(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】異常判定装置、異常判定方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240130BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240130BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M4/525
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2019180993
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】水野 祐介
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176924(JP,A)
【文献】特開2018-041677(JP,A)
【文献】特開2003-068302(JP,A)
【文献】特開2004-207055(JP,A)
【文献】特開2015-094710(JP,A)
【文献】特開2012-181976(JP,A)
【文献】特開2015-107890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/44
H01M 4/00-4/62
10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化
と、充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値とを取得する取得部と、
該取得部により取得した電圧の変化
及び微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する判定部と
を備
え、
前記取得部は、取得時点における電圧が所定電圧以上である場合、計時時間が所定時間以上である場合又は充電電気量が所定電気量以上である場合、前記電圧の変化及び微分値を取得する、異常判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記電圧の変化及び微分値の大きさと、前記微分値の正負とに基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する、請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記微分値が正であり、且つ前記電圧の変化及び前記微分値がそれぞれ閾値以上である場合、前記蓄電素子が異常であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の異常判定装置。
【請求項4】
リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化
と、充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値とを取得し、
取得した電圧の変化
及び微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定
し、
取得時点における電圧が所定電圧以上である場合、計時時間が所定時間以上である場合又は充電電気量が所定電気量以上である場合、前記電圧の変化及び微分値を取得する、異常判定方法。
【請求項5】
リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化
と、充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値とを取得し、
取得した電圧の変化
及び微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定
し、
取得時点における電圧が所定電圧以上である場合、計時時間が所定時間以上である場合又は充電電気量が所定電気量以上である場合、前記電圧の変化及び微分値を取得する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の異常の有無を判定する異常判定装置、異常判定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド車等の車両用の蓄電素子、航空機、ドローン等の飛翔体用の蓄電素子、電力貯蔵装置、太陽光発電システム等の産業用の蓄電素子においては、高容量化が求められている。
容量が高く、エネルギー密度が高い蓄電素子として、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が知られている。非水電解質二次電池の正極及び負極には、各種の活物質が採用されており、通常、正極活物質としては、複合酸化物が広く用いられている。例えば特許文献1には、正極活物質として、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物が開示されている。前記酸化物としてのLi6 CoO4 は、理論容量が977mAh/gと高い。このため、前記酸化物は非水電解質二次電池の高容量化を可能とする正極活物質の一つとして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の逆蛍石型結晶構造を有する酸化物からなる正極活物質を有する蓄電素子の場合、蓄電素子の厚み方向の圧迫力が不均一である状態、正極と負極との対向が不均一である状態、及び通電レートが大きい状態では、充放電を繰り返すことにより充放電容量が低下するという問題がある。