(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】損傷監視測定装置、損傷監視測定と補償システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/077 20130101AFI20240130BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20240130BHJP
H04B 10/2507 20130101ALI20240130BHJP
【FI】
H04B10/077
H04B3/46
H04B10/2507
(21)【出願番号】P 2019032569
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】201810311647.4
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リアン・ジュヌペン
(72)【発明者】
【氏名】ファヌ・ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ジェヌニン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225078(JP,A)
【文献】特開2018-037735(JP,A)
【文献】特開2012-222733(JP,A)
【文献】特開2012-186807(JP,A)
【文献】国際公開第2015/052895(WO,A1)
【文献】特開2012-182793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H04B 1/60
H04B 3/46-3/493
H04B 17/00-17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端に設置される損傷監視測定装置であって、
所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させる第一監視測定ユニット;及び/又は
所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させる第二監視測定ユニットを含み、
前記所定周期は、新しい1つのフレーム、又は、新しい1つのデータパケットであり、
前記所定条件は、前記損傷監視測定装置の起動、又は、光通信システムのチャネル環境に変化があったことであ
り、
前記送信端損傷のパラメータは、送信端IQ振幅不平衡、送信端IQ位相不平衡、送信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、送信端IQ遅延不平衡、及び送信端各ブランチ間クロストーク、のうちの少なくとも1つを含み、
前記受信端損傷のパラメータは、受信端IQ振幅不平衡、受信端IQ位相不平衡、受信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、受信端IQ遅延不平衡、及び受信端各ブランチ間クロストーク、のうちの少なくも1つを含み、
前記第一監視測定ユニットは、ブラインド等化アルゴリズムに基づくMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)監視測定器であり、
前記第二監視測定ユニットは、MMSE(Minimum Mean Square Error)又はLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づくMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)監視測定器である、損傷監視測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の損傷監視測定装置であって、
前記第一監視測定ユニットは、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数を確定する第一確定ユニット;及び
前記第一フィルター係数、及び/又は、前記第一フィルター係数から計算されたパラメータを前記受信端損傷のパラメータとする第二確定ユニットを含み、
前記第二監視測定ユニットは、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第二監視測定ユニットの第二フィルター係数を確定する第三確定ユニット;及び
前記第二フィルター係数、及び/又は、前記第二フィルター係数から計算されたパラメータを前記送信端損傷のパラメータとする第四確定ユニットを含む、損傷監視測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の損傷監視測定装置であって、
前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数中の主対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間の振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの相違を表し、非対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間のクロストークの周波数分布と大小を表す、損傷監視測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の損傷監視測定装置であって、
前記パイロット信号は、定モジュラス信号である、損傷監視測定装置。
【請求項5】
損傷監視測定と補償システムであって、
請求項1~
4のうちの任意の一項に記載の損傷監視測定装置;及び
受信信号中の受信端損傷を補償する第一補償器、及び/又は、受信信号中の送信端損傷を補償する第二補償器、及び/又は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正する管理装置を含む、損傷監視測定と補償システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の損傷監視測定と補償システムであって、
