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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】転舵ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/22 20060101AFI20240130BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20240130BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240130BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20240130BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F16H25/22 C
F16H25/24 B
F16H25/20 E
F16H7/02 A
B62D5/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019105249
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020196401
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 豪哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 琢也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 英志
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-047997(JP,A)
【文献】特開2017-172605(JP,A)
【文献】特開2015-143561(JP,A)
【文献】米国特許第05142929(US,A)
【文献】特開2011-105075(JP,A)
【文献】特開2006-017249(JP,A)
【文献】特開2018-062980(JP,A)
【文献】特開2015-132308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16H 19/00 - 37/16
F16H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に往復動可能に収容された転舵軸と、
モータに連結された駆動プーリと、前記転舵軸の外周に回転可能に配置された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられたベルトとを有するベルト機構と、
前記従動プーリと一体回転可能に連結されるボール螺子ナットと、前記転舵軸の外周に形成された螺子溝と前記ボール螺子ナットの内周に形成された螺子溝とを対向させてなる螺旋状のボール軌道内に配置された複数のボールとを有し、前記ボール螺子ナットの回転を前記転舵軸の往復動に変換するボール螺子機構とを備えた転舵ユニットであって、
前記ボール螺子ナットには、該ボール螺子ナットの内外周に貫通した一対の貫通孔、及び前記貫通孔同士を互いに連通するとともに径方向外側に開口した第1通路が形成され、
前記各貫通孔には、前記ボール軌道と前記第1通路との間を前記ボールが移動可能な第2通路を有する循環部材が設けられ、
前記第1通路と前記各第2通路とにより前記ボール軌道に設定された二つの接続点間を短絡する循環路が構成されるものであって、
前記従動プーリの内周には、前記ボール螺子ナットの外周との間に径方向の隙間を形成する肉抜き部が設けられ、
前記ボール螺子ナットの外周には、前記各循環部材を押さえつけるとともに前記第1通路を覆う押さえ蓋が設けられており
前記肉抜き部が形成する前記隙間、前記ボール螺子ナットの周方向全域に亘る円環状の隙間として形成され、
前記押さえ蓋は、前記ボール螺子ナットの外周に嵌合される筒状のパイプによって構成され、
前記ボール螺子ナットの外周面には凹部が形成され、
前記凹部は、前記第1通路から前記ボール螺子ナットの軸心周りに略180°ずれた位置に形成され、
前記パイプは、前記凹部と対向する位置が該凹部に向けてかしめられることにより、前記ボール螺子ナットに固定された転舵ユニット。
【請求項2】
ハウジング内に往復動可能に収容された転舵軸と、
モータに連結された駆動プーリと、前記転舵軸の外周に回転可能に配置された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられたベルトとを有するベルト機構と、
前記従動プーリと一体回転可能に連結されるボール螺子ナットと、前記転舵軸の外周に形成された螺子溝と前記ボール螺子ナットの内周に形成された螺子溝とを対向させてなる螺旋状のボール軌道内に配置された複数のボールとを有し、前記ボール螺子ナットの回転を前記転舵軸の往復動に変換するボール螺子機構とを備えた転舵ユニットであって、
前記ボール螺子ナットには、該ボール螺子ナットの内外周に貫通した一対の貫通孔、及び前記貫通孔同士を互いに連通するとともに径方向外側に開口した第1通路が形成され、