例えば飛翔体等に用いられる蓄電素子のように、軽く、高い質量エネルギー密度が要求される場合、特に容量の低下を抑制する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の異常の有無を簡便に判定できる異常判定装置、異常判定方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る異常判定装置は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得する取得部と、該取得部により取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る異常判定装置は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得する取得部と、該取得部により取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る異常判定方法は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得し、取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する。
【0009】
本発明の一態様に係る異常判定方法は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得し、取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する。
【0010】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得し、取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する処理をコンピュータに実行させる。
【0011】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得し、取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、簡便で高精度、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】異常がない電池の充電時及び放電時の電気量と電圧との関係を示すグラフである。
【
図2】異常がある電池の充電時及び放電時の電気量と電圧との関係を示すグラフである。
【
図3】実施形態の異常判定の処理の一例を示すグラフである。
【
図4】実施形態の異常判定の処理の他の例を示すグラフである。
【
図5】実施形態1に係る充放電システム、負荷、及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態1の異常判定装置としてのBMUにおける異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】変形例1のBMUにおける異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】変形例2のBMUにおける異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】変形例3のBMUにおける異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】実施例1の電池の充電時及び放電時の電気量の推移を求めた結果を示すグラフである。
【
図12】実施例2の電池の充電時及び放電時の電気量の推移を求めた結果を示すグラフである。
【
図13】実施例3の電池の充電時の600秒毎の電圧の変化を通電時間に対してプロットしたグラフである。
【
図14】実施例4の電池の充電時の600秒毎の電圧の変化を通電時間に対してプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態の概要)
実施形態に係る異常判定装置は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得する取得部と、該取得部により取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備える。
【0015】
逆蛍石型結晶構造とは、負電荷を有するアニオンによって構成される面心立方格子の四面体サイトに正電荷を有するカチオンが入っている構造をいう。即ち単位格子あたり4個のアニオンで構成されており、かつ最大で8個のカチオンの原子が入り得る。逆蛍石型結晶構造を有する酸化物としては、Li2 O、Na2 O、K2 O等のアルカリ金属酸化物が知られている。リチウムイオン二次電池の正極材料として用いる前記酸化物としては、アニオンとして酸素を、カチオンとして主にLiを有し、さらに充放電の際のLiの脱離及び挿入を補償するためにMn、Co又はFeを含有している。
【0016】
図1は、異常がない前記正極活物質を有する電池の充電時及び放電時の電気量と電圧との関係を示すグラフである。上向きの曲線は充電曲線、下向きの曲線は放電曲線である。横軸は電気量(mAh/g)、縦軸は電圧(V)である。
図1中、a、b、c、d、及びeは夫々、充電及び放電を1回、2回、3回、4回、及び5回繰り返した場合を示す。
異常がない場合、5回充放電を繰り返しても、充電容量及び放電容量は低下しない。
【0017】
図2は、異常がある電池の充電時及び放電時の電気量と電圧との関係を示すグラフである。上向きの曲線は充電曲線、下向きの曲線は放電曲線である。横軸は電気量(mAh/g)、縦軸は電圧(V)である。
図2中、f、g、及びhは夫々、充電及び放電を1回、2回、及び3回繰り返した場合を示す。
図2より、3回目の充電末付近において、単位時間当たりの電圧の変化(単位電気量当たりの電圧の変化)が大きくなっており、3回目の放電時の放電容量が大きく低下していることが分かる。
