端部から回転子30aの内側方向に折り曲げられて延長する第1板31a21と、第1板31a21の延長した端部から曲面板31a1の外側方向に折り曲げられて延長する第2板31a22と、第2板31a22の延長した端部から回転子30aの外側方向に折り曲げられて延長する第3板31a23と、第3板31a23の延長した端部から曲面板31a1の内側方向に折り曲げられて延長する第4板31a24と、からなってもよく、第1~第4板31a24により雄コネクタ31a3の形状に対応する「L」字型の嵌合空間31a4が形成されることができる。このとき、雄コネクタ31a3は雌コネクタ31a2の「L」字型の嵌合空間31a4に対応するように、曲面板31a1の他方の端部から回転子30aの内側方向に折り曲げられて延長する第5板31a31と、第5板31a31の延長した端部から曲面板31a1の内側方向に折り曲げられて延長する第6板31a32と、からなってもよい。
【0045】
このため、本実施例の回転子30aは、上記のように構成される単位パネル31aを利用した締り嵌め結合方式により内部が空いている円柱状に形成することができるため、接着剤結合方式やボルティング結合方式に比べて結合工程を簡素化することができる。
【0046】
また、本実施例の回転子30aは、単位パネル31aをガラス繊維、炭素繊維、または様々な複合素材を用いて引き抜き成形で製作することにより、製作工程の簡素化による製作費の削減だけでなく、軽量化することができる。
【0047】
また、本実施例の回転子30aは雌コネクタ31a2と雄コネクタ31a3の締り嵌め結合部分が曲面板31a1より厚くなり、自然に長手方向の補強剤の役割をすることができるため、補強のために内部に樹脂などを注入する従来のサンドイッチ製作方式より経済的であることができる。
【0048】
図5図2に示す回転子30の第2実施例を説明するための図であり、図6は第2実施例の回転子30bを構成する下部回転子31bと上部回転子32bを連結する結合部材33bを説明するための図であり、図7の(a)~(d)は第2実施例の回転子30bの搭載工程を説明するための図である。
【0049】
図5図7に示すように、第2実施例の回転子30bは下部回転子31bと上部回転子32bが結合部材33bによって組み立てられる2段組み立て構造で構成されてもよい。
【0050】
下部回転子31bと上部回転子32bのそれぞれは内部が空いている円柱状の構造物であってもよく、同じ材質及び形状に形成されてもよい。
【0051】
下部回転子31bは固定子20、ディスク50、駆動部60、下部ベアリング部70が収容できる大きさに形成されることができる。
【0052】
下部回転子31bの上端には内側に一定の長さ延長されディスク50を収容する空間を有するリング状の第1エッジパネル31b1が設けられ、上部回転子32bの下端には内側に一定の長さ延長されディスク50を収容する空間を有するリング状の第2エッジパネル32b1が設けられてもよい。
【0053】
結合部材33bは、上部にディスク50と駆動部60が設けられた固定子20を下部回転子31bの内部に収容して第1エッジパネル31b1とディスク50を一致させた状態で下部回転子31bとディスク50を結合させすることができ、下部回転子31bとディスク50が結合された状態で下部回転子31bの第1エッジパネル31b1と上部回転子32bの第2エッジパネル32b1を結合させることができる。
【0054】
具体的には、結合部材33bは、第1エッジパネル31b1の下面とディスク50の下面を支える第1クランププレート33b1と、第1エッジパネル31b1の上面とディスク50の上面を支える第2クランププレート33b2と、第1、2クランププレート33b1、33b2とディスク50を固定する第1ボルト部材33b3と、下部回転子31bの第1エッジパネル31b1上に上部回転子32bの第2エッジパネル32b1を固定する第2ボルト部材33b4と、を含んでもよい。
【0055】
上記において、第1ボルト部材33b3は、第1クランププレート33b1、ディスク50、第2クランププレート33b2を固定して下部回転子31bとディスク50を結合させることができ、第2ボルト部材33b4は、第1クランププレート33b1、第1エッジパネル31b1、第2クランププレート33b2、第2エッジパネル32b1を固定して下部回転子31bと上部回転子32bを結合させることができる。
【0056】
