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特許7427895車両用記録制御装置、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】車両用記録制御装置、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240130BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240130BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G07C5/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019174632
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051602
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 茂敏
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028760(JP,A)
【文献】特開2010-238214(JP,A)
【文献】特開2013-235395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部がイベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御部と、
前記イベント検出部がイベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部が生成した前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御部と、
を備え
前記画像データ生成部は、前記イベント検出部がイベントを検出したときに前記車両に加わった加速度を示す加速度情報に応じて、前記画像データを選択する時間間隔を変える、
車両用記録制御装置。
【請求項2】
前記画像データ生成部は、前記車両の周辺の他車両の車種、前記他車両の形状、前記他車両のナンバープレート、前記他車両の運転者の顔部の少なくともいずれかが識別可能に表示された画像データを選択する、
請求項1記載の車両用記録制御装置。
【請求項3】
前記画像データ生成部は、複数の画像データをサムネイル表示にまとめた画像データを生成する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の車両用記録制御装置と、
車両の周辺を撮影する撮影部と、
外部の装置へ画像データを送信する通信部と、
を備えることを特徴とする車両用記録装置。
【請求項5】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、
前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データ生成ステップによって生成された前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御ステップと、
を含み、
前記画像データ生成ステップは、前記イベント検出ステップがイベントを検出したときに前記車両に加わった加速度を示す加速度情報に応じて、前記画像データを選択する時間間隔を変えること、
を車両用記録制御装置として動作するコンピュータが実行する車両用記録制御方法。
【請求項6】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、
前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データ生成ステップによって生成された前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御ステップと、
含み、
前記画像データ生成ステップにおいては、前記イベント検出ステップがイベントを検出したときに前記車両に加わった加速度を示す加速度情報に応じて、前記画像データを選択する時間間隔を変えること、
車両用記録制御装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用記録制御装置、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事故発生時、映像信号から、所定時間間隔の複数の静止画像から成る静止画像データを生成して、無線ネットワークを介して外部装置に送信する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-032143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、衝突などのイベント発生時、相手車両が走り去ってしまった場合、相手車両を確認することが難しいおそれがある。また、いわゆるドライブレコーダによって、イベント発生時の映像データが撮影され保存されている場合でも、映像データから相手車両を短時間で確認することが難しいおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イベントが発生したときに、相手車両に関する情報を適切に確認可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用記録制御装置は、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御部と、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データ生成部が生成した前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る車両用記録装置は、上記の車両用記録制御装置と、車両の周辺を撮影する撮影部と、外部の装置へ画像データを送信する通信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車両用記録制御方法は、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成ステップと、前記画像データ生成ステップによって生成された前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御ステップとを含む。
