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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】学習プログラム、学習装置及び学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240130BHJP
   G06N 5/04 20230101ALI20240130BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240130BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240130BHJP
【FI】
G06N20/00
G06N5/04
G06T7/00 350B
G06T7/00 610C
G06T7/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020071633
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021168066
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】趙 強福
(72)【発明者】
【氏名】チョウドリ エムディ インティサル
(72)【発明者】
【氏名】古林 実
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 芳行
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/109918(WO,A1)
【文献】特開2020-035094(JP,A)
【文献】特開2020-025780(JP,A)
【文献】特開2014-036698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06T 7/00
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付け、
受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出し、
前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習プログラム。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
生成した前記第1学習データを用いることによって第1学習モデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習プログラム。
【請求項3】
請求項2において、さらに、
前記画像データに含まれる前記複数のセルから、互いに近接して位置する1以上のセル群を特定する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記抽出する処理では、前記1以上のセル群ごとに、前記複数のセルのそれぞれの位置の抽出を行う、
ことを特徴とする学習プログラム。
【請求項4】
請求項3において、
前記特定する処理では、
前記複数のセルのサイズを所定のサイズに拡大した場合における各セルの範囲を特定し、
前記複数のセルにおいて、前記範囲の少なくとも一部が重なり合う1以上のセルからなるセル群のそれぞれを前記1以上のセル群として特定する、
ことを特徴とする学習プログラム。
【請求項5】
請求項3において、さらに、
前記画像データと前記1以上のセル群の位置とを含む第2学習データを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習プログラム。
【請求項6】
請求項5において、さらに、
生成した前記第2学習データを用いることによって第2学習モデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習プログラム。
【請求項7】
請求項6において、さらに、
新たな検査対象についての新たな画像データの入力を受け付け、
前記第2学習モデルに対する前記新たな画像データの入力に伴って出力される位置のそれぞれを、前記新たな画像データに含まれる前記1以上のセル群の位置のそれぞれとして特定し、
前記1以上のセル群ごとに、前記第1学習モデルに対する前記新たな画像データのうちの各セル群に対応する部分画像データの入力に伴って出力される位置のそれぞれを、各セル群に含まれる複数のセルの位置のそれぞれとして特定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習プログラム。
【請求項8】
複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付ける検査対象入力部と、
受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出するセル抽出部と、
前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する学習データ生成部と、を有する、
ことを特徴とする学習装置。
【請求項9】
複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付け、
受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出し、
前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習プログラム、学習装置及び学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ものづくりの現場では、製造された全ての完成品に対して品質検査が行われる。具体的に、例えば、完成品が多数のセルからなるアレイである場合、品質検査を行う作業者(以下、単に作業者とも呼ぶ)は、例えば、目視によって各セルにおける欠陥の検知を行う。
【0003】