前記第一補償器及び前記第二補償器は、準静的補償器である、損傷監視測定と補償システム。
【請求項7】
請求項
5に記載の損傷監視測定と補償システムであって、
前記第一補償器及び/又は前記第二補償器は、前記損傷監視測定装置により確定される受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、受信端損傷及び/又は送信端損傷の補償を行う、損傷監視測定と補償システム。
【請求項8】
受信端に応用される損傷監視測定方法であって、
第一監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させ;及び/又は
第二監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させることを含み、
前記所定周期は、新しい1つのフレーム、又は、新しい1つのデータパケットであり、
前記所定条件は、
損傷監視測定装置の起動、又は、光通信システムのチャネル環境に変化があったことであ
り、
前記送信端損傷のパラメータは、送信端IQ振幅不平衡、送信端IQ位相不平衡、送信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、送信端IQ遅延不平衡、及び送信端各ブランチ間クロストーク、のうちの少なくとも1つを含み、
前記受信端損傷のパラメータは、受信端IQ振幅不平衡、受信端IQ位相不平衡、受信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、受信端IQ遅延不平衡、及び受信端各ブランチ間クロストーク、のうちの少なくも1つを含み、
前記第一監視測定ユニットは、ブラインド等化アルゴリズムに基づくMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)監視測定器であり、
前記第二監視測定ユニットは、MMSE(Minimum Mean Square Error)又はLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づくMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)監視測定器である、損傷監視測定方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の損傷監視測定方法であって、
前記受信端損傷のパラメータの確定は、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数を確定し;及び
前記第一フィルター係数、及び/又は、前記第一フィルター係数から計算されたパラメータを前記受信端損傷のパラメータとすることを含み、
前記送信端損傷のパラメータの確定は、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第二監視測定ユニットの第二フィルター係数を確定し;及び
前記第二フィルター係数、及び/又は、前記第二フィルター係数から計算されたパラメータを前記送信端損傷のパラメータとすることを含む、損傷監視測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、特に、損傷監視測定装置、損傷監視測定と補償システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今のところ、より高いボーレートを採用する高次変調方式は、単一光ファイバーのインターフェース・レートを一層向上させるための好適なスキームである。しかし、高ボーレート高次変調方式は、光送信機及び受信機IQ(同相直交/In-phase and Quadrature)不平衡及びマルチブランチ間クロストークに非常に敏感である。IQ不平衡は、主に、IQ振幅不平衡、IQ位相不平衡、IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの不平衡、及びIQ間の遅延不平衡(skew)を含む。また、光送信機及び受信機がマルチブランチの入力及び出力を有するため、回路配線などによるマルチブランチ間のクロストークも、ある程度、パフォーマンス・コストをもたらすことがある。よって、光通信システムでは、送信端損傷及び受信端損傷は、主に、IQ振幅不平衡、IQ位相不平衡、IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの不平衡及びIQ遅延不平衡、並びにマルチブランチ間のクロストークを含む。
【0003】
これらの損傷を検出及び補償するために、従来技術では、既に、多くの異なる方法が提案されている。これらの方法の共通点は、フィルターにより、損傷補償用のフィルター係数をリアルタイムに反復更新し、損傷をリアルタイムに補償することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の発明者は、次のようなことを発見した。即ち、従来の方法は、損傷補償用のフィルター係数をリアルタイムに反復更新し、損傷をリアルタイムに補償するので、計算複雑度が比較的高く、且つシステムが大きくなる恐れがある。
【0005】
発明者は、さらに、次のようなことも発見した。即ち、光通信システム中のこれらの損傷のパラメータが迅速に変化するものでなく、言い換えると、これらの損傷のパラメータの変化が比較的遅い。
【0006】
本発明の実施例は、損傷監視測定装置、損傷監視測定と補償システム及び方法を提供し、所定周期に従って又は所定条件に基づいて、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいて、これらのパラメータを確定することで、補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例の第一側面によれば、損傷監視測定装置が提供され、前記装置は、受信端に設置され、前記装置は、