また、結合部材33bは、下部回転子31bの第1エッジパネル31b1と第2クランププレート33b2との間に設けられる第1ボンディング部材33b5と、上部回転子32bの第2エッジパネル32b1と第2クランププレート33b2との間に設けられる第2ボンディング部材33b6と、をさらに含んでもよい。ここで、第1、2ボンディング部材33b5、33b6は塗布方式または付着方式の様々な接着剤または接着フィルムであってもよい。
【0057】
上記のように結合部材33bを利用して組み立てる下部回転子31bと上部回転子32bの搭載工程は、図7の(a)~(d)を参照して説明する。
【0058】
まず、図7の(a)に示すように、陸上の基礎構造物10をリフティング装置Lを用いて船舶Sの甲板上に搭載する。ここで、リフティング装置Lはタワークレーン、ガントリークレーンまたは当業者に公知の任意の適切なリフティング手段であってもよい。
【0059】
図7の(b)に示すように、陸上で固定子20の上部にディスク50と駆動部60を設置し、下部回転子31bをリフティング装置Lでリフトして内部に固定子20を収容し、結合部材33bを利用して下部回転子31bとディスク50を結合させる。
【0060】
図7の(c)に示すように、固定子20の収容された下部回転子31bをリフティング装置Lを用いて甲板に固定設置された基礎構造物10上に搭載する。
【0061】
図7の(d)に示すように、陸上の上部回転子32bをリフティング装置Lを用いて基礎構造物10上に搭載された下部回転子31bの上部に整列させ、結合部材33bを利用して下部回転子31bと上部回転子32bを結合させる。
【0062】
これにより、本実施例の回転子30bは下部回転子31bと上部回転子32bが結合部材33bによって組み立てられる2段組み立て構造で構成することで、2段連結構造の具現による組み立て工程の簡素化だけでなく、クレーンの重量及び高さ要求を改善することができる。
【0063】
上記した図2に示すエンドプレート40は、回転子30の開口された上端部に設けられるものであり、様々な実施例で具現することができ、以下では、第1実施例のエンドプレート40aを図8を参照して説明する。
【0064】
図8図2に示すエンドプレート40の第1実施例を説明するための図である。
【0065】
図8に示すように、第1実施例のエンドプレート40aは円板41aとスチフナー42aからなってもよく、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で形成されてもよい。
【0066】
円板41aは中央領域43aと外郭領域44aに分けられてもよい。中央領域43aは回転子30の開口された上端部に対応する領域であり、外郭領域44aは回転子30の外側に延長する領域であってもよいが、これに限定されない。
【0067】
円板41aの中央領域43aと外郭領域44aは同一でなくてもよい。例えば、円板41aの中央領域43aは半径方向GFRP-2AXIS 10tであり、円板41aの外郭領域44aは半径方向GFRP-UD 30tであってもよい。
【0068】
スチフナー42aは円板41aの中央領域43aを補強するためのものであり、円板41aの中心から中央領域43aの縁まで複数個が放射状に延長して形成されてもよい。長手方向GFRP-UD 10tであってもよい。
【0069】
上記において、円板41aとスチフナー42aの繊維方向及び厚さ数値は例示に過ぎず、様々な積層パターン及び厚さが適用できることは言うまでもない。
【0070】
これにより、本実施例のエンドプレート40aはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で製作することにより、エンドプレート40aの軽量化による風力推進システム1の構造的性能を向上させることができる。
【0071】
上記の図2に示す駆動部60は固定子20の上部に設けられて回転子30を回転させることができる動力を発生させるものであり、様々な実施例で具現することができるが、以下では第1実施例の駆動部60aを図9を参照して説明し、第2実施例の駆動部60bを図10を参照して説明し、第3実施例の駆動部60cを図11を参照して説明する。
【0072】
図9図2に示す駆動部60の第1実施例を説明するための図である。
【0073】
図9に示すように、第1実施例の駆動部60aはモータ61a、ギヤボックス62a、駆動軸63a、駆動ギヤ64a、被動ギヤ65a、被動軸66a、ベアリングハウジング67aを含んでもよい。
【0074】
モータ61aは駆動力を発生させてギヤボックス62aに伝達し、固定子20の内側に設けられてもよい。
【0075】
ギヤボックス62aはモータ61aと結合し、駆動軸63aを回転させるのに必要な駆動力を伝達するための各種ギヤが内蔵されており、固定子20の内側に設けられてもよい。ギヤボックス62aは減速機であってもよい。