【0009】
本発明に係るプログラムは、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、前記イベント検出ステップによってイベントが検出された場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データから、前記車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを選択して、外部装置へ送信する画像データを生成する画像データ生成ステップと、前記画像データ生成ステップによって生成された前記画像データを、外部装置へ通信部を介して送信する通信制御ステップとを車両用記録制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、イベントが発生したときに、相手車両に関する情報を適切に確認可能にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、映像データとしての第一映像データの一例を示す図であり、先行車両が認識された状態を示す図である。
図3図3は、映像データとしての第一映像データの一例を示す図であり、先行車両が認識されない状態を示す図である。
図4図4は、映像データとしての第二映像データの一例を示す図であり、後続車両が認識された状態を示す図である。
図5図5は、映像データとしての第二映像データの一例を示す図であり、後続車両のナンバープレートが文字認識されない状態を示す図である。
図6図6は、映像データとしての第二映像データの一例を示す図であり、後続車両の運転者が認識された状態を示す図である。
図7図7は、映像データとしての第一映像データの一例を示す図であり、フロントガラスに水滴が付着した状態を示す図である。
図8図8は、映像データとしての第二映像データの一例を示す図であり、ワイパーが表示された状態を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る車両用記録制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用記録制御装置、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
<車両用記録装置>
図1は、本実施形態に係る車両用記録装置10の構成例を示すブロック図である。車両用記録装置10は、イベントを検出した場合、イベント記録データとして保存するとともに、イベント記録データから切り出した画像データを、外部装置の一例であるユーザの携帯用電子機器に送信する。
【0014】
車両用記録装置10は、いわゆるドライブレコーダである。車両用記録装置10は、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。車両用記録装置10は、第一カメラ(撮影部)210と、第二カメラ(撮影部)220と、記録部230と、操作部240と、表示部250と、加速度センサ260と、GPS(Global Positioning System)受信部270と、通信部280と、車両用記録制御装置(以下、「制御装置」という。)100とを有する。
【0015】
第一カメラ210は、車両の車室内に前方を向いて配置され、車両の前方を中心とした周辺を撮影する。第一カメラ210は、広角、例えば、水平方向に180°程度の撮影範囲を撮影する。第一カメラ210は、撮影した第一映像データを制御装置100の映像データ取得部120へ出力する。
【0016】
第二カメラ220は、車両の車室内に後方を向いて配置され、車両の後方を中心とした周辺を撮影する。第二カメラ220は、広角、例えば、水平方向に180°程度の撮影範囲を撮影する。第二カメラ220は、撮影した第二映像データを制御装置100の映像データ取得部120へ出力する。
【0017】
第一映像データと第二映像データとの区別を特に要しない場合、映像データとして説明する。
【0018】
記録部230は、車両用記録装置10におけるデータの一時記憶や保存などに用いられる。記録部230は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記録部である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記録部であってもよい。記録部230は、制御装置100の記録制御部123から出力された制御信号に基づいて、イベント記録データまたはループ記録データを記録する。
【0019】
操作部240は、車両用記録装置10に対する各種操作を受付可能である。例えば、操作部240は、撮影した映像データを記録部230に手動で保存する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、記録部230に記録したイベント記録データまたはループ記録データを再生する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、記録部230に記録したイベント記録データを消去する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、ループ記録を終了する操作を受付可能である。操作部240は、操作情報を制御装置100の操作制御部125に出力する。
【0020】
