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特許7427868捺染インク用口栓付き二重包装袋、およびそれを使用したバッグインボックス
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  • 特許-捺染インク用口栓付き二重包装袋、およびそれを使用したバッグインボックス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】捺染インク用口栓付き二重包装袋、およびそれを使用したバッグインボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/08 20060101AFI20240130BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20240130BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B65D30/08
B65D77/04 F
B65D77/06 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019071179
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020169035
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】山下 香往里
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅恵
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-128144(JP,A)
【文献】特開平08-267680(JP,A)
【文献】特開2006-240221(JP,A)
【文献】特開2005-067176(JP,A)
【文献】特開2014-223947(JP,A)
【文献】特開2000-211653(JP,A)
【文献】特開平09-132270(JP,A)
【文献】特開2015-024842(JP,A)
【文献】特開2006-008180(JP,A)
【文献】特開平11-227787(JP,A)
【文献】特開2018-135139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/08
B65D 77/04
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捺染インクを内容物とし、前記内容物側から順に、第1シーラント層、内包装基材層、第2シーラント層を備える内包装積層体からなる内包装袋と、
前記内包装袋を収納する外包装袋であって、内包装袋側から順に第3シーラント層、外包装基材層を備える外包装積層体からなる外包装袋と、
前記内包装袋と前記外包装袋とを貫通する開口部に着設した口栓とからなる二重包装袋であって、
前記第1シーラント層及び第2シーラント層は、無機系滑剤を含有し、且つ、有機系滑剤を含有せず、
前記第2シーラント層の表面の算術平均粗さが0.5μm以上1.5μm以下であることを特徴とする捺染インク用口栓付き二重包装袋。
【請求項2】
前記内包装基材層及び前記外包装基材層が2軸延伸ポリアミドを含み、
前記第1シーラント層、第2シーラント層及び第3シーラント層が、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリオレフィンの何れかからなることを特徴とする請求項1に記載の捺染インク用口栓付き二重包装袋。
【請求項3】
前記内包装基材層及び前記外包装基材層の少なくとも何れか一方が、金属又は金属酸化物の蒸着層を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の捺染インク用口栓付き二重包装袋。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した捺染インク用口栓付き二重包装袋を外箱に収納し、前記口栓付き二重包装袋外面を外箱内面に固着したことを特徴とするバッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、大容量の液体を収納する包装袋で、バッグインボックスなどに使用される捺染インク用口栓付包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の液体を収納する容器として、落下などの衝撃に耐えるには、包装袋だけでは強度が足りない。そこで、ダンボールなどで作られた外箱に、強靭な基材層を有する包装袋を入れたバッグインボックスが考案された。
このバッグインボックスに使用する包装袋は、強靭な強度を有する基材層と、フィルム同士を融着しやすくするシーラント層とを有する積層フィルムによって構成されている。
【0003】
上記積層フィルムを製造するには、例えば、特許文献1では、