【0076】
本実施例のギヤボックス62aの内部にはモータ61aに結合されてモータ61aによって回転する駆動軸63aと、駆動軸63aに設けられる駆動ギヤ64aと、駆動ギヤ64aと噛み合って回る被動ギヤ65aと、被動ギヤ65aと結合されて被動ギヤ65aの回転を支持する被動軸66aと、が設けられてもよい。
【0077】
駆動ギヤ64aと被動ギヤ65aは減速比が6:1の減速ギヤであってもよいが、これに限定されず、様々な減速比を有する減速ギヤを適用することができることは言うまでもない。
【0078】
被動軸66aは第1被動軸66a1と第2被動軸66a2からなってもよい。
【0079】
この場合、第1被動軸66a1はギヤボックス62aの内部に設けられ、下部がギヤボックス62aの下面に回転可能に結合され、上部がギヤボックス62aの上面を貫通し外部に突出して第2被動軸66a2と結合されるように設けられてもよい。
【0080】
第2被動軸66a2はギヤボックス62aの外部に設けられ、下部が第1被動軸66a1の上部とカップリング部材68aによって結合され、上部が固定子20の上面を貫通してディスク50に結合されるように設けられてもよい。第2被動軸66a2は第1被動軸66a1と連結されてディスク50に回転力を伝達することができる。
【0081】
上記した駆動軸63a、第1被動軸66a1、第2被動軸66a2のそれぞれは様々なベアリングによって回転することができる。
【0082】
具体的には、駆動軸63aは第1ベアリングB1によって上部がギヤボックス62aの上面に回転可能に結合され、第2ベアリングB2によって下部がギヤボックス62aの下面に回転可能に結合されてもよい。
【0083】
本実施例では、駆動軸63aはモータ61aの駆動力で回転する軸であって軸力(axial force)が多く加わる軸ではなく、この場合、第1、2ベアリングB1、B2は駆動軸63aの横力(lateral force)または駆動軸63aの横進を防けるベアリング、例えば、自動調心ベアリングを適用することができる。
【0084】
第1被動軸66a1は第3ベアリングB3により上部がギヤボックス62aの上面に回転可能に結合され、第4ベアリングB4により下部がギヤボックス62aの下面に回転可能に結合されてもよい。
【0085】
本実施例では、第1被動軸66a1はモータ61aから直接駆動力が伝達されたり、ディスク50に直接駆動力が伝達されず、軸力(axial force)が多く加わる軸ではなく、この場合、第3、4ベアリングB3、B4は第1被動軸66a1の横力(lateral force)を防げるベアリング、例えば、自動調心ベアリングを適用することができる。
【0086】
第2被動軸66a2は直列に配置される第5ベアリングB5及び第6ベアリングB6によって固定子20の上面に回転可能に結合されてもよい。
【0087】
本実施例において、第2被動軸66a2はディスク50に直接駆動力を伝達する軸であって、軸力(axial force)と横力(lateral force)が多く加わる軸ではなく、この場合、第5ベアリングB5は第2被動軸66a2の軸力を防げるベアリング、例えば、スラストベアリング(thrust bearing)を適用することができ、第6ベアリングB6は第2被動軸66a2の横力(lateral force)を防げるベアリング、例えば、球面ローラーベアリング(SRB)などの自動調心ベアリングを適用することができる。
【0088】
上述のように、第2被動軸66a2は軸力及び横力が多く加わるため、直列に配置される第5ベアリングB5及び第6ベアリングB6を軸力及び横力に耐えられるように固定子20に強固に結合することには困難がある。
【0089】
このため、本実施例は、第2被動軸66a2を支える手段としてベアリングハウジング67aを固定子20の上面内側に固定設置することができる。ベアリングハウジング67aは第2被動軸66a2が貫通し第5、6ベアリングB5、B6を収容することができる。ベアリングハウジング67aを固定子20の上面内側に固定設置することで、ベアリングハウジング67aにより第2被動軸66a2が軸力及び横力に耐えられる。
【0090】
図10図2に示す駆動部60の第2実施例を説明するための図である。
【0091】
図10に示すように、第2実施例の駆動部60bはモータ61a、ギヤボックス62a、駆動軸63a、駆動ギヤ64a、被動ギヤ65a、第1、2被動軸66a1、66a2からなる被動軸66a、ベアリングハウジング67b、カップリング部材68aを含んでもよい。
【0092】