第一監視測定ユニットであって、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させるもの;及び/又は
第二監視測定ユニットであって、所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させるものを含む。
【0008】
本発明の実施例の第二側面によれば、損傷監視測定と補償システムが提供され、前記システムは、
本発明の実施例の第一側面に記載の損傷監視測定装置;及び
受信信号中の受信端損傷を補償する第一補償器、及び/又は、受信信号中の送信端損傷を補償する第二補償器、及び/又は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正する管理装置を含む。
【0009】
本発明の実施例の第三側面によれば、受信機が提供され、それは、本発明の実施例の第一側面に記載の損傷監視測定装置又は本発明の実施例の第二側面に記載の損傷監視測定と補償システムを含む。
【0010】
本発明の実施例の第四側面によれば、損傷監視測定方法が提供され、前記方法は、受信端に応用され、前記方法は、
第一監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させ;及び/又は
第二監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させることを含む。
【0011】
本発明の実施例の第五側面によれば、損傷監視測定と補償方法が提供され、前記方法は、
本発明の実施例の第四側面に記載の損傷監視測定方法;及び
受信信号中の受信端損傷を補償し、及び/又は、受信信号中の送信端損傷を補償し、及び/又は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正することを含む。
【0012】
本発明の有益な効果は、次の通りであり、即ち、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定することで補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1における損傷監視測定装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1における第一監視測定ユニット101を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1における第一監視測定ユニット101の構造図である。
【
図4】本発明の実施例1における第二監視測定ユニット102を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2における損傷監視測定と補償システムを示す図である。
【
図6】本発明の実施例3における受信機のシステム構成を示す図である。
【
図7】本発明の実施例4における損傷監視測定方法を示す図である。
【
図8】本発明の実施例5における損傷監視測定と補償方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳しく説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例は、損傷監視測定装置を提供し、該損傷監視測定装置は、光通信システムの受信端に設置される。
図1は、本発明の実施例1の損傷監視測定装置を示す図である。
図1に示すように、該装置100は、次のようなものを含む。
【0016】
第一監視測定ユニット101:所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、該管理装置に、該受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させ;及び/又は
第二監視測定ユニット102:所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、該送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、該送信端損傷のパラメータを該管理装置に送信し、該管理装置に、該送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させる。
【0017】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【0018】
本実施例では、例えば、受信端損傷のパラメータは、次のようなもののうちの少なくも1つを含み、即ち、受信端IQ振幅不平衡、受信端IQ位相不平衡、受信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、受信端IQ遅延不平衡、及び受信端各ブランチ間クロストークである。
【0019】
例えば、送信端損傷のパラメータは、次のようなもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、送信端IQ振幅不平衡、送信端IQ位相不平衡、送信端IQ振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンス不平衡、送信端IQ遅延不平衡、及び送信端各ブランチ間クロストークである。
【0020】
本実施例では、光通信システムが単偏光システムのときに、送信端及び受信端は、ともに、2つのブランチの信号、即ち、Iブランチ信号及びQブランチ信号を有しても良く、光通信システムが双偏光システムのときに、送信端及び受信端は、ともに、4つのブランチの信号を有しても良く、それぞれは、Ixブランチ信号、Qxブランチ信号、Iyブランチ信号、及びQyブランチ信号である。
【0021】
本実施例では、第一監視測定ユニット101及び第二監視測定ユニット102は、所定周期に従って又は所定条件に基づいて損傷のパラメータを確定し、該所定周期及び所定条件は、実際のニーズに応じて設定されても良い。
【0022】