スパウト付きの偏平なバッグをミシン目を介して多数連設したシート状連続バッグを、フィード方向に向かって低く所定傾斜姿勢でフィードするインフィードロールと、該インフィードロール後方にあってフィードされた連続バッグのうちの最先端バッグを前記所定傾斜姿勢とほぼ同一傾斜姿勢でそれぞれ交互に受取る第1スイングフィードテーブル及び第2スイングフィードテーブルと、該第1,第2スイングフィードテーブルに備えたバッグクランプ機構と、該第1,第2スイングフィードテーブルを傾斜姿勢と水平姿勢とにそれぞれ交互に姿勢変換する姿勢変換機構と、水平姿勢に変換された該第1,第2スイングフィードテーブルをフィード幅方向の一側方と他側方とにそれぞれ交互に移動させる幅方向移動機構と、前記第1,第2スイングフィードテーブルのいずれか一方がバッグクランプ機構にて連続バッグの最先端バッグをクランプしながら水平姿勢に姿勢変換する際に、ミシン目を介して連続バッグからその最先端バッグを単一バッグとして切り離すための前記第1,第2スイングフィードテーブル上端部近傍上方に備えるバッグカッター部と、単一バッグをクランプしながら水平姿勢に姿勢変換された後に一側方又は他側方に移動する第1又は第2スイングフィードテーブル上の各々単一バッグを引出して、前記インフィードロール下方を通ってそれぞれ交互に折返しフィードするそれぞれ第1引出スライドユニット及び第2引出スライドユニットと、引出された各々単一バッグを支持して搬出するそれぞれ第1昇降搬送テーブル及び第2昇降搬送テーブルと、該第1,第2昇降搬送テーブル上に引出された各々単一バッグにそれぞれ交互に内容物を充填する第1充填ユニット及び第2充填ユニットと、内容物が充填された各々単一バッグを前記第1,第2昇降搬送テーブルにて下降させ且つ折返し搬出して第1,第2スイングフィードテーブル下方を通ってそれぞれ交互に搬出する第1搬出コンベア及び第2搬出コンベアと、交互に搬出されて第1,第2搬出コンベア端部の幅方向一側方と他側方よりそれぞれ交互に落下する単一バッグを一旦受取った後、該搬出コンベアの中間部に供給される段ボールケース直上に移動して該ケース内に単一バッグを収納する幅方向に移動可能なバッグシューターとを設けたことを特徴とするバッグインボックスのバッグ充填収納装置を提案している。
【0004】
このように、充填収納袋を成形するには、スイングフィードテーブル上を滑らせたり、ロールに通したり、スライドユニットで移動させるなど、縦横に積層フィルムや収納袋を機械上で滑らせて移動させる工程が必要である。
このような工程は、フィルム内部に有機系滑剤を含有しているので、セーラーなど機械と接する時の滑り性を付与することによって、高い生産性を得ている。
【0005】
また、特許文献2では、基材フィルムとシーラントフィルムとからなる複合フィルムと、シーラントフィルム単体の2種類のプラスチックフィルムからなる二重袋形式の包装袋であり、かつ、ミシン目を介して連続的につながっているバッグインボックス用内袋において、注ぎ口を溶着した面のフィルム構成が、外装側フィルムは基材フィルムとシーラントフィルムとからなる複合フィルムからなり、接液側フィルムはシーラントフィルム単体からなる組み合わせからなり、もう一方の面の注ぎ口を溶着しない方の面のフィルム構成が、シーラントフィルム単体のみからなることを特徴とするバッグインボックス用内袋を提案している。
【0006】
特許文献2のバッグインボックス用内袋は、二重袋形式の包装袋にすることによって、大容量の内容物に対応し、ミシン目で、連続的につながった連続充填用の包装袋とし、外箱に入れて組み立てやすいバッグインボックス用の包装袋である。
しかし、特許文献1と同じように、これらの基材には、フィルムに成形後、セーラーなどで折り畳んだり、折り曲げたり、ガゼットを作ったりするなどの加工性を確保するのに、有機系滑剤を含有して、始めて、セーラーなど機械と接する時の滑り性を付与されて、高い生産性を得ている。
【0007】
しかしながら、例えば、エルカ酸アミドのような有機系の滑剤が包装袋に含有し、捺染用インキなどが内容物である場合には、その包装袋に内容物が接すると、滑剤によって凝集してしまうなどの問題が発生していた。
このような、包装袋を構成するフィルム素材によって内容物を変質させるなどの問題に対し、滑剤を抜いた場合、セーラーで滑らないで、フィルムが詰まってしまう、皺だらけになって、形状を保てないなど、生産性が著しく落ちてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第2738240号公報
【文献】特開20007-238129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、内容物と接するフィルムには有機系の滑剤を入れずに、かつ、包装袋に加工する加工性を確保できる包装袋を得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の捺染インク用口栓付き二重包装袋は、捺染インクを内容物とし、内容物側から順に、第1シーラント層、内包装基材層、第2シーラント層を備える内包装積層体からなる内包装袋と、内包装袋を収納する外包装袋であって、内包装袋側から順に第3シーラント層、外包装基材層を備える外包装積層体からなる外包装袋と、内包装袋と外包装袋とを貫通する開口部に着設した口栓とからなる二重包装袋であって、第1シーラント層及び第2シーラント層は、無機系滑剤を含有し、且つ、有機系滑剤を含有せず、第2シーラント層の表面の算術平均粗さが0.5μm以上1.5μm以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の口栓付き二重包装袋は、内容物と接する内包装袋に有機系滑剤を使用していないので、捺染用インキなどが内容物に含まれていても、滑剤による凝集などの不具合が発生しない。