第2実施例の駆動部60bは上記の第1実施例の駆動部60aと比較すると、ベアリングハウジング67bの設置位置が異なる。
【0093】
即ち、本実施例のベアリングハウジング67bは固定子20の上面外側に設けられ、上記の第1実施例のベアリングハウジング67aは固定子20の上面内側に設けられる点が異なり、その他の構成要素は構成的に同じである。
【0094】
その他の構成要素は第1実施例と構成的に同じであるため、同じ図面符号を使用している。そのため、重複する説明を避けるべくここでは同じ構成に対する説明を省略する。
【0095】
図11図2に示す駆動部60の第3実施例を説明するための図である。
【0096】
図11に示すように、第3実施例の駆動部60cはモータ61c、ギヤボックス62c、駆動軸63c、駆動ギヤ64c、被動ギヤ65c、被動軸66cを含んでもよい。
【0097】
モータ61cは駆動力を発生させてギヤボックス62cに伝達し、固定子20の上面内側に設けられてもよい。
【0098】
ギヤボックス62cはモータ61cと結合し、駆動軸63cを回転させるのに必要な駆動力を伝達するための各種ギヤが内蔵されており、固定子20の上面外側に設けられてもよい。ギヤボックス62cは減速機であってもよい。
【0099】
本実施例のギヤボックス62cの内部にはモータ61cに結合されてモータ61cによって回転する駆動軸63cと、駆動軸63cに設けられる駆動ギヤ64cと、駆動ギヤ64cと噛み合って回る被動ギヤ65cと、被動ギヤ65cと結合されて被動ギヤ65cの回転を支持し、ディスク50に回転力を伝達する被動軸66cと、が設けられてもよい。
【0100】
駆動ギヤ64cと被動ギヤ65cは減速比が6:1の減速ギヤであってもよいが、これに限定されず、様々な減速比を有する減速ギヤを適用することができることは言うまでもない。
【0101】
上記した駆動軸63c、被動軸66cのそれぞれは様々なベアリングによって回転することができる。
【0102】
具体的には、駆動軸63cは第7ベアリングB7によって上部がギヤボックス62cの上面に回転可能に結合され、第8ベアリングB8によって下部がギヤボックス62cの下面に回転可能に結合されてもよい。
【0103】
本実施例では、駆動軸63cはモータ61cの駆動力で回転する軸であって軸力(axial force)が多く加わる軸ではなく、この場合、第7、8ベアリングB7、B8は駆動軸63cの横力(lateral force)または駆動軸63cの横進を防げるベアリング、例えば、自動調心ベアリングを適用することができる。
【0104】
被動軸66cは第9ベアリングB9によって上部がギヤボックス62cの上面に回転可能に結合され、直列に配置される第10ベアリングB10及び第11ベアリングB11によって下部がギヤボックス62cの下面に回転可能に結合されてもよい。
【0105】
本実施例において、被動軸66cはディスク50に直接駆動力を伝達する軸であって軸力(axial force)と横力(lateral force)が多く加わる軸であり、この場合、第10ベアリングB10は被動軸66cの軸力を防げるベアリング、例えば、スラストベアリング(thrust bearing)を適用することができ、第11ベアリングB11は被動軸66cの横力(lateral force)を防げるベアリング、例えば、自動調心ベアリングを適用することができる。
【0106】
また、第10、11ベアリングB10、B11はギヤボックス62cの下面において被動軸66cに直列に配置されるため、ギヤボックス62cの下面の厚さを他の面より相対的に厚くして第10、11ベアリングB10、B11が設けられるようにすることができる。ギヤボックス62cの下面の厚さを従来と同じ厚さにする場合、上記の第1実施例のベアリングハウジング67aをギヤボックス62cの内部に固定設置して第10、11ベアリングB10、B11を設置することもできる。
【0107】
上述のように、本実施例における被動軸66cはディスク50に直接駆動力を伝達する軸であって軸力と横力が多く加わるが、第10、11ベアリングB10、B11によって軸力及び横力を防げるだけでなく、被動軸66cそのものの長さが短いため、第9ベアリングB9に被動軸66cの横力を防げるベアリング、例えば、自動調心ベアリングを適用することができる。
【0108】