このような品質検査が目視によって行われる場合、製造された完成品の数等によって、作業者の作業負担が膨大になる場合がある。そのため、作業者は、例えば、必要な学習データを予め学習させた学習モデルを用いることによって、完成品に対する品質検査を自動的に行う場合がある。これにより、作業者は、品質検査に伴う作業負担を抑制することが可能になる(非特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://github.com/tzutalin/labelImg
【文献】https://github.com/Microsoft/VoTT/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように生成された学習モデルを用いる場合、作業者は、品質検査の対象となる完成品(例えば、複数のセル)が映る画像データと、その画像データにおける完成品の位置を示す情報(以下、アノテーションとも呼ぶ)とを含む学習データを学習モデルに入力する必要がある。そのため、例えば、品質検査の対象となる完成品の数が多い場合、各完成品に対応する学習データの生成に要する作業者の作業負担が膨大になる。具体的に、例えば、手作業による各セルの配置位置の指定(各セルを含むバウンディングボックスの指定)に伴う作業者の作業負担が膨大になる。
【0006】
そこで、完成品に対する品質検査を作業者の作業負担を抑制しながら行うことを可能とする学習プログラム、学習装置及び学習方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付け、受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出し、前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、生成した前記第1学習データを用いることによって第1学習モデルを生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、前記画像データに含まれる前記複数のセルから、互いに近接して位置する1以上のセル群を特定し、前記1以上のセル群ごとに、前記複数のセルのそれぞれの位置の抽出を行う、ことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、前記複数のセルのサイズを所定のサイズに拡大した場合における各セルの範囲を特定し、前記複数のセルにおいて、前記範囲の少なくとも一部が重なり合う1以上のセルからなるセル群のそれぞれを前記1以上のセル群として特定する、ことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、前記画像データと前記1以上のセル群の位置とを含む第2学習データを生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、生成した前記第2学習データを用いることによって第2学習モデルを生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明における学習プログラムは、一つの態様では、新たな検査対象についての新たな画像データの入力を受け付け、前記第2学習モデルに対する前記新たな画像データの入力に伴って出力される位置のそれぞれを、前記新たな画像データに含まれる前記1以上のセル群の位置のそれぞれとして特定し、前記1以上のセル群ごとに、前記第1学習モデルに対する前記新たな画像データのうちの各セル群に対応する部分画像データの入力に伴って出力される位置のそれぞれを、各セル群に含まれる複数のセルの位置のそれぞれとして特定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明における学習装置は、複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付ける検査対象入力部と、受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出するセル抽出部と、前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する学習データ生成部と、を有する、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明における学習方法は、複数のセルを含む検査対象についての画像データの入力を受け付け、受け付けた前記画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、前記画像データにおける前記複数のセルのそれぞれの位置を抽出し、前記画像データと前記複数のセルのそれぞれの位置とを含む第1学習データを生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明における学習プログラム、学習装置及び学習方法によれば、完成品に対する品質検査を作業者の作業負担を抑制しながら行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態における学習装置1の構成例を示す図である。
図2図2は、アレイ2の具体例について説明する図である。
図3図3は、LEDパターンの変化についての具体例を説明する図である。
図4図4は、LEDパターンの変化についての具体例を説明する図である。
図5図5は、LEDパターンの変化についての具体例を説明する図である。
図6図6は、第1の実施の形態の概略における学習処理を説明する図である。
図7図7は、第1の実施の形態の概略における推論処理を説明する図である。
図8図8は、第1の実施の形態における学習処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図9図9は、第1の実施の形態における学習処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図10図10は、第1の実施の形態における学習処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図11図11は、セル群CGの具体例について説明する図である。
