(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20240130BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240130BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240130BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240130BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240130BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/262 Z
H01M50/264
H01M50/271 B
H01M50/507
(21)【出願番号】P 2019185291
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】金本 将季
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-071097(JP,A)
【文献】特開2012-164431(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123784(WO,A1)
【文献】特開2018-005996(JP,A)
【文献】特開2019-079599(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186664(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/107734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の配列方向において前記複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対の第一エンド部と、
前記一対の第一エンド部と一体に形成されて、前記一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部と、
前記複数の蓄電素子とで前記第一繋ぎ部を挟む位置に配置され、前記一対の第一エンド
部と接合される被接合部材と、
を備え、
前記一対の第一エンド部は、前記複数の蓄電素子を収容する外装体の一対の側壁であり、
前記被接合部材は、前記一対の側壁と接合される前記外装体の蓋体である
蓄電装置。
【請求項2】
さらに、前記複数の蓄電素子が有する少なくとも1つの電極端子に接続されるバスバーを備え、
前記第一繋ぎ部は、前記バスバーが配置されるバスバーフレームである
請求項
1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
さらに、
前記一対の側壁と接合される前記外装体の底壁と、
前記外装体に収容され、前記配列方向において前記複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部と、
前記複数の蓄電素子と前記底壁との間に配置され、前記一対の挟持部を繋ぐ第二繋ぎ部と、を備える
請求項
1または
2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の配列方向において前記複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対の第一エンド部と、
前記一対の第一エンド部と一体に形成されて、前記一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部と、
前記複数の蓄電素子とで前記第一繋ぎ部を挟む位置に配置され
、前記配列方向において前記一対の第一エンド部を挟む位置に配置される一対の第二エンド部と接合される被接合部材と、
を備え、
前記一対の第二エンド部と前記被接合部材とは、前記第一繋ぎ部よりも前記複数の蓄電素子とは反対側で接合される
蓄電装置。
【請求項5】
前記一対の第二エンド部は、前記複数の蓄電素子を収容する外装体の一対の側壁であり、
前記一対の第一エンド部は、前記外装体に収容され、前記配列方向において前記複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部であり、
前記被接合部材は、前記一対の側壁と接合される前記外装体の底壁である
請求項
4に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子の配列方向において複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対のエンド部と、一対のエンド部と接合される被接合部材と、を備える蓄電装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池セル(蓄電素子)と、複数の電池セルをその配列方向に挟持する挟持部を有する一対のエンドプレート(エンド部)と、を備え、一対のエンドプレートが筐体の底壁(被接合部材)に固定された構成の電池モジュール(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、上記従来の蓄電装置のように、複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対のエンド部が被接合部材に接合される構成において、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するおそれがあることを見出した。つまり、上記従来の蓄電装置では、複数の蓄電素子がその配列方向に膨れた場合に、エンド部と被接合部材との接合が外れるなど、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するおそれがある。なお、上記特許文献1において、蓄電装置(電池モジュール)は、バスバー部と一体化されて複数の蓄電素子(電池セル)を拘束する一対の拘束部を有する兼用部材を備えている。