表示部250は、一例としては、車両用記録装置10に固有の表示装置、または、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。表示部250は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部250は、制御装置100の表示制御部126から出力された映像信号に基づいて、映像を表示する。表示部250は、第一カメラ210が撮影している映像、第二カメラ220が撮影している映像、または、記録部230に記録された映像を表示する。
【0021】
加速度センサ260は、車両に加わる加速度を検出するセンサである。加速度センサ260は、検出結果を制御装置100のイベント検出部127に出力する。加速度センサ260は、例えば3軸方向の加速度を検出するセンサである。3軸方向とは、車両の前後方向、左右方向、および上下方向である。3軸方向に加速度によって、車両に対する衝撃が検出可能である。
【0022】
GPS受信部270は、図示しないGPS衛星から電波を受信する。GPS受信部270は、受信した電波の信号を制御装置100の位置情報取得部128へ出力する。
【0023】
通信部280は、通信ユニットである。通信部280は、インターネット、携帯電話回線、または、Bluetooth(登録商標)などいずれの方法で通信を行ってもよい。通信部280は、ユーザの携帯用電子機器とデータを通信する。
【0024】
制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。制御装置100は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御装置100には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御装置100におけるデータの一時記憶などに用いられる。制御装置100は、バス110に接続された、映像データ取得部120と、バッファメモリ121と、映像データ処理部122と、記録制御部123と、再生制御部124と、操作制御部125と、表示制御部126と、イベント検出部127と、位置情報取得部128と、画像データ生成部131と、通信制御部132とを有する。
【0025】
映像データ取得部120は、車両の周辺を撮影した映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部120は、第一カメラ210及び第二カメラ220が出力した映像データを取得する。
【0026】
バッファメモリ121は、制御装置100が備える内部メモリであり、映像データ取得部120が取得した一定時間分の映像データを、更新しながら一時的に記録するメモリである。
【0027】
映像データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している映像データ(以下、「一時映像データ」という。)を、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換する。映像データ処理部122は、一時映像データから、一定時間分のファイルとした映像データを生成する。具体例として、映像データ処理部122は、一時映像データを、記録順に60秒間の映像データを1ファイルとして生成する。映像データ処理部122は、生成した映像データを記録制御部123へ出力する。また、映像データ処理部122は、生成した映像データを表示制御部126へ出力する。ファイルとして生成される映像データの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。ここで言う映像データとは、映像に加えて音声が含まれたデータであってもよい。
【0028】
記録制御部123は、映像データ処理部122でファイル化された映像データを、記録部230に記録させる制御を行う。記録制御部123は、車両のアクセサリ電源がONであるときなど、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部122でファイル化された映像データを、上書き可能な映像データとして、記録部230に記録する。より詳しくは、記録制御部123は、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部122が生成した映像データを記録部230に記録し続け、記録部230の容量が一杯になった場合、最も古い映像データに新しい映像データを上書きして記録する。
【0029】
また、記録制御部123は、イベント検出部127がイベントを検出した場合、映像データ処理部122が生成した映像データから、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データを、上書きが禁止されたイベント記録データとして記録部230に保存する。
【0030】
イベントの検出に起因した所定期間とは、例えば、イベント検出時点を含む期間、または、イベント検出時点の前後の期間である。
【0031】
再生制御部124は、選択されたイベント記録データまたはループ記録データを再生する。再生制御部124は、操作制御部125から出力された選択操作および再生操作の制御信号に基づいて、記録部230に記録されたイベント記録データまたはループ記録データを再生するよう制御する。
【0032】
操作制御部125は、操作部240が受け付けた操作の操作情報を取得する。例えば、操作制御部125は、映像データの手動保存操作を示す保存操作情報、映像データの選択操作を示す選択操作情報、映像データの再生操作を示す再生操作情報、または、映像データの消去操作を示す消去操作情報を取得して制御信号を出力する。例えば、操作制御部125は、ループ記録を終了する操作を示す終了操作情報を取得して制御信号を出力する。
【0033】
表示制御部126は、再生制御部124からの制御信号に基づいて、表示部250における映像データの表示を制御する。表示制御部126は、映像データを表示部250に出力させる映像信号を出力する。より詳しくは、表示制御部126は、再生制御部124が再生した第一カメラ210が撮影している映像、第二カメラ220が撮影している映像、または、記録部230に記録されたイベント記録データまたはループ記録データを表示部250に表示させる。
