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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/02 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
H01H50/02 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019188483
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021064521
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】針持 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163761(JP,A)
【文献】特開平11-153073(JP,A)
【文献】中国実用新案第206179788(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112967906(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、
前記固定接点に向かい合って配置された可動接点と、
前記可動接点に接続され、開方向と閉方向とに移動可能な可動接触片と、
前記固定接点と、前記可動接点と、前記可動接触片とを収容する接点ケースと、
前記可動接触片を移動させる電磁力を発生させるコイルを含む駆動装置と、
前記駆動装置と前記接点ケースとの間に配置され、前記駆動装置と前記接点ケースとの間を封止する弾性部材と、
前記可動接触片に接続され、前記可動接触片から前記駆動装置に向かって延びる駆動軸と、
前記接点ケース内に配置され、前記駆動軸が挿入される孔を含み、前記駆動装置と向かい合って配置されたインナーケースと、
を備え、
前記弾性部材は、前記インナーケースの底面部の外縁と前記接点ケースとの間を封止する、
電磁継電器。
【請求項2】
前記接点ケースは、
前記駆動装置に向かい合う端面と、
前記端面の内側に配置された段部と、
を含み、
前記弾性部材は、前記段部に接触する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記接点ケースは、
前記駆動装置に向かい合う端面と、
前記端面の内側に配置された凹溝と、
を含み、
前記弾性部材は、シールリングであり、前記凹溝内に配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記接点ケースを支持する支持面を含み、
前記支持面は、凹部を含み、
前記弾性部材は、前記凹部内に配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
記駆動装置は、
前記コイルが巻回されたスプールと、
前記スプール内に配置され、前記駆動軸に接続された可動鉄心と、
前記可動鉄心と向かい合う固定鉄心と、
をさらに含む、
請求項1から4いずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
記弾性部材は、前記駆動装置と前記インナーケースとの間に配置され、前記駆動装置と前記インナーケースとの間を封止する、
請求項1から5のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記インナーケースは、前記弾性部材に向かって突出する突起を含み、
前記弾性部材は、前記突起に向かい合う凹部を含み、
前記突起は、前記凹部内に配置される、
請求項1から6のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記弾性部材は、前記駆動軸が通される孔を含む、
請求項1から7のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記インナーケースは、樹脂製である、
請求項1から8のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項10】
前記接点ケースは、前記固定接点と、前記可動接点と、前記可動接触片とを、側方から覆う側壁を含み、
前記側壁は、前記駆動軸の軸線方向に延び、
前記弾性部材は、前記側壁の端面と接触する、
請求項1から9のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項11】
前記弾性部材は、シート状である、
請求項1から10のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項12】
前記接点ケースは、樹脂製である、
請求項1から11のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項13】
固定接点と、
前記固定接点に向かい合って配置された可動接点と、
前記可動接点に接続され、開方向と閉方向とに移動可能な可動接触片と、
前記固定接点と、前記可動接点と、前記可動接触片とを収容する接点ケースと、
前記可動接触片を移動させる電磁力を発生させるコイルを含む駆動装置と、
前記駆動装置と前記接点ケースとの間に配置され、前記駆動装置と前記接点ケースとの間を封止する弾性部材と、
前記可動接触片に接続され、前記可動接触片から前記駆動装置に向かって延びる駆動軸と、
前記接点ケース内に配置され、前記駆動軸が挿入される孔を含み、前記駆動装置と向かい合って配置されたインナーケースと、
を備え、
前記駆動装置は、
前記コイルが巻回されたスプールと、
前記スプール内に配置され、前記駆動軸に接続された可動鉄心と、
前記可動鉄心と向かい合う固定鉄心と、
をさらに含み、
前記弾性部材は、前記駆動装置と前記インナーケースとの間に配置され、前記駆動装置と前記インナーケースとの間を封止し、
前記接点ケースは、
端面と、
前記端面の内側に位置する第1段部と、
前記第1段部の内側に位置する第2段部と、
を含み、
前記弾性部材は、前記第1段部に接触し、
前記インナーケースは、前記第2段部に接触する、