上記の図2に示す下部ベアリング部70は駆動部60の動力により回転する回転子30の横方向運動を抑えるものであり、様々な実施例で具現することができるが、以下では第1実施例の下部ベアリング部70aを図12図14を参照して説明し、第2実施例の下部ベアリング部70bを図15図17を参照して説明し、第3実施例の下部ベアリング部70cを図18図20を参照して説明し、第4実施例の下部ベアリング部70dを図21図22を参照して説明し、第5実施例の下部ベアリング部70eを図23図25を参照して説明し、第6実施例の下部ベアリング部70fを図26図27を参照して説明する。
【0109】
図12図2に示す下部ベアリング部70の第1実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図13図12のA-A’線に沿って切断した図であり、図14図13のB-B’線に沿って切断した図である。
【0110】
図12図14に示すように、第1実施例の下部ベアリング部70aはベアリングユニット71aの集合体からなってもよく、基礎構造物10に設けられてもよい。
【0111】
ベアリングユニット71aは基礎構造物10に設けられてもよく、ガイドベアリング71a1、ベアリング支持台71a2からなってもよい。
【0112】
ガイドベアリング71a1はベアリング支持台71a2の上端に設けられ、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0113】
ベアリング支持台71a2は上端に設けられるガイドベアリング71a1を支持し、基礎構造物10に設けられてもよい。
【0114】
上記したベアリングユニット71aは、回転子30の内周面に沿って一定間隔を置いて複数個配置されて下部ベアリング部70aをなすが、このとき、ガイドベアリング71a1は回転子30の内周面に密着し、ベアリング支持台71a2は回転子30及び固定子20に重畳せずに基礎構造物10上に設けられてもよい。
【0115】
本実施例では、ベアリングユニット71aのメンテナンスが容易に行えるように、下部ベアリング部70aと固定子20との間に通行路81が設けられてもよい。
【0116】
通行路81は固定子20の直径を既存対比で小さくすることで確保することができる。例えば、既存の固定子の直径が4~4.5mである場合、本実施例の固定子20は直径を2~2.5m水準に小さくすることで通行路81を確保することができる。
【0117】
固定子20は全体的に直径を小さくすることができるが、上部に駆動部60が設置される空間が設けられるように、図12に示すように駆動部60が設置される上部の直径は既存の直径のように大きくすることが好ましい。
【0118】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70aはベアリングユニット71aの製作が容易であり、ベアリング支持台71a2を基礎構造物10に直接設置することで設置工数を削減することができ、通行路81を確保することでメンテナンスを容易にすることができ、固定子20を軽量化することができる。
【0119】
図15図2に示す下部ベアリング部70の第2実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図16図15のA-A’線に沿って切断した図であり、図17図16のB-B’線に沿って切断した図である。
【0120】
図15図17に示すように、第2実施例の下部ベアリング部70bはベアリングユニット71bの集合体からなってもよく、基礎構造物10に設けられてもよい。
【0121】
ベアリングユニット71bは基礎構造物10に設けられてもよく、ガイドベアリング71b1、ベアリング支持台71b2からなってもよい。
【0122】
ガイドベアリング71b1はベアリング支持台71b2の上端に設けられ、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0123】
ベアリング支持台71b2は上端に設けられるガイドベアリング71b1を支持し、基礎構造物10に設けられてもよい。
【0124】
上記のベアリングユニット71bは回転子30の内周面に沿って一定間隔を置いて複数個配置されて下部ベアリング部70bをなすが、このとき、ガイドベアリング71b1は回転子30の内周面に密着し、ベアリング支持台71b2は固定子20に重畳するように基礎構造物10上に設けられてもよい。
【0125】
本実施例の固定子20は下端部に一定間隔の開放部82が形成され、開放部82にベアリングユニット71bを設けることで、ベアリングユニット71bが固定子20に重畳するように設けられてもよい。
【0126】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70bはベアリングユニット71bの製作が容易であり、ベアリング支持台71b2を基礎構造物10に直接設けることで設置工数を削減することができ、開放部82を介してベアリングユニット71bのメンテナンスを容易にすることができる。