図12図12は、セル群CGのアノテーションについて説明する図である。
図13図13は、セルCEのアノテーションについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における学習装置1の構成例を示す図である。学習装置1は、コンピュータ装置であって、例えば、汎用的なPC(Personal Computer)であってよい。また、学習装置1は、据置型、ノードブック型、タブレット型等の形態を問わない。
【0020】
学習装置1は、汎用的なコンピュータ装置のハードウエア構成を有し、例えば、図1に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、インタフェース103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0021】
記憶媒体104は、例えば、アレイに含まれるセルの位置の特定に用いる学習モデルの学習処理(以下、単に学習処理とも呼ぶ)を行うためのプログラム(図示しない)を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、学習処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶領域110を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0022】
CPU101は、記憶媒体104(記憶領域110)からメモリ102にロードされたプログラムを実行して学習処理を行う。
【0023】
また、インタフェース103は、例えば、作業者が操作を行う操作端末5と通信を行う。
【0024】
[アレイの具体例]
次に、アレイ2の具体例について説明を行う。図2は、アレイ2の具体例について説明する図である。なお、以下、アレイ2がLED(Light Emitting Diode)の電光掲示板として機能する場合について説明を行う。
【0025】
図2に示す例において、アレイ2には、横に32個のセルCEが配置され、縦に16個のセルCEが配置されている。すなわち、図2に示すアレイ2は、512個のセルCE(LED)を有している。なお、図2に示す例は、全てのセルCEが第1の色(例えば、緑)であるLEDパターンがアレイ2上に表示されている状態を示している。
【0026】
そして、図2示すアレイ2上に表示されているLEDパターンは、時間の経過とともに流動的に変化する。以下、LEDパターンの変化についての具体例を説明する。
【0027】
[LEDパターンの変化についての具体例]
図3から図5は、LEDパターンの変化についての具体例を説明する図である。
【0028】
アレイ2に含まれる各セルCEは、例えば、第1の色、第2の色(例えば、赤)及び第3の色(例えば、青)を含む模様が左側から流れてくるように、各フレームに対応するLEDパターンを連続的に表示する。そして、例えば、図2に示す状態から10フレームが経過した場合、各セルCEは、図3に示すLEDパターンを表示する。さらに、例えば、図2に示す状態から20フレームが経過した場合(図3に示す状態から10フレームが経過した場合)、各セルCEは、図4に示すLEDパターンを表示する。
【0029】
その後、各セルCEは、例えば、第1の色、第2の色及び第3の色を含む模様が上側から流れてくるように、各フレームに対応するLEDパターンを連続的に表示する。そして、例えば、図2に示す状態から30フレームが経過した場合(図4に示す状態から10フレームが経過した場合)、各セルCEは、図5に示すLEDパターンを表示する。
【0030】
一方、学習装置1は、例えば、図2等に示すアレイ2が表示したLEDパターンをカメラ等の撮像装置(図示しない)を用いることによって撮像することで、品質検査の検査対象となる動画データを取得する。その後、学習装置1は、取得した動画データの解析を行うことによって、アレイ2についての品質検査を行う。
【0031】
[第1の実施の形態の概略]
次に、第1の実施の形態の概略について説明する。図6は、第1の実施の形態の概略における学習処理を説明する図である。また、図7は、第1の実施の形態における推論処理を説明する図である。
【0032】
初めに、第1の実施の形態における学習処理の概略について説明を行う。
【0033】
学習装置1の検査対象入力部11が被検査体(アレイ2)についての学習用の画像データの入力を受け付けた場合、学習装置1のセル抽出部12は、入力を受け付けた画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれの位置を抽出する。
【0034】
具体的に、セル抽出部12は、入力を受け付けた画像データに対してハフ変換または連結成分抽出を行うことにより、その画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれの位置を抽出する。
【0035】
そして、学習装置1の学習データ生成部13は、検査対象入力部11が入力を受け付けた画像データと、その画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれの位置とを含む学習データ(以下、第1学習データとも呼ぶ)を生成する。
【0036】
その後、学習装置1の学習モデル生成部14は、学習データ生成部13が生成した学習データを用いることによって、アレイ2に含まれる各セルCEの位置を抽出する際に用いられる学習モデル(以下、第1学習モデルとも呼ぶ)を生成する。具体的に、学習モデル生成部14は、例えば、学習データ生成部13が生成した学習データを用いることによって、SSD(Single Shot Multibox Detector)やYOLO(You Only Live Once)等の深層学習モデルの生成を行う。
【0037】