【0034】
イベント検出部127は、車両に対するイベントを検出する。イベント検出部127が車両に対するイベントを検出する方法は任意であるが、一例としてイベント検出部127は、加速度センサ260の検出結果に基づいて、イベントを検出する。この場合、イベント検出部127は、加速度センサ260が検出した加速度における閾値以上の加速度が検出されると、イベントとして検出する。イベント検出部127がイベントとして検出する加速度は、車両に対する衝撃が検出されるような閾値が設定される。
【0035】
位置情報取得部128は、GPS受信部270が受信した電波に基づいて、車両の現在の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部128が算出した位置情報は、イベント検出部127がイベントを検出した場合、イベント記録データとともに保存される。
【0036】
画像データ生成部131は、一時映像データから、外部装置であるユーザの携帯用電子機器に転送するための画像データを生成する。より詳しくは、画像データ生成部131は、一時映像データから、車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを選択して、送信用の画像データを生成する。具体例として、画像データ生成部131は、一時映像データから、イベント検出時点、または、イベント検出時点の前後の1枚または複数枚の画像データを選択して、送信用の画像データを生成する。なお、画像データを選択する際に、表示範囲の一部を切り出して、送信用の画像データを生成してもよい。
【0037】
車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、車両に対するイベントの発生時の事実関係の把握、及び、原因の究明に役立つような画像データである。車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、例えば、車両の周辺の他車両の車種、形状が識別可能に表示された画像データである。車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、例えば、他車両のナンバープレートに示される識別番号のような相手車両である他車両を一意に特定可能な識別情報が識別可能に表示された画像データである。車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、例えば、他車両の運転者の顔部が識別可能に表示された画像データである。車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、例えば、水滴または雪を含む付着物が表示された期間を除外した画像データである。車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データとは、例えば、ワイパーを含む障害物が表示された期間を除外した画像データである。
【0038】
画像データ生成部131は、イベント検出時に加速度センサ260が検出した加速度情報に応じて、画像データを切り出す時間間隔を変えてもよい。例えば、加速度が大きいほど短い時間間隔で画像データを選択してもよい。例えば、あらかじめ人工知能AI(Artificial Intelligence)による処理によって学習して、加速度情報に応じて、最適な時間間隔を解析してもよい。
【0039】
画像データ生成部131は、イベント検出時に加速度センサ260が検出した加速度の大きさに応じて、切り出す画像データの枚数を変えてもよい。例えば、加速度が大きいほど多くの枚数の画像データを選択してもよい。例えば、あらかじめ人工知能AIによる処理によって学習して、加速度情報に応じて、最適な枚数を解析してもよい。
【0040】
画像データ生成部131は、一時映像データから、例えば、車両の周辺の他車両の車種、形状が識別可能に表示された画像データを選択してもよい。車両の周辺の他車両(以下、「他車両」という。)とは、例えば、車両から一番近い車両である。例えば、他車両の面積が最大である画像データを選択してもよい。他車両の面積が最大である画像データから、他車両が車両に接触する程度の近さにいたか否かなどを確認可能である。例えば、他車両の前方、または、後方から撮影した画像データを選択してもよい。例えば、図示しない車両用の認識辞書データを使用して、他車両を認識した画像データを選択してもよい。図2は、映像データ300としての第一映像データ310の一例を示す図であり、先行車両V1が認識された状態を示す図である。図2では、先行車両V1が認識された矩形状の領域F1を図示している。図2に示す第一映像データ310を画像データとして選択した場合、先行車両V1の車種、形状を確認可能である。図3は、映像データ300としての第一映像データ310の一例を示す図であり、先行車両V1が認識されない状態を示す図である。図3では、先行車両V1の表示面積が小さく、先行車両V1を認識することが難しい状態である。図3に示す第一映像データ310を画像データとして選択した場合、先行車両V1の車種、形状を確認することが難しいおそれがある。
【0041】
画像データ生成部131は、一時映像データから、例えば、他車両のナンバープレートに示される識別番号のような相手車両である他車両を一意に特定可能な識別情報が識別可能に表示された画像データを選択してもよい。例えば、一時映像データに文字認識処理を行って、識別情報を認識した画像データを選択してもよい。図4は、映像データ300としての第二映像データ320の一例を示す図であり、後続車両V2が認識された状態を示す図である。図4では、後続車両V2が認識された矩形状の領域F2と、ナンバープレートの文字が認識された矩形状の領域F3とを図示している。図4に示す第二映像データ320を画像データとして選択した場合、後続車両V2のナンバープレートの文字を確認可能である。図5は、映像データ300としての第二映像データ320の一例を示す図であり、後続車両V2のナンバープレートが文字認識されない状態を示す図である。図5では、後続車両V2の表示面積が小さく、文字認識することが難しい。図5に示す第二映像データ320を画像データとして選択した場合、後続車両V2のナンバープレートの文字を確認することが難しいおそれがある。