例えば、該所定周期は、1つのフレーム、又は、1つのデータパケットであっても良く、言い換えると、例えば、新しい1つのフレーム又は新しい1つのデータパケットについて、再び損傷のパラメータを確定する。
【0023】
例えば、該所定条件は、該装置100の起動、又は、光通信システムのチャネル環境に変化があったこと、例えば、ルーティング切り替えが生じたことである。言い換えると、例えば、光通信システムのチャネル環境に変化があったときに、再び損傷のパラメータを確定する。
【0024】
本実施例では、第一監視測定ユニット101が受信端損傷のパラメータを確定するために、各種の方法を用いても良い。以下、本実施例の受信端損傷のパラメータの確定方法について例示的に説明する。
【0025】
図2は、本発明の実施例1の第一監視測定ユニット101を示す図である。
図2に示すように、第一監視測定ユニット101は、次のようなものを含む。
【0026】
第一確定ユニット201:送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、第一監視測定ユニット101の第一フィルター係数を確定し;及び
第二確定ユニット202:該第一フィルター係数、及び/又は、該第一フィルター係数に基づいて計算されたパラメータを受信端損傷のパラメータとする。
【0027】
このようにして、パイロット信号に基づいて第一フィルター係数を確定することで、ラジアル判定誤り(radial decision error)を避けることができる。
【0028】
本実施例では、送信信号に挿入されているパイロット信号は、定モジュラス信号(constant modulus signal)であっても良く、例えば、高次変調方式の送信信号に插入されているQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)信号である。このようにして、パイロット信号を定モジュラス信号として設定することで、計算をより簡略化することができる。
【0029】
本実施例では、該第一確定ユニット201は、ブラインド等化アルゴリズム(blind equalization algorithm)により、該パイロット信号に基づいて、第一監視測定ユニット101の第一フィルター係数を確定することができる。具体的な計算方法は、従来技術を参照することができる。
【0030】
本実施例では、第一監視測定ユニット101は、ブラインド等化アルゴリズムに基づくMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)監視測定器であっても良く、例えば、4×4の実数フィルター、又は、4×2の複素数フィルターであっても良い。本実施例では、4×4の実数フィルターを例として説明を行う。
【0031】
図3は、本発明の実施例1の第一監視測定ユニット101の構造図である。
図3に示すように、該第一監視測定ユニット101の入力は、XI、XQ、YI、及びYQであり、出力がXi,out、Xq,out、Yi,out、及びYq,outである。そのうち、H
ms-nt(m,n∈{x,y},s,t∈{i,q})は、パイロット信号に基づいて訓練された第一フィルター係数である。
【0032】
本実施例では、第一フィルター係数中の主対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間の振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの相違を表し、非対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間のクロストークの周波数分布と大小を表すことができる。
【0033】
例えば、
図3に示すように、第一フィルター係数中の主対角線上の係数H
xi-xi、H
xq-xq、H
yi-yi、及びH
yq-yqは、受信端各ブランチ信号間の振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの相違を表し、上述係数以外の他の係数は、受信端各ブランチ信号間のクロストークの周波数分布と大小を表すことができる。
【0034】
例えば、H
xq-xiは、Xブランチ信号中のIQ間のクロストークを示し、該クロストークの大小は、次の式(1)により定量的に表すことができる。
【数1】
【0035】
そのうち、CrosstalkXiqは、Xブランチ信号中のIQ間のクロストークを示す。
【0036】
本実施例では、第一監視測定ユニット101は、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定した後に、該受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、該受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、該管理装置に、該受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させる。
【0037】
本実施例では、第一補償器は、各種の補償器であっても良く、例えば、第一補償器は、準静的補償器である。
【0038】
例えば、該第一補償器は、4×4の有限インパルス応答(FIR、Finite Impulse Response)フィルター、又は、4つの単一ブランチのFIRフィルターである。
【0039】
該第一補償器が4×4のFIRフィルターのときに、IQ不平衡及び各ブランチ間クロストークの補償のために、収斂(収束)後の係数Hms-ntを4×4のFIRフィルターに直接与えることができる。
【0040】
該第一補償器が4つの単一ブランチのFIRフィルターのときに、主対角線上のフィルター係数を4つの単一ブランチのFIRにフィードバックすることができる。また、さらにフィルター係数に基づいて他のパラメータ、例えば、IQ遅延不平衡(skew)の値を計算し、そして、該skewの値を受信端損傷のパラメータとして第一補償器に提供することができる。
【0041】