電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器は、接点ケースを備えている。例えば、特許文献1のように、接点ケースは、可動接点と固定接点と可動接触片とを収容している。電磁継電器には、接点ケース内において気密性が求められるものがある。そのような電磁継電器では、接点ケースは、溶接により、ヨーク或いは他のケースに接続されている。それにより、接点ケースの内部が封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-163761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、溶接によって接点ケース内の気密性を確保する場合、製造工数、或いはコストの増大を招いてしまう。本開示の目的は、接点ケース内の気密性を確保しながら、製造工数、或いはコストの増大を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電磁継電器は、固定接点と、可動接触片と、可動接点と、接点ケースと、駆動装置と、弾性部材とを備える。可動接点は、固定接点に向かい合って配置される。可動接触片は、可動接点に接続されている。可動接触片は、開方向と閉方向とに移動可能である。接点ケースは、固定接点と、可動接点と、可動接触片とを収容する。駆動装置は、コイルを含む。コイルは、可動接触片を移動させる電磁力を発生させる。弾性部材は、駆動装置と接点ケースとの間に配置される。弾性部材は、駆動装置と接点ケースとの間を封止する。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、駆動装置と接点ケースとの間が、弾性部材によって封止される。そのため、封止が溶接によって行われる場合と比べて、接点ケース内の気密性を確保しながら、製造工数、或いはコストの増大を抑えることができる。
【0007】
接点ケースは、端面と段部とを含んでもよい。端面は、駆動装置に向かい合ってもよい。段部は、端面の内側に配置されてもよい。弾性部材は、段部に接触してもよい。この場合、弾性部材が段部によって位置決めされる。
【0008】
接点ケースは、端面と凹溝とを含んでもよい。端面は、駆動装置に向かい合ってもよい。凹溝は、端面の内側に配置されてもよい。弾性部材は、シールリングであってもよい。弾性部材は、凹溝内に配置されてもよい。この場合、弾性部材が、接点ケースの凹溝によって位置決めされる。
【0009】
駆動装置は、接点ケースを支持する支持面を含んでもよい。支持面は、凹部を含んでもよい。弾性部材は、凹部内に配置されてもよい。この場合、弾性部材が、支持面の凹部によって位置決めされる。
【0010】
電磁継電器は、駆動軸をさらに備えてもよい。駆動軸は、可動接触片に接続され、可動接触片から駆動装置に向かって延びてもよい。駆動装置は、スプールと、可動鉄心と、固定鉄心とを含んでもよい。スプールは、コイルが巻回されてもよい。可動鉄心は、スプール内に配置されてもよい。可動鉄心は、駆動軸に接続されてもよい。固定鉄心は、可動鉄心と向かい合ってもよい。この場合、コイルによる電磁力で可動鉄心が固定鉄心に対して移動する。可動鉄心の動作に応じて駆動軸が移動し、それにより、可動接触片が開方向、又は閉方向に移動する。
【0011】
電磁継電器は、インナーケースをさらに備えてもよい。インナーケースは、接点ケース内に配置されてもよい。インナーケースは、駆動軸が挿入される孔を含んでもよい。インナーケースは、駆動装置と向かい合って配置されてもよい。弾性部材は、駆動装置とインナーケースとの間に配置されてもよい。弾性部材は、駆動装置とインナーケースとの間を封止してもよい。この場合、駆動装置とインナーケースとの間と、駆動装置と接点ケースとの間との両方が、弾性部材によって封止される。
【0012】
接点ケースは、端面と、第1段部と、第2段部とを含んでもよい。第1段部は、端面の内側に位置してもよい。第2段部は、第1段部の内側に位置してもよい。弾性部材は、第1段部に接触してもよい。インナーケースは、第2段部に接触してもよい。この場合、弾性部材が第1段部によって位置決めされる。また、インナーケースが、第2段部によって位置決めされる。
【0013】
インナーケースは、弾性部材に向かって突出する突起を含んでもよい。弾性部材は、突起に向かい合う凹部を含んでもよい。突起は、凹部内に配置されてもよい。この場合、弾性部材が、インナーケースの突起によって位置決めされる。
【0014】
弾性部材は、駆動軸が通される孔を含んでもよい。インナーケースは、樹脂製であってもよい。接点ケースは、側壁を含んでもよい。側壁は、駆動軸の軸線方向に延びてもよい。側壁は、固定接点と、可動接点と、可動接触片とを、側方から覆ってもよい。弾性部材は、側壁の端面と接触してもよい。弾性部材は、シート状であってもよい。接点ケースは、樹脂製であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、接点ケース内の気密性を確保しながら、製造工数、或いはコストの増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る開状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
図2】閉状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
図3】電磁継電器の分解斜視図である。
図4】電磁継電器の拡大断面図である。
図5】弾性部材および、その周囲の拡大断面図である。
図6】第1変形例に係る電磁継電器の拡大断面図である。
図7】第1変形例に係る弾性部材および、その周囲の拡大断面図である。
図8】第2変形例に係る電磁継電器の拡大断面図である。
図9】第2変形例に係る弾性部材および、その周囲の拡大断面図である。
図10】第3変形例に係る電磁継電器の拡大断面図である。
図11】第3変形例に係る弾性部材および、その周囲の拡大断面図である。
図12】第4変形例に係る電磁継電器1の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器1について説明する。図1は実施形態に係る電磁継電器1を示す側面断面図である。図1に示すように、電磁継電器1は、接点装置2と、接点ケース3と、駆動装置4とを備える。
【0018】
なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向が、上方と定義される。接点装置2から駆動装置4に向かう方向が、下方と定義される。図1において、上下方向に交差する方向が、左右方向と定義される。上下方向および左右方向に交差する方向が、前後方向と定義される。前後方向は、図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0019】
接点装置2は、接点ケース3内に配置されている。接点装置2は、可動機構10と、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と、第1固定接点14と、第2固定接点15と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅、或いは銅合金などの導電性を有する材料製である。第1固定接点14は、第1固定端子11に接続されている。第2固定接点15は、第2固定端子12に接続されている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0020】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1接点支持部21は、可動接触片13と向かい合っている。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、接点ケース3から外方に突出している。
【0021】
第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2接点支持部23は、可動接触片13と向かい合っている。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、接点ケース3から外方に突出している。詳細には、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、接点ケース3から上方に突出している。ただし、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、他の方向に接点ケース3から突出していてもよい。
【0022】
可動接触片13は、左右方向に延びている。可動接触片13は、上下方向において、第1固定端子11の第1接点支持部21と、第2固定端子12の第2接点支持部23とに向かい合って配置されている。可動接触片13は、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。閉方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12に近接する方向(図1における上方)である。開方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12から開離する方向(図1における下方)である。
【0023】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に接続されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に互いに離れて配置されている。第1可動接点16は、上下方向において第1固定接点14に向かい合っている。第2可動接点17は、上下方向において第2固定接点15に向かい合っている。
【0024】
可動機構10は、可動接触片13を支持している。可動機構10は、可動接触片13と共に、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。可動機構10は、駆動軸19と、第1保持部材25と、第2保持部材26と、接点バネ27とを含む。駆動軸19は、上下方向に延びている。駆動軸19は、可動接触片13に接続されている。駆動軸19は、可動接触片13から駆動装置4に向かって延びている。可動接触片13には、孔13aが設けられている。駆動軸19は孔13aに挿入されている。可動接触片13は、駆動軸19に対して、閉方向Z1と開方向Z2とに相対的に移動可能である。
【0025】
駆動軸19は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。図1は、開位置の駆動軸19を示している。図1に示すように、駆動軸19が開位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15から開離している。図2は、閉位置の駆動軸19を示している。図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15と接触している。
【0026】
第1保持部材25は、駆動軸19に固定されている。接点バネ27は、可動接触片13と第1保持部材25との間に配置される。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を閉方向Z1に付勢する。第2保持部材26は、駆動軸19に固定されている。可動接触片13は、第2保持部材26と接点バネ27との間に位置している。
【0027】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動機構10を移動させる。それにより、駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、可動鉄心31と、コイル32と、スプール36と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0028】
コイル32は、スプール36に巻回されている。可動鉄心31は、駆動軸19に接続されている。可動鉄心31は、スプール36内に配置されている。可動鉄心31は、閉方向Z1および開方向Z2に移動可能に設けられている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を閉方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。固定鉄心33は、可動鉄心31と向かい合って配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開方向Z2に付勢している。
【0029】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。
【0030】