前記各貫通孔には、前記ボール軌道と前記第1通路との間を前記ボールが移動可能な第2通路を有する循環部材が設けられ、
前記第1通路と前記各第2通路とにより前記ボール軌道に設定された二つの接続点間を短絡する循環路が構成されるものであって、
前記従動プーリの内周には、前記ボール螺子ナットの外周との間に径方向の隙間を形成する肉抜き部が設けられ、
前記ボール螺子ナットの外周には、前記各循環部材を押さえつけるとともに前記第1通路を覆う押さえ蓋が設けられ
前記従動プーリの内周には、前記肉抜き部よりも径方向内側に突出する突出部が設けられ、
前記押さえ蓋は、前記突出部により構成される転舵ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転舵ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の操舵装置には、モータを駆動源とするアクチュエータにより転舵輪を転舵させる転舵ユニットを備えたものがある。例えば特許文献1には、転舵ユニットのアクチュエータが付与する転舵力を、運転者による操舵を補助するためのアシスト力とする電動パワーステアリング装置(EPS)として構成された操舵装置が開示されている。
【0003】
こうした転舵ユニットでは、モータの回転をベルト機構を介してボール螺子機構に伝達し、該ボール螺子機構において転舵軸の軸方向移動に変換することで、アシスト力を付与する。ボール螺子機構は、ベルト機構を構成する従動プーリの内周に嵌合されるとともに、複数のボールを介して転舵軸に螺合するボール螺子ナットを有している。そして、ボール螺子機構は、ボール螺子ナットの内周に形成された螺子溝と転舵軸の外周に形成された螺子溝とを対向させてなる螺旋状のボール軌道内に複数のボールを配置することにより構成されている。また、ボール螺子機構は、ボール軌道に設定された二つの接続点間を短絡する循環路を有しており、ボール軌道内を転動するボールは、この循環路を通過することにより、接続点間を下流側から上流側へと移動し、無限循環する。
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載の転舵ユニットでは、ボール螺子ナットを径方向に貫通する取付孔に対して、ボール軌道からボールを掬い上げる機能及びボール軌道にボールを排出する機能を備えた循環部材、所謂デフレクタを取り付けることにより、上記循環路が構成されている。また、循環部材は、取付孔から脱落しないように、ボール螺子ナットの外周に嵌合された従動プーリによって押さえつけられることにより固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-3704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ベルト機構の減速比は、該ベルト機構を構成する駆動プーリの外径と従動プーリの外径との比によって決まるため、減速比を大きくする場合には、従動プーリの外径を大きくすることが考えられる。一方、上記特許文献1では、従動プーリが循環部材をボール螺子ナットに押さえつける機能を有しているため、その内径は、ボール螺子ナットの外径に応じて決まる。その結果、減速比を大きくする場合において、従動プーリの肉厚が増大し、重量が増大するおそれがある。また、上記特許文献1では、循環部材の内部に形成された通路によって循環路全体を構成しているため、循環部材の形状が複雑である。
【0007】
本発明の目的は、循環部材の形状の簡素化を図るとともに従動プーリの重量増大を抑制できる転舵ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する転舵ユニットは、ハウジング内に往復動可能に収容された転舵軸と、モータに連結された駆動プーリと、前記転舵軸の外周に回転可能に配置された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられたベルトとを有するベルト機構と、前記従動プーリと一体回転可能に連結されるボール螺子ナットと、前記転舵軸の外周に形成された螺子溝と前記ボール螺子ナットの内周に形成された螺子溝とを対向させてなる螺旋状のボール軌道内に配置された複数のボールとを有し、前記ボール螺子ナットの回転を前記転舵軸の往復動に変換するボール螺子機構とを備えたものにおいて、前記ボール螺子ナットには、該ボール螺子ナットの内外周に貫通した一対の貫通孔、及び前記貫通孔同士を互いに連通するとともに径方向外側に開口した第1通路が形成され、前記各貫通孔には、前記ボール軌道と前記第1通路との間を前記ボールが移動可能な第2通路を有する循環部材が設けられ、前記第1通路と前記各第2通路とにより前記ボール軌道に設定された二つの接続点間を短絡する循環路が構成されるものであって、前記従動プーリの内周には、前記ボール螺子ナットの外周との間に径方向の隙間を形成する肉抜き部が設けられ、前記ボール螺子ナットの外周には、前記各循環部材を押さえつけるとともに前記第1通路を覆う押さえ蓋が設けられている
【0009】