この電池は、厚み方向に圧迫したときの圧迫力が不均一であることが分かっている。圧迫力が不均一である場合、反応が不均一になり、充電過多の部分が生じて電圧変化が大きくなる。この場合、酸素ガスが発生し、劣化が進行する。
【0018】
本発明者等は、前記蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得し、取得した電圧の変化に基づいて、蓄電素子の異常の有無を判定することができることを見出した。また、蓄電素子の充電時の単位時間当たりの、単位時間当たりの電圧の変化の変化を取得し、取得した前記変化に基づいて、蓄電素子の異常の有無を判定できることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
実施形態の異常判定装置は、充電時のΔV/Δt又はΔV/ΔQを取得する取得部と、取得部により取得した電圧の変化に基づいて、蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備えるので、簡便で、精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。精度良く、蓄電素子の異常の判定ができるので、適切なタイミングで、例えば充電条件を変更する等の劣化を抑制する制御ができ、蓄電素子の寿命を延ばすことができる。通常の使用時に、蓄電素子を劣化させることなく、異常の有無の判定ができる。蓄電素子の出荷前の検査にも適用できる。
【0020】
実施形態に係る異常判定装置はリチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得する取得部と、該取得部により取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備える。
【0021】
ここで、「単位時間当たりの電圧の変化の微分値」とは、単位時間当たりの電圧の変化の割合(若しくは微分値)、又は、時間依存する電圧について2回微分した微分値をいう。
上記構成によれば、前記変化を取得する取得部と、取得部により取得した前記微分値に基づいて、蓄電素子の異常の有無を判定する判定部とを備えるので、簡便で、精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。2回微分することで関数の増減方向が分かるため、電圧変化の傾向を瞬時に判断できるという更なる効果も有する。
【0022】
上述の充電時のΔV/Δt又はΔV/ΔQを取得する取得部を備える異常判定装置において、前記取得部は、前記蓄電素子の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得し、前記判定部は、該取得部により取得した前記微分値に基づいて、異常の有無を判定してもよい。ΔV/Δt若しくはΔV/ΔQ、又はΔ(ΔV/Δt)/Δtを取得する場合、ノイズを拾った場合に、誤検知が生じる可能性があるが、ΔV/Δt若しくはΔV/ΔQに加えてΔ(ΔV/Δt)/Δtを取得するることで、誤検知を抑制できる。
【0023】
実施形態に係る異常判定方法は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得し、取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する。
上記構成によれば、簡便で精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。
【0024】
実施形態に係る異常判定方法は、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得し、取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する。
上記構成によれば、簡便で精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。
【0025】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化、又は単位電気量当たりの電圧の変化を取得し、取得した電圧の変化に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する処理をコンピュータに実行させる。
上記構成によれば、簡便で精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。
【0026】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、リチウム及びコバルトを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む正極活物質を有する蓄電素子の充電時の単位時間当たりの電圧の変化の微分値を取得し、取得した前記微分値に基づいて、前記蓄電素子の異常の有無を判定する処理をコンピュータに実行させる。
上記構成によれば、簡便で精度良く、迅速に蓄電素子の異常の有無を判定できる。
【0027】
以下、実施形態の異常判定方法について説明する。
図3は、実施形態の異常判定の処理の一例を示すグラフである。
図3の横軸は時間t、縦軸は電圧Vである。
図3においては、CC(定電流)充電を行っている状態を示す。
電圧が監視を開始する開始電圧以上になった場合、充電を始めてから、監視を開始する開始時間t
2 が経過した場合、又は所定電気量に到達した場合、後述する制御部41は、監視区間に到達したと判定する。監視区間において、制御部41は適宜の間隔でΔV/Δt又はΔV/ΔQを取得する。制御部41はΔV/Δtが閾値a以上になった場合、又はΔV/ΔQが閾値b以上になった場合、電池が異常であると判定する。
【0028】
図4は、実施形態の異常判定の処理の他の例を示すグラフである。
図4の横軸は時間t、縦軸は電圧Vである。