図3は、電磁継電器1の分解斜視図である。図4は、電磁継電器1の拡大断面図である。図3に示すように、接点ケース3は、ネジ43によって駆動装置4に固定される。接点ケース3は、樹脂製である。なお、図3では、複数のネジ43のうちの1つのみに符号43が付されており、他のネジの符号は省略されている。接点ケース3は、ネジ以外の固定手段によって、駆動装置4に固定されてもよい。
【0031】
図3および図4に示すように、接点ケース3は、天面41と側壁42とを含む。天面41は、可動接触片13の上方に配置されている。側壁42は、天面41から下方に延びている。側壁42は、第1固定接点14と、第2固定接点15と、第1可動接点16と、第2可動接点17と、可動接触片13とを側方から覆う。図4に示すように、接点ケース3は、駆動装置4に向かい合う端面51を含む。端面51は、底端面52と、第1段部53と、第2段部54とを含む。第1段部53は、底端面52の内側に位置している。第1段部53は、底端面52から上方に凹んだ形状を有する。第2段部54は、第1段部53の内側に位置している。第2段部54は、第1段部53から上方に凹んだ形状を有する。
【0032】
電磁継電器1は、インナーケース28を備えている。インナーケース28は、樹脂製である。インナーケース28は、接点ケース3内に配置されている。インナーケース28は、底面部44と壁部45とを含む。底面部44は、平坦な形状を有している。底面部44は、孔46を含む。孔46には、駆動軸19が挿入されている。孔46の内径は、第1保持部材25の外形よりも小さい。従って、第1保持部材25が底面部44に接触することで、駆動軸19の開方向への移動が規制される。壁部45は、底面部44から上方へ延びている。壁部45は、接点バネ27を側方から覆う。
【0033】
電磁継電器1は、弾性部材47を備えている。弾性部材47は、ゴム、或いはウレタンなどの弾性材料製である。弾性部材47は、シート状である。弾性部材47は、駆動軸19が通される孔48を含む。弾性部材47は、駆動装置4と接点ケース3との間に配置されている。弾性部材47は、駆動装置4と接点ケース3との間を封止している。弾性部材47は、駆動装置4とインナーケース28との間に配置されている。弾性部材47は、駆動装置4とインナーケース28との間を封止している。
【0034】
詳細には、駆動装置4は、支持面38を含む。支持面38は、接点ケース3の端面51に接触し、接点ケース3を支持する。支持面38は、ヨーク34の上面である。支持面38は、接点ケース3の端面51と向かい合っている。支持面38は、インナーケース28の底面部44と向かい合っている。
【0035】
第1段部53は、弾性部材47の外形に対応した形状を有している。例えば、図3に示すように、弾性部材47の外形は略四角形である。従って、第1段部53は四角形の形状を有している。或いは、弾性部材の外形が円形であれば、第1段部53は円形の形状を有してもよい。弾性部材47は、支持面38と、接点ケース3の第1段部53との間に挟まれている。弾性部材47は、第1段部53と支持面38とに接触している。図5は、弾性部材47および、その周囲の拡大図である。図5に示すように、弾性部材47の端部61が、接点ケース3の第1段部53と支持面38との間に挟まれている。それにより、弾性部材47は、接点ケース3の端面51とヨーク34の支持面38との間を封止している。
【0036】
第2段部54は、底面部44の外形に対応した形状を有している。図3に示すように、底面部44の外形は、略四角形である。従って、第2段部54は四角形の形状を有している。或いは、底面部44の外形が円形であれば、第2段部54は円形の形状であってもよい。弾性部材47は、インナーケース28の底面部44と支持面38との間に挟まれている。弾性部材47は、インナーケース28の底面部44と支持面38とに接触している。インナーケース28は、第2段部54と弾性部材47との間に挟まれている。インナーケース28は、第2段部54と弾性部材47とに接触している。図5に示すように、底面部44の端部62が、第2段部54と弾性部材47の間に挟まれている。それにより、弾性部材47は、インナーケース28の底面部44とヨーク34の支持面38との間を封止している。
【0037】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、駆動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧されている。そのため、駆動軸19は、図1に示す開位置に位置している。この状態で、可動機構10を介して、可動接触片13も開方向Z2に押圧されている。従って、駆動軸19が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離している。
【0038】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、閉方向Z1に移動する。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に閉方向Z1に移動する。従って、図2に示すように、駆動軸19は、閉位置へ移動する。その結果、図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15にそれぞれ接触する。
【0039】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧される。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に開方向Z2に移動する。従って、図1に示すように、可動機構10は、開位置へ移動する。その結果、可動機構10が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離する。
【0040】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、駆動装置4と接点ケース3との間が、弾性部材47によって封止される。そのため、封止が溶接によって行われる場合と比べて、接点ケース3内の気密性を確保しながら、製造工数、或いはコストの増大を抑えることができる。また、接点ケース3内で発生する接点の開閉時の音が外部に漏れることが抑えられる。それにより、静音化することができる。