Xブランチ信号のIQ遅延不平衡(skew)の値を例とすると、skew値は、次の式(2)及び式(3)により計算することができる。
【数2】
【0042】
そのうち、skewは、Xブランチ信号のIQの2つのブランチのskew値を示し、unwrap[]は、unwrap関数を表し、DFT()は、離散フーリエ変換を表す。
【0043】
このようにして、フィルター係数に基づいて補償用のskew値を直接計算することで、従来のスキャン法が比較的複雑で且つ時間がかなりかかるという欠点を避けることができ、受信端等化プロセス中の等化タップ数を削減することもできる。
【0044】
本実施例では、第二監視測定ユニット102が送信端損傷のパラメータを確定するために、各種の方法を用いても良い。以下、本実施例の送信端損傷のパラメータの確定方法について例示的に説明する。
【0045】
図4は、本発明の実施例1の第二監視測定ユニット102を示す図である。
図4に示すように、第二監視測定ユニット102は、次のようなものを含む。
【0046】
第三確定ユニット401:送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、第二監視測定ユニット102の第二フィルター係数を確定し;及び
第四確定ユニット402:該第二フィルター係数、及び/又は、該第二フィルター係数に基づいて計算されたパラメータを送信端損傷のパラメータとする。
【0047】
本実施例では、第三確定ユニット401は、送信信号中のパイロット信号に基づいて第二フィルター係数を確定するときに、受信信号に対して受信端損傷補償が行われた後の受信信号を採用する。
【0048】
このようにして、パイロット信号に基づいて第二フィルター係数を確定することで、Xブランチ、Yブランチ、Iブランチ、及びQブランチのブラインチ曖昧の問題を避けることができる。
【0049】
本実施例では、該第三確定ユニット401は、MMSE(Minimum Mean Square Error)又はLMS(Least Mean Square)アルゴリズムにより、該パイロット信号に基づいて、第二監視測定ユニット102の第二フィルター係数を確定することができる。具体的な計算方法は、従来技術を参照することができる。
【0050】
本実施例では、第二監視測定ユニット102は、MMSE又はLMSアルゴリズムに基づくMIMO監視測定器であっても良く、例えば、4×4の実数フィルター、又は、4×2の複素数フィルターである。本実施例では、4×4の実数フィルターを例として説明を行う。その係数の配列方式は、
図3に示す第一監視測定ユニット101に類似しており、その第二フィルター係数は、M
ms-nt(m,n∈{x,y},s,t∈{i,q})と記すことができる。
【0051】
本実施例では、さらに第二フィルター係数Mms-nt(m,n∈{x,y},s,t∈{i,q})に基づいて他のパラメータを計算することもできる。
【0052】
Xブランチ信号のIブランチ及びQブランチ間の不平衡を例とすると、そのIQ振幅不平衡、IQ位相不平衡、及びIQ遅延不平衡(skew)は、次の式(4)~(7)により計算することができる。
【数3】
【0053】
そのうち、γ
dBは、IQ振幅不平衡を表し、
(外1)
は、IQ位相不平衡を表し、skew(ω)は、IQ遅延不平衡を表し、DFT()は、離散フーリエ変換を表す。
【0054】
本実施例では、第二監視測定ユニット102は、所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定した後に、該送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、該送信端損傷のパラメータを該管理装置に送信し、該管理装置に、該送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させる。
【0055】
本実施例では、第二補償器は、各種の補償器であっても良く、例えば、第二補償器は、準静的補償器である。
【0056】
本実施例では、第一監視測定ユニット101及び第二監視測定ユニット102は、同時に存在しても良く、ニーズに応じてそのうちの1つだけが設置されても良い。
【0057】
また、第一監視測定ユニット101は、該受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してももらっても良く、該受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、該管理装置に、該受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させても良く、又は、その両方を同時に行っても良い。
【0058】
また、第二監視測定ユニット102は、該送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して受信信号中の送信端損傷を補償してもらっても良く、該送信端損傷のパラメータを該管理装置に送信し、該管理装置に、該送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させても良く、又は、その両方を同時に行っても良い。
【0059】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【実施例2】
【0060】
本発明の実施例は、さらに、損傷監視測定と補償システムを提供する。
図5は、本発明の実施例2の損傷監視測定と補償システムを示す図である。
図5に示すように、システム500は、
損傷監視測定装置501;及び
次のようなもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、
受信信号中の受信端損傷を補償する第一補償器502;
受信信号中の送信端損傷を補償する第二補償器503;及び
受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正する管理装置504である。
【0061】