上記構成によれば、循環路がボール螺子ナットに形成された第1通路及び一対の循環部材の第2通路により構成されるため、例えば循環部材に循環路全体を構成するような通路を形成する場合に比べ、各循環部材の形状を簡素化できる。また、従動プーリにボール螺子ナットとの間に径方向の隙間を形成する肉抜き部を設けたため、例えばベルト機構の減速比を大きくすべく、従動プーリの外径を大きくした場合に、従動プーリの重量が増大することを抑制できる。なお、押さえ蓋によって、循環部材の貫通孔からの脱落及び第1通路及び第2通路を通過するボールの飛び出しが抑制される。
【0010】
上記転舵ユニットにおいて、前記肉抜き部が形成する前記隙間、前記ボール螺子ナットの周方向全域に亘る円環状の隙間として形成されることが好ましい。
上記構成によれば、従動プーリの全周に亘ってその肉厚を薄くできるため、従動プーリの外径を大きくした場合に、従動プーリの重量が増大することを効果的に抑制できる。
【0011】
上記転舵ユニットにおいて、前記押さえ蓋は、前記ボール螺子ナットの外周に嵌合される筒状のパイプによって構成されることが好ましい。
上記構成によれば、押さえ蓋が筒状のパイプにより構成されるため、パイプをボール螺子ナットの外周に固定しても、該ボール螺子ナットの周方向の重量バランスがばらつくことを抑制でき、ボール螺子ナットの円滑な回転を維持できる。
【0012】
上記転舵ユニットにおいて、前記ボール螺子ナットの外周面には凹部が形成され、前記パイプは、前記凹部と対向する位置が該凹部に向けてかしめられることにより、前記ボール螺子ナットに固定されたことが好ましい。
【0013】
例えば押さえ蓋となるパイプをボール螺子ナットの外周に圧入することで、パイプをボール螺子ナットの外周に密着させて各循環部材を押さえつける場合、パイプの肉厚が薄いと圧入の途中で座屈するおそれがある。そのため、この場合には、パイプの肉厚を厚くする必要があり、該パイプの重量が増大する。この点、上記構成によれば、パイプの一部をかしめることでパイプをボール螺子ナットの外周に密着させて各循環部材を押さえつけるため、パイプをボール螺子ナットの外周に隙間嵌めさせることが可能になり、パイプの肉厚を薄くして、パイプの重量が増大することを抑制できる。また、押さえ蓋となるパイプを、例えばボルト等によりボール螺子ナットに固定する場合に比べ、転舵ユニットの重量化を抑制できる。
【0014】
上記転舵ユニットにおいて、前記押さえ蓋は、前記ボール螺子ナットの外周に倣うように湾曲した板状の湾曲板によって構成されることが好ましい。
上記構成によれば、押さえ蓋が湾曲板によって構成されるため、例えば押さえ蓋を筒状のパイプにより構成する場合に比べ、押さえ蓋の重量が増大することを抑制できる。
【0015】
上記転舵ユニットにおいて、前記従動プーリの内周には、前記肉抜き部よりも径方向内側に突出する突出部が設けられ、前記押さえ蓋は、前記突出部により構成されることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、従動プーリの一部が押さえ蓋として機能するため、部品点数の増加を抑制しつつ、従動プーリの重量が増大することを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、循環部材の形状の簡素化を図るとともに従動プーリの重量増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の操舵装置の概略構成図。
図2】第1実施形態のEPSアクチュエータ近傍の軸方向に沿った断面図。
図3】第1実施形態のEPSアクチュエータにおける従動プーリを通る部分での軸方向と直交する断面図であって、図2のIII-III線断面図。
図4】第1実施形態の循環部材及びパイプを固定した状態のボール螺子ナットを径方向外側から見た平面図。
図5】第1実施形態のボール螺子ナット単体の斜視図。
図6】第1実施形態のボール螺子ナット単体を径方向外側から見た平面図。
図7】第1実施形態の循環部材の斜視図。
図8】第1実施形態の循環部材をボール螺子ナットの径方向外側から見た平面図。
図9】第1実施形態の循環部材をボール螺子ナットの周方向一方側から見た側面図。
図10】第1実施形態の循環部材をボール螺子ナットの周方向他方側から見た側面図。
図11】第1実施形態の循環部材をボール螺子ナットの軸方向から見た側面図。
図12】第1実施形態の循環部材をボール螺子ナットの径方向内側から見た底面図。
図13】第2実施形態の循環部材及び湾曲板を固定した状態のボール螺子ナットを径方向外側から見た平面図。
図14】第3実施形態のEPSアクチュエータにおける従動プーリを通る部分での軸方向と直交する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、転舵ユニットを備えた操舵装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、操舵装置1は、ステアリングホイール2が連結されるステアリングシャフト3と、転舵軸としてのラック軸4の両端に連結される転舵輪5を転舵させる転舵ユニット6と、ステアリングシャフト3の回転をラック軸4の往復動に変換する変換機構としてのラックアンドピニオン機構7とを備えている。
【0020】
ステアリングシャフト3は、ステアリングホイール2が位置する側から順にコラム軸11、中間軸12、及びピニオン軸13を連結することにより構成されている。ピニオン軸13には、その外周の全周に亘ってピニオン歯13aが形成されている。