【0041】
本実施形態に係る電磁継電器1では、封止が溶接によって行われる場合と比べて、接点ケース3の材料の自由度が高い。そのため、製造工数、或いはコストを低減することができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
上記の実施形態では、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動する。また、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が開方向Z2に移動する。しかし、接点を開閉するための駆動軸19の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動してもよい。駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が開方向Z2に移動してもよい。すなわち、閉方向Z1と開方向Z2とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【0044】
第1固定端子11、第2固定端子12、或いは可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、左右方向に接点ケース3から突出してもよい。或いは、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、前後方向に接点ケース3から突出してもよい。可動鉄心31、コイル32、固定鉄心33、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1固定接点14、第2固定接点15、第1可動接点16、第2可動接点17の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0045】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0046】
接点ケース3は、樹脂に限らず、金属、或いはセラミック製であってもよい。インナーケース28は、樹脂に限らず、金属、或いはセラミック製であってもよい。接点ケース3の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。インナーケース28の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。弾性部材47は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、弾性部材47は、Oリングに限らず、角形、V字型などの他の断面形状を有するシールリングであってもよい。
【0047】
図6は、第1変形例に係る電磁継電器1の拡大断面図である。図7は、弾性部材47および、その周囲の拡大図である。第1変形例では、接点ケース3の端面51とインナーケース28の底面部44とは、凹溝55を含む。凹溝55は、環状の形状を有する。凹溝55は、底端面52の内側に位置する。弾性部材47は、Oリングである。弾性部材47は、凹溝55内に配置される。弾性部材47は、凹溝55によって、位置決めされる。なお、凹溝55は、接点ケース3の端面51のみに設けられてもよい。凹溝55は、インナーケース28の底面部44のみに設けられてもよい。
【0048】
図8は、第2変形例に係る電磁継電器1の拡大断面図である。図9は、弾性部材47および、その周囲の拡大図である。第2変形例では、インナーケース28は、突起56を含む。突起56は、底面部44から弾性部材47に向かって突出している。弾性部材47は、突起56に向かい合う凹部57を含む。突起56は、凹部57内に配置されている。弾性部材47は、インナーケース28の突起56によって位置決めされる。なお、突起56と凹部57とは、環状の形状を有してもよい。或いは、点状、直線状、円弧状などの他の形状を有してもよい。凹部57は、有底であってよく、或いは、貫通穴であってもよい。
【0049】
図10は、第3変形例に係る電磁継電器1の拡大断面図である。図11は、弾性部材47および、その周囲の拡大図である。第3変形例では、ヨーク34の支持面38は、凹部58を含む。凹部58は、環状の形状を有している。弾性部材47は、凹部58内に配置される。弾性部材47は、凹部57によって位置決めされる。なお、凹部58の外形は、弾性部材47の外形に対応した形状を有している。
【0050】
上記の実施形態、或いは変形例において、第1段部53、或いは第2段部54が省略されてもよい。支持面38は、ヨーク34に限らず、駆動装置4の他の部分に含まれてもよい。例えば、駆動装置4がケーシングを含み、支持面38がケーシングに含まれてもよい。電磁継電器は、上述したプランジャ型のものに限らず、ヒンジ型などの他の種類の電磁継電器であってもよい。
【0051】
図12は、第4変形例に係る電磁継電器1の拡大断面図である。図12に示すように、電磁継電器1は、コアケース39をさらに備えてもよい。コアケース39は、スプール36内に配置されている。可動鉄心31と固定鉄心33とは、コアケース39内に配置されている。コアケース39は、駆動軸19の軸線方向に延びる筒状の形状を有している。コアケース39の一端は底部39bによって閉じられている。コアケース39の他端は開口している。コアケース39がヨーク34に接続されることで、コアケース39内がシールされている。詳細にはコアケース39は、フランジ39aを有する。例えば、コアケース39は金属製であり、フランジ39aが、ヨーク34に溶接により接合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示によれば、接点ケース内の気密性を確保しながら、製造工数、或いはコストの増大を抑えることができる。
【符号の説明】
【0053】
3 接点ケース
4 駆動装置
13 可動接触片
14 第1固定接点
16 第1可動接点
28 インナーケース
31 可動鉄心
33 固定鉄心
32 コイル
36 スプール
38 支持面
42 側壁
46 孔
47 弾性部材
48 孔
51 端面
52 底端面
53 第1段部
54 第2段部
55 凹溝
56 突起
57 凹部
58 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12