本実施例では、損傷監視測定装置501の構造及び機能は、実施例1中のものと同じであるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0062】
本実施例では、第一補償器502及び第二補償器503は、各種の補償器であっても良く、例えば、準静的補償器である。その具体的な内容は、実施例1の記載を参照することができるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0063】
本実施例では、第一補償器502及び/又は第二補償器503は、損傷監視測定装置501確定の受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、受信端損傷及び/又は送信端損傷の補償を行うことができる。また、第一補償器502及び/又は第二補償器503は、他の方法を採用して受信端損傷及び/又は送信端損傷の補償を行っても良い。
【0064】
本実施例では、管理装置504は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し、又は、受信機及び/又は送信機を較正し、又は、その両方を同時に行っても良い。
【0065】
このようにして、故障分析により、有効な対応を行うことができ、又は、受信機及び/又は送信機を直接較正することで、システムのパフォーマンスをさらに保証することができる。
【0066】
本実施例では、管理装置504が損傷生成の原因を分析し及び対受信機及び/又は送信機を較正する具体的な方法は、従来技術を参照することができるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0067】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【実施例3】
【0068】
本発明の実施例は、さらに、受信機を提供し、該受信機は、実施例1に記載の損傷監視測定装置又は実施例2に記載の損傷監視測定と補償システムを含み、該損傷監視測定装置及び損傷監視測定と補償システムの具体的な構造及び機能は、実施例1及び実施例2の記載を参照することができるので、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0069】
図6は、本発明の実施例3の受信機のシステム構成を示す図である。
図6に示すように、受信機600は、直交化ユニット601、第一補償器602、等化器603、周波数オフセット補償/キャリア回復ユニット604、第二補償器605、判定ユニット606、第一監視測定ユニット607、第二監視測定ユニット608、及び管理装置609を含む。
【0070】
本実施例では、直交化ユニット601、等化器603、周波数オフセット補償/キャリア回復ユニット604、及び判定ユニット606の具体的な構造及び機能は、従来技術を参照することができる。
【0071】
本実施例では、第一補償器602、第二補償器605、第一監視測定ユニット607、第二監視測定ユニット608、及び管理装置609の具体的な構造及び機能は、実施例1及び実施例2の記載を参照することができる。
【0072】
図6に示すように、受信信号が同時に直交化ユニット601及び第一監視測定ユニット607に入力され、直交化ユニット601は、受信信号をIxブランチ信号、Qxブランチ信号、Iyブランチ信号、及びQyブランチ信号という4つのブランチの信号に分解し、第一監視測定ユニット607は、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、該受信端損傷のパラメータを第一補償器602及び管理装置609に送信し、第一補償器602は、受信端損傷のパラメータに基づいて受信端損傷の補償を行い、受信端損傷補償後の受信信号は、等化器603に入って等化処理され、このときに、該等化器603は、短タップ数(short taps)の等化器であっても良く、等化器603の等化処理後の受信信号は、周波数オフセット補償/キャリア回復ユニット604に入力されて周波数オフセット補償及びキャリア回復され、第二監視測定ユニット608は、周波数オフセット補償及びキャリア回復後の受信信号に基づいて、所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、該送信端損傷のパラメータを第二補償器605及び管理装置609に送信し、第二補償器605は、送信端損傷のパラメータに基づいて送信端損傷の補償を行い、送信端損傷補償後の受信信号は、判定ユニット606に入力されて判定された後に出力され、管理装置609は、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正する。
【0073】
本実施例では、第一補償器602、第二補償器605、第一監視測定ユニット607、第二監視測定ユニット608、及び管理装置609の機能は、受信機の処理器により実行されても良く、例えば、受信機のデジタル信号処理器(DSP)により実行される。
【0074】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【実施例4】
【0075】
本発明の実施例は、さらに、損傷監視測定方法を提供し、それは、実施例1の損傷監視測定装置に対応する。
図7は、本発明の実施例4の損傷監視測定方法を示す図である。
図7に示すように、該方法は、次のようなステップを含む。
【0076】
ステップ701:第一監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、該受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、該管理装置に、該受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析され及び/又は受信機を較正させ;及び/又は