【0127】
図18図2に示す下部ベアリング部70の第3実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図19は第3実施例の下部ベアリング部70cを構成するベアリングユニット71cを説明するための図であり、図20の(a)~(c)は図19のベアリングユニット71cが固定子20に設けられた状態を示す図であり、ここで、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【0128】
図18図20に示すように、第3実施例の下部ベアリング部70cはベアリングユニット71cの集合体からなってもよく、固定子20に設けられてもよい。
【0129】
ベアリングユニット71cは固定子20に設けられ、ガイドベアリング71c1、第1ジョイントプレート71c2、第2ジョイントプレート71c3からなってもよい。本実施例では、固定子20はベアリングユニット71cが設けられる位置に一定間隔を置いて窓83が設けられてもよい。
【0130】
ガイドベアリング71c1は第1ジョイントプレート71c2に設けられてもよく、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0131】
第1ジョイントプレート71c2は1対からなり、ガイドベアリング71c1のベアリング軸71c11の両端に結合されてもよい。1対の第1ジョイントプレート71c2はベアリング軸71c11に結合された状態でガイドベアリング71c1の一側に水平に延長し、延長した端部で垂直に折り曲げられた形状を有することができる。1対の第1ジョイントプレート71c2には第2ジョイントプレート71c3とボルト結合するための第1ボルト孔71c21が複数個設けられてもよい。
【0132】
第2ジョイントプレート71c3は固定子20の内側において窓83の縁に沿って設けられてもよく、1対の第1ジョイントプレート71c2と結合するために第1ボルト孔71c21に対応する第2ボルト孔71c31が複数個設けられてもよい。第2ジョイントプレート71c3は少なくともガイドベアリング71c1の半径またはそれ以下の大きさに突出した形状を有することができる。
【0133】
上記のベアリングユニット71cは第1、2ジョイントプレート71c2、71c3のボルト結合により固定子20に設けられ、回転子30の内周面に沿って一定間隔を置いて複数個配置されて下部ベアリング部70cをなすが、このとき、ガイドベアリング71c1は図20の(a)~(c)に示すように、第1、2ジョイントプレート71c2、71c3により固定された状態で一部が固定子20の窓83を介して外側に突出して回転子30の内周面に密着することができる。
【0134】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70cはベアリングユニット71cをモジュール化して製作するため、製作が容易なだけでなく、設置工数を削減することができ、固定子20に設けられることで構造的安全性を確保することができる。
【0135】
図21図2に示す下部ベアリング部70の第4実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図22は第4実施例の下部ベアリング部70dを構成するベアリングユニット71dを説明するための図である。
【0136】
図21図22に示すように、第4実施例の下部ベアリング部70dはベアリングユニット71dの集合体からなってもよく、固定子20に設けられてもよい。
【0137】
ベアリングユニット71dは固定子20に設けられ、ガイドベアリング71d1、ジョイントボックス71d2からなってもよい。本実施例では、固定子20はベアリングユニット71dが設けられる位置に一定間隔を置いて窓84が設けられてもよい。
【0138】
ガイドベアリング71d1はジョイントボックス71d2に設けられてもよく、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0139】
ジョイントボックス71d2は固定子20の内側において窓84の縁に沿って設けられてもよく、ガイドベアリング71d1の一部が外部に突出した状態でガイドベアリング71d1を固定することができる。ジョイントボックス71d2には固定子20とのボルト結合のための第1ボルト孔71d21が複数個設けられてもよい。
【0140】