【0021】
転舵ユニット6は、上記ラック軸4と、ラック軸4が往復動可能に挿通されるハウジングとしてのラックハウジング21と、転舵輪5を転舵させる転舵力を運転者の操舵を補助するためのアシスト力として付与するアクチュエータとしてのEPSアクチュエータ22とを備えている。つまり、本実施形態の操舵装置1は、電動パワーステアリング装置として構成されている。
【0022】
ラック軸4には、所定の軸方向範囲に亘ってラック歯4aが形成されている。ラックハウジング21は、それぞれ円筒状に形成された第1ハウジング部材23と第2ハウジング部材24とを連結してなる。ピニオン軸13とラック軸4とは、第1ハウジング部材23内に所定の交差角をもって配置されている。そして、ラックアンドピニオン機構7は、ラック歯4aとピニオン歯13aとが噛合されることで構成されている。また、ラック軸4の両端には、タイロッド25が連結されており、タイロッド25の先端は、転舵輪5が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。したがって、操舵装置1では、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転がラックアンドピニオン機構7によりラック軸4の軸方向移動に変換され、この軸方向移動がタイロッド25を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪5の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
【0023】
EPSアクチュエータ22は、駆動源であるモータ31と、モータ31の回転を伝達するベルト機構32と、ベルト機構32を介して伝達された回転をラック軸4の往復動に変換するボール螺子機構33とを備えており、第1ハウジング部材23と第2ハウジング部材24との連結部分に設けられている。そして、EPSアクチュエータ22は、ラック軸4の往復動に変換することで得られる転舵力をアシスト力として付与する。
【0024】
次に、EPSアクチュエータ22の構成について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、ラック軸4におけるラックアンドピニオン機構7と反対側、すなわち図2の右側を軸方向第一端側とし、ラックアンドピニオン機構7側、すなわち図2の左側を軸方向第二端側とする。
【0025】
図2に示すように、第1ハウジング部材23は、第1筒状部41と、第1筒状部41の軸方向第一端側に形成された第1収容部42とを有している。第1収容部42は、第1筒状部41よりも大径の筒状に形成されている。第1収容部42には、その周壁の一部をモータ31が配置された側に膨出させた形状の膨出部43が形成されている。膨出部43の端壁には、ラック軸4の軸方向に貫通した挿入孔44が形成されている。
【0026】
第2ハウジング部材24は、第2筒状部45と、第2筒状部45の軸方向第二端側に形成された第2収容部46とを有している。第2収容部46は、第2筒状部45よりも大径の円筒状に形成されている。第2収容部46には、第1ハウジング部材23の膨出部43を覆うカバー部47が形成されている。
【0027】
モータ31の回転軸51は、挿入孔44を介して膨出部43内に挿入されている。そして、モータ31は、回転軸51がラック軸4と平行になる姿勢で、ボルト52を介して第1ハウジング部材23に取り付けられている。
【0028】
ベルト機構32は、ベルト61と、駆動プーリ62と、従動プーリ63とを備えている。ベルト61は、ゴム等の弾性材料からなり、駆動プーリ62と従動プーリ63との間で所定の張力が発生するように巻き掛けられている。駆動プーリ62は、ベルト61が巻き掛けられる円筒状に形成されており、モータ31の回転軸51に対して同軸上で一体回転可能に連結されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、従動プーリ63は、ベルト61が巻き掛けられる巻掛部64、巻掛部64から軸方向第二端側に延出された延出部65、及び延出部65の軸方向第二端部から径方向内側に延出されたフランジ部66を有する円筒状に形成されている。フランジ部66には、軸方向に貫通した複数の挿通孔67が形成されている。従動プーリ63には、その内周面を凹ませるように除肉した肉抜き部68が形成されている。本実施形態の肉抜き部68は、巻掛部64が形成された軸方向範囲の全域、及び延出部65における巻掛部64寄りの軸方向範囲に亘って形成されている。また、肉抜き部68は、従動プーリ63の周方向全域に亘って延びる円環状に形成されている。そして、従動プーリ63は、後述するボール螺子ナット71と一体回転可能に該ボール螺子ナット71の外周に嵌合されている。なお、巻掛部64の軸方向位置は、駆動プーリ62と同じ軸方向位置となる。
【0030】
ボール螺子機構33は、螺子軸となる上記ラック軸4と、ラック軸4の外周に同軸配置されたボール螺子ナット71と、ラック軸4とボール螺子ナット71との間に設けられた複数のボール72とを備えている。
【0031】