図4においては、CC(定電流)充電を行っている状態を示す。
電圧が所定電圧以上になった場合、制御部41は、監視区間に到達したと判定する。制御部41は、適宜の間隔でΔ(ΔV/Δt)/Δtを取得する。制御部41はΔ(ΔV/Δt)/Δtが変曲点(負から正の値になる点)を超えた場合、異常判定区間に到達したと判定する。Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上になった場合、制御部41は電池が異常であると判定する。
【0029】
以下、具体的に異常の判定について説明する。以下、蓄電素子としてリチウムイオン二次電池(電池)を用いる場合につき説明する。
(実施形態1)
【0030】
図5は、実施形態1に係る充放電システム1、負荷8、及びサーバ9の構成を示すブロック図である。
充放電システム1は、電池モジュール3と、BMU(Battery Management Unit)4と、電圧センサ5と、電流センサ6と、制御装置7とを備える。
【0031】
電池モジュール3は、複数の蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池(以下、セルという)2が直列に接続されている。
BMU4は、制御部41、記憶部42、計時部46、入力部47、及び通信部48を備える。BMU4は、電池ECUであってもよい。
制御装置7は充放電システム1全体を制御し、制御部71、表示部72、及び通信部73を備える。
サーバ9は、制御部91、及び通信部92を備える。
制御装置7の制御部71は、通信部73、ネットワーク10、及び通信部92を介し、制御部91と接続されている。
端子15,16を介し電池モジュール3に負荷8が接続される。
【0032】
制御部41、71、及び91は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成され、BMU4、制御装置7、及びサーバ9の動作を制御する。
通信部48、73、及び92は、ネットワークを介して他の装置との間で通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行うことができる。
【0033】
BMU4の記憶部42は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラム及びデータを記憶する。
記憶部42には、異常判定プログラム(以下、プログラムという)43が格納されている。プログラム43は、例えばCD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体50に格納された状態で提供され、BMU4にインストールすることにより記憶部42に格納される。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム43を取得し、記憶部42に記憶させることにしてもよい。
【0034】
記憶部42には充放電の履歴データ44も記憶されている。充放電の履歴とは、電池モジュール3の運転履歴であり、電池モジュール3が充電又は放電を行った期間(使用期間)を示す情報、使用期間において電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報等を含む情報である。電池モジュール3の使用期間を示す情報とは、充電又は放電の開始及び終了の時点を示す情報、電池モジュール3が使用された累積使用期間等を含む情報である。電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報とは、電池モジュール3が行った充電時又は放電時の電圧、レート等を示す情報である。
【0035】
記憶部42には、電池の種類、設計、電流値等の使用条件別に、予め実験により求めた、前記監視区間の到達の有無を判定するための電圧、即ち監視の開始電圧を記憶した電圧テーブル45も記憶している。開始電圧は機械学習により求めてもよい。
【0036】
計時部46は、計時を行う。
入力部47は、電圧センサ5及び電流センサ6からの検出結果の入力を受け付ける。
【0037】
制御装置7の表示部72は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等で構成することができる。制御部71は、表示部72に所要の情報を表示するための制御を行う。
【0038】
実施形態においては、BMU4が本発明の異常判定装置として機能する。制御装置7、及びサーバ9のいずれかが、異常判定装置として機能してもよい。なお、サーバ9が異常判定装置として機能しない場合、充放電システム1がサーバ9に接続されていなくてもよい。
【0039】
図5においては、電池モジュール3を一組備える場合を示しているが、電池モジュール3は、複数組、直列に接続してもよい。また、セル2を一つ備えるものであってもよい。
電圧センサ5は、電池モジュール3に並列に接続されており、電池モジュール3の全体の電圧に応じた検出結果を出力する。電圧センサ5は、各セル2の後述する正極端子23,負極端子26に接続されており、各セル2の正極端子23,負極端子26間の電圧V
1 を測定し、各セル2のV
1 の合計値である電池モジュール3の負極リード33,正極リード34間の電圧Vを検出する。
電流センサ6は、電池モジュール3に直列に接続されており、電池モジュール3の電流に応じた検出結果を出力する。
【0040】
図6は、電池モジュール3の斜視図である。
電池モジュール3は、直方体状のケース31と、ケース31に収容された複数の前記セル2とを備える。
【0041】
セル2は、直方体状のケース本体21と、蓋板22と、蓋板22に設けられた、正極端子23,負極端子26と、破裂弁24と、電極体25とを備える。電極体25は正極板、セパレータ、及び負極板を積層してなり、ケース本体21に収容されている。
電極体25は、正極板と負極板とをセパレータを介して扁平状に巻回して得られるものであってもよい。