すなわち、学習装置1は、ハフ変換や連結成分抽出を用いることによって、アレイ2が映る画像データから各セルCEの位置の特定を自動的に行う。そして、学習装置1は、特定した各セルCEの位置を示す情報(アノテーション)を含む学習データを自動的に生成する。
【0038】
これにより、学習装置1は、アレイ2に含まれる各セルCEの位置の抽出を行う学習モデルの生成に伴う作業者の作業負担を抑制することが可能になる。
【0039】
次に、第1の実施の形態における推論処理の概略について説明を行う。
【0040】
検査対象入力部11がアレイ2についての新たな画像データ(検査対象の画像データ)の入力を受け付けた場合、学習装置1の検査対象特定部22は、学習モデルに対する新たな画像データの入力に伴って出力された情報(各セルCEの位置を示す情報)から、新たな画像データに映るアレイ2に含まれる各セルCEの位置を特定する。
【0041】
そして、学習装置1の欠陥判定部23は、例えば、作業者による判断結果に従って、新たな画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれが欠陥を有するセル(以下、単に欠陥セルとも呼ぶ)であるか否かについての判定を行う。
【0042】
その後、学習装置1の検査結果出力部24は、欠陥セルであると判定されたセルCEを示す情報を出力する。
【0043】
[第1の実施の形態の詳細]
次に、第1の実施の形態の詳細について説明する。図8及び図9は、第1の実施の形態における学習処理の詳細を説明するフローチャート図である。また、図10は、第1の実施の形態における推論処理の詳細を説明するフローチャート図である。さらに、図11から図13は、第1の実施の形態における学習処理の詳細を説明する図である。
【0044】
[第1の実施の形態における学習処理の詳細]
初めに、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明を行う。
【0045】
学習装置1(検査対象入力部11)は、例えば、学習処理の開始タイミングになった場合、図8に示すように、複数のセルCEを含むアレイ2についての画像データの入力を受け付ける(S11)。具体的に、学習装置1は、例えば、作業者が操作端末5を介して入力した複数の画像データの入力を受け付ける。
【0046】
そして、学習装置1(セル抽出部12)は、S11の処理で入力を受け付けた画像データに含まれる複数のセルCEから、互いに近接して位置する1以上のセル群CGを特定する(S12)。
【0047】
具体的に、学習装置1は、S11の処理で入力を受け付けた画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれに対応するアノテーションの特定を行う。
【0048】
さらに具体的に、作業者は、例えば、S11の処理で入力を受け付けた画像データにおける各セル群CGの位置を計測し、計測結果をアノテーションとして学習装置1に入力する。そして、学習装置1は、例えば、入力されたアノテーションの入力を受け付ける。また、学習装置1は、例えば、S11の処理で入力を受け付けた画像データに対してハフ変換や連結成分抽出を行うことによって、各セル群CGのアノテーションを特定する。以下、セル群CG及びアノテーションの具体例について説明を行う。
【0049】
[セル群の具体例]
初めに、アレイ2(S11の処理で受け付けた画像データ)に含まれるセル群CGの具体例について説明を行う。図11は、セル群CGの具体例について説明する図である。なお、以下、各セルCEの形状が正方形である場合について説明を行うが、各セルCEの形状は、長方形や丸であってもよい。
【0050】
図11に示す例において、アレイ2には、セル群CG1、セル群CG2、セル群CG3及びセル群CG4のそれぞれが配置されている。具体的に、図11に示す例において、セル群CG1、セル群CG2、セル群CG3及びセル群CG4のそれぞれは、横に14個のセルCEが配置され、縦に6個のセルCEが配置されたセル群CGである。
【0051】
すなわち、例えば、図11に示すアレイ2が映る画像データを受け付けた場合、学習装置1は、S12の処理において、4つのセル群CGの特定を行う。
【0052】
[セル群のアノテーションの具体例]
次に、セル群CGのアノテーションについて説明を行う。図12は、セル群CGのアノテーションについて説明する図である。
【0053】
具体的に、セル群CG1のアノテーションには、例えば、図12に示すように、セル群CG1の縦のサイズを示す「h1」と、セル群CG1の横のサイズを示す「w1」とが含まれる。また、セル群CG1のアノテーションには、例えば、図12に示すように、セル群CG1の中心位置の横方向の位置(セル群CG1をXY平面に配置した場合におけるX座標)を示す「cx1」と、セル群CG1の中心位置の縦方向の位置(セル群CG1をXY平面に配置した場合におけるY座標)を示す「cy1」とが含まれる。
【0054】
図8に戻り、学習装置1(データ生成部13)は、S11の処理で入力受け付けた画像データと、S12の処理で特定した1以上のセル群CGの位置(アノテーション)とを含む学習データを生成する(S13)。
【0055】
すなわち、学習装置1は、S11の処理で入力を受け付けた画像データと、S12の処理で特定した各セル群CGに対応するアノテーションとを対応付けることによって学習データを生成する。
【0056】
そして、学習装置1(モデル生成部14)は、S13の処理で生成した学習データを用いることによって学習モデルを生成する(S14)。
【0057】
具体的に、学習装置1は、アレイ2に含まれるセル群CGの位置を特定することを可能とする学習モデル(第2学習モデル)の生成を行う。
【0058】
その後、学習装置1(セル抽出部12)は、図9に示すように、S12の処理で特定した1以上のセル群CGのうちの1つを特定する(S21)。
【0059】
そして、学習装置1(セル抽出部12)は、ハフ変換または連結成分抽出を行うことによって、S12で特定したセル群における複数のセルCEのそれぞれの位置を抽出する(S22)。