図2、及び図4図6に示すように、ボール螺子ナット71は、外径が異なる段付きの円筒状に形成されており、大径筒部73と、大径筒部73の軸方向第二端側に設けられた小径筒部74とを有している。大径筒部73の外径は、小径筒部74の外径よりも大きく設定されている。大径筒部73と小径筒部74との間には、径方向外側に延出された円環状の支持部75が形成されている。
【0032】
図2に示すように、大径筒部73の外周には、転がり軸受81が支持部75の軸方向第一端側に隣接して嵌合されるとともに、リテーナ82が転がり軸受81の軸方向第一端側に隣接して嵌合されている。大径筒部73の外周における軸方向第一端寄りの位置には、その全周に亘って延びる円環状の固定溝83が形成されている。そして、リテーナ82は、その一部が固定溝83に密着するようにかしめられることにより、転がり軸受81を支持部75に押し付けた状態で固定されている。これにより、ボール螺子ナット71は、第1収容部42及び第2収容部46内で回転可能に支持されている。
【0033】
なお、転がり軸受81には、複列アンギュラ玉軸受が採用されており、その内部隙間が予め設定された隙間となるように、リテーナ82によって予圧が付与されている。また、転がり軸受81の両側には、断面L字状の保持器85がその外輪に隣接して配置されるとともに、保持器85には、ゴム等の弾性体86が第1ハウジング部材23及び第2ハウジング部材24との間でそれぞれ圧縮された状態で配置されている。
【0034】
小径筒部74の外径は、従動プーリ63の延出部65における除肉されていない部分の内径と略等しく設定されている。小径筒部74の外周には、延出部65が嵌合されている。これにより、図2及び図3に示すように、従動プーリ63の肉抜き部68とボール螺子ナット71の小径筒部74との間には、これらの全周に亘って延びる径方向の隙間Sが形成されている。なお、小径筒部74は、その軸方向と直交する断面形状が円の一部を互いに平行となるように切り欠いた形状をなしている。小径筒部74における軸方向第二端側の端面には、複数のボルト穴87が形成されている。そして、ボール螺子ナット71は、挿通孔67を介してボルト穴87にボルト88が螺着されることにより、従動プーリ63と一体回転可能に連結されている。これにより、従動プーリ63は、ラック軸4の外周に回転可能に配置されている。
【0035】
図2に示すように、ボール螺子ナット71の内周には、螺子溝91が形成されている。一方、ラック軸4の外周には、螺子溝91に対応する螺子溝92が形成されている。そして、螺子溝91,92が互いに対向することによって螺旋状のボール軌道R1が形成されている。ボール軌道R1内には、複数のボール72が螺子溝91,92に挟まれた状態で配置されている。つまり、ボール螺子ナット71は、ラック軸4の外周に各ボール72を介して螺合されている。これにより、各ボール72は、ラック軸4とボール螺子ナット71との間の相対回転に伴い、その負荷を受けつつボール軌道R1内を転動する。そして、各ボール72の転動によってラック軸4とボール螺子ナット71との軸方向の相対位置が変位することにより、モータ31のトルクがアシスト力としてラック軸4に付与される。
【0036】
また、ボール螺子ナット71には、螺子溝91内の二箇所に設定された接続点P1,P2に開口する循環路R2が形成されている。そして、ボール軌道R1は、循環路R2により、その開口位置に対応する二つの接続点P1,P2間が短絡されている。したがって、ボール軌道R1内を転動して接続点P1又は接続点P2に到達した各ボール72は、循環路R2を通過することにより、接続点P2又は接続点P1に排出され、ボール軌道R1を下流側から上流側へと移動することで無限循環する。なお、循環路R2内では、各ボール72は、ボール軌道R1から循環路R2内に新たにボール72が進入することにより、それぞれ循環方向後方に隣接したボール72に押されて同循環路R2内を移動する。
【0037】
次に、循環路R2の構成について説明する。
図2図4図6に示すように、ボール螺子ナット71には、その内外周に貫通した一対の貫通孔101,102、及び貫通孔101,102同士を互いに連通するとともに径方向外側に開口した第1通路103が形成されている。各貫通孔101,102には、ボール軌道R1と第1通路103との間をボール72が移動可能な第2通路104を有する循環部材105が設けられている。ボール螺子ナット71の外周には、その外周から各循環部材105を押さえつけるとともに、第1通路103を覆う押さえ蓋としてのパイプ106が固定されている。そして、第1通路103及び各循環部材105の第2通路104によって循環路R2が構成されている。
【0038】
詳述すると、図4図6に示すように、一対の貫通孔101,102は、ボール螺子ナット71の小径筒部74に形成されている。貫通孔101は、接続点P1に対応する位置に形成され、貫通孔102は接続点P2に対応する位置に形成されている。
【0039】