【0042】
画像データ生成部131は、一時映像データから、例えば、他車両の運転者の顔部が識別可能に表示された画像データを選択してもよい。例えば、一時映像データに人物認識処理を行って、識別情報を認識した画像データを選択してもよい。図6は、映像データ300としての第二映像データ320の一例を示す図であり、後続車両V2の運転者Mが認識された状態を示す図である。図6では、運転者Mが認識された矩形状の領域F4を図示している。図6に示す第二映像データ320を画像データとして選択した場合、後続車両V2の運転者Mの顔部を確認可能である。
【0043】
画像データ生成部131は、水滴または雪を含む付着物が表示された期間を除外して、画像データを選択してもよい。より詳しくは、画像データ生成部131は、一時映像データから、例えば、フロントガラスまたはリアガラスに付着した水滴、雪のような付着物によって、他車両、ナンバープレート、または、運転者の視認性が阻害されない画像データを選択してもよい。例えば、フロントガラスまたはリアガラスに付着した水滴、雪のような付着物が、他車両、ナンバープレート、または、運転者の顔部に重なって表示される画像データを除外して、画像データを選択してもよい。例えば、あらかじめ人工知能AIによる処理によって学習して、他車両、ナンバープレート、または、運転者の視認性が、付着物によって阻害されない画像データを解析してもよい。図7は、映像データ300としての第一映像データ310の一例を示す図であり、フロントガラスに水滴Wが付着した状態を示す図である。図7では、水滴Wが先行車両V1に重なって表示されている。図7に示す第一映像データ310を画像データとして選択した場合、先行車両V1の車種、形状、ナンバープレートを確認することが難しいおそれがある。
【0044】
画像データ生成部131は、ワイパーを含む障害物が表示された期間を除外して、画像データを生成してもよい。より詳しくは、画像データ生成部131は、一時映像データから、例えば、ワイパーによって、他車両、ナンバープレート、または、運転者の視認性が阻害されない画像データを選択してもよい。例えば、ワイパーが、他車両、ナンバープレート、または、運転者の顔部に重なって表示される画像データを除外して、画像データを選択してもよい。例えば、あらかじめ人工知能AIによる処理によって学習して、他車両、ナンバープレート、または、運転者の視認性が、障害物によって阻害されない画像データを解析してもよい。図8は、映像データ300としての第二映像データ320の一例を示す図であり、動作中のワイパーXが表示された状態を示す図である。図8では、ワイパーXが運転者Mに重なって表示されている。図8に示す第二映像データ320を画像データとして選択した場合、後続車両V2の運転者Mの顔部を確認することが難しいおそれがある。
【0045】
画像データ生成部131は、複数の画像データを選択した場合、複数の画像データがサムネイル表示されるようにまとめた画像データを生成してもよい。
【0046】
通信制御部132は、通信部280を介した通信を制御する。通信制御部132は、通信部280を介して、ユーザの携帯用電子機器に対して、画像データ生成部131が生成した画像データを送信する。
【0047】
<車両用記録装置における処理>
次に、図9を用いて、制御装置100における処理の流れについて説明する。図9は、本実施形態に係る車両用記録制御装置100における処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ループ記録処理を行う場合について説明する。
【0048】
制御装置100は、イベント検出およびループ記録を開始する(ステップS101)。より詳しくは、制御装置100は、イベント検出部127によって、加速度センサ260の検出結果に基づいて、イベントを検出する。制御装置100は、映像データ処理部122によって、バッファメモリ121に記録された映像データから、所定期間の映像ごとのループ記録映像データを生成する。制御装置100は、記録制御部123によって、ループ記録映像データを記録部230に記録させる。制御装置100は、ステップS102に進む。
【0049】
制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントを検出したか否かを判定する(ステップS102)。より詳しくは、制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントが検出された場合(ステップS102でYes)、ステップS103に進む。制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントが検出されなかった場合(ステップS102でNo)、ステップS106に進む。
【0050】
イベントが検出された場合(ステップS102でYes)、制御装置100は、イベント検出前後の所定期間の映像データであるイベント記録データを保存する(ステップS10)。より詳しくは、制御装置100は、映像データ処理部122によって、記録部230に記録されたループ記録映像データから、少なくともイベントの発生時点を含む所定期間の映像データをイベント記録データとして生成する。制御装置100は、記録制御部123によって、イベント記録データを記録部230に記録して保存する。制御装置100は、ステップS104に進む。
【0051】
制御装置100は、画像データ生成部131によって、一時映像データから、ユーザの携帯用電子機器に送信するための画像データを生成する(ステップS104)。より詳しくは、画像データ生成部131によって、一時映像データから、車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを切り出す。制御装置100は、ステップS105へ進む。
