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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240130BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G03G15/08 320
G03G15/00 303
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019221147
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092594
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】田内 康大
(72)【発明者】
【氏名】藤島 正之
(72)【発明者】
【氏名】久保 憲生
(72)【発明者】
【氏名】又吉 晃
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-142908(JP,A)
【文献】特開平01-084277(JP,A)
【文献】特開2009-145808(JP,A)
【文献】特開2015-175972(JP,A)
【文献】特開2009-128732(JP,A)
【文献】特開2007-065401(JP,A)
【文献】特開2000-098730(JP,A)
【文献】特開平06-214451(JP,A)
【文献】特開平04-034573(JP,A)
【文献】米国特許第05819131(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/06-13/08
13/095
13/34
15/00
15/06-15/08
15/095
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層を有し、表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電させる帯電部と、
トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤中の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成された前記静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像部と、
直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を前記現像剤担持体に印加する現像電源と、
前記現像電圧を前記現像剤担持体に印加したときに前記現像剤担持体と前記像担持体との間で流れる現像電流を検出する電流検出部と、
前記像担持体、前記帯電部、前記現像部及び前記現像電源の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電流検出部による前記現像電流の検出を、非画像形成時に、前記像担持体の非露光領域を利用して実行し、
前記帯電部によって前記像担持体の表面を帯電させ、前記現像電源によって前記現像電圧を前記現像剤担持体に印加したとき、前記電流検出部によって検出された前記現像電流に基づいてキャリア抵抗を導出し、当該キャリア抵抗に基づいて前記交流電圧の交流振幅を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記キャリア抵抗が高くなるほど前記交流振幅を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記交流振幅を、画像濃度飽和電圧以上であって前記像担持体表面にリークが発生しない範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体の前記感光層は、アモルファスシリコン感光層であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、像担持体である感光体ドラムの表面に形成した静電潜像にトナーを付着させて現像することで、後に用紙に転写されるトナー像を形成する装置が広く利用されている。高画質な画像を安定して形成することができる従来の画像形成装置の例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1で開示された従来の画像形成装置は、粒径及び飽和磁化が所定緒元のキャリアと、剛性且つ磁性を有する現像剤量規制部材と、幅方向に延びる複数の溝が形成された現像剤担持体と、を用い、現像剤量規制部材が対向する現像剤担持体の表面箇所の法線方向磁束密度を所定範囲に定めている。これにより、現像剤担持体上の現像剤量変化による画像むら等を抑制し、高画質な画像を安定して形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-184475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現像時の交流電圧の交流振幅が不十分である場合、例えばベタ画像の現像において、感光体ドラムの周方向に濃淡が連続する画像むら(ピッチむら)が発生することがある。一方、現像部では、安定した現像動作を実現するために、現像部内で現像剤を攪拌しながら搬送している。これにより、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いる場合、時間の経過とともに、現像剤のキャリア抵抗に差異が生じることがある。そして、ベタ画像の現像において、キャリア抵抗の大小によって画像むらの発生条件が異なることに課題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、キャリア抵抗の差異に対応して画像不良の発生を抑制することができ、高品質な画質を得ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、現像部と、現像電源と、電流検出部と、制御部と、を備える。像担持体は、感光層を有し、表面に静電潜像が形成される。帯電部は、像担持体の表面を帯電させる。現像部は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤中のトナーを表面に担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像電源は、直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像剤担持体に印加する。電流検出部は、現像電圧を現像剤担持体に印加したときに現像剤担持体と像担持体との間で流れる現像電流を検出する。制御部は、像担持体、帯電部、現像部及び現像電源の動作を制御する。