しかしながら、上記特許文献1において、兼用部材は、バスバー部が配置されていない側(バスバー部の反対側)においては、複数の蓄電素子の膨れに抗することができず、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対のエンド部が被接合部材に接合される構成において、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するのを抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子の配列方向において前記複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対の第一エンド部と、前記一対の第一エンド部と一体に形成されて、前記一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部と、前記複数の蓄電素子とで前記第一繋ぎ部を挟む位置に配置され、前記一対の第一エンド部、または、前記配列方向において前記一対の第一エンド部を挟む位置に配置される一対の第二エンド部と接合される被接合部材と、を備える。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、複数の蓄電素子を挟む一対の第一エンド部と第一繋ぎ部とが一体に形成され、複数の蓄電素子とで第一繋ぎ部を挟む位置に、一対の第一エンド部または一対の第二エンド部(以下、一対のエンド部という)と接合される被接合部材が配置されている。このように、第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子を挟む一対の第一エンド部と一体に形成されているため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、第一繋ぎ部側において、複数の蓄電素子が膨れるのを抑制することができる。この構成において、被接合部材は、複数の蓄電素子の第一繋ぎ部側で一対のエンド部と接合されているため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、一対のエンド部と被接合部材との接合部に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、エンド部と被接合部材との接合が外れるなど、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【0008】
また、前記一対の第一エンド部は、前記複数の蓄電素子を収容する外装体の一対の側壁であり、前記被接合部材は、前記一対の側壁と接合される前記外装体の蓋体であることにしてもよい。
【0009】
これによれば、一対の第一エンド部は、外装体の一対の側壁であるため、外装体の一対の側壁が第一繋ぎ部と一体に形成されていることとなる。このため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、当該一対の側壁と一体の第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子が膨れるのを抑制する。この構成において、被接合部材は、当該一対の側壁と接合される外装体の蓋体であるため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、当該一対の側壁と蓋体との接合部に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、外装体の側壁と蓋体との接合が外れるなど、外装体の側壁と蓋体との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【0010】
また、さらに、前記複数の蓄電素子が有する少なくとも1つの電極端子に接続されるバスバーを備え、前記第一繋ぎ部は、前記バスバーが配置されるバスバーフレームであることにしてもよい。
【0011】
これによれば、第一繋ぎ部は、バスバーが配置されるバスバーフレームであるため、バスバーが蓄電素子の電極端子に固定されることで、第一繋ぎ部も蓄電素子に対して固定される。このように、第一繋ぎ部が、バスバーとともに蓄電素子に固定されることで、複数の蓄電素子が第一繋ぎ部側(蓋体側)で膨れるのをさらに抑制することができる。これにより、外装体の側壁と蓋体との接合部が損傷するのをさらに抑制することができる。
【0012】
また、さらに、前記一対の側壁と接合される前記外装体の底壁と、前記外装体に収容され、前記配列方向において前記複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部と、前記複数の蓄電素子と前記底壁との間に配置され、前記一対の挟持部を繋ぐ第二繋ぎ部と、を備えることにしてもよい。
【0013】
これによれば、蓄電装置において、複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部を第二繋ぎ部が繋ぎ、複数の蓄電素子とで第二繋ぎ部を挟む位置に、外装体の一対の側壁と接合される外装体の底壁が配置されている。このように、第二繋ぎ部が、複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部を繋いでいるため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、第二繋ぎ部側において、複数の蓄電素子が膨れるのを抑制することができる。この構成において、外装体の底壁は、複数の蓄電素子の第二繋ぎ部側で外装体の一対の側壁と接合されているため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、一対の側壁と底壁との接合部に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、外装体の側壁と底壁との接合が外れるなど、外装体の側壁と底壁との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【0014】
また、前記一対の第二エンド部は、前記複数の蓄電素子を収容する外装体の一対の側壁であり、前記一対の第一エンド部は、前記外装体に収容され、前記配列方向において前記複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部であり、前記被接合部材は、前記一対の側壁と接合される前記外装体の底壁であることにしてもよい。
【0015】