【0060】
具体的に、学習装置1は、例えば、各セルCEの形状が丸である場合、ハフ変換を用いることによって、各セルCEのそれぞれの位置の抽出を行う。また、学習装置1は、例えば、各セルCEの形状が正方形や長方形である場合、連結成分抽出を用いることによって、各セルCEのそれぞれの位置の抽出を行う。そして、学習装置1は、各セルCEのそれぞれの位置を示す情報を含むアノテーションを生成する。
【0061】
すなわち、学習装置1は、ハフ変換や連結成分抽出を用いることによって、アレイ2が映る画像データに含まれる各セルCEのアノテーションを自動的に特定する。以下、セルCEの具体例について説明を行う。
【0062】
[セルのアノテーションの具体例]
図13は、セルCEのアノテーションについて説明する図である。なお、図13に示す各セルCEは、例えば、図12で説明したセル群CGのうちの1つに含まれるセルCEである。
【0063】
具体的に、図13に示す各セルCEのアノテーションには、例えば、各セルCEの縦のサイズを示す「h2」と、各セルCEの横のサイズを示す「w2」とが含まれる。また、図13に示す各セルCEのアノテーションには、例えば、各セルCEの中心位置の横方向の位置(各セルCEをXY平面に配置した場合におけるX座標)を示す「cx2」と、各セルCEの中心位置の縦方向の位置(各セルCEをXY平面に配置した場合におけるY座標)を示す「cy2」とが含まれる。
【0064】
図9に戻り、S21の処理において全てのセル群CGの特定を行ったか否かについて判定を行う(S23)。
【0065】
その結果、全てのセル群CGの特定を行っていないと判定した場合(S23のNO)、学習装置1は、S21以降の処理を再度行う。
【0066】
一方、全てのセル群CGの特定を行ったと判定した場合(S23のYES)、学習装置1(データ生成部13)は、S11の処理で入力を受け付けた画像データと、S21の処理で特定した複数のセルCEの位置とを含む学習データを生成する(S24)。
【0067】
すなわち、学習装置1は、S11の処理で入力を受け付けた画像データと、S22の処理で特定した各セルCEに対応するアノテーションとを対応付けることによって学習データを生成する。
【0068】
そして、学習装置1(モデル生成部14)は、S24の処理で生成した学習データを用いることによって学習モデルを生成する(S25)。具体的に、学習装置1は、アレイ2に含まれる各セルCEの位置を特定することを可能とする学習モデル(第1学習モデル)の生成を行う。
【0069】
[第1の実施の形態における推論処理の詳細]
次に、第1の実施の形態における推論処理の詳細について説明を行う。
【0070】
学習装置1(検査対象入力部11)は、図10に示すように、複数のセルCEを含むアレイ2についての新たな画像データの入力を受け付ける(S31)。
【0071】
そして、学習装置1(検査対象特定部22)は、S14の処理で生成した学習モデル(第2学習モデル)に対する新たな画像データの入力に伴って出力される各セル群CGの位置を特定する(S32)。
【0072】
続いて、学習装置1(検査対象特定部22)は、S32の処理で位置を特定したセル群ごとに、S25の処理で生成した学習モデル(第1学習モデル)に対する各セル群CGの部分画像データの入力に伴って出力される各セルCEの位置を特定する(S33)。
【0073】
その後、学習装置1(欠陥判定部23)は、S31の処理で入力を受け付けた新たな画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれが欠陥セルであるか否かを判定する(S34)。
【0074】
そして、学習装置1(検査結果出力部24)は、S33の処理における判定結果を出力する(S35)。
【0075】
具体的に、学習装置1は、例えば、S31の処理で入力を受け付けた新たな画像データに含まれる複数のセルCEのそれぞれが欠陥セルであるか否かを示す情報を操作端末5に出力する。
【0076】
すなわち、本実施の形態における学習装置1は、アレイ2に含まれるセル群CGの位置を特定する学習モデルと、アレイ2に含まれる各セルCE(セル群CGに含まれる各セルCE)の位置を特定するための学習モデルとを生成する。そして、学習装置1は、生成した2つの学習モデルを用いることによって各セルCEの位置を特定し、各セルCEが欠陥セルであるか否かについての判定を行う。
【0077】
これにより、学習装置1は、検査対象(アレイ2に含まれる各セルCE)が欠陥セルであるか否かについての判定を、学習データ及び学習モデルの生成を含めて自動的に行うことが可能になる。
【0078】
また、学習装置1は、2つの学習モデルを用いることで、例えば、S31の処理で入力を受け付けた画像データが傾いている場合(画像データがアレイ2の正面から撮影されたものでない場合)であっても、アレイ2に含まれる各セルCEが欠陥セルであるか否かについての判定を行うことが可能になる。
【0079】
なお、学習装置1は、例えば、S12の処理において、アレイ2に含まれる各セルCEのサイズを仮想的に拡大することによって、S11の処理で入力を受け付けた画像データに含まれる各セルCEを1以上のセル群CGに分割するものであってもよい。
【0080】
具体的に、学習装置1は、例えば、各セルCEのサイズを拡大した場合に、少なくとも一部が重なり合うようになった複数のセルCEを、同一のセル群CGに含まれる複数のセルCEとして特定するものであってよい。
【0081】
これにより、学習装置1は、各セル群CGに含まれるセルCEの特定を容易に行うことが可能になる。また、学習装置1は、そのセル群CGにも含まれないセルCEの発生を抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0082】
1:学習装置
2:アレイ
5:操作端末
101:CPU
102:メモリ
103:インタフェース
104:記憶媒体
105:バス
CE:セル
CG:セル群
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