また、内包装袋外面の第2シーラント層表面を算術平均粗さ0.5μm以上1.5μm以下としたことによって、セーラーやローラーにおける滑り性を得られるので、包装袋への
加工性が得られるので、高い生産性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の口栓付き二重包装袋の一例で、その斜視図と、キャップを嵌合した断面図である。
図2】本発明の口栓付き二重包装袋の包装積層体構成図である。
図3】本発明の口栓付き二重包装袋に用いる口栓とキャップの一例を示す縦断面図である。
図4】本発明の口栓付き二重包装袋の別の一例で、実施例、比較例で製造する内容物充填前の口栓付き二重包装袋の斜視図と、その断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の口栓付き二重包装袋の実施形態例について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の口栓付き二重包装袋1の一例で、その斜視図と、口栓3にキャップ4を嵌合した断面図である。
本発明の口栓付き二重包装袋1は、図1-1に示すように、フィルムで袋状に形成された二重包装袋2と、包装袋を形成するフィルム間で融着した口栓3とから形成されている。この図では、二重包装袋2が4側面を側シールした包装袋となっているが、内包装袋21と外包装袋22の1側面を折り曲げて3方シールした包装袋であってもかまわない。
【0014】
図1-2に示すように、二重包装袋2は、内容物5を収納する内包装袋21と、内包装袋21を収納する外包装袋22と、から構成されている。
二重包装袋2周縁の側シール部11では、内包装袋21と外包装袋22の側シール部同士が同時に融着され、内包装袋21と外包装袋22との間には、隙間を有し、空気層23を形成している。
さらに、内包装袋21と外包装袋22とを貫通する開口部12を設け、かつ、前記開口部12に口栓3を突き刺した状態としている。そして、開口部周縁の内包装袋21内面に口栓3の融着フランジ31を融着し、かつ、同時に内包装袋21の開口部周縁外面に、外包装袋22開口部周縁内面を融着している。
【0015】
図2は、本発明の口栓付き二重包装袋の包装積層体の構成図である。
内包装袋21は、少なくとも、内包装基材層211と、その表裏を覆う第一シーラント層213と、第2シーラント層212とからなる内包装積層体210から構成されている。また、外包装袋22は、少なくとも外包装基材層221と第3シーラント層222を有する外包装積層体220から構成されている。
【0016】
内包装袋21や外包装袋22に使用される内包装基材層211や外包装基材層221は、2軸延伸ポリアミド樹脂フィルムが良い。
基材層として、柔軟性が高い2軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用することによって、落下などの衝撃に対して、破断しにくくなる。
特に液体を封入するバッグインボックス用内袋の基材として使用すると、外箱に添って箱に収まりやすい包装袋になる。
使用されるポリアミド樹脂は、6-ナイロン、6,6-ナイロン、11―ナイロン、12―ナイロンなどや、6-、6,6-共重合ナイロン、6-、10-共重合ナイロン、6-、12-共重合ナイロンなどの共重合ナイロンなどが使用できる。
10μmより薄いと、衝撃で伸びて破断しやすく、30μmより厚いと、柔軟性がなくなるので、厚みは10~30μmの範囲が好ましい。
【0017】
さらに、上記基材層には、アルミニウムなどの金属、又は酸化ケイ素やアルミナ(酸化
アルミニウム)などの金属酸化物の蒸着層を設けたり、ポリ塩化ビニリデンなどのコート層を設けても良い。
このような蒸着層やコート層を設けることによって、高いバリア性を得て、酸化劣化しやすい内容物に対しても、長期保存が可能とすることができる。
同時に、水や香りなどのバリア性も高めることができる。
【0018】
また、第1シーラント層213や、第2シーラント層212、第3シーラント層222などのシーラント層に使用する樹脂は、密度0.89~0.93g/cmの低密度ポリエチレン、又は直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
外包装積層体の外層に使用する場合は、30~50μmが良い。
外包装積層体の第3シーラント層に使用する場合は、40~70μmが良い。
内包装積層体の第1シーラント層に使用する場合には、50~100μmの範囲が良い。上記低密度ポリエチレン、又は直鎖状低密度ポリエチレンは、強い融着強度を得られるだけではなく、内容物に対して反応性が低く、変質するなどの問題が発生しにくい。
【0019】
ここで、内包装袋の第1シーラント層213や、第2シーラント層212には、有機系滑剤を含有しないシーラント層とする。