これによれば、一対の第一エンド部は、複数の蓄電素子を挟み込む一対の挟持部であるため、当該一対の挟持部が第一繋ぎ部と一体に形成されていることとなる。このため、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、当該一対の挟持部と一体の第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子が膨れるのを抑制する。この構成において、一対の第二エンド部は、外装体の一対の側壁であり、被接合部材は、当該一対の側壁と接合される外装体の底壁であるため、外装体の底壁が、複数の蓄電素子とで第一繋ぎ部を挟む位置に配置されていることとなる。これにより、複数の蓄電素子が配列方向に膨れようとしても、第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子が底壁側で膨れるのを抑制するため、当該一対の側壁と底壁との接合部に応力がかかるのを抑制することができる。したがって、外装体の側壁と底壁との接合が外れるなど、外装体の側壁と底壁との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【0016】
なお、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一エンド部と第一繋ぎ部と被接合部材との組み合わせ、または、それらと第二エンド部との組み合わせとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、複数の蓄電素子を挟む位置に配置される一対のエンド部(第一エンド部または第二エンド部)が被接合部材に接合される構成において、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る外装体本体の構成を示す斜視図及び断面図である。
【
図4】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうち複数の蓄電素子を外装体内に収容する工程を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうち外装体本体と蓋体及び底壁とを接合する工程を示す断面図である。
【
図6】実施の形態の変形例に係る外装体本体の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子の配列方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、蓄電素子が有する電極体の極板の積層方向を、X軸方向と定義する。1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の蓋体と外装体本体と底壁との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋部との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。また、蓄電装置10は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1に示すように、蓄電装置10は、外装体100を備えており、
図2に示すように、外装体100の内方には、複数の蓄電素子200、拘束部材300、及び、複数のバスバー400等が収容されている。なお、蓄電装置10は、隣り合う2つの蓄電素子200の間に配置されるスペーサ、蓄電素子200の充電状態及び放電状態を監視するための回路基板等の電気機器等を備えていてもよい。
【0025】
外装体100は、蓄電装置10の外装体を構成する箱形(略直方体形状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体100は、複数の蓄電素子200、拘束部材300、及び、複数のバスバー400等の外方に配置され、これら蓄電素子200等を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。
【0026】
外装体100は、外装体100の本体部分を構成する外装体本体110と、外装体100の蓋部分を構成する蓋体120と、外装体100の底部分を構成する底壁130と、を有している。外装体本体110は、矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子200及び拘束部材300を収容する。具体的には、外装体本体110は、複数の蓄電素子200及び拘束部材300のX軸方向両側の全面、Y軸方向両側の全面、及び、Z軸プラス方向側の一部を覆うように配置される。外装体本体110の構成の詳細な説明については、後述する。
【0027】
蓋体120は、外装体本体110のZ軸プラス方向に配置される扁平な矩形状の部材である。蓋体120は、外周部分が外装体本体110のZ軸プラス方向の部位とヒートシール等によって接合されて、外装体本体110のZ軸プラス方向側の開口を閉塞する。蓋体120には、正極外部端子121と負極外部端子122とが設けられている。蓄電装置10は、この正極外部端子121と負極外部端子122とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0028】
底壁130は、外装体本体110のZ軸マイナス方向に配置される扁平な矩形状の板状部材である。底壁130は、外周部分が外装体本体110のZ軸マイナス方向の部位とヒートシール等によって接合されて、外装体本体110のZ軸マイナス方向側の開口を閉塞する。底壁130には、拘束部材300が、複数の蓄電素子200を拘束した状態で載置される
外装体100は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装等の絶縁処理をした金属等により形成されている。外装体100は、これにより、蓄電素子200等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子200等の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体100は、絶縁処理されていない金属等の導電部材で形成されていてもよい。また、外装体本体110、蓋体120及び底壁130は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0029】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子200は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子200がX軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子200の大きさ、形状、及び、配列される蓄電素子200の個数は限定されない。また、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子200は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、蓄電素子200は、ラミネート型の蓄電素子であってもよい。