【0042】
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材箔上に活物質層が形成されたものである。負極板は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材箔上に活物質層が形成されたものである。セパレータは、合成樹脂からなる微多孔性のシートである。
【0043】
正極の活物質層に用いられる正極活物質は、Li及びCoを含み、逆蛍石型の結晶構造を有する酸化物を含む。該酸化物は、Li、Co及び酸素以外の他の元素を含むことができる。他の元素としては、Mn、Fe、Ni、Cu等のCo以外の遷移金属元素、Mg、Al等の遷移金属元素以外の金属元素、その他、F等のハロゲンなどを挙げることができる。
【0044】
前記酸化物において、全遷移金属元素に占めるCoの含有割合(原子数比)としては、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。上限は、100モル%が好ましい。
【0045】
また、前記酸化物において、全元素に占めるLi、Coを含む遷移金属元素及び酸素以外の他の元素の含有割合(原子数比)としては、20モル%以下が好ましいことがあり、10モル%以下が好ましいことがあり、1モル%以下が好ましいことがある。
【0046】
前記酸化物の具体例としては、Li6 Coα M1-α O4 (0<α≦1、MはCo以外の遷移金属元素を表す)、Li5 Coβ Fe1-β O4 (0<β<1)、Li6 Coγ Mn1-γ O4 (0<γ<1)等を挙げることができる。これらの中でも、Li6 Coα M1-α O4 が好ましい。αは0.5以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、1がさらに好ましい。即ち前記酸化物としては、Li6 CoO4 が最も好ましい。
【0047】
X線回折における(201)面及び(222)面に由来するピークから算出される前記酸化物の平均結晶子サイズが240Å以下であるのが好ましい。平均結晶子サイズが240Å以下である場合、結晶子間の界面が多く存在するので、イオンの伝導性が高まり、放電容量が大きくなり、十分な容量維持率を発揮することができると推察される。平均結晶子サイズの上限は150Å、120Å、115Åの順に好ましいこともある。
前記平均結晶子サイズの下限は、特に限定されないが、例えば10Åであり、30Åが好ましく、50Åがより好ましく、100Åがさらに好ましい。充電終止電位等によれば、比較的平均結晶子サイズが大きい方が、放電容量維持率がより高くなる場合がある。
【0048】
X線回折における(110)面、(201)面及び(222)面に由来するピークから算出される前記酸化物の平均結晶子サイズの上限は、270Åが好ましく、240Åがより好ましく、210Åがさらに好ましく、190Åがよりさらに好ましく、150Åがよりさらに好ましい。平均結晶サイズを前記上限以下とすることで、電池モジュール3の放電容量をより大きくすることができ、また、十分な容量維持率を発揮することができる。
前記平均結晶子サイズの下限は、特に限定されないが、例えば10Åであり、30Åが好ましく、50Åがより好ましく、100Åがさらに好ましい。充電終止電位等によれば、比較的平均結晶子サイズが大きい方が、放電容量維持率がより高くなる場合がある。
【0049】
負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
【0050】
さらに、負極活物質は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
【0051】
電池モジュール3の隣り合うセル2の隣り合う正極端子23,負極端子26がバスバー32により電気的に接続されることで、複数のセル2が直列に接続されている。
電池モジュール3の両端のセル2の、正極端子23,負極端子26には、電力を取り出すための前記正極リード34,負極リード33が設けられている。
【0052】
図7は、実施形態1の異常判定装置としてのBMU4における異常判定処理の手順を示すフローチャートである。電池モジュール3の充電中であるとする。制御部41は、適宜の間隔で、以下の処理を行う。
BMU4の制御部41は、監視区間に到達したか否かを判定する(S1)。制御部41は、電圧テーブル45を読み出し、電池の種類、設計、電流値等の使用条件に応じた開始電圧を選択し、取得時点の電圧が開始電圧以上であるか否かを判定することにより、監視区間に到達したか否かを判定する。開始電圧として、例えば3.3Vが挙げられる。計時部46が計時した時間が開始時間を超えたか否かを判定してもよい。又は履歴データ44を読み出し、充電の開始からの充電電気量が、監視を開始する充電電気量を超えたか否かを判定してもよい。これらの場合、開始時間又は前記充電電気量は、電池の種類、設計、電流値等の使用条件別に、記憶部42に記憶しておくのが好ましい。
【0053】
制御部41は、監視区間に到達していない場合(S1:NO)、処理を終了する。
制御部41は、監視区間に到達している場合(S1:YES)、電圧を取得し、ΔV/Δtを取得する(S2)。
制御部41は、ΔV/Δtが閾値a以上であるか否かを判定する(S3)。
制御部41は、ΔV/Δtが閾値a以上でない場合(S3:NO)、処理を終了する。
制御部41は、ΔV/Δtが閾値a以上である場合(S3:YES)、異常と判定し(S4)、処理を終了する。制御部41は、例えば制御装置7に異常情報を送信し、制御部71により表示部72に異常状態であることを表示してもよい。また、ランプを点灯させる、音声を出力する等により、異常状態であることを報知してもよい。これにより、ユーザは、電池モジュール3の圧迫力が均一であるか否か等を確認し、圧迫力が不均一である場合、調整して電池モジュール3の劣化を抑制することができる。