制御部は、帯電部によって像担持体の表面を帯電させ、現像電源によって現像電圧を現像剤担持体に印加したとき、電流検出部によって検出された現像電流に基づいてキャリア抵抗を導出し、当該キャリア抵抗に基づいて前記交流電圧の交流振幅を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、時間の経過とともに、現像剤のキャリア抵抗に差異が生じた場合であっても、当該キャリア抵抗に基づいて現像条件を制御することができる。これにより、キャリア抵抗の差異に対応でき、ベタ画像における画像むらといった画像不良の発生を抑制することができる。したがって、高品質な画質を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態の画像形成装置の画像形成部周辺を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態の画像形成装置のキャリア抵抗と現像電流との関係を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態の画像形成装置の現像時の交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を示すグラフである。
図6】アモルファスシリコン感光体及び有機感光体それぞれの現像時の交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図3は、画像形成装置1の画像形成部20周辺を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Pに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えばプリント(印刷)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であっても良い。
【0012】
画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、その本体2に設けられた、給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7、制御部8及び記憶部9を含む。
【0013】
給紙部3は、複数枚の用紙Pを収容し、印刷時に用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Pを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Pを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。両面印刷が行われる場合、用紙搬送部4は、第一面の定着後の用紙Pを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Pを再度、二次転写部33及び定着部6へと搬送する。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0014】
画像形成部20は、中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Y、シアン用の画像形成部20C、マゼンタ用の画像形成部20M及びブラック用の画像形成部20Bを含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0015】
画像形成部20は、所定の方向(図1及び図3における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って帯電部40、現像部50及びドラムクリーニング部60を備える。なお、現像部50とドラムクリーニング部60との間に一次転写部32が配置される。
【0016】
帯電部40は、感光体ドラム21の表面を所定電位に帯電させる。そして、露光部5から照射されたレーザー光によって感光体ドラム21の表面に原稿画像の静電潜像が形成される。現像部50は、この静電潜像にトナーを付着させて現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。
【0017】
転写部30は、中間転写ベルト31、一次転写部32Y、32C、32M、32B、二次転写部33及びベルトクリーニング部34を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(図1における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0018】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着部6よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0019】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。ドラムクリーニング部60は、一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0020】
中間転写ベルト31の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0021】
定着部6は、トナー像が転写された用紙Pを加熱、加圧してトナー像を用紙Pに定着させる。
【0022】
制御部8は、不図示のCPU、画像処理部、その他の電子回路及び電子部品を含む。CPUは、記憶部9に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6それぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Pへの印刷を行う。また、制御部8は、後述する電流検出部13から出力値を得ることができる。
【0023】
記憶部9は、例えば不図示のプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0024】
続いて、画像形成部20とその周辺の構成について、図2及び図3を用いて説明する。なお、各色の画像形成部20は基本的な構造が同じであるので、各色を表す識別記号は省略する。
【0025】
画像形成部20は、図2及び図3に示す感光体ドラム21、帯電部40、現像部50及びドラムクリーニング部60を備える。さらに、画像形成装置1は、帯電電源11、現像電源12及び電流検出部13を備える。
【0026】
感光体ドラム21は、中心軸線を水平にして回転可能に支持され、不図示の駆動部によってその軸線回りに一定速度で回転される。感光体ドラム21は、例えばアルミニウム等の金属製のドラム素管の表面に、アモルファスシリコン(a-Si)等の無機感光体で構成される感光層を有する。感光体ドラム21の表面には、静電潜像が形成される。
【0027】