【0030】
具体的には、蓄電素子200は、容器210と、一対(正極側及び負極側)の電極端子220と、を備えている。また、容器210の内方には、電極体、一対の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容されており、容器210と電極端子220及び集電体との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、蓄電素子200は、上記構成の他、集電体の側方等に配置されるスペーサ、及び、容器210の外面を覆う絶縁シート等を備えていてもよい。
【0031】
容器210は、開口が形成された容器本体と、容器本体の開口を閉塞する蓋部とを有する直方体形状(角形)の容器であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属等で形成されている。本実施の形態では、容器210は、長側面がX軸方向に向き、短側面がY軸方向に向く姿勢、つまり、一対の長側面がX軸方向で対向し、一対の短側面がY軸方向で対向する姿勢で配置されている。また、容器210のZ軸プラス方向側の面(蓋部)には、容器210内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁230が設けられている。なお、容器210には、容器210内方に電解液を注液するための注液部が設けられていてもよい。
【0032】
電極端子220は、容器210のZ軸プラス方向側の面(蓋部)に配置される蓄電素子200の端子(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子220は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子200の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子200の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子220は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0033】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。なお、電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0034】
集電体は、電極端子220と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0035】
拘束部材300は、複数の蓄電素子200をX軸方向において挟み込むことで、複数の蓄電素子200をX軸方向において拘束する(複数の蓄電素子200にX軸方向における拘束力を付与する)部材である。拘束部材300は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材で形成されているが、剛性の高い樹脂等の絶縁部材で形成されていてもよい。ここで、拘束部材300は、一対の挟持部310及び320と、一対の挟持部310及び320を繋ぐ繋ぎ部330と、を有している。
【0036】
挟持部310は、YZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、複数の蓄電素子200のX軸マイナス方向に配置される(
図5参照)。挟持部320は、YZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、複数の蓄電素子200のX軸プラス方向に配置される(
図5参照)。これにより、一対の挟持部310及び320は、複数の蓄電素子200の配列方向(X軸方向)において、複数の蓄電素子200を挟む位置に配置されて、複数の蓄電素子200を挟み込む。本実施の形態では、挟持部310及び320は、蓄電素子200の容器210のX軸方向側の側面(長側面)の全面を覆うように配置される(
図4の(a)参照)。
【0037】
繋ぎ部330は、XY平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、複数の蓄電素子200と外装体100の底壁130との間に配置される。本実施の形態では、繋ぎ部330は、複数の蓄電素子200のZ軸マイナス方向側の面(底面)の全面を覆うように配置される(
図4の(a)参照)。具体的には、繋ぎ部330は、X軸マイナス方向側の端部が挟持部310のZ軸マイナス方向側の端部に接続され、X軸プラス方向側の端部が挟持部320のZ軸マイナス方向側の端部に接続されて、一対の挟持部310及び320を繋ぐ部位である。
【0038】
また、繋ぎ部330は、一対の挟持部310及び320と一体に形成されている。ここで、繋ぎ部330と挟持部310及び320とが一体に形成されているとは、繋ぎ部330と挟持部310及び320とがボルト締結等で接続されているような状態ではなく、繋ぎ部330と挟持部310及び320とが継ぎ目なく接続されている(一体化されている)状態をいう。例えば、1枚の板状部材を折り曲げたり、3枚の板状部材を溶接(溶着)等により溶かして一体化したりすることにより、挟持部310、320及び繋ぎ部330を有する一体物の拘束部材300を形成することができる。
【0039】
バスバー400は、複数の蓄電素子200が有する少なくとも1つの電極端子220に接続される矩形状かつ平板状の部材である。具体的には、バスバー400は、複数の蓄電素子200の上方に配置され、複数の蓄電素子200の電極端子220、正極外部端子121、及び、負極外部端子122に接続(接合)される。つまり、バスバー400は、複数の蓄電素子200の電極端子220同士を接続し、かつ、端部の蓄電素子200の電極端子220と正極外部端子121及び負極外部端子122とを接続する。なお、バスバー400と電極端子220、正極外部端子121、及び、負極外部端子122とを接続(接合)する手法は特に限定されず、例えば、溶接またはボルト締結等による接合が用いられる。