【0054】
(変形例1)
図8は、変形例1のBMU4における異常判定処理の手順を示すフローチャートである。電池モジュール3の充電中であるとする。制御部41は、適宜の間隔で、以下の処理を行う。
BMU4の制御部41は、監視区間に到達したか否かを判定する(S11)。制御部41は、上記と同様にして、監視区間に到達したか否かを判定する。
【0055】
制御部41は、監視区間に到達していない場合(S11:NO)、処理を終了する。
制御部41は、監視区間に到達している場合(S11:YES)、ΔV/ΔQを取得する(S12)。
制御部41は、ΔV/ΔQが閾値b以上であるか否かを判定する(S13)。
制御部41は、ΔV/ΔQが閾値b以上でない場合(S13:NO)、処理を終了する。
制御部41は、ΔV/ΔQが閾値b以上である場合(S13:YES)、異常と判定し(S14)、処理を終了する。制御部41は、上記と同様にして、ユーザに異常状態であることを報知してもよい。
【0056】
(変形例2)
図9は、変形例2のBMU4における異常判定処理の手順を示すフローチャートである。電池モジュール3の充電中であるとする。制御部41は、適宜の間隔で、以下の処理を行う。
BMU4の制御部41は、監視区間に到達したか否かを判定する(S21)。制御部41は、上記と同様にして、監視区間に到達したか否かを判定する。制御部41は、電圧テーブル45を読み出し、電池モジュール3の種類、設計、電流値等の使用条件に応じた開始電圧を選択し、取得時点の電圧が開始電圧以上であるか否かを判定することにより、監視区間に到達したか否かを判定する。開始電圧として、例えば2.9Vが挙げられる。上述した二つの例より、電圧の値を下げることができる。
【0057】
制御部41は、監視区間に到達していない場合(S21:NO)、処理を終了する。
制御部41は、監視区間に到達している場合(S21:YES)、Δ(ΔV/Δt)/Δtを取得する(S22)。
制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが正であるか否かを判定する(S23)。制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが正でない場合(S23:NO)、処理を終了する。
図4に示すように、監視区間に到達した後、Δ(ΔV/Δt)/Δtは負の値を取り、Δ(ΔV/Δt)/Δtが正になった後、異常判定を行う。
【0058】
制御部41はΔ(ΔV/Δt)/Δtが正である場合(S23:YES)、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上であるか否かを判定する(S24)。制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上でない場合(S24:NO)、処理を終了する。
【0059】
制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上である場合(S24:YES)、異常と判定し(S25)、処理を終了する。制御部41は、上記と同様にして、ユーザに異常状態であることを報知してもよい。
【0060】
(変形例3)
図10は、変形例2のBMU4における異常判定処理の手順を示すフローチャートである。電池モジュール3の充電中であるとする。制御部41は、適宜の間隔で、以下の処理を行う。
BMU4の制御部41は、監視区間に到達したか否かを判定する(S31)。制御部41は、上記と同様にして、監視区間に到達したか否かを判定する。制御部41は、電圧テーブル45を読み出し、電池モジュール3の種類、設計、電流値等の使用条件に応じた開始電圧を選択し、取得時点の電圧が開始電圧以上であるか否かを判定することにより、監視区間に到達したか否かを判定する。
制御部41は、監視区間に到達していない場合(S31:NO)、処理を終了する。
【0061】
制御部41は、監視区間に到達している場合(S31:YES)、Δ(ΔV/Δt)/Δtを取得する(S32)。
制御部41は、ΔV/Δtを取得する(S33)。制御部41はΔV/ΔQを取得してもよい。
制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが正であるか否かを判定する(S34)。制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが正でない場合(S34:NO)、処理を終了する。
【0062】
制御部41はΔ(ΔV/Δt)/Δtが正である場合(S34:YES)、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上であるか否かを判定する(S35)。制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上でない場合(S35:NO)、処理を終了する。
【0063】
制御部41は、Δ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上である場合(S35:YES)、ΔV/Δtが閾値a以上であるか否かを判定する(S36)。制御部41はΔV/ΔQを取得した場合、ΔV/ΔQが閾値b以上であるか否かを判定する
制御部41は、ΔV/Δtが閾値a以上でない場合(S36:NO)、処理を終了する。又は、ΔV/ΔQが閾値b以上でない場合、処理を終了する。
制御部41は、ΔV/Δtが閾値a以上である場合(S36:YES)、又はΔV/ΔQが閾値b以上である場合、異常と判定し(S37)、処理を終了する。制御部41は、上記と同様にして、ユーザに異常状態であることを報知してもよい。
【0064】