ステップ702:第二監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、該送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、該送信端損傷のパラメータを該管理装置に送信し、該管理装置に、該送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させる。
【0077】
本実施例では、該方法は、ステップ701又はステップ702を有しても良く、ステップ701及びステップ702を同時に有しても良く、その具体的な実現方法は、実施例1の記載を参照することができるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0078】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【実施例5】
【0079】
本発明の実施例は、さらに、損傷監視測定と補償方法を提供し、それは、実施例2の損傷監視測定と補償システムに対応する。
図8は、本発明の実施例5の損傷監視測定と補償方法を示す図である。
図8に示すように、該方法は、
ステップ801:受信端損傷及び/又は送信端損傷の監視測定を行い;及び
次のようなステップのうちの少なくとも1つを含み、即ち、
ステップ802:受信信号中の受信端損傷を補償し;
ステップ803:受信信号中の送信端損傷を補償し;
ステップ804:受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し;及び
ステップ805:受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、受信機及び/又は送信機を較正する。
【0080】
本実施例では、上述の各ステップを実現するための具体的な実現方法は、実施例1及び実施例2の記載を参照することができるから、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0081】
上述の実施例から分かるように、所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータ及び/又は送信機損傷のパラメータを確定することで、補償又は較正を行うため、計算複雑度及びシステムエネルギー消費を有効に低減することができ、また、受信端損傷のパラメータ及び送信端損傷のパラメータが迅速に変化しないため、所定周期に従って又は所定条件に基づいてこれらのパラメータを確定して補償又は較正を行うことは、補償又は較正の効果に影響を与えることがなく、システムのパフォーマンスを保証することができる。
【0082】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを提供し、そのうち、損傷監視測定装置又は受信機中で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムは、コンピュータに、前記損傷監視測定装置又は受信機中で実施例4に記載の損傷監視測定方法を実行させる。
【0083】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを提供し、そのうち、損傷監視測定と補償システム又は受信機中で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムは、コンピュータに、前記損傷監視測定と補償システム又は受信機中で実施例5に記載の損傷監視測定と補償方法を実行させる。
【0084】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体を提供し、そのうち、前記コンピュータ可読プログラムは、コンピュータに、損傷監視測定装置又は受信機中で実施例4に記載の損傷監視測定方法を実行させる。
【0085】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体を提供し、そのうち、前記コンピュータ可読プログラムは、コンピュータに、損傷監視測定と補償システム又は受信機中で実施例5に記載の損傷監視測定と補償方法を実行させる。
【0086】
また、本発明の実施例による装置、方法などは、ソフトウェアにより実現されても良く、ハードェアにより実現されてもよく、ハードェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されても良い。本発明は、このようなコンピュータ可読プログラムにも関し、即ち、前記プログラムは、ロジック部品により実行される時に、前記ロジック部品に、上述の装置又は構成要素を実現させることができ、又は、前記ロジック部品に、上述の方法又はそのステップを実現させることができる。さらに、本発明は、上述のプログラムを記憶した記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フレッシュメモリなどにも関する。
【0087】
また、以上の実施例などに関して、更に次のように付記を開示する。
【0088】
(付記1)
受信端に設置される損傷監視測定装置であって、
所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させる第一監視測定ユニット;及び/又は
所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させる第二監視測定ユニットを含む、装置。
【0089】
(付記2)
付記1に記載の装置であって、
前記第一監視測定ユニットは、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数を確定する第一確定ユニット;及び
前記第一フィルター係数、及び/又は、前記第一フィルター係数から計算されたパラメータを前記受信端損傷のパラメータとする第二確定ユニットを含み、
前記第二監視測定ユニットは、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第二監視測定ユニットの第二フィルター係数を確定する第三確定ユニット;及び