【0040】
バスバー400は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル等の金属製の導電部材若しくはそれらの組み合わせ、または、金属以外の導電性の部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー400は、蓄電素子200を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続する。なお、バスバー400は、8個の蓄電素子200を全て直列に接続してもよいし、その他の接続構成であってもよい。
【0041】
[2 外装体本体110の構成の説明]
次に、外装体本体110の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る外装体本体110の構成を示す斜視図及び断面図である。具体的には、
図3の(a)は、
図2に示した外装体本体110を拡大して示す拡大斜視図であり、
図3の(b)は、
図3の(a)の外装体本体110をIIIb-IIIb線を通るXZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。
【0042】
図3に示すように、外装体本体110は、X軸方向において対向する一対の側壁111及び112と、Y軸方向において対向する一対の側壁113及び114と、一対の側壁111及び112を繋ぐ繋ぎ部115と、を有している。
【0043】
側壁111は、YZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、拘束部材300の挟持部310及び複数の蓄電素子200のX軸マイナス方向に配置される(
図5参照)。側壁112は、YZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、拘束部材300の挟持部320及び複数の蓄電素子200のX軸プラス方向に配置される(
図5参照)。これにより、一対の側壁111及び112は、複数の蓄電素子200の配列方向(X軸方向)において、一対の挟持部310及び320を挟む位置、つまり、拘束部材300及び複数の蓄電素子200を挟む位置に配置される。
【0044】
側壁113は、XZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、拘束部材300及び複数の蓄電素子200のY軸マイナス方向に配置される。具体的には、側壁113は、X軸マイナス方向側の端部が側壁111のY軸マイナス方向側の端部に接続され、X軸プラス方向側の端部が側壁112のY軸マイナス方向側の端部に接続されて、一対の側壁111及び112を繋ぐ部位である。また、側壁113は、一対の側壁111及び112と一体に形成されている。
【0045】
側壁114は、XZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、拘束部材300及び複数の蓄電素子200のY軸プラス方向に配置される。具体的には、側壁114は、X軸マイナス方向側の端部が側壁111のY軸プラス方向側の端部に接続され、X軸プラス方向側の端部が側壁112のY軸プラス方向側の端部に接続されて、一対の側壁111及び112を繋ぐ部位である。また、側壁114は、一対の側壁111及び112と一体に形成されている。これにより、一対の側壁113及び114は、複数の蓄電素子200の配列方向と交差する方向(Y軸方向)において、拘束部材300及び複数の蓄電素子200を挟む位置に配置される。
【0046】
繋ぎ部115は、XY平面に平行かつX軸方向に延設された矩形状かつ平板状の部位であり、複数の蓄電素子200と外装体100の蓋体120との間に配置される。本実施の形態では、繋ぎ部115は、それぞれの蓄電素子200が有する一対の電極端子220の間に対向する位置に配置される。つまり、外装体本体110において、繋ぎ部115のY軸方向両側の、それぞれの蓄電素子200の電極端子220に対応する位置には、矩形状の開口部116が形成されている。それぞれの蓄電素子200の電極端子220は、この開口部116内に配置されて、バスバー400と接合される。
【0047】
具体的には、繋ぎ部115は、X軸マイナス方向側の端部が側壁111のZ軸プラス方向側の端部に接続され、X軸プラス方向側の端部が側壁112のZ軸プラス方向側の端部に接続されて、一対の側壁111及び112を繋ぐ部位である。また、繋ぎ部115は、一対の側壁111及び112と一体に形成されている。例えば、繋ぎ部115は、側壁111及び112を製造する際に一対の側壁111及び112とともに一体形成されてもよいし、側壁111及び112と溶着(溶接)等により溶かして一体化されてもよい。このように、外装体本体110は、一対の側壁111及び112と一対の側壁113及び114と繋ぎ部115とが一体化された一体物である。なお、外装体本体110における「一体に形成されている」の概念は、上述の拘束部材300における「一体に形成されている」の概念と同様である。
【0048】
[3 蓄電装置10の製造方法の説明]
次に、蓄電装置10の製造方法について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る蓄電装置10の製造方法のうち複数の蓄電素子200を外装体100内に収容する工程を示す斜視図である。具体的には、
図4の(a)は、複数の蓄電素子200を拘束部材300で拘束する工程を示す斜視図である。
図4の(b)は、複数の蓄電素子200及び拘束部材300を、外装体100(外装体本体110、蓋体120及び底壁130)に収容する工程を示す斜視図である。
図5は、本実施の形態に係る蓄電装置10の製造方法のうち外装体本体110と蓋体120及び底壁130とを接合する工程を示す断面図である。具体的には、
図5は、
図1の蓄電装置10をV-V線を通るXZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。なお、
図4及び
図5では、説明の便宜のため、バスバー400の図示は省略している。
【0049】