帯電部40は、例えば帯電ローラー41及び帯電クリーニングローラー42を有する。
【0028】
帯電ローラー41は、中心軸線を水平にして回転可能に支持され、感光体ドラム21の表面に接触することで、感光体ドラム21の回転に従って回転する。帯電ローラー41は、例えば芯金の表面に、イオン導電材を配合した架橋ゴム等で構成される導電層を有する。感光体ドラム21の表面に接触して従動回転する帯電ローラー41に所定の帯電電圧を印加すると、感光体ドラム21の表面が一様に帯電される。帯電クリーニングローラー42は、帯電ローラー41の表面に接触し、帯電ローラー41の表面をクリーニングする。
【0029】
帯電ローラー41は、帯電電源11に電気的に接続される。帯電電源11は、不図示の交流定電圧電源及び直流定電圧電源を有する。交流定電圧電源は、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源は、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。帯電電源11は、直流定電圧電源から出力された直流電圧(直流成分)に交流定電圧電源から出力された交流電圧(交流成分)を重畳した帯電電圧を生成し、当該帯電電圧を帯電ローラー41に印加する。
【0030】
現像部50は、現像容器51、第1攪拌搬送部材52、第2攪拌搬送部材53、現像ローラー(現像剤担持体)54及び規制部材55を有する。
【0031】
現像容器51は、現像部50から感光体ドラム21の表面に供給する現像剤として、例えばトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。第1攪拌搬送部材52及び第2攪拌搬送部材53は、現像容器51の内部に配置される。第1攪拌搬送部材52及び第2攪拌搬送部材53は、感光体ドラム21と平行に延びる軸線回りに回転可能にして現像容器51に支持され、当該軸線回りに回転することで、回転軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら搬送する。トナーは、現像容器51の内部で循環され、帯電される。
【0032】
現像ローラー54は、感光体ドラム21と平行に延びる軸線回りに回転可能にして現像容器51に支持される。現像ローラー54は、例えば図3において反時計回りに回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極とを有する。現像ローラー54は、感光体ドラム21と対向する現像領域において感光体ドラム21の表面に付着させるトナーを担持する。
【0033】
現像ローラー54は、現像電源12に電気的に接続される。現像電源12の構成及び動作は、帯電電源11の構成及び動作と同様である。現像電源12は、直流定電圧電源から出力された直流電圧(直流成分)に交流定電圧電源から出力された交流電圧(交流成分)を重畳した現像電圧を生成し、当該現像電圧を現像ローラー54に印加する。
【0034】
規制部材55は、現像ローラー54と感光体ドラム21とが対向する現像領域の、現像ローラー54の回転方向上流側に配置される。規制部材55は、現像ローラー54に近接し、その先端と現像ローラー54の表面との間に所定の間隔を設けて配置される。規制部材55は、その先端と現像ローラー54の表面との間の隙間を通過する現像剤の層厚を規制する。
【0035】
現像剤は、現像容器51内において第1攪拌搬送部材52及び第2攪拌搬送部材53により攪拌、循環されて帯電され、現像ローラー54の表面に担持される。現像ローラー54の表面に担持された現像剤は、規制部材55によって層厚が規制される。現像ローラー54の表面では、トナー及び磁性キャリアで構成される不図示の磁気ブラシが形成される。現像ローラー54に所定の現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の表面電位との間の電位差により、現像ローラー54の表面に担持されたトナーが現像領域において感光体ドラム21の表面に飛翔し、感光体ドラム21の表面の静電潜像が現像される。
【0036】
ドラムクリーニング部60は、クリーニングローラー61、クリーニングブレード62及び回収スパイラル63を有する。
【0037】
クリーニングローラー61は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触し、不図示の駆動部によって感光体ドラム21との接触領域が感光体ドラム21と同方向に移動する向きに回転する。クリーニングブレード62は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触する。クリーニングローラー61及びクリーニングブレード62は、一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。回収スパイラル63は、感光体ドラム21の表面から除去された廃トナー等を、ドラムクリーニング部60の外部に設けられた不図示の廃トナー回収容器へ搬送する。
【0038】
感光体ドラム21、帯電部40、現像部50、ドラムクリーニング部60、帯電電源11及び現像電源12の動作は、制御部8によって制御される。
【0039】
電流検出部13は、現像電圧を現像ローラー54に印加したときに、現像ローラー54と感光体ドラム21との間で流れる現像電流を検出することができる。
【0040】
二成分現像剤を用いたトナー像の現像において、現像電流は、トナー移動電流と、キャリア電流と、で構成される。トナー移動電流は、トナーが現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動することによって流れる電流である。トナー移動電流は、現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動するトナーの量と相関を有し、移動するトナーの量が多くなるほど大きくなる。キャリア電流は、トナーによる現像がほとんど行われない状態で流れる電流である。
【0041】
現像電流が流れる方向は、現像ローラー54の電位と、感光体ドラム21の表面電位との電位差によって決定される。すなわち、現像電流は、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも高いと、現像ローラー54から感光体ドラム21に向かって流れ、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも低いと、感光体ドラム21から現像ローラー54に向かって流れる。
【0042】
図4は、キャリア抵抗と現像電流との関係を示すグラフである。図4のグラフの横軸はキャリア抵抗の大きさに係る3つのレベル(低、中、高)を示し、縦軸は現像電流を示している。
【0043】