【0052】
制御装置100は、通信制御部132によって、通信部280を介してユーザの携帯用電子機器に対して、画像データ生成部131が生成した画像データを送信する(ステップS105)。制御装置100は、ステップS106へ進む。
【0053】
制御装置100は、イベント検出およびループ記録を終了するか否かを判定する(ステップS106)。より詳しくは、制御装置100は、操作制御部125によって、終了操作情報が出力されると、イベント検出およびループ記録を終了すると判定して(ステップS106でYes)、処理を終了する。または、車両の動作や利用を終了させることで、イベント検出およびループ記録が終了する。制御装置100は、操作制御部125によって、終了操作情報が出力されていないと、イベント検出およびループ記録を終了しないと判定して(ステップS106でNo)、ステップS102の処理を再度実行する。
【0054】
このように、イベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する。また、一時映像データから、車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを1以上切り出して、ユーザの携帯用電子機器へ送信する。ユーザは、携帯用電子機器に送信された画像データを確認して、他車両に関する情報を短時間で確認する。
【0055】
<効果>
上述したように、本実施形態では、イベントを検出した場合、少なくともイベントの検出に起因した所定期間の映像データをイベント記録データとして保存する。また、本実施形態では、一時映像データから、車両の周辺状況が認識可能に表示された画像データを1以上切り出して、ユーザの携帯用電子機器へ送信する。本実施形態によれば、イベントが発生したときに、他車両に関する情報を適切に確認可能にすることができる。
【0056】
本実施形態では、一時映像データから、水滴または雪を含む付着物、または、ワイパーを含む障害物が表示された期間を除外して、画像データを生成する。本実施形態によれば、フロントガラスまたはリアガラスをワイパーが払拭した直後のように、前方または後方の視認性が高い画像データを生成することができる。本実施形態は、他車両に関する情報を確認しやすい画像データを送信することができる。
【0057】
本実施形態では、イベント検出時に車両に加わった加速度に応じて、一時映像データから画像データを切り出す時間間隔を変える。本実施形態は、イベント発生時の衝撃の強さに応じて、他車両に関する情報を適切に確認可能な画像データを送信することができる。
【0058】
本実施形態では、一時映像データから、他車両の車種、他車両の形状、他車両のナンバープレート、他車両の運転者の顔部の少なくともいずれかが識別可能に表示された画像データを選択して切り出す。本実施形態は、他車両に関する情報を適切に確認可能な画像データを送信することができる。
【0059】
本実施形態では、切り出した複数の画像データをサムネイル表示にまとめた画像データを生成する。これにより、本実施形態は、複数の画像データをより短時間で確認しやすい形態で送信することができる。
【0060】
本実施形態では、一時映像データから切り出した画像データを送信するので、ユーザの携帯用電子機器へ送信するデータ量を削減することができる。
【0061】
本実施形態によれば、ユーザは、携帯用電子機器に送信された画像データを確認して、他車両を確認することができる。本実施形態によれば、ユーザは、送信された画像データを、さらに知人または警察へ送信して助けを求めたり、SNS(Social Networking Service)を介して第三者と共有したりすることができる。
【0062】
これまで本発明に係る車両用記録装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0063】
図示した車両用記録装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0064】
車両用記録装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0065】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0066】
上記では、ループ記録処理を行う場合について説明したが、イベントが検出されてから撮影を開始する場合についても同様である。
【0067】
上記では、前方と後方とをそれぞれ撮影可能な2つのカメラとして説明したが、これに限定されず、360°の全天周を撮影可能なカメラ、または、各方向をそれぞれ撮影する複数のカメラ群であってもよい。カメラが全天周を撮影可能である場合、車両の進行方向の後方に対応する表示範囲で切り出した映像データを表示してもよい。
【0068】
上記では、生成した画像データを、ユーザの携帯用電子機器に送信するとして説明したが、広域ネットワーク上の保険会社や運送業者の車両走行情報管理用サーバに送信するようなものでもよいし、車内ネットワークを経由して車載コンピュータに送信しダッシュボードの大型ディスプレイ部に画像データを表示させるようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用記録装置
100 車両用記録制御装置
110 バス
120 映像データ取得部
121 バッファメモリ
122 映像データ処理部
123 記録制御部
124 再生制御部
125 操作制御部
126 表示制御部
127 イベント検出部
128 位置情報取得部
131 画像データ生成部
132 通信制御部
210 第一カメラ(撮影部)
220 第二カメラ(撮影部)
230 記録部
240 操作部
250 表示部
260 加速度センサ
270 GPS受信部
280 通信部
図1
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