図4の(a)に示すように、拘束部材300に対して、Z軸プラス方向から複数の蓄電素子200が近付き、一対の挟持部310及び320の間に複数の蓄電素子200が挿入される。これにより、複数の蓄電素子200のX軸方向両側に一対の挟持部310及び320が配置されて、複数の蓄電素子200がX軸方向において拘束部材300に拘束される。なお、蓄電素子200は、電極体の極板(正極板及び負極板)がX軸方向に積層されており、X軸方向に膨らみやすい。つまり、拘束部材300は、蓄電素子200が膨らむ方向において、複数の蓄電素子200を拘束する。
【0050】
そして、
図4の(b)に示すように、複数の蓄電素子200が拘束部材300に拘束された状態で、複数の蓄電素子200及び拘束部材300が、外装体本体110のZ軸マイナス方向から外装体本体110に挿入される。なお、この際、複数の蓄電素子200及び拘束部材300を底壁130に載置してから外装体本体110に挿入してもよいし、複数の蓄電素子200及び拘束部材300を外装体本体110に挿入してから底壁130に載置してもよい。
【0051】
これにより、
図5に示すように、外装体本体110のZ軸マイナス方向側の端部、及び、拘束部材300の繋ぎ部330が、底壁130に当接する。つまり、底壁130は、複数の蓄電素子200とで拘束部材300の繋ぎ部330を挟む位置に配置される。そして、底壁130は、外装体本体110の一対の側壁111及び112、並びに、一対の側壁113及び114と接合される。これにより、底壁130と、側壁111、112、113及び114との接合部510が形成される。
【0052】
接合部510は、底壁130と側壁111~114のZ軸マイナス方向側の端部とが接合されて形成された、Z軸方向から見て矩形環状の接合部である。本実施の形態では、接合部510は、ヒートシール(熱溶着)によって接合された部位である。なお、接合部510における接合の手法は、ヒートシールには限定されず、接着剤による接着、超音波溶着、熱かしめ、溶接、ネジ締結、かしめ接合等が用いられてもよい。また、接合部510は、側壁111~114のZ軸マイナス方向側の端部の全周(底壁130の外周の全周)に亘って形成されているのが好ましいが、当該全周のうちの一部に接合部510が形成されていなくてもよい。
【0053】
そして、蓄電素子200の電極端子220にバスバー400が接合された後に、外装体本体110に蓋体120が載置されて、外装体本体110のZ軸プラス方向側の端部が、蓋体120に当接する。なお、蓄電素子200の電極端子220にバスバー400が接合されるタイミングは、上述の接合部510が形成される前でもよいし、蓄電素子200が外装体本体110に挿入される前でもよいし、蓄電素子200が拘束部材300に拘束される前でもよい。
【0054】
これにより、蓋体120は、複数の蓄電素子200とで外装体本体110の繋ぎ部115を挟む位置に配置される。そして、蓋体120は、外装体本体110の一対の側壁111及び112、並びに、一対の側壁113及び114と接合される。これにより、蓋体120と、側壁111、112、113及び114との接合部520が形成される。
【0055】
接合部520は、蓋体120と側壁111~114のZ軸プラス方向側の端部とが接合されて形成された、Z軸方向から見て矩形環状の接合部である。本実施の形態では、接合部520は、接合部510と同様のヒートシール等によって接合された部位である。なお、接合部520は、接合部510と同様に、側壁111~114のZ軸プラス方向側の端部の全周(蓋体120の外周の全周)に亘って形成されているのが好ましいが、当該全周のうちの一部に接合部520が形成されていなくてもよい。
【0056】
ここで、上記の構成において、以下のように定義することができる。外装体100の一対の側壁111及び112は、複数の蓄電素子200の配列方向において複数の蓄電素子200を挟む位置に配置される一対の第一エンド部の一例である。外装体100の繋ぎ部115は、一対の第一エンド部と一体に形成されて、一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部の一例である。拘束部材300の繋ぎ部330は、複数の蓄電素子200と底壁130との間に配置され、一対の挟持部310及び320を繋ぐ第二繋ぎ部の一例である。蓋体120は、複数の蓄電素子200とで第一繋ぎ部を挟む位置に配置され、一対の第一エンド部と接合される被接合部材の一例である。
【0057】
さらに、上記の構成において、以下のように定義することもできる。拘束部材300の一対の挟持部310及び320は、複数の蓄電素子200の配列方向において複数の蓄電素子200を挟む位置に配置される一対の第一エンド部の一例である。拘束部材300の繋ぎ部330は、一対の第一エンド部と一体に形成されて、一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部の一例である。外装体100の一対の側壁111及び112は、複数の蓄電素子200の配列方向において一対の第一エンド部を挟む位置に配置される一対の第二エンド部の一例である。底壁130は、複数の蓄電素子200とで第一繋ぎ部を挟む位置に配置され、一対の第二エンド部と接合される被接合部材の一例である。
【0058】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、複数の蓄電素子200を挟む一対の第一エンド部と第一繋ぎ部とが一体に形成され、複数の蓄電素子200とで第一繋ぎ部を挟む位置に、一対の第一エンド部または一対の第二エンド部(以下、一対のエンド部という)と接合される被接合部材が配置されている。このように、第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子200を挟む一対の第一エンド部と一体に形成されているため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、第一繋ぎ部側において、複数の蓄電素子200が膨れるのを抑制することができる。この構成において、被接合部材は、複数の蓄電素子200の第一繋ぎ部側で一対のエンド部と接合されているため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、一対のエンド部と被接合部材との接合部に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、エンド部と被接合部材との接合が外れる(ヒートシール部が破断する)など、エンド部と被接合部材との接合部が損傷するのを抑制することができる。
【0059】