現像電流の大きさは、キャリア抵抗のレベルによって影響を受ける。図4によれば、キャリア抵抗が高レベルになるほど現像電流は小さくなる。これにより、現像電流のキャリア抵抗は、現像電流を電流検出部13によって検出し、検出された現像電流の電流値から換算することによって導出することができる。例えば、図4のグラフに相当するテーブル等を記憶部9等に予め記憶させて利用することで、制御部8は、電流検出部13によって検出された現像電流に基づいてキャリア抵抗を導出することができる。
【0044】
図5は、現像時の交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を示すグラフである。図5のグラフの横軸は現像時の交流電圧の交流振幅を示し、縦軸は画像濃度を示している。図5には、キャリア抵抗のレベルが高い場合(破線)と、低い場合(実線)との、現像時の交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を示している。
【0045】
キャリア抵抗が高レベルの場合の交流振幅AH1と、低レベルの場合の交流振幅AL1とは、それぞれ画像濃度飽和電圧を示している。現像時の交流電圧の交流振幅が画像濃度飽和電圧未満である場合、例えばベタ画像における画像むらといった画像不良が発生する虞がある。したがって、現像時の交流電圧は、画像濃度が安定する画像濃度飽和電圧以上の交流振幅に設定する必要がある。
【0046】
キャリア抵抗が高レベルの場合の交流振幅AH2と、低レベルの場合の交流振幅AL2とは、それぞれ感光体ドラム21の表面にリークが発生する交流振幅を示している。現像時の交流電圧は感光体ドラム21の表面にリークが発生しない交流振幅に設定する必要があるが、当該交流振幅はキャリア抵抗のレベルによって異なる。
【0047】
したがって、例えば図5のグラフに相当するテーブル等を記憶部9等に予め記憶させて利用することで、制御部8は、キャリア抵抗に基づいて交流電圧の交流振幅を制御する。この構成によれば、例えば時間の経過とともに、現像剤のキャリア抵抗に差異が生じた場合であっても、当該キャリア抵抗に基づいて現像条件を制御することができる。これにより、キャリア抵抗の差異に対応でき、ベタ画像における画像むらといった画像不良の発生を抑制することができる。したがって、高品質な画質を得ることが可能になる。
【0048】
そして、図5によれば、制御部8は、キャリア抵抗が高くなるほど交流電圧の交流振幅を大きくする。この構成によれば、キャリア抵抗の差異に対応して現像条件を変更することができる。
【0049】
さらに詳細に言えば、制御部8は、現像時の交流電圧の交流振幅を、画像濃度飽和電圧以上であって感光体ドラム21の表面にリークが発生しない範囲に設定する。例えば図5によれば、キャリア抵抗が高レベルの場合、画像濃度飽和電圧の交流振幅AH1以上であって感光体ドラム21の表面にリークが発生する交流振幅AH2未満の範囲に設定される。また図5によれば、キャリア抵抗が低レベルの場合、画像濃度飽和電圧の交流振幅AL1以上であって感光体ドラム21の表面にリークが発生する交流振幅AL2未満の範囲に設定される。キャリア抵抗の大小によって、現像時の交流電圧の交流振幅の範囲は異なる。この構成によれば、キャリア抵抗のレベルがいずれであっても、例えばベタ画像における画像むらといった画像不良の発生を抑制することができ、且つ感光体ドラム21の表面へのリークの発生を抑制することが可能である。
【0050】
そして、制御部8は、上記の電流検出部13による現像電流の検出を、非画像形成時に、感光体ドラム21の非露光領域を利用して実行する。この構成によれば、非画像形成時においてトナーが飛翔しない白地領域が利用されるので、現像電流としては、トナー移動電流を含まず、キャリア電流のみを含む。したがって、電流検出部13によって検出された現像電流に基づくキャリア抵抗の導出の高精度化を図ることができる。
【0051】
図6は、アモルファスシリコン感光体(a-Si)及び有機感光体(OPC、Organic Photoconductor)それぞれの現像時の交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を示すグラフである。図6のグラフの横軸は現像時の交流電圧の交流振幅を示し、縦軸は画像濃度を示している。各感光体において、キャリア抵抗のレベルの一例について示した。
【0052】
図6によれば、OPC感光体の場合の現像時の交流電圧の、画像濃度飽和電圧の交流振幅Ao1以上であって感光体ドラムの表面にリークが発生する交流振幅Ao2未満の範囲は、アモルファスシリコン感光体の場合の現像時の交流電圧の、画像濃度飽和電圧の交流振幅Aa1以上であって感光体ドラムの表面にリークが発生する交流振幅Aa2未満の範囲と比較して広くなっている。そして、図示しないが、OPC感光体の場合の現像時の交流電圧の交流振幅の、画像濃度飽和電圧以上であって感光体ドラムの表面にリークが発生しない範囲には、現像剤のキャリア抵抗が異なっても重なる部分が含まれる。したがって、OPC感光体の場合、その重なる部分に交流電圧の交流振幅を設定すれば、キャリア抵抗に基づいて交流電圧の交流振幅を制御する必要がない。
【0053】
上記構成のように、本実施形態の感光体ドラム21の感光層は、アモルファスシリコン感光層である。アモルファスシリコン感光体の場合、キャリア抵抗のレベルによって、現像時の交流電圧の交流振幅の、画像濃度飽和電圧以上であって感光体ドラムの表面にリークが発生しない範囲が異なる。したがって、アモルファスシリコン感光体の場合、キャリア抵抗に基づいて交流電圧の交流振幅を制御する必要がある。これにより、画像不良の発生を抑制することができ、高品質な画質を得ることが可能になる。
【0054】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0055】
例えば、現像電流に基づいてキャリア抵抗を導出するための例えば図4に相当するテーブルや、キャリア抵抗に基づいて交流電圧の交流振幅を制御するための例えば図5に相当するテーブルは、計算式等に代えても良い。これらのテーブルや計算式は、製造時の現像剤のキャリア抵抗情報や、交流電圧の交流振幅と画像濃度との関係を反映した情報に基づいて構成されることが望ましい。
【0056】
また、上記実施形態では、画像形成装置1は、複数色の画像を順次重ねて形成するいわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではなく、タンデム型ではないカラー印刷用の画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
8 制御部
11 帯電電源
12 現像電源
13 電流検出部
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
40 帯電部
50 現像部
54 現像ローラー(現像剤担持体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6