各貫通孔101,102は、ボール螺子ナット71の内外を貫通する長円形状に形成されている。小径筒部74には、各貫通孔101,102におけるボール螺子ナット71の外周部分から、該ボール螺子ナット71の周方向両側に延びる浅溝111,112が形成されている。接続点P1,P2は、ボール螺子ナット71の軸方向において、その間に数巻き分の螺子溝91を挟む位置に設定されており、一対の貫通孔101,102は、ボール螺子ナット71の軸方向において、互いに離間した位置に形成されている。また、接続点P1,P2は、ボール螺子ナット71の周方向において互いにずれた位置に設定されており、一対の貫通孔101,102は、ボール螺子ナット71の周方向において互いにずれた位置に形成されている。なお、貫通孔101と貫通孔102とは、ボール螺子ナット71の径方向視で、第1通路103の中心に関して点対称となるように形成されている。
【0040】
第1通路103は、ボール螺子ナット71の軸方向に沿って延びており、貫通孔101におけるボール螺子ナット71の周方向中央部よりも周方向一端部寄りの位置と、貫通孔102におけるボール螺子ナット71の周方向中央部よりも周方向他端部寄りの位置とに接続されている。なお、第1通路103の両端部は、第2通路104と滑らかに連結されるように、ボール螺子ナット71の軸方向に対してそれぞれ僅かに湾曲している。第1通路103におけるボール螺子ナット71の軸方向と直交する断面形状は、ボール72の直径よりもやや大きな幅及び深さを有する矩形状に形成されている。
【0041】
また、図2及び図3に示すように、ボール螺子ナット71の外周面には、凹部113が形成されている。凹部113は、丸穴状に形成されている。また、凹部113は、一対の貫通孔101,102に対してボール螺子ナット71の軸芯周りに略180°ずれた位置に形成されている。
【0042】
図4図7図12に示すように、各循環部材105は、ボール軌道R1からボール72を掬い上げる機能及びボール軌道R1にボール72を排出する機能を備えている。各循環部材105は、貫通孔101,102の径方向外側から見た断面形状に倣う柱状に形成されている。各循環部材105におけるボール螺子ナット71の外周側には、該ボール螺子ナット71の周方向両側にそれぞれ延出された鍔部121が形成されている。各循環部材105におけるボール螺子ナット71の外周側に位置する端面105aは、ボール螺子ナット71の軸方向視で、小径筒部74の外周面に倣うように湾曲している。つまり、ボール螺子ナット71の軸方向視で、端面105aの曲率は、小径筒部74の外周面の曲率と略等しく設定されている。そして、循環部材105は、鍔部121が浅溝111,112に嵌合するように貫通孔101,102のそれぞれに挿入される。循環部材105が貫通孔101,102に挿入された状態で、端面105aは、小径筒部74の外周面と面一になる。
【0043】
第2通路104は、循環部材105におけるボール螺子ナット71の内周側に位置する挿入端部123に開口している。また、第2通路104は、挿入端部123からボール螺子ナット71の外周側に位置する基端部124に向って滑らかに湾曲しつつ延出されるとともに、基端部124に開口して第1通路103に繋がるように形成されている。第2通路104の内径は、ボール72の直径よりもやや大きく設定されている。また、図3図9図11及び図12に示すように、挿入端部123には、ボール軌道R1内を転動した各ボール72を第2通路104に掬い上げるためのベロ部125が、ラック軸4の螺子溝92内に入り込むように突出して形成されている。
【0044】
図2図4に示すように、パイプ106は、金属材料からなり、薄肉の円筒状に形成されている。パイプ106の軸方向に沿った長さは、従動プーリ63における肉抜き部68が形成された部分の軸方向に沿った長さよりもやや短く設定されている。パイプ106における凹部113と対向する部分は、凹部113内に入り込むようにかしめられている。これにより、パイプ106の内周面は、小径筒部74の外周面に密着している。そして、パイプ106は、一対の貫通孔101,102に挿入された循環部材105をそれぞれ押さえつけるとともに、第1通路103の全体及び第2通路104の開口部分を外周側から覆っている。したがって、パイプ106によって、循環部材105の脱落、及び第1通路103及び第2通路104を通過するボール72が飛び出すことが抑制されている。なお、貫通孔101に挿入された循環部材105は、従動プーリ63の延出部65によっても押さえつけられている。
【0045】
本実施形態のパイプ106の内径は、その凹部113に対向する部分をかしめる前の状態では、小径筒部74の外径よりも僅かに大きく設定されており、パイプ106は、小径筒部74に対して隙間嵌めされるように構成されている。そして、パイプ106の凹部113に対向する部分を該凹部113に向けてかしめることで、パイプ106が縮径し、上記のように小径筒部74の外周面に密着する。
【0046】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)循環路R2をボール螺子ナット71に形成された第1通路103及び一対の循環部材105の第2通路104により構成したため、例えば循環部材105に循環路R2全体を構成するような通路を形成する場合に比べ、各循環部材105の形状を簡素化できる。また、従動プーリ63にボール螺子ナット71との間に径方向の隙間Sを形成する肉抜き部68を設けたため、例えばベルト機構32の減速比を大きくすべく、従動プーリ63の外径を大きくした場合に、従動プーリ63の重量が増大することを抑制できる。
【0047】