捺染用インキなどが内容物である場合には、その包装袋として、エルカ酸アミドのような滑剤が包装袋に含有したシーラント層を用いると、内容物が滑剤によって凝集してしまうなどの問題が発生していた。滑剤は、シーラント層などに使用されるオレフィン系樹脂内部で浸透しやすい性質を有する材料なので、シーラント層内部に含有していると、内容物と反応しやすい問題を抱えていた。
このような、包装袋を構成するフィルム素材によって内容物を変質させるなどの問題に対し、滑剤を抜いた場合、製袋機の接触するセーラーなどの表面で滑らないで、フィルムが詰まってしまう、皺だらけになって形状を保てないなど、生産性が著しく落ちてしまう問題が生じていた。
【0020】
有機系の滑剤を使用しないで、滑り性を得る方法として、本発明者は、内包装袋外面となる第2シーラント層212の表面には、マット状の凹凸に表面を粗すことによって解決することを見出した。
粗さ加工は、Tダイでフィルム状に押出した溶融樹脂を、表面をマット状に加工したシリコンロールとクーリングロールとによって挟んで押し当てて成形するなどして、形成することができる。
また、無機系のシリカやゼオライトなどの無機系の滑剤を使用してマット状の表面に粗す方法であってもかまわない。
マット状の凹凸にすることによって、セーラーなどの加工機械の部材と接する部分で、シーラント層との間に空気層を作り、空気が滑剤の役目を果たして、製品と共に移動し、摩擦係数を著しく低下させることができる。
0.5μm未満の算術平均粗さでは、空気層を作ることができないで、滑り性を著しく落とし、外包装積層体と内包装積層体との間でねじれが生じ、製品に皺が発生したり、ローラーやセーラーなどに接触する時に、密着してしまったり、脈動を起こしたり、皺を作ってしまう問題が発生する。
また、1.5μmを超える算術平均粗さでは、加工機械から積層体が逃げるようにずれたり、融着時にエアーが入って、安定した融着を得られないなどの問題が発生しやすい。
この為、この表面の凹凸は、算術平均粗さで0.5μm以上1.5μm以下とする。
【0021】
上記本発明の口栓付き二重包装袋に使用する包装積層体は、一般的なドライラミネート機や、エクストルーダーラミネート機などを使用して積層することができる。
また、口栓付き二重包装袋に成形するには、内包装積層体と外包装積層体とを重ね合わせて開口し、開口部に口栓を融着して着設後、4方シールや、3方シール、あるいは、一部
を内側に折り込んでガゼットを形成するなどの形態をとることができると共に、その融着は一般的なヒートシール方式やインパルスシール方式などによって製造できる。
【0022】
口栓を装着するには、表側の内包装積層体と外包装積層体を重ねた状態で、まず、所定位置にプレスやロータリー抜き刃などで開孔する。そして、その開孔した開口部の内側から口栓を挿入し、口栓のフランジ上面と第1シーラント面とを合わせて融着し、表側のフィルムを形成する。
【0023】
本発明の包装袋は以上のようなものであるが、前面フィルムと後面フィルムと底用中間フィルムを一枚のフィルムで代用し、底用中間フィルム部分でフィルムを折り畳んで対応しても良い。
【0024】
また、口栓に使用する樹脂は低温で融着可能な熱可塑性樹脂であって、かつ、剛性があり、形状を保持し易く、キャップとの嵌合も可能な強度を有する樹脂を使用する。例えば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体などの樹脂が考えられる。
【実施例
【0025】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0026】
<実施例1>
外包装積層体として、外側から、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム50μm/アルミナ蒸着6-ナイロン15μm/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム55μmとし、表裏それぞれの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムには有機系滑剤としてエルカ酸アミドを500ppm含有させた構成とした。
また、内包装積層体として、外側から、製膜時に表面を荒らしたシリコン製の表面としたセミマットロールを用いて表面の平均算術粗さを0.5μmに作成した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム40μm/アルミナ蒸着6-ナイロン15μm/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム55μmとした。ただし、表裏それぞれの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムには有機系滑剤を添加しない樹脂を用いた。
外包装積層体と内包装積層体を600mm幅でスリットに掛け、ロール状に巻き取ったロールフィルムをそれぞれ1巻ずつ作成した。
口栓3は、中密度ポリエチレンで図3の形状に射出成形した。
表側の内包装積層体と外包装積層体を重ねた状態で、所定位置にプレス型で開孔し、その開孔した開口部12の内側から口栓3を挿入し、口栓の融着フランジ31上面と第1シーラント面とを合わせて融着すると同時に内包装積層体21と外包装積層体22を同じ位置でシールした。