固定子20はベアリングユニット71dが設けられる位置に一定間隔を置いて窓84が設けられてもよく、ジョイントボックス71d2とのボルト結合のために窓84の縁に沿って第1ボルト孔71d21に対応する第2ボルト孔71d22が設けられてもよい。
【0141】
上記のベアリングユニット71dはジョイントボックス71d2のボルト結合により固定子20に設けられ、回転子30の内周面に沿って一定間隔を置いて複数個配置されて下部ベアリング部70dをなすが、このとき、ガイドベアリング71d1はジョイントボックス71d2が固定子20に固定された状態で一部が固定子20の窓84を介して外側に突出して回転子30の内周面に密着することができる。
【0142】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70dはベアリングユニット71dをモジュール化して製作するため、製作が容易なだけでなく、設置工数を削減することができ、固定子20に設けられることで構造的安全性を確保することができる。
【0143】
図23図2に示す下部ベアリング部70の第5実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図24図23のA-A’線に沿って切断した図であり、図25図24のB-B’線に沿って切断した図である。
【0144】
図23図25に示すように、第5実施例の下部ベアリング部70eはベアリングユニット71eの単一体で構成されてもよく、固定子20に設けられてもよい。
【0145】
ベアリングユニット71eは固定子20に設けられ、ガイドベアリング71e1、ガイドレール71e2からなってもよい。
【0146】
ガイドベアリング71e1は固定子20の外周面に沿って設けられてもよく、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0147】
ガイドベアリング71e1は環状の単一ベアリングであってもよく、例えば、ジャーナル型(journal type)またはボール/ローラー型ベアリング(ball/roller type)であってもよい。
【0148】
環状のガイドベアリング71e1は直径2.5mの構造物に設置できるものが現在の最大サイズのベアリングであることを考慮して、固定子20は少なくとも2.5mの直径より小さくてもよい。当該固定子20は全体的に2.5m以下の直径であることができるが、上部に駆動部60が設置される空間が設けられるように、図23に示すように駆動部60が設けられる上部の直径は既存の直径(例えば、4~4.5m)のように大きくすることが好ましい。
【0149】
ガイドレール71e2は環状のガイドベアリング71e1に対応する位置の回転子30の内周面に沿って形成されてもよく、ガイドベアリング71e1をガイドすることができる。このとき、ガイドレール71e2は突出する高さを多様に具現することができ、突出高さは回転子30の直径に応じて決められてもよい。
【0150】
即ち、固定子20の直径が2.5mの場合、回転子30の最小直径は固定子20の外周面に設けられるガイドベアリング71e1の直径に対応することができ、ガイドレール71e2の突出高さに応じて回転子30の最大直径が決められてもよい。
【0151】
通常、回転子30は直径が大きいほど風力推進能力が向上するため、本実施例は回転子30の直径を所望する分だけ大きくしてもガイドレール71e2の突出高さを調整することによって下部ベアリング部70eの機能を行えるようにする。
【0152】
このようなガイドレール71e2は別途製作して回転子30の内周面に設けられるか、回転子30と一体型に製造されてもよい。
【0153】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70eは、ガイドベアリング71e1に環状の単一ベアリングを適用して固定子20に設けることにより構造的安全性を確保することができ、ガイドレール71e2の高さを調整することにより回転子30の大きさを所望する大きさに変更製作できるため、風力推進性能を容易に向上させることができる。
【0154】
図26図2に示す下部ベアリング部70の第6実施例を説明するための風力推進システム1の一部図であり、図27図26のA-A’線に沿って切断した図である。
【0155】
図26図27に示すように、第6実施例の下部ベアリング部70fはベアリングユニット71fの集合体からなってもよく、回転子30に設けられてもよい。
【0156】
ベアリングユニット71fは回転子30に設けられてもよく、ガイドベアリング71f1、アーム71f2、ガイドレール71f3からなってもよい。