(2)肉抜き部68を、隙間Sがボール螺子ナット71の全周に亘って延びるように形成したため、従動プーリ63の全周に亘ってその肉厚を薄くできる。これにより、従動プーリ63の外径を大きくした場合に、従動プーリ63の重量が増大することを効果的に抑制できる。
【0048】
(3)円筒状のパイプ106によって循環部材105を押さえつけるとともに第1通路103を覆うようにした。そのため、押さえ蓋となるパイプ106をボール螺子ナット71の外周に固定しても、該ボール螺子ナット71の周方向の重量バランスがばらつくことを抑制でき、ボール螺子ナット71の円滑な回転を維持できる。
【0049】
(4)例えば押さえ蓋となるパイプ106をボール螺子ナット71の外周に圧入することで、パイプ106をボール螺子ナット71の外周に密着させて各循環部材105を押さえつける場合、パイプ106の肉厚が薄いと圧入の途中で座屈するおそれがある。そのため、この場合には、パイプ106の肉厚を厚くする必要があり、該パイプ106の重量が増大する。この点、本実施形態では、ボール螺子ナット71の外周面には凹部113を形成し、パイプ106における凹部113と対向する位置を該凹部113に向けてかしめることにより、パイプ106をボール螺子ナット71の外周に密着させて各循環部材105を押さえつけるようにした。そのため、パイプ106をボール螺子ナット71の外周に隙間嵌めさせることが可能になり、パイプ106の肉厚を薄くして、パイプ106の重量が増大することを抑制できる。また、押さえ蓋となるパイプ106を、例えばボルト等によりボール螺子ナット71に固定する場合に比べ、転舵ユニット6の重量化を抑制できる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、転舵ユニットを備えた操舵装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図13に示すように、本実施形態のボール螺子ナット71には、パイプ106が設けられておらず、循環部材105を押さえつけるとともに第1通路103を覆う湾曲板131が固定されている。
【0052】
湾曲板131は、ボール螺子ナット71の径方向視で、第1通路103の全体を覆うとともに、循環部材105における第2通路104の開口部分を覆う四角形状に形成されている。
【0053】
湾曲板131は、ボール螺子ナット71の軸方向で、小径筒部74の外周面に倣うように湾曲している。つまり、ボール螺子ナット71の軸方向視で、湾曲板131の曲率は、小径筒部74の曲率と略等しく設定されている。
【0054】
湾曲板131は、ボルト132によってボール螺子ナット71に固定されている。そして、湾曲板131は、一対の貫通孔101,102に挿入された循環部材105をそれぞれ押さえつけるとともに、第1通路103の全体及び第2通路104の開口部分を外周側から覆っている。したがって、湾曲板131によって第1通路103及び第2通路104を通過するボール72が飛び出すことが抑制されている。
【0055】
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1),(2)の作用及び効果と同様の作用及び効果に加え、以下の作用及び効果を奏する。
(5)湾曲した板状の湾曲板131によって循環部材105を押さえつけるとともに第1通路103を覆うようにした。そのため、例えば押さえ蓋を筒状のパイプにより構成する場合に比べ、押さえ蓋として機能する部材の重量が増大することを抑制できる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、転舵ユニットを備えた操舵装置の第3実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図14に示すように、本実施形態のボール螺子ナット71には、パイプ106が設けられていない。本実施形態の従動プーリ63には、ボール螺子ナット71の外周面との間に径方向の隙間Sを形成する肉抜き部68と、肉抜き部68よりも径方向内側に突出した突出部141とが形成されている。従動プーリ63には、4つの肉抜き部68と4つの突出部141とが、周方向に等角度間隔で交互に並んで形成されている。各肉抜き部68は、上記第1実施形態の肉抜き部68と同様に、巻掛部64が形成された軸方向範囲の全域、及び延出部65における巻掛部64寄りの軸方向範囲に亘って形成されている。各突出部141は、肉抜き部68が形成された軸方向範囲と同じ軸方向範囲に亘って形成されている。
【0058】
各突出部141の小径筒部74との対向面141aは、ボール螺子ナット71の軸方向で、小径筒部74の外周面に倣うように湾曲している。つまり、ボール螺子ナット71の軸方向視で、対向面141aの曲率は、小径筒部74の外周面の曲率と略等しく設定されている。また、対向面141aは、ボール螺子ナット71の径方向視で、第1通路103の全体を覆うとともに、循環部材105における第2通路104の開口部分を覆う四角形状に形成されている。
【0059】
そして、ボール螺子ナット71の外周に従動プーリ63が嵌合されることにより、突出部141は、一対の貫通孔101,102に挿入された循環部材105をそれぞれ押さえつけるとともに、第1通路103の全体及び第2通路104の開口部分を外周側から覆っている。これにより、第1通路103及び第2通路104を通過するボール72が飛び出すことが抑制されている。