前記第二フィルター係数、及び/又は、前記第二フィルター係数から計算されたパラメータを前記送信端損傷のパラメータとする第四確定ユニットを含む、装置。
【0090】
(付記3)
付記2に記載の装置であって、
前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数中の主対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間の振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの相違を表し、非対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間のクロストークの周波数分布と大小を表す、装置。
【0091】
(付記4)
付記2に記載の装置であって、
前記パイロット信号は、定モジュラス信号である、装置。
【0092】
(付記5)
付記1に記載の装置であって、
前記第一監視測定ユニットは、ブラインド等化アルゴリズムに基づくMIMO監視測定器であり、
前記第二監視測定ユニットは、MMSE又はLMSアルゴリズムに基づくMIMO監視測定器である、装置。
【0093】
(付記6)
損傷監視測定と補償システムであって、
付記1~5中の任意の一項に記載の損傷監視測定装置;及び
受信信号中の受信端損傷を補償する第一補償器、及び/又は、受信信号中の送信端損傷を補償する第二補償器、及び/又は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正する管理装置を含む、システム。
【0094】
(付記7)
付記6に記載のシステムであって、
前記第一補償器及び第二補償器は、準静的補償器である、システム。
【0095】
(付記8)
付記6に記載のシステムであって、
前記第一補償器及び/又は第二補償器は、前記損傷監視測定装置確定の受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、受信端損傷及び/又は送信端損傷の補償を行う、システム。
【0096】
(付記9)
受信機であって、
付記1~5中の任意の一項に記載の損傷監視測定装置又は付記6~8中の任意の一項に記載の損傷監視測定と補償システムを含む、受信機。
【0097】
(付記10)
受信端に応用される損傷監視測定方法であって、
第一監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて受信端損傷のパラメータを確定し、前記受信端損傷のパラメータを第一補償器に送信して受信信号中の受信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記受信端損傷のパラメータを管理装置に送信し、前記管理装置に、前記受信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は受信機を較正させ;及び/又は
第二監視測定ユニットが所定周期に従って又は所定条件に基づいて送信端損傷のパラメータを確定し、前記送信端損傷のパラメータを第二補償器に送信して前記受信信号中の送信端損傷を補償してもらい、及び/又は、前記送信端損傷のパラメータを前記管理装置に送信し、前記管理装置に、前記送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析させ及び/又は送信機を較正させることを含む、方法。
【0098】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、
前記受信端損傷のパラメータの確定は、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数を確定し;及び
前記第一フィルター係数、及び/又は、前記第一フィルター係数から計算されたパラメータを前記受信端損傷のパラメータとすることを含み、
前記送信端損傷のパラメータの確定は、
送信信号に挿入されているパイロット信号に基づいて、前記第二監視測定ユニットの第二フィルター係数を確定し;及び
前記第二フィルター係数、及び/又は、前記第二フィルター係数から計算されたパラメータを前記送信端損傷のパラメータとすることを含む、方法。
【0099】
(付記12)
付記11に記載の方法であって、
前記第一監視測定ユニットの第一フィルター係数中の主対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間の振幅周波数レスポンスと位相周波数レスポンスの相違を表し、非対角線上の係数は、受信端各ブランチ信号間のクロストークの周波数分布と大小を表す、方法。
【0100】
(付記13)
付記11に記載の方法であって、
前記パイロット信号は、定モジュラス信号である、方法。
【0101】
(付記14)
付記10に記載の方法であって、
前記第一監視測定ユニットは、ブラインド等化アルゴリズムに基づくMIMO監視測定器であり、
前記第二監視測定ユニットは、MMSE又はLMSアルゴリズムに基づくMIMO監視測定器である、方法。
【0102】
(付記15)
損傷監視測定と補償方法であって、
付記10~14中の任意の一項に記載の損傷監視測定方法;及び
受信信号中の受信端損傷を補償し、及び/又は、受信信号中の送信端損傷を補償し、及び/又は、受信端損傷のパラメータ及び/又は送信端損傷のパラメータに基づいて、損傷生成の原因を分析し及び/又は受信機及び/又は送信機を較正することを含む、方法。
【0103】
(付記16)
付記15に記載の方法であって、
前記第一補償器及び前記第二補償器は、準静的補償器である、方法。
【0104】
(付記17)
付記15に記載の方法であって、
前記受信信号中の受信端損傷の補償は、
前記損傷監視測定装置確定の受信端損傷のパラメータに基づいて、受信端損傷の補償を行うことを含み、
前記受信信号中の送信端損傷の補償は、
前記損傷監視測定装置確定の送信端損傷のパラメータに基づいて、送信端損傷の補償を行うことを含む、方法。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。