また、一対の第一エンド部の一例が、外装体100の一対の側壁111及び112であり、この一対の側壁111及び112は、第一繋ぎ部の一例である繋ぎ部115と一体に形成されている。このため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、一対の側壁111及び112と一体の第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子200が膨れるのを抑制する。この構成において、被接合部材は、一対の側壁111及び112と接合される蓋体120であるため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、一対の側壁111及び112と蓋体120との接合部520に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、外装体100の側壁111または112と蓋体120との接合が外れる(ヒートシール部が破断する)など、外装体100の側壁111または112と蓋体120との接合部520が損傷するのを抑制することができる。
【0060】
また、複数の蓄電素子200を挟み込む一対の挟持部310及び320を、第二繋ぎ部の一例である繋ぎ部330が繋ぎ、複数の蓄電素子200とで第二繋ぎ部を挟む位置に、外装体100の一対の側壁111及び112と接合される底壁130が配置されている。このように、第二繋ぎ部が、複数の蓄電素子200を挟み込む一対の挟持部310及び320を繋いでいるため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、第二繋ぎ部側において、複数の蓄電素子200が膨れるのを抑制することができる。この構成において、底壁130は、複数の蓄電素子200の第二繋ぎ部側で外装体100の一対の側壁111及び112と接合されているため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、一対の側壁111及び112と底壁130との接合部510に応力がかかるのを抑制することができる。これにより、外装体100の側壁111または112と底壁130との接合が外れる(ヒートシール部が破断する)など、外装体100の側壁111または112と底壁130との接合部510が損傷するのを抑制することができる。
【0061】
また、一対の第一エンド部の他の例が、複数の蓄電素子200を挟み込む一対の挟持部310及び320であり、一対の挟持部310及び320が第一繋ぎ部の他の例である繋ぎ部330と一体に形成されている。このため、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、一対の挟持部310及び320と一体の第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子200が膨れるのを抑制する。この構成において、一対の第二エンド部は、外装体100の一対の側壁111及び112であり、被接合部材は、一対の側壁111及び112と接合される底壁130であるため、底壁130が、複数の蓄電素子200とで第一繋ぎ部を挟む位置に配置されている。これにより、複数の蓄電素子200が配列方向に膨れようとしても、第一繋ぎ部が、複数の蓄電素子200が底壁130側で膨れるのを抑制するため、一対の側壁111及び112と底壁130との接合部510に応力がかかるのを抑制することができる。したがって、外装体100の側壁111または112と底壁130との接合が外れる(ヒートシール部が破断する)など、外装体100の側壁111または112と底壁130との接合部510が損傷するのを抑制することができる。
【0062】
また、従来の構成と対比した効果は、以下の通りである。従来、外装体本体110の蓋体120側は開口が設けられているため、蓄電素子200が膨れた場合に、外装体本体110と蓋体120との接合部が損傷するおそれがある。したがって、拘束部材300の繋ぎ部330を蓋体120側に配置するのが好ましいが、当該蓋体120側には、蓄電素子200の電極端子220及びバスバー400が配置されるため、繋ぎ部330を蓋体120側に配置するのは困難である。このため、繋ぎ部330は蓄電素子200の底面側に配置し、蓋体120側には外装体本体110の繋ぎ部115を配置する。これにより、蓄電素子200の底面側では、拘束部材300の繋ぎ部330によって蓄電素子200の膨れを抑制し、蓄電素子200の電極端子220側(蓋体120側)では、外装体本体110の繋ぎ部115によって蓄電素子200の膨れを抑制する。このようにすることで、外装体本体110に蓋体120及び底壁130を接合しても、これらの接合部510、520が損傷するのを抑制することができる。
【0063】
なお、蓄電装置10は、外装体100で内部が密閉された密閉型の蓄電装置であるため、接合部510、520が損傷すると、蓄電素子200のガス排出弁230からガスが排出された場合に、当該ガスが排気経路以外から外装体100外方へ排出されるおそれがある。このため、接合部510、520が損傷するのを抑制することで、当該ガスを、排気経路から外装体100の外方へ排出することができる。
【0064】
[5 変形例の説明]
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。
図6は、本実施の形態の変形例に係る外装体本体110aの構成を示す斜視図である。具体的には、
図6は、
図3の(a)に対応する図である。
【0065】
図6に示すように、本変形例における外装体本体110aは、上記実施の形態における外装体本体110の繋ぎ部115に代えて、繋ぎ部115aを有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0066】
繋ぎ部115aは、バスバー400が配置されるバスバーフレームである。つまり、繋ぎ部115aは、バスバー400と他の部材との電気的な絶縁、並びに、バスバー400の位置規制を行う部位である。具体的には、繋ぎ部115aは、外装体本体110aのZ軸プラス方向側の面に配置される、XY平面に平行な矩形状かつ平板状の部位である。
【0067】
本変形例では、繋ぎ部115aは、蓄電素子200が有する電極端子220のそれぞれに対向する位置に、電極端子220が露出する矩形状の開口部116aをそれぞれ有している。また、繋ぎ部115aは、隣り合う開口部116a同士の間に、バスバー400の位置決め用のリブ116bを有している。さらに、繋ぎ部115aは、複数の蓄電素子200のガス排出弁230に対向する位置に、ガス流路117を有している。ガス流路117は、蓄電素子200のガス排出弁230からガスが排出された場合に、当該ガスが通過するガスの流路であり、繋ぎ部115aのY軸方向中央部にX軸方向に延設されて配置されている。