【0060】
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1)の作用及び効果と同様の作用及び効果に加え、以下の作用及び効果を奏する。
(6)従動プーリ63の内周に、肉抜き部68に加えて、ボール螺子ナット71の外周に当接する突出部141を設け、突出部141によって循環部材105を押さえつけるとともに第1通路103を覆うようにした。このように従動プーリ63の一部が押さえ蓋として機能するため、部品点数の増加を抑制しつつ、従動プーリの重量が増大することを抑制できる。
【0061】
(7)従動プーリ63の内周に、複数の肉抜き部68と複数の突出部141とを周方向に等角度間隔で交互に並んで形成したため、従動プーリ63の周方向の重量バランスがばらつくことを抑制でき、従動プーリ63の円滑な回転を維持できる。
【0062】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1実施形態では、凹部113を丸穴状に形成したが、これに限らず、例えば四角穴状に形成してもよく、その形状は適宜変更可能である。
【0063】
・上記第1実施形態では、パイプ106と小径筒部74の切り欠かれた部分との間に隙間を形成したが、パイプ106を当該切り欠かれた部分も含む小径筒部74の外周面全体に密着するように形成してもよい。
【0064】
・上記第1実施形態では、パイプ106の一部をかしめることにより、パイプ106を小径筒部74の外周に固定したが、これに限らず、例えばパイプ106を圧入することにより、小径筒部74の外周に固定してもよい。
【0065】
・上記第1実施形態において、肉抜き部68を円環状に形成せず、従動プーリ63の内周に肉抜き部68よりも径方向内側に突出して、パイプ106の外周面に当接する突出部を形成してもよい。同様に、上記第2実施形態において、従動プーリ63の内周に、湾曲板131又は小径筒部74の外周面に当接する突出部を形成してもよい。
【0066】
・上記第2実施形態では、湾曲板131をボルト132により固定したが、湾曲板131の固定方法は適宜変更可能である。例えば、湾曲板131にピンを形成するとともに、小径筒部74の外周面に穴を形成し、ピンを穴に圧入することで湾曲板131を固定してもよい。また、ボール螺子ナット71の軸方向視で、湾曲板131をC字状に形成するとともに、湾曲板131の曲率を小径筒部74の曲率よりも大きく設定し、湾曲板131の弾性力により湾曲板131を小径筒部74の外周に固定してもよい。
【0067】
・上記第3実施形態において、複数の肉抜き部68と複数の突出部141とを周方向に等角度間隔で交互に並んで形成しなくてもよい。また、肉抜き部68及び突出部141をそれぞれ1つだけ設けてもよい。
【0068】
・上記各実施形態において、循環部材105が、従動プーリ63の延出部65によっては押さえつけられない構成としてもよい。
・上記各実施形態では、ボルト88により従動プーリ63をボール螺子ナット71と一体回転可能に固定したが、これに限らず、例えば接着剤によって従動プーリ63をボール螺子ナット71と一体回転可能に固定してもよく、その固定方法は適宜変更可能である。
【0069】
・上記各実施形態において、肉抜き部68が形成される軸方向範囲は、適宜変更可能である。
・上記各実施形態では、操舵装置1を電動パワーステアリング装置として構成したが、これに限らず、運転者により操舵される操舵ユニットと、運転者の操舵に応じて転舵輪5を転舵させる転舵ユニットとの間の動力伝達が分離したステアバイワイヤ式の操舵装置として構成してもよい。
【0070】
次に、上記各実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)上記いずれかの構成の転舵ユニットと、ステアリングホイールが連結されるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトの回転を前記転舵軸の往復動に変換する変換機構とを備えた操舵装置。
【符号の説明】
【0071】
1…操舵装置、2…ステアリングホイール、3…ステアリングシャフト、4…ラック軸、5…転舵輪、6…転舵ユニット、7…ラックアンドピニオン機構、21…ラックハウジング、22…EPSアクチュエータ、31…モータ、32…ベルト機構、33…ボール螺子機構、61…ベルト、62…駆動プーリ、63…従動プーリ、68…肉抜き部、71…ボール螺子ナット、72…ボール、73…大径筒部、74…小径筒部、91,92…螺子溝、101,102…貫通孔、103…第1通路、104…第2通路、105…循環部材、106…パイプ、113…凹部、131…湾曲板、141…突出部、141a…対向面、P1,P2…接続点、R1…ボール軌道、R2…循環路、S…隙間。
図1
図2
図3
図4
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図8
図9
図10
図11
図12
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図14