【0157】
ガイドベアリング71f1はアーム71f2が一側に設けられてもよく、回転子30の回転をガイドすることができる。
【0158】
アーム71f2は回転子30の内周面に設けられてもよい。アーム71f2は長さ可変式、折り畳み式または固定式であってもよい。アーム71f2は長さ可変式である場合、テレスコピックまたはテントポールのように手動で長さを調整することができる。
【0159】
ガイドレール71f3は固定子20の外周面に沿って形成されてもよく、ガイドベアリング71f1をガイドすることができる。このとき、ガイドレール71f3は突出する高さを多様に具現することができ、突出高さは固定子20または回転子30の直径に応じて決められてもよい。
【0160】
例えば、回転子30の直径が決まった状態で、固定子20の直径を変更するとき、変更される直径に応じてガイドレール71f3の突出高さを調整することにより下部ベアリング部70fの機能を行うことができるようにする。また、固定子20の直径が決まった状態で、回転子30の直径を変更する場合も同様である。
【0161】
このようなガイドレール71f3は別途製作して固定子20の外周面に設けられるか、固定子20と一体型に製造されてもよい。
【0162】
これにより、本実施例の下部ベアリング部70fはガイドレール71f3の高さを調整することにより回転子30または固定子20の大きさを所望する大きさに製作することができるため、風力推進性能を容易に向上させることができる。
【0163】
本発明の風力推進システム1は、上記のように、図2に示す固定子20、回転子30、エンドプレート40、ディスク50、駆動部60、下部ベアリング部70のそれぞれに対して図3図27を参照して多様な実施例で説明したが、各構成に対する実施例に限定されず、上記実施例の組み合わせまたは上記実施例のうち少なくとも何れか1つと公知技術の組み合わせをさらに他の実施例として含むことができる。
【0164】
以上、本発明の実施例を中心に本発明を説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば本実施例の本質的な技術内容から外れない範囲内で実施例に例示されていない様々な組み合わせまたは変形と応用が可能であることが理解できるであろう。従って、本発明の実施例から容易に導出できる変形と応用に関する技術内容は本発明に含まれると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0165】
1 風力推進システム
10 基礎構造物
20 固定子
30、30a、30b 回転子
31a 単位パネル
31a1 曲面板
31a2 雌コネクタ
31a21 第1板
31a22 第2板
31a23 第3板
31a21 第4板
31a3 雄コネクタ
31a31 第5板
31a32 第6板
31a4 嵌合空間
31b 下部回転子
31b1 第1エッジパネル
32b 上部回転子
32b1 第2エッジパネル
33b 結合部材
33b1 第1クランププレート
33b2 第2クランププレート
33b3 第1ボルト部材
33b4 第2ボルト部材
33b5 第1ボンディング部材
33b6 第2ボンディング部材
40、40a エンドプレート
41a 円板
42a スチフナー
43a 中央領域
44a 外郭領域
50 ディスク
60、60a、60b、60c 駆動部
61a、61c モータ
62a、62c ギヤボックス
63a、63c 駆動軸
64a、64c 駆動ギヤ
65a、65c 被動ギヤ
66a、66c 被動軸
66a1 第1被動軸
66a2 第2被動軸
67a、67b ベアリングハウジング
68a カップリング部材
70、70a、70b、70c、70d、70e、70f 下部ベアリング部
71a、71b、71c、71d、71e、71f ベアリングユニット
71a1、71b1、71c1、71d1、71e1、71f1 ガイドベアリング
71c11 ベアリング軸
71a2、71b2 ベアリング支持台
71c2 第1ジョイントプレート
71c21 第1ボルト孔
71c3 第2ジョイントプレート
71c31 第2ボルト孔
71d2 ジョイントボックス
71d21 第1ボルト孔
71d22 第2ボルト孔
71e2 ガイドレール
71f2 アーム
71f3ガイドレール
81 通行路
82 開放部
83、84 窓
B1~B11 第1~第11ベアリング
S 船舶
L リフティング装置
図1
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