変形例3によれば、ΔV/Δt若しくはΔV/ΔQ、又はΔ(ΔV/Δt)/Δtを取得する場合、ノイズを拾った場合に、誤検知が生じる可能性があるが、ΔV/Δt若しくはΔV/ΔQ、及びΔ(ΔV/Δt)/Δtを取得することで、誤検知を抑制できる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
正極活物質として、Li6 CoO4(CoをドープしたLi2O)を用いた。試験セルとして、CoドープLi2O/金属Liセル(ハーフセル)を用いた。
充放電サイクル試験条件は以下の通りである。
試験温度:25℃
充電:50mA/gでCC充電、電気量が300mAh/gになった時点で充電停止
放電:50mA/gでCC放電、電圧が1.5Vになった時点で放電停止
【0066】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~4]
正極活物質として、CoをドープしたLi2O(Li6 CoO4)を用いた。試験セルとして、CoドープLi2O/金属Liセル(ハーフセル)の実施例1~4の電池を作製した。
【0067】
充放電サイクル試験条件は以下の通りである。
試験温度:25℃
充電:50mA/gでCC充電、電気量が300mAh/gになった時点で充電停止
放電:50mA/gでCC放電、電圧が1.5Vになった時点で放電停止
【0068】
図11は、実施例1の電池の充電時及び放電時の電気量の推移を求めた結果を示すグラフである。
図11Aは1サイクル目の充電曲線及び放電曲線、
図11Bは2サイクル目の充電曲線及び放電曲線、
図11Cは3サイクル目の充電曲線及び放電曲線を示す。
図11の横軸は電気量(mAh/g)、縦軸は電圧(V)であり、上向きの曲線が充電曲線、下向きの曲線が放電曲線である。
図11Cに示すように、充電末でΔV/ΔQが閾値b以上になっており、
図8のフローチャートの判定処理により、異常があると判定される。この場合、
図11Bの放電曲線と比較することにより、放電容量が低下していることが分かる。
【0069】
図12は、実施例2の電池の充電時及び放電時の電気量の推移を求めた結果を示すグラフである。
図12Aは1サイクル目の充電曲線及び放電曲線、
図12Bは2サイクル目の充電曲線及び放電曲線、
図12Cは3サイクル目の充電曲線及び放電曲線を示す。
図12の横軸は電気量(mAh/g)、縦軸は電圧(V)であり、上向きの曲線が充電曲線、下向きの曲線が放電曲線である。
図12Cに示すように、充電末でΔV/ΔQは上昇せず、
図8のフローチャートの判定処理において、異常は検知されない。この場合、
図12Bと比較して、放電容量は低下していないことが分かる。
【0070】
図13は、実施例3の電池の充電時の600秒毎の電圧の変化を通電時間に対してプロットしたグラフである。
図13Aは1サイクル目のグラフ、
図13Bは2サイクル目のグラフ、
図13Cは3サイクル目のグラフである。
図13の横軸は時間(秒)、縦軸はΔV/Δt(V/秒)である。
図13Cに示すように、充電末でΔ(ΔV/Δt)/Δtが閾値c以上になっており、
図9のフローチャートの判定処理により、異常があると判定される。
【0071】
図14は、実施例4の電池の充電時の600秒毎の電圧の変化を通電時間に対してプロットしたグラフである。
図14Aは1サイクル目のグラフ、
図14Bは2サイクル目のグラフ、
図14Cは3サイクル目のグラフである。
図14の横軸は時間(秒)、縦軸はΔV/Δt(V/秒)である。
図14Cに示すように、充電末でΔ(ΔV/Δt)/Δtは上昇しておらず、
図9のフローチャートの判定処理においては、異常は検知されない。
【0072】
以上より、本実施形態の異常判定方法により、電池の異常を簡便に、精度良く、迅速に検知できることが確認された。精度良く、電池の異常の判定ができるので、適切なタイミングで電池の劣化を抑制する制御ができ、電池の寿命を延ばすことができる。通常使用の範囲内で、電池を劣化させることなく、異常の有無の判定ができる。電池の出荷前の検査にも適用できる。
電池モジュール3は、高い質量エネルギー密度が要求される、例えば飛翔体等の電源として用いることができる。この場合、異常を容易に検知できる。
【0073】
前記実施形態は、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0074】
本発明に係る異常判定方法を適用できる蓄電素子として、物流・運送サービスに供される電動の移動体としてのバス、トラック、タクシー、ドローン、船舶、バイク、航空機等に搭載される蓄電素子が挙げられる。蓄電素子交換・充電サービスに供される電動の移動体としてのバイク、自動車、自転車、ドローン、スマートフォン等のモバイル機器等に搭載される蓄電素子が挙げられる。シェアリングサービスに供される電動の移動体としてのバイク、自動車、自転車等に搭載される蓄電素子が挙げられる。据置蓄電素子運用監視サービスの対象となる発電設備、電力需要設備内で使用される蓄電素子が挙げられる。本発明に係る異常判定方法は、上記サービス以外のMaaS(Mobility as a Service)事業の蓄電素子にも適用可能である。上記移動体、モバイル機器、発電設備、電力需要設備の充放電システムに適用することに限定されず、鉄道用回生電力貯蔵装置等の他の充放電システムにも適用できる。
蓄電素子はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子は、一次電池であってもよいし、キャパシタ等の電気化学セルであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 充放電システム
2 電池(蓄電素子)
3 電池モジュール(蓄電素子)
4 BMU
41、71、91 制御部
42 記憶部
43 プログラム
44 履歴データ
45 電圧テーブル
46 計時部
47 入力部
48、73、92 通信部
7 制御装置
72 表示部
9 サーバ
10 ネットワーク