【0068】
また、繋ぎ部115aは、上記実施の形態における繋ぎ部115と同様に、一対の側壁111及び112と一体に形成され、複数の蓄電素子200と蓋体120との間に配置される。つまり、繋ぎ部115aは、一対の第一エンド部(一対の側壁111及び112)と一体に形成されて、一対の第一エンド部を繋ぐ第一繋ぎ部の一例である。本変形例では、繋ぎ部115aは、一対の側壁113及び114とも一体に形成されている。
【0069】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、繋ぎ部115aは、バスバー400が配置されるバスバーフレームであるため、バスバー400が蓄電素子200の電極端子220に固定されることで、繋ぎ部115aも蓄電素子200に対して固定される。このように、繋ぎ部115aが、バスバー400とともに蓄電素子200に固定されることで、複数の蓄電素子200が繋ぎ部115a側(蓋体120側)で膨れるのをさらに抑制することができる。これにより、外装体100の側壁111または112と蓋体120との接合部520が損傷するのをさらに抑制することができる。
【0070】
(その他の変形例)
以上、本実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例には限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0071】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、外装体本体110(または110a、以下同様)は、一対の側壁111及び112と一対の側壁113及び114と繋ぎ部115(または115a、以下同様)とが一体化された一体物であることとした。しかし、外装体本体110は、一対の側壁111及び112と繋ぎ部115とが一体に形成されていればよく、側壁113及び114の少なくとも1つが別体で形成されていてもよい。または、外装体本体110は、側壁113及び114の少なくとも1つを有していなくてもよい。この場合、一対の側壁111及び112は、蓄電素子200の長側面の全体を覆っていなくてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態及びその変形例では、拘束部材300の一対の挟持部310及び320は、蓄電素子200の容器210の長側面の全体を覆っていることとしたが、当該長側面の一部しか覆っていなくてもよい。同様に、繋ぎ部330は、複数の蓄電素子200の底面の全体を覆っていることとしたが、当該底面の一部しか覆っていなくてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、外装体本体110は、繋ぎ部115側に、蓄電素子200の電極端子220が露出する開口部116を有していることとした。しかし、外装体本体110は、電極端子220が露出する開口部116を有していなくてもよい。つまり、繋ぎ部115が、電極端子220及びバスバー400のZ軸プラス方向に配置され、かつ、繋ぎ部115が、開口部116の位置にずれて配置されていてもよいし、開口部116の位置にまで延設されていてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態及びその変形例では、外装体100は、蓄電素子200の電極端子220側に繋ぎ部115を有していることとした。しかし、外装体100は、蓄電素子200の短側面側に繋ぎ部115を有していてもよいし、蓄電素子200の底面側に繋ぎ部115を有していてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態及びその変形例では、拘束部材300は、蓄電素子200の底面側に繋ぎ部330を有していることとした。しかし、拘束部材300は、蓄電素子200の短側面側に繋ぎ部330を有していてもよいし、蓄電素子200の電極端子220側に繋ぎ部330を有していてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態及びその変形例では、一対の第一エンド部として、外装体100の一対の側壁111及び112と、拘束部材300の一対の挟持部310及び320とを例示した。しかし、一対の側壁111及び112と、一対の挟持部310及び320とのいずれか一方のみを、一対の第一エンド部の一例としてもよい。例えば、一対の側壁111及び112のみを一対の第一エンド部の一例とする場合には、一対の側壁111及び112は、底壁130と接合されていなくてもよい。この場合、拘束部材300は、一対の挟持部310及び320と繋ぎ部330とが一体に形成されていなくてもよいし、繋ぎ部330を有していなくてもよいし、さらに、蓄電装置は、拘束部材300を備えていなくてもよいし、底壁130を備えていなくてもよい。また、一対の挟持部310及び320のみを一対の第一エンド部の一例とする場合には、一対の側壁111及び112は、蓋体120と接合されていなくてもよい。この場合、外装体100は、一対の側壁111及び112と繋ぎ部115とが一体に形成されていなくてもよいし、繋ぎ部115を有していなくてもよいし、蓋体120を有していなくてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0078】
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一エンド部と第一繋ぎ部と被接合部材との組み合わせ、または、それらと第二エンド部との組み合わせとしても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
10 蓄電装置
100 外装体
110、110a 外装体本体
111、112、113、114 側壁
115、115a、330 繋ぎ部
116、116a 開口部
116b リブ
117 ガス流路
120 蓋体
121 正極外部端子
122 負極外部端子
130 底壁
200 蓄電素子
210 容器
220 電極端子
230 ガス排出弁
300 拘束部材
310、320 挟持部
400 バスバー
510、520 接合部