表側の内包装積層体と外包装積層体と、それぞれ、セーラーを使って幅の中央で折り畳み、幅300mmの4枚重ね状態とした。
折り罫の左辺13と反対側の右辺側シール部11と下辺14の2辺を融着し、図4の形状の口栓付き二重包装袋1を作成した。
未シール状態の上辺15から内容物としてインキを充填後、巻き出し方向400mmの位置で幅方向の融着し、その外側を裁断し、内容量3Lの包装袋を10個作成した。
合わせて、摩擦係数測定用に、幅方向80mm、流れ方向200mmの測定片を6セット採取した。
【0027】
<実施例2>
内包装積層体が、表面に完全マットロールを用いて第2シーラントフィルムを表面の平均
算術粗さを1.3μmに作成した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム40μmを使用し、その他の外包装積層体や口栓などは実施例1と同じ構成で包装袋を10個作成した。
合わせて、摩擦係数測定用に、幅方向80mm、流れ方向200mmの測定片を6セット採取した。
【0028】
<比較例1>
内包装積層体は、表面にミラーロールを用いて第2シーラントフィルムを表面の平均算術粗さを0.1μmに作成した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム40μmを使用し、その他の外包装積層体や口栓などは実施例1と同じ構成で包装袋を10個作成した。
合わせて、摩擦係数測定用に、幅方向80mm、流れ方向200mmの測定片を6セット採取した。
【0029】
<比較例2>
内包装積層体は、表面にダブルマットロールを用いて第2シーラントフィルムを表面の平均算術粗さを1.6μmに作成した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム40μmを使用し、その他の外包装積層体や口栓などは実施例1と同じ構成で包装袋を10個作成した。
合わせて、摩擦係数測定用に、幅方向80mm、流れ方向200mmの測定片を6セット採取した。
【0030】
<評価方法>
<平均粗さ測定>株式会社キーエンス社製VK-200レーザー顕微鏡で、倍率400倍で光学的に測定した。
【0031】
<静摩擦係数測定>JIS K 7125に準拠し、内包装積層体の第2シーラントフィルム表面同士を、それぞれフィルム流れ方向に重ねた状態で3セット測定した。
【0032】
<動摩擦係数測定>JIS K 7125に準拠し、内包装積層体の第2シーラントフィルム表面同士を、それぞれフィルム流れ方向に重ねた状態で3セット測定した。
【0033】
<製袋適性評価>バッグインボックス生産ラインの製袋機に掛けて、実際に製袋して、生産性に不具合がないか確認・評価した。
【0034】
<評価結果>
粗さが小さな比較例1、粗さが大きい比較例2共に、静摩擦係数と動摩擦係数が1よりも大きかった。粗さが0.5μmの実施例1や1.3μmの実施例2は、静摩擦係数と動摩擦係数が1以下となった。
製袋適性については、比較例1の平均算術粗さを0.1μmでは、外包装積層体と内包装積層体との間でねじれが生じ、製品に皺が発生した。また、ローラーやセーラーなどに密着、脈動を起こした。
比較例2の平均算術粗さを1.6μmでは、折り曲げ位置がずれてシール不良が発生すると共に、シール部にエアーを噛んでしまう問題が発生した。
しかし、実施例1、実施例2では、そのような問題は発生せず、安定して製袋できることが確認された。
【0035】
【表1】
【0036】
以上の結果から、内包装積層体の第2シーラント表面の平均算術粗さを0.5μm以上1.3μm以下にすれば、安定して生産が可能で、滑剤のないシーラント層からなる口栓付き二重包装袋を得ることができる。
【0037】
本発明の口栓付き二重包装袋は、以上のようなもので、内容物と接する内包装袋に有機
系滑剤を使用していないので、捺染用インキなどが内容物に含まれていても、滑剤による凝集などの不具合が発生しない。
また、内包装袋外面の第2シーラント層表面を算術平均粗さ0.5μm以上1.5μm以下としたことによって、セーラーやローラーにおける適度な滑り性を得られるので、包装袋への機械加工適性が得られ、高い生産性を確保できる。
さらに、口栓付き二重包装袋をバッグインボックスに入れて梱包した場合、落下などの衝撃に対しても強いなど、本発明のメリットは高い。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・・・・口栓付き二重包装袋
11・・・・・・・側シール部
12・・・・・・・開口部
13・・・・・・・左辺
14・・・・・・・下辺
15・・・・・・・上辺
2・・・・・・・・二重包装袋
21・・・・・・・内包装袋
210・・・・・・内包装積層体
211・・・・・・内包装基材層
212・・・・・・第2シーラント層
213・・・・・・第1シーラント層
22・・・・・・・外包装袋
220・・・・・・外包装積層体
221・・・・・・外包装基材層
222・・・・・・第3シーラント層
23・・・・・・・空気層
3・・・・・・・・口栓
31・・・・・・・融着フランジ
4・・・・・・・・キャップ
5・・・・・・・・内容物
